JP3988268B2 - 相変化インク及びプリント方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々のサブストレート、特に、透明紙(トランスパレンシ)にプリントして、X線、超音波、核医学、磁気共鳴、コンピュータ断層撮影、血管造影などの高品質の医療用画像を形成するのに有用な特殊な相変化インク組成物に関する。特に、本発明は、印刷品質で、ブラック・シルバー・ハロゲン化医療画像を知覚できるようにした画像を形成するのに利用できる相変化インクと、この相変化インクを用いたプリント方法に関する。このインクを調合するには、黒色着色料、好適には、人間の視覚スペクトルでは吸光度(absorbance)領域が完全には低くない染料(dye)と、少なくとも1つの他の着色料(colorant)、好適には、黒色染料の充分に低くない吸光度の領域に対応する高い吸光度領域の染料とを化合する。
【0002】
【従来の技術】
X線写真フィルムは、医療画像分野において、医療診断を助けるために長期間にわたって使用されてきた。ハロゲン化銀写真フィルムの現像により生じる黒色は、いくらか茶色がかった黒の色相である。今日の医療画像写真フィルムの大部分は、青淡彩のポリエステル透明支持体に描かれて、ハロゲン化銀フィルムの現像において、より中性の黒色の色合いを生じる。放射線医学者は、この特定の黒色の色合いにおける光学的濃度での繊細な階調を探すことによって、これらフィルムを読み取るというトレーニングを受けてきた。医療画像用ハロゲン化銀フィルムは、医療診断を行う際に非常に有用であることを立証した。しかし、医療画像用のハロゲン化銀組成物を用いることには、いくつかの欠点がある。これらフィルムは高価であり、また、画像を撮影前のフィルムは、貯蔵寿命が制限されており、光や他の放射から保護しなければならず、画像を現像するのに化学的で湿った処理(化学的なウエット処理)が必要である。また、使用する現像用化学薬品を処理することによる環境への影響の関心が高くなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
医療診断画像アプリケーションにおいて、同じ青淡彩、又は、クリアで不透明な見かけの非ハロゲン化銀X線サブストレート上に黒色染料着色料を用いた市販の相変化インク組成物をインク・ジェット画像システムで用いることが提案されている。
【0004】
インク・ジェット画像システムにおいて、非ハロゲン化銀を含むフィルムに相変化インクで形成した画像は、診断品質レベルにあることが判ったが、黒色は、放射線学者が見慣れたものと異なっている。この異なる色(即ち、標準青淡彩X線サブストレート上での青みを帯びた黒色の色合い)は、ハロゲン化銀含有フィルム上に形成した画像の吸光度に比較して、約380ナノメートル(nm)から約670nmまでの可視波長スペクトルにわたる黒色染料の吸光度における大きな差によるものであることが判った。例えば、色指数(Color Index:C.I.)がソルベント・ブラック(Solvent Black)45の如き標準黒色染料では、吸光度が高い領域と低い領域とが存在する。さらに、475nm領域の吸光度が、580nm領域の吸光度の約60〜70%だけになる。よって、高い吸光度領域よりも、低い吸光度領域における画像サブストレートを通過する光が多く、ハロゲン化銀フィルム上に形成した画像と比較すると、画像フィルム・サブストレート上に意図しない色合いの差が生じる。なお、図2は、医療診断画像において従来用いている青淡彩ポリエステル・ベース・フィルム上に形成した従来のハロゲン化銀の黒色X線画像の可視吸光度スペクトルを示す図である。また、図3は、医療診断画像において従来用いているクリアなポリエステル・ベース・フィルム上に形成した従来のハロゲン化銀の可視吸光度スペクトルを示す図である。
【0005】
したがって、医療診断画像アプリケーションにおいて、非ハロゲン化銀写真フィルムに対して、市販の黒色相変化インクを意図的に使用した際に生じた上述の問題を解決する改良された相変化インクが求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
よって、本発明は、耐光性(光で色のさめない特性)で熱的に安定した相溶性(compatible)黒色着色料系(colorant system)と化合させた相変化インク基剤(ベース)を有する相変化インク組成物を目指している。この黒色着色料系は、黒色着色剤と、少なくとも1つの他の着色剤とを含んでいる。黒色着色剤は、可視スペクトルにおいて少なくとも1つの低い吸光度領域、及び少なくとも1つの高い吸光度領域を有することが好ましく、他の着色剤は、この黒色着色薬剤の低い吸光度領域において高い吸光度帯域(バンド:光の波長の帯域)を有することが好ましい。
【0007】
また、本発明は、着色剤系(colorant system)であり、この着色剤系は、(1)475ナノメートル領域での吸光度が580ナノメートル領域にて吸光度が80%未満である黒色着色剤と、(2)475ナノメートル領域である程度の吸光度を有する充分な量の少なくとも1つの他の色染料との化合物を具えていることが好ましい。よって、この着色料系の580ナノメートル領域の吸光度に対する475ナノメートル領域の吸光度の比は、0.92:1.0から1.01:1.0であることが好ましい
【0008】
本発明の更に他の観点は、相変化インクがその上にプリントされたサブストレートであるプリンタ済みサブストレートを得ることである。
【0009】
本発明の特徴は、黒色着色剤及び他の着色剤を相変化インク内で化合させて、医療診断画像アプリケーションにおいて用いる最終画像形成用非ハロゲン化銀含有の透明フィルムにて、所望光学濃度を得ることである。
【0010】
本発明の好ましい特徴は、相変化インク内で黒色着色剤と化合させた第1着色剤が、オレンジ染料であることである。
【0011】
本発明の他の特徴は、インクに混合された際に着色料系と化合する染料の比率を調整して、約380ナノメートル及び約650ナノメートルの間で、ハロゲン化銀フィルム上で吸光度スペクトルと互換性のある吸光度スペクトルを生じることである。
【0012】
本発明の更に他の特徴は、医療画像を蛍光性ライトボックス上で通常に見る環境で観察した際に、観察者の目が知覚するハロゲン銀フィルムによる黒色と同様な画像を、黒色着色料系を含有する相変化インクにより形成することである。
【0013】
本発明の利点は、染料の如きプロセス又は合成黒色着色料、及び染料の如き他の着色料を、相変化インク・ベースと化合して相変化インクを作り、この相変化インクをインク・ジェット画像システムに用いることである。なお、このインク・ジェット画像システムは、環境適応性があり、また、医療診断画像において現在使用しているハロゲン化銀写真フィルムを用いる化学的なウェット処理システムと比較して、かなり安価である。
【0014】
本発明の他の利点は、相溶性黒色着色料系を用いた相変化インクをインク・ジェット・プリンタに用いた際に、沈殿物が生じないことや、又はプリント・ヘッド・インク・ジェット・オリフィスが詰まらないことである。
【0015】
本発明の別の利点は、医療診断画像アプリケーションにおいて、インク・ジェット・プリンタを用いた際、黒色着色料系が相変化インクと相溶性があることである。
【0016】
本発明の更に他の利点は、黒色着色料系が安定しており、画像形成領域内で時間経過に伴って拡散しないことである。
【0017】
更に本発明の利点は、黒色着色料系ブルームに染料がないこと、即ち、プリントした画像の表面上に埃のような粉として、染料が結晶化せず、その表面に拡散しないことである。
【0018】
本発明のインクにおいて、上述の及びその他の観点、特徴及び利点は、低い吸光度領域を有する染料の如き黒色着色剤と、この黒色着色剤の低い吸光度領域に対応する高い吸光度領域を有する染料の如き少なくとも1つの第2着色剤とを化合することにより達成される。また、この化合により、インク・ジェット医療診断画像アプリケーションにて有用なインクが得られる。これは、放射線学者が典型的に用いる蛍光性光源を使用して見た際に黒色ハロゲン化銀写真フィルムを用いて作成した画像と互換性があり、約380ナノメートルから約670ナノメートルまでの人間の可視応答スペクトルにおける黒色領域により画像を作成できる。
【0019】
本発明の上述及び他の観点、特徴及び利点は、添付図を参照した以下の詳細説明から一層明らかになろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
本明細書で用いる各用語の意味は次のようなものである。
【0021】
相溶性黒色着色料系(compatible black colorant system)は、色が黒の少なくとも1つの着色剤であり、相変化インク・ベース(基剤)及び着色剤(coloring agents)又は着色料(colorants)自体と化学的及び物理的に相溶性(即ち、非反応性及び溶解性)がある。相溶性黒色着色料系に用いる黒色着色剤は、プロセス・ブラック(process black:単一着色料)又はコンポジット・ブラック(composite black:着色料の配合物)でよい。耐光性(light fast)は、着色料系が、露光により衰えることに対して耐性のあることを意味する。熱的安定とは、インク・ジェット・プリント・システムの動作温度において、着色料系が変色せず、容易に酸化せず、その他の反応をしないことを意味する。
【0022】
低い吸光度領域及び高い吸光度領域とは、本発明が用いる着色料で、人間の可視応答スペクトル内の低い吸光度領域における光の吸光度が、人間の可視応答スペクトルの高い吸光度領域における光の吸光度の約80%未満であることを意味する。これを図4に示す。この図4において、黒色染料スペクトルは、約425ナノメートル(nm)から約525nmまでが低い吸光度領域であり、約350nmから約400nmまで及び約550nmから約630nmまでが高い吸光度領域である。なお、この図を含めて、横軸が波長(nm)を表し、縦軸が吸光度(A)を表す。人間の可視応答は、約400nmから約670nmまでで意味があることに留意されたい。
【0023】
さらに、相溶性の良い着色料には、好ましくは、非ブルーミングで(ブルーミングがなく)、色合いが強い着色料を含む。非ブルーミングとは、着色料が、プリントされた画像の表面上の塵状の粉により、それ自体の表面に拡散せず、結晶にならないことを意味する。非拡散とは、染料の如き1つの着色料が、画像領域内で、例えば、暗い領域から、クリアな、即ち、明るい領域までにわたって、時間に伴って拡散しないことを意味する。色合いが強いとは、着色料が、その着色料の最少量から、単位重量当たり、強い吸光度、又は、非常に深い(光学的に密な)色を発生することを意味する。着色料又は着色剤は、好ましくは染料を含んでいるが、適切な顔料(pigment)、着色料イソシアネート誘導ウレタン・ワックス、ポリマー着色料及びその誘導体、着色料イソシアネート誘導混合ウレア/ウレタン樹脂を含むこともできると理解できる。
【0024】
本発明の相変化インクは、2つの部分、即ち、着色料系部分と、相変化インク・キャリア又はベース部分とから構成されている。
【0025】
相変化インク・ベースに対する黒色着色料系の割合は、所望吸光度を達成するのに必要な黒色着色料系の充分な量により決まる。インク・ベースに対する黒色着色料系の割合は、重量で100部分(パーツ)当たり0.1パーツ(重量部)ら7パーツ(重量部)(即ち、約0.1%〜約7%)であり、より好適には、重量で100パーツ(重量部)当たり0.2パーツ(重量部)ら4パーツ(重量部)(約0.2%〜約4%)である。
【0026】
本発明の着色料部分は、好適には、2つ以上の染料から作られる。これら染料の1つは、色指数(Color Index:C.I.)ソルベント・ブラック(Solvent Black)45、22、27、28、29及び35の如き黒色染料である。最も好ましいものは、C.I.ソルベント・ブラック45である。しかし、次の特性を組み合わせた任意の黒色染料が許容される。すなわち、これら特性は、(1)相変化インク・ベース部分の可溶性、(2)熱的安定性、(3)医療画像アプリケーションに有用な充分な耐光性である。
【0027】
本発明では、着色料系の他の着色料も本来的に選択する。その理由は、これら他の着色料が、黒色着色料の可視スペクトルの吸光度の不完全に低い領域(即ち、C.I.ソルベント・ブラック45の場合、少なくとも約425nmから約525nm)の吸光度を増加するためである。さらに、これら他の着色料は、相変化インク・ベース部分の溶解性(可溶性)が充分でなければならず、熱安定性、黒色着色料との相溶性、非拡散、医療画像アプリケーションの設備における耐光性も必要である。さらに、環境的に安全で無毒なこの追加の1つ又は複数の着色料は、有毒物質規制法(TSCA:米国の1976年制定の連邦法)等の登録がしてあり、非ブルーミング特性で、強い色合いの特性で、市販製品であることが好ましい。2つの特定の染料であるC.I.ディスパース(Disperse)オレンジ47及びC.I.ソルベント・オレンジ60が、着色料として用いられる。
【0028】
C.I.ディスパース・オレンジ47及びC.I.ソルベント・ブラック45を化合して用いると、C.I.ソルベント・ブラック45に対するC.I.ディスパース・オレンジ47の重量比のパーツは、黒色染料の100パーツ(重量部)に対してオレンジ染料の5パーツ(重量部)ら10パーツ(重量部)までが好ましく、一層好ましくは、黒色染料の100パーツ(重量部)に対して、オレンジ染料の7パーツ(重量部)ら8.5パーツ(重量部)であることが判った。これら他の適切な染料の割合は、それらの個別の色合いの強さに応じて調整されると信じられている。
【0029】
相変化インク内の着色料系の結果的な吸光度は、約380nmから約630nmまでの可視スペクトルにわたって実質的に等しく(すなわち、ある1つの領域での吸光度は、ある他の領域での吸光度の80%未満である)なければならない。この機能的なアプリケーションは、高い吸光度領域と低い吸光度領域の間の吸光度をバランスさせる。この状態を図1に示す。ここでは、図4及び図5に示す吸光度の夫々の染料が化合されて、人間が応答する可視スペクトルの部分にわたって、吸光度が実質的にバランスする。さらに、本発明のインクは、着色料の上述の総ての好ましい特性を有さなければならない。顔料を着色料として用いると、分散剤又は界面活性剤を用いて、顔料の沈殿又は凝集を防止してもよい。
【0030】
本発明のインク組成物用に、任意の適切な相変化インク・ベース系を用いてもよい。適切な相変化インク・ベース系には、本願出願人に譲渡されたジャガー等のアメリカ合衆国特許第4889560号(特開平2−69282号に対応)に記載されたものがある。
【0031】
好適な場合、所望の光学密度の特定の黒色インクと共に用いる相変化インク・ベース組成物は、テトラ・アミドと、官能モノアミド化合物と、粘着付与剤、柔軟剤、抗酸化剤を含む改質剤とを具えている。これら相変化インク・ベース組成物の好適な組成範囲は、10から50重量パーセント、最適には約15から約30重量パーセントのテトラアミド組成物と;30から80重量パーセント、最適には約40から約55重量パーセントのモノアミド組成物と;0ら40重量パーセント、最適には約15から約35重量パーセントの粘着付与剤と;0ら30重量パーセント、最適には約4から約10重量パーセントの柔軟剤と;0ら2重量パーセント、最適には約0.05から約1重量パーセントの抗酸化剤とである。これらの相変化インク・ベースは、本願出願人に譲渡され1994年12月13日に発行されたアメリカ合衆国特許第5372852号に詳細に記載されている。
【0032】
本発明のプロセス及び系(system)に用いるインクは、好ましくは、初め固形であり、約85゜Cから約150゜Cまでの温度に上昇するように熱エネルギーを供給して、溶融状態に変化させる。この範囲よりも上の温度は、時間経過に伴ってインクを劣化、又は化学的に分解させる。次に、溶解したインクを、ラスタ形式で、プリント・ヘッドのインク・ジェットから、中間転写表面を形成する液体層の露出表面に供給する。ここで、インクは、中間温度まで冷却され、柔軟状態に凝固される。支持表面、即ち、ドラム上の中間転写表面を形成する液体層と、圧力及び溶融ローラとの間のニップに入れて、接触転写により、最終受け表面にインク画像を転写する。凝固したインクが柔軟状態に維持される中間温度は、約30゜Cと約80゜Cとの間である。
【0033】
固形の柔軟インク画像がニップに入ると、圧力及び溶融ローラのみによる最終受け媒体上のインク画像に対して作用する圧力により、又は、適切な加熱装置が供給する熱と、圧力との組み合わせにより、このインク画像はその最終画像形態に変形され、最終受け媒体に付着又は固定される。ここで、付加的な加熱手段をオプションとして用い、熱を供給して処理を容易にできる。インク画像に作用する圧力は、約10psi(1平方インチ当たりのポンド:1psi=0.07031Kg/cm2)から約2000psiの間であり、より好適には、約200psiから1000psiの間である。この圧力は、最終受け媒体にインク画像が付着するのに充分でなければならない。また、最終受け媒体がトランスパレンシのとき、これらの場合において、光が直線的に、又は、入力から出力への経路において大幅な偏光が生じないで、光がインク画像を確実に伝搬すると共に、インクが充分に変形するように、充分な圧力でなければならない。インク画像が最終受け媒体に付着すると、約20゜Cから約25゜Cの周囲温度にインク画像が冷却される。画像を形成するインクは、延性がなければならないか、ガラス転移温度よりも高い温度に保持された際に、割れ目を生じることなく、可塑性変形を生じるか、それを被らなければならない。ガラス転移温度未満では、インクは堅いがもろくなる。延性状態のインク画像の温度は、約−10゜Cと、ほぼ融点又は約85゜C未満の温度との間である。本明細書で記載した間接印刷処理は、本願出願人に譲渡され、1995年2月14日に発行されたアメリカ合衆国特許第5389958号(特開平6−293178号に対応)に記載されている。
【0034】
相変化インクの他の重要な特性は、粘性である。溶融インクの粘性は、インク・ジェット・プリント・ヘッドの要求に合致しなければならない。本発明の目的に対しては、カップ及びボブ・ジオメトリ(cup and bob geometry)を用いたボオリン(Bohlin)モデルCS−50レオメーターにより、相変化インクの粘性を測定する。本発明の相変化インク組成物の粘性は、約140゜Cにおいて、約10cPs(センチポイズ)から約16cPsであり、より好適には、約12cPsから約14cPsが望ましい。
【0035】
好適な相変化インク組成物の粘性は、モノアミド又はテトラアミド化合物のいずれかを更に加えることにより調整できる。モノアミド化合物を更に加えることにより粘性が低下し、テトラアミド化合物を更に加えることにより粘性が上昇する。
【0036】
本発明のインクと共に用いる最終受け媒体は、浸透性又は不浸透性、透明、半透明、又は不透明のサブストレートでもよい。紙を用いた場合、同じ見かけの光学濃度を達成するためにプリンタにより沈着させたインクの量は、ポリエステル・フィルム・トランスパレンシの如き透明サブストレートに沈着するインクの量の約半分である。これは、反射モードにおいて、紙の上のインクを通過する光が2倍であり、通過した光と反射した光の両方がそこから離れ、目に戻るためである。コントラストにおいて、透過モードで観察するトランスパレンシにより、光が1度通過すると、目に戻る。反射プリントと比較した場合、トランスパレンシの光学濃度がより広いダイナミック・レンジとなるので、トランスパレンシが、識別良好で有用なグレイ(灰色)レベルとなる医療診断画像用に好適な媒体となる。紙の限定された最大光学濃度レンジは、反射モードでの観察で達成可能であるが、診断アプリケーションに確実に有効となるのに充分な黒色レベルにならない。しかし、トランスパレンシは、反射プリントに比較して、光学濃度のレンジをより広くできるので、これらトランスパレンシは、診断画像用の好適な媒体である。
【0037】
本発明の好適な一実施例は、着色料系の4つの異なる濃度のインクを個別に用い、重ね合わせたプリントにより混合することにより、多数のグレイ・レベルを得ることができる。この実施例において、黒色着色料系のいかなるものも使用せずに、ベースのみを用いるクリアなインクを、3つの異なる重量パーセントの黒色染料、即ち、黒色染料が約0.41重量パーセント、黒色染料が約1.18重量パーセント、黒色染料が約3.15重量パーセントと組み合わせて用いている。これら染料の割合は、夫々低い、中位の、及び高い光学濃度黒色インクとなる。これら黒色インクの総ては、黒色染料に対するオレンジ染料の割合が同じで、可視スペクトルにわたって一層均一な吸光度が得られる。この実施例において、C.I.ディスパース・オレンジ47染料と、C.I.ソルベント・ブラック45染料とを共に用いた。総てのインクに対して、同じ割合で用いた。C.I.ソルベント・ブラック45染料に対するC.I.ディスパース・オレンジ47染料の好適な割合は、黒色の1パーツ(重量部)に対してオレンジの0.070パーツ(重量部)ら0.085パーツ(重量部)までである。黒色染料に対するオレンジ染料のこのコントラスト比は、医療画像用のハロゲン化銀フィルムに用いるX線フィルムにおいて得られる黒色をシミュレーションする。本発明のコンポジット黒色着色料系を用いて、個別の着色料成分を調整して、ハロゲン化銀フィルム上の画像の吸光度スペクトルと互換性のある吸光度スペクトルを達成できる。クリアなインクを含まない3レベル・インク系の調整は、全体的な輝度が異なるインクを含み、また、個別の着色料成分は、3つのインクの各々において、互いに一定の割合である。ここで用いたインク内の着色料の異なるレベルにより、多数のレベルの光学濃度を生じることができる。任意の黒色又はオレンジ染料を含有しないクリアなインク・ベースを医療画像アプリケーションにおいて用い、低い、中間(中位)の、及び高い光学濃度インクにより、光学濃度のダイナミック・レンジを得る。
【0038】
以下の実施例は、相変化インク処方を示しており、これら処方では、液体中間転写面がある場合とない場合との両方をうまく用いている。しかし、これら実施例は、使用する特定の材料、プロセス又は化学構造に本発明を限定するものではない。また、総てのパーツ及びパーセントは、特に明示しない限り、重量に対してである。
【0039】
【実施例】
[実施例1]
柔軟剤*1(722グラム)及び溶解したステアリル・ステアラミド*2(3746グラム)と、抗酸化剤*3(16.00グラム)とを、予め加熱した110゜Cのステンレス・スティールの容器に(この順序で)加えた。これら成分をプロペラ・ミキサーで混合し、この混合物にロジン・エステル樹脂*4(1781.92グラム)を20分間にわたってゆっくりと加え、混合物の温度を少なくとも100゜Cに維持した。二量体酸塩基テトラ・アミド*5(1509.84グラム)を15分間にわたって混合物に加える一方、最低混合温度を100゜Cに維持した。テトラ・アミドが溶解するまで、配合物を1時間にわたって混合した。この時、オレンジ染料*6(16.08グラム)及び黒色染料*7(208.01グラム)を加えて、約2時間にわたって混合した。次に、このインクを、約5psiの窒素圧力の下で2.0ミクロンのフィルタ(パル・フィルタ(Pall Filter)部品番号PFY1U2−20ZJ、製造番号416)に通した。
【0040】
この製品のサンプルのスペクトル強度について試験をしたところ、図1に示す結果が得られた。このフィルタ処理した製品には、2.60%の黒色染料と、0.197%のオレンジ染料のあることが判った。このインクの粘性は、カップ及びボブ・ジオメトリ(cup and bob geometry)を用いたボオリン(Bohlin)モデルCS−50レオメーターで測定したところ、140゜Cにて、12.890センチポイズであることが判った。このインクの580ナノメートル領域に対する475ナノメートル領域の吸光度の比は、0.978:1であった。アメリカ合衆国ニュージャージ州ピスカタウェイのラフェオメトリクス・インク(Rheometrics, Inc.)製で、二重の片持ちばり配置を用いたラフェオメトリクス固形分析器(RSA II)によるダイナミック・メカニカル分析(DMA)によると、次の物理的特性が判った。すなわち、ガラス転移温度(Tg)が10.8゜Cであり;貯蔵弾性係数E’が、25゜Cで2.5×109ダイン/cm2で、50゜Cで1.5×109ダイン/cm2であり;log tan δの積分が約−40゜Cから40゜Cまでで25.4であった。このインクは、TAインストールメントDSC2910調整済み差動走査熱量測定(DSC)を用いた差動走査熱量測定技術により、約90゜Cの相変化変位を示した。
【0041】
なお、*1は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのモンサント・ポリマー・プロダクト・カンパニー(Monsanto Polymer Products Co.)が製造しているフタル酸エステル柔軟剤であるSANTICIZER 278。
*2は、アメリカ合衆国テネシー州メンフィスのウィトコ・ケミカル・カンパニー(Witco Chemical Company)が製造しているステアリル・ステアラミドであるKEMAMIDE S−180。
*3は、アメリカ合衆国コネティカット州のユニローヤル・ケミカル・カンパニー(Uniroyal Chemical Company)が製造している抗酸化剤であるNAUGARD 455。
*4は、日本国大阪府のアラカワ・ケミカル・インダストリズ・インク(Arakawa Chemical Industries Inc.)が製造している水素化アビエチン(ロジン)酸のグリセロール・エステルであるKE−100。
*5は、アメリカ合衆国ニュージャージ州ウェーンのユニオン・キャンプ・コーポレーション(Union Camp Corporation)が製造しているUNIREZ 2970。
*6は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴのキーストーン・アニリン・コーポレーション(Keystone Aniline Corporation)が市販しているDISPERSE
ORANGE 47染料。
*7は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロトのクラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)が市販しているSOLVENT BLACK 45染料。
【0042】
[実施例2]
柔軟剤*1(217.5グラム)及び溶解したステアリル・ステアラミド*2(1382.9グラム)と、抗酸化剤*3(5.4グラム)とを、予め加熱した110゜Cのステンレス・スティールの容器に(この順序で)加えた。これら成分をプロペラ・ミキサーで混合し、この混合物にロジン・エステル樹脂*4(579.3グラム)を20分間にわたってゆっくりと加え、混合物の温度を少なくとも100゜Cに維持した。二量体酸塩基テトラ・アミド*5(516.5グラム)を15分間にわたって混合物に加える一方、最低混合温度を100゜Cに維持した。テトラ・アミドが溶解するまで、配合物を1時間にわたって混合した。この時、オレンジ染料*6(6.8グラム)及び黒色染料*7(88.4グラム)を加えて、約2時間にわたって混合した。次に、このインクを、約5psiの窒素圧力の下で2.0ミクロンのフィルタ(パル・フィルタ(Pall Filter)部品番号PFY1U2−20ZJ、製造番号416)に通した。
【0043】
この製品のサンプルのスペクトル強度について試験をした。このフィルタ処理した製品には、3.081%の黒色染料と、0.227%のオレンジ染料のあることが判った。黒色染料に対するオレンジ染料の重量比は、0.074から1.0であった。このインクの粘性は、カップ及びボブ・ジオメトリ(cup and bob geometry)を用いたボオリン(Bohlin)モデルCS−50レオメーターで測定したところ、140゜Cにて、12.88センチポイズであることが判った。このインクの580ナノメートル領域に対する475ナノメートル領域の吸光度の比は、0.970:1であった。アメリカ合衆国ニュージャージ州ピスカタウェイのラフェオメトリクス・インク(Rheometrics, Inc.)製で、二重の片持ちばり配置を用いたラフェオメトリクス固形分析器(RSA II)によるダイナミック・メカニカル分析(DMA)によると、次の物理的特性が判った。すなわち、ガラス転移温度(Tg)が10.8゜Cであり;貯蔵弾性係数E’が、25゜Cで2.3×109ダイン/cm2で、50゜Cで1.4×109ダイン/cm2であり;log tan δの積分が約−40゜Cから40゜Cまでで25.2であった。このインクは、TAインストールメントDSC2910調整済み差動走査熱量測定(DSC)を用いた差動走査熱量測定技術により、約90゜Cの相変化変位を示した。
【0044】
なお、*1は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのモンサント・ポリマー・プロダクト・カンパニー(Monsanto Polymer Products Co.)が製造しているフタル酸エステル柔軟剤であるSANTICIZER 278。
*2は、アメリカ合衆国テネシー州メンフィスのウィトコ・ケミカル・カンパニー(Witco Chemical Company)が製造しているステアリル・ステアラミドであるKEMAMIDE S−180。
*3は、アメリカ合衆国コネティカット州のユニローヤル・ケミカル・カンパニー(Uniroyal Chemical Company)が製造している抗酸化剤であるNAUGARD 455。
*4は、日本国大阪府のアラカワ・ケミカル・インダストリズ・インク(Arakawa Chemical Industries Inc.)が製造している水素化アビエチン(ロジン)酸のグリセロール・エステルであるKE−100。
*5は、アメリカ合衆国ニュージャージ州ウェーンのユニオン・キャンプ・コーポレーション(Union Camp Corporation)が製造しているUNIREZ 2970。
*6は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴのキーストーン・アニリン・コーポレーション(Keystone Aniline Corporation)が市販しているDISPERSE
ORANGE 47染料。
*7は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロトのクラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)が市販しているSOLVENT BLACK 45染料。
【0045】
[実施例3]
柔軟剤*1(226.8グラム)及び溶解したステアリル・ステアラミド*2(1229.7グラム)と、抗酸化剤*3(5.4グラム)とを、予め加熱した110゜Cのステンレス・スティールの容器に(この順序で)加えた。これら成分をプロペラ・ミキサーで混合し、この混合物にロジン・エステル樹脂*4(668.6グラム)を20分間にわたってゆっくりと加え、混合物の温度を少なくとも100゜Cに維持した。二量体酸塩基テトラ・アミド*5(567.8グラム)を15分間にわたって混合物に加える一方、最低混合温度を100゜Cに維持した。テトラ・アミドが溶解するまで、配合物を1時間にわたって混合した。この時、オレンジ染料*6(2.5グラム)及び黒色染料*7(33.0グラム)を加えて、約2時間にわたって混合した。次に、このインクを、約5psiの窒素圧力の下で2.0ミクロンのフィルタ(パル・フィルタ(Pall Filter)部品番号PFY1U2−20ZJ、製造番号416)に通した。
【0046】
この製品のサンプルのスペクトル強度について試験をした。このフィルタ処理した製品には、1.21%の黒色染料と、0.086%のオレンジ染料のあることが判った。黒色染料に対するオレンジ染料の重量比は、0.071から1.0であった。このインクの粘性は、カップ及びボブ・ジオメトリ(cup and bob geometry)を用いたボオリン(Bohlin)モデルCS−50レオメーターで測定したところ、140゜Cにて、12.78センチポイズであることが判った。このインクの580ナノメートル領域に対する475ナノメートル領域の吸光度の比は、0.957:1であった。アメリカ合衆国ニュージャージ州ピスカタウェイのラフェオメトリクス・インク(Rheometrics, Inc.)製で、二重の片持ちばり配置を用いたラフェオメトリクス固形分析器(RSA II)によるダイナミック・メカニカル分析(DMA)によると、次の物理的特性が判った。すなわち、ガラス転移温度(Tg)が9.0゜Cであり;貯蔵弾性係数E’が、25゜Cで2.3×109ダイン/cm2で、50゜Cで1.2×109ダイン/cm2であり;log tan δの積分が約−40゜Cから40゜Cまでで27.6であった。このインクは、TAインストールメントDSC2910調整済み差動走査熱量測定(DSC)を用いた差動走査熱量測定技術により、約92゜Cの相変化変位を示した。
【0047】
なお、*1は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのモンサント・ポリマー・プロダクト・カンパニー(Monsanto Polymer Products Co.)が製造しているフタル酸エステル柔軟剤であるSANTICIZER 278。
*2は、アメリカ合衆国テネシー州メンフィスのウィトコ・ケミカル・カンパニー(Witco Chemical Company)が製造しているステアリル・ステアラミドであるKEMAMIDE S−180。
*3は、アメリカ合衆国コネティカット州のユニローヤル・ケミカル・カンパニー(Uniroyal Chemical Company)が製造している抗酸化剤であるNAUGARD 455。
*4は、日本国大阪府のアラカワ・ケミカル・インダストリズ・インク(Arakawa Chemical Industries Inc.)が製造している水素化アビエチン(ロジン)酸のグリセロール・エステルであるKE−100。
*5は、アメリカ合衆国ニュージャージ州ウェーンのユニオン・キャンプ・コーポレーション(Union Camp Corporation)が製造しているUNIREZ 2970。
*6は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴのキーストーン・アニリン・コーポレーション(Keystone Aniline Corporation)が市販しているDISPERSE
ORANGE 47染料。
*7は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロトのクラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)が市販しているSOLVENT BLACK 45染料。
【0048】
[実施例4]
柔軟剤*1(212.5グラム)及び溶解したステアリル・ステアラミド*2(1180.2グラム)と、抗酸化剤*3(5.4グラム)とを、予め加熱した110゜Cのステンレス・スティールの容器に(この順序で)加えた。これら成分をプロペラ・ミキサーで混合し、この混合物にロジン・エステル樹脂*4(689.0グラム)を20分間にわたってゆっくりと加え、混合物の温度を少なくとも100゜Cに維持した。二量体酸塩基テトラ・アミド*5(614.8グラム)を15分間にわたって混合物に加える一方、最低混合温度を100゜Cに維持した。テトラ・アミドが溶解するまで、配合物を1時間にわたって混合した。この時、オレンジ染料*6(0.9グラム)及び黒色染料*7(11.1グラム)を加えて、約2時間にわたって混合した。次に、このインクを、約5psiの窒素圧力の下で2.0ミクロンのフィルタ(パル・フィルタ(Pall Filter)部品番号PFY1U2−20ZJ、製造番号416)に通した。
【0049】
この製品のサンプルのスペクトル強度について試験をした。このフィルタ処理した製品には、0.42%の黒色染料と、0.032%のオレンジ染料のあることが判った。黒色染料に対するオレンジ染料の重量比は、0.076から1.0であった。このインクの粘性は、カップ及びボブ・ジオメトリ(cup and bob geometry)を用いたボオリン(Bohlin)モデルCS−50レオメーターで測定したところ、140゜Cにて、12.83センチポイズであることが判った。このインクの580ナノメートル領域に対する475ナノメートル領域の吸光度の比は、0.983:1であった。アメリカ合衆国ニュージャージ州ピスカタウェイのラフェオメトリクス・インク(Rheometrics, Inc.)製で、二重の片持ちばり配置を用いたラフェオメトリクス固形分析器(RSA II)によるダイナミック・メカニカル分析(DMA)によると、次の物理的特性が判った。すなわち、ガラス転移温度(Tg)が9.5゜Cであり;貯蔵弾性係数E’が、25゜Cで2.3×109ダイン/cm2で、50゜Cで1.2×109ダイン/cm2であり;log tan δの積分が約−40゜Cから40゜Cまでで27.7であった。このインクは、TAインストールメントDSC2910調整済み差動走査熱量測定(DSC)を用いた差動走査熱量測定技術により、約93゜Cの相変化変位を示した。
【0050】
なお、*1は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのモンサント・ポリマー・プロダクト・カンパニー(Monsanto Polymer Products Co.)が製造しているフタル酸エステル柔軟剤であるSANTICIZER 278。
*2は、アメリカ合衆国テネシー州メンフィスのウィトコ・ケミカル・カンパニー(Witco Chemical Company)が製造しているステアリル・ステアラミドであるKEMAMIDE S−180。
*3は、アメリカ合衆国コネティカット州のユニローヤル・ケミカル・カンパニー(Uniroyal Chemical Company)が製造している抗酸化剤であるNAUGARD 455。
*4は、日本国大阪府のアラカワ・ケミカル・インダストリズ・インク(Arakawa Chemical Industries Inc.)が製造している水素化アビエチン(ロジン)酸のグリセロール・エステルであるKE−100。
*5は、アメリカ合衆国ニュージャージ州ウェーンのユニオン・キャンプ・コーポレーション(Union Camp Corporation)が製造しているUNIREZ 2970。
*6は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴのキーストーン・アニリン・コーポレーション(Keystone Aniline Corporation)が市販しているDISPERSE
ORANGE 47染料。
*7は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロトのクラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)が市販しているSOLVENT BLACK 45染料。
【0051】
[実施例5]
以下の手順に応じて、任意の着色料系により明暗のないクリアなインクを準備し、また、黒色の明暗のある低い、中間、及び高い光学濃度のインクと共にインク・ジェット・プリンタを用いた際に、光学濃度におけるダイナミック・レンジを得る。柔軟剤*1(207.9グラム)及び溶解したステアリル・ステアラミド*2(1169.7グラム)と、抗酸化剤*3(5.4グラム)とを、予め加熱した110゜Cのステンレス・スティールの容器に(この順序で)加えた。これら成分をプロペラ・ミキサーで混合し、この混合物にロジン・エステル樹脂*4(711.0グラム)を20分間にわたってゆっくりと加え、混合物の温度を少なくとも100゜Cに維持した。二量体酸塩基テトラ・アミド*5(605.8グラム)を15分間にわたって混合物に加える一方、最低混合温度を100゜Cに維持した。テトラ・アミドが溶解するまで、配合物を1時間にわたって混合した。次に、このインクを、約5psiの窒素圧力の下で2.0ミクロンのフィルタ(パル・フィルタ(Pall Filter)部品番号PFY1U2−20ZJ、製造番号416)に通した。
【0052】
このクリアなインクの粘性は、カップ及びボブ・ジオメトリ(cup and bob geometry)を用いたボオリン(Bohlin)モデルCS−50レオメーターで測定したところ、140゜Cにて、12.79センチポイズであることが判った。このインクの580ナノメートル領域に対する475ナノメートル領域の吸光度の比は、0.983:1であった。アメリカ合衆国ニュージャージ州ピスカタウェイのラフェオメトリクス・インク(Rheometrics, Inc.)製で、二重の片持ちばり配置を用いたラフェオメトリクス固形分析器(RSA II)によるダイナミック・メカニカル分析(DMA)によると、次の物理的特性が判った。すなわち、ガラス転移温度(Tg)が11.1゜Cであり;貯蔵弾性係数E’が、25゜Cで2.1×109ダイン/cm2で、50゜Cで1.1×109ダイン/cm2であり;log tan δの積分が約−40゜Cから40゜Cまでで27.0であった。このインクは、TAインストールメントDSC2910調整済み差動走査熱量測定(DSC)を用いた差動走査熱量測定技術により、約94゜Cの相変化変位を示した。
【0053】
なお、*1は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのモンサント・ポリマー・プロダクト・カンパニー(Monsanto Polymer Products Co.)が製造しているフタル酸エステル柔軟剤であるSANTICIZER 278。
*2は、アメリカ合衆国テネシー州メンフィスのウィトコ・ケミカル・カンパニー(Witco Chemical Company)が製造しているステアリル・ステアラミドであるKEMAMIDE S−180。
*3は、アメリカ合衆国コネティカット州のユニローヤル・ケミカル・カンパニー(Uniroyal Chemical Company)が製造している抗酸化剤であるNAUGARD 455。
*4は、日本国大阪府のアラカワ・ケミカル・インダストリズ・インク(Arakawa Chemical Industries Inc.)が製造している水素化アビエチン(ロジン)酸のグリセロール・エステルであるKE−100。
*5は、アメリカ合衆国ニュージャージ州ウェーンのユニオン・キャンプ・コーポレーション(Union Camp Corporation)が製造しているUNIREZ 2970。
【0054】
以下の手順により、上述の実施例のインク・サンプルの可視吸光度スペクトルを得ると共に、これら実施例の染料内容を求めた。
【0055】
図1に示す実施例1のインクの約0.16211グラムの重さを計って、オレンジの明暗のある黒色インクの溶液を250mLのメスフラスコに準備した。このインクは、n−ブタノール内で溶解させた。インクが完全に溶解すると、n−ブタノールがでメスフラスコが一杯になった。この溶液を完全に混合した。350nmから750nmまでを走査する二重ビーム(はり)パーキン・エルマー・ラムダ(Perkin-Elmer Lambda)2S UV(紫外線)可視分光計において、溶媒、n−ブタノールを含有する対照セルに対して、このサンプルの吸光度スペクトルを測定した。580nm及び475nmでの吸光度を用いて、フィルタ処理後のインクに混和される2つの染料の実際の量を計算した。
【0056】
[黒色着色料系を含有するインク内の黒色染料を求める]
図1に示す実施例1のインクの可視吸光度スペクトルにおいて、250.0mLのn−ブタノールにおける0.16211グラムのインク・サンプルに対して、580nmにおける吸光度は0.5104である。スペクトル強度は、787mL A/グラムであった(なお、Aは、吸光度)。テクトロニクス社製Phaser(登録商標)340型及び350型カラー・プリンタ用の市販の黒色インクで、2.344%のC.I.ソルベント・ブラック45を含有したインクのスペクトル強度は、710mL A/グラムである。したがって、図1に示す実施例1のインクは、[787/710]×2.344%又は、2.60%の黒色染料を含んでいる。
【0057】
[黒色着色料系を含有するインクにおけるオレンジ染料着色料系を求める]
実施例1の可視スペクトルにおける580nmでの吸光度は、0.5104であり、完全に黒色染料によるものである。このスペクトル領域を吸収するオレンジ染料の部分がない。黒色染料のみを含有するインクの475nmにおける吸光度は、580nm吸光度の64.82%である(図4参照)。したがって、黒色染料に特徴があるスペクトルで475nmの吸光度(図1参照)は、0.5104の0.6482倍又は0.3308倍である。図1に示す実施例1のインクの可視スペクトルにおける吸光度が実際には0.4991なので、付加的な吸光度は、完全にオレンジ染料の存在量で決まる。この付加的な吸光度は、0.4991−0.3308=0.1683である。オレンジ染料(図5参照)は、上述の分光計を用いて決まるが、その吸光度は、250mLのn−ブタノール内の染料1mg毎に0.527であった。したがって、黒色着色料系内のオレンジ染料の量は、0.1683/0.527=0.319mgでなければならない。実施例1のインクの162.11mgのサンプルを用いて、可視スペクトルを発生した(図1参照)。したがって、図1に示す実施例1のインクのサンプルのオレンジ量は、0.319mgを162.11mgで除算した値、又は、黒色インク内の0.197%のオレンジ染料である。図1に示すように、黒色染料に対するオレンジの比は、0.197〜2.60又は0.076〜1.00である。
【0058】
[熱的安定性の試験]
約145゜Cのオーブン内にあるシミュレーションしたプリント・ヘッド貯蔵器により、上述の実施例1に記載したものと同じインクをガラス・ビーカ内で408時間にわたって加熱した。スペクトル強度(ミリリットル吸光度/グラム)が771から645に低下したか、又は、インクがその初期染料強さの約16.3%を失った。これは、実際の動作条件に都合良く例えると、良くて又日常的である約8時間未満にわたる約140゜Cのプリント・ヘッドにおける上昇した動作温度にインクをさらすことができる。
【0059】
[相溶性の試験]
シアン、黄色、マゼンタ及び黒のインクを夫々実施例5、4、3及び2の光学濃度がクリアなインク、低いインク、中間のインク及び高いインクと交換した変更プリント・ヘッドを有するテクトロニクス社製Phaser(登録商標)350型プリンタに用いた際、実施例1〜4の黒色及びオレンジ染料が相互に相溶性であることが判った。プリンタの多数の清掃(パージ)/ふき取りサイクルでも、また、プリンタの試験インクの停止時間を伸ばしても、インク・ジェット・プリント・ヘッドのいかなるオリフィスも詰まらないことが観察された。
【0060】
プリンタの動作期間中における多数の通常の清掃サイクル期間中、プリント・ヘッド面又はその付近で、これらインクの間で反応が生じなかったし、インク内に沈殿も生じなかった。
【0061】
[接着耐久性の試験]
テクトロニクス社製Phaser(登録商標)350型カラー・プリンタで用いた市販の黒色インク及び実施例1〜5のインクのサンプルを、医療診断における蛍光ライトボックス観察で日常的に用いる透明フィルタ又はサブストレート上で、接着耐久性を以下のように試験した。第1組のデータは、画像を2度作成したサンプルに対するものであり、1度目は、実施例1のインクによるものであり、2度目は、実施例3のインクによるものであり、画像領域の125%を覆うようにした。残りのサンプルは、光学濃度が高いインク、中間のインク、低いインク及びクリアなインクと、市販の黒色インクとの個別のものを1回だけ画像作成し、透明フィルム・サブストレートへの接着を比較したものである。
【0062】
トランスパレンシ(透明)最終受けサブストレート上に一様に埋まり100%占めた相変化インクの1.9平方インチ(約12.26cm2:なお、1インチ=2.54cm)の画像形成サンプルをぴったりと張って保持した小さな試験固定具を各試験に用いた。平坦な金属スプリング上に設けられ、円形部が約1/2インチ(約1.27cm)の直径で、約1/4インチ(約0.635cm)の突起したプラスチック・ヘッドが、サンプルの媒体、又は、画像のない側部に、垂直的には中央で、中点より上で、衝撃を与えた。長さが3〜5インチ(7.62〜12.7cm)で、幅が7/16インチ(約1.11cm))で、厚さが約0.0035インチ(0.00889cm)の金属スプリングを、トリガ及び解放方法を用いて、約1インチ(約2.54cm)だけ後ろに引いて、ハンマーを駆動する。サンプルは、いずれかの側の2個の直立したポールで確保される。これらポールは各側の全体の長さにわたって、サンプルを直立したブラケット及び他のブラケットの間に挟んで、このサンプルをクランプする。画像形成したトランスパレンシ・サブストレート上に衝撃の後に残ったインク量は、ソフトウェアによる画像分析プログラム及びフラット・ベッド・スキャナによって求められる。ここでは、スキャナが、先ず、ハンマーにより衝撃された画像の選択した領域(1.46×1.09インチ(3.7084×2.7686cm)の矩形)を、1インチ(2.54cm)当たり439ドットの分解能で走査し、次に、この走査された領域を分析する。次に、このソフトウェア・プログラムは、走査された矩形領域から剥がれたインクの割合を計算する。これは、表1に示すように、トランスパレンシ・サブストレート上に残ったインクの割合を補間で求めてもよい。
【0063】
【表1】
Figure 0003988268
【0064】
[えぐり出し耐久性試験]
接着耐久性試験について上述したサンプルに対するプリンタ方法及びインクのサンプルを用いて、相変化インクで画像形成し一様に埋まったトランスパレンシ・サブストレートのえぐり出し(彫り:gouge)耐久性試験を以下のように行った。可変重みえぐり出し試験固定具用いた。これは、重み付けされたえぐり出し爪を有する3つのアームと、プリント・サンプルを確保する金属板とを具えている。この金属板が画像形成されたプリントをえぐり出し爪の真下に動かす。
【0065】
トランスパレンシ・サブストレート上の100%一様に埋まった画像を有するプリント(少なくとも10インチ(25.4cm)の長さで、えぐり出し爪のインターレースした引っかき経路が6個より多くても充分な幅で、各経路の幅が約2インチ(約5.08cm)を金属移動板に確保して、インク画像側で、サブストレートの長さに沿ってえぐり出しができる。3個のえぐり出し爪の正味の重さは、最初のえぐり出し期間中、夫々924グラム、660グラム及び396グラムである。各えぐり出しは、幅が0.5インチ(1.27cm)で、長さが1.245インチ(3.1623cm)であり、接触カーブの点は、直径が0.995インチ(2.5273cm)のディスクと均等である。このディスクは、総てのえぐり出しの前に任意のインク粒子に束縛されない。えぐり出し爪は、サブストレートの画像部分の一端に徐々に下がっているので、えぐり出し爪のエッジの接触角度が、えぐり出しの前縁に沿って約75度となり、後縁に沿って約15度になる(すなわち、画像がえぐり出し爪に対して引っ張られるが、押されない)。移動可能な金属板は、0.45±0.05インチ/秒(1.243±0.127cm/秒)の速度で、9±1/32インチ(22.86±0.079375cm)進んだ。同じプリント・サンプルに対して第2えぐり出しをトランスパレンシに行うが、3個のえぐり出し爪の正味の重さを夫々1188グラム、1056グラム及び792グラムにする。
【0066】
各トランスパレンシ媒体における6つのえぐり出しした領域の合計は、接着耐久性試験に関して上述したフラット・ベッド・スキャナ及び画像分析ソフトウェア・システムを用いてmm2で測定する。インクが除去された領域について、上述の表1に示す。
【0067】
これら結果は、実施例2〜4の黒色の明暗のあるインクと、実施例5のクリアなインクとは、テクトロニクス社製Phaser(登録商標)350型プリンタの現在市販の黒色インクと、2倍の画像、即ち、重ねプリントしたサンプルとよりも、トランスパレンシ媒体上に良好な接着耐久性を示し、実施例2〜4の黒色明暗インクは、良好なえぐり出し耐久性も示した。
【0068】
本発明の原理について、好適な実施例により図示し上述したが、かかる本発明の要旨を逸脱することなく、細部において種々の変更が可能なことが当業者には理解できよう。例えば、本発明のインク組成物を形成するためのインク・ベース又は組成物は、低粘性の半晶質又は結晶質のアミド・ワックス;エステル・ワックス;ポリエステル・ワックス;炭化水素又は樹脂ベースの非晶質材料と化合したマイクロ結晶質ワックス又はパラフィン;又はオリゴマー(低重合体);又は低分子量のポリマー(高重合体)又はコポリマー(共重合体);又は粘着剤;又は柔軟剤及びその化合物でもよい。さらに、本願出願人に譲渡され、1996年6月28日出願のアメリカ合衆国特許出願第08/672815号「ウレタン及びウレタン/ウレア・イソシアネート誘導樹脂を用いた相変化インク調合物」(特開平10−101981号に対応)や、1997年8月8日に出願されたアメリカ合衆国特許出願第08/907805号「イソシアネート誘導ワックス及びクリアなインク・キャリア・ベースを用いた相変化インク調合物」(特願平10−224087号に対応)に記載のように、相変化インク・ベース又はキャリア組成物は、イソシアネート誘導ウレタン樹脂、イソシアネート誘導ウレタン/ウレア混合樹脂、イソシアネート誘導ウレタン・ワックス、及びこれらの化合物から構成してもよい。インク・キャリア又はベース組成物と、相溶性黒色着色料系との化合物は、直接プリントのプリンタ、又は間接転写、即ち、オフセット・プリントのプリンタのいずれにも使用できる。また、画像形成の前にトランスパレンシ・サブストレートに適用する付着促進コーティングと関連して、本発明の着色料系を用いる相変化インクを用いることもできる。
【0069】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、染料の如きプロセス又は合成黒色着色料、及び染料の如き他の着色料を、相変化インク・ベースと化合して相変化インクを作る。この相変化インクは、医療診断画像形成において現在使用しているハロゲン化銀写真フィルムと同等の画像を形成することができるので、従来の化学的なウエット処理システムよりも安価となる。また、本発明では、相溶性黒色着色料系を用いた相変化インクが、インク・ジェット・プリンタに用いた際に、沈殿物が生じないし、プリント・ヘッドのオリフィスが詰まらない。さらに、本発明では、黒色着色料系が相変化インクと相溶性であるため、扱いやすい。また、本発明では、黒色着色料系が安定しており、画像形成領域内で時間経過に伴って拡散しない等の種々の顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の着色剤系を有する相変化インクの可視吸光度スペクトルを、相対的な吸光度対波長の関係で測定して示した図であり、約380ナノメートル及び約630ナノメートルの間の可視スペクトルでほぼ均一の高い吸光度を示している。
【図2】医療診断画像において従来用いている青淡彩ポリエステル・ベース・フィルム上に形成した従来のハロゲン化銀の黒色X線画像の可視吸光度スペクトルを示す図である。
【図3】医療診断画像において従来用いているクリアなポリエステル・ベース・フィルム上に形成した従来のハロゲン化銀の可視吸光度スペクトルを示す図である。
【図4】単一の黒色染料(C.I.ソルベント・ブラック45)のみを含有する相変化インクの可視吸光度スペクトルを、相対的な吸光度対波長の関係で測定して示した図であり、約425ナノメートル及び約525ナノメートルの間で低い吸光度領域を示している。
【図5】C.I.ディスパース・オレンジ47染料の可視吸光度スペクトルを、相対的な吸光度対波長の関係で測定して示した図であり、約425ナノメートル及び約525ナノメートルの間、又は黒色染料の吸光度が充分でない部分で高い吸光度領域を示している。

Claims (32)

  1. 相変化インク・ベースと、耐光性で熱的に安定した相溶性黒色着色料系との化合物を含み、医療画像形成に用いる相変化インクであって、黒色着色料を含む着色料系と、少なくとも1つの他の着色料とを具え、上記黒色着色料と上記少なくとも1つの他の着色料が互いに相溶性であり、
    上記黒色着色料は、C.I.ソルベント・ブラック22、C.I.ソルベント・ブラック27、C.I.ソルベント・ブラック28、C.I.ソルベント・ブラック29、C.I.ソルベント・ブラック35及びC.I.ソルベント・ブラック45から成るグループから選択された黒色染料であり、
    前記他の着色料は、C.I.ディスパースオレンジ47及びC.I.ソルベント・オレンジ60から成るグループから選択された染料であることを特徴とした相変化インク。
  2. 前記黒色着色料を含む着色料系が、人間の可視スペクトル(380nm〜670nm)にわたる吸光度帯域を有すると共に、上記可視スペクトル内に少なくとも1つの低い吸光度領域及び少なくとも1つの高い吸光度領域を有し、前記他の着色料が、上記黒色着色料の上記低い吸光度領域内に吸光度帯域を有することを特徴とした請求項1に記載の相変化インク。
  3. 上記黒色染料は、C.I.ソルベント・ブラック45であることを特徴とする請求項の相変化インク。
  4. 上記少なくとも1つの着色料は、C.I.ディスパース・オレンジ47であることを特徴とする請求項3の相変化インク。
  5. 上記C.I.ディスパース・オレンジ47染料は、上記C.I.ソルベント・ブラック45染料の重量100重量部につき、5重量部から10重量部であることを特徴とする請求項4の相変化インク。
  6. 上記C.I.ディスパース・オレンジ47は、上記C.I.ソルベント・ブラック45の重量100重量部につき、7重量部から8.5重量部であることを特徴とする請求項5の相変化インク。
  7. 上記相変化インク・ベースは、上記相変化インク・ベースの全重量に対して、10重量パーセントから50重量パーセントまでの少なくとも1つのテトラアミド組成物と、30重量パーセントから80重量パーセントまでの少なくとも1つのモノアミド組成物と、0から40重量パーセントまでの少なくとも1つの粘着付与剤と、0から30重量パーセントまでの少なくとも1つの柔軟剤と、0から2重量パーセントまでの少なくとも1つの抗酸化剤とを具えたことを特徴とする請求項1の相変化インク。
  8. 上記黒色着色料系の量が、上記相変化インク・ベースの重量100重量部に対して0.1重量部から7重量部であることを特徴とする請求項1の相変化インク。
  9. 上記黒色着色料は、コンポジット黒色着色料であることを特徴とする請求項1の相変化インク。
  10. 上記黒色着色料は、プロセス黒色着色料であることを特徴とする請求項1の相変化インク。
  11. 上記少なくとも1つの他の着色料は、コンポジット着色料であることを特徴とする請求項1の相変化インク。
  12. 上記少なくとも1つの他の着色料は、プロセス着色料であることを特徴とする請求項1の相変化インク。
  13. 上記黒色着色料は、染料、顔料、ポリマー着色料、ワックス、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択された着色料であることを特徴とする請求項9の相変化インク。
  14. 上記黒色着色料は、染料、顔料、ポリマー着色料、ワックス、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択された着色料であることを特徴とする請求項10の相変化インク。
  15. 上記少なくとも1つの他の着色料は、染料、顔料、ポリマー着色料、ワックス、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択された着色料であることを特徴とする請求項11の相変化インク。
  16. 上記少なくとも1つの他の着色料は、染料、顔料、ポリマー着色料、ワックス、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択された着色料であることを特徴とする請求項12の相変化インク。
  17. 上記相変化インク・ベースは、少なくとも1つのイソシアネート誘導樹脂を含むことを特徴とする請求項1の相変化インク。
  18. 上記相変化インク・ベース内の上記イソシアネート誘導樹脂は、混合ウレア/ウレタン樹脂を含むことを特徴とする請求項17の相変化インク。
  19. 上記相変化インク・ベース内の上記イソシアネート誘導樹脂は、ウレタン樹脂を更に含むことを特徴とする請求項18の相変化インク。
  20. 透明サブストレートを含む非ハロゲン化銀上に形成されたインク画像が、透明サブストレートを含むハロゲン化銀上に作成された黒色画像とほぼ等価な可視スペクトル内に黒色の明暗を含むことを特徴とする請求項1の相変化インク。
  21. 相溶性着色料系と化合する相変化インク・ベース系を含み、上記着色料系は、(1)475ナノメートル領域の吸光度が580ナノメートル領域における吸光度の80パーセント未満である黒色着色料と、(2)475ナノメートル領域内に吸光度を有し充分な量の少なくとも1つの他の着色料との化合物を含み、上記着色料系は、上記475ナノメートル領域から上記580ナノメートル領域までにおける吸光度の比が0.92:1.0から1.01:1.0までであることを特徴とする請求項1の相変化インク。
  22. 上記黒色着色料系の量は、上記相変化インク・ベース系の重量100重量部につき、0.2重量部から4重量部であることを特徴とする請求項の相変化インク。
  23. 透明サブストレート上に医療画像をプリントする方法であって、夫々耐光性で相溶性の黒色着色料系及びインク・ベースを有する複数のインクを用いて、中間支持面に画像を形成するステップと、上記中間支持面から上記画像を上記透明サブストレートに転写するステップとを具え、
    上記相溶性黒色着色料系の各々は、黒色着色料と、少なくとも1つの他の着色料とを含み、上記黒色着色料及び上記少なくとも1つの他の着色料が互いに相溶性であり、
    上記黒色着色料は、C.I.ソルベント・ブラック22、C.I.ソルベント・ブラック27、C.I.ソルベント・ブラック28、C.I.ソルベント・ブラック29、C.I.ソルベント・ブラック35及びC.I.ソルベント・ブラック45から成るグループから選択された黒色染料であり、
    前記他の着色料は、C.I.ディスパースオレンジ47及びC.I.ソルベント・オレンジ60から成るグループから選択された染料であることを特徴とするプリント方法。
  24. 前記黒色着色料が、人間の可視スペクトル(380nm〜670nm)にわたる吸光度帯域を有し、上記可視スペクトル内に少なくとも1つの低い吸光度領域及び少なくとも1つの高い吸光度領域を有し、前記他の着色料が、前記黒色着色料の上記低い吸光度領域内に吸光度帯域を有することを特徴とする請求項24に記載のプリント方法。
  25. 上記透明サブストレートに転写した上記画像を溶融するステップを更に具えたことを特徴とする請求項23のプリント方法。
  26. 上記医療画像を形成する上記複数のインクとして相変化インクを用いることを特徴とする請求項25のプリント方法。
  27. 上記医療画像を形成するために、上記複数のインクと化合したクリアな相変化インクを用いることを特徴とする請求項26のプリント方法。
  28. 上記黒色インクの各々に黒色着色料を用い、上記黒色着色料は、染料、顔料、ポリマー着色料、ワックス、及びこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項27のプリント方法。
  29. 複数のインクで医療画像を形成する際に、各インクに用いる相変化インク・ベースは、該相変化インク・ベースの全重量に対して、10重量パーセントから50重量パーセントまでの少なくとも1つのテトラアミド組成物と、30重量パーセントから80重量パーセントまでの少なくとも1つのモノアミド組成物と、0から40重量パーセントまでの少なくとも1つの粘着付与剤と、0から30重量パーセントまでの少なくとも1つの柔軟剤と、0から2重量パーセントまでの少なくとも1つの抗酸化剤とを具えたことを特徴とする請求項28のプリント方法。
  30. 複数のインクにより医療用画像を形成するステップでは、少なくとも1つのイソシアネート誘導樹脂を含んだ相変化インク・ベースを各インクに用いることを特徴とする請求項28のプリント方法。
  31. 複数のインクにより医療用画像を形成するステップでは、相変化インク・ベースを各インクに用い、上記相変化インク・ベース内の上記イソシアネート誘導樹脂は混合ウレア/ウレタン樹脂を含むことを特徴とする請求項30のプリント方法。
  32. 複数のインクにより医療用画像を形成するステップでは、相変化インク・ベースを各インクに用い、上記相変化インク・ベース内の上記イソシアネート誘導樹脂はウレタン樹脂を更に含むことを特徴とする請求項31のプリント方法。
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