JP3988826B2 - Pdp用パネルアセンブリの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、PDP(プラズマディスプレイパネル)用パネルアセンブリの製造方法に関し、さらに詳しくは、基板上に複数の電極を形成したPDP用パネルアセンブリの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPは、前面側(表示面側)の基板と背面側の基板とを微少間隔を設けて対向配置し、周辺を封止して放電空間に放電ガスを充填し、放電空間での放電発生時の発光を利用して表示を行う自己発光型の表示パネルである。
【0003】
このPDPの構造を、AC型3電極面放電形式のPDPを例に挙げて説明する。このタイプのPDPでは、前面側の基板に主電極対を水平方向にストライプ状に配置し、背面側の基板に主電極対と交差する方向に画素選択用の電極(データ電極やアドレス電極とも呼ばれるが、便宜上この電極を以下「アドレス電極」と呼ぶ)をストライプ状に配置している。アドレス電極上には蛍光体層を形成している。そして、主電極対とアドレス電極との交差部が最小の発光領域(セル)となる構造となっている。
【0004】
表示は、主電極対の一方の電極とアドレス電極との間で画素選択用の放電を発生させ、その残留電荷を利用して、主電極対間で輝度に応じた回数だけ主放電(表示放電や維持放電とも呼ばれる)を発生させることにより行う。この場合、主放電は、前面側の基板に形成された主電極対間での面放電である。
【0005】
すなわち、このPDPでは、蛍光体層の放電による劣化を防止するために、対となる表示電極を、蛍光体層の形成されていない前面側の基板に形成して、面放電の状態で主放電を発生させるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、面放電では、放電の際の電気力線の方向が対向放電のように直線状ではなく円弧状であるため、対向放電よりも放電効率が劣る。また、高い放電電圧が必要である。これを解決するため、例えば、特開2001−15038号公報に記載されたように、表示電極対の間に凹溝を形成し、面放電の際の放電効率を対向放電なみに向上させることが行われている。
【0007】
しかしながら、AC型のPDPでは、表示電極対を誘電体層で覆う必要があるが、この表示電極対の上に誘電体層を形成する際、表示電極対の間に形成した凹溝が誘電体材料で埋められてしまうという不都合があった。
【0008】
このため、表示電極対の間の凹溝が埋まらないようにして、表示電極対と凹溝の表面に均一に誘電体層を形成する方法の出現が望まれていた。
【0009】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、表示領域全体に電極が形成された基板の電極形成面に複数の凹溝を形成し、残存する電極上に誘電体材料を塗布し、誘電体材料を凹溝内に流入させて焼成することにより、基板全体に誘電体層を形成することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表示領域全体に複数の面放電用電極が形成された基板の電極形成面における面放電用電極間の放電領域に複数の凹溝を形成し、基板の電極形成面における面放電用電極の上だけに誘電体材料を塗布し、基板の誘電体材料塗布面を上にした状態で、誘電体材料が軟化しその一部が前記凹溝に流入する温度で誘電体材料を焼成することで、基板の面放電用電極上および凹溝内に誘電体層を形成することからなるPDP用パネルアセンブリの製造方法である。
【0011】
本発明によれば、基板の電極形成面に複数の凹溝を形成した後、残存する電極上に誘電体材料を塗布し、誘電体材料を凹溝内に流入させて焼成することにより、基板全体に誘電体層を形成するので、凹溝の表面は、凹溝内に流入した量の誘電体材料で覆われることになり、これにより、簡単な製造工程で電極と凹溝の表面に適度な厚みの誘電体層を形成することができる。したがって、このパネルアセンブリを用いたPDPにおいては、凹溝を挟んだ電極間の放電の際の放電効率が対向放電なみに向上し、電極間での放電電圧を低く抑えることが可能となる。さらに、凹溝の表面のザラつきで基板の透明度が損なわれることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、基板としては、ガラス、石英、セラミックス等の基板や、これらの基板上に、電極、絶縁膜、誘電体層、保護膜等の所望の構成物を形成した基板が含まれる。
【0013】
電極は、基板の表示領域全体に形成されていればよく、当該分野で公知の各種の電極を適用することができる。この電極としては、ITO、SnO2などの透明電極や、例えばAg、Au、Al、Cu、Cr及びそれらの積層体(例えばCr/Cu/Crの積層構造)等の金属からなるバス電極などが挙げられる。これらの電極は、Ag、Auについては印刷法を用い、その他については蒸着法、スパッタ法等の成膜法とエッチング法を組み合わせることにより、所望の厚さで形成することができる。
【0014】
本発明においては、表示領域全体に電極が形成された基板の電極形成面に複数の凹溝を形成する。凹溝の形成は、化学的な方法や、物理・機械的な方法のいずれを用いてもよい。化学的な方法としては、ウエットエッチングやドライエッチングなどが挙げられる。物理・機械的な方法としては、レーザーで切削する方法、サンドブラストで切削する方法、微細なエンドミルのような切削工具を用いて切削する方法などが挙げられる。
【0015】
基板の電極形成面に複数の凹溝を形成する工程は、最終的に電極となる部分以外の電極の除去とその除去した電極部分の基板表層部の除去とを一工程で行うことが望ましい。この意味で、この工程は、サンドブラストによる切削で、最終的に電極となる部分以外の電極を基板表層部と共に削除することが望ましい。この方法を適用すれば、ウエットエッチングのように、電極の除去と基板表層部の除去とで、異なるエッチャントを使用する手間が不要となり、しかも非切削部を覆うドライフィルムを一枚用いるだけで、電極の除去と基板表層部の除去とを同時に自己整合的に行うことができ、しかもエッチングでの処理よりも深い凹溝を容易に形成することができる。
【0016】
誘電体材料は、残存する電極上に塗布できるものであればよい。この誘電体材料としては、当該分野で公知の誘電体材料を適用することができる。例えば、低融点ガラスフリットに、酸化ケイ素、セラミックスなどのフィラー、バインダ樹脂、有機溶媒等を加えてペースト状にした誘電体ペーストを適用することができる。誘電体材料の塗布は、この誘電体材料を、例えばスクリーン印刷などで印刷することにより行うことができる。この誘電体材料の塗布時の粘度は、印刷直後にダレない(形がくずれない)程度の粘度、例えば粘性率160〜200Pa・s程度に調整しておくことが望ましい。
【0017】
本発明においては、基板の誘電体材料塗布面を上にした状態で、誘電体材料を焼成する。この際の焼成温度は、誘電体材料が軟化しその一部が凹溝に流入する温度で焼成する必要がある。この温度は、公知の誘電体材料を用いた場合と同様の焼成温度を適用することができる。具体的には400〜600℃の温度、好ましく550℃程度の温度で、10〜60分間焼成することが望ましい。
【0018】
本発明は、また、上記の製造方法で製造したPDP用パネルアセンブリを表示面側のパネルアセンブリとして用いたPDPである。
【0019】
以下、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳述する。なお、本発明はこれによって限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
図1は本発明の製造方法で製造したPDP用パネルアセンブリを前面側(表示面側)のパネルアセンブリとして用いたPDPの構成を示す説明図である。この例はカラー表示用のAC型3電極面放電形式のPDPを示している。
【0020】
PDP10は、前面側の基板11を含む前面側のパネルアセンブリと、背面側の基板21を含む背面側のパネルアセンブリから構成されている。前面側の基板11と背面側の基板21としては、ガラス基板、石英基板、セラミック基板等を使用することができるが、本例ではガラス基板を使用している。
【0021】
前面側の基板11の内側面には、水平方向にペアをなす表示電極X,Yが非放電距離の間隔をおいて複数組形成されている。各表示電極X,Yは、ITO、SnO2などの幅の広い透明電極12と、例えばAg、Au、Al、Cu、Cr及びそれらの積層体(例えばCr/Cu/Crの積層構造)等からなる金属製の幅の狭いバス電極13から構成されている。表示電極X,Yは、Ag、Auについては印刷法を用い、その他については蒸着法、スパッタ法等の成膜法とエッチング法を組み合わせることにより、所望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成することができる。
【0022】
表示電極X,Yの上には、表示電極X,Yを覆うように交流(AC)駆動用の誘電体層17が形成されている。誘電体層17は、後ほど詳述するが、低融点ガラス、酸化ケイ素等を含む誘電体ペーストを、前面側の基板11上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成することにより形成している。
【0023】
誘電体層17の上には、表示の際の放電により生じるイオンの衝突による損傷から誘電体層17を保護するための保護膜18が形成されている。この保護膜18は、例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等からなる。
【0024】
背面側の基板21の内側面には、平面的にみて表示電極X,Yと交差する方向に複数のアドレス電極Aが形成され、そのアドレス電極Aを覆って誘電体層24が形成されている。アドレス電極Aは、スキャン用の表示電極との交差部で発光セルを選択するためのアドレス放電を発生させるものであり、例えばAg、Au、Al、Cu、Cr及びそれらの積層体(例えばCr/Cu/Crの積層構造)等から構成されている。アドレス電極Aも、表示電極X,Yと同様に、Ag、Auについては印刷法を用い、その他については蒸着法、スパッタ法等の成膜法とエッチング法を組み合わせることにより、所望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成することができる。誘電体層24は、誘電体層17と同じ材料を用いて、背面側の基板21の全面に形成されている。
【0025】
アドレス電極A間の誘電体層24上には、アドレス電極Aに沿って直線状に複数の隔壁29が形成されている。隔壁29は、サンドブラスト法、印刷法、フォトエッチング法等により形成することができる。例えば、サンドブラスト法では、低融点ガラスフリット、バインダ樹脂、溶剤等からなるガラスペーストを誘電体層24上に塗布して乾燥させた後、そのガラスペースト層上に隔壁パターンの開口を有する切削マスクを設けた状態で切削粒子を噴きつけて、マスクの開口に露出したガラスペースト層を切削し、さらに焼成することにより形成する。また、フォトエッチング法では、切削粒子で切削することに代えて、バインダ樹脂に感光性の樹脂を使用し、マスクを用いた露光及び現像の後、焼成することにより形成する。
【0026】
隔壁29の側面及び隔壁間の誘電体層24上には、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体層28R、28G、28Bが形成されている。蛍光体層28R、28G、28Bは、蛍光体粉末とバインダとを含む蛍光体ペーストを隔壁29間の溝内にスクリーン印刷、又はディスペンサーを用いた方法などで塗布し、これを各色毎に繰り返した後、焼成することにより形成することができる。この蛍光体層28R、28G、28Bは、蛍光体粉末とバインダとを含むシート状の蛍光体層材料(いわゆるグリーンシート)を使用し、フォトリソ法で形成することもできる。この場合、所望の色のシートを基板上の表示領域全面に貼り付けて、露光、現像を行い、これを各色毎に繰り返すことで、対応する隔壁間に各色の蛍光体層を形成することができる。
【0027】
PDP10は、上記した前面側のパネルアセンブリと背面側のパネルアセンブリとを、表示電極X,Yとアドレス電極Aとが交差するように対向配置し、周囲を封止し、隔壁29で囲まれた放電空間30に放電ガスを充填することにより作製されている。このPDP10では、表示電極X,Yとアドレス電極Aとの交差部の放電空間30が表示の最小単位である1つのセル領域(単位発光領域)となる。1画素は隣接するR、G、Bの3つのセルで構成される。
【0028】
表示は、まず、Y側の表示電極群をスキャン電極として用いて、それら各表示電極Yに順次スキャン電圧を印加してゆき、その間に所望のアドレス電極Aにアドレス電圧を印加し、選択されたアドレス電極Aと表示電極Yとの間でアドレス放電を発生させることで発光すべきセルを選択する。この発光セル対応の誘電体層上には壁電荷が形成されるので、次に、Y側の表示電極群とX側の表示電極群との間に交互にサスティン電圧を印加して、当該壁電荷の蓄積されたセルにおいて再び放電(維持放電または表示放電と呼称)を発生させることで、セルを発光させる。このセルの発光は、表示放電によって発生された紫外線で蛍光体を励起して、蛍光体から所望の色の可視光を発生させることにより行われる。
【0029】
表示は、上述のようにペアとなる表示電極Xと表示電極Y(以後、表示電極対X,Y、あるいは単にX,Y電極とも呼ぶ)との間で維持放電を発生させることにより行う。この放電が生じるX,Y電極間は発光スリットとも呼ばれ、発光領域となるが、表示電極対X,Yと表示電極対X,Yとの間は非発光スリットとも呼ばれ、非発光領域(非放電領域)となる。
【0030】
図2(a)〜図2(d)は前面側のパネルアセンブリの製造方法を示す説明図である。この図は表示電極対X,Yの延びる方向に直交する断面を示している。
前面側のパネルアセンブリの製造においては、まず、ガラス基板からなる前面側の基板11の全体にITOからなる透明電極12をスパッタ法により形成し、その上にCr/Cu/Crの積層構造の金属のバス電極13をストライプ状に形成する(図2(a)参照)。
【0031】
バス電極13をストライプ状に形成するには、透明電極12上の全体にバス電極をスパッタ法で形成し、このバス電極をフォトリソグラフの手法でパターニングすることにより行う。透明電極12とバス電極13の形成については後ほど詳述する。
【0032】
次に、サンドブラストあるいはエッチングにより、バス電極13とバス電極13の間の透明電極12と前面側の基板11の表層部を除去し、凹溝31を形成する(図2(b)参照)。
【0033】
その後、残存する透明電極12とバス電極13の上に、スクリーン印刷により誘電体材料32を塗布し(図2(c)参照)、乾燥させた後、焼成することにより、背面側の基板11全体に誘電体層17を形成する(図2(d)参照)。
【0034】
誘電体材料は、低融点ガラスフリットに、酸化ケイ素、セラミックスなどのフィラー、バインダ樹脂、有機溶媒を加えてペースト状にしたものを用い、これをスクリーン印刷により透明電極12とバス電極13上に塗布する。この時の誘電体材料の粘度は、印刷直後にダレない(形がくずれない)程度の粘度に調整しておく。例えば粘性率200Pa・s程度に調整しておく。そして、前面側の基板11を焼成炉内に搬入し、誘電体材料32の塗布面を上向きにした状態で焼成を行う。この焼成は、550℃の温度で、30分間程度行う。
【0035】
この焼成温度で焼成すると、誘電体材料32が軟化し、その一部が凹溝31内に自動的に流入するので、その流入した状態のまま誘電体材料32中の有機成分を焼失させ、誘電体層を形成する。
【0036】
図3は表示電極対X,Y間に凹溝を形成した場合の放電の状態を示す説明図である。図中矢印Bは放電の時間的な推移を表している。
この図に示すように、表示電極対X,Y間に凹溝を形成して、表示電極対X,Y間に電圧を印加した場合、誘電体層17の厚みが最も薄い電極端部で、低電圧での放電が開始され、その後、透明電極12上の誘電体層17の厚みの厚い部分に放電が広がってゆくことで、放電効率が高くなる。
【0037】
図4は前面側の基板11に凹溝を形成した後の凹溝表面の状態を示す説明図、図5は前面側の基板11に凹溝を形成した後、誘電体層を形成した場合の凹溝表面の状態を示す説明図である。
【0038】
これらの図に示すように、前面側の基板11に、サンドブラストあるいはエッチングにより凹溝を形成した後は、凹溝31の表面が荒れて、ガラス基板の透明度が悪い状態であるが、誘電体材料を塗布して焼成した後は、凹溝31の表面は、誘電体材料が流入して低融点ガラスからなる誘電体層17が形成されるので、ガラス基板の透明度が向上する。
【0039】
以上述べたように、本発明の製造方法で前面側のパネルアセンブリを作製すれば、前面側の基板の上に透明電極を形成する際、サンドブラストやウエットエッチングなどを用いて、透明電極と基板表層部を同時に削除するので、凹溝の形成工程が簡易化される。そして、透明電極とバス電極の上だけに誘電体材料を印刷などの手法で塗布しておき、焼成時に誘電体材料が溶けて凹溝内に流れ込むようにするので、図3に示したように、透明電極の端部で誘電体層が薄くなり、透明電極間の放電開始電圧および維持電圧を低くすることができる。
【0040】
また、透明電極間は対向放電と同等の電極配置となるため、透明電極間での放電効率が向上する。さらに、図5に示したように、切削により荒れている凹溝部分に誘電体材料が流れ込んで平滑化され、凹溝部分の透明度が増すため、輝度の損失がほとんどない。よって、セル全体の放電効率が向上し、セルの発光効率が向上する。
【0041】
図6〜図12は前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。これらの図は、前面側の基板に電極を形成して、凹溝を形成し、誘電体層を形成するまでの製造プロセスを示している。図6(b)は図6(a)のC−C断面を示し、図7(b)は図7(a)のD−D断面を示し、図8(b)は図8(a)のE−E断面を示し、図9(b)は図9(a)のF−F断面を示し、図10(b)は図10(a)のG−G断面を示し、図11(b)は図11(a)のH−H断面を示し、図12は図11のH−H断面を示している。
【0042】
まず、前面側のガラス基板11上に透明電極材料をスパッタ法などの方法で成膜することにより、透明電極12を形成する。この際、給電用の端子部を引き出す部分にはあらかじめ透明電極材料が成膜されないようにマスクしておく(図6(a)および図6(b)参照)。
【0043】
次に、透明電極12の上にバス電極材料をスパッタ法で形成し、従来のレジスト塗布、露光、現像およびエッチングからなるフォトリソグラフのプロセスにより、バス電極13を形成する(図7(a)および図7(b)参照)。
【0044】
バス電極13の形成後、前面側の基板11の全面にドライフィルム33をラミネートして(図8(a)および図8(b)参照)、露光、現像のフォトリソグラフのプロセスにより、凹溝形成用のパターン34を形成する(図9(a)および図9(b)参照)。形成する凹溝には、発光領域に対応する凹溝と、非発光領域に対応する凹溝があり、このため凹溝形成用のパターン34にも、発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aと、非発光領域対応の凹溝形成用のパターン34bがある。
【0045】
これらの発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aと、非発光領域対応の凹溝形成用のパターン34bを形成した後、ドライフィルム33をマスクとして、サンドブラストを行い、発光領域対応の凹溝35aと非発光領域対応の凹溝35bを形成する(図10(a)および図10(b)参照)。
【0046】
その後、ドライフィルム33を剥離し(図11(a)および図11(b)参照)、透明電極12とバス電極13の上に誘電体ペーストを印刷により塗布して、焼成を行い、誘電体層17を形成する(図12参照)。
【0047】
その後は、従来のプロセスと同様に、誘電体層17の上層に保護膜を形成して、前面側のパネルアセンブリを作製し、この前面側のパネルアセンブリを、別工程で作製した背面側のパネルアセンブリに対向させ、両者を貼り合わせてパネルを完成させる。
【0048】
図13(a)および図13(b)はウエットエッチングを用いて凹溝を形成する方法を示す説明図である。図13(b)は図13(a)のI−I断面を示している。
上記の例においては、サンドブラストで凹溝を形成したが、ウエットエッチングで凹溝を形成することもできる。
【0049】
ウエットエッチングで凹溝を形成する場合には、上述の図6〜図10で示した製造プロセスにおいて、前面側の基板11の全面にドライフィルム33をラミネートして(図8(a)および図8(b)参照)、発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aと、非発光領域対応の凹溝形成用のパターン34bを形成した後(図9(a)および図9(b)参照)、サンドブラストの代わりにウエットエッチングを行う(図13(a)および図13(b)参照)。この場合、ドライフィルムを用いず、レジストを塗布するようにしてもよい。
【0050】
ウエットエッチングで凹溝を形成した場合、サンドブラストと比較して、透明電極11のエッチングで用いるエッチャントと、ガラス製の前面側の基板11のエッチングで用いるエッチャントをそれぞれ変える必要があるが、エッチング面がサンドブラストよりも滑らかになるのと、サンドブラストよりもパターニング精度が向上するという長所がある。
【0051】
図14〜図16は透明電極の形状を櫛歯状にした場合の製造プロセスを示す説明図である。図14(b)は図14(a)のJ−J断面を示し、図15(b)は図15(a)のK−K断面を示し、図16(b)は図16(a)のL−L断面を示している。
【0052】
透明電極の形状を櫛歯状にする場合、基本的な製造プロセスは上述の図6〜図10で示したものと同じであるが、前面側の基板11の全面にドライフィルム33をラミネートした後(図8(a)および図8(b)参照)、発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aを櫛歯状にする(図14(a)および図14(b)参照)。ただし、非発光領域対応の凹溝形成用のパターン34bは、図9と同様に長方形にしておく。
【0053】
以下、図10(a)および図10(b)と同様に、サンドブラストまたはエッチングを行って、発光領域対応の凹溝35aと非発光領域対応の凹溝35bを形成し(図15(a)および図15(b)参照)、図11(a)および図11(b)と同様に、ドライフィルム33を剥離し(図16(a)および図16(b)参照)、透明電極とバス電極の上に誘電体ペーストを印刷により塗布して、焼成を行い、誘電体層を形成する。
【0054】
図17は透明電極の形状を櫛歯状にした場合の例を示す説明図である。透明電極の形状を櫛歯状にした場合の利点は、以下のようになる。すなわち、図9(a)の発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aでは、この部分の幅が狭いため、サンドブラストまたはエッチングの際、サンドブラスト粒子またはエッチャントの流れが阻害され、深さ方向のブラストレートまたはエッチングレートは、非発光領域対応の凹溝形成用のパターン34bの部分よりも遅くなる。しかし、透明電極の形状を櫛歯状にすると、非発光領域対応の凹溝形成用のパターン34bの最も狭い電極間溝部分Mの長さが短くなるため、サンドブラスト粒子またはエッチャントの流れが改善され、ブラストレートまたはエッチングレートが遅くならないので、凹溝形成の処理時間が短くなるという利点がある。
【0055】
図18は透明電極の形状をT字状にした場合の例を示す説明図である。透明電極の形状をT字状にする場合、基本的には上述の図6から〜図10で示した製造プロセスを適用し、発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aだけをT字状にする。櫛歯状の透明電極と比較すると、電極方向に放電が広がるので、放電効率が向上するという利点がある。
【0056】
図19は透明電極の形状を楕円弧状にした場合の例を示す説明図である。透明電極の形状を楕円弧状にする場合も、基本的には上述の図6から〜図10で示した製造プロセスを適用し、発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aだけを楕円弧状にする。櫛歯形状の電極の形成と比較すると、マスクの形成は複雑であるが、発光領域対応の凹溝形成用のパターン34aの部分をサンドブラストまたはエッチングする際、サンドブラスト粒子またはエッチャントの流れが良くなり、ブラストレートまたはエッチングレートが遅くならないので、凹溝形成の処理時間が短くなるという利点がある。
【0057】
このように、前面側の基板全体に透明電極を形成するとともに、その上にストライプ状に複数のバス電極を形成し、最終的に電極となる部分以外の透明電極を基板表層部とともに除去して凹溝を形成し、透明電極とバス電極の上に誘電体材料を塗布して、誘電体材料を凹溝内に流入させて焼成することにより、基板全体に誘電体層を形成することができる。これにより、この前面側のパネルアセンブリを用いたPDPの主電極対間の放電効率を対向放電並みに向上させることができ、さらに主電極対間での放電電圧を低く抑えることが可能となる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、基板に誘電体層を形成する際、基板の電極形成面に複数の凹溝を形成した後、残存する電極上に誘電体材料を塗布し、基板の誘電体材料塗布面を上にした状態で誘電体材料を焼成することで、凹溝内に誘電体材料を流入させるようにしたので、簡単な製造工程で電極と凹溝の表面に適度な厚みの誘電体層を形成することができる。これにより、このパネルアセンブリを用いたPDPの主電極対間の放電効率を対向放電並みに向上させることができ、さらに主電極対間での放電電圧を低く抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で製造したPDP用パネルアセンブリを前面側のパネルアセンブリとして用いたPDPの構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの製造方法を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態において透明電極間に凹溝を形成した場合の放電の状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態において前面側の基板に凹溝を形成した後の凹溝表面の状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態において前面側の基板に凹溝を形成した後、誘電体層を形成した場合の凹溝表面の状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態における前面側のパネルアセンブリの一連の製造プロセスを示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態においてウエットエッチングを用いて凹溝を形成する方法を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態において透明電極の形状を櫛歯状にした場合の製造プロセスを示す説明図である。
【図15】本発明の実施形態において透明電極の形状を櫛歯状にした場合の製造プロセスを示す説明図である。
【図16】本発明の実施形態において透明電極の形状を櫛歯状にした場合の製造プロセスを示す説明図である。
【図17】本発明の実施形態において透明電極の形状を櫛歯状にした場合の例を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態において透明電極の形状をT字状にした場合の例を示す説明図である。
【図19】本発明の実施形態において透明電極の形状を楕円弧状にした場合の例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 PDP
11 前面側の基板
12 透明電極
13 バス電極
17 誘電体層
18 保護膜
21 背面側の基板
24 誘電体層
28,28R、28G、28B 蛍光体層
29 隔壁
30 放電空間
31 凹溝
32 誘電体材料
33 ドライフィルム
34 凹溝形成用のパターン
34a 発光領域対応の凹溝形成用のパターン
34b 非発光領域対応の凹溝形成用のパターン
35a 発光領域対応の凹溝
35b 非発光領域対応の凹溝
A アドレス電極
X,Y 表示電極
Claims (4)
- 表示領域全体に複数の面放電用電極が形成された基板の電極形成面における面放電用電極間の放電領域に複数の凹溝を形成し、
基板の電極形成面における面放電用電極の上だけに誘電体材料を塗布し、
基板の誘電体材料塗布面を上にした状態で、誘電体材料が軟化しその一部が前記凹溝に流入する温度で誘電体材料を焼成することで、基板の面放電用電極上および凹溝内に誘電体層を形成することからなるPDP用パネルアセンブリの製造方法。 - 基板の電極形成面に複数の凹溝を形成する工程が、最終的に面放電用電極となる部分以外の電極の除去とその除去した電極部分の基板表層部の除去とを一工程で行うことからなる請求項1記載のPDP用パネルアセンブリの製造方法。
- 基板の電極形成面に複数の凹溝を形成する工程が、サンドブラストによる切削で、最終的に面放電用電極となる部分以外の電極を基板表層部と共に削除することからなる請求項1記載のPDP用パネルアセンブリの製造方法。
- 表示領域全体に透明電極が形成され、その上に金属からなる複数のバス電極がストライプ状に形成された基板に対し、バス電極とバス電極との間の透明電極を、バス電極近傍の透明電極を残して除去するとともに、その除去した透明電極部分の基板表層部をさらに除去することで、バス電極間に凹溝を形成し、
残存する透明電極とその上のバス電極との上だけに有機成分を含む誘電体材料を塗布し、
基板の誘電体材料塗布面を上にした状態で、誘電体材料が軟化しその一部が前記凹溝に流入した後誘電体材料中の有機成分が除去されるような温度で誘電体材料を焼成することで、基板全体に誘電体層を形成することからなるPDP用パネルアセンブリの製造方法。
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