JP3988890B1 - 包接体及びこれを含む食品用静菌剤 - Google Patents

包接体及びこれを含む食品用静菌剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた静菌作用を保持し、臭気が極めて少なく、溶媒に良好に溶解して低温下の保存安定性に優れた溶液を得ることができる包接体、該包接体を含む食品用静菌剤、及びこれが添加された食品を提供する。
【解決手段】 本発明の包接体は、チアミン誘導体がサイクロデキストリン類に包接された包接体であることを特徴とする。前記サイクデキストリン類は、好ましくは、未置換γ−CD、又は分岐鎖α−CD、分岐鎖β−CD及び分岐鎖γ−CDから選択された少なくとも2種からなる混合物である。前記包接体は、チアミン誘導体とサイクロデキストリン類とを溶解した溶液を噴霧乾燥して得られた包接体が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶解性に優れ、しかも臭気がきわめて低減された包接体からなる食品用静菌剤に関する。
チアミンラウリル硫酸塩は、ビタミンB1補給の栄養強化剤として各種食品に使用されているが、界面活性基を持ち、静菌作用、特に酵母に対して優れた抗菌力を有するため、日持ち向上剤としても使用されている。一方、チアミン誘導体は、水に対する溶解性は非常に小さいことが知られており(例えば25℃でチアミンのラウリル硫酸塩は約210ppm、セチル硫酸塩は約80ppm)、溶解性の改善を目的として種々の粉体及び液体製剤が提供されている。しかし、従来のチアミン誘導体含有製剤は、添加した食品の風味を損なわれ、保存安定性が低い場合や、溶解性の改善が不十分であるなどの問題があった。また、従来の製剤を、所望の静菌作用を得るために食品中に高い濃度で添加した場合、食品、特に水分の多い食品の製造工程中や流通、保管などの低温環境下では、チアミン誘導体の結晶が食品中又は表面に析出し、商品価値を下げる要因となることがあった。
特開平11−253142号公報には、低温での保存安定性を向上する目的で、チアミンラウリル硫酸塩を3重量%、マルトシルサイクロデキストリンを24重量%含む食品保存用水溶液組成物が開示されている。しかし、このような組成物は、チアミン誘導体の含有量が低く、所望の静菌作用を得るために食品保存用水溶液組成物の添加量を増やす必要が生じるため、コストの面で不利である。
また、従来のチアミン誘導体は特有の強い臭気を有しており、食品に添加して利用する際の障害となっていた。チアミン誘導体特有の臭気は、固体(粉末状)のチアミン誘導体だけでなく、チアミン誘導体を溶解した水溶液の形態でも生じることが知られており、例えば上記特許文献に開示されている水溶液組成物についても低臭化は不十分であった。これまでチアミン誘導体を低臭化する方法が種々検討されているが、食品の風味を損なわないためにより一層の低臭化されたチアミン誘導体の提供が望まれている。一方、これらの臭気の原因となる具体的な物質は明らかになっていない。
特開平11−253142号公報
本発明の目的は、優れた静菌作用を保持し、臭気が極めて少なく、溶媒に良好に溶解して低温下の保存安定性に優れた溶液を得ることができる包接体、及び該包接体を含む食品用静菌剤提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、チアミン誘導体をサイクロデキストリン類で包接することにより、所望の静菌作用を保持しつつ、臭気を非常に低く抑制することができるため、食品の風味を損なうことなく日持ち向上効果を付与することができ、しかも溶解性にきわめて優れるため、水分の多い食品に均一に添加でき、低温環境下で析出等することがなく、安定に保存することができる。
すなわち、本発明は、チアミン誘導体がサイクロデキストリン類に包接された包接体であって、前記チアミン誘導体とサイクロデキストリン類との構成割合が重量比で、チアミン誘導体/サイクロデキストリン類=1/5〜10/1である固体の包接体を提供する。前記サイクデキストリン誘導体には、例えば未置換α−CD、未置換β−CD、未置換γ−CD、分岐鎖α−CD、分岐鎖β−CD及び分岐鎖γ−CDから選択された少なくとも2種からなる混合物である等が含まれる。本発明の包接体は、チアミン誘導体とサイクロデキストリン類とを溶解した溶液を噴霧乾燥して得られるものであってもよい。
また、本発明は、上記本発明の固体の包接体を有効成分として含む固体製剤である食品用静菌剤を提供する本発明の食品用静菌剤は食品用日持ち向上剤に用いることができる。
本願明細書中、サイクロデキストリンを「CD」と称し、また、サイクロデキストリン類を、単に「CD類」と称する場合がある。
本発明の包接体によれば、所望の静菌作用を保持しつつ、臭気を非常に低く抑制することができるため、食品に添加した場合にも風味を損なうことなく日持ち向上効果を付与することができる。また、チアミン誘導体の溶解性を著しく向上できるため、水分の多い食品に対しても均一に添加でき、特に低温下で析出しにくいため安定に保存することができる。このような包接体は、ビタミンB1としての栄養補助機能に、優れた静菌作用を付加することができるため、安全性に優れた食品用静菌剤として利用できる。本発明の食品用静菌剤は、種々の微生物に対し非常に優れた抗菌力を示すことができるため、食品製造器具や手指の殺菌などに利用できる。また、pHの変動が少なく、特に水分の多い食品に添加しても臭気が生じにくいため、広範な食品に添加可能な食品の日持ち向上剤として有用である。
さらに、本発明によれば、臭気の原因物質の含有量を指標として、チアミン含有組成物の臭気特性を客観的且つ簡便に判断することができる。この評価方法によれば、食品添加用途として有利な低臭化されたチアミン含有組成物の選別を効率よくしかも正確に行うことができる。
本発明におけるチアミン誘導体としては、例えば、チアミン、及びチアミンの食品添加可能な塩(例えばビタミンB1類として添加物に指定される物質)、並びにこれらの誘導体等から適宜選択して用いることができる。チアミン誘導体には、例えばチアミンアルキル硫酸塩(チアミンラウリル硫酸塩、チアミンセチル硫酸塩等)、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩等のチアミンの塩;プロスチルチアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、アリチアミン、チアミンジスルフィド、O−ベンゾイルチアミンジスルフィド、チアミンモノホスフェートジスルフィド、O,S−ジベンゾイルチアミン、S−ベンゾイルチアミン、ベンホチアミン、ジセチアミン、ジクロカルボチアミン、及びこれらの塩等が含まれる。これらのチアミン誘導体は単独で又は2種以上組み合わせて用いることが可能である。
なかでも、静菌作用に優れる点で、チアミンラウリル硫酸塩、チアミンセチル硫酸塩などのチアミンアルキル硫酸塩が好ましく用いられる。これらは、反応系中で生成したものであってもよく、別途慣用の方法で生成されたものでもよく、また市販品を用いることもできる。
サイクロデキストリン(CD)は、グルコースがα−1,4結合により環状に結合したオリゴ糖であって、グルコースが6つ結合したα−CD、7つ結合したβ−CD、8つ結合したγ−CDが知られている。本発明に用いるサイクロデキストリン類には、上記サイクロデキストリン(未置換CD)の他に、CDが有する水素原子又は水酸基に種々の置換基が導入されたCD誘導体が含まれる。CD誘導体としては、例えばマルトシル等のグリコシル基が導入されたグリコシルCDなどの分岐鎖CD;メチル、エチル等のアルキル基が導入されたアルキルCD、アセチル基等のアシル基が導入されたアシルCD、ヒドロキシエチル基等のヒドロキシアルキル基が導入されたヒドロキシアルキルCD等などの化学修飾CDを利用できる。これらのサイクロデキストリン類は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なかでも、臭気の低減効果に優れ、しかも静菌作用が損なわれにくい点で、未置換γ−CD、又は未置換α−CD、未置換β−CD、未置換γ−CD、分岐鎖α−CD、分岐鎖β−CD及び分岐鎖γ−CDから選択された少なくとも2種からなるCD混合物等が好ましく用いられる。
CD混合物としては、2種以上の未置換CDの組み合わせ、2種以上のCD誘導体の組み合わせ、未置換CDとCD誘導体の組み合わせ、CD骨格(α,β,γ−CD)のみ異なる分子の組み合わせ、CD骨格が同じで置換基のみ異なる分子の組み合わせ、さらにこれらの組み合わせ等が挙げられる。好ましいCD混合物として、未置換α−CDとα−CD誘導体、未置換β−CDとβ−CD誘導体、未置換γ−CDとγ−CD誘導体などの未置換CDとCD誘導体の組み合わせ;未置換α−CDと未置換β−CD、未置換β−CDと未置換γ−CD、未置換γ−CDと未置換α−CD、未置換α−CDと未置換β−CDと未置換γ−CDなどのCD骨格のみ異なる分子の組み合わせ;及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
このようなCD類は、塩水港精糖(株)製の商品名「γ−100」(γ−CD98%以上)、同社製の商品名「イソエリート−P」(全CD重量80%以上、このうち未置換CD(α、β、γの7:2:1混合物)30%以上、マルトシルCD(α、β、γの7:2:1混合物)50%以上)等の市販品を入手可能である。
本発明の包接体は、チアミン誘導体とCD類との構成割合が重量比でチアミン誘導体/サイクロデキストリン類=1/5〜10/1である固体の包接体である。前記比率が10/1を超える場合には、溶解性が低下し、水分の多い食品等へ均一に添加しにくく、低温下での保存安定性に劣る傾向にあり、1/7未満では、チアミン誘導体による静菌作用(抗菌力)が損なわれ、臭気の低減効果が食品の日持ち向上効果を得にくくなる。チアミン誘導体とCD誘導体との構成割合(重量比)は、好ましくは1/5〜5/1、より好ましくは1/3〜3/1程度であり、特に1/1付近で用いられる場合が多い。
本発明における静菌作用とは、微生物の発育を阻害、抑制又は低下させる作用を意味しており、微生物の種類に応じている。このような微生物としては、例えば、枯草菌(納豆菌)[Bacillus subtilis等のバチルス(Baccilus)属など]、大腸菌(Escherichia coli等)、乳酸菌(Streptococcus lactis等)、酵母(Hansenula anomala等)、連鎖球菌[Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)ストレプトコッカス(Streptococcus)属等]、粘菌類などが挙げられる。
静菌作用の評価は、微生物に対する静菌性を評価する方法として公知の方法を用いて行うことができ、例えば、日本化学療法学会MIC測定法に基づき最小発育阻止濃度(MIC)を測定する方法を用いることができる。微生物の生育に用いる培地には、例えば標準寒天培地(pH6.5)等を使用できる。上記評価方法によれば、本発明の包接体は、チアミンラウリル誘導体換算の濃度で、従来のチアミン誘導体(特に、食品添加用途のもの)と同程度かそれ以下の数値を示す。このため、臭気の発生を抑制する効果を発揮すると同時に、チアミン誘導体が本来有する静菌作用を損ないにくいという利点がある。サイクロデキストリンの構造を適宜選択することにより、静菌作用の低下を効率よく回避することができる。
包接体の製造は、公知の方法を利用して行うことができる。包接体の製造方法には、例えば、固体(粉末等)のチアミン誘導体と固体のCD類とを混合する方法、チアミン誘導体とCD類とを溶媒に溶解した混合液を乾燥する方法等を用いることができる。なかでも、包接効率に優れる点で、後者の方法が好ましく用いられる。後者の方法に用いる溶媒としては、乾燥方法、製造効率等に応じて適宜選択でき、例えば水(温水)、アルコール、その他の有機溶媒等が利用でき、これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。乾燥処理としては、自然乾燥であってもよく、噴霧乾燥、流動槽乾燥、転動槽造粒、凍結乾燥、真空乾燥等の適宜な乾燥手段を用いてもよい。例えば、チアミン誘導体と固体とをアルコール含有水溶液(アルコール濃度が10〜60容量%程度)に溶解した混合液は、自然乾燥により固体の包接体を得ることも可能であるが、より大量に効率よく固体の包接体が得られる点で、適宜な乾燥手段を用いることが好ましく、この場合は溶媒として水を使用できる。
本発明の包接体には、チアミン誘導体とサイクロデキストリン類とを溶解した混合液を噴霧乾燥して得られる包接体が好ましく用いられる。チアミン誘導体とサイクロデキストリンとを溶解する溶媒としては、上記に例示のものから適宜選択して用いることができるが、溶剤臭の付着を避けるため、水(40〜80℃、特に50〜70℃程度の温水)が好適である。混合液の調製方法としては、特に限定されないが、固体のチアミン誘導体と固体のチアミン誘導体を共に溶媒中に溶解した混合液を乾燥する方法、固体のチアミン誘導体を溶媒に溶解したチアミン溶液に固体のCD類を溶解した混合液を乾燥する方法、固体のCD類を溶媒に溶解したCD溶液に固体のチアミン誘導体を溶解した混合液を乾燥する方法、前記チアミン溶液と前記CD溶液とを混合した混合液を乾燥する方法等から適宜選択できる。
チアミン誘導体は、上述したように特有の強い臭気を有することが知られている。これまで本発明者らは、チアミン誘導体の製造条件(原料、反応条件、精製条件等)の検討を重ねた結果、原料の選択や精製条件等を最適化によってチアミン誘導体の低臭化に一定の成果を得ている。これまで、チアミン誘導体の臭気が食品の風味に与える影響は極めて大きいことが知られているが、臭気の原因となる具体的な物質は知られていない。
このような背景において、本発明者らは、チアミン誘導体の臭気の原因物質を特定し、これらの臭気物質の含有量を指標として、チアミン誘導体が発生する臭気の程度を客観的に判断する評価しうることを見出した。以下に詳述する。
まず、チアミン誘導体が製造される工程中で熱分解を受けて副生される物質(熱分解副生物)を臭気の原因物質と仮定した。前記チアミン誘導体の熱分解副生物には、チアミン誘導体又はその原料(チアミン塩酸塩等)の一部の構造が切断(分解)された化合物、及びそれらが他の成分(溶媒や添加剤等)と反応した反応生成物が含まれる。なかでも、臭気の閾値がppb若しくはpptと極めて低い以下の6種類の化合物をチアミン特有の臭気の原因物質と推定した。
Figure 0003988890
一方、チアミン特有の臭気が比較的強いチアミン含有組成物の市販品をサンプルに用いて、改良したGC分析により臭気成分を官能で確認しながらチアミン特有の臭気がする保持時間RTを確認した。この分析には、通常のガスクロマトグラフィーを改良し、先(検出器の後)にスニッフィングポート(SP:分離された臭気成分を官能で確認できる排気口)を取り付けて、各保持時間(RT)における臭気を確認し、各分離成分の強度・質をクロマトグラムに反映させる装置を用いたガスクロマトグラフィー分析を用いた。以下、「におい嗅ぎGC分析」と称する。具体的には、サンプル(比較例2に用いたチアミンラウリル硫酸塩等)30mgを300mlの純水に添加し、60℃で減圧水蒸気蒸留した後、留出液をエチルエーテルで抽出し、エチルエーテル層に濃縮処理を施して得た処理物を用いて行った。
(におい嗅ぎGC分析条件)
装置:ヒューレッドパッカード社製、商品名「HP5890A」
検出器:TCD(FID)、検出器温度:260℃
カラム:DB−5(0.53×30m 1μm)及びDB−WAX(0.53×30m 1μm)
カラム温度:60℃(5min)→(10℃/min)→260℃[DB−WAXの場合は230℃]
キャリアガス:He 60kPa
試料注入量:2μL、注入口温度:260℃
その結果、チアミン特有の臭気がする保持時間RT6.18と14.48の2箇所が確認された。以下、RT6.18に検出される成分を「臭気成分A」、RT14.48に検出される成分を「臭気成分B」と称する。
次いで、GC−MS分析を用いて上記臭気成分を同定した。具体的には、サンプル(比較例2に用いたチアミンラウリル硫酸塩等)30mgを300mlの純水に添加し、60℃で減圧水蒸気蒸留した後、留出液をエチルエーテルで抽出し、エチルエーテル層に濃縮処理を施して得た処理物を用いて以下の条件でGC−MS分析を行った。その結果を図1(イ)〜(ハ)に示す。
(GC−MSの分析条件)
装置:サーモエレクトロン社製、商品名「ポラリスQ」
検出器:電子イオン化法(EI法)、検出器温度:240℃
カラム:DB−5ms(0.32×30m 0.25μm)及びDB−WAX(0.32×30m 0.25μm)
カラム温度:60℃(5min)→(10℃/min)→260℃ [DB−WAXの場合は230℃]
キャリアガス:He 100kPa
試料注入量:2μL、注入口温度:260℃
図1(イ)は、チアミン含有組成物のトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示している。図1(イ)は、GCでイオン化された各物質のクロマトグラムであり、各イオンの強度・面積は定量に用いることができる。すなわち、TICはガスクロマトグラムに対応し、横軸はスキャン回数であると同時にGCの保持時間にも相当することを利用したものである。さらに、臭気の原因と推定される化合物の基本骨格に相当する式(ii)で表される化合物、及びその2量体に相当する式(iii)で表される化合物を臭気成分と予想し、前者の分子量114及び後者の分子量226からイオンクロマトグラムを確認した。
図1(ロ)は、(イ)のTICにおけるm/z114のイオンクロマトグラムであり、質量分析計で分子量114の分子量関連イオンが検出された部位をRTと関連づけたクロマトグラムを示している。図1(ロ)のクロマトグラムには、前記におい嗅ぎGC分析で検出された臭気成分AのRT6.18に対応するピークが検出されている。この結果より、臭気成分Aを構成する化合物は、前記式(ii)で表される化合物、及び該化合物を基本骨格に有する前記式(v)又は(vi)で表される化合物のいずれかであることが示唆される。
図1(ハ)は、(イ)のTICにおけるm/z226のイオンクロマトグラムであり、質量分析計で分子量226の分子量関連イオンが検出された部位をRTと関連づけたクロマトグラムを示している。図1(ハ)のクロマトグラムには、前記臭気成分BのRT14.48に対応するピークが検出されている。この結果より、臭気成分Bを構成する化合物は、前記式(iii)で表される化合物であることが示唆される。
さらに、図1(イ)のTICより、前記臭気成分Aに対応するRT6.18と前記臭気成分Bに対応するRT14.48の各マススペクトルを抽出した。図2(イ)は、図1(ロ)におけるRT6.18のマススペクトルであり、図2(ロ)は、図1(ハ)におけるRT14.48のマススペクトルである。図2(イ)及び(ロ)のマススペクトルを確認し、分子量関連イオン(中性分子Mについて、電子が一個失われたM+、電子1個が付加したM-、プロトンが付加した[M+H]+、ハライドが失われた[M−H]-、Na等のアルカリ金属が付加した[M+Na]+等)から分子構造を推定した。その結果、臭気成分Aが式(vi)で表される化合物である2-methyl-3-furanthioformate、臭気成分Bを式(iii)で表される化合物であるbis(2-methyl-3-furanyl)disulfideと同定した。
最終的に同定した物質と同じ標準試薬を入手し、においの確認及びガスクロマトグラフィー、質量分析装置で同じRTに同じスペクトルが出ることを確認した。さらにTICにより定量を行った。
本発明のチアミン含有組成物の臭気の評価方法は、チアミン含有組成物中の2-methyl-3-furanthioformateの含有量及び/又はbis(2-methyl-3-furanyl)disulfideの含有量を指標として臭気の程度を判断することを特徴とする。すなわち、チアミン特有の臭気の程度を評価する指標として、2-methyl-3-furanthioformateの含有量単独、bis(2-methyl-3-furanyl)disulfideの含有量単独、及び2-methyl-3-furanthioformateの含有量とbis(2-methyl-3-furanyl)disulfideの含有量の組み合わせのいずれを用いることもできる。本発明においては、チアミン特有の臭気との関連がより高い点で、少なくとも2-methyl-3-furanthioformateの含有量を指標に用いることが好ましい。
本発明における臭気成分の定量方法としては、特に限定されないが、例えば、チアミン含有組成物のガスクロマトグラムにおいて、RT6.18のピーク面積から2-methyl-3-furanthioformateの含有量を換算し、RT14.48のピーク面積からbis(2-methyl-3-furanyl)disulfideの含有量を換算する方法を用いることができる。換算には、対応する標準試薬を用いた。
チアミン含有組成物としては、少なくともチアミンを含み、所望の静菌作用が得られるものであれば特に限定されず、例えば上記に例示のチアミン誘導体を有効成分として含む組成物等が挙げられる。前記チアミン含有組成物には、上記本発明の食品用静菌剤が含まれる他、包接されていないチアミン誘導体を含む組成物も含まれる。
低臭化されたチアミン含有組成物の具体例としては、2-methyl-3-furanthioformateの含有量が0.1ng/g以下及び/又はbis(2-methyl-3-furanyl)disulfideの含有量が0.6ng/g以下であるチアミン含有組成物等が挙げられる。同組成物中の2-methyl-3-furanthioformateの含有量が例えば1.1ng/g以下(0〜1.1ng/g)、好ましくは0.5ng/g以下、より好ましくは0.1ng/g以下である。また、低臭化されたチアミン含有組成物は、同組成物中の2-methyl-3-furanthioformateの含有量が、例えば0.7ng/g以下(0〜0.7ng/g)、好ましくは0.6ng/g以下である。特に、2-methyl-3-furanthioformateの含有量が0.5ng/g以下、且つ2-methyl-3-furanthioformateの含有量が0.6ng/g以下である場合には、官能試験による臭気の評価と良好な相関を示し、臭いが極めて低減されており、食品に添加又は接触させて用いた場合にも、食品の風味が損なわれにくく、臭気による品質誤認などの問題がない点で好ましい。
また、本発明においては、上述したにおい嗅ぎGC分析で確認された臭気成分A及び臭気成分Bに対応するピーク面積に基づき、チアミン含有組成物の臭気を評価することもできる。このようなチアミン含有組成物の臭気の評価方法として、以下に、前記臭気成分Aを指標として2以上のサンプルの臭気を比較、評価する方法を例示する。このような評価方法としては、例えば、(i)ガスクロマトグラムにおけるRT6.18のピーク面積を比較する方法、(ii)GC−MS分析を用い、トータルイオンクロマトグラムにおけるRT6.18のピーク面積を比較する方法、(iii)GC−MS分析を用い、m/z114のイオンクロマトグラムにおけるRT6.18のピーク面積を比較する方法等が挙げられる。また、前記臭気成分Bを指標とする場合には、RT14.48のピーク面積について、また、m/z226のイオンクロマトグラム上記と同様の方法を適用して評価することができる。
本発明のチアミン含有組成物の臭気の評価方法によれば、特定の物質の含有量を定量するため、同組成物の臭気特性を明確に、客観的且つ簡便に評価することができる。このため、食品添加用途として有利な低臭化されたチアミン含有組成物の選別を確実に効率よく行うことが可能な評価方法として極めて有用である。また、ガスクロマトグラムの特定のピーク面積を対比することより、複数のサンプルの臭気を簡便且つ客観的に比較することも可能である。
本発明の食品用静菌剤は、上記構成の包接体を有効成分として含んでいる。剤型は特に限定されず、固体製剤(粉末状、粒状、タブレット等の成形体等)、液体製剤(水、アルコール、含水アルコール等の溶媒に溶解した液剤)のいずれであってもよい。食品用静菌剤中の包接体の含有量は、高いほど静菌作用を効率よく付与でき、製剤の使用量を抑制できる点で好ましく、製剤の形態に応じて適宜選択できる。固体製剤の場合には包接体のみで構成することもできるが、包接体の含有量はチアミン誘導体換算濃度で例えば2〜100重量%、通常10重量%以上(10〜100重量%)である。また、液体製剤の場合は、溶媒に応じて包接体の溶解性に対応した量を用いることができ、例えば溶媒が水の場合には20℃におけるチアミン誘導体換算濃度で50〜350重量ppm、好ましくは150〜250重量ppm程度である。本発明の食品用静菌剤によれば、チアミン誘導体単独より溶解性に優れる包接体で構成されるため、チアミン誘導体換算濃度の高い液体製剤を提供することができる点で有利である。
本発明の食品用静菌剤は、低臭化の効果を損なわない範囲で、包接体以外に包接されていないチアミン誘導体を少量[例えばチアミン換算で全体の10重量%以下、好ましくは5重量%以下(特に0〜5重量%程度)]含んでいてもよく、さらに単独を食品への添加が許容されている公知の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルのような乳化剤、消泡剤等を用いることができる。本発明の食品用静菌剤は、水やその他の溶媒に対する溶解性に優れるため、特に水分の多い食品等へ添加した場合にも均一に溶解することができ、しかも添加後は、製造時や保管時などの低温環境下において食品の表面に析出することにより品質誤認が生じるなどの問題がなく、安心して利用できる。
本発明の食品用静菌剤は、飲食物や調理器具などの殺菌、静菌に幅広く利用することができる。特に、本発明の食品用静菌剤は、臭気の発生がないか極めて抑制され、食品の風味を損なうことがなく、水分の多い食品にも均一に溶解でき、しかも静菌性に優れるため、食品用日持ち向上剤として極めて有用である。
本発明の食品用静菌剤は、好ましくは食品用日持ち向上剤として食品に添加して用いられる。食品に対する食品用日持ち向上剤(食品用静菌剤)の添加量は、食品用日持ち向上剤を構成する包接体の種類、食品の種類、所望の静菌効果等に応じて適宜選択できるが、チアミン誘導体換算で例えば50〜10000重量ppm、好ましくは100〜5000重量ppm程度である。
食品用日持向上剤を添加する食品としては、サラダ・玉子焼き・フライ食品・和え物・鶏から揚げ・煮物などの惣菜類、ハム・ソーセージ等の畜肉練り製品、和菓子、洋菓子、生麺、茹で麺などの麺類、ソース・醤油などの調味料類、スープ類等が挙げられる。食品用日持向上剤は、例えば食品に直接接触させることにより添加することができ、加工食品に対しては、製造工程中又は製造後のいずれの食品に接触させてもよい。添加方法としては、例えば固体(粉末等)の食品用日持ち向上剤を食品に添加する方法、固体の食品用日持ち向上剤を溶媒に溶解した食品用日持ち向上剤溶液又は食品用日持ち向上剤の液体製剤からなる処理液に食品を接触させる方法等が挙げられる。
後者の方法には、例えば、前記処理液を食品に噴霧する方法、前記接触液に食品を浸漬する方法等が含まれ、必要に応じて加熱下で行ってもよい。食品に添加する食品用日持向上剤の温度(処理液への接触温度を含む)及び添加(接触)時間は、食品の品質を損なわない範囲であれば特に限定されず、食品の種類や包接体の種類等に応じて適宜選択でき、例えば温度は0〜100℃、時間は10分〜1ヶ月程度から適宜設定できる。なお、150℃を超える長時間の加熱、低pH域(特に塩酸や硫酸イオン存在下)での加熱はチアミン誘導体のチアミンや界面活性基の分解が促進され、抗菌力が消失する可能性があるため好ましくない。
こうして得られる食品は、チアミン誘導体に起因する臭気がないか極めて抑制されており、食品本来の風味を保持しつつ、日持ちを向上することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
参考例
後述する比較例1及び2に用いたチアミンラウリル硫酸塩各10mgをそれぞれ300mlの純水に添加し、60℃で減圧水蒸気蒸留した。留出液をエチルエーテルで抽出し、エチルエーテル層を濃縮後、下記の条件下でGC−MS分析を行った。これらの結果を図1〜図3に示す。
図1(イ)は、比較例2に用いたチアミンラウリル硫酸のトータルイオンクロマトグラムであり、(ロ)はm/z114のイオンクロマトグラム、(ハ)はm/z226のイオンクロマトグラムである。図2(イ)は、図1(イ)のクロマトグラムにおけるRT6.18のマススペクトル、(ロ)は、同RT14.48のマススペクトルである。これらの結果より、RT6.18に検出される臭気成分Aを2-methyl-3-furanthioformate、RT14.48に検出される臭気成分Bをbis(2-methyl-3-furyl) disulfide
と同定した。
図3(イ)は、比較例1に用いたチアミンラウリル硫酸のトータルイオンクロマトグラムであり、(ロ)はm/z114のイオンクロマトグラム、(ハ)はm/z226のイオンクロマトグラムである。これらの結果より、比較例1と2に用いたチアミンラウリル硫酸塩の臭気を比較することが可能である。例えば、m/z114のイオンクロマトグラムについて、図2(ロ)におけるRT6.18のピーク面積と、図1(ロ)におけるRT6.18のピーク面積とを比較することにより、比較例1は比較例2より低臭なチアミンラウリル硫酸塩であると評価することができる。この結果は、後述する臭気の官能試験における結果と良好な相関を示すものである。
比較例1
チアミンラウリル硫酸塩(純度99%:商品名「バイタミンSK」、(株)シンコー・サイエンスー・コーポレーション製、以下、「チアミンI」と称する)を食品用静菌剤として用いた。
比較例2
チアミンラウリル硫酸塩(純度99%:商品名「ビタゲンAS5号」、田辺製薬(株)製、以下、「チアミンII」と称する)を食品用静菌剤として用いた。
実施例1
比較例1に用いたチアミンラウリル硫酸塩(チアミンI)600gとサイクロデキストリン・マルトシルサイクロデキストリン混合物(商品名「イソエリートP」、塩水港精糖(株)製;総CD含量80%以上、このうち(全CD重量80%以上、このうち未置換CD(α、β、γの7:2:1混合物)30%以上、マルトシルCD(α、β、γの7:2:1混合物)50%以上)600gをお湯(約60℃)5リットルに添加し、ホモミキサーを用いて強攪拌により乳化処理した後、噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、商品名「L−12型」)を行い、チアミンラウリル硫酸塩(チアミンI)のCD包接体(包接体X)を得、これを食品用静菌剤として用いた。
実施例2
実施例1において、CD・マルトシルCD混合物の代わりに、γ−CD(γ−CD99%以上含有:商品名「γ−100」、塩水港精糖(株)製)600gを用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、チアミンラウリル硫酸塩(チアミンI)のCD包接体(包接体Y)を得、これを食品用静菌剤として用いた。
実施例3
実施例の食品用静菌剤各20mg及び比較例の食品用静菌剤各10mgをそれぞれ300mlの純水に添加し、60℃で減圧水蒸気蒸留した。留出液をエチルエーテルで抽出し、エチルエーテル層を濃縮後、下記の条件下でGC及びGC−MS分析を行い、チアミン誘導体特有の臭気である2-methyl-3-furanthioformateとbis(2-methyl-3-furyl) disulfideの含有量を定量した。なお、チアミン誘導体特有の臭気以外に、油脂様の臭いの原因となるドデカノールも同時に検出された。その結果を表1に示す。
表1に示されるように、比較例1のチアミン誘導体を包接した実施例1及び実施例2は、いずれも2-methyl-3-furanthioformateは検出限界以下であり、比較例1より低臭化されていた。また、実施例1は、bis(2-methyl-3-furyl) disulfideの含有量が実施例2より極めて低く、より高度に低臭化されていた。なお、比較例1(チアミンI)は、2-methyl-3-furanthioformate、及びbis(2-methyl-3-furyl) disulfideのいずれの含有量も比較例2(チアミンII)より低いことから、チアミン誘導体自体の臭気に関しては、チアミンIはチアミンIIより一層低臭化されていた。上記の評価結果は、後述する臭気の官能試験による結果(表4)と良好な相関を示していた。
(GCの分析条件)
装置:ヒューレッドパッカード社製、商品名「HP5890A」
検出器:TCD(FID)、検出器温度:260℃
カラム:DB−5(0.53×30m、1μm)
カラム温度:60℃(5min)→(10℃/min)→260℃
キャリアガス:He 60kPa
試料注入量:2μL、注入口温度:260℃
(GC−MSの分析条件)
装置:サーモエレクトロン社製、商品名「ポラリスQ」
検出器:電子イオン化法(EI法)、検出器温度:240℃
カラム:DB−5ms(0.32×30m、0.25μm)
カラム温度:60℃(5min)→(10℃/min)→260℃
キャリアガス:He 100kPa
試料注入量:2μL、注入口温度:260℃
Figure 0003988890
(評価方法)
静菌作用
実施例、比較例及び参考例で得た食品用静菌剤について、日本化学療法学会MIC測定法に基づき最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。培地には、標準寒天培地(pH6.5)を使用した。これらの結果を表2に示す。表2中の値は、各食品用静菌剤におけるチアミンラウリル誘導体換算の濃度[μg/ml(ppm)]を示している。チアミン誘導体を包接した包接体を用いた実施例1は、チアミン誘導体を包接していない比較例1と同程度の静菌作用を発揮でき、実施例2は特に酵母に対して比較例1より優れた静菌効果が発揮されていた。
Figure 0003988890
溶解性
実施例1、実施例2、比較例1で得た食品用静菌剤について、各サンプルが過飽和となる量(溶解後の濃度が400重量ppm程度)を用いて、4℃又は20℃の水100mlに撹拌しながら添加した後、24時間撹拌を続けた。得られた分散液をペーパーフィルターで濾過することにより不溶分を除去し、0.1N塩酸を加えて熱還流することにより加水分解・中和後、メスアップしてサンプルとした。外部標準としてチアミン塩酸塩の検量線を用いて下記条件下でHPLC分析を行い、チアミンラウリル硫酸塩換算濃度に算出した。これらの結果を表3に示す。
(HPLCの分析条件)
カラム:STR ODS−II(4.6mmφ×150mm)
検出器:フォトダイオードアレイ[(株)島津製作所製、商品名「SPD−M10AVP
移動層:1.0mMオクタンスルホン酸ナトリウムを含む100mMリン酸バッファー(pH2.1):アセトニトリル=9:1
カラム温度:40℃
流量:0.8mL/min
試料注入量:10μL
検出波長:λ210nm〜270nm(254nm)
表3中、20℃温度下の溶解性については、チアミン誘導体単独を水に溶解した比較例1に比較して、実施例1及び実施例2共に1.5倍程度向上することができ、特に4℃下の溶解性ではそれぞれ1.65倍、1.76倍とより高い上昇率を示している。チアミン誘導体を包接した包接体により、溶解性を有意に向上でき、特に低温安定性の改善に優れた効果を得ることができた。
Figure 0003988890
臭気の官能試験
実施例及び比較例の食品用静菌剤を温度40℃の水に溶解して、チアミンラウリル硫酸塩換算濃度が200g/ml(200ppm)のチアミン水溶液100mlを調製した。得られたチアミン水溶液の臭いをそれぞれ10人のパネルに嗅がせ、チアミン特有の強い臭気を感じた場合を「1」、チアミン特有の臭気を感じた場合を「2」、弱い臭気を感じた場合を「3」、同臭気をほとんど又は全く感じなかった場合を「4」との基準で各点数を付与し、合計点を比較した。得られた結果を表4に示す。これらの結果より、臭気が少ないと評価された順番は、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2であって、実施例3における臭気の評価結果と良好な相関を示していた。
Figure 0003988890
(イ)は、比較例2に用いたチアミンラウリル硫酸塩のトータルイオンクロマトグラムであり、(ロ)はm/z114のイオンクロマトグラム、(ハ)はm/z226のイオンクロマトグラムである。 (イ)は、図1(イ)のクロマトグラムにおけるRT6.18のマススペクトル、(ロ)は、同RT14.48のマススペクトルである。 (イ)は、比較例1に用いたチアミンラウリル硫酸塩のトータルイオンクロマトグラムであり、(ロ)はm/z114のイオンクロマトグラム、(ハ)はm/z226のイオンクロマトグラムである。

Claims (5)

  1. チアミン誘導体がサイクロデキストリン類に包接された包接体であって、前記チアミン誘導体とサイクロデキストリン類との構成割合が重量比でチアミン誘導体/サイクロデキストリン類=1/5〜10/1である固体の包接体
  2. サイクロデキストリン(CD)類が、未置換γ−CD、又は未置換α−CD、未置換β−CD、未置換γ−CD、分岐鎖α−CD、分岐鎖β−CD及び分岐鎖γ−CDから選択された少なくとも2種からなる混合物である請求項1記載の固体の包接体。
  3. チアミン誘導体とサイクロデキストリン類とを溶解した溶液を噴霧乾燥して得られる請求項1又は2記載の固体の包接体。
  4. 請求項1〜3の何れかの項に記載の固体の包接体を有効成分として含む固体製剤である食品用静菌剤。
  5. 食品用日持ち向上剤に用いる請求項4記載の食品用静菌剤。
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