JP3991070B2 - 医療施設用水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人工透析用に用いる医療施設用水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
病院や保健所等の医療施設においては、医薬品の希釈や医療器具の洗浄、病院食の調理等に際して、医療施設用水が大量に用いられ、この医療施設用水の水質により、医療施設用水を流す配管内にスケールの堆積や、ヌメリ、赤水等を生じ設備、器具の維持管理費が左右されることからその管理や処理には多大の関心が払われている。
特に人工透析に際しては、医薬品である透析原液を人工透析用希釈液を用いて混合希釈した透析液が人工透析器内の複雑な流路を流れて供給され、この人工透析用希釈液の性状で人工透析の効率のみならず人工透析器の管理や保守の状態が左右されていた。
従来、このような医療施設用水によるトラブルが多く、障害除去のためにフィルタ処理、イオン交換膜(又は樹脂)処理、活性炭処理、薬剤添加処理等が行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の医療施設用水の処理方法は以下のような課題を有していた。
(1)フィルタを用いる処理方法は、単に医療施設用水中の有害な固形分や細菌を物理的に除くだけであるため、水分子の会合状態を変化させることはできない。このため、医療施設用水として必要なスケール付着防止効果、尿石付着防止効果、赤水抑制効果等の機能を増進させることができないという課題があった。
(2)イオン交換膜等を用いる処理方法は、これによって水中のイオン成分を除去するのみで、非イオン物質は通過するためシリカ成分等による障害要因は残る上、医療施設用水として必要な装置や配管におけるスケールの付着防止効果、赤水の抑制効果、ヌメリの付着防止効果、トイレにおける尿石付着防止効果等の機能を増進できないという課題があった。
(3)薬品を用いる処理方法は、薬品コストがかかる上に、廃液による環境汚染の問題が生じるという課題があった。
(4)特に、人工透析液は、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、ぶどう糖、炭酸ナトリウム等を調合したものであるため、透析装置内の配管チューブやバルブ等に炭酸カルシウムが析出する。炭酸カルシウムの析出によりバルブの作動不良で透析ができなくなったり、細菌が繁殖してエンドトキシン等の汚染物質が析出物に濃縮されたりするため、定期的に酢酸洗浄が必要になるという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたもので、処理前後における溶解成分を変化させることなく医療施設用水における水分子の会合状態を変化させて活性化することで人工透析機においては炭酸カルシウム等の析出を抑制して、バルブの作動不良を減少させ、汚染物質の増加を抑制して装置の安定稼動、酢酸洗浄の手間と費用を軽減することのできる医療施設用水の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有している。
請求項1に記載の医療施設用水の処理方法は、人工透析液の希釈に用いる人工透析用希釈液である医療施設用水を、珪酸塩系セラミックスの粒子からなる粒子層が形成された流動処理器に供給し、流速が1〜15cm/sの前記医療施設用水の水流により流動化された前記粒子と接触させた後、透析に必要な量を透析装置に供給し、余分な水量分をドレンとして排水するように構成されている。
この構成によって以下の作用が得られる。
(a)医療施設用水が珪酸塩系セラミックスを充填した流動処理器を通過するときの流れにより、珪酸塩系セラミックス粒子を流動させ、この時起こるセラミックス粒子同士の摩擦や衝突で発生する電磁気的エネルギーにより、水分子の会合状態を変化させることにより人工透析機においては、炭酸カルシウム等の析出を抑制することができる。
(b)接触処理の際に珪酸塩系セラミックス中の成分が医療施設用水中に溶出したり、逆に医療施設用水中の成分がセラミックス粒子に吸着されたりすることがないので、水中の溶存成分を変えることなく、水を活性化するので、以降の水処理を安定に行うことができる。
(c)珪酸塩系セラミックスの粒子が流動処理器内に流出することなく配置されているので、常時、管理された安定な流動状態のもとで医療施設用水を粒子と接触させ、水分子を必要な会合状態に維持させることができる。
(d)セラミックス粒子が流動し、摩擦や衝突を繰り返しているので、絶えず表面が洗浄され、半永久的に機器及びその配管等へのスケール堆積の抑制の効果を発揮させることができる。
(e)医療施設用水が人工透析液の希釈に用いる人工透析用希釈液であり、人工透析用希釈液を珪酸塩系セラミックスと流動状態で接触させることにより、水分子の会合状態を変化させて活性化して活性水を透析液に含ませることができる。この活性水によって、透析液中のカルシウム等が配管チューブ、バルブなどに炭酸カルシウム等のスケールとなって析出するのが抑制され、電磁バルブ等の作動不良によるトラブルが減少すると共に、酢酸洗浄の間隔を伸ばすことができ、手間と費用が軽減できる。
(f)人工透析器内の流路におけるカルシウムスケールの堆積を低減して、汚染物質(エンドトキシンなど)の濃縮を抑制することができ、人工透析における機器の衛生管理を容易にし、感染等の危険を回避することができる。
(g)人工透析用希釈液を珪酸塩系セラミックスで処理した処理水には余分な溶出成分が含まれないので、透析液の成分調整に伴う薬品成分の添加が不要であると共に、溶出成分によって透析液中の必要なイオンの効果が阻害されるようなことを防止できる。
【0006】
水分子は酸素1個に対し2個の水素が104.52度の角度で結合し、水素と酸素の電気陰性度の違いと結合角度の影響で、酸素原子側はマイナス(−)に、水素原子側はプラス(+)に電荷が偏り双極子になっている。このため、静電気力で酸素原子側に他の水分子の水素が引きつけられ、水中にはいくつかの分子が会合したクラスターと呼ばれる集団が形成されている。この会合状態により水の活性化機能が規定されるものと考えられ、装置や配管におけるスケール生成の抑制効果排水管等におけるヌメリ、スライムの生成抑制効果の有用な効果が実験により確認されている。
流動処理器は、管体の上下に粒子径より目の細かいステンレス製や合成樹脂製の網または多孔板からなる流出防止部を有し、内部で所定粒度の珪酸塩系セラミックスの粒子が十分流動できる流動部を設けて保持し、所定流量の医療施設用水を流すことにより、医療施設用水と粒子とを流動状態で接触させ、珪酸塩系セラミックスの粒子と水との界面に形成された電気二重層を相対に移動させる際のゼータ電位や、珪酸塩系セラミックス粒子の機械的衝撃に伴う圧電現象等を生じさせ、電磁気的エネルギーを医療施設用水に付与し活性化する。流動の方式としては、管体の下部から上部に向けて通水する垂直上昇流動層方式が流動状態を制御し易いことから好ましい。
流動部に収容される珪酸塩系セラミックス粒子は流動部の体積の10〜80vol%、好ましくは20〜70vol%になるように収容される。流動部の体積が20vol%より少なくなるにつれ、スケールの発生が認められる傾向があり、また70vol%を越えるにつれ、粒子間の摩擦や衝突回数が減るためと思われるがスケールが発生する傾向が認められるので好ましくない。また、10vol%より少なくなるかあるいは80vol%を越えるとこれらの傾向がさらに強まるので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスの粒子を適正に流動させるため、容器内において水の一定の流速(流過速度)が必要となる。粒子の粒径によって異なるが、この流速は1cm/sec〜15cm/secの範囲が好適に用いられる。具体的には、粒子の比重やサイズ径にもよるが、粒径が1mmの粒子の場合で2〜4cm/sec、2mm径の粒子の場合で5〜6cm/sec、3mm径の粒子の場合で8〜10cm/secとするのが適当である。
珪酸塩系セラミックスは、シリカを主成分とするセラミックスが適用できる。この珪酸塩系セラミックスには、例えば宮崎県で産出する堆積砂岩ホルンヘルスの原石を3工程で粉砕(粗砕→粗粉砕→微粉砕)して造粒機により所定の粒径に造粒した後、焼成炉において1050℃〜1400で焼成したものが好適に使用できる。この主成分となる珪素の他に、アルミニウム、鉄、カルシウム、カリウム、ナトリウム等も含まれている。このように珪酸塩系セラミックスは所定の温度で焼成されているので、モース硬度は約6〜7と石英に匹敵する硬度を有し、水中で流動させても粒子の衝突により磨耗したり、セラミックスの成分が溶出したりすることがない。
【0007】
人工透析用希釈液は、予め成分が調整された透析用原液に添加され、所定成分濃度の透析液を得るためのものであり、予めフィルタによる濾過処理、イオン交換処理、活性炭処理、逆浸透膜処理を行って成分を調整したり、不純物を除去したりしたものを用いることもできる。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の医療施設用水の処理方法において、前記珪酸塩系セラミックスが、珪素:55〜75重量%、アルミニウム:10〜25重量%、鉄:2〜15重量%、カルシウム:1〜10重量%、カリウム:2〜10重量%、ナトリウム:0.1〜1重量%、マグネシウム:0.1〜1重量%、チタン:0.1〜3重量%、ジルコニウム:0.1〜2重量%を含むセラミックスであるように構成されている。
この構成によって、請求項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)珪酸塩系セラミックスの各成分が特定範囲に限定されているので、水流によって粒子を流動化させ、この時に起こる粒子間の衝突や摩擦により発生する微弱な電磁気的エネルギーを利用して、水分子の会合状態を変えることで、水そのものを活性化させる効果を発揮させることができる。
(b)特定組成の珪酸塩系セラミックスが焼成により所定の焼結強度を有して得られるので、水中で粒子同士が衝突を繰り返しても磨耗したり、あるいは成分が溶出したりすることがなく、長期間にわたり安定して用いることができる。
(c)特定組成範囲内で各成分を変化させ珪酸塩系セラミックスの誘電率を調整することができ、粒子と水との界面に形成されるゼータ電位等を所定範囲に設定し、水の会合状態を変化させる活性化効果をさらに向上させることもできる。
【0009】
ここで、珪酸塩系セラミックスに含まれる珪素が55重量%より少なくなると、珪酸塩系セラミックスを構成することが困難になると共に、融点が高くなるために焼結性が低下して製造の際に高温の焼成処理が必要になる傾向が有るので好ましくない。逆に75重量%を超えると、誘電率等の特性を必要な範囲に維持させることが困難になる傾向が有るので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスに含まれるアルミニウムが10重量%より少なくなると、珪酸塩系セラミックスを構成することが困難になる傾向が有るので好ましくない。逆に25重量%を超えると、融点が上昇すると共に強度や誘電率等の特性を必要な範囲に維持させることが困難になる傾向が有るので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスに含まれる鉄が2重量%より少なくなると、誘電率等を必要な範囲に維持させるのが困難になる傾向が有るので好ましくない。逆に15重量%を超えると、焼結後の機械的強度等の特性が低下する要因となるので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスに含まれるカルシウムが1重量%より少なくなると、誘電率等を必要な範囲に維持させるのが困難になる傾向が有るので好ましくない。逆に10重量%を超えると、カルシウムの溶出等が生じるので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスに含まれるカリウムが2重量%より少なくなると、誘電率等を必要な範囲に維持させるのが困難になる傾向が有るので好ましくない。カリウムが10重量%を超えるとカリウムの溶出等が生じることもある上に、機械的強度等が低下するので好ましくない。
【0010】
珪酸塩系セラミックスに含まれるナトリウムが0.1重量%より少なくなると、誘電率等を必要な範囲に維持させるのが困難になる。ナトリウムが1重量%を超えると、焼成後の機械的強度等の低下要因となるので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスに含まれるマグネシウムが0.1重量%より少なくなると、誘電率等を必要な範囲に維持させるのが困難になるので好ましくない。逆に1重量%を超えると、焼成後の機械的強度等が低下する要因となり、成分の溶出を生じるので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスに含まれるチタンが0.1重量%より少なくなると、誘電率等を必要な範囲に維持させるのが困難になり、粒子を圧電体として機能させる効果が失われるので好ましくない。チタンが3重量%を超えると、焼成後の機械的強度等が低下したり、成分の溶出を生じたりする要因となるので好ましくない。
珪酸塩系セラミックスに含まれるジルコニウムが0.1重量%より少なくなると、融点が高くなるために焼結性が低下して高温での焼成が必要になるので好ましくない。逆に2重量%を超えると、錫成分が溶出する場合があるので好ましくない。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医療施設用水の処理方法において、前記珪酸塩系セラミックスの粒子の平均粒子径が0.5〜5mmであるように構成されている。
この構成によって、請求項1又は2の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)珪酸塩系セラミックスの平均粒子径がそれぞれ特定範囲に設定されているので、医療施設用水が流動状態の珪酸塩系セラミックスの粒子と接触して、衝突の際に生じる電磁気的エネルギーを効率的に利用して、水分子の会合状態を変えることができる。これによって医療施設用水が活性化され水配管や熱交換器等へのスケール堆積抑制、排水管の錆びによる赤水の抑制などの効果を発揮させることができる。
(b)流速を所定範囲内で調整し、医療施設用水の必要量に応じて、適正に活性化された医療施設用水を病院施設等透析室手術室、治療室等に供給することができ、ヌメリやスライムの発生によるトラブルが抑制される。
(c)流速を所定範囲で調整し、適正に活性化され医療施設用水を人工透析用純水製造装置に通した、純水を人工透析希釈水として用いた場合には、これらの装置におけるチューブやバルブへの炭酸カルシウム等のスケールの堆積が抑制され、バルブの作動不良トラブルが減少し、装置の長期安定運転ができる。また、スケール生成によって引き起こされるエンドトキシンなどの有害物の濃縮なども抑制できる。
【0012】
珪酸塩系セラミックスの粒子の粒平均子径が0.5mmより少なくなるにつれて、水流によって粒子が流され易くなるため、適正な流動をさせるための流速が小さくなるので、装置が大型化する。一方、平均粒子径が5mmを超えると、流動させるための流速が大きくなる上、衝突回数も減り有効に電磁気的エネルギーを水に伝達できない。また、セラミックス粒子の流動における衝突で粒子の破壊が起こり易くなるので好ましくない。
均一な流動状態を得るためには、粒子径を一定に揃えて使用することが必要である。粒子径が揃っていないと、粒径毎に分離し適切な流動状態が得られない。流動処理器に充填するセラミックス粒子の量は、処理器の大きさにもよるが、流動処理器の流動部の単位断面積当たり10〜40g/cm2の範囲が適当である。粒子の量が10g/cm2より少なくなると、粒子が分散しすぎて衝突の回数が減少し、十分なエネルギー伝達がなされない。また、粒子の量が40g/cm2を超えると圧力損失が大きくなる上、それ程活性化が促進されない。
流動部の粒子層を通過する医療施設用水の流速は、粒子の比重やサイズ径によるが、直径を約1mmに揃えた粒子の場合で、2〜5cm/sec、直径を約2mmに揃えた粒子の場合で5〜8cm/sec、直径を約3mmに揃えた粒子の場合で8〜15cm/secの範囲とすることが粒子を均一流動させる上で好ましい。この流速が下限値より遅くなると、セラミックス粒子が流動しなくなると共に、水中の不純物が粒子表面に堆積する傾向があるので好ましくない。逆に、上限値を超えると、セラミックス粒子が流動処理器の上部の粒子流出防止ネット等に張り付き流動しなくなり、圧力損失が大きくなり、粒子流出防止ネットを破損して、粒子が流出する恐れがある。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の医療施設用水の処理方法において、前記珪酸塩系セラミックスのpH6〜8の水溶液中におけるゼータ電位が−15mV〜−10mVであるように構成されている。
この構成によって、請求項1乃至のいずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)珪酸塩系セラミックスのゼータ電位が特定範囲に設定されているので、固液界面における電位を有効に利用して水分子の会合状態を効果的に変化させることができる。これによって、医療施設や医療機器におけるスケールの付着防止効果や、生理学的活性を高める等の顕著な効果を発揮させることができる。
【0014】
珪酸塩系セラミックスのゼータ電位がpH6〜8の水溶液中において−15mVより低くさせても流動電解効果を有効に向上させることができないため好ましくない。逆にゼータ電位が−10mVを超えると粒子が液中を運動することにより生じる電位差が少ないため、水分子の会合状態を変化させるのが困難となるので好ましくない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の医療施設用水の処理方法を適用する透析設備の構成図であり、図2は透析設備における透析装置の詳細構成図である。
図1において、10は実施の形態1の医療施設用水の処理方法が適用される透析設備、11は透析原液を希釈するため人工透析用希釈液(医療施設用水)が供給される流動処理器、12は流動処理器11内に配置された平均粒径が約1mm〜2.5mmのサイズに揃えられた珪酸塩系セラミックスの粒子、13は粒子12の流出を防止するために流動処理器11の上下部に取付けられ、装填された粒子12の粒子径より目の細かいステンレス製ネットあるいはパンチングメタルからなる粒子流出防止部、13aは粒子流出防止部13で形成され粒子12が通水時に流動層を形成する流動部、14は流動処理器11の粒子層を透過した人工透析用希釈水が供給される透析装置(株式会社東レ・メデカル製TR−321)である。
【0016】
図2において、20は流動処理器11で流動電解処理された人工透析用希釈水が供給される透析装置14の希釈液バルブ、21は透析原液の内のA液を供給するA液バルブ、22は透析原液の内のB液を供給するB液バルブ、23は希釈液バルブ20、A液バルブ21、B液バルブ22から供給される液をそれぞれ定量ずつ取り出して送り出すための定量ポンプ、24、25はダイヤフラム膜によって内部が2室に分割され、定量ポンプ23から供給される液を一方側の室に出し入れすると共に、他方側の室に透析処理後の透析液が導入される一対のチャンバー(定量供給装置)、26はチャンバー24、25で定量ずつ混合された透析液を人工透析を行う血液の流れに対向して透析膜を介して接触させるためのダイアライザー、27はダイアライザー26に人工透析を行う血液を定流量で供給するための血液ポンプ、28はダイアライザー26で透析処理された血液中の気泡を検出するための気泡検出器、29は透析液中の気泡を除くための脱気槽、30は定量ポンプ23を介してチャンバー24、25送り込まれる人工透析用希釈液や透析原液、透析処理後の透析液の流れを切替えるための三方電磁弁、31は液温を制御するためのヒータ、32は透析処理前の透析液と透析処理後の透析液との間でそれぞれ熱交換させ温度を安定に保持させる熱交換器、33は血液の凝固を抑制するためのヘパリンを血液中に供給するためのヘパリンポンプ、34は透析液の流量を測定するための流量計、35は血液からの除水量を一定にするためのポンプである。
【0017】
珪酸塩系セラミックスの粒子12は以下のようにして作成した。
まず、宮崎県で産出する堆積砂岩ホルンヘルスや接触変性岩等の天然鉱石を粗砕、微粉砕した後、必要に応じて界面活性剤や結合剤としてのポリビニールアルコール(PVA)等を含む水25〜30重量%を添加し、転動造粒機で直径が約2mmになるように造粒した。この造粒したものを電気炉中で1200℃前後に加熱し焼結させた。
この珪酸塩系セラミックスの粒子12についての各種特性の確認を行った。
この珪酸塩系セラミックスの粒子表面はガラス状を呈し、モース硬度は6.8とモース硬度が7の石英並みの硬度を持っていた。
粒子12の密度は2.45g/cm3、押し潰し強度は15kg/粒であった。
この粒子12が充填された流動処理器を容量が50リットルの水槽にセットし、蒸留水40リットルを循環ポンプを用いて40回循環処理した。
この循環処理された水をICP発光分光分析を用いて検査してもイオンの溶出は検出されず、また、0.1μmのメンブレンフィルターを用いて濾過し、濾紙表面を走査型電子顕微鏡で微粒子の生成がないか調査したが、微粒子の発生は検出されなかった。
前記と同一の装置で、蒸留水に塩酸や水酸化ナトリウムを添加してそのpHを4〜13の範囲で調整したものを用いて試験した結果、pH=4〜11の場合ではイオンの溶出、微粒子の生成はなかったが、pH=11〜13の場合はシリカの溶出が認められた。これにより、pHを11未満の範囲で使用するのが好ましいことが分かった。
また、このセラミックス粒子は磨耗がなく耐久性に優れていることからメンテナンスが殆ど不要であることが分かった。
なお、この焼結体の組成を蛍光X線分析を用いて確認したところ酸化物換算値で、珪素63重量%、アルミニウム17.7重量%、鉄6.7重量%、カルシウム4.5重量%、カリウム4.7重量%、ナトリウム0.4重量%、マグネシウム0.3重量%、チタン1.4重量%、ジルコニウム0.6重量%を含む珪酸塩系セラミックスであった。
【0018】
このように製造された珪酸塩系セラミックスはその結晶の構造に起因して特有の誘電性、圧電性、焦電性、摩擦電気生成等の電気的特性を有しており、本発明においては、これらの特性を用いてこの珪酸塩系セラミックスの粒子の流動状態で接触する処理液における水分子の会合状態を変化させるようにしている。
次に、珪酸塩系セラミックスの粒子についてゼータ電位を測定した。
ここでは、粒径が0.7〜1.0mmのセラミックス粒子を選別し、島津製作所製島津流動電位測定装置(ZP−20TYPE・H)を用いてゼータ電位を測定した。なお、pHの調整にはJISで規定されたpH標準液を用いた。
その結果を図3に示した。図3は、液中の水素イオン濃度指数(pH)と珪酸塩系セラミックスのゼータ電位との関係を示したグラフである。実施の形態1の珪酸塩系セラミックスによれば、pH6〜8の水溶液中において−15mV〜ー10mVのゼータ電位が得られることがわかった。
【0019】
この焼結させた珪酸塩系セラミックスの粒子120gを流動処理器11内に充填して粒子層を形成させた。
プラスチック又はステンレス製(SUS304)の筺体で形成された流動処理器11は、流動層の内径が38mm、高さが180mmである。これは粒子層の流動層に対する体積の25%であった。セラミックスの粒子12を充填した上下には、SUS304製のパンチングメタル(孔径0.8mm)からなる粒子流出防止部13が装着されている。これによって、供給される医療施設用水の水流によって流動化した粒子12を流動処理器11内の所定範囲に限定して、粒子12間の衝突や摩擦を効果的に起こさせ、水分子の会合状態を有効に変化させることができる。
この流動処理器11の下部から人工透析用希釈水(医療施設用水)を送り、その水流により粒子12を流動させ、この時に起こる粒子12間の衝突や摩擦により発生する微弱な電磁気的エネルギーを活用し、水の機能を向上させるようにしたものである.。
透析原液は、例えば扶桑食品工業製:人工腎臓用透析液・キンダリー液AF2号である。この透析原液のA液は、塩化ナトリウム:1914g、塩化カリウム:47g、塩化カルシウム:69g、塩化マグネシウム:32g、酢酸ナトリウム:155g、ブドウ糖:315gを溶かして全体を9リットルにした水溶液である。また、B液は例えば炭酸水素ナトリウム793.8gを溶解して全体を11.34リットルにした水溶液である。
【0020】
ダイアライザー26の内部は透析膜等によって仕切られ、人工透析を行う血液と透析液とが透析膜を介して互いに逆方向に流れるようになっている。透析膜として、直径50〜100μm程度の細いホローファイバー(中空繊維)で作り、膜の表面積を大きくしたものや、芳香族ポリアミドやアセチルセルロースを用いる中空繊維膜を用いるもの等が使用できる。また、機械的な圧力でつぶれない強度を有する多孔性膜の表面に薄い半透膜を形成させた複合膜等を用いることもできる。
【0021】
以上のように構成された透析設備10に適用される医療施設用水の処理方法について説明する。
まず、図1に示すように、透析装置14の希釈液バルブ20に取り付られた流動処理器11の供給口から、逆浸透膜で処理した純水(RO水:Reverse Osmosis)を人工透析用希釈液として所定流量、例えば1000mリットル/minで供給して粒子層における流速を5〜7cm/secに調整した。
これによって、珪酸塩系セラミックスの粒子層がRO水により流動状態を呈した。この流動状態における粒子12間の衝突や粒子12間及び水と粒子12間の摩擦により発生する圧電気や焦電気等により水分子の会合状態を変化させること(以下流動電解という)により、その機能を向上させることができる。
ここでは、人工透析用希釈水として逆浸透膜処理を施したRO水を用いたが、水道水等の原水を(1)約25μmや5〜10μm程度の透過孔を有するカートリッジ式膜フィルタ、(2)イオン交換処理を行う軟水器、(3)逆浸透膜処理装置の順で処理されたものを人工透析用希釈水として用いることもできる。
また、流動処理器11で処理された水量(1000mリットル/min)の内、透析に必要な量(例えば700〜900mリットル/min)が透析装置14に供給されるようにした。余分な水量分(100〜300mリットル/min)をドレンとして排水することで流動処理器11内を流動電解の最適化状態に維持させながら、透析に必要な人工透析用希釈水の水量を確保するようにした。
【0022】
このように流動処理器11で水分子の会合状態を変化させ活性化された希釈水は、図2に示すように透析装置14の希釈液バルブ20から定量ポンプ23を介して定量ずつ、チャンバー24もしくはダイヤフラム25に供給される。この定量ポンプ23は、各バルブの開閉操作をそれぞれ制御することにより希釈液バルブ20、A液バルブ21、B液バルブ22のいずれかから定量取り出しができるようになっていて、人工透析用希釈水、A液、B液を交互に取り出してチャンバー24、25のダイヤフラム膜で仕切られた透析液供給側の室に供給され、この操作によって、3液の混合撹拌がなされている。
一方、ダイヤフラム膜で仕切られた反対側の室には処理済みの透析液が戻るようになっており、チャンバー24、25のそれぞれの供給流量と排出流量とがバランスされるようになっている。また、三方電磁弁30等を切替えて操作することでチャンバー24、25を交互に入出力の方向を変えて動作させ、全体として連続的に透析液をダイアライザー26に供給することができる。
ダイアライザー26には、人工透析を行う血液が血液ポンプ27を介して定量供給され、内部の透析膜を介して透析液と接触させ、血液中の不要分が透析液中に取り込まれ、こうして血液の浄化が行われるようになっている。なお、ダイアライザー26から排出される処理済みの透析液はチャンバー24、25を経由して外部に排出される。
【0023】
ここでは、実際の血液を使用せず透析液を流すだけの条件で、(1)本実施の形態の流動処理器11を用いた場合と、(2)比較例として流動処理器11を用いない従来例とで透析設備10をそれぞれ所定時間作動させ、作動後における配管チューブや三方電磁弁30における炭酸カルシウムの椎積状態、及び三方電磁弁30に作動不良が発生するまでの日数を比較した。
この結果、三方電磁弁30が作動不良を起こすまでの連続稼動日数は、(1)流動処理器11を用いた場合で14日、(2)流動処理器を用いない場合で7日(N=4の平均)であった。以上のように、本実施の形態によれば、従来例に比べ、約2倍長く連続運転を行うことができることがわかった。
次に、配管チューブへのカルシウムスケールの堆積状態を本実施の形態の方法を適用して活性化した活性水と、活性化処理を行わないR0水を用いた比較例とで対比した。
対比方法として、透析装置14からダイアライザー26への配管チューブ(シリコンチューブ)を取り外し、外側から写真撮影を行った。図4は本実施の形態における配管チューブの通水開始時、通水後5日目、通水後10日目の写真を図示したものであり、図5は従来法における通水後10日目の写真を図示したものである。
この結果から明らかなように、本実施の形態の10日目における配管チューブ(図4)は、従来例(図5)の場合に比べて、スケールが40%程少ないことがわかる。また、本実施の形態の5日目においてもスケール付着が少なく実用上問題のないレベルであった。なお、スケールの厚みは薄すぎて実測不可能であった。
表1は(1)本実施の形態で処理された透析液と、(2)従来法で作成された透析液とにおけるそれぞれの透析液の組成及び特性を示している。
表1に示されるように、両者における成分値等の差異はごく少なく、透析液としてほぼ同一の特性を有することが分かる。
【0024】
【表1】
Figure 0003991070
【0025】
実施の形態1の医療施設用水の処理方法は以上のように構成されるので以下の優れた作用を有する。
(1)透析に用いる希釈水を流動状態の珪酸塩系セラミックスの粒子と接触させるので、この時の水分子とセラミックス粒子12あるいは粒子同士の衝突や摩擦により発生する圧電気、焦電気、摩擦電気等の作用によって、水分子の会合状態を変化させることができる。
(2)この人工透析用希釈液を用いて作成される透析液の水分子の会合状態が変化させられているので、この透析液中のカルシウム等が、配管チューブ、バルブなどに炭酸カルシウム等のスケールとなって析出するのを効果的に抑制できる。これによって、バルブの作動不良を防止し、酢酸洗浄の手間と酢酸費用を軽減できる。
(3)流動接触処理の際に珪酸塩系セラミックス中の成分が透析液中に溶出混入することがないので、成分の変化に伴う浸透圧等の変化が抑制され、以降の処理を安定的に行うことができる。
(4)透析装置14の流路におけるカルシウムスケールの堆積を低減して、汚染物質の濃縮を抑制することができ、人工透析における機器の衛生管理を容易にし、感染等の危険を回避することができる。
【0026】
(5)珪酸塩系セラミックスの粒子12が流動処理器11内に流出することなく配置されているので、常時、管理された安定な流動状態のもとで人工透析用希釈液を粒子12と接触させ、水分子を必要な会合状態に維持させることができる。
(6)珪酸塩系セラミックスの各成分が特定範囲に限定されているので、粒子12の流動時に起こる衝突や摩擦により発生する微弱な電磁気的エネルギーを利用して、水分子の会合状態を変え、水そのものを活性化させる流動電解効果を効率的に発揮させることができる。
(7)珪酸塩系セラミックスのゼータ電位が特定範囲に設定されているので、固液界面における電位を有効に利用して水分子の会合状態を効果的に変化させ、透析装置におけるスケールの付着防止効果を向上させることができる。
(8)特定組成の珪酸塩系セラミックスが焼成により所定の焼結強度を有して得られるので、水中で粒子12同士が衝突を繰り返しても磨耗したり、あるいは成分が溶出したりすることがなく、長期間にわたり安定して用いることができる。
(9)珪酸塩系セラミックスの平均粒子径と粒子層を通過する医療施設用水の流速とがそれぞれ特定範囲に設定されているので、尿石の剥離やスケールの付着防止等の効果を発揮させることができる。
【0027】
(実施の形態2)
実施の形態2の医療施設用水の処理方法を適用する医療施設は病院であって、その病院内で使用する医薬品の希釈や医療器具の洗浄、病院食の調理等に用いる医療施設用水は、珪酸塩系セラミックスの粒子層を有する流動処理器11を用いて予め処理されたものを用いた。
ここでは大型の流動処理器11を病院の用水取り込みライン(病院受水槽への導入口)に設置し、病院で使用する水全体を処理するようにした。その結果、トイレの排水管の尿石の堆積がなくなると共に、臭気がなくなった。病院食調理場においては、流しの排水溝のヌメリがなくなった。また、赤水が出なくなったなど、用水による障害が大幅に低減された。また被試験者(病院従業員や患者)から、水がおいしくなったという高い評価を受けた。
【0028】
水は、水分子同士が互いに水素結合して会合する性質を有していることから、磁気処理、電場処理などで水の機能性が変化させることができる。本発明者らはこの特性に着目して、珪酸塩系セラミックスの粒子12を流動状態で被処理水に接触させる流動処理器11を病院設備等に用いる医療施設用水の給水タンクの下流側に体積率50%で装着した。
その結果、スケールの付着が防止されるだけでなく、湯垢の付着が防止できることがわかった。具体的には、流動処理器11を浴場の排水口に取付けたところ、30日経過してもヌメリが認められなかった。一方、珪酸塩系セラミックスの粒子12による流動処理を行わなかったところ、30日経過時に湯垢によるヌメリがあった。更に、被試験者(病院従業者や患者)から食事やお茶等のカルキ臭が消え、実においしいという高い評価を得た。
【0029】
実施の形態2の医療施設用水の処理方法は以上のように構成されるので以下の優れた作用を有する。
(1)流動処理器11で医療施設用水が予め処理されているので、医療施設用水が流動状態の珪酸塩系セラミックスの粒子12と接触し衝突する際に生じる電磁気的エネルギーを効率的に利用することができる。これによって医療施設用水が活性化され、尿石の剥離効果やスケールの付着防止効果及び、生理学的効果などを発揮させることができる。
(2)特別な化学薬品や、熱エネルギーを使用することなく、簡単な処理でバルブへの炭酸カルシウム等の堆積を効果的に抑制することができる。
(3)適正に活性化された用水を使用することで、トイレ、手洗い、調理場におけるヌメリやスライム等の発生が抑制され、悪臭や細菌の増殖等が減り、これの処理のための薬品や労力が低減できる。
(4)流動接触処理の際に珪酸塩系セラミックス中の成分が医療施設用水中に溶出混入することがないので、特別な分離処理なしに以降の水処理工程を行うことができる。
(5)医療施設用水の流路におけるカルシウムスケール等の堆積を低減して、汚染物質の濃縮を抑制することができ、機器の衛生管理を容易にし、感染等の危険を回避することができる。
(6)珪酸塩系セラミックスで処理した処理水には余分な溶出成分が含まれないので、蒸留水、逆浸透膜処理水(RO水)を処理してもそれらを汚染することがなく、活性化した蒸留水、逆浸透膜処理水を得ることができ、薬品溶解等容易にすることができる。
(7)特定組成の珪酸塩系セラミックスが焼成により所定の焼結強度を有して得られるので、水中で粒子12同士が衝突を繰り返しても磨耗したり、あるいは成分が溶出したりすることがなく、長期間にわたり安定に使用できる。
【0030】
【発明の効果】
請求項1に記載の医療施設用水の処理方法によれば以下の効果が得られる。
(a)医療施設用水が珪酸塩系セラミックスを充填した流動処理器を通過するときの流れにより、珪酸塩系セラミックス粒子を流動させ、この時起こるセラミックス粒子同士の摩擦や衝突で発生する電磁気的エネルギーにより、水分子の会合状態を変化させることにより、機器及びその配管等へのスケール堆積の抑制排水管等のヌメリ、スライムの生成抑制効果を発揮させることができ、人工透析機においては、炭酸カルシウム等の析出を抑制することができる。
(b)接触処理の際に珪酸塩系セラミックス中の成分が医療施設用水中に溶出したり、逆に医療施設用水中の成分がセラミックス粒子に吸着されたりすることがないので、水中の溶存成分を変えることなく、水を活性化するので、以降の水処理を安定に行うことができる。
(c)珪酸塩系セラミックスの粒子が流動処理器内に流出することなく配置されているので、常時、管理された安定な流動状態のもとで医療施設用水を粒子と接触させ、水分子を必要な会合状態に維持させることができる。
(d)セラミックス粒子が流動し、摩擦や衝突を繰り返しているので、絶えず表面が洗浄され、半永久的に機器及びその配管等へのスケール堆積の抑制の効果を発揮させることができる。
(e)医療施設用水が人工透析液の希釈に用いる人工透析用希釈液であり、人工透析用希釈液を珪酸塩系セラミックスと流動状態で接触させることにより、水分子の会合状態を変化させて活性化して活性水を透析液に含ませることができる。この活性水によって、透析液中のカルシウム等が配管チューブ、バルブなどに炭酸カルシウム等のスケールとなって析出するのが抑制され、電磁バルブ等の作動不良によるトラブルが減少すると共に、酢酸洗浄の間隔を伸ばすことができ、手間と費用が軽減できる。
(f)人工透析器内の流路におけるカルシウムスケールの堆積を低減して、汚染物質(エンドトキシンなど)の濃縮を抑制することができ、人工透析における機器の衛生管理を容易にし、感染等の危険を回避することができる。
(g)人工透析用希釈液を珪酸塩系セラミックスで処理した処理水には余分な溶出成分が含まれないので、透析液の成分調整に伴う薬品成分の添加が不要であると共に、溶出成分によって透析液中の必要なイオンの効果が阻害されるようなことを防止できる。
【0032】
請求項に記載の医療施設用水の処理方法によれば、請求項に記載の効果に加えて、以下の効果を有する。
(a)珪酸塩系セラミックスの各成分が特定範囲に限定されているので、水流によって粒子を流動化させ、この時に起こる粒子間の衝突や摩擦により発生する微弱な電磁気的エネルギーを利用して、水分子の会合状態を変えることで、水そのものを活性化させる効果を発揮させることができる。
(b)特定組成の珪酸塩系セラミックスが焼成により所定の焼結強度を有して得られるので、水中で粒子同士が衝突を繰り返しても磨耗したり、あるいは成分が溶出したりすることがなく、長期間にわたり安定して用いることができる。
(c)特定組成範囲内で各成分を変化させ珪酸塩系セラミックスの誘電率を調整することができ、粒子と水との界面に形成されるゼータ電位等を所定範囲に設定し、水の会合状態を変化させる活性化効果をさらに向上させることもできる。
【0033】
請求項に記載の医療施設用水の処理方法によれば、請求項1又は2の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)珪酸塩系セラミックスの平均粒子径がそれぞれ特定範囲に設定されているので、医療施設用水が流動状態の珪酸塩系セラミックスの粒子と接触して、衝突の際に生じる電磁気的エネルギーを効率的に利用して、水分子の会合状態を変えることができる。医療施設用水が活性化され水配管や熱交換器等へのスケール堆積抑制などの効果を発揮させることができる。
(b)流速を所定範囲内で調整し、医療施設用水の必要量に応じて、適正に活性化された医療施設用水を病院施設等透析室手術室、治療室等に供給することができ、ヌメリやスライムの発生によるトラブルが抑制される。
(c)流速を所定範囲で調整し、適正に活性化され医療施設用水を人工透析用純水製造装置に通した、純水を人工透析希釈水として用いた場合には、これらの装置におけるチューブやバルブへの炭酸カルシウム等のスケールの堆積が抑制され、バルブの作動不良トラブルが減少し、装置の長期安定運転ができる。また、スケール生成によって引き起こされるエンドトキシンなどの有害物の濃縮なども抑制できる。
【0034】
請求項に記載の医療施設用水の処理方法によれば、請求項1乃至のいずれか1項の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)珪酸塩系セラミックスのゼータ電位が特定範囲に設定されているので、固液界面における電位を有効に利用して水分子の会合状態を効果的に変化させることができる。医療施設や医療機器におけるスケールの付着防止効果や、生理学的活性を高める等の顕著な効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の医療施設用水の処理方法を適用する透析設備の構成図
【図2】透析設備における透析装置の詳細構成図
【図3】液中の水素イオン濃度指数(pH)とゼータ電位との関係を示すグラフ
【図4】本実施の形態における配管チューブの写真図
【図5】従来例における配管チューブの写真図
【符号の説明】
10 透析設備
11 流動処理器
12 粒子
13 粒子流出防止部
13a 流動部
14 透析装置
20 希釈液バルブ
21 A液バルブ
22 B液バルブ
23 定量ポンプ
24 チャンバー
25 チャンバー
26 ダイアライザー
27 血液ポンプ
28 気泡検出器
29 脱気槽
30 三方電磁弁
31 ヒータ、
32 熱交換器
33 ヘパリンポンプ
34 流量計
35 ポンプ

Claims (4)

  1. 人工透析液の希釈に用いる人工透析用希釈液である医療施設用水を、珪酸塩系セラミックスの粒子からなる粒子層が形成された流動処理器に供給し、流速が1〜15cm/sの前記医療施設用水の水流により流動化された前記粒子と接触させた後、透析に必要な量を透析装置に供給し、余分な水量分をドレンとして排水することを特徴とする医療施設用水の処理方法。
  2. 前記珪酸塩系セラミックスが、珪素:55〜75重量%、アルミニウム:10〜25重量%、鉄:2〜15重量%、カルシウム:1〜10重量%、カリウム:2〜10重量%、ナトリウム:0.1〜1重量%、マグネシウム:0.1〜1重量%、チタン:0.1〜3重量%、ジルコニウム:0.1〜2重量%を含むセラミックスであることを特徴とする請求項に記載の医療施設用水の処理方法。
  3. 前記珪酸塩系セラミックスの粒子の平均粒子径が0.5〜5mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療施設用水の処理方法。
  4. 前記珪酸塩系セラミックスのpH6〜8の水溶液中におけるゼータ電位が−15mV〜−10mVであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の医療施設用水の処理方法。
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