JP3986931B2 - カラム充填剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラム充填剤及びその製造方法、特にその耐久性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラム充填剤として、各種の化学修飾基を有するシラン化合物でシリカゲル112をシリル化することにより、シリカゲル表面のシラノール基114(Si−OH基)に化学修飾基116を導入したものが汎用されている(図5▲1▼)。代表的なシラン化合物としては、オクタデシルクロロシラン化合物、オクチルクロロシラン化合物、ブチルクロロシラン化合物、シアノプロピルクロロシラン化合物、フェニルクロロシラン化合物等が存在し、中でもオクタデシルクロロシラン化合物を用いてオクタデシル基を導入したオクタデシルシリカゲル充填剤(ODS)が最も広範に使用されている。
【0003】
これらの充填剤は、分析上多くの利点がある反面、基材のシリカゲル112表面に多量に残存するシラノール基114の影響が問題となっている。即ち、残存シラノール基114は極性溶質、特に塩基性溶質と強く相互作用し、塩基性溶質を吸着し、ピークのテーリング現象を起こすことにより、クロマトグラムの忠実な再現性を得られない等の問題があった。
【0004】
これに対し、残存シラノール基114の影響を減少させる手段として、化学修飾基116を導入したシリカゲル112を、トルエン等の溶媒中でトリメチルクロロシラン等のエンドキャップ剤によって再度シリル化し、残存シラノール基114に短鎖アルキル基122等を化学結合させるエンドキャッピングが行なわれているが、このエンドキャッピングを行なってもシラノール基114は依然として相当量残存していた(図5▲2▼)。
【0005】
そこで、シリカゲル112表面の残存シラノール基114の影響が極めて少ないカラム充填剤を得るために、シリカゲルとエンドキャップ剤との反応を従来のように溶媒中で行わずに、気相中において行う方法が提案されている(特許第2611545号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記充填剤は、残存シラノール基114減少の点ではかなり改善されるものの、化学修飾基116や短鎖アルキル基122等が単独でシリカゲル表面に結合しているため、それらの付着性が悪く、耐久性の面で欠点があった。
【0007】
本発明は、耐久性に優れ且つ残存シラノール基の影響が極めて少ないカラム充填剤、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題に鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、化学修飾基導入シリカゲル表面の一部に、シリルイソシアネート化合物よりなるシリコーンポリマーでコーティングし、残存シラノール基をエンドキャップした充填剤が上記目的を達成できることを見出し本発明を完成した。
【0009】
本発明の第一の主題はすなわち、シラノール基を有するシリカゲルと、
該シラノール基に結合する化学修飾基及びトリメチルシリル基と、
シリルイソシアネート化合物が互いに架橋し、該シリカゲル表面の一部を被覆するシリコーンポリマーと、
を有するカラム充填剤である。
【0010】
前記カラム充填剤において、化学修飾基が炭素数1〜30の直鎖炭化水素基、分岐炭化水素基、環状炭化水素基、又はシアノ基、水酸基、カルボキシル基、酸アミド基、イミド基、スルホン基、アミノ基又はグリセロイル基に置換された置換炭化水素基であることが好適である。
【0011】
前記カラム充填剤において、化学修飾基がトリアコンチル基、オクタデシル基、オクチル基、フェニル基、シアノ基、メチル基、又はエポキシ基であることが好適である。
【0012】
前記カラム充填剤において、シリルイソシアネート化合物が、メチルシリルトリイソシアネートであることが好適である。
【0013】
本発明の第二の主題は、下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とするカラム充填剤の製造方法である。
(A) シリカゲルに化学修飾基を有するシランカップリング剤の1種又は2種以上を反応させることにより、シリカゲル表面のシラノール基に該化学修飾基を導入する工程。
(B) (A)工程後、シリルイソシアネート化合物の1種又は2種以上を、シリカゲル表面上で重合させ、該シリカゲル表面の一部にシリコーンポリマー被膜を形成する工程。
(C) (B)工程後、残存シラノール基をエンドキャップ剤でトリメチルシリル化する工程。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のカラム充填剤は、シリカゲル表面の一部がシリコーンポリマーにより被覆されているため、導入した化学修飾基がシリカゲル上に固定され、耐久性に優れている。さらにシリカゲル親水面の全部が覆われているわけではないので、親水性にも優れている。
【0015】
本発明のカラム充填剤は、図1に示すように、
シラノール基14を有するシリカゲル12と、
該シラノール基14に結合する化学修飾基16、及びトリメチルシリル基22と、
シリルイソシアネート化合物が互いに架橋し、該シリカゲルの表面の一部を被覆するシリコーンポリマー18と、
を有することを特徴とする。
【0016】
初めに、本発明のカラム充填剤の好適な製造方法について説明する。
(A)工程
本発明のカラム充填剤においては、初めにシリカゲル12に化学修飾基16を有するシランカップリング剤を反応させることにより、シリカゲル表面のシラノール基14に該化学修飾基16を導入する(図2▲1▼)。
【0017】
本発明で用いられるシリカゲルの形状は特に制限されないが、平均粒子径1〜200μm、より好ましくは3〜50μm、細孔径1〜100nm、より好ましくは4〜50nm、比表面積50〜800m2/g、より好ましくは100〜600m2/gの球形あるいは破砕型のシリカゲルが好適に使用できる。
【0018】
シランカップリング剤としては、トリアコンチル基、オクタデシル基、オクチル基、n−ブチル基等の炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜30のアリール基、更に炭素数1〜30のアルキル基の水素原子の1又は2以上がシアノ基、水酸基、カルボキシル基、酸アミド基、イミド基、スルホン基、アミノ基又はグリセロイル基に置換された置換アルキル基から選ばれる基を化学修飾基として1〜3個有するクロロシランやアルコキシシラン、又は上記化学修飾基を複数個、例えば6〜100個有するシクロシロキサンやシリコーンポリマーが使用される。なお、上記アルコキシシランのアルコキシ基としてはメトキシ基等の炭素数1〜3の低級アルコキシ基が好適である。また、シクロシロキサンとしてはケイ素原子3〜50が酸素原子を介してリングを形成したものが好ましい。シリコーンポリマーはケイ素原子を2〜50有するものが好ましい。
【0019】
上記シランカップリング剤としては、オクタデシル基を持つものとしてはジメチルオクタデシルクロロシラン、ジメチルオクタデシルメトキシシラン、メチルオクタデシルジクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、1,3,5,7-テトラオクタデシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクチル基を持つものとしてはジメチルオクチルクロロシラン、メチルオクチルジクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、1,3,5,7-テトラオクチル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、n-ブチル基を持つものとしてはn-ブチルジメチルクロロシラン、n-ブチルメチルジクロロシラン、n-ブチルトリクロロシラン、1,3,5,7-テトラ-n-ブチル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、フェニル基を持つものとしてはトリフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、1,3,5,7-テトラフェニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、シアノプロピル基を持つものとしては3-シアノプロピルジメチルクロロシラン、3- シアノプロピルメチルジクロロシラン、3-シアノプロピルトリクロロシラン等が具体的に挙げられる。
【0020】
前記シランカップリング剤のうちでは、特にメチルオクタデシルジクロロシラン等のジクロロシラン化合物、オクタデシルトリクロロシラン等のトリクロロシラン化合物、メチルオクタデシルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物、オクタデシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物又は1,3,5,7−テトラオクタデシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等のシクロシロキサン化合物、シリコーンポリマー化合物を用いることが好ましい。これらを用いると、(B)工程のシリコーンポリマー被覆時における化学修飾基の脱離をより良好に防止できる。
【0021】
前記シランカップリング剤とシリカゲルとの反応は、公知の方法、条件を採用することができ、例えば溶媒の存在下において50〜300℃、気相あるいは液相で2時間以上接触させることにより行うことができる。触媒としては、金属触媒すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金の化合物が適合している。特にパラジウム化合物及び白金化合物が良好である。
【0022】
(B)工程
次に前記化学修飾を行ったシリカゲルに、シリルイソシアネート化合物を接触し、表面重合させ、シリカゲル表面にシリコーンポリマー18被膜を形成する(図2▲2▼)。この被膜はシリカゲル表面の一部に形成される(図3▲1▼)。このシリコーン被膜により前記導入化学修飾基がシリカゲル上に固定されているので、後述する製造工程や、充填剤使用時の化学修飾基の脱離が防止され、耐久性に優れたものとなる。また、シリカゲルの親水面が一部露出しているため、親水性を有する充填剤となる。
本発明において使用されるシリルイソシアネート化合物は、下記一般式(I)の1種又は2種以上である。
【0023】
【化1】
(式中、Rは相互に独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシル基、又はハロゲン原子であり、nは0又は1〜3の整数であるものとする)
【0024】
前記Rの「炭化水素基」とは、直鎖若しくは分岐、環状アルキル基特には炭素数1〜4の低級アルキル基例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基;シクロアルキル基例えばシクロヘキシル基;シクロアルケニル基例えばシクロヘキセニル基;アリール基例えばフェニル基、ナフチル基;アリール置換アルキル基例えばフェニルメチル基、フェニルエチル基;アルキル置換アリール基例えばメチルフェニル基等を意味する。
【0025】
前記一般式(I)で表されるシリルイソシアネート化合物は4種の群からなる。第1の群は、前記一般式(I)においてn=0の場合に相当するテトライソシアネートである。
【化2】
【0026】
前記シリルイソシアネート化合物の第2の群は、前記一般式(I)においてn=1の場合に相当するトリイソシアネート化合物である。
【0027】
例えば、ヒドロキシシリルトリイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、エチルシリルトリイソシアネート、イソプロピルシリルトリイソシアネート、ノルマルプロピルシリルトリイソシアネート、ノルマルブチルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、メトキシシリルトリイソシアネート、エトキシシリルトリイソシアネート、フェノキシシリルトリイソシアネート、クロロシリルトリイソシアネート、フルオロシリルトリイソシアネート等を挙げることができる。中でも、Rがメチル基であるメチルシリルトリイソシアネートが最適である。
【0028】
前記シリルイソシアネート化合物の第3の群は、前記一般式(I)においてn=2の場合に相当するジイソシアネート化合物である。
【0029】
例えば、ジヒドロキシシリルジイソシアネート、ヒドロキシメチルシリルジイソシアネート、ジメチルシリルジイソシアネート、ジビニルシリルジイソシアネート、ジエチルシリルジイソシアネート、ジイソプロピルシリルジイソシアネート、ジフェニルシリルジイソシアネート、ジメトキシシリルジイソシアネート、ジエトキシシリルジイソシアネート、ジフェノキシシリルジイソシアネート、ジクロロシリルジイソシアネート、ジフルオロシリルジイソシアネート等を挙げることができる。中でも、Rがメチル基であるジメチルシリルジイソシアネートが最適である。
【0030】
前記シリルイソシアネート化合物の第4の群は、前記一般式(I)においてn=3の場合に相当するモノイソシアネート化合物である。
【0031】
例えば、ヒドロキシジメチルシリルイソシアネート、トリメチルシリルイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、トリエチルシリルイソシアネート、イソプロピルシリルトリイソシアネート、トリフェニルシリルイソシアネート、トリメトキシシリルイソシアネート、トリエトキシシリルイソシアネート、トリフェノキシシリルイソシアネート、トリクロロシリルイソシアネート、トリフルオロシリルイソシアネート等を挙げることができる。中でも、Rがメチル基であるトリメチルシリルイソシアネートが最適である。
【0032】
前記4群の化合物は特に限定されないが、より好ましくは、第1、2群のトリイソシアネート化合物及びテトライソシアネート化合物である。
更に、本発明においては、前記シリルイソシアネート化合物を単独で用いることも、2種以上の混合物を使用することも可能である。
【0033】
前記一般式(I)で表されるシリルイソシアネート化合物は、気相状態または液相状態でシリカゲルと接触させる。
気相状態での接触(気相処理)は、例えば密閉容器を用い、300℃以下の温度下で、前記シリルイソシアネート化合物の蒸気を分子状態でシリカゲル表面上に接触させる方法、あるいは300℃以下の温度下で前記シリルイソシアネート化合物とキャリヤーガスとの混同ガスをシリカゲルと接触させる方法等により行うことができる。
【0034】
一方、液相状態での接触(液相処理)は、例えば前記シリルイソシアネート化合物を溶解することができる揮発性溶媒であるベンゼン、ジクロロメタン、またはクロロホルム等、特にヘキサンに溶解した1〜50質量%シリルイソシアネート化合物溶液をシリカゲル1質量部に対してシリルイソシアネート化合物0.01〜1質量部になるように添加すれば良い。この場合、撹拌下に添加することが好適である。
【0035】
シリカゲル表面上でのシリルイソシアネート化合物の表面重合は前記接触処理後のシリカゲルを温度50〜300℃で2時間以上放置あるいは撹拌することによって行うことができる。
この表面重合は、シリカゲル自体の表面活性点の作用により促進されるので、特に触媒を加える必要はない。ここで、「活性点」とはシリルイソシアネート化合物の重合を触媒することのできる部位であり、例えば酸点、塩基点、酸化点、又は還元点を意味する。表面重合は、シリカゲル表面の活性点の一部で行われる。
【0036】
シリカゲル自体の活性が非常に弱い場合には、前記接触処理前又は後のシリカゲルにアルカリ触媒例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウムもしくは水酸化カルシウム等を適宜添加した後に重合させても良い。
【0037】
通常のシリコーン組成物を用いた場合、ジメチルポリシロキサンが骨格となるため、その結合は吸着等の二次結合が主体となり、接着性と耐久性に欠けることがある。
【0038】
これに対して、本発明のようにシリルイソシアネート化合物を用いた場合、シリルイソシアネート結合(Si-NCO)がシリカゲル表面と化学反応し、分解副生成物は揮散し、シリカゲル表面に一次結合したシリコーンポリマーのみを形成する。例えばモノメチルシリルトリイソシアネートを使用すると、シリカゲル表面にモノメチルポリシロキサン膜を形成する(図3▲2▼)。
また、モノメチルポリシロキサン処理は、反応上はトリクロロメチルシラン、トリアルコキシメチルシラン等でも可能であるが、処理条件が難しく、処理の再現性に欠けるため、実用に供し得ない。
【0039】
シリルイソシアネート結合(Si-NCO)は、シロキシニトリル結合(Si-O-CN)との構造異性体の関係にあり、シリルイソシアネートには分極形があり、この分極形がSi-NCOの独特の反応性を支配している。
【化3】
【0040】
本発明においては、シリコーン化合物がシリカゲルの細孔内部にまで侵入してシリカゲルの表面の一部に付着して重合するので、シリコーンポリマーの極めて薄い皮膜がシリカゲル表面上に形成されるため、シリカゲルや化学修飾基の性質が維持されたまま耐久性が改善される。
【0041】
シリカゲル表面上に被覆させるシリルイソシアネート化合物の量は、シリカゲルの質量に対して、0.1〜50質量%であることが好適である。50質量%を越えると、充分に重合せずにシリカゲル表面上に又は化学修飾基上に単に付着した状態のシリルイソシアネート化合物の量が増えるので充填剤としては好ましくない。さらにシリカゲルの全表面を覆いつくしてしまい、親水性が失われる可能性もあり好ましくない。0.1質量%未満の場合には、化学修飾基を固定することができず、耐久性が悪くなるため、好ましくない。
【0042】
(C)工程
前記シリコーンポリマー被覆シリカゲルには、シラノール基14が残存している。シラノール基が存在すると、塩基性物質等が吸着し、ピークがテーリングすることがある。
そこで、残存シラノール基をトリメチルシリル化して封鎖することにより、シラノール基14の影響の非常に少ないカラム充填剤を得ることができる(図2▲3▼)。
【0043】
トリメチルシリル化は、シリコーンポリマー被覆シリカゲルと、エンドキャップ剤とを気相状態または液相状態で接触させることによって実施する。例えば、トルエン1〜20質量部とトリメチルクロロシラン0.5〜3質量部、ヘキサメチルジシラザン1〜6質量部、ピリジン1〜8.5質量部との混合液中で前記シリカゲルを、2〜24時間、撹拌下で還流加熱する、あるいは密閉容器内でトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルメトキシシランまたはトリメチルエトキシシランをそれぞれ単独で、前記シリカゲルと共に40℃〜150℃に加熱することで可能となる。
【0044】
本発明では、耐久性・親水性に優れており、且つ(A)工程における化学修飾基16と、(B)工程における前記一般式(I)で表されるシリルイソシアネート化合物の置換基Rの組合せにより、従来の化学結合型充填剤では得られない幅広い保持力をもつカラム充填剤を得ることができる。
【0045】
従来のシリカゲルを基材とする充填剤は、基材シリカゲル由来の残存シラノール基の影響により、塩基性化合物等のピークにテーリングが顕著に生じる場合があった。しかし、本発明のカラム充填剤は、残存シラノール基のトリメチルシリル化を行うことによって、シラノール基の影響が極めて少ないものとなった。また、従来のシリカゲルを基材とする充填剤は、シリカゲル表面が全面的に露出しており、化学修飾基の付着性が悪く、耐久性の面で問題があった。しかし、本発明のカラム充填剤は、シリカゲル表面の一部にシリコーンポリマーコーティングを行うことにより化学修飾基が固定されるので、耐久性に優れ、さらにシリカゲルの親水性面が部分的に露出しているため、親水性を有するものとなった。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0047】
実施例1
▲1▼200mLの三つ口フラスコにシリカゲル15gを加え、トルエン75mL、ピリジン3.164g(0.03mol)で分散する。冷却管を取り付け、攪拌しながら加熱還流する。n−オクタデシルトリクロロシラン11.637g(0.03mol)を滴下ロートから滴下し、滴下終了後、16時間加熱還流を続ける。その後ガラスロートで反応液を濾過する。続いてトルエン150mL、及びアセトニトリル150mLで洗浄後、アセトニトリル:水=6:4の溶液75mLで3時間室温攪拌後、メタノール150mLで洗浄濾過する。さらに120℃で6時間減圧乾燥する(化学修飾基付加)。
▲2▼続いて、上記化学修飾基付加シリカゲル5gを耐圧容器に入れ、10mLのスクリュー管に入れたモノメチルシリルイソシアネート(MMSI)0.82gを耐圧容器内に置き、窒素ガスを封入する。密栓後、250℃で16時間反応させる。その後クロロホルム100mL、メタノール100mLで洗浄し、60℃で4時間減圧乾燥する(シリコーンポリマー被覆)。
▲3▼上記モノメチルシリコーンポリマー被覆シリカゲルとトリメチルクロロシラン0.9mL、ヘキサメチルジシラザン1.6mL、ピリジン1.6mL、トルエン15mLを混合し、加熱還流し5時間反応させる。トルエン100mL、クロロホルム100mL、メタノール100mLで洗浄後、80℃で4時間減圧乾燥する(トリメチルシリル化)。
【0048】
比較例1
▲1▼200mLの三つ口フラスコにシリカゲル15gを加え、トルエン75mL、ピリジン3.164g(0.03mol)で分散する。冷却管を取り付け、攪拌しながら加熱還流する。n−オクタデシルトリクロロシラン11.637g(0.03mol)を滴下ロートから滴下し、滴下終了後、16時間加熱還流を続ける。その後ガラスロートで反応液を濾過する。続いてトルエン150mL、及びアセトニトリル150mLで洗浄後、アセトニトリル:水=6:4の溶液75mLで3時間室温攪拌後、メタノール150mLで洗浄濾過する。さらに120℃で6時間減圧乾燥する(化学修飾基付加)。
▲2▼続いて、上記化学修飾基付加シリカゲルとトリメチルクロロシラン0.9mL、ヘキサメチルジシラザン1.6mL、ピリジン1.6mL、トルエン15mLを混合し、加熱還流し5時間反応させる。トルエン100mL、クロロホルム100mL、メタノール100mLで洗浄後、80℃で4時間減圧乾燥する(トリメチルシリル化)。
【0049】
〈耐久性テスト〉
以下、実施例1、及び比較例1のカラム充填剤をスラリー充填法にて充填したステンレスカラムの耐久性を比較した。
耐久性試験条件
移動相:A:2%トリフルオロ酢酸水溶液(pH=1.0)
B:2%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液
Bの比率:65%(0〜20min)→0%(20〜80min)→98%(80〜85min)→65%(85〜90min)
温度:60℃
流速:1mL/min(Total)
検出:UV254nm
試料:ウラシル、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、アミルベンゼン、安息香酸プロピル(各1000ppm、65%アセトニトリル溶解混合品)
注入量:7μL
カラムサイズ:直径4.6mm、長さ150mm
【0050】
試験方法
移動相Bの比率変化サイクルを90分とし、そのサイクルを15回連続して行う。試料は各サイクル前半の65%段階で注入する。
耐久性は初回のアミルベンゼン保持比と各回の保持比との比較にて評価する。
【0051】
結果
耐久性の比較結果を図4に示す。
図4からわかるように、化学修飾基導入後、シリコーンポリマーでシリカゲル表面の一部を被覆し、残存シラノール基をトリメチルシリル化した実施例1のカラム充填剤を充填したカラムは、部分的なシリコーンポリマー被覆をしなかった比較例1のカラム充填剤を充填したカラムと比較して耐久性に優れていることが確認された。
これは、シリカゲル表面のシリコーンポリマーコーティングによって、化学修飾基が固定されるためであると考えられる。
【0052】
また、シリコーンポリマーコーティングがシリカゲル表面の一部にのみ行われ、シリカゲルの親水性面が部分的に露出しているため、親水性をしていた。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るカラム充填剤によれば、化学修飾基導入シリカゲルの表面をシリルイソシアネート化合物よりなるシリコーンポリマーで部分的にコーティングし、シリカ上の残存シラノール基をトリメチルシリル化することで、耐久性に優れ、且つ残存シラノール基の影響が極めて少ないカラム充填剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるカラム充填剤の概略図である。
【図2】本発明におけるカラム充填剤の製造方法の概略図である。
【図3】本発明におけるカラム充填剤の表面図である。
【図4】カラムの耐久性比較の図である。
【図5】従来のカラム充填剤の概略図である。
【符号の説明】
10 カラム充填剤
12 シリカゲル
14 シラノール基
16 化学修飾基
18 シリコーンポリマー
24 トリメチルシリル基
Claims (5)
- シラノール基を有するシリカゲルと、
該シラノール基に結合する化学修飾基及びトリメチルシリル基と、
シリルイソシアネート化合物が互いに架橋し、該シリカゲル表面の一部を被覆するシリコーンポリマーと、
を有するカラム充填剤。 - 請求項1記載のカラム充填剤において、化学修飾基が炭素数1〜30の直鎖炭化水素基、分岐炭化水素基、環状炭化水素基、又はシアノ基、水酸基、カルボキシル基、酸アミド基、イミド基、スルホン基、アミノ基又はグリセロイル基に置換された置換炭化水素基であることを特徴とするカラム充填剤。
- 請求項1記載のカラム充填剤において、化学修飾基がトリアコンチル基、オクタデシル基、オクチル基、フェニル基、シアノ基、メチル基、又はエポキシ基であることを特徴とするカラム充填剤。
- 請求項1〜3に記載のカラム充填剤において、シリルイソシアネート化合物が、メチルシリルトリイソシアネートであることを特徴とするカラム充填剤。
- 下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とするカラム充填剤の製造方法。
(A) シリカゲルに化学修飾基を有するシランカップリング剤の1種又は2種以上を反応させることにより、シリカゲル表面のシラノール基に該化学修飾基を導入する工程。
(B) (A)工程後、シリルイソシアネート化合物の1種又は2種以上を、シリカゲル表面上で重合させ、該シリカゲル表面の一部にシリコーンポリマー被膜を形成する工程。
(C) (B)工程後、残存シラノール基をエンドキャップ剤でトリメチルシリル化する工程。
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