JP3987657B2 - ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒーリングタンク間の水の移送や、バラスト水、冷却水、飲料水、復水、燃料油、潤滑油等の移送のために使用される船舶用ポンプとして好適な竪型の液体用回転ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶には、例えば、片積み等による船の傾きを防ぐため右舷および左舷に配置したヒーリングタンクの間で水を移動させるヒーリングポンプ、船の安定を保つためのバラスト水を注排水するバラストポンプ、その他、冷却水、飲料水、復水、燃料油、潤滑油等の移送のためのポンプ等、各種用途にポンプが使用されている。そして、それら船舶用ポンプは、通常、羽根車の回転による遠心力を利用して液体を汲み揚げる渦巻ポンプ、あるいは、かみ合いながら回転する一対の歯車によって液体を吸引し吐出する歯車ポンプである。また、それらポンプには、駆動軸を垂直に配置した竪型と、駆動軸を水平に配置した横型とがある。
【0003】
そして、これら船舶用ポンプのうち、例えば竪型の渦巻ポンプは、ポンプケーシングと、シャフトおよび羽根車とで基本部分が構成され、ポンプケーシングの内部には、下側に吸引室が、また上側に渦室が形成され、あるいは吸引室が上側に、渦室が下側に形成され、シャフトは渦室中央に垂直に配置されて、下端が羽根車に螺着され、また、シャフトの上端には駆動用モータに連結するカップリング装置が設けられる。そして、ポンプケーシングがポンプベッドを介して床面に据え付けられる。また、ポンプケーシングの上方に駆動用モータを支持するためのモータフレームが配置され、ポンプケーシング上面のフランジに固定される。また、モータフレームのロッド部がポンプベッドに直接固定されるものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の船舶用ポンプは、通常、船内の床に据え付けるようになっている。そして、その床面には、ポンプの周りに、ポンプに接続する配管が設けられ、バルブおよびその操作装置等が設置される。そのため、ポンプの周りの床面はスペースに余裕のないものとなり、また、配管等も、ポンプ据付位置を迂回させる必要があるなど、自由度の小さいものとなるのが普通であった。しかも、従来は、ポンプのメンテナンスをそのような船内の狭いスペースで行わなくてはならず、そのメンテナンスを行うにも、例えばインペラを取り出すのに配管まで外してポンプを分解する必要があるなど、きわめて面倒で時間のかかる作業を強いられていた。
【0005】
そこで、インペラ等のポンプ回転体をスペースに余裕のある上方へ容易に抜き出せるようにして、メンテナンスのために配管まで外すような面倒な作業を不要とし、また、ポンプ周りの床面スペースを広くして配管の自由度を高めることが課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のポンプは、渦室等のポンプ室を画定するポンプケーシングと、ポンプケーシングのポンプ室上面を覆うケーシングカバーと、ポンプケーシングの内部に配置されるインペラ,歯車等のポンプ回転体と、ケーシングカバーを貫通して略垂直に配置され下端がポンプ回転体に連結されるとともに上端が駆動用モータに連結されるシャフトとで基本部分が構成される。また、ポンプケーシングの上方にモータ支持用のインナーフレームが設置され、インナーフレームを内側にして外側に船舶のデッキ上面に載置固定される上端フランジとポンプケーシングがケーシングカバーの径方向外側で連結される下端フランジとを連結ロッドで連結した構成の吊下用のアウターフレームが配置され、インナーフレームは、アウターフレームの上端フランジに載る大きさの上端フランジと、アウターフレームの下端フランジの内側に嵌まり込む大きさの下端フランジと、それら上端フランジと下端フランジを連結する連結部とからなるもので、下端フランジの部分でケーシングカバーに固定され、アウターフレームが、船舶のデッキの穴に上方から挿入され、上端フランジの部分がデッキ上に載置固定されて、下端フランジにポンプケーシングが連結され、その上方から、インナーフレームとポンプ回転体とシャフトと前記ケーシングカバーとが一体物として挿入されて、アウターフレームの上端フランジの上面にインナーフレームの上端フランジが載置固定され、インナーフレームをアウターフレームから取り外すことによりインナーフレームとポンプ回転体とシャフトとケーシングカバーとが一体物としてデッキ上方に抜き出し可能とされる。
【0007】
このポンプは、モータ支持用のフレームの上端フランジを吊下用のフレームから外すだけで、モータ支持用のフレームとポンプ回転体とシャフトとケーシングカバーとを一体物として上方に抜き出すことができる。そして、例えば船舶のデッキをポンプ据付面として吊下用のフレームの上端フランジを載置固定した場合に、インペラ等のメンテナンスを行うために配管まで外すような面倒な作業は不要で、簡単な作業でインペラ等の一体物を上方へ引き出し、スペースに余裕のあるデッキ上でメンテナンスを行うようにできる。そして、船内はポンプ周りの床面スペースが広くなり、メンテナンスのためのスペースが不要で、配管の自由度が高まる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態の一例に係るポンプの垂直断面図、図2は該ポンプの分解状態の垂直断面図である。
【0010】
この実施の形態のポンプは、船舶用の竪型渦巻ポンプであって、2重ボリュート構造の渦室1を形成するポンプケーシング2と、該ポンプケーシング2の渦室1の中央に配置されるインペラ3と、インペラ駆動用のシャフト4とで基本部分が構成されている。
【0011】
ポンプケーシング2は、渦室1の中央下方に吸引口5を有し、渦室1の径方向側方に吐出口6を有する。これら吸引口5および吐出口6には、それぞれ配管7,8が接続される。
【0012】
インペラ3は、所定の曲率を有する複数枚の案内羽根9を等ピッチで配したもので、回転による遠心力で吸引口5から水を吸引し渦室1を経て吐出するようポンプケーシング2の渦室1中央に配置されている。また、シャフト4は、ポンプケーシング2の渦室1上部を覆ぐケーシングカバー10を貫通してポンプケーシング2の中心軸に対し同軸に配置され、シャフト4の下端はインペラ3の中心部に連結され、シャフト4の上端には、ポンプ駆動用のモータ11にシャフト4を連結するためのカップリング装置12が連結されている。また、ケーシングカバー10には、シャフト4を貫通させるボス部の上部にパッキング装置13が設けられている。
【0013】
このポンプは、駆動用のモータ11を上に出して船舶のデッキ14の穴から吊り下げる形で据え付けるものであって、デッキ14上に載置しボルト固定する外形略矩形の据付用の上端フランジ15aと、デッキ14の穴から入る大きさの外形略矩形の連結用の下端フランジ15bと、それら上端フランジ15aと下端フランジ15bとを所定の間隔で保持して連結するよう配置された複数本の連結ロッド15cとからなるアウターフレーム15が、上記下端フランジ15bの部分でポンプケーシング2の上面の連結用フランジ2aにボルト連結されている。
【0014】
また、上記アウターフレーム15の内側には、モータ支持用のインナーフレーム(モータフレーム)16が配置されている。このインナーフレーム16は、外周円形で外周部がアウターフレーム15の上端フランジ15aに載る大きさの上端フランジ16aと、外周円形でアウターフレーム15の内側に入ってその下端フランジ15bの内側に嵌まり込む大きさの下端フランジ16bと、それら上端フランジ16aと下端フランジ16bとを連結する穴明きパイプ状の連結部16cとからなるもので、下端フランジ16bの部分で上記ケーシングカバー10にボルト固定されている。
【0015】
このポンプは以上の要素から構成され、そのうち、インペラ3,シャフト4,カップリング装置12,ケーシングカバー10,パッキング装置13およびインナーフレーム16は、予めユニットとして一体に組み立てられる。そして、アウターフレーム15が船のデッキ14の穴に上方から挿入され、上端フランジ15aの部分がデッキ14上に載置されてボルト固定され、下端フランジ15bにポンプケーシング2上面のフランジ2aがボルト連結される。そして、アウターフレーム15の上方から、インペラ3,シャフト4,カップリング装置12,ケーシングカバー10,パッキング装置13および下端フランジ16bがケーシングカバー10にボルト固定されたインナーフレーム16の一体物が挿入され、インナーフレーム16の上端フランジ16aがアウターフレーム15の上端フランジ15aにボルト固定される。また、ポンプケーシング2の吸入口5および吐出口6にそれぞれ配管7,8が接続され、インナーフレーム16上にモータ11が設置される。
【0016】
また、このポンプは、モータ支持用のインナーフレーム16をケーシングカバー10にボルト固定しており、インナーフレーム16の上端フランジ16aをアウターフレーム15から外すだけで、インペラ3,シャフト4,カップリング装置12,ケーシングカバー10,パッキング装置13およびインナーフレーム16を一体物としてデッキ14の上方に抜き出すことができるので、インペラ3等のメンテナンスが容易である。そして、このポンプは、駆動用モータを支持するフレーム(インナーフレーム16)を内側にして、外側にアウターフレーム15を配置し、ポンプケーシング2をアウターフレーム15に連結してデッキから吊り下げる形で据え付けるものであって、船内の床にポンプを据え付けるものではないため、床面における配管の自由度が大きく、また、上述のように配管を外さずにデッキ14の上に抜き出してメンテナンスを行うことができるため、床にメンテナンスのためのスペースが必要でない。
【0017】
以上、本発明を船舶用渦巻ポンプの場合について説明したが、本発明による竪型ポンプは歯車ポンプにも適用でき、また、船舶用以外の他の用途のポンプにも適用できるものである。
【0018】
【発明の効果】
本発明のポンプによれば、インペラ等のポンプ回転体を上方へ抜き出すことが容易で、容易にメンテナンスを行うことができ、また、ポンプ周りの床面スペースが広くなって配管の自由度が高まる。
【0019】
そして、吊下用のフレームによりポンプケーシングを船舶のデッキ等から吊り下げてポンプを据え付けることにより、モータ支持用のフレームを吊下用のフレームから外すだけで、モータ支持用のフレームとポンプ回転体とシャフトとケーシングカバーとを一体物として上方に抜き出すことができ、スペースに余裕のある場所でメンテナンスを行うようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例に係るポンプの垂直断面図である。
【図2】 該ポンプの分解状態の垂直断面図である。
【符号の説明】
2 ポンプケーシング
3 インペラ
4 シャフト
10 ケーシングカバー
15 アウターフレーム(吊下用)
16 インナーフレーム(モータ支持用)
Claims (1)
- ポンプ室を画定するポンプケーシングと、該ポンプケーシングのポンプ室上面を覆うケーシングカバーと、前記ポンプケーシングの内部に配置されるポンプ回転体と、前記ケーシングカバーを貫通して略垂直に配置され下端が前記ポンプ回転体に連結されるとともに上端が駆動用モータに連結されるシャフトとからなり、
前記ポンプケーシングの上方にモータ支持用のインナーフレームが設置され、
前記インナーフレームを内側にして外側に船舶のデッキ上面に載置固定される上端フランジと前記ポンプケーシングが前記ケーシングカバーの径方向外側で連結される下端フランジとを連結ロッドで連結した構成の吊下用のアウターフレームが配置され、
前記インナーフレームは、前記アウターフレームの上端フランジに載る大きさの上端フランジと、前記アウターフレームの下端フランジの内側に嵌まり込む大きさの下端フランジと、それら上端フランジと下端フランジを連結する連結部とからなるもので、下端フランジの部分で前記ケーシングカバーに固定され、
前記アウターフレームが、船舶のデッキの穴に上方から挿入され、上端フランジの部分がデッキ上に載置固定されて、下端フランジに前記ポンプケーシングが連結され、その上方から、前記インナーフレームと前記ポンプ回転体と前記シャフトと前記ケーシングカバーとが一体物として挿入されて、前記アウターフレームの前記上端フランジの上面に前記インナーフレームの上端フランジが載置固定され、
前記インナーフレームを前記アウターフレームから取り外すことにより前記インナーフレームと前記ポンプ回転体と前記シャフトと前記ケーシングカバーとが一体物としてデッキ上方に抜き出し可能であることを特徴とするポンプ。
Priority Applications (1)
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JP10337599A JP3987657B2 (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP10337599A JP3987657B2 (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | ポンプ |
Publications (2)
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JP2000297777A JP2000297777A (ja) | 2000-10-24 |
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Family
ID=14352364
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP10337599A Expired - Lifetime JP3987657B2 (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | ポンプ |
Country Status (1)
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-
1999
- 1999-04-09 JP JP10337599A patent/JP3987657B2/ja not_active Expired - Lifetime
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