JP3991188B2 - パイプ状の段付部品の成形方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプ状素材から段付部品を成形する方法およびそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のパイプ状素材から段付部品を成形する方法は、パイプ状素材をプレス加工により成形して、さらに内歯成形工程を行うものであった。このようなプレス加工によるパイプ状の段付部品の成形方法は、成形すべき部品に精密に対応した下型及び上型が必要となり、これらの型製作に時間を要するので、多種少量部品には不向きである。また、この成形方法では、素材を瞬時に矯正的に成形するため、内部組成の破断が生じ易く、成形部品の強度確保が課題となる。
【0003】
また、素材の肉をローラ工具の移動により流動化させ、下型に沿った形状に成形するフローフォーミング技術も知られており、このようなフローフォーミング技術を用いてパイプ状素材から段付部品を成形することも試みられている。このフローフォーミング技術による成形では、プレス加工に対し加工能率は低いが、上型を用いずに成形すべき部品と形状が正確に対応している必要がない下型のみを使用するので下型の汎用性があり、この点で多種少量部品に適している。また、フローフォーミング技術により成形部品の内部組成が流動化して成形されるため、部品内部の亀裂がなく、強度が均一化される利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、このフローフォーミング技術を使用し、同軸線上に配置した回転主軸とクランプ軸との間にパイプ状素材を挟持し、クランプ軸に加圧力を付与した状態で、主軸及びクランプ軸と共に回転するパイプ素材にローラ工具を押し当てながらローラを主軸の軸線方向に移動させて図4(C)に示すような段付部品を成形することに想到した。しかしながら、小径部を成形する工程においては、素材組成を緩やかに流動させながら成形させることが困難となる問題が生じる。つまり、この小径部成形工程は、下型の小径部外周とパイプ素材内周との間隔である絞り深さが大きいため深絞り工程となり、この工程を進める過程においてクランプ軸によるパイプ素材への加圧力がローラ工具による素材組織の流動速度を超えて素材を組成変形させてしまう問題が生じる。
【0005】
従って、本発明の目的は、フローフォーミング技術によりパイプ素材から段付部品を成形する場合に、絞り工程におけるクランプ軸による素材への軸方向へのクランプ加圧力がローラ工具による素材組織の緩やかな流動化を阻害しないようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に記載の第1発明)によるパイプ状の段付部品の成形方法は、パイプ形状の素材を該素材内に挿入される素材の内径より小さい外径の下型が固定された回転主軸とこの主軸と同軸のクランプ軸との間に挟持してクランプし、ローラ工具を主軸の回転と共に回転する素材の外周に対して押し当てながら素材の軸方向に移動することにより加工を行うに当たり、素材の加工部位の加工に応じて加工動作中においてクランプ軸の制御モードを切り換えることを特徴とするものである。
【0007】
本発明(請求項1に記載の第1発明)によるパイプ状の段付部品の成形方法は、パイプ素材を大きく凹ませて下型に沿わせる絞り加工においてはクランプ軸を位置制御するが、前記素材を下型になじませるしごき加工においてはクランプ軸を力制御することを特徴とする。
【0008】
本発明(請求項2に記載の第2発明)によるパイプ状の段付部品の成形装置は、パイプ形状の素材の一端に当接されるとともに素材内に挿入される下型が固定された回転主軸と、前記回転主軸と同軸に設けられ前記素材の他端に当接してこの素材を回転主軸との間に挟持してクランプするクランプ軸と、前記クランプ軸を軸方向に移動してこのクランプ軸を素材に押圧する流体圧シリンダと、この流体圧シリンダを駆動する駆動機構と、前記クランプ軸の位置を検出する位置センサと、前記流体圧シリンダの圧力を検出する圧力センサと、前記主軸の回転と共に回転する素材の外周に対して押し当てながら前記下型に押しつけて軸方向に移動することにより加工を行うローラ工具を含む工具ヘッドと、この工具ヘッドを前記主軸の軸方向及び径方向に送る送り装置と、この送り装置を制御する一方、前記位置センサによって検出されたクランプ軸の位置および前記圧力センサによって検出された前記流体圧シリンダの圧力に基づき、素材の加工部位に応じてクランプ軸の位置制御および力制御を行うように前記駆動機構を制御するコントローラとから成ることを特徴とする。
【0009】
本発明(請求項3に記載の第3発明)によるパイプ状の段付部品の成形装置は、第2発明において、前記駆動機構が、前記流体圧シリンダの両室を連通する流体路上に配置され一方の室内の圧力流体を他方の室内へ直接移動する流体ポンプと、この流体ポンプを前記コントローラにより制御された状態で作動するサーボモータとから成ることを特徴とする。
【0010】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る第1発明のパイプ状の段付部品の成形方法は、パイプ形状の素材を下型が挿入固定された主軸とクランプ軸との間にクランプさせ、ローラ工具を回転する素材の外周に対して押し当てながら軸方向に移動することにより加工を行う下型が固定されたパイプ状の段付部品の成形方法において、素材の加工部位の加工に応じて加工動作中においてクランプ軸の制御モードを切り換えるので、加工動作中における前記素材の加工部位の加工に応じたクランプ軸の制御モードによる制御が可能となり、その結果、素材組成をローラ工具の移動に応じて緩やかに流動させることができ、成形部品に内部亀裂などの欠陥が生じることを防止できる。
【0011】
上記構成より成る本第1発明のパイプ状の段付部品の成形方法は、クランプ軸の加圧動作を絞り加工では位置制御すると共にしごき加工では力制御するようにしたので、絞り加工工程において、素材の過度の縮みを防止できると共に素材組織がローラ工具に導かれる流動速度を大きく超えて急激に塑性変形することを防止でき、一方しごき加工工程においてはクランプ力を一定に保持してローラ工具により素材が下型へ均一になじむことを促進できる。
好ましくは、絞り加工工程におけるクランプ軸の位置は、いわゆる押し気味の位置に制御され、これによりローラ工具による素材組織の流動が促進され、素材を目的とする形状へ精密かつ容易に成形できるようなる。
【0012】
上記構成より成る第2発明によるパイプ状の段付部品の成形装置は、位置センサにより検出されたクランプ軸の位置および圧力センサにより検出されたクランプ軸作動用流体圧シリンダの圧力に基づき、コントローラが素材の加工部位に応じてクランプ軸作動用流体圧シリンダを位置制御或いは力制御するようにしたので、第1発明と同様な効果が奏せられる。
【0013】
上記構成より成る第3発明によるパイプ状の段付部品の成形装置は、クランプ軸作動用流体圧シリンダの駆動機構として、サーボモータとこれにより駆動され前記シリンダの前後室の流体を一方の室から他方の室へ或いはその逆方向に直接移動させるように配置したポンプユニットとで構成したので、コントローラからの指令に対するクランプ軸作動用流体圧シリンダの動作応答性が向上され、特に絞り加工におけるローラ工具の制御位置とクランプ軸の制御位置とが調和され、素材組織を滑らかに流動させることができる付加的な特徴が奏せられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0015】
(実施形態)
本実施形態のパイプ状の段付部品の成形方法および装置は、図1ないし図4に示されるようにパイプ形状の素材Wの一端が当接されると共に素材W内に挿入される下型11が固定された主軸1と、前記パイプ形状の素材Wの他端を押圧して主軸1との間で挟持してクランプするクランプ軸2と、該クランプ軸2の位置を検出する位置センサ3と、クランプ用油圧シリンダ20の圧力を検出する圧力センサ4と、前記主軸1の回転と共に回転する素材Wの外周に対して押し当てながら前記下型11に押しつけて軸方向に移動することにより加工を行うローラ工具5を自由回転可能に支持する工具ヘッド53と、前記位置センサ3によって検出されたクランプ軸2の位置および前記圧力センサ4によって検出されたクランプ用油圧シリンダ20の圧力に基づき、素材Wの加工部位に応じてクランプ軸2を位置制御或いは力制御するための制御信号を出力するコントローラ6とから成るものである。
【0016】
前記主軸1は、図略のフレームに回転可能に支持され、主軸サーボモータ10によってプーリ機構12を介して回転駆動される。サーボモータ10は、コントローラ6としてのNCコントローラからの制御信号に基づきモータドライバ7から出力される駆動信号により駆動される。
【0017】
前記クランプ軸2は、図1および図2に示されるように前記パイプ形状の素材Wの他端を油圧によってクランプするクランパ21を図示下端に有する。クランプ軸2は、その上端において推力軸受箱26により図略のスラストベアリングを介して油圧シリンダ20のピストンロッド27と結合され、このロッド27に対しては一体的に軸方向移動するが、相対回転可能とされている。クランパ21を軸方向に移動する図2中上下の前後室を備えた油圧シリンダ20は、このシリンダ20の前後室を連通する流体路上に配置され、一方の室から他方の室へ或いはこの逆方向に作動油を直接給送する正逆回転可能な油圧ポンプ22により駆動される。該油圧ポンプ22はカップリング23を介して後述するサーボモータ24と回転を連絡され、サーボモータ24はコントローラ6としてのNCコントローラからの制御信号に基づきモータドライバ7から出力される駆動信号により正逆回転される。サーボモータ24は、回転量を検出するロータリエンコーダ25を備える。
【0018】
前記位置センサ3は、リニアスケール30より成り、前記クランプ軸2を構成するクランパ21の一端、より正確には、推力軸受箱26に配設されてクランパ21とともに移動する検出バー28に取り付けられ、この検出バー28の位置を検出して、前記NCコントローラに信号を出力する。
前記圧力センサ4は、前記油圧シリンダ20上に配設され、クランプ軸2の位置制御時および力制御時におけるクランプ用油圧シリンダ20の図示上方の後室の圧力を検出して、前記NCコントローラに圧力信号を出力するように構成されている。
【0019】
前記ローラ工具5は、図略のベアリングによって工具ヘッド53上に自由回転自在に支持されている。工具ヘッド53は、前記主軸1の回転と共に一体回転する素材Wの外周に対して押し付ける方向(半径方向)の移動及びこれと直交する方向の移動ができるように図略のフレームに案内されている。工具ヘッド53を移動する送り機構は、コントローラ6としてのNCコントローラからの制御信号に基づきモータドライバ7から出力される駆動信号により駆動される半径方向サーボモータ51と軸方向サーボモータ52とからなり、これらサーボモータ51及び52をそれぞれ周知の送りねじ機構を介して工具ヘッド53と動力伝達し、これにより、ローラ工具5を素材Wの外周に対して押し当てながら軸方向に移動するようになっている。
【0020】
前記コントローラ6は、前記位置センサ3としての前記リニアスケール30によって検出されたクランプ軸2の位置および前記圧力センサ4によって検出されたクランプ用油圧シリンダ20の圧力に基づき、モータドライバ7を介してサーボモータ24を制御し、前記素材Wの加工部位に応じてクランプ軸2を位置制御或いは力制御する。また、コントローラ6は、モータドライバ7を介してサーボモータ10、51及び52を制御し、主軸1の回転角度位置の制御と同期してローラ工具5の素材Wに対する半径方向位置と軸方向位置を制御し、この同時3軸制御により素材Wの表面に素材の3次元の塑性変形を成形できるようになっている。
なお、図示省略してあるが、サーボモータ10、51、52にはサーボモータ24と同様にロータリエンコーダを設け、主軸1の回転角度位置情報、ローラ工具5の半径及び軸方向位置情報をモータドライバ7にフィードバックできるように構成してある。
【0021】
本実施形態においては、素材Wをパイプ形状またはチューブ形状の鋼製のものとし、図4(A)に示されるように素材Wは主軸1とクランプ軸2との間に挟持されクランプされる。クランプ力は、上述した前記油圧シリンダ20によって発生させている。このクランプ状態では、前記主軸1の端面に固着したチューブの素材Wの内径よりわずかに小さい外径を持つ下型11が素材W内に挿入され、またクランパ21の端面から突出する素材Wの内径よりわずかに小さい外径を持つクランパボス211が素材W内に挿入されている。
【0022】
加工は、図4(B)に示されるように前記主軸1がサーボモータ10により回転され、これにより主軸1、クランプ軸2及びこれら間に挟持クランプされたパイプまたはチューブの素材Wの3者が一体回転され、この状態でローラ工具5を素材Wの外周に押し付けながら軸方向に移動させることにより実行される。この場合、素材Wと主軸1及びクランプ軸2との結合は、素材Wの両端面における摩擦力により得られる。
素材Wのクランプ軸2側の端部が径方向内方に絞られてボスが成形されると素材Wの軸方向長さは短くなるが、クランプ軸2は素材W全長の縮み変形に見合う分移動することにより、素材Wのクランプ力が保たれる。
【0023】
ローラ工具5による加工が終了すると、主軸1の回転が停止され、クランプ軸2が後退されてクランパボス211が素材Wから抜き出され、例えば工業用ロボットのような適宜ハンドリング装置により素材Wは主軸1の下型11から取り外される。その後、素材Wは、図4(C)に示されるように、下型11のボス成形部111からクランプ軸2側に残る余分な部分が旋盤加工等により切り落とされ、最終製品FWとされる。本実施例における最終製品FWは、概ね下型11の全長と匹敵する全長を持つ。
【0024】
なお、工具ヘッド53に突っ切りバイトをローラ工具5と併設し、前記余分な部分を除去する加工を本実施例の成形装置上で行って、加工工程を一層短くしてもよい。また、主軸1に周知のノックアウトピン手段を内蔵し、ローラ工具5による成形加工の後に適宜アクチエータによりこのノックアウトピン手段を駆動して素材Wを下型11から容易に取り外しできるようにしてもよい。
【0025】
本発明による成形装置は、クランプ軸2の移動制御として、素材Wの加工部位に応じて切り換えて制御される位置制御および力制御の両方を行うことが出来るように構成されている。この位置制御および力制御について、さらに詳細に説明する。
先ず、図3(A)および図4(A)に示されるように、前記クランプ軸2において力制御を行い、一定圧でワークである前記素材Wの上下端をクランプする。次に図3(B)に示されるようにワークである前記素材Wの接触位置を前記NCコントローラ6におけるプログラム上で認識しておき、前記ローラ工具5がワークWに当接する位置において位置制御に切り換えられる。
【0026】
図3(B)、(C)及び(D)のように、素材Wの円筒外周をへこませてボス部を深絞り成型する工程においては、クランプ軸2は位置制御され、成型に伴う素材Wの長手方向の縮み分を追跡するように軸方向の位置が制御される。この位置制御においては、前記リニアスケール30からのフィードバック信号は前記NCコントローラ6へ入力され、内部の偏差カウンタで処理され目標位置との偏差分だけの指令が前記モータドライバ7に出力される。
【0027】
つまり、この深絞り工程におけるローラ工具5の径方向及び軸方向の制御目標位置と関連してクランプ軸2の制御目標位置がNCプログラムにプログラムされているので、ローラ工具5が占める径方向及び軸方向位置に対応してクランプ軸2の目標位置が時時刻刻と設定され、この目標位置を追跡するようにサーボモータ24が正逆回転制御される。この結果、クランプ軸2が目標位置に対し遅れるときは油圧ポンプ22の正転速度が増速されてクランプ軸2の図示下降前進速度が高められ、逆に目標位置を超えて前進するときは油圧ポンプ22の正転速度が減速されてクランプ軸2の下降前進速度が低下される。
【0028】
これにより、ローラ工具5による深絞り動作位置に連携してクランプ軸2のクランプ位置が制御されるため、素材Wの深絞り部はクランプ軸2により過度に押される結果としてローラ工具5による絞り速度を超えて半径方向内方へ屈曲されることから防止される。このため、この深絞り部の半径方向内方への塑性変形はローラ工具5の径方向及び軸方向への移動に正確に追従される。この深絞り工程においては、素材Wの組成が流動し、下型11のボス成形部111の外周面と下型11の大径部とボス成形部111との間の端面に密着される。
さらに、この深絞り工程においては、クランプ軸2はこの工程中に常に素材Wに対し目標クランプ力を超えて押し気味となるように、即ち素材Wの図示上端部が軸方向の下方に縮む速度よりも若干速い速度で下方に押圧されるように位置制御され、このように位置制御することにより適正なクランプ力が確保されると共にローラ工具5による深絞り固定における素材W組成の流動化が促進される。
【0029】
次に図3(E)に示されるように、スプライン溝等のしごき開始位置が前記NCコントローラ6におけるプログラム上で認識されると、クランプ軸2のクランプ制御は位置制御から力制御に切り換えられる。このため、図3(E)及び(F)に示すように、上記深絞り工程に続いて素材Wのスプライン等の歯溝部分のしごき加工工程が行われ、この工程においては、クランプ力を一定に保つための力制御が行われる。この力制御においては、前記圧力センサ4からのフィードバック信号は、前記NCコントローラ6に入力されてこのコントローラ6内に予め設定された設定圧力と比較され、設定圧力を維持するように前記モータドライバ7からサーボモータ24に出力が与えられる。
【0030】
つまり、圧力センサ4の検出圧力が設定圧力よりも低いときは油圧ポンプ22が正転されてクランプ軸2の加圧力が増強され、圧力センサ4の検出圧力が設定圧力よりも高くなると油圧ポンプ22の回転速度が減速されるか或いは逆転されてクランプ軸2の加圧力が減少される。よって、素材Wは前記設定圧力によって決められる所定のクランプ力にて主軸1とクランプ軸2との間でクランプされた状態でしごき加工が進められる。
このしごき加工工程において、ローラ工具5は回転中の素材W外周に押し付けられ、下型11の外周に形成されたスプライン等の歯溝部分の溝内へ素材Wの組成を流動させる。これにより、この歯溝部分と対応する素材Wの内面にスプライン等の歯型が成形される。
【0031】
上述した深絞り工程及びこれに続くしごき加工工程は、ローラ工具5を図3(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)の順で移動させるローラ工具5の1モーションにより行われるが、図3(B)〜(D)の深絞り工程を数回に分けて行い、その後に図3(E)及び(F)のしごき加工工程を1回又は数回行って全ての加工工程を完了するようにしてもよい。深絞り工程を数回に分けて行う場合では、工程回数の増加に連れてローラ工具5の半径方向前進位置及び軸方向の加工幅を次第に拡大するようにNCプログラムが作成される。
【0032】
本実施形態のパイプ状の段付部品の成形方法および装置は、上述したように本実施形態の上述加工を1チャックするだけで、加工できるものである。
また、本実施形態においては、1チャックによりボス出しと内歯成形ができるので、段取り替えが必要なくなり、加工時間が非常に短くなり、加工コストも低減することが出来る。
【0033】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の下型が固定されたパイプ状の段付部品の成形方法および装置の要部を示す要部断面図である。
【図2】本実施形態の下型が固定されたパイプ状の段付部品の成形方法および装置の全体を示す全体ブロック断面図である。
【図3】本実施形態における加工の各段階を説明するための説明図である。
【図4】本実施形態におけるクランプ時、加工時、最終製品切り出し時を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 主軸
2 クランプ軸
3 位置センサ
4 圧力センサ
5 ローラ工具
6 コントローラ
W 素材
11 下型
20 クランプ用油圧シリンダ
Claims (3)
- パイプ形状の素材を、該素材内に挿入される素材の内径より小さい外径の下型が固定された回転主軸とこの主軸と同軸のクランプ軸との間に挟持してクランプし、
ローラ工具を主軸の回転と共に回転する素材の外周に対して押し当てながら素材の軸方向に移動することにより加工を行うに当たり、素材の加工部位の加工に応じて加工動作中においてクランプ軸の制御モードを切り換え、
前記素材を大きく凹ませて前記下型に沿わせる絞り加工においてはクランプ軸を位置制御するが、前記素材を前記下型になじませるしごき加工においてはクランプ軸を力制御する
ことを特徴とするパイプ状の段付部品の成形方法。 - パイプ形状の素材の一端に当接されるとともに素材内に挿入される下型が固定された回転主軸と、
前記回転主軸と同軸に設けられ前記素材の他端に当接してこの素材を回転主軸との間に挟持してクランプするクランプ軸と、
前記クランプ軸を軸方向に移動してこのクランプ軸を素材に押圧する流体圧シリンダと、
この流体圧シリンダを駆動する駆動機構と、
前記クランプ軸の位置を検出する位置センサと、
前記流体圧シリンダの圧力を検出する圧力センサと、
前記主軸の回転と共に回転する素材の外周に対して押し当てながら、前記下型に押しつけて軸方向に移動することにより加工を行うローラ工具を含む工具ヘッドと、
この工具ヘッドを前記主軸の軸方向及び径方向に送る送り装置と、
この送り装置を制御する一方、前記位置センサによって検出されたクランプ軸の位置および前記圧力センサによって検出された前記流体圧シリンダの圧力に基づき、素材の加工部位に応じてクランプ軸の位置制御および力制御を行うように前記駆動機構を制御するコントローラと
から成ることを特徴とするパイプ状の段付部品の成形装置。 - 請求項2において、
前記駆動機構は、前記流体圧シリンダの両室を連通する流体路上に配置され一方の室内の圧力流体を他方の室内へ直接移動する流体ポンプと、
この流体ポンプを前記コントローラにより制御された状態で作動するサーボモータと、
から成ることを特徴とするパイプ状の段付部品の成形装置。
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