JP3988612B2 - 立体交差道路の施工方法および立体交差道路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体交差道路の施工方法および立体交差道路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、立体交差道路の施工では、下側の道路をまたいで交差する道路橋梁部と、その道路橋梁部に接続するために上部に傾斜面を有する道路を備えるアプローチ部とが設けられる場合があった。そして、アプローチ部は、擁壁を設けて、その中に中詰土を盛土材として充填する工法が行われていた。そのため、道路橋梁部は、杭基礎上に設けられた橋台とL字擁壁により、中詰土を保持する構成がとられていた。
特許文献1には、このような橋台の裏込めに発泡樹脂ブロックを用いる技術が記載されている。
また、特許文献2には、場所打ち杭を基礎として橋脚を形成する立体ラーメン形式の高架橋構造が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−281917号公報(第3−4頁、図3(ニ))
【特許文献2】
特許第3081833号公報(第2−4頁、図1、3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術に係る立体交差道路の施工方法には、以下のような問題があった。
従来の立体交差道路は、図9に示すような構成がとられていた。
図9(a)に示したのは、そのような従来の立体交差道路の概略構成を説明するための断面説明図である。図9(b)は、図9(a)におけるJ−J断面図である。
立体交差道路60は、道路橋梁部60aとアプローチ部60bとからなり、アプローチ部60bは適宜の土砂、砂利などからなる中詰土62を盛土材とし、側部にL形擁壁67、67を設け、道路橋梁部60aとの接続部には、橋台63を設けて中詰土62を囲い込む盛土工法により形成されている。中詰土62の上には、舗装部66が設けられて上側道路が形成されるが、それらが上載荷重として作用するため、中詰土62が上から押されて、L形擁壁67、67と橋台63には中詰土62の自重も含めた大きな側圧が生じる。
このため、L形擁壁67、橋台63は、かなり頑丈な擁壁側部67a、橋台本体63aをそれぞれ壁体として備え、さらにそれらを支持するために大きな擁壁底部67b、橋台底版63bを備えていた。したがって、それらを支持する基礎は、杭基礎65とする必要があった。
【0005】
このような構成では、非常に大掛かりな施工となるため、例えば交通渋滞緩和のために都心部の道路交差点を立体交差道路とする施工においては、長期にわたって交通遮断や通行制限を課す必要が生じ、工期中にはかえって交通渋滞の原因となってしまうという問題があった。
【0006】
特許文献1に記載の技術では、軽量な発泡樹脂ブロックを積み上げることにより、盛土し、橋台の裏込めとするので、アプローチ部の作業効率を上げることはできるものの、橋台を用いるので、道路橋梁部の施工を簡素化することはできないという問題があった。
【0007】
特許文献2に記載の技術では、場所打ち杭にコンクリート充填鋼管柱を接合することにより、基礎を簡素化し、橋脚の一部を簡素な構造とすることができる。しかしながら、このような構成は、縦桁、横桁を鋼管柱に剛接する立体ラーメン橋梁の技術であり、高剛性が要求される鉄道高架橋の施工方法である。そのため、立体交差道路の道路橋梁部としては、強度過剰の大掛かりな施工となり、活線道路上で、短工期で施工するには、非常に不向きであるという問題があった。また、特許文献2には、従来の橋台に代えてアプローチ部をどのように形成するかという技術も全く開示されていない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、構成を軽量、簡素にすることにより、施工効率を向上することができる立体交差道路の施工方法および立体交差道路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、下側道路の上方に交差して設けられた交差橋梁部と、該交差橋梁部の延設方向の端部に設けられた道路盛土部とからなり、前記交差橋梁部および前記道路盛土部のそれぞれの上部に上側道路を形成した立体交差道路の施工方法であって、前記交差橋梁部は、基礎杭を前記下側道路の横断方向の両側に構築し、鋼管柱およびその上部に橋軸直角方向に設けられた横桁を備える橋脚を、前記基礎杭の上部に立設するとともに、前記鋼管柱内にコンクリートを充填する橋脚構築工程を行い、前記橋脚の橋軸方向に縦桁を架設して、該縦桁上に、上側道路を敷設するための床版を構築することにより形成し、前記道路盛土部は、発泡樹脂ブロックを盛土材として積層することにより形成して、前記交差橋梁部と前記道路盛土部とに、それぞれ路盤および路面を備える上側道路を形成することを特徴とする立体交差道路の施工方法とする。
この発明によれば、盛土材を軽量の発泡樹脂ブロックとするので、道路盛土部の施工が容易であり、また、上側道路に交通荷重などの上載荷重がかかっても発泡樹脂ブロックにほとんど側圧が生じないため、下側道路の横断方向の両側(下側道路の延長方向の左右両側)の橋脚を擁壁の機能を有さない鋼管柱と横桁とにより軽量に形成できる。その結果、橋脚を基礎杭上に立設するだけとなり、簡易な施工を行うことができ、ひいては工期の短縮を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の立体交差道路の施工方法において、前記橋脚構築工程が、前記橋脚を、あらかじめ前記鋼管柱と前記横桁とに分割しておき、前記鋼管柱を前記基礎杭の上部に接合して、該鋼管柱内にコンクリートを充填してから、該鋼管柱の上部に、前記横桁を架設して固定する工程である。
この発明によれば、橋脚を鋼管柱と横桁に分割して、橋脚を立設するので、橋脚の構築が容易となるとともに、縦桁を載せる横桁の姿勢を鋼管柱が基礎杭に接合された後で調整することが可能となる。その結果、基礎杭や鋼管柱の設置を比較的ラフにできるから、施工効率を向上することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の立体交差道路の施工方法において、前記橋脚構築工程が、前記基礎杭の上部に、前記鋼管柱と前記横桁とを一体に立設して、前記鋼管柱の内部にコンクリートを充填する工程である。
この発明によれば、鋼管柱と横桁とを一体に立設してから、そこにコンクリートを充填するので、施工効率が向上できる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、下側道路の上方に交差して設けられた交差橋梁部と、該交差橋梁部の延設方向の端部に設けられた道路盛土部とからなり、前記交差橋梁部および前記道路盛土部のそれぞれの上部に上側道路が形成された立体交差道路であって、前記交差橋梁部が、前記下側道路の横断方向の両側に構築された基礎杭と、該基礎杭の上部に、コンクリートが充填された鋼管柱およびその上部に橋軸直角方向に設けられた横桁を備えた橋脚と、該橋脚の橋軸方向に架設された縦桁と、該縦桁上に構築された床版とを備え、前記道路盛土部が、
盛土材として、積層された発泡樹脂ブロックを備え、前記交差橋梁部と前記道路盛土部の上部にそれぞれ上側道路が、設けられてなる構成とする。
この発明は、請求項1に記載の立体交差道路の施工方法により形成することができるので、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を奏する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。すべての図面において、同一または相当する部材には同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0015】
本発明の実施形態に係る立体交差道路1について説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る立体交差道路1の概略構成を説明するための平面説明図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。図2(a)、(b)、(c)は、それぞれ、図1(a)におけるB視の側面説明図、C−C断面図、D−D断面図である。図3(a)は、図1(a)のE−E断面図である。図3(b)は、図3(a)におけるF部の部分拡大図である。図4(a)は、図3(b)におけるG−G断面図である。図4(b)は、図1(a)におけるH−H断面図である。図5は、図3(a)を簡略化した概略断面図である。
なお、立体交差道路1は、交差部をまたいで水平方向左右が対称であるため、図1(a)、(b)および図2(a)では、対称な他方部分の図示を省略している。図中の一点鎖線は対称軸を示す。
【0016】
立体交差道路1は、図1に示したように、互いに同一平面でほぼ直角に交差する道路4(下側道路)、5の交差点において、道路5の車線延長方向に向けて道路4をまたぐように架橋された交差橋梁部2と、交差橋梁部2の橋梁端部と道路5とを接続するためのアプローチ道路7a(上側道路)を形成するための道路盛土部3とから構成されている。
立体交差道路1は、道路5の車線のほぼ中央に設けられている。そして、その両脇の車線は、立体交差道路1の施工中も通行可能とされ、施工終了後は、道路4方向へ曲がるための車線として用いられる。なお、符号6は、歩道を示す。
【0017】
道路盛土部3の概略構成は、橋梁部擁壁10、L形擁壁16、EPS盛土部8a(道路盛土構造体)、入口スロープ部8bおよびアプローチ道路7aを備える。
橋梁部擁壁10は、図4(b)に示したように、交差橋梁部2の橋軸方向端部に隣接して鉛直方向に延ばされた擁壁側部10aと、その下端部から交差橋梁部2の反対側に水平方向に延ばされた擁壁底部10b(下側荷重伝達版)とを備え、道路盛土部3の延設方向断面においてL字状断面を有する部材である。擁壁底部10bは、道路5から適宜深さだけ掘削された地盤上に、例えば、砂や砂利などの基礎材11を水平に敷き詰めて配置されている。
橋梁部擁壁10は、プレキャストコンクリートブロックとして製造しておいたものを配設する。
【0018】
L形擁壁16は、図3(a)に示したように、基礎材11上に配設された、道路盛土部3の延設方向と直交する断面でL字状断面を有する部材である。すなわち、基礎材11上に配置される擁壁底部16b(下側荷重伝達版)と、その端部から鉛直方向に延ばされ、道路5から適宜の高さだけ延出される擁壁側部16aとからなる。L形擁壁16は、プレキャストコンクリートブロックとして製造しておいたものを配設する。
【0019】
L形擁壁16は、道路盛土部3の延設方向の左右にそれぞれ対向されている。そして、対向する擁壁側部16a、16aの間にEPS盛土部8aなどを配置する空間を形成するように、擁壁底部16b、16b同士の対向先端をつき合わせてコ字状をなすように配置する。すなわち、擁壁底部16b、16bは、基礎材11の上部を隙間なく覆うコンクリート床版を形成している。
また、道路盛土部3の延設方向には、適宜の長さに分割されたL形擁壁16を隣接配置することにより、同様なコ字状断面をなすように延設されている。
【0020】
EPS盛土部8aは、EPSブロック積層体30(発泡樹脂ブロックの積層構造体)、それの外周を覆う耐薬品シート33(図5参照)およびそれらを擁壁側部16a、16aの間で挟持する盛土部擁壁34(擁壁)を備える。
【0021】
EPSブロック積層体30は、擁壁底部16b、16bの上に、発泡スチロール(Expanded Polystyrene、EPS)からなるEPSブロック26(発泡樹脂ブロック)が互い違いに組み上げられ、それらの上下方向に適宜本数の鋼棒24(緊張材)が挿通され、鋼棒24に緊張力を与えてEPSブロック26に緊結し、それによりEPSブロック26を所定高さに圧縮してプレストレスを導入したものである。具体的には、積層されたEPSブロック26の最上面には、プレキャストコンクリート版からなるコンクリート床版20(上側荷重伝達版)が水平に配置され、鋼棒24は、下端が擁壁底部16bに係止されて、上端がコンクリート床版20の上面まで貫通され、緊張力を付与された上、コンクリート床版20に係止されている。
【0022】
コンクリート床版20は、鋼棒24により導入されるプレストレス荷重を水平面内に均等に分散・伝達して、広範囲で均一なプレストレスを形成するために設けられている。
鋼棒24は、緊張力を付与することができる鋼棒であればどのような材質や断面形状でもよいので、できるだけ安価な材質を用いるのがよい。また、施工効率上は、自立性が維持される程度の剛性を有する太さの棒部材が好ましい。
【0023】
図3(a)は、EPSブロック積層体30のうち最も高く積層された位置での断面を示している。道路盛土部3は、その延設方向に傾斜を有するので、EPSブロック26の積層段数は場所により異なる。そのため、EPSブロック積層体30は、道路盛土部3の延設方向断面では、図6に示したように階段状とされ、下面はすべて水平床面を形成する擁壁底部16bに押圧されるものの、上面はそれぞれの段毎に別個のコンクリート床版20が配され、それぞれに対して適宜本数の鋼棒24が配置されている。
【0024】
そして、図3(a)に示したように、EPSブロック積層体30の所定段数位置には、プレキャストコンクリート版からなり、鋼棒24を挿通させるための挿通孔を有する中間床版9が配置されている。
中間床版9を設けることにより、EPSブロック26の積層途中でも、EPSブロック26の不陸や段差が是正される。中間床版9の上からは水平面に積層することになるため、積層作業が容易となるという利点がある。また、コンクリート床版20と同様に、鋼棒24により導入されるプレストレス荷重を水平面内に均等に分散・伝達して、広範囲で均一なプレストレスを形成することができるという利点がある。
【0025】
ここで、このようなEPSブロック積層体30を形成するための本実施形態に係る発泡樹脂ブロック積層方法について説明する。
まず、EPSブロック26の積層に先立って、擁壁底部16bの所定位置に複数の鋼棒24を係止する。これは、所定の緊張力を付与したときに、外れない限りは、どのように係止してもよい。例えば、鋼棒24の先端にアンカーを取り付けて、擁壁底部16bに機械的に定着してもよいし、ねじ止めしたり、コンクリート充填により係止したりしてもよい。
【0026】
そして、例えば互い違いにするなど、周知の組み上げ方により、擁壁底部16bの上からEPSブロック26を積層する。鋼棒24を挿通させるEPSブロック26にはあらかじめ所定位置に挿通孔を設けておく。その際、緊張材として自立性のある鋼棒24を用いれば、挿通作業がきわめて容易となるという利点がある。
【0027】
所定段数を積層したら、必要に応じて中間床版9を配置する。そして、所定の積み上げ段数に到達したところには、その上面にコンクリート床版20を配置する。
そして、すべて積層されてから、緊張ジャッキなどを用いて、各鋼棒24に緊張力を付与して、コンクリート床版20を通じてEPSブロック26を押圧圧縮する。所定のプレストレスを導入した時点で、順次、鋼棒24をコンクリート床版20に係止する。係止手段は、どのような手段でもよいが、例えば、ナットによるねじ式を採用することができる。
【0028】
プレストレスの大きさは、適宜の大きさとしてよいが、EPSブロック積層体30の上方にあるアプローチ道路7aなどの交通荷重を含む上載荷重から決まる荷重と同程度とすることが好ましい。
このようにして、所定のプレストレスが導入されたEPSブロック積層体30を形成することができる。
【0029】
ここで、プレストレスの作用について説明する。
EPSブロック26は、高い圧縮強度を備えているが、弾性体としての縦弾性係数は、例えば鉄鋼などの金属に比べて著しく劣る。すなわち、荷重に対する変形量が大きいという特徴がある。そのため、プレストレスを与えずに積層し、上載荷重となるアプローチ道路7aなどを施工すると、長年の交通荷重の繰り返しとともに、次第に圧縮量が大きくなり、交通繰り返し回数の進展とともにアプローチ道路7aの路面の高さが徐々に大きく変化する(この高さ変化を沈下量と呼ぶことにする)。沈下量は計算できるので予測可能であるが、沈下量そのものが大きいので、材料の縦弾性係数のばらつきや施工誤差などにより、沈下量もばらつきやすい。その結果、道路供用後の路面高さを正確に予測することは難しかった。
【0030】
そこで、本実施形態の場合を考察する。例えば、EPSブロック積層体30に交通荷重などの上載荷重にほぼ等しいプレストレスをかける場合について考える。
この場合、EPSブロック積層体30は、上載荷重がかかった場合と同じ高さに圧縮されている。一方、鋼棒24は、上載荷重を緊張力として引っ張られている。このとき、縦弾性係数の違いから、EPSブロック積層体30の圧縮量に比べ、鋼棒24の伸長量は著しく小さいものとなる。
【0031】
この状態から、上載荷重がかけられたとする。EPSブロック積層体30は、当然さらに圧縮されるが、同時に、鋼棒24の伸長量は減少する。例えば、鋼棒24が自然長さに戻るとすると、鋼棒24の緊張力はゼロになり、EPSブロック積層体30には、上載荷重のみがかかるが、この状態では、EPSブロック積層体30は圧縮されすぎていることになるから、実際には、EPSブロック積層体30の圧縮反力、鋼棒24の緊張力および上載荷重は、そこまで圧縮される以前の圧縮量(沈下量)でつりあっていなければならない。すなわち、上載荷重をかけたことによる沈下量は、必ず鋼棒24の伸長量よりも小さくなる。具体的に計算すれば分かるが、EPSブロック積層体30の初期圧縮量よりもきわめて小さい値となる。
【0032】
このプレストレスとEPSブロック積層体30の沈下量との関係は、力の釣り合いから、容易に計算できる。一般にプレストレスを大きくすればするほど、沈下量は低減することができる。ただし、上載荷重とほぼ同じプレストレスとすれば、設計上も簡易であり、しかも十分に実用的な圧縮量とすることができるものである。
【0033】
このように、プレストレスを加えることにより、EPSブロック積層体30が施工中に沈下する沈下量を著しく低減することができる。その結果、沈下量のばらつき幅も小さくなるから、路面高さを安定させる施工が可能となる。
また、道路盛土構造体として供用後には、交通荷重などの繰り返し変動荷重が作用するが、これに対しても、変動沈下量、すなわち変動ひずみが小さく抑えられるので、路面の沈下量が抑制され、経時変化に伴う路面のメンテナンスの必要性を低減できるという利点がある。
【0034】
耐薬品シート33は、有機溶剤などに対する耐薬品性の劣るEPSブロック26を保護し、経時劣化を防止するためのシート部材であり、図5に示したように、少なくともEPSブロック積層体30の側面および上面を覆って配置される。耐薬品シート33の材質は、例えばポリオレフィン系樹脂などの耐薬品性に優れた合成樹脂をシート加工したものなどが採用できる。ただし、発泡樹脂ブロックとして耐薬品性に優れる材質を用いる場合には、耐薬品シート33は、必ずしも設けなくてもよい。
【0035】
次に、盛土部擁壁34について説明する。
盛土部擁壁34は、図4(a)に示したように、H鋼31、コンクリートパネル15および気泡モルタル25(気泡を含む充填材)を備えてなる。
H鋼31は、図3(a)に示したように、それぞれのL形擁壁16の内側に擁壁底部16b上に擁壁側部16aに沿って鉛直方向に立設されており、道路盛土部3の延設方向には、それらが所定ピッチを空けて配列された柱部材である。
コンクリートパネル15は、盛土部擁壁34の外壁面を構成するように、それらH鋼31を外側から覆うように取り付けられている外壁部材である。
【0036】
気泡モルタル25は、モルタルに気泡を混入させ、軽量かつ高流動性の充填材としたもので、EPSブロック積層体30の側面とコンクリートパネル15との間の隙間に充填されて固化されたものである。
H鋼31とEPSブロック積層体30(耐薬品シート33)は、当接してもよいが、わずかに隙間を空けて、気泡モルタル25がその隙間に充填されるようにすれば、H鋼31とEPSブロック積層体30との間を断熱することができるから、より好ましい。
【0037】
気泡モルタル25は、例えば、モルタルに気泡製造機で製造した気泡を攪拌混合することにより製造することができる。また、例えば、モルタル内のアルカリ分と化学反応して気泡を発生する発泡剤を添加して製造してもよい。
気泡モルタル25の気泡含有量は、それぞれの製造方法特有の方法で制御することができる。そして、その気泡含有量は固化後の所定の剛性、強度および断熱特性を備えるように適宜に設定する。
【0038】
気泡モルタル25の固化後強度は、コンクリートパネル15と一体化した状態で、想定応力に耐える剛性や強度を備え、しかも想定衝撃荷重に耐えることが最も好ましい。しかし、想定衝撃荷重によりその衝撃エネルギーを吸収しながら部分的に破損し、損傷が気泡モルタル25内に留まるような強度に設定してもよい。そうすれば、コンクリートパネル15および気泡モルタル25は損傷するとしても、EPSブロック積層体30の健全性は保たれるから、盛土部擁壁34を補修するのみで、道路盛土部3を継続使用することが可能となる。
また気泡モルタル25の断熱特性は、道路5側の想定火災条件において、EPSブロック26の溶融および発火が起こらないように設定する。
【0039】
次に、盛土部擁壁34の上方に設けられるアプローチ道路7aの構成について説明する。
アプローチ道路7aは、盛土部上に形成される周知の道路と同様な構成を用いることができ、本実施形態では、コンクリート床版20を路床とするアスファルト舗装の例を示した。すなわち、図3(b)に示したように、コンクリート床版20の上方に、路盤材27、粒度調整砕石層29b、瀝青安定処理層29a、基層28b、路面舗装28a(路面)が、それぞれ形成され、幅方向の左右に盛土部路肩形成ブロック17が設けられている。
【0040】
路盤材27は、階段状に配置されたコンクリート床版20の上に、斜面状の路盤を形成するためのもので、例えばクラッシャランなどを採用することができる。
盛土部路肩形成ブロック17は、路盤材27および盛土部擁壁34上に配置され、路肩と側壁を形成するためのコンクリートブロックである。
粒度調整砕石層29bは、適宜粒度の砕石を、盛土部路肩形成ブロック17の底部および路盤材27上面を覆うように敷き詰めた層であり、それにより、路盤上に、より滑らかな斜面を形成する。
瀝青安定処理層29aは、粒度調整砕石層29b上に設けられ、斜面を一体化している。
そして、その上に、アスファルトにより、基層28b、路面舗装28aが形成されている。
【0041】
次に、入口スロープ部8bについて説明する。
入口スロープ部8bは、道路盛土部3と道路5の段差を円滑に繋ぐための傾斜部であり、図2(c)に示したような断面を備える。すなわち、基礎材11上に擁壁底部16bに接続するコンクリート床版35を設け、その左右の側部に、コンクリート版からなる擁壁22を設け、それらで囲まれる空間に砂21を埋め戻し、その上部にアプローチ道路7aを延設してなるものである。
【0042】
次に、以上に説明した道路盛土部3を形成する道路盛土工法について説明する。
道路5の中央部を道路4と交差点近傍から所定距離において適宜の深さだけ掘削する。その上に基礎材11を敷き均して、水平面を形成する。
その上に橋梁部擁壁10、L形擁壁16、コンクリート床版35を配設し、基礎材11上が擁壁底部16bとコンクリート床版35で覆われるようにする。そして、H鋼31を建て込んで、コンクリートパネル15を取り付け、入口スロープ部8bには、擁壁22を設置する。
【0043】
そして、上記に説明した発泡樹脂ブロックの積層方法を用いて、擁壁底部16b上にEPSブロック積層体30を設ける。そして、コンクリートパネル15とEPSブロック積層体30の間に気泡モルタル25を充填して固化させ、盛土部擁壁34を形成する。
それから、EPSブロック積層体30の上面と盛土部擁壁34で囲まれる階段状部分に、路盤材27を敷設し、傾斜面を形成する。入口スロープ部8bには、砂21を埋め戻す。さらに、その上に、盛土部路肩形成ブロック17を固設して、アプローチ道路7aを施工する。
このようにして、道路盛土部3を形成することができる。ここで、入口スロープ部8bを構築する以外の工法は、EPS盛土部8aを構築するための道路盛土工法となっている。
【0044】
次に、交差橋梁部2について説明する。
交差橋梁部2の概略構成は、図2(a)、(b)に示したように、基礎杭としての場所打ち杭14、橋脚13、縦桁12および橋梁道路7bを備える。
【0045】
場所打ち杭14は、橋脚13を支持するために、道路盛土部3の延設方向における擁壁側部10aの隣接位置2箇所に設けられた杭基礎であり、杭孔に鉄筋14aを建て込んで、コンクリートを打設したものである。
その杭頭部には、外周部に密着接合されて鋼管14が設けられ、上方に開口するように延設されている。
この場所打ち杭の施工方法としては、公知のベノト工法、リバース工法、全旋回オールケーシング圧入工法などがある。また、場所打ち杭でなくても既成杭でもよく、この場合は鋼管杭、コンクリート杭の圧入工法で行えばよい。要するに基礎杭は、設計条件、工事場所の環境に応じて適宜工法や構造を選択できる。
また、基礎杭の本数または設置箇所は、2本または2箇所に限定されるものではない。
【0046】
橋脚13は、コンクリート充填鋼管柱13b、13bと横桁13aとからなる。図7(a)は、橋脚13の概略構成を説明するための平面説明図である。図7(b)は、図7(a)におけるK−K断面図である。
コンクリート充填鋼管柱13bは、所定径の鋼管柱にコンクリート13cを充填して固化させたもので、場所打ち杭14の杭頭にコンクリート14bにより固定されている。
図7(b)に示したように、コンクリート充填鋼管柱13bの上端から所定距離離れた下方には、横桁13aを上下方向に係止するにフランジ13gが設けられている。フランジ13gの上面は、横桁13aを水平方向に摺動可能とする摺動性を備えている。例えばフッ素樹脂加工されたり、フッ素樹脂シートが敷かれたりしている。
【0047】
横桁13aは、コンクリート充填鋼管柱13b、13bを上方から覆うことが可能なプレキャスト鉄筋コンクリートブロック部材で、あらかじめ設置場所以外の工場で製造される。
横桁13aの下面側には、コンクリート充填鋼管柱13b、13bの、それぞれの柱頭部をフランジ13gより上側を覆い、その柱頭部の周囲に所定の隙間を形成する箱抜き部13e、13eが設けられている。
【0048】
それぞれの箱抜き部13eの上部には、グラウトを充填するためのグラウト充填孔13dが設けられ、横桁13aの上面に貫通されている。また、箱抜き部13eの下側の開口の大きさは、フランジ13gの外周形状よりも狭い大きさとされている。
箱抜き部13eの側部には、横桁13aの長手方向の側部からそれぞれ進退自在とされている位置調整部材13f、13fが設けられている。
【0049】
位置調整部材13fは、箱抜き部13eで覆われたコンクリート充填鋼管柱13bの柱頭部を水平方向に押圧して、コンクリート充填鋼管柱13bに対する横桁13aの水平方向の位置調整を行う部材で、例えば、横桁13aに形成された雌ねじに螺合するボルト部材を採用することができる。
横桁13aは、位置調整部材13fで位置調整を行うことにより、擁壁側部10aに平行かつ橋軸直角方向に配置された状態で、場所打杭14、14に固定されている。
なお、箱抜き部13e、グラウト充填孔13dは、橋脚13の組立後に、グラウトが注入されて埋められる。
【0050】
他の横桁13aの形態として、ボックス形状の鋼製としてもよい。そうすれば、より軽量化が図れる。
また、横桁13aを、上部開放の箱形鋼板内にジベルを配して中詰めコンクリートを打設するような、合成構造の横桁としてもよい。合成構造の場合は、予め設置前にコンクリートを打設してプレキャスト形式にしておくと工期短縮が図れ、設置後に現場でコンクリートを打設する場合は、鋼管柱を巻き込んでコンクリート打設するようにすれば、後々のモルタル充填の手間が省け、より一体化が図れる。
【0051】
縦桁12は、横桁13a上に支承32により支持され、橋軸方向に架設された鋼製桁部材である。したがって、それぞれの縦桁12は、橋軸方向の両端部を少なくとも2つの支承32により支承されている。
支承32は、橋軸方向の一方が固定支承、他方が可動支承とされ、縦桁12を橋軸方向に伸縮可能に支承している。
【0052】
橋梁道路7bは、縦桁12上に設けられた鉄筋コンクリートブロックからなる橋梁部床版形成ブロック18(床版)上に、コンクリートまたはアスファルトなどからなる路面舗装28aを備えている。
【0053】
なお、本実施形態において、床版である橋梁部路盤形成ブロック18をブロック形状にしているが、この場合は、かみ合わせやボルト締結、鋼材による緊張を施して、ブロック相互の連結を図るのがよい。
他の床版の実施形態としては、鋼・コンクリート合成床版構造にすることがある。図示はしていないが、ジベル付きの型枠兼用の底鋼板を縦桁上に配し、その後鉄筋を配するなどしてコンクリートを打設し、床版を形成することができる。この場合も、前記のブロック構造と同様に、別途の型枠ばらしや組払しがないので、工期短縮できることになる。
【0054】
本実施形態に係る立体交差道路1は、交差橋梁部2を橋脚13、13により道路盛土部3とは独立に支持するので、その施工に際して、交差橋梁部2と道路盛土部3とを並行して施工することができる。そのため、本実施形態に係る立体交差道路の施工方法は、交差橋梁部2の施工方法と、道路盛土部3の施工方法に分けることができる。
【0055】
交差橋梁部2の施工方法は、まず、道路4の所定位置を削孔し、鉄筋14aを建て込み、道路5よりわずかに低い柱頭部まで、コンクリートを打設して、場所打ち杭14を形成する。
そして、橋脚構築工程を行う。
橋脚13の鋼管柱を、場所打杭14の柱頭部上の鋼管14cの内部に配置し、鋼管柱の周りにコンクリート14bを打設して柱頭部と接合する。そして、鋼管柱の内部にコンクリート13cを充填してコンクリート充填鋼管柱13bを形成する。なお、鋼管柱頭部にはジベルを設けておくとよい。
【0056】
そして、横桁13aを、コンクリート充填鋼管柱13b、13bが箱抜き部13e、13eの内部に貫入するように、配置し、フランジ13g上に係止する。ここで、位置調整部材13fによりコンクリート充填鋼管柱13bの柱頭部に対する横桁13aの位置調整を行う。フランジ13gの上面は摺動性を有しているから、横桁13aの移動が容易となり、微妙な調整が容易に行える。
このような位置調整を行うようにしたので、コンクリート充填鋼管柱13bは、この調整範囲に収まる程度のラフな配置精度で設けることができる。また、位置調整部材13fを横桁13aに内蔵したことにより、調整手段を設置する段取りなどが省略でき、施工効率を向上できるという利点がある。
【0057】
横桁13aの位置調整が終わったら、その状態を保持したまま、グラウト充填孔13dから、グラウトを注入し、箱抜き部13eとコンクリート充填鋼管柱13bとの隙間を充填する。そして、固化が進み、所定強度が発現するまで養生する。
そして同様にして、道路4を挟んで対向する側にも橋脚13を設ける。以上で、橋脚構築工程が終了する。
【0058】
次に、それぞれの横桁13aの上部に必要な支承32を配設し、対向する橋脚13間に縦桁12を架設する。さらに、縦桁12の上部に橋梁部床版形成ブロック18を固定して、その上面に橋梁道路7bを施工する。
【0059】
道路盛土部3の施工方法は、上記に述べた通りなので、説明を省略する。
このようにして、立体交差道路1を施工することができる。
【0060】
このような立体交差道路1によれば、交差橋梁部2と道路盛土部3とを並行して施工できるので、施工の効率を向上することができる。
さらに、交差橋梁部2の施工方法においては、交差橋梁部2が道路盛土部3に対して独立した構造形式となっているため、道路盛土部3を支えるための頑丈な橋台などの構造を備える必要がなく、橋梁のみを支えるために、鋼管柱を用いた簡素な鋼・コンクリート複合構造の橋脚13を用いることができる。そして、橋脚13の基礎が橋脚ごとの場所打ち杭14で形成されているために、軟弱地盤であっても基礎施工が容易となる。それらの結果として、施工工期短縮と施工コストの低減が可能となるという利点がある。
【0061】
道路盛土部3の施工方法においては、軽量なEPSブロック26を盛土材とするので、支持面を擁壁底部16bなどのコンクリート版により簡素に形成することができる。しかも、軟弱地盤などであってもそれほど沈下することがないから、地盤改良などの手間をかけることなくそのまま容易に施工することができるという利点がある。
【0062】
また、自立性のあるEPSブロック26を盛土材として用いるので、上方から荷重がかかってもほとんど側圧は生じないから、簡素な擁壁構造とすることができる。
そのため、橋梁部擁壁10は、比較的薄肉のプレキャストコンクリートで製作して基礎材11上に配設するだけで形成することができ、大掛かりな杭基礎などの施工を必要としない。
【0063】
また、盛土部擁壁34も、EPSブロック積層体30とコンクリートパネル15の間に、軽量で流動性が高い気泡モルタル25を充填して固化させるだけの迅速な施工が可能となる。
しかも、気泡モルタル25により、耐衝撃荷重特性、耐火・耐熱性が向上されるから、自動車の衝突事故やそれによる火災の発生しやすい道路わきにおいても、高信頼性を備える道路盛土部3を構築することができるという利点がある。
【0064】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
本変形例は、上記の説明における橋脚13に代えて、橋脚40を用い、その他は、すべて上記と共通である。以下、上記と異なる点のみ簡単に説明する。
図8(a)は、橋脚40の概略構成を説明するための正面説明図である。図8(b)は、図8(b)におけるL−L断面説明図である。
橋脚40は、鋼・コンクリート合成構造となる鋼製の横桁部40aと、横桁部40aの下面から延ばされた鋼管柱からなる鋼管柱部40bとを有する門型の鋼製部材と、その内部に配置された補強鉄筋41aおよび横桁部鉄筋41b、ならびにその内部に打設されたコンクリートからなる。
【0065】
このような橋脚40の施工方法は、上記に説明した橋脚構築工程のみが異なる。すなわち、本変形例では、場所打杭14上に、一体化された横桁部40aおよび鋼管柱部40bを固定する。鋼管柱部40bの先端が鋼管柱からなるため、上記実施形態と同様に固定することができる。
そして、鋼管柱部40bにコンクリートを徐々に充填し、その柱頭部と横桁部40aとの接続部分近傍の位置に、補強鉄筋41aを配置し、補強鉄筋41aの上部に横桁部鉄筋41bを接続する。そして、横桁部40a内にコンクリートを充填する。
このようにして、橋梁構築工程が終了し、橋脚40が形成される。
【0066】
ただし、横桁部40aおよび鋼管柱部40bを場所打杭14上に立設するに当たっては、鋼管柱部40bを場所打杭14上に立設してから横桁部40aを接合して一体の門型を形成してもよいし、あらかじめ、横桁部40aと鋼管柱部40bと門型に一体化してから場所打杭14上に立設してもよい。
【0067】
このように構成された橋脚40によれば、鋼管柱部40bや横桁部40aが鋼製部材であるから、軽量であり、容易に立設できるため、施工効率がさらに向上するという利点がある。また、横桁部40aと鋼管柱部40bとを一体化した門型として立設すれば、空中でそれぞれを一体に接合する手間が省けるからさらに迅速な施工が可能となる利点がある。
それからこの場合、横桁部40aをボックス形状などの鋼製部材のみの構成としてもよい。その他、横桁部40aをプレキャストコンクリート製にすれば、横桁部のコンクリート充填が省かれる。ただし、プレキャストコンクリート製の場合は、コストは下がるが重量増となるので、どちらを採用するかは、現場条件によることになる。
【0068】
なお、上記の説明では、発泡樹脂ブロックは、発泡スチロール(EPS)を用いた例で説明したが、EPSと同様に自立性を備え、圧縮荷重下で大きく側方に変形しない発泡樹脂であれば、どのような材料を用いてもよい。
【0069】
さらに、上記の説明では、気泡を含む充填材として気泡モルタル25を用いた例で説明した。このようにすれば、大部分が独立気泡からなるため、高強度で通気性のないものとすることができる。
一方、ポーラスコンクリートなどの連続気泡を備える充填材を用いてもよい。その場合でも空気層を内蔵するので、断熱効果を有する。さらに、雨水を保持する保水性があるから、耐火性が高いという利点もある。
【0070】
また、上記の説明では、工期を短縮できるように、橋梁部擁壁10、L形擁壁16などをプレキャストコンクリートとした例で説明したが、本発明は、発泡樹脂ブロックの採用により工期が短縮できるとともに、これら発泡樹脂ブロックを支持する構造が簡素化されているので、施工の都合によっては、これらコンクリート部材は現場打ちで形成してもよい。
【0071】
また、上記の説明では、下側荷重伝達版として、擁壁底部16b、16bを突き合わせて用いる例で説明したが、擁壁底部16b、16b間に、別部材のコンクリート版を配置して下側荷重伝達版としてもよい。そのようにすれば、L形擁壁16が簡素に製作でき、また、道路幅が広い立体道路の施工も容易となる。
【0072】
また、上記の説明では、EPSブロック積層体30の下面を同一平面に配置する例で説明したが、下面側も階段状に掘削して、発泡樹脂ブロックの積層構造体の厚みを一定、もしくは厚みのばらつきを低減するように、発泡樹脂ブロックの下面も階段状とする構成にしてもよい。そのようにすれば、発泡樹脂ブロックの圧縮ひずみのばらつきがなくなるか、少なくすることができ、全体として耐久性を向上することができるという利点がある。
【0073】
また、上記の説明では、緊張材は自立性のある太さの鋼棒としたが、発泡樹脂ブロックの積層中に吊り上げて仮支持しておけば、例えばPCワイヤーなどの自立性のない緊張材を採用してもよい。
【0074】
また、上記の説明では、大きな上載荷重であっても長期にわたって安定させることができるように、発泡樹脂ブロックにプレストレスを導入した例で説明した。しかし、立体交差道路の大きさや目的によっては、プレストレスを導入せず、したがって、緊張材を備えない構成としてもよい。例えば、交通荷重が小さく、長期にわたる発泡樹脂ブロックの寸法変化が問題とならない場合や、寸法変化するとしてもメンテナンスが容易な小規模の立体交差道路などの場合である。
このようにすれば、緊張材やプレストレス導入作業を省略できるから、施工コストを安価に抑え、施工工期を短縮することができる。
【0075】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の立体交差道路およびその施工方法によれば、上載荷重がかかる場合でも、軽量にして簡素な構成とすることができ、施工効率を向上することができ、その結果、施工工期を短縮して施工コストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る立体交差道路の概略構成を説明するための平面説明図およびそのA−A断面図である。
【図2】 図1(a)におけるB視の側面説明図、C−C断面図およびD−D断面図である。
【図3】 図1(a)のE−E断面図およびその部分拡大図である。
【図4】 図3(b)におけるG−G断面図および図1(a)におけるH−H断面図である。
【図5】 耐薬品シートの配置を説明するためのE−E断面概略図である。
【図6】 本発明の実施形態に係る発泡樹脂ブロックの積層構造体の延設方向断面の概略説明図である。
【図7】 本発明の実施形態に係る橋脚の概略構成を説明するための平面説明図およびそのK−K断面図である。
【図8】 本実施形態の変形例に係る橋脚の概略構成を説明するための正面説明図およびそのL−L断面図である。
【図9】 従来の立体交差道路の概略構成を説明するための断面説明図である。
【符号の説明】
1 立体交差道路
2 交差橋梁部
3 道路盛土部
4 道路(下側道路)
7a アプローチ道路(上側道路)
7b 橋梁道路(上側道路)
8a EPS盛土部(道路盛土構造体)
9 中間床版
10b 擁壁底部(下側荷重伝達版)
12 縦桁
13、40 橋脚
13a 横桁
13b コンクリート充填鋼管柱(コンクリートが充填された鋼管柱)
13d グラウト充填孔
13e 箱抜き部
13f 位置調整部材
13g フランジ
14 場所打ち杭(基礎杭)
15 コンクリートパネル
16b 擁壁底部(下側荷重伝達版)
18 橋梁部床版形成ブロック(床版)
20 コンクリート床版(上側荷重伝達版)
24 鋼棒(緊張材)
25 気泡モルタル(気泡を含む充填材)
26 EPSブロック(発泡樹脂ブロック)
28a 路面舗装(路面)
30 EPSブロック積層体(発泡樹脂ブロックの積層構造体)
31 H鋼
33 耐薬品シート
34 盛土部擁壁(擁壁)
40a 横桁部(横桁)
40b 鋼管柱部(鋼管柱)
Claims (4)
- 下側道路の上方に交差して設けられた交差橋梁部と、該交差橋梁部の延設方向の端部に設けられた道路盛土部とからなり、前記交差橋梁部および前記道路盛土部のそれぞれの上部に上側道路を形成した立体交差道路の施工方法であって、
前記交差橋梁部は、
基礎杭を前記下側道路の横断方向の両側に構築し、
鋼管柱およびその上部に橋軸直角方向に設けられた横桁を備える橋脚を、前記基礎杭の上部に立設するとともに、前記鋼管柱内にコンクリートを充填する橋脚構築工程を行い、
前記橋脚の橋軸方向に縦桁を架設して、
該縦桁上に、上側道路を敷設するための床版を構築することにより形成し、
前記道路盛土部は、
発泡樹脂ブロックを盛土材として積層することにより形成して、
前記交差橋梁部と前記道路盛土部とに、それぞれ路盤および路面を備える上側道路を形成することを特徴とする立体交差道路の施工方法。 - 前記橋脚構築工程が、
前記橋脚を、あらかじめ前記鋼管柱と前記横桁とに分割しておき、
前記鋼管柱を前記基礎杭の上部に接合して、該鋼管柱内にコンクリートを充填してから、
該鋼管柱の上部に、前記横桁を架設して固定する工程であることを特徴とする請求項1に記載の立体交差道路の施工方法。 - 前記橋脚構築工程が、
前記基礎杭の上部に、前記鋼管柱と前記横桁とを一体に立設して、
前記鋼管柱の内部にコンクリートを充填する工程であることを特徴とする請求項1に記載の立体交差道路の施工方法。 - 下側道路の上方に交差して設けられた交差橋梁部と、該交差橋梁部の延設方向の端部に設けられた道路盛土部とからなり、前記交差橋梁部および前記道路盛土部のそれぞれの上部に上側道路が形成された立体交差道路であって、
前記交差橋梁部が、
前記下側道路の横断方向の両側に構築された基礎杭と、
該基礎杭の上部に、コンクリートが充填された鋼管柱およびその上部に橋軸直角方向に設けられた横桁を備えた橋脚と、
該橋脚の橋軸方向に架設された縦桁と、
該縦桁上に構築された床版とを備え、
前記道路盛土部が、
盛土材として、積層された発泡樹脂ブロックを備え、
前記交差橋梁部と前記道路盛土部の上部にそれぞれ上側道路が、設けられてなることを特徴とする立体交差道路。
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