JP3986735B2 - 電力系統制御装置及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電力供給者の発電設備と複数の需要家の負荷とを複数の電力系統を介して接続し、その電力系統の運用管理を行って需要家へ電力を供給するための電力系統制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、電力の供給は、そのほとんどが電力会社の所有する電力系統を経由して行われている。この電力系統の制御、保護、監視は電力会社が行っており、電力品質維持のための周波数安定化の機能も、電力会社の所有する中央給電指令所(以下中給という)で行っている。この電力系統には、電力会社の所有する火力、水力、原子力等の各種電源がつながっており、最近建設され始めたIPPも、電力会社が電力を買う形でこの電力系統につながっている。
【0003】
近年、電力の大口顧客に対する自由化により、大口需要家が電力会社以外の電力供給者から電気を電力会社の電力系統を経由して受電することが可能となった。この場合には、電力量に応じて電力会社の電力系統の使用料である託送料を支払うことが義務付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来の電力供給方式は広く普及しており、電力会社の管理下で安定かつ高品質の電力系統が維持されている。しかしながら、前述したように、電力会社所有の電力系統を使用して電力託送をする場合には託送料が必要となるため、たとえ需要家の近くに最適な電力供給者供給者が存在していても、託送を断念している場合がある。経済性やエネルギーロスの面からは、託送料が不要でかつ需要家に接近して配置される電力供給者からの電力供給が望ましい。
【0005】
このような従来の電力供給方式の問題点を解決するために、電力会社の託送電力系統とは別の非託送の電力系統を設置して電力の輸送に供することが考えられている。このような非託送電力系統は、電力会社の持つ既存の託送電力系統とは次の表1に示すような相違点を有する。
【表1】
【0006】
特に、非託送の電力系統は、託送料不要というメリットが大きく、また、近くに適当な電力供給者がいれば送電ロスも少なくなるという利点がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、電力供給者の発電設備と需要家の負荷とを非託送電力系統を介して接続し、状況に応じた安全かつ最適な非託送電力系統運用を実現することにより、電力供給者から需要家へ安定した電力の供給が可能で、かつ、経済性に優れ、省エネルギー効率の高い、好適な電力系統制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電力会社の託送電力系統との間で開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するための電力系統制御装置であって、前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する手段と、前記開閉手段動作条件が成立するまでは、少なくとも非託送電力系統内の需給バランス制御を実行する手段と、前記開閉手段動作条件が成立したときは前記開閉手段を開にする指令を出力すると共に前記需給バランス制御に加えて周波数安定化制御を実行する手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、電力会社の託送電力系統との間に開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するためのコンピュータ読取り可能なプログラムを記憶した記憶媒体であって、前記プログラムは、前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する処理と、前記開閉手段動作条件が成立するまでは、少なくとも非託送電力系統内の需給バランス制御を実行する処理と、前記開閉手段動作条件が成立したときは、前記開閉手段を開にする指令を出力すると共に前記需給バランス制御に加えて周波数安定化制御を実行する処理と、をコンピュータに実行させるように構成されたことを特徴とするものである。
【0010】
以上のような請求項1及び請求項4の発明によれば、開閉手段が閉じていて非託送電力系統が電力会社の託送電力系統と接続されている状態では、少なくとも非託送電力系統内の需給バランス制御を実行して非託送電力系統の安定した系統制御を行うことができるとともに、経済性および省エネルギー効率を向上できる。また、この場合、非託送電力系統の周波数は、連携先の託送電力系統と同期して安定に周波数が推移する。なお、開閉手段を開いて非託送電力系統が託送電力系統から切り離された状態では、託送電力系統による周波数安定化の効果は得られないが、需給バランス制御に加えて非託送電力系統の独自の周波数安定化制御を行うことにより、周波数を安定化させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、電力会社の託送電力系統と接続可能に構成されており、電力供給者ごと若しくは発電設備ごとに個別の開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するための電力系統制御装置であって、少なくとも電力会社からの受給電力の下限値条件をもとにして前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する手段と、前記電力供給者ごと若しくは発電設備ごとに、対応する開閉手段を動作させる優先順位を定める手段と、前記託送電力系統と前記非託送電力系統との間を流れる電力データを入力する手段と、前記電力データを用いて前記開閉手段動作条件が成立するか否かを判定する手段と、前記開閉手段動作条件が成立したときは、前記優先順位に従って前記開閉手段動作条件が不成立になるまで前記個別の開閉手段を開にする指令を出力する手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
以上のような請求項2の発明によれば、少なくとも電力会社からの受給電力の下限値条件をもとにして開閉手段動作条件を適切に作成することにより、状況に応じて開閉手段を開にして、電力供給者の発電設備をその優先順位に応じて非託送電力系統から切り離すことができる。例えば、託送電力系統から非託送電力系統に供給される電力が、電力会社からの受給電力の下限値条件を満たしている場合には、発電設備を非託送電力系統から切り離し、下限値条件に満たない場合には、発電設備を非託送電力系統に接続する、といった運用が可能である。この場合の優先順位に関しては、電力供給の安定度の低い発電設備を優先的に切り離し、安定度の高い発電設備を優先的に接続する、といった運用が可能である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、需要家ごと若しくは負荷ごとに個別の開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するための電力系統制御装置であって、少なくとも電力会社からの受給電力の上限値条件をもとにして前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する手段と、前記需要家ごと若しくは負荷ごとに、対応する開閉手段を動作させる優先順位を定める手段と、前記託送電力系統と前記非託送電力系統との間を流れる電力データを入力する手段と、前記電力データを用いて前記開閉手段動作条件が成立するか否かを判定する手段と、前記開閉手段動作条件が成立したときは、前記優先順位に従って前記開閉手段動作条件が不成立になるまで前記個別の開閉手段を開にする指令を出力する手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
以上のような請求項3の発明によれば、少なくとも電力会社からの受給電力の上限値条件をもとにして開閉手段動作条件を適切に作成することにより、状況に応じて開閉手段を開にして、需要家の負荷をその優先順位に応じて非託送電力系統から切り離すことができる。例えば、託送電力系統から非託送電力系統に供給される電力が、電力会社からの受給電力の上限値条件を越えている場合に、需要家の負荷を非託送電力系統から切り離す、といった運用が可能である。この場合の優先順位に関しては、遮断による影響の少ない負荷から優先的に切り離す、といった運用が可能である。
【0030】
なお、本発明において重要な用語の説明、定義は次の通りである。
「負荷の機能または用途」のうち、機能は、例えば、照明、電動機などであり、用途は、例えば、生産ラインに使用する一連の負荷などをいうが、負荷を区分する目的、理由があれば足りる趣旨である。
「電力会社」とは、本出願日における電気事業法の一般電気事業者であって、いわゆる10電力会社をいうが、その承継会社、あるいは、電線等を含む電力系統の所有、管理の移転があればその移転先の会社も含む。
「安定度」は、信頼度も含むものとする。
「発電設備」は、個々の発電機器ごとに発電設備という場合と、複数の発電機器を合わせて発電設備という場合の両方を含む。また、発電機器に付随する機器(例えば、発電機器に対して通常用いられる変電機器)も含むものとする。
「負荷」は、個々の負荷機器ごとに負荷という場合と、複数の負荷機器を合わせて負荷という場合の両方を含む。また、負荷機器に付随する機器(例えば、負荷機器に対して通常用いられる変電機器)も含むものとする。
「受給電力条件」とは、供給を受けるための電力に関する条件全般を意味する。たとえば、供給を受けられる最大電力や電力潮流の方向などを含む。
受給電力の「上限値条件」とは、主に電力会社から供給を受けられる最大電力に関する条件で、これは契約で規定されている場合が多いが、「下限値条件」は、必ずしも明確でない場合が多い。したがって、「下限値条件」は電力会社の系統へ電気を流してはいけないとか、それを逸脱した場合の許容時間等の電力潮流に関する条件など、上限値条件以外の受給電力に関する明示、黙示の条件を意味するものとして使用する。
「託送電力系統」は、電力会社の所有あるいは管理する電力系統をいう。
「非託送電力系統」は、託送電力系統以外の電力系統をいう。
【0031】
「電力データ」は、電力に関するデータ全般を意味する。たとえば、電力値のみならず、電圧、電流、周波数、電力量、電力料金なども含む。
「需給バランス制御」は、需要と供給のバランスを保つためのいわゆるスケジュール制御あるいはリアルタイム制御を含む。
「周波数安定化制御」は、いわゆるAFC(Automatic Frequency Control)を意味する。
「取決め」は、契約、約束を含む。
「契約電力情報」は、契約の際の電力に関する情報を意味する。たとえば何KWで契約をしたいかという情報も含まれる。
「演算」は、コンピュータにより結果を出すためのすべての手法を含む趣旨である。従って、計算の他、例えば、テーブルを参照して導出するような場合も含む。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下には、本発明を適用した実施形態について、図面にしたがって詳細に説明する。なお、説明の簡略化の観点から、各図を通して同等の構成要素には同一の符号を付す。
【0033】
[第1の実施形態]
[第1の実施形態の構成]
図1は、本発明による第1の実施形態に係る電力供給システムの全体構成を示すブロック図である。
この図1に示すように、本実施形態の電力供給システムは、電力会社の電力系統X1と、電力会社以外の非託送型電力系統である複数の非託送系統A2,B3,C4,D5と、これらの系統1〜5に接続される複数の電力供給者11と、複数の電力需要家12と、非託送系統A2〜D5の電力運用を行う監視指令センター13から構成される。
【0034】
ここで、非託送系統A2,D5は、電力会社の電力系統X1とは非連携の、独立した系統である。これに対し、非託送系統B3,C4は、それぞれ、連携線14,15により電力会社の電力系統X1と連携している。各電力供給者11および電力需要家12は監視指令センター13と通信回線16で接続され、運用に関わる各種データ21,22のやりとりを行うようになっている。また、各電力供給者11および電力需要家12は、従来技術について説明したように、託送料が必要な電力会社の電力系統(託送系統)X1と電力の送受が可能である。
【0035】
なお、各部の符号、例えば、電力供給者や電力需要家の符号、各種データの符号などは、図面の煩雑化をさけるため説明上必要な最小限のものにとどめており、他は省略している。また、非託送系統A2〜D5および託送系統X1へ実際に接続されるのは、電力供給者11の所有する電源および電力需要家12の所有する負荷であるが、ここでは簡単化のため、実際の接続に必要な変圧器や遮断器などは省略している。通信回線16との接続についても同様に、実際に使用される通信機器などは、本発明の本質ではないので、省略している。
【0036】
また、電力供給者11は、非託送電力供給のための専用の発電設備(電源)を保有する者だけでなく、例えば、自家発電設備を保有する工場のように、余剰電力を非託送電力供給可能なものも含まれる。したがって、各電力供給者11内の事情により、供給可能な電力量は変動するため、電力会社の運用する託送系統からの電力供給量に比べて、各電力供給者11からの電力供給量には制限がかかる場合が多い。
【0037】
一方、電力需要家12は、例えば、自家発電設備を持たない工場や、オフィスビル、商業ビル、百貨店、大型スーパー、ホテル、病院、学校など様々である。一般的にこのような電力需要家においては、所有する電力負荷に対して要求される電力の信頼性や安定性が異なる。ここで、電力の信頼性とは、停電などの各種リスクの発生する程度であり、電力の信頼度といってもよい。また、電力の安定性とは、周波数や電圧の変動などであり、電力の安定度あるいは電力品質といってもよい。また、信頼度を含めて安定度という場合もある。
【0038】
例えば、事務所の電灯と製品の製造機器では、停電した場合の損害が明らかに異なる。この場合、事務所の電灯には信頼性や安定性が低くても安価な電力が適しており、製造機器には高価でも信頼性や安定性の高い電力が求められる。前述した電源側の電力供給制限などはこの信頼性や安定度に影響を与えるため、これらに応じた電力料金を設定することが考えられる。
【0039】
このように、本実施形態の非託送系統A〜Dには、電力供給者11側の事情や電力需要家12側の電力負荷に要求される信頼性や安定度と価格を考慮した電力の需給バランス制御が必要となり、このような制御を監視指令センター13で行うようになっている。
【0040】
[第1の実施形態の制御機能と作用]
[監視指令センターによる各非託送系統の制御]
以下、各非託送系統A2〜D5に対して、監視指令センター13で行う各種の制御機能とその作用について説明する。なお、説明の簡略化のため、以下の説明では、各非託送系統A2〜D5を、系統A〜Dと略している。
【0041】
[非託送系統Aの制御]
系統Aは、複数の電力供給者11(電源)と複数の電力需要家12とをつないでいるが、これらの電源と需要家はそれぞれ他の非託送電力系統(例では系統D)と電力会社の電力系統(託送系統)にも接続されている。この場合、非託送系統と電力会社の電力系統とは直接連携していないため、非託送系統内の周波数安定化制御が独自に必要であるが、各電源および需要家が勝手な電力の送受を行うと、周波数安定化制御を達成することができない。このため、系統Aに接続された電源と需要家とのデータ交換を行っている監視指令センター13が、非託送系統内の周波数の安定化制御を行うことで、非託送系統内での電力の安定性を高くすることが可能となる。
【0042】
需要家からみれば、非託送系統と電力会社の電力系統とでは、前述したように、それぞれ受電価格、信頼性、安定性が違うため、これらの電力のニーズにより受電先を切り替えるとすると、受電の相手先系統としては3つの選択肢が存在することになる。これら3つの受電割合の一日のスケジュールを最適に決定することが求められる。
一方、電源としても、需要家と同様に非託送系統A,系統Dと電力会社の電力系統(託送系統)Xの3つにつなげることができる構成になっている。各電力系統での電気料金の価格を考えて、電源としての最適な売電計画が望まれる。
【0043】
以上の系統Aに関して、監視指令センター13は、次のような系統内の需給負荷バランス制御機能、および系統内周波数安定化制御機能を有する。
(1)系統内の需給負荷バランス制御機能
系統Aの場合は、電力会社の電力系統とは直接連携していないため、系統内の周波数を安定させるためには、この系統Aに対する発電供給量と電力需要量が常にバランスしていることが求められる。したがって、監視指令センター13では次の操作を行う。
(a)スケジュール最適演算とガイド出力
・各電源の起動スケジュール、負荷変化スケジュールの最適演算とその結果の各電源へのガイド出力
・各需要家の受電スケジュールの最適演算とその結果の各需要家へのガイド出力(b)電力需給バランス制御
需要状況をリアルタイムで監視し、発電と需要のバランスをリアルタイムでとるべく発電指令値への修正制御指令を演算し、その修正制御指令を各電源に出力する。
(2)系統内周波数安定化制御(周波数一定制御)
系統A内の周波数が常に設定周波数となるように、電源に対して発電指令値への修正制御指令を演算し、その修正制御指令を各電源に出力する。
【0044】
次に、図を参照して、監視指令センター13による上記の各機能を詳細に説明する。なお、説明を簡単にするため、以下では非託送系統Dを除いて説明するが、非託送系統Dが加わった場合やそれ以外の非託送系統が多数組み合わせられた場合にも、基本的な考え方や機能および演算方法は同じであり、本発明の要旨を損なうことはない。
【0045】
図2は、監視指令センター13によるスケジュール最適演算、ガイド出力から、系統Aのリアルタイム制御までの一連の処理の流れを示すフローチャートである。まず、系統A内の各需要家について、翌日の電力需要スケジュールを入手し、系統Aの電力需要スケジュールを集計する(S201)。次に、系統Aおよび電力会社の電力系統(以下、系統Xと略す)の電力単価、各需要家の電力会社との契約電力、系統A内の発電可能能力から、需要家毎の系統Aと系統Xのそれぞれからの受電スケジュール、電源毎の系統Aと系統Xへのそれぞれの系統への送電スケジュールを演算する(S202)。この演算結果を、電源側へは翌日の発電スケジュールとして、需要家へは翌日の受電スケジュールとして、それぞれガイド出力する(S203)。
【0046】
例えば、系統Aの電力需要スケジュールの集計が発電可能能力内の場合は、系統Aの各電源へ予め定めた方法で配分(例えば、総発電量の大きさに応じた配分など)して送電スケジュールすなわち発電スケジュールとし、発電電力の余力(余剰電力)については電力会社やあるいは他の非託送系統へ売ることにすると、これが他電力系統のための発電スケジュール(送電スケジュール)となる。この場合、電力供給者としては各系統側の電力の買い取り価格により電力がより高く売れる系統へ最大限売るように送電配分を決めることもできる。これにより、系統A内の電力供給者、電力需要家ともにコストメリットを最大化、すなわち最適スケジュールとすることが可能である。
【0047】
また、電力需要スケジュールの集計が発電可能能力を超える場合は、各需要家に最大限提供可能な送電スケジュールを各需要家毎に予め定めた方法で配分(例えば、総需要量に応じた配分など)して系統Aからの受電スケジュールとしてガイドする。この場合、電力会社との契約電力を越える需要家が出てくる可能性もあるが、系統A内に接続された需要家間で調整して、できる限り契約電力を越えないようにするといったことも可能である。本来、系統Aに接続される電源容量をはるかに超えるような需要家を接続することは系統設計上行うべきではないので、実際には、調整可能な範囲となる。
【0048】
そして、各電源は監視指令センター13から与えられた発電スケジュールに従って、発電設備の起動準備を行い、スケジュールスタート時間到達後は系統並列、出力運転を行う。また、各需要家も同様に、監視指令センター13から与えられた受電スケジュールに従って、所内系統の切り替え(各電力負荷を受電する系統に接続するための開閉器の操作など)と受電準備を行い、スケジュールスタート時間到達後は受電を開始する。
【0049】
このように各電源の出力運転が開始すると(S204のYES)、監視指令センター13は、各電源の出力制御を行うことにより、系統Aのリアルタイム制御を行う(S205)。この場合、各電源の出力制御は、前述の監視指令センター13からの発電スケジュールのガイドに基づき行われるが、当日の電力需要は必ずしも予測した値通りには行かない。この電力の需給の差は、周波数の変動となって現われるため、監視指令センター3は、リアルタイムで系統Aへの電力の需給バランスをとるべく、各電源に対して出力指令を与える。この出力指令の指令値は、各電源の効率、出力の上限/下限値を加味して全体として最適化されるように演算された分担割合である。
【0050】
また、系統A内の周波数が常に設定周波数となるように各電源への修正制御指令を演算し各電源に出力するもので、この修正制御指令値は前述の電力需給バランス制御から出力される出力指令値に加算されて電源に出力される。この場合にも各電源の特殊性を考えて、修正制御の加算出力値を電源毎に最適になるように演算して出力する。この周波数一定制御は電力供給者側の異常や需要家の負荷の脱落等による系統周波数変動時にも行われ、このような異常に対しても安定に制御が行われる。
【0051】
図3は、系統Aにおけるリアルタイムの電力需給バランス制御と周波数制御を監視指令センター13が行う場合の具体的な接続構成と信号の流れを示すブロック図である。図面を簡略化するために、図3中では、単一の電力供給者(電源)11と単一の電力需要家12のみを示しているが、実際には、n個の電力供給者(電源)11とm個の電力需要家12が、それぞれ電力会社の電力系統X1と非託送系統A2に接続されている。
【0052】
電力供給者11は発電機X30と発電機A31を保有している。発電機X30は、系統X1に電力を供給する目的で設置されている発電機であるが、供給者によっては保有していない場合もあり得る。発電機A31は、系統Aに電力供給するための発電機である。また、これらの発電機X30,A31は、a遮断器40、b遮断器41、c遮断器42を介して系統X1,A2にそれぞれ接続されている。
【0053】
電力需要家12は、系統A2から受電する電力負荷A32と系統X1から受電する電力負荷X33を保有している。ただし、需要家によっては、電力負荷X1を保有していない場合もあり得る。これらの負荷A32,X33は、d遮断器43、e遮断器44、f遮断器45を介して系統X1,A2にそれぞれ接続されている。
【0054】
監視指令センター13は、各電力供給者11からの系統Xへの送電量100(MWOXi)と系統Aへの送電量101(MWOAi)、各電力需要家12の系統Aからの受電量102(MWIAj)と系統Xからの受電量103(MWIXj)、および系統Aの周波数104(fA)をリアルタイムで取り込む。監視指令センター13は、このように取り込んだ信号に基づいて、電力需給バランス制御および周波数一定制御のための各電力供給者への出力指令105(DMWOXi:発電機Xへの指令、DMWOAi:発電機Aへの指令)を出力し、また、必要に応じて開閉器の操作等の各電力需要家への指令106を出力する。なお、各記号の添字iは個々の電力供給者を表す番号を示し、1〜nの値をとり、添字jは、個々の電力供給者を表す番号を示し、1〜mの値をとるものとする。
【0055】
図4は、系統Aのリアルタイムの需給バランス制御および周波数一定制御を監視指令センター13が行う場合の需給バランス制御部および周波数一定制御部の構成と信号の流れを示す制御ブロック図であり、図5は、監視指令センター13における系統Aのリアルタイム制御処理の流れを示すフローチャートである。このうち、図4に示すように、需給バランス制御部には、需給集計器50、比例ゲイン51、および積分器52などが用いられ、また、周波数一定制御部には、比例ゲイン53などが用いられる。
【0056】
そして、これらの制御部により、図5に示すように、需給バランス制御(S501)と周波数一定制御(S502)が行われ、需給バランス制御のための出力指令値に周波数一定制御のための修正制御指令値が加算された(S503)後、その結果として得られた出力指令値が各電源に出力される(S504)。
図6と図7は、図5中の需給バランス制御処理(S501)と周波数一定制御処理(S502)のサブルーチンを示すフローチャートである。すなわち、これらの制御処理の各指令値は、次のようにしてそれぞれ生成される。
【0057】
図6に示すように、需給バランス制御にあたっては、まず、需給集計器50で時刻tiからti+Δt秒間の系統Aに対する送電量と受電量の総合偏差200を演算する(S601)。この総合偏差200を需給設定値201(通常ゼロ)から減算して需給偏差202を算出する(S602)。そして、この需給偏差202に基づき、比例ゲイン51と積分器52により出力指令値203を出力する(S603〜S608)。
【0058】
例えば、あるΔt秒間に送電量と受電量とが等しい場合には、総合偏差200はゼロとなり、需給偏差202もゼロとなる(S603のYES)ため、出力指令値203は一定となる(S604)。これに対して、送電量が受電量より少ない場合、総合偏差200は負になり、需給偏差202は正となる(S605のYES)ため、比例ゲインが正とすると出力指令値は増加する(S606)。逆に、送電量が受電量より多い場合、総合偏差200は正になり、需給偏差202は負となる(S605のNO)ため、正の比例ゲインにより出力指令値は減少する(S607)。そして、このようにして得られた出力指令値203が出力される。
【0059】
したがって、監視指令センター13の需給バランス制御部は、送電量が受電量より少ない場合には送電量を増加させ、送電量が受電量より多い場合には逆に送電量を減少させるための出力指令値を出力し、需給バランスを確保するように作用する。
【0060】
一方、図7に示すように、周波数一定制御にあたっては、まず、周波数設定値(fset)210から現在の系統Aの周波数(fA)104を減算して周波数偏差211を演算し(S701)、この周波数偏差211に基づき、比例ゲイン53により修正制御指令値212を出力する(S702〜S707)。
【0061】
例えば、送電量と受電量とが等しい場合には、系統Aの周波数(fA)104は周波数設定値(fset)210と等しくなり、周波数偏差211はゼロとなる(S702のYES)ため、修正制御指令値212はゼロとなる(S703)。これに対して、送電量が受電量より少ない場合は、供給不足であるので、系統Aの周波数(fA)104が周波数設定値(fset)210より低くなる。このとき、周波数偏差211は正になる(S704のYES)ため、比例ゲインが正とすると修正制御指令値212は正の値となる(S705)。逆に、送電量が受電量より多い場合は、供給過多であるので、系統Aの周波数(fA)104が周波数設定値(fset)210より高くなる。このとき、周波数偏差211は負になるため、正の比例ゲインによって修正制御指令値212は負の値となる(S705)。そして、このようにして得られた修正制御指令値212が出力され(S707)、前述したように、需給バランス制御のための出力指令値203に加算される(S503)。
【0062】
したがって、監視指令センター13の周波数一定制御部は、系統Aの周波数が周波数背低値より高い場合には系統Aの周波数を下げ、系統Aの周波数が周波数設定値より低い場合には系統Aの周波数を上げるための修正制御指令値を出力し、系統Aの周波数を周波数設定値に保つように作用する。
【0063】
この他、電力会社の電力系統X1を利用して発電機X30から電力負荷X33へ送電しているような場合は、発電機X30からの送電量100(MWXOi)と電力負荷X33の受電量103(MWIXj)の需給バランス制御が必要になる。この制御も基本的には前述した系統A内の需給バランス制御と同様の構成で、発電機X30への出力指令(DMWOXi)により行うことができる。
なお、上記のフローチャートを用いた説明は、本実施形態を分かりやすく説明するためのもので、本発明はこれに限定されるものではない。以降においても同様である。
【0064】
以上述べたように、電力会社の電力系統と非連携の系統Aに対して、監視指令センター13は、日負荷変化の負荷バランスをとるために、その系統Aにつながる需要家の電力要求スケジュールから各電力供給者(電源)の出力スケジュールを演算し、また、需要家へは最適な受電スケジュールを演算し、それぞれ本日の運転スケジュールとしてガイドする。そして、電源と需要家が運転に入ったあとは、リアルタイムで系統内の需給バランス計算を行いリアルタイムで電源に対する出力修正制御を行う。さらに、系統Aは電力会社の電力系統Xと連携していないため、監視指令センター13で周波数維持のための制御を行い、この制御指令を各電源に出力して周波数を安定に制御する。
このような監視指令センター13による系統Aの制御により、系統Aでの電力の安全かつ安定供給を実現できるとともに、電力供給者、需要家ともにコストメリットを最大限に高めることが可能となる。
【0065】
[非託送系統Bの制御]
次に、非託送系統Bの制御について説明する。系統Bと、前述した系統Aとの違いは、系統Bが電力会社の電力系統Xと連携していることである。電力会社の電力系統Xと連携することで、系統Bの周波数は電力会社の電力系統と同期し、安定に周波数が推移する。そのため、系統Aで説明した周波数制御は、系統Bを電力会社の電力系統と切り離した場合(電力会社の電力系統が異常の場合または、計画的に切り離した場合等)のみに活かすことになる。
【0066】
しかしながら、電力会社の電力系統Xと系統Bとは、連携はしているが、契約により連携線の潮流が規定されることがある。これは、具体的には、電力会社の電力系統Xへの系統Bからの送電スケジュールが決まっている場合とか、潮流ゼロにして常に系統B内の需要は系統B内の電源からまかなう、といった契約電力の上限値が決まっている場合などである。従って、監視指令センター13は、系統Bに対しては、系統Aと同様のスケジュール最適演算とガイドを行う一方で、リアルタイム制御としては、電力会社の電力系統Xとの連携潮流変化が所定の潮流となるように最適演算制御する機能を有する。
【0067】
図8は、系統Bにおけるリアルタイムの電力需給バランス制御と周波数制御を監視指令センター13が行う場合の具体的な接続構成と信号の流れを示すブロック図である。図面を簡略化するために、図8中では、単一の電力供給者(電源)11と単一の電力需要家12のみを示しているが、実際には、n個の電力供給者(電源)11とm個の電力需要家12が、それぞれ電力会社の電力系統X1と非託送系統B3に接続されている。
【0068】
また、図9は系統Bのリアルタイムの需給バランス制御および周波数一定制御を監視指令センター13が行う場合の需給バランス制御部および周波数一定制御部の構成と信号の流れを示す制御ブロック図であり、図10は、監視指令センター13における系統Bのリアルタイム制御処理の流れを示すフローチャートである。
なお、系統Aについて図3および図4に示した構成要素や信号と同様の意味を持つものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図9に示すように、系統Bが系統Aと違う点は、系統Bがg遮断器46を介して電力会社の電力系統Xと連携している点である。すなわち、g遮断器46がオンの時は連携、オフの場合は非連携となる。監視指令センター13では、このg遮断器46のオンオフ状態(X−B)を入力し、図9の周波数一定制御部のスイッチ56を切り替えるようになっている。
【0070】
したがって、図10に示すように、需給バランス制御(S1001)と周波数一定制御(S1002)が行われた後、g遮断器46がオフ(X−Bがオフ)、つまり非連携の場合にのみ(S1003のYES)、スイッチ56はオンとなり、修正制御指令値212が需給バランス制御の出力指令値203に加算される(S1004)ようになっている。これにより、非連携状態における系統Bの周波数を一定に保つことが可能となる。これに対して、g遮断器46がオン(X−Bがオン)、つまり連携の場合には(S1003のNO)、スイッチ56はオフとなり、需給バランス制御の出力指令値203のみが出力指令値として選択される(S1005)。そして、結果として得られた出力指令値が各電源に出力される(S1006)。
【0071】
また、需給バランス制御部においては、連携時の潮流を所定の値に制御するために、潮流設定値204から、潮流の検出値(MWBX)を減算し、比例ゲイン54を乗じて低値選択器55(LVG)に入力するような構成となっている。これにより、潮流が所定の値を超えないように制御し、潮流が所定の値を超えた場合に課されるペナルティ(超過料金および契約電力のアップ要求)を回避することが可能となる。
【0072】
この他、監視指令センター13は、次のような各種保護制御も行う。
例えば、電力会社からの受給電力条件として、託送電力系統から非託送電力系統への潮流が規定されている場合などには、「潮流を所定の値にする制御範囲を逸脱した場合」を開閉手段動作条件として、上限値方向に逸脱したときは、g遮断器46を開とするとともに、電力負荷B32のいくつかを遮断したり、あるいは電力需要家のd遮断器43を開とするなどの動作を行うこともできる。これらの動作は、監視指令センター13から電力需要家への各種指令106によって自動的に行うことが可能である。
【0073】
この場合には、予め遮断可能な負荷やその優先順位を決めておくことが望ましく、この場合の優先順位に関しては、遮断による影響の比較的少ない負荷から優先的に遮断することが考えられる。具体的に、前述したような事務所の電灯と製造機器の例について考えた場合、製造機器などの安定した動作が求められる負荷については電力供給を極力維持し、事務所の電灯などの停止しても比較的影響の少ない負荷から優先的に遮断することが考えられる。
【0074】
なお、上記説明では、g遮断器46と電力負荷の両方を遮断することとしたが、どちらか一方でも良い。
一方、潮流の最小値を逸脱しそうになったとき、あるいは潮流が非託送電力系統から託送電力系統へ変化しそうになったときなど、下限値方向へ逸脱したときは、g遮断器46を開とするとともに、発電機B31のいくつかを遮断したり、あるいは電力供給者のb遮断器41を開とするなどの動作を行うこともできる。
上記と同様、予め遮断可能な発電機の優先順位を決めておくことが望ましい。また、g遮断器46と発電機のいずれか一方を遮断することとしても良い。
なお、受給電力条件を直ちに遮断器の動作条件とするよりも受給電力条件にある程度マージンを持たせて、遮断器の動作条件とするのが望ましい。
【0075】
また、例えば、電源のa遮断器40とc遮断器42を操作して発電機X30を系統Aの電力供給に充てるなどの非常時の操作についても、監視指令センター13からの各種指令によって行うことができる。すなわち、「託送電力系統から非託送電力系統に供給される電力が、電力会社からの受給電力の下限値条件を満たしている場合」を開閉手段動作条件として、発電機X30を系統Aから切り離しておき、この条件が不成立になった場合、すなわち、下限値条件に満たなくなった場合には、非常時の操作として、電源のa遮断器40とc遮断器42を操作して発電機X30を系統Aに接続する、といった動作を行うこともできる。
【0076】
以上述べたように、監視指令センター13による系統Bの制御により、系統Aの制御と同様に、電力の安全かつ安定供給を実現できるとともに、電力供給者、需要家ともにコストメリットを最大限に高めることが可能となる。
また、g遮断器46を開にしたとき、系統Bにおいて周波数一定制御を行なうので、機器へのダメージを抑制することができ、さらに、系統Bの規模によっては高速制御が可能となり非連携下において受給バランスが回復することも期待できる。
なお、上記は連携時には、周波数一定制御を行なわないこととして説明したが、連携時に周波数一定制御を行なうようにして、系統B内の受給バランス制御の精度向上を図ってもよい。
【0077】
[非託送系統Cの制御]
次に、非託送系統Cの制御について説明する。系統Cについては、系統Cへの電源が集中化されており、一カ所に複数台の発電機を設置して、出力の制御を行うようになっている。また、系統Cは、系統Bと同様に、電力会社の電力系統Xと連携している。
【0078】
このように構成された系統Cにおいて、負荷バランスのためのスケジュール演算、需給バランス制御、潮流制御、各種保護制御等は、内容的には系統Bと同じであるが、発電機の出力制御は、一カ所の電源の場所にて行われる。また、このように一カ所に電源が集中している場合には、よりきめ細かな電源運用が可能となる。例えば、各電源の効率(または燃料消費特性)に着目した運転の最適化といったことが可能となり、エネルギー効率のよい、すなわち、環境保全性に優れた系統運用が可能となる。
【0079】
したがって、監視指令センター13による系統Cの制御により、系統A、系統Bの制御と同様に、電力の安全かつ安定供給を実現できるとともに、電力供給者、需要家ともにコストメリットを最大限に高めることが可能となる。
【0080】
[電力供給システムの構成例]
図11は、図1に示した実施形態に係る電力供給システムの構成例の概要を示す概念図である。図11に示すように、需要地域301,302は、電力供給者303,304から非託送電力線305を介して電力の供給を受けるようになっており、電力会社送電網302とは接続されていない。すなわち、需要地域301,302が、電力供給者303,304と近接する場合等においては、電力会社送電網(託送網)306を利用せずに非託送電力線305による電力の流通が実現できる。
【0081】
また、一方の電力供給者303は、非託送電力線305のみと接続されているが、他方の電力供給者304は、非託送電力線305と電力会社送電網306の両方に接続されている。図中307は、電力会社送電網306の負荷を中央で監視制御する中給(中央給電指令所)である。そして、監視指令センター13は、インターネットまたはイントラネット、あるいはその両方(以下には、インターネットで統一表現する)308を介して、需要地域301,302と電力供給者303,304に接続されるとともに、中給307に接続されている。
【0082】
なお、図中309は、需要地域301,302や電力供給者303,304を、非託送電力線305や電力会社送電網306と接続するための開閉器である。
この場合の電力供給者303,304は、具体的には、自家発電、コジェネ、燃料電池、風力、小規模水力等の各種分散電源等である。
また、需要地域301,302は、発電設備を持たない工場やビル、近隣の商業地域、工業団地、新興住宅地域等である。
【0083】
この電力供給システムにおいて、監視指令センター13は、インターネット308を介して、電力供給者303,304、需要地域301,302の需要家、および電力会社送電網306の負荷を中央で監視制御する中給307と、信号の授受を行い、非託送電力線305の開閉器の操作を含め、非託送電力線305の負荷の安定供給を制御する。このような監視指令センター13は、電力供給者303,304内に設置してもよいが、需要地域301,302に設置したり、あるいは、近隣の場所に独立に設置したりすることも可能である等、具体的な設置場所は適宜選択される。
【0084】
[集中監視制御システムの接続例]
図12は、図11の電力供給システムにおいて、監視指令センター13の集中監視制御システムの接続例の概要を示す概念図である。非託送の電力供給者303,304は、発電設備311とそれを運転監視する制御装置であるDCS312を有しており、さらに、非託送電力線305と電力会社送電網306の両方に接続された電力供給者304は、開閉設備313を有している。
【0085】
また、監視指令センター13には、集中監視制御装置314が設けられており、インターネット308を介して非託送の電力供給者303,304のDCS312と接続されている。この集中監視制御装置314はまた、インターネット308を介して各需要地域301,302内の各需要家の負荷装置とも接続されており、さらに、開閉器309や、電力会社の中給307とも接続されている。
【0086】
この集中監視制御システムによれば、監視指令センター13の集中監視制御装置314により、DCS312を介して発電設備311の集中運転が実現できる。これにより各発電設備311の運転員の無人化が実現できる。また、インターネット308を介して電力会社の中給307からの情報を受け取るとともに、需要地域301,302内の各需要家の負荷装置を制御し、また、開閉器309を操作することにより、非託送電力の安定供給のための適切な運転を実施することができる。
【0087】
[非託送電力線の敷設例]
図13〜図15は、非託送電力線401の各種の敷設例を示す説明図である。電力供給者と需要地域は近接する場合が多いので、非託送電力線の敷設には地理的な面から最適な方法が採用される。以下には、それらの事例について説明する。
【0088】
図13の(A)は、鉄道の施設内に非託送電力線401を敷設した状態を示す概念図である。この図に示すように、例えば、鉄道(電鉄を含む)の線路の側路の空きスペースに側溝を設けるか、または、適する電力送電線敷設エリアを借りて敷設することが考えられる。鉄道の線路は、地域を網羅しているため、鉄道の施設を利用して地理的に有用な非託送電力線401を実現することができる。
図13の(B)は、地下鉄の施設内に非託送電力線401を敷設した状態を示す概念図である。この図に示すように、例えば、地下鉄の側壁上部などに非託送電力線401を敷設することが考えられる。鉄道と同様、地下鉄も都心から郊外まで網羅しているため、地下鉄の施設を利用して地理的に有用な非託送電力線401を実現することができる。
【0089】
図14の(A)は、上水道・都市ガスラインに併設する形で非託送電力線401を敷設した状態を示す概念図である。上水道・都市ガスラインは、商業地域、住宅地域等の地中に敷設されているため、上水道・都市ガスラインを利用して地理的に有用な非託送電力線401を実現することができる。
図14の(B)は、下水道に非託送電力線401を敷設した状態を示す概念図である。この図に示すように、例えば、電力送電線を下水道導管の側壁上部に敷設することが考えられる。上水道・都市ガスラインと同様、下水道も商業地域、住宅地域等の地中に敷設されているため、下水道を利用して地理的に有用な非託送電力線401を実現することができる。
【0090】
図15の(A)は、大深度地下に非託送電力線401を敷設した状態を示す概念図である。他人の所有する土地、道路等の地下でも30メートル以下の地下は、大深度地下として所有者以外が届け出により敷設できる。そして、大深度地下を利用した非託送電力線401の敷設が実現できれば、工業地帯における電力供給者間や需要地域間での非託送電力供給システムの実現が容易になる。
図15の(B)は、海底に非託送電力線401を敷設した状態を示す概念図である。通信線等も海底ケーブルが広範囲に敷設される時代であるため、非託送電力線401についても海底の活用が考えられる。
【0091】
実際の非託送電力線の敷設にあたっては、図13〜図15に示すような、各種の送電線工事方法情報を工事費用と共にあらかじめ保存しておき、この情報を利用して、図16に示すような手順によって、送電線工事を行う。すなわち、電力供給者の発電設備もしくは需要家の負荷の所在する地理情報(海岸に臨接等)をもとに送電線工事方法情報の中から可能性のある工事方法を抽出する(S1601)。そして、抽出した工事方法が複数あるとき(S1602のYES)は、工事費用をもとに一つの工事方法を選択し(S1603)、抽出した工事方法が一つであるとき(S1602のNO)はその一つの工事方法をそのまま選択して(S1604)、選択した工事方法により送電線工事を行う(S1605)。
この手順によれば、電力供給者の発電設備や需要家の負荷の所在する地理的条件に基づいて、適切な工事方法を選択し、効率よく送電線工事を行うことができる。
【0092】
[監視指令センターの他の機能]
以上の説明においては、監視指令センターの基本的な機能として、非託送系統の電力品質維持を目的として、経済性を考慮した、電力供給者の最適な発電スケジュールの演算とそのガイド、経済性を考慮した、需要家の最適な受電スケジュールの演算とそのガイド系統安定化のための機能(運転スケジュール演算、負荷バランスのためのリアルタイムでの制御等)について記載したが、非託送系統の潮流監視、系統保護と系統切替制御も当然必要となる。また、単独系統、系統の電源または需要家の異常時等の対応制御も必要である。
【0093】
このような機能を行うために、監視指令センターは、需要家と電源(電力供給者)に対してネットワークにより運転履歴データの収集を行い、保存・管理、また最適演算への元データとしての利用を行う。
監視指令センターはまた、発電、受電に関連するサービス以外に、例えば、次のような各種サービスも非託送系統のユーザ(需要家や電源)に対して行うことが可能である。
・電源や需要家の受電設備の保守計画支援
・電源や需要家の電力料金計算、支払い代行等、料金関連のサービス
・発電所の運転代行(リモート運転も含む)、保守代行
【0094】
[第1の実施形態の効果]
以上述べたように、本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)非託送電力系統からの安い電力の供給により、経済的かつ省エネルギーを考慮した電力の供給ができる。
(2)電源については、エネルギー最小、売電コスト最大等の条件を満たすような最適な複数の系統への発電スケジュールで運転可能となる。
(3)需要家については、消費エネルギー最小、買電コスト最小等の条件を満たすような最適な複数の系統からの受電スケジュールで運転可能となる。
したがって、様々な非託送電力系統に応じた電力系統監視制御により、需要家、電力供給者ユーザにとってコストメリットのある、省エネルギー効率の高い、安定した電力の供給が可能となる。
【0095】
[第2の実施形態]
図17は、本発明による第2の実施形態として、非託送電力系統の運営者、例えば、前述した第1の実施形態における監視指令センターが、その非託送電力系統内の電力供給者や需要家を代表して電力会社と一括的に契約する場合の、契約から系統運用時における課金までの処理手順を示すフローチャートである。
【0096】
この図17に示すように、監視指令センターはまず、入力された各需要家の契約電力情報を記憶し(S1701)、少なくとも前記記憶されている各需要家の契約電力情報を用いて電力会社との契約電力を演算し(S1702)、演算した契約電力をもとに電力会社と契約を締結する(S1703)。そして、契約の締結後の系統運用にあたっては、電力会社からの供給に係る電力データ、電力供給者の供給に係る電力データ、および各需要家の消費に係る電力データを記憶する(S1704)。
【0097】
この系統運用時において、一定期間(例えば一ヶ月)が経過するごとに(S1705のYES)、電力会社に対してその電力会社の電力データに基づき料金を支払い(S1706)、さらに、記憶している電力会社、電力供給者、および、需要家の各電力データをもとに各需要家の支払うべき料金を演算して(S1707)、各需要家に対してその演算した料金を課金する(S1708)。系統運用時には、このようなS1704〜S1708の一連の処理を繰り返して、定期的に料金支払いと課金を実施する。
【0098】
この手順によれば、非託送電力系統が電力会社の託送電力系統と接続され、電力会社から電力の供給を受ける場合に、非託送電力系統に接続された需要家、電力供給者は、個別に電力会社と契約をする必要なく、非託送電力系統の運営者である監視指令センターが、それらの需要家、電力供給者を含めたその非託送電力系統を代表して、電力会社と一括的に契約することができる。そして、監視指令センターは、電力会社からの供給に係る電力データに基づいて、非託送電力系統内の電力使用料を電力会社に一括して支払うとともに、電力会社、需要家、電力供給者に係る各電力データに基づいて、各需要家に料金を課金することができる。
したがって、需要家の立場からみれば、非託送電力系統と電力会社の託送電力系統の両方から電力供給を受けながらも、電力使用料については、消費した総電力量に応じて監視指令センターに一括して支払うだけであり、料金清算が簡略である。
【0099】
[第3〜第5の実施形態の概要]
上述した第1の実施形態においては、説明の簡略化の観点から、電力供給元である発電設備や電力会社の電力系統と、電力供給先である需要家の各負荷とが、予め対応付けられているものとして説明したが、実際の系統運用にあたっては、需要家の各負荷の機能や用途に応じて決まる電力の要求安定度に基づいて、電力供給元あるいは送電に使用する電力系統と電力供給先である負荷とを、必要が生じた時点で逐次対応付けることになる。以下には、そのような場合における供給元や系統と負荷との対応付けから負荷への電力供給までの具体的な複数の手順について、本発明による第3〜第5の実施形態として順次説明する。
【0100】
[第3の実施形態]
図18は、本発明による第3の実施形態として、特に需要家の立場を重視した電力供給手順を示すフローチャートであり、図19は、図18の手順の対象となる電力事業者、電力需要家、およびその負荷などの構成例を示すブロック図である。この図19においては、説明の簡略化の観点から、2つの電力事業者501,502、1つの電力需要家503、およびその4つの負荷504〜507のみが示されている。この図19の構成について、負荷504〜507に電力を供給するまでの手順は、次の通りである。
【0101】
図18に示すように、まず、複数の負荷504〜507を機能または用途別に分類し(S1801)、機能または用途ごとに電力の要求安定度を決定する(S1802)。ここでは、例えば、2つの負荷504,505が製造機器であり、残りの2つの負荷506,507が事務所の電灯であるものと仮定する。この場合、製造機器である2つの負荷504,505は要求安定度が高いと決定し、事務所の電灯である残りの2つの負荷506,507は要求安定度が低いと決定する。
【0102】
次に、要求安定度が高い負荷504,505については(S1803のYES)、高い要求安定度を満たす電力を供給する電力事業者501を選択し(S1804)、要求安定度が低い負荷506,507については(S1803のNO)、低い要求安定度を満たす電力を供給する電力事業者502を選択する(S1805)。ここでは、例えば、電力事業者501は、電力会社であり、電力事業者502は、自家発電設備を有し、その余剰電力を非託送電力供給する工場であるものと仮定する。
【0103】
そして、このように選択した各電力事業者501,502の電力を機能または用途別の負荷504〜507にそれぞれ供給する(S1806)。すなわち、図19の下段に示すように、電力会社である電力事業者501からの電力を、系統508を介して製造機器である負荷504,505に供給する一方で、自家発電設備を有する工場である電力事業者502からの電力を、系統509を介して事務所の電灯である負荷506,507に供給する。
【0104】
すなわち、図19の例では、要求安定度の高い製造機器については、電力会社などの電力事業者から、高い要求安定度を満たす電力が供給され、要求安定度の比較的低い事務所の電灯については、自家発電設備を有する工場などの電力事業者から、余剰電力などの、比較的低い要求安定度を満たす電力が供給される。
このように、図18に示す手順によれば、複数の負荷に対して、その機能や用途に応じた電力の要求安定度を満たす電力を確実に供給することができる。したがって、特に、需要家の立場から考えれば、電力の要求安定度に応じた、安定した電力供給を受けることができる。
【0105】
[第4の実施形態]
図20は、本発明による第4の実施形態として、特に非託送電力事業者の立場を重視した電力供給手順を示すフローチャートであり、図21は、図20の手順の対象となる発電設備、非託送電力系統、電力需要家、およびその負荷などの構成例を示すブロック図である。この図21においては、説明の簡略化の観点から、1つの発電設備511、1つの非託送電力系統512、1つの電力需要家513、およびその4つの負荷514〜517のみが示されている。この図21の構成について、供給先条件を満たす負荷514,515に電力を供給するまでの手順は、次の通りである。
【0106】
図20に示すように、まず、電力需要家513の機能または用途別の負荷情報と、機能または用途ごとの電力の要求安定度情報を入力する(S2001)。ここでは、例えば、2つの負荷514,515が要求安定度の比較的低い事務所の電灯であり、残りの2つの負荷516,517が、要求安定度の比較的高い製造機器であるとする。この場合、2つの負荷514,515について、負荷情報「事務所の電灯」、要求安定度情報「低い」を入力するとともに、残りの2つの負荷516,517について、負荷情報「製造機器」、要求安定度情報「高い」を入力することになる。
【0107】
次に、入力した負荷情報と要求安定度情報をもとに、発電設備511から非託送電力系統512を介して電力を供給するための供給先条件を満たす負荷を探索する(S2002)。ここでは、例えば、発電設備511は、工場の自家発電設備であり、その余剰電力のみを非託送電力系統512を介して供給するものと仮定する。この場合の供給先条件は、例えば、「電灯などの、要求安定度の比較的低い負荷」となる。そして、この供給先条件を満たす負荷がある場合(S2003のYES)には、その負荷を選択して(S2004)、その選択した負荷に電力を供給する(S2005)。この例では、2つの負荷514,515がその供給先条件を満たすため、これらの負荷514,515に対して発電設備511から非託送電力512を介して電力を供給することになる。
【0108】
このように、図20に示す手順によれば、各負荷に関する電力の要求安定度に基づいて、供給先の負荷を選択し、選択した負荷に対して電力を確実に供給することができる。したがって、特に、非託送電力事業者の立場から考えれば、適切な供給先に対する効率の良い電力供給を実現できる。
【0109】
[第5の実施形態]
図22は、本発明による第5の実施形態として、特に要求安定度別に負荷をグループ化し、別の系統で電力供給を行う場合の電力供給手順を示すフローチャートであり、図23は、図22の手順の対象となる発電設備、非託送電力系統、電力需要家、およびその負荷などの構成例を示すブロック図である。この図23においては、説明の簡略化の観点から、2つの発電設備521,522、2つの非託送電力系統523,524と、系統524に連携線525を介して接続された電力会社の電力系統526、1つの電力需要家527、およびその4つの負荷528〜531のみが示されている。この図23の構成について、負荷528〜531に電力を供給するまでの手順は、次の通りである。
【0110】
図22に示すように、まず、電力需要家527の機能または用途別の負荷情報と、機能または用途ごとの電力の要求安定度情報を入力する(S2201)。ここでは、例えば、2つの負荷528,529が要求安定度の比較的低い事務所の電灯であり、残りの2つの負荷530,531が、要求安定度の比較的高い製造機器であるとする。この場合、2つの負荷528,529について、負荷情報「事務所の電灯」、要求安定度情報「低い」を入力するとともに、残りの2つの負荷530,531について、負荷情報「製造機器」、要求安定度情報「高い」を入力することになる。
【0111】
次に、入力した負荷情報と要求安定度情報をもとに、負荷528〜531をグループ化する(S2202)。前述したように、ここでは、2つの負荷528,529が要求安定度の比較的低い事務所の電灯であり、残りの2つの負荷530,531が、要求安定度の比較的高い製造機器であるため、図23の下段に示すように、負荷528,529を要求安定度の低いグループ541とし、負荷530,531を要求安定度の高いグループ542とする。
【0112】
続いて、要求安定度が高いグループ542については(S2203のYES)、高い要求安定度を満たす電力供給用の非託送電力系統524を選択し(S2204)、要求安定度が低いグループ541については(S2203のNO)、低い要求安定度を満たす電力供給用の非託送電力系統523を選択する(S2205)。ここでは、例えば、一方の発電設備521は、工場の自家発電設備であり、その余剰電力のみを非託送電力系統523を介して供給するものであると仮定し、また、他方の発電設備522は、非託送電力供給専用の発電設備であると仮定する。この場合、一方の発電設備521から供給される電力は、低い要求安定度を満たすものであるが、他方の発電設備522から供給される電力は高い要求安定度を満たすものである。また、非託送電力系統524は、連携線525によって電力会社の電力系統526に接続されているため、電力会社の電力系統526からの電力を供給することも可能である。
【0113】
そして、このように選択した各非託送電力系統523,524を介して、各グループ541,542の負荷に電力をそれぞれ供給する(S2206)。すなわち、図23の下段に示すように、一方の発電設備521の余剰電力を非託送電力系統523を介して要求安定度が低いグループ541の負荷528,529に供給するとともに、非託送電力供給専用の発電設備522からの電力を、非託送電力系統524を介して要求安定度が高いグループ542の負荷530,531に供給する。
【0114】
この手順によれば、各負荷に関する電力の要求安定度に基づいて、負荷をグループ分けし、各グループ用の非託送電力系統を介して電力をグループごとに供給することができる。そのため、需要家の立場から考えれば、電力の要求安定度に応じた、安定した電力供給を受けることができると共に、非託送電力事業者の立場から考えた場合には、適切な供給先に対する効率の良い電力供給を実現できる。
【0115】
特に、図23の例では、要求安定度が高いグループ542の負荷を接続する非託送電力系統524を電力会社の電力系統526と接続可能としている。この場合、要求安定度が高いグループ542の負荷は、仮に非託送電力系統内の発電設備522からの安定した電力供給が受けられなくなった場合でも、電力会社の電力系統526からの電力供給を受けることができるため、結果として、常に安定した電力供給を受けることができる。
【0116】
[他の実施形態]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な形態が実施可能である。例えば、次のような形態が考えられる。
(1)前記実施形態においては、監視指令センターを集中化して独立に設置しているが、このように監視指令センターを独立に設ける代りに、電力の需給バランス制御機能を、ある一つの電力供給者に備えてもよいし、機能毎に分散した構成としてもよい。
(2)監視指令センターと需要家および電源との通信回線は、公衆回線でもインターネットでも、イントラネットでもよく、その種類は問わない。
(3)監視指令センターの機能は、従来の電力会社の中給の機能にとどまらずに電力会社が行う種々の管理機能(料金計算、料金徴収、自動引き落とし等の業務)および電力供給者や需要家の運転履歴データを元にした電力供給者の保守サービス、電力供給者の運転代行、需要家の受電操作代行、設備更新の計画等も行えるようにすることが考えられる。この場合、監視指令センターは、それらの機能を実現するための情報のインターフェースを電力会社、銀行等の金融機関等と保有する。
【0117】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、非託送電力系統を電力会社の託送電力系統と接続可能とし、非託送電力系統と託送電力系統との間、非託送電力系統と電力供給者の発電設備の間、あるいは非託送電力系統と需要家の負荷との間、の接続に関する動作条件を適切に設定することにより、状況に応じた安全かつ最適な非託送電力系統運用を実現することができるため、電力供給者から需要家へ安定した電力の供給が可能である。また、高い経済性と省エネルギー効率を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施形態に係る電力供給システムの全体構成を示ブロック図。
【図2】図1に示す監視指令センターによるスケジュール最適演算、ガイド出力から、系統Aのリアルタイム制御までの一連の処理の流れを示すフローチャート。
【図3】図1に示す系統Aにおけるリアルタイムの電力需給バランス制御と周波数制御を監視指令センターが行う場合の具体的な接続構成と信号の流れを示すブロック図。
【図4】図1に示す系統Aのリアルタイムの需給バランス制御および周波数一定制御を監視指令センターが行う場合の需給バランス制御部および周波数一定制御部の構成と信号の流れを示す制御ブロック図。
【図5】図1に示す監視指令センターにおける系統Aのリアルタイム制御処理の流れを示すフローチャート。
【図6】図5中の需給バランス制御処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図7】図5中の周波数一定制御処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図8】図1に示す系統Bにおけるリアルタイムの電力需給バランス制御と周波数制御を監視指令センターが行う場合の具体的な接続構成と信号の流れを示すブロック図。
【図9】図1に示す系統Bのリアルタイムの需給バランス制御および周波数一定制御を監視指令センターが行う場合の需給バランス制御部および周波数一定制御部の構成と信号の流れを示す制御ブロック図。
【図10】図1に示す監視指令センターにおける系統Bのリアルタイム制御処理の流れを示すフローチャート。
【図11】図1に示す電力供給システムの構成例の概要を示す概念図。
【図12】図11の電力供給システムにおいて、監視指令センター13の集中監視制御システムの接続例の概要を示す概念図。
【図13】(A)は、鉄道の施設内に非託送電力線を敷設した状態を示す概念図、(B)は、地下鉄の施設内に非託送電力線を敷設した状態を示す概念図。
【図14】(A)は、上水道・都市ガスラインに併設する形で非託送電力線を敷設した状態を示す概念図、(B)は、下水道に非託送電力線を敷設した状態を示す概念図。
【図15】(A)は、大深度地下に非託送電力線を敷設した状態を示す概念図、(B)は、海底に非託送電力線を敷設した状態を示す概念図。
【図16】送電線工事の方法を選択して選択した工事方法によって送電線工事を行うまでの手順を示すフローチャート。
【図17】本発明による第2の実施形態として、電力会社との契約から系統運用時における課金までの処理手順を示すフローチャート。
【図18】本発明による第3の実施形態として、特に需要家の立場を重視した電力供給手順を示すフローチャート。
【図19】図18の手順の対象となる電力事業者、電力需要家、およびその負荷などの構成例を示すブロック図。
【図20】本発明による第4の実施形態として、特に非託送電力事業者の立場を重視した電力供給手順を示すフローチャート。
【図21】図20の手順の対象となる発電設備、非託送電力系統、電力需要家、およびその負荷などの構成例を示すブロック図。
【図22】本発明による第5の実施形態として、特に要求安定度別に負荷をグループ化し、別の系統で電力供給を行う場合の電力供給手順を示すフローチャート。
【図23】図22の手順の対象となる発電設備、非託送電力系統、電力需要家、およびその負荷などの構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…電力系統
2〜5…非託送系統
11…電力供給者
12…電力需要家
13…監視指令センター
14,15…連携線
16…通信回線
21,22…各種データ
30,31…発電機
40〜46…遮断器
50…需給集計器
51,53,54…比例ゲイン
52…積分器
55…低値選択器
56…スイッチ
100,101…送電量
102,103…受電量
104…周波数
105…出力指令
106…指令
200…総合偏差
201…需給設定値
202…需給偏差
203…出力指令値
210…周波数設定値
211…周波数偏差
212…修正制御指令値
301,302…需要地域
303,304…電力供給者
305…非託送電力線
306…電力会社送電網
307…中給(中央給電指令所)
308…インターネット
309…開閉器
311…発電設備
312…DCS
313…開閉設備
314…集中監視制御装置
401…非託送電力線
501,502…電力事業者
503,513,527…電力需要家
504〜507,514〜517,528〜531…負荷
508,509…系統
511,521,522…発電設備
512,523,524…非託送電力系統
525…連携線
526…電力会社の電力系統
Claims (4)
- 電力会社の託送電力系統との間で開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するための電力系統制御装置であって、
前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する手段と、
前記開閉手段動作条件が成立するまでは、少なくとも非託送電力系統内の需給バランス制御を実行する手段と、
前記開閉手段動作条件が成立したときは前記開閉手段を開にする指令を出力すると共に前記需給バランス制御に加えて周波数安定化制御を実行する手段と、
を備えたことを特徴とする電力系統制御装置。 - 電力会社の託送電力系統と接続可能に構成されており、電力供給者ごと若しくは発電設備ごとに個別の開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するための電力系統制御装置であって、
少なくとも電力会社からの受給電力の下限値条件をもとにして前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する手段と、
前記電力供給者ごと若しくは発電設備ごとに、対応する開閉手段を動作させる優先順位を定める手段と、
前記託送電力系統と前記非託送電力系統との間を流れる電力データを入力する手段と、
前記電力データを用いて前記開閉手段動作条件が成立するか否かを判定する手段と、
前記開閉手段動作条件が成立したときは、前記優先順位に従って前記開閉手段動作条件が不成立になるまで前記個別の開閉手段を開にする指令を出力する手段と、
を備えたことを特徴とする電力系統制御装置。 - 電力会社の託送電力系統と接続可能に構成されており、需要家ごと若しくは負荷ごとに個別の開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するための電力系統制御装置であって、
少なくとも電力会社からの受給電力の上限値条件をもとにして前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する手段と、
前記需要家ごと若しくは負荷ごとに、対応する開閉手段を動作させる優先順位を定める手段と、
前記託送電力系統と前記非託送電力系統との間を流れる電力データを入力する手段と、前記電力データを用いて前記開閉手段動作条件が成立するか否かを判定する手段と、
前記開閉手段動作条件が成立したときは、前記優先順位に従って前記開閉手段動作条件が不成立になるまで前記個別の開閉手段を開にする指令を出力する手段と、
を備えたことを特徴とする電力系統制御装置。 - 電力会社の託送電力系統との間に開閉手段を備え、電力供給者の発電設備から需要家の負荷へ電力を供給する非託送電力系統を制御するためのコンピュータ読取り可能なプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記プログラムは、前記開閉手段を開にする開閉手段動作条件を作成する処理と、
前記開閉手段動作条件が成立するまでは、少なくとも非託送電力系統内の需給バランス制御を実行する処理と、
前記開閉手段動作条件が成立したときは、前記開閉手段を開にする指令を出力すると共に前記需給バランス制御に加えて周波数安定化制御を実行する処理と、
をコンピュータに実行させるように構成されたことを特徴とする記憶媒体。
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