JP2005169386A - マイクロチャンネル内表面の部分化学修飾方法とマイクロチャンネル構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マイクロチャンネル内表面を部分的に化学修飾するための簡便な方法と、そのような方法によって得られたマイクロチャンネル構造体を用いる各種の多相流操作、とくに気液界面を利用する操作に関連する各種の方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも二つのチャンネルが任意の領域において並行接触して接触部分を形成しており、この接触部分では各チャンネルを流れる流体の界面が形成されるマイクロチャンネル構造において、一つのチャンネルのみを化学修飾する方法であって、化学修飾される第一チャンネル21内に修飾試薬含有溶液を導入し、この第一チャンネル21内の修飾試薬含有溶液の液圧と、第一チャンネル21と並行接触して接触部分を形成する化学修飾されない第二チャンネル22内の気圧が平衡を保つ状態で静置し、次いで第二チャンネル22内を加圧とすることにより過剰の修飾試薬含有溶液を第一チャンネル内から排出する。
【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、マイクロチャンネル内表面の部分化学修飾方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、マイクロチャンネルの一部分のみを化学修飾するための簡便な方法とそれにより得られるマイクロチャンネル構造体、およびそれを用いる各種の多相流操作に関するものである。
近年、ガラス基板等に形成した微細流路を利用して精密に微量分析や分離、あるいは化学合成を行うマイクロ化学システムが注目されている。しかし、これまで報告されているマイクロ化学システムの多くは、マイクロチャンネルの物理的な空間特性を利用したものであり、均一溶液系や固液界面、液液界面を用いた反応系に適用されるものがほとんどであった。そのため、気体が生成する反応や溶液からの気体除去にも適用可能な、気液界面を利用するマイクロ化学システムについては、これまであまり知られていなかった。
気液界面を用いた反応系へのマイクロ化学システムの適用が実現されない主な要因としては、マイクロチャンネル内で流体を制御する技術が十分に確立されていないことや、液体から気体への相変化に伴う体積増加が大きいため、ミクロ空間での扱いが難しいことなどが挙げられる。
そこで、気液界面に適用可能なマイクロ化学システムを実現するための新たなアプローチとして、マイクロチャンネルの内表面を部分的に化学修飾し、マイクロチャンネル内の化学特性の違いにより気液系を制御することが考えられた。
これまで知られている同一チャンネル内の化学修飾方法としては、マイクロチャンネルを加工した2枚の基板を予め別々に処理し、各々親水性、疎水性としてこれを圧着する方法(圧着法:特許文献1および非特許文献1)、光感応性試薬をチャンネル表面に修飾し、フォトリソグラフィーにより親水性、疎水性パターニングを実現する方法(フォトリソグラフィー法:非特許文献2)、あるいはマイクロチャンネル内の流れが層流であることを利用して、同一チャンネル内に親水性および疎水性のパターニングを実現する方法(層流利用修飾パターニング法:非特許文献2)等が挙げられる。
しかし、これら従来の方法は、いずれも煩雑な操作を必要とするため、汎用性が低いという問題があった。また、マイクロチャンネル内表面を部分的に化学修飾したマイクロ化学システムを、気液界面を利用した反応系、具体的には、水溶液からの気泡や溶存気体の分離除去に適用する方法についても実現されていないのが実情である。
特開昭2003−28836 Zhao, B. et al., Science, Vol. 291, 2001, 1023-1026 Hibara, A. et al., Anal. Chem. 2002, 74, 6170-6176 Hibara, A. et al., Anal. Chem. 2002, 74, 1724-1728 Tokeshi, M. et al., Anal. Chem. 2002, 74, 1565-1571 Hosokawa, K. et al., Anal. Chem. 1999, 71, 4781-4785
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、マイクロチャンネル内表面を部分的に化学修飾するための簡便な方法と、そのような方法によって得られたマイクロチャンネル構造体を用いる各種の多相流操作、とくに気液界面を利用する操作に関連する各種の方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、少なくとも二つのチャンネルが任意の領域において並行接触して接触部分を形成しており、この接触部分では各チャンネルを流れる流体の界面が形成されるマイクロチャンネル構造において、一つのチャンネルの内表面のみを化学修飾する方法であって、化学修飾される第一チャンネル内に修飾試薬含有溶液を導入し、第一チャンネル内の修飾試薬含有溶液の液圧と、第一チャンネルと並行接触して接触部分を形成する化学修飾されない第二チャンネル内の気圧が平衡を保つ状態で静置し、次いで第二チャンネル内を加圧とすることにより過剰の修飾試薬含有溶液を第一チャンネル内から排出することを特徴とするマイクロチャンネル内表面の部分化学修飾方法を提供する。
この出願の発明は、上記方法について、第2には、第一チャンネルの深さを第二チャンネルの深さよりも浅いものとし、毛細管現象により第一チャンネルに修飾試薬含有溶液を導入することにより、第一チャンネル内の修飾試薬含有溶液の液圧と第二チャンネル内の気圧を平衡に保つことを特徴とする前記の部分化学修飾方法を、第3には、第一チャンネルの深さを第二チャンネルの深さよりも浅いものとし、毛細管現象により第一チャンネル内に修飾試薬含有溶液を導入した後、第二チャンネル内の気圧を制御することにより、第一チャンネル内の修飾試薬含有溶液の液圧と第二チャンネル内の気圧を平衡に保つことを特徴とする前記の部分化学修飾方法を提供する。
第4には、第二チャンネルに空気を導入することにより第二チャンネル内を加圧とし、過剰の修飾試薬含有溶液を第一チャンネル内から排出することを特徴とする前記の部分化学修飾方法を提供する。
また、この出願の発明は、第5には、前記いずれかの部分化学修飾方法により内表面を化学修飾されたマイクロチャンネル構造を有することを特徴とするマイクロチャンネル構造体を、第6には、少なくとも、化学修飾された内表面を有する第一チャンネルと、化学修飾されない第二チャンネルを有し、第一チャンネルと第二チャンネルは任意の領域において並行接触する接触部分を有することを特徴とするマイクロチャンネル構造体を、第7には、少なくとも、疎水性の内表面を有する第一チャンネルと、第一チャンネルよりも深く、親水性の内表面を有する第二チャンネルを有し、第一チャンネルと第二チャンネルは任意の領域において平衡接触する接触部分を有することを特徴とするマイクロチャンネル構造体を提供する。
そして、この出願の発明は、第8には、前記いずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする液体からの気泡除去方法を、第9には、前記第7の発明のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに水性溶液を導入し、この水性溶液を、ヤング−ラプラスの式により求められる破化点以下の圧力を維持するような流速で流すことにより、接触部分において水性溶液に含有されている、もしくは水性溶液において発生する気泡を第一チャンネルに排出させることを特徴とする水性溶液からの気泡除去方法を提供する。
第10には、前記いずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする液体からの溶存気体除去方法を、第11には、前記第7の発明のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに溶存気体を含有する水性溶液を導入し、第一チャンネルに溶存気体を分配できる気体を導入し、水性溶液および気体をそれぞれ、接触部分における第二チャンネル内の水性溶液の圧力と第一チャンネル内の気体の圧力の圧力差がヤング−ラプラスの式により求められる許容圧力差以下となるような流速で向流で流すことにより、接触部分において水溶液から溶存気体を第一チャンネル内の気体に分配させることを特徴とする水性溶液からの溶存気体除去方法を提供する。
そして、この出願の発明は、第12には、前記いずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする液体からの油分除去方法を、第13には、第二チャンネルに油分を含有する水性溶液を導入し、第一チャンネルに油分を分配できる分配溶媒を導入し、水溶液および分配溶媒をそれぞれ、接触部分における第二チャンネル内の水性溶液の圧力と第一チャンネル内の分配溶媒の圧力の圧力差がヤング−ラプラスの式により求められる許容圧力差以下となるような流速で同一方向または向流方向に流すことにより、接触部分において水性溶液から油分を第一チャンネル内の分配溶媒に分配させることを特徴とする水性溶液からの油分除去方法を提供する。
また、第14には上記の第5から7のいずれかの発明のマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする流体界面における反応方法を提供し、第15には、第7のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに油相を、第一チャンネルに水相を導入して、油水界面における反応により膜形成することを特徴とする膜の形成方法を提供する。
また、第16には上記の第5から7のいずれかの発明のマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする冷却方法を提供し、第17には、第7のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに液体を封入し、この液体を加熱し蒸発させて接触部分より第一チャンネルに移動させ、第一チャンネルで凝縮し液体とした後、再び接触部分より第二チャンネルに移動させることを特徴とする冷却方法を提供する。
上記第1の発明の部分化学修飾方法では、並行接触している二つのマイクロチャンネル(第一チャンネルおよび第二チャンネル)の一方(第一チャンネル)に修飾試薬含有溶液を導入し、その液圧が、もう一方のマイクロチャンネル(第二チャンネル)内の気圧と平衡を保つようにすることにより、一方のマイクロチャンネル内表面のみを選択的に被覆することができる。そして、任意の時間静置した後、第二チャンネル内を加圧とすることにより、過剰の修飾試薬含有溶液が第一チャンネル内から排出され、第一チャンネルのみが選択的に化学修飾される。
第2の発明の部分化学修飾方法では、前記第1の発明の方法において、第一チャンネルの深さを第二チャンネルの深さよりも浅いものとし、毛細管現象により第一チャンネルに修飾試薬含有溶液を導入することにより、二つのチャンネルの深さの違いを利用して第一チャンネル内の液圧と第二チャンネル内の気圧を平衡に保つことができる。これにより、第一チャンネル内表面のみを選択的に被覆し、化学修飾することが可能となる。
第3の発明の部分化学修飾方法では、修飾試薬含有溶液の毛細管現象による圧力やマイクロチャンネルの深さの差が小さい場合でも、第二チャンネル内の気圧を適当な範囲に制御することにより、第一チャンネル内の修飾試薬含有溶液の液圧と第二チャンネル内の気圧を平衡に保つことができる。これにより、第一チャンネル内表面のみを選択的に被覆し、化学修飾することが可能となる。
第4の発明の部分化学修飾方法は、第二チャンネル内を加圧にするために第二チャンネルに空気を導入するものであり、これにより、簡便な操作で第一チャンネル内から過剰の修飾試薬含有溶液を排出することができる。したがって、第一チャンネル内に静置させた修飾試薬含有溶液を第二チャンネル側に流入させることなく除去でき、第一チャンネル内表面のみを選択的に化学修飾することが可能となる。
そして、これらの部分化学修飾方法により、上記第5〜7の発明のマイクロチャンネル構造体が得られる。
また、これらのマイクロチャンネル構造体は、上記第8〜17の発明の気泡除去方法、溶存気体除去方法、および油分除去方法、そして界面反応方法と膜形成方法、さらに冷却方法に適用できるものである。
とくに、上記第7の発明のマイクロチャンネル構造体は、少なくとも、疎水性の内表面を有する第一チャンネルと、第一チャンネルよりも深く、親水性の内表面を有する第二チャンネルを有し、第一チャンネルと第二チャンネルは任意の領域において並行接触する接触部分を有することから、例えば、第二チャンネルに水性溶液を導入し、この水性溶液を、ヤング−ラプラスの式により求められる破化点以下の圧力を維持するような流速で流せば、水性溶液に混入した気泡は親水部に留まるよりも疎水部に抜ける方が圧力的に有利となり、接触部分において水性溶液から気泡を第一チャンネルに排出させることができる。これにより、マイクロ化学システムに混入した気泡を除去することが可能となる。また、マイクロ化学システムを気泡が発生する反応系に応用することが可能となる。さらに、複雑な構造を必要としない新しい混合器としての応用も可能となる。また、第二チャンネルに溶存気体を含有する水性溶液を導入し、第一チャンネルに溶存気体を分配できる気体を導入し、水性溶液および気体を、それぞれ、接触部分における第二チャンネル内の水性溶液の圧力と第一チャンネル内の気体の圧力の圧力差がヤング−ラプラスの式により求められる許容圧力差以下となるような流速で流すことにより気液界面を実現でき、接触部分において水性溶液から溶存気体を第一チャンネル内の気体に分配させることができる。したがって、気体を原料とする合成反応への応用が可能となる。さらに、第二チャンネルに油分を含有する水性溶液を導入し、第一チャンネルに油分を分配できる分配溶媒を導入し、水性溶液と分配溶媒をそれぞれ、接触部分における第二チャンネル内の水性溶液と第一チャンネル内の分配溶媒の圧力差がヤング−ラプラスの式により求められる許容圧力差以下となるような流速で流すことにより液液界面を実現でき、接触部分において水溶液から油分を第一チャンネル内の分配溶媒に分配させることができる。
そして、この出願の第14および第15の発明によれば、並行するチャンネルの接触部分での安定界面においての化学反応を可能とし、膜長の大きい反応形成した高分子膜を得ることもできる。
また、この出願の第16および17の発明によれば、並行するチャンネルの接触部分において、第二チャンネルに封入した液体が蒸発して第一チャンネルに移動し、そこで凝縮して液体となった後、再び第二チャンネルに移動するようにした冷却方法とすることで、より小径のヒートパイプを実現することができ、さらに熱輸送効率を向上させることができる。
この出願の発明者らは、マイクロチャンネルの壁面を部分的に化学修飾し、マイクロチャンネル内表面と流体の相互作用力を部分的に変化させることにより、マイクロチャンネル内の流れを制御し、液液間および気液間での物質移動を可能にできると考えた。そして、簡便な操作によりマイクロチャンネル内表面を部分的に化学修飾する方法を見出し、本願発明に至ったものである。
この出願の発明のマイクロチャンネル内表面の部分化学修飾方法の概略を図1に例示した。この方法では、図1aおよびbのようなマイクロチャンネル構造体(1)、すなわち、少なくとも、第一チャンネル(21)と、第一チャンネル(21)に並行接触している第二チャンネル(22)が配設され、第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)の接触部分(23)で、第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)を流れる流体(31、32)の界面(4)が形成されるマイクロチャンネル構造体(1)において、第一チャンネル(21)の内表面のみを化学修飾(51)する。このような部分化学修飾方法を特徴づける具体的操作は、基本的には次の手順による。
(A)化学修飾される第一チャンネル(21)内に修飾試薬含有溶液を導入する。
(B)第一チャンネル(21)内の修飾試薬含有溶液の液圧と、第二チャンネル(22)内の気圧が、平衡を保つ状態で静置する。
(C)第二チャンネル(22)内を加圧とする。
この出願の発明の部分化学修飾方法では、第一チャンネル(21)および第二チャンネル(22)の作製方法はとくに限定されない。たとえば、ドライエッチングやウェットエッチング等のフォトリソグラフィー法等が適用できる。
この出願の発明の部分化学修飾方法では、前記の手順(A)において、第一チャンネル(21)への修飾試薬含有溶液の導入方法として、ピペット等による滴下注入や毛細管現象を利用した方法が挙げられる。たとえば、好ましくは、修飾試薬含有溶液(5)を第一チャンネル(21)の導入口(211)に滴下し、毛細管現象により第一チャンネル(21)内に導入する方法が挙げられる。
また、手順(B)において、第一チャンネル(21)内の修飾試薬含有溶液(5)の液圧と、第二チャンネル(22)内の気圧は、修飾試薬含有溶液(5)の表面張力を調整することにより平衡を保つようにすることができる。修飾試薬含有溶液(5)の表面張力は、例えば、第一チャンネル(21)の内表面(241)と修飾試薬含有溶液(5)の親和性や接触面積、修飾試薬含有溶液(5)の粘度等を調整することにより適当な値とすることができる。具体的には、二段階エッチング等の手法により、第一チャンネル(21)の深さ(d1)を第二チャンネル(22)の深さ(d2)よりも浅いものとし、毛細管現象により第一チャンネル(21)に修飾試薬含有溶液(5)を導入することにより、第一チャンネル(21)内の修
飾試薬含有溶液(5)の液圧と第二チャンネル(22)内の気圧を平衡に保つことができる
。あるいは、毛細管現象による圧力や深さの差が小さい場合には、毛細管現象により第一チャンネル(21)に修飾試薬含有溶液(5)を導入した後、第一チャンネル(21)内の気圧を制御することにより、第一チャンネル(21)内の修飾試薬含有溶液(5)の液圧と第二チャンネル(22)内の気圧を平衡に保つようにしてもよい。
この出願の発明の部分化学修飾方法において使用される修飾試薬含有溶液(5)は、第一チャンネル(21)を化学修飾(51)するための修飾試薬を含有するものであればよく、とくに限定されない。第一チャンネル(21)に付与したい性質、例えば、疎水性、特定の物質に対する吸着性、極性などに応じて適宜変更できる。もちろん、修飾試薬含有溶液(5)の濃度や粘度については、第一チャンネル(21)の内径、長さ、マイクロチャンネル構造体(1)における基板(7)の材質等によって適宜変更できる。また、各種の溶媒を用いたものであってもよい。例えば、第一チャンネル(21)に疎水性を付与するものとして、オクタデシルシラン(ODS)のトルエン溶液が挙げられる。
手順(B)では、このようにして第一チャンネル(21)のみに修飾試薬含有溶液(5)が導入された状態で、マイクロチャンネル構造体(1)を適当な時間静置する。このとき、静置時間は、第一チャンネル(21)の内表面(241)が修飾試薬により修飾されるのに十分な時間であればよく、使用される修飾試薬や第一チャンネル(21)の内径、長さ、マイクロチャンネル構造体(1)における基板(7)の材質等によって適宜変更できる。
そして、適当な時間が経過したところで、手順(C)において、第二チャンネル(22)内を加圧とすることにより、修飾試薬含有溶液(5)を第一チャンネル(21)内から排出する。このとき、第二チャンネル(22)内を加圧する方法はとくに限定されない。例えば、第二チャンネル(22)に空気(6)を送る方法が簡便で好ましい。
このような部分化学修飾方法により、第一チャンネル(21)の内表面(241)を化学修飾(51)したマイクロチャンネルを有するマイクロチャンネル構造体(1)が得られる。具体的には、化学修飾された内表面(241)を有する第一チャンネル(21)と、化学修飾されない第二チャンネル(22)を有し、第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)が任意の領域において並行接触する接触部分(23)を有するマイクロチャンネル構造体(1)、例えば、疎水性の内表面(241)を有する第一チャンネル(21)と、第一チャンネル(21)よりも深く、親水性の内表面(242)を有する第二チャンネル(22)を有し、第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)は任意の領域において平衡接触する接触部分(23)を有するものが得られるのである。
この出願の発明では、以上のとおりの部分化学修飾方法によって得られたマイクロチャンネル構造体(1)を用いることにより、各種の多相流操作が可能となる。このような多相流操作としては、液体からの気泡除去、液体からの溶存気体除去、水性溶液からの油分除去安定した流体界面での膜形成等が例示される。なお、本明細書において、「液体」とは水溶液、有機溶媒溶液、分散液、懸濁液、水そのもの、有機溶媒そのもの、任意の圧力および温度において液体である有機および無機の化合物等を含むものとする。また、「水性溶液」とは水に溶質が溶解した状態のみならず、溶質を有さない水そのものを含むものとする。
この出願の発明の気泡除去方法では、具体的には、疎水性の内表面(241)を有する第一チャンネル(21)と、この第一チャンネル(21)よりも深く、親水性の内表面(242)を有する第二チャンネル(22)を有し、第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)は任意の領域において平衡接触する接触部分(23)を有するマイクロチャンネル構造体(1)において、第二チャンネル(22)に流体(32)として水性溶液を導入し、第一チャンネル(21)を開放系とすることにより、接触部分(23)における第二チャンネル(22)と第一チャンネル(21)の圧力差により気泡を第一チャンネル(21)に排出させることが可能となる。一般に、同一チャンネル内に親水部と疎水部を持つチャンネルに水性溶液を流す場合、水性溶液は親水部のみを流れ、疎水部には浸入しない。水性溶液が疎水部に浸入する破過点は次のヤング−ラプラスの式
(ただし、ΔPは毛細管現象により発生する圧力、γは界面張力、rはチャンネル深さを表す)より求められる圧力によって決まるが、破過点以下の圧力で水性溶液を駆動する場合には、水性溶液に混入した気泡は、親水部に留まるよりも疎水部に抜ける方が圧力的に有利である。
したがって、マイクロチャンネル構造体(1)を、気体が発生するような反応系に適用した場合でも、マイクロチャンネル中に気泡が残留することがなくなり、マイクロチャンネル内が加圧になったり、反応物質の検出精度が落ちたりするという気泡による悪影響を予防できる。また、マイクロチャンネルに誤って混入してしまった気泡を除去することも可能となる。さらに、水性溶液への気泡の混入と除去を繰り返すことにより、水性溶液の高速混合が可能となることから、従来知られているものとは全く異なる単純な構造からなる高性能のマイクロ混合器とすることもできる。
水性溶液・気体の双方を圧力駆動する場合、両流体の速度は、両流体間の圧力差が前記のヤング−ラプラスの式により求められる許容圧力差以下の範囲で自由に制御できる。したがって、水性溶液と気体が同方向に流れる場合だけでなく、反対方向に流れる向流も形成可能となる。なお、流体の圧力差は、実測して求めてもよいし、次の圧力損失の式
(ただし、ΔPは流体圧力損失による圧力差、Lは基準点からの距離、ρは流体の密度、νは流体の線速度、Dは流体力学的半径D=4S/l、fは16/Re(ただし、Reは次式
(ρ、νおよびDは前記のとおりであり、μは流体の粘度を示す)
で表されるレイノルズ数である)を表す)
を用いて求めてもよい。
この出願の発明のマイクロチャンネル構造体(1)では、図1bに示した流体(32)として溶存気体を含有する水性溶液を第二チャンネル(22)に流し、除去したい溶存気体を分配するための別の気体、例えば、窒素ガスやアルゴン等を第一チャンネル(21)に流体(31)として、同一方向または向流方向に流すことにより、水性溶液からの溶存気体の除去も可能となる。したがって、このマイクロチャンネル構造体(1)を、気体を原料として用いる合成反応に適用すれば、未反応の残留気体を除去することも可能となる。
同様に、油水流体の制御も可能であることから、第二チャンネル(22)に油分を含有する水性溶液を、第一チャンネル(21)に油分を分配できる分配溶媒、例えばヘキサン等の油をよく分配する有機溶媒を、互いに同一方向あるいは向流方向に流すことにより、水性溶液から油分を除去することも可能となる。
さらに油相と水相との安定した界面(4)において高分子等の膜を反応形成することもできる。つまり、第一チャンネル(21)に油相を、第二チャンネル(22)に水相を導入することにより界面反応が可能とされ、高分子等の膜形成も可能となる。これにより膜長のより長い膜の形成も可能となる。
また、並行する第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)の接触部分(23)において、第二チャンネル(22)に封入した液体が加熱され蒸発することで第一チャンネル(21)に移動し、そこで凝縮して液体となった後、再び第二チャンネル(22)に移動するようにした冷却方法とすることも可能である。例えば、図1において、まず第二チャンネル(22)の一部に液体を封入するようにし、次いで液体が封入された部分を加熱する。液体は蒸発して部分化学修飾(51)された第一チャンネル(21)に移動する。そして、加熱部分から離れるにつれて温度が下がり、気化した液体は凝縮して液体となる。この液体は再び第一チャンネル(21)から第二チャンネル(22)に移動する。これは、例えば、コンピュータのCPUなどに接触させておくと、気化熱によってCPUを冷却することができる。つまり、ヒートパイプと同様なデバイスとなる。従来のヒートパイプは管径を小さく、具体的には管径2mm以下にするのは困難であった。その理由として、凝縮した液体の表面張力によって、気化→凝縮→気化→のサイクルが形成できなかったためである。この出願の発明はそれを解決することができるもので、より管径を小さくすることができ、例えば管径2mm以下のヒートパイプを実現することができる。さらに、マイクロチャンネル構造体(1)を複数化することで熱輸送効率を向上させることも可能である。
以下、実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
<実施例1>
以下の手順で、図1に示したような、疎水性の内表面(241)を有する第一チャンネル(21)と、第一チャンネル(21)に並行接触する第二チャンネル(22)を有するマイクロチャンネル構造体(1)を作製した。
すなわち、まず、二段階エッチングにより、ガラス製基板(7)上に、浅い第一チャンネル(幅:約170μm、深さ:約10μm)(21)と、深い第二チャンネル(幅:約200μm、深さ:約100μm)(22)を形成した。第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)は、図2aに示されるとおり、接触部分(23)において並行接触している。すなわち、接触部分(23)は、図2bに示されるとおり、深さの異なる二つのチャンネルが一体化した構造を有するものとした。
次に、別のガラス製基板に、第一チャンネル(21)の導入口(211)と排出口(212)、および第二チャンネル(22)の導入口(221)と排出口(222)となる孔を形成し、これをカバープレート(7’)とし、すでにチャンネルを形成した上記の基板(7)に積層一体化してマイクロチャンネル構造体(1)を得た。
オクタデシルシラン(ODS)トルエン溶液を修飾試薬含有溶液(5)として第一チャンネル(21)の導入口(211)に滴下したところ、ODS溶液が、毛管現象により緩やかに第一チャンネル(21)内に導入された。しかし、深さが急激に変化する第二チャンネル(22)との接触部分(23)では、濡れ性と表面積変化のバランスによりODS溶液が止まり、第二チャンネル(22)には流入しなかった。
その状態でしばらく静置した後、第二チャンネル(22)の導入口(221)と排出口(222)から順次に空気(6)を送り、ODS溶液(5)を排出した。これにより、第一チャンネル(21)の内表面(241)のみをODSにより化学修飾(51)した。
<実施例2>
ミクロ空間において、気体を反応に用いる場合や、外部との接続部分から気体が混入した場合、あるいは反応により気体が発生する場合には、閉じた空間であることと大きな比界面積のために気体が流路内にとどまり、液体の流れを乱すことがある。また、小さい空間であるがゆえに、その除去は非常に困難である。
そこで、実施例1において得られた、第一チャンネル(21)の内表面(241)のみが化学修飾(51)されたマイクロチャンネル構造体(1)を用いて水溶液から気泡を除去することを試みた。
まず、図1bにおいて、第一チャンネル(21)の深さ(d1)を変化させて、第二チャンネル(22)に水を流した際に、水(32)が第一チャンネル(21)内に漏れ出さずに第二チャンネル(22)を流れる最大流速を調べた。さらに、その流速から圧力損失の式を用いて気液界面での圧力差を算出し、ヤング−ラプラスの式から得られる圧力差ΔPと比較した。
図2には、横軸に第一チャンネル(21)の深さ(d1)を、縦軸に最大流速の実験値から計算した圧力差と、ヤング−ラプラスの式から求めた圧力差の理論値を示し、その相関性を示している。なお、実験値から計算した値は、図1aにおける第二チャンネルの導入口(221)と排出口(222)との中間点での値とした。
図2より、実験値が理論値とほぼ一致していることが示された。これより、マイクロチャンネル内で水が意図したとおりの挙動を示していることが確認された。
<実施例3>
次に、実施例1と同様の方法により、図3に示したマイクロチャンネル構造体(1)を作製した。このマイクロチャンネル構造体(1)では、第二チャンネル(22)に対し、空気(6)を供給する空気導入チャンネル(25)を有し、第一チャンネル(21)は、この導入チャンネル(25)より下流域において第二チャンネル(22)の途中から始まって第二チャンネル(22)との接触部分(23)を形成するようにしている。
これを用いて、第二チャンネル(22)に導入した水や水溶液(33)への空気の導入とその除去の試験を行った。
マイクロチャンネル構造体(1)における空気(6)の供給にともなう気泡(8)の移動を顕微鏡により追跡した。各部位における顕微鏡写真を図4a〜cに示した。なお、各写真の撮影位置は図3におけるa〜cに対応している。
導入チャンネル(25)からの空気(6)の供給により第二チャンネル(22)内に導入された気泡(8)が(図4a)、除去部、すなわち第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)の接触部分(23)において第一チャンネル(21)側へ抜け(図4b)、第二チャンネル(22)の下流では見られなくなる(図4c)ことが確認された。
この出願の発明の方法により、水や水溶液への気泡の導入とその除去が可能になることがわかる。
これまでに、このようなマイクロチャンネルにおける気泡の導入と除去に関する報告はなされておらず、本願発明によって初めて実現されたものである。
<実施例4>
実施例1と同様の方法により、図5に示したように、浅い第一チャンネル(幅:約148μm、深さ:約15μm)(21)と、深い第二チャンネル(幅:約239μm、深さ:約94μm)(22)を有するマイクロチャンネル構造体(1)を作製した。なお、第一チャンネル(21)と第二チャンネル(22)との接触部分(23)の接触距離は34mmとした。
第二チャンネル(22)に溶存酸素を含有する水(34)を流し、第一チャンネル(21)に窒素ガス(35)を向流で流したところ、水が第一チャンネル(21)側に漏れ出したり、水(34)に窒素ガス(35)の気泡が混入したりすることなく、向流が実現された。
接触部分(23)より下流側で水を密閉容器に回収し、これにアルカリ性酒石酸ナトリウムカリウムとメチレンブルーを加えて硫酸鉄アンモニウム溶液で滴定することにより、溶存酸素濃度を測定した。
図6に窒素ガスと水の接触時間と溶存酸素濃度の関係を示した。図6より、この出願の発明の方法を用いて、水から溶存酸を窒素ガスに分配できることが確認された。
なお、同様の操作を水と窒素ガスを向流ではなく同方向に流して行ったところ、向流の方が効率よく溶存酸素が除去されることが確認された。
<実施例5>
図3と同様のマイクロチャンネル構造体を図7のように作成した。この構造体において、第二チャンネル(22)にはアジドの水溶液を導入し、第一チャンネル(21)より上流域で、導入チャンネル(26)よりCrCl2水溶液を導入して、次式に従ってのアジドの還元反応を行った。
この還元反応においてはN2ガスが発生するが、図7にA,B部の差異として示したように、第二チャンネル(22)水相中のこのN2ガスによる気泡は第一チャンネル(21)に排出されることが確認された。
<実施例6>
実施例1と同様にして作製した図8のマイクロチャンネル構造体において、第一チャンネル(21)には、2%の割合のトリメシン酸クロリドを添加したセバシン酸クロリドの1,2−ジクロロメタン溶液を油相として導入し、第二チャンネル(22)には純水を導入した。
油相の有流4.0μl/min、水相の流量20μl/minにおいて安定な界面を形成し、この界面の全長部においてナイロン膜を反応形成した。
図9は、図8の1〜6の部位の観察写真を示したものであり、接触部である界面の全長においてナイロン膜(9)が形成されていることがわかる。また、図8の3および4に示されている気泡(10)はナイロン膜(9)によって界面間の移動が阻止されていることもわかる。
以上詳しく説明したとおり、この発明によって、マイクロチャンネルの特定箇所のみを部分的に化学修飾するための簡便な方法が提供される。また、この発明の部分化学修飾方法により得られるマイクロチャンネル構造体を多相流操作に適用すれば、液体からの気泡や溶存気体の除去、さらには水溶液からの油分の除去が可能となり、有用性が高い。
この出願の発明のマイクロチャンネル構造体の構成とマイクロチャンネル内表面の部分化学修飾方法を例示した概略模式図であり、a:平面配置図、b:四角で囲まれた接触部分の拡大断面図である。 実施例2において、最大流速の実験値から計算した圧力差(黒丸)およびヤング−ラプラスの式から求めた圧力差の理論値(実線)に対する第一チャンネルの深さの影響を示した図である。 実施例3において、マイクロチャンネル構造体を用いた気体の導入・除去試験を行うために作製したマイクロチャンネル構造体の構成を示した概略模式図であり、a〜cは気泡の観察、撮影を行った部位を示している。 実施例3において、マイクロチャンネル構造体における気泡の移動を追跡した顕微鏡写真であって、a〜cは図3におけるa〜cに対応し、撮影部位を示している。 実施例4において、マイクロチャンネル構造体を用いた液体からの溶存気体の除去試験を行うために作製したマイクロチャンネル構造体の構成を示した概略模式図である。 実施例4において、窒素ガスと水の接触時間と溶存酸素濃度の関係を示した図である。 実施例5におけるマイクロチャンネル構造体を例示した平面概要図である。 実施例6におけるマイクロチャンネル構造体を例示した平面概要図である。 実施例6におけるナイロン膜形成を例示した顕微鏡写真である。
符号の説明
1 マイクロチャンネル構造体
2 マイクロチャンネル
21 第一チャンネル
211 第一チャンネルの導入口
212 第一チャンネルの排出口
22 第二チャンネル
221 第二チャンネルの導入口
222 第二チャンネルの排出口
23 接触部分
241 第一チャンネルの内表面、疎水性の内表面
242 第二チャンネルの内表面
25 空気導入チャンネル
26 導入チャンネル
31、32 流体
33 水、水溶液
34 水(溶存酸素を含有)
35 窒素ガス
4 界面
5 修飾試薬含有溶液
51 化学修飾
6 空気
7 基板
7‘ カバープレート
8 気泡
9 ナイロン膜
10 気泡

Claims (17)

  1. 少なくとも二つのチャンネルが任意の領域において並行接触して接触部分を形成しており、この接触部分では各チャンネルを流れる流体の界面が形成されるマイクロチャンネル構造において、一つのチャンネルの内表面のみを化学修飾する方法であって、化学修飾される第一チャンネル内に修飾試薬含有溶液を導入し、第一チャンネル内の修飾試薬含有溶液の液圧と、第一チャンネルと並行接触して接触部分を形成する化学修飾されない第二チャンネル内の気圧が平衡を保つ状態で静置し、次いで第二チャンネル内を加圧とすることにより過剰の修飾試薬含有溶液を第一チャンネル内から排出することを特徴とするマイクロチャンネル内表面の部分化学修飾方法。
  2. 第一チャンネルの深さを第二チャンネルの深さよりも浅いものとし、毛細管現象により第一チャンネルに修飾試薬含有溶液を導入することにより、第一チャンネル内の修飾試薬含有溶液の液圧と第二チャンネル内の気圧を平衡に保つことを特徴とする請求項1の部分化学修飾方法。
  3. 第一チャンネルの深さを第二チャンネルの深さよりも浅いものとし、毛細管現象により第一チャンネル内に修飾試薬含有溶液を導入した後、第二チャンネル内の気圧を制御することにより、第一チャンネル内の修飾試薬含有溶液の液圧と第二チャンネル内の気圧を平衡に保つことを特徴とする請求項1の部分化学修飾方法。
  4. 第二チャンネルに空気を導入することにより第二チャンネル内を加圧とし、過剰の修飾試薬含有溶液を第一チャンネル内から排出することを特徴とする請求項1から3のいずれかの部分化学修飾方法。
  5. 請求項1から4のいずれかの部分化学修飾方法により内表面を化学修飾されたマイクロチャンネル構造を有することを特徴とするマイクロチャンネル構造体。
  6. 少なくとも、化学修飾された内表面を有する第一チャンネルと、化学修飾されない第二チャンネルを有し、第一チャンネルと第二チャンネルは任意の領域において並行接触する接触部分を有することを特徴とする請求項5のマイクロチャンネル構造体。
  7. 少なくとも、疎水性の内表面を有する第一チャンネルと、第一チャンネルよりも深く、親水性の内表面を有する第二チャンネルを有し、第一チャンネルと第二チャンネルは任意の領域において並行接触する接触部分を有することを特徴とする請求項5のマイクロチャンネル構造体。
  8. 請求項5から7のいずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする液体からの気泡除去方法。
  9. 請求項7のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに水性溶液を導入し、この水性溶液を、ヤング−ラプラスの式により求められる破化点以下の圧力を維持するような流速で流すことにより、接触部分において水性溶液に含有されている、もしくは水性溶液において発生する気泡を第一チャンネルに排出させることを特徴とする水性溶液からの気泡除去方法。
  10. 請求項5から7のいずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする液体からの溶存気体除去方法。
  11. 請求項7のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに溶存気体を含有する水性溶液を導入し、第一チャンネルに溶存気体を分配できる気体を導入し、水性溶液および気体をそれぞれ、接触部分における第二チャンネル内の水性溶液の圧力と第一チャンネル内の気体の圧力の圧力差がヤング−ラプラスの式により求められる許容圧力差以下となるような流速で同一方向または向流方向に流すことにより、接触部分において水性溶液から溶存気体を第一チャンネル内の気体に分配させることを特徴とする水性溶液からの溶存気体除去方法。
  12. 請求項5から7のいずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする液体からの油分除去方法。
  13. 請求項7のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに油分を含有する水性溶液を導入し、第一チャンネルに油分を分配できる分配溶媒を導入し、水性溶液および分配溶媒をそれぞれ、接触部分における第二チャンネル内の水性溶液の圧力と第一チャンネル内の分配溶媒の圧力の圧力差がヤング−ラプラスの式により求められる許容圧力差以下となるような流速で同一方向または向流方向に流すことにより、接触部分において水性溶液から油分を第一チャンネル内の分配溶媒に分配させることを特徴とする水性溶液からの油分除去方法。
  14. 請求項5から7のいずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする流体界面における反応方法。
  15. 請求項7のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに油相を、第一チャンネルに水相を導入して、油水界面における反応により膜形成することを特徴とする膜の形成方法。
  16. 請求項5から7のいずれかのマイクロチャンネル構造体を用いることを特徴とする冷却方法。
  17. 請求項7のマイクロチャンネル構造体において、第二チャンネルに液体を封入し、この液体を加熱し蒸発させて接触部分より第一チャンネルに移動させ、第一チャンネルで凝縮し液体とした後、再び接触部分より第二チャンネルに移動させることを特徴とする冷却方法。

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