JP3986701B2 - 無線カード用通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信装置のアンテナコイルから送られる誘導磁界を無線カードで受け、受けた誘導磁界を電源として使用し無線カードのデータを通信装置に応答する無線カード用通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、通信装置と無線カード間で磁界を介して交信を行う無線カード用通信について、図8を参照して説明する。
図8において、600は従来の通信装置、5は無線カードである。
従来の通信装置600は、無線カード5に誘導磁界を送るために、磁界を放射しかつ無線カード5からのデータを受信するアンテナコイル(コイル状のアンテナ)2及びアンテナ基板3と、アンテナコイル2に電力を供給しかつアンテナコイル2の電圧を検出する送受信回路4と、共振回路8などを有している。この通信装置600は、上位装置7と電気的に接続されている。
無線カード5は、アンテナコイル2が放射する電磁界を受け取り、動作するための電源として用い、通信装置600と交信する。
このような無線カード5は、通信装置600と接触すること無く交信可能なので、カードの利便性が高い。なお、この従来の無線カード用の通信装置600としては、例えば、特開平5―54206号公報に記載のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の無線カード用通信装置600において、利便性を高めるためには、無線カード5の動作可能となる領域が広い程良く、そのためには、アンテナコイル2周辺の磁界強度が強いほど良い。一方、送受信において、不必要な範囲の磁界強度は、弱い程良い。例えば、無線カード5をアンテナコイル2の近傍、すなわち数cmで使用する場合、アンテナコイル2近傍(数cm)の磁界は強く、アンテナコイル2の遠方、すなわち数十cm〜数mの磁界は弱くする磁界強度特性が求められている。
しかしながら、従来の無線カード用通信装置600では、アンテナコイル2の近傍の磁界を強くしようとすれば、アンテナコイル2の遠方の磁界も強くなり、逆にアンテナコイル2の遠方の磁界を弱くしようとすれば、逆にアンテナコイル2の近傍の磁界も弱くなり、前記望む磁界強度特性が容易に得られないという課題があった。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するもので、近傍の磁界強度が強くかつ遠方の電磁界強度が弱い磁界強度特性が得られる無線カード用通信装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明は、通信装置との間で磁界を介してデータ交信を行う無線カードに磁界を放射しかつ前記無線カードからのデータを受信するアンテナコイルと、前記アンテナコイルに電力を供給しかつ前記アンテナコイルに誘起した電圧を検出する送受信回路と、前記アンテナコイル面に対して異なる平行面に配置された閉ループ導体と、を有する無線カード用通信装置において、前記閉ループ導体は、少なくとも前記アンテナコイルの中心を囲み、且つ中心が該アンテナコイルの中心に対して偏芯させた位置に配置されていると共に、電気的に接地されていることを第1の特徴とする。
この結果、本発明の無線カード用通信装置は、アンテナコイルの中心を偏芯して囲みかつ電気的に接地されている閉ループ導体により、磁界密度の分布を変化させて、近傍の磁界強度が強くかつ遠方の電磁界強度が弱い磁界強度特性が得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の無線カード用通信装置の参考例について、図1乃至図3、図7を参照しながら説明する。図中、図8と同符号は、同一のものを示す。
図1において、6は無線カード用通信装置の参考図である。この無線カード用通信装置6は、無線カード5に誘導磁界を送るために、磁界を放射しかつ無線カード5からのデータを受信するアンテナコイル(コイル状のアンテナ)2及びアンテナ基板3と、アンテナコイル2に電力を供給しかつアンテナコイル2の電圧を検出する送受信回路4と、共振回路8と、閉ループ状の導体1などを有している。この本発明の無線カード用通信装置6は、上位装置7と電気的に接続されている。
【0007】
前記閉ループ導体1は、ロの字形状の枠体形状をなし、その材質は銅であり、その寸法は横が70mm、縦が77mm、幅が5mm、肉厚が0.5mmである。アンテナコイル2は、巻き数例えば6の円状コイルをなし、アンテナ基板3に形成されており、その寸法は直径が30mm、線幅が0.3mmである。アンテナ基板3は、矩形形状をなし、その寸法は横が60mm、縦が65mmである。
【0008】
そして、図2に示すように、閉ループ導体1は、アンテナ基板3を囲むように、同心にかつ同一平面上に配置されている。また、この閉ループ導体1は、送受信回路4のグランド電位に電線を介して接続されている。
【0009】
この無線カード用通信装置は、以上のごとき構成からなり、以下、その作動について図1を参照して説明する。
まず、通信装置6において、上位装置7から送られたデータは、送受信回路4において搬送波周波数をもとに変調され、かつ、アンテナコイル2から放射される磁界を介して無線カード5に送出される。
次に、無線カード5において、アンテナコイル2から放射された磁界は、電力に変換、蓄積される。一方、通信装置6から送出されたデータは、さきの電力を消費して、復調、処理、記憶され、その後、処理、変調されて通信装置6に返送される。
それから、通信装置6において、無線カード5から返送された返送データは、アンテナコイル2を介して受信、復調され、送受信回路4を介して上位装置7に返送される。
【0010】
上記の一連の動作を行うにあたって、共振回路8とアンテナコイル2とは並列共振回路を構成し、その共振周波数を送信信号の搬送波の周波数と等しく調整したので、比較的少ない電力で強い磁界を放射できる。
また、閉ループ導体1は、前述したようにアンテナコイル2の周囲に配置されるので、アンテナコイル2から磁界が放射される際に、その閉ループ導体1には、渦電流が発生する。この渦電流により閉ループ導体1から別個の磁界が再放射され、この別個の磁界がアンテナコイル2から放射される磁界と合成されるので、アンテナコイル2遠方の電磁界強度が、閉ループ導体1が無い時と比較して弱くなり、アンテナコイル2近傍の磁界は閉ループ導体1が無い時と比較すると強くなる。
【0011】
次に、本例における無線カード用通信装置6の閉ループ導体1の効果を図3を参照して説明する。
図3は、アンテナコイル2からの放射電磁界強度(縦軸)の実測値と、アンテナコイル2からの距離(横軸)との関係を示したグラフである。
【0012】
この図3において、Aは、本例における無線カード用通信装置6から閉ループ導体1を実装しない場合の電磁界強度と距離との関係を示す。
Bは、本例における無線カード用通信装置6のように閉ループ導体1を実装し、かつ閉ループ導体1を接地しなかった場合の電磁界強度と距離との関係を示す。
Cは、本例における無線カード用通信装置6のように閉ループ導体1を実装し、かつ閉ループ導体を接地した場合の電磁界強度と距離との関係を示す。
C’はCの条件で出力が強くなるように共振回路8を調整したものを示す。
また、Dは無線カード5が動作するために必要な電磁界強度を示す。X1はAの場合の無線カード5の読み取り距離を示し、X2はC’の場合の無線カード5の読み取り距離を示す。
【0013】
この図3に示すように、AとC’とにおいて電磁界強度を比較すると、近傍においてはAに比べC’の方が強く、遠方においてはAに比べC’の方が弱い。また、無線カード5が動作するために必要な電磁界強度Dを満足する距離が、Aに比べてC’の方が長い。このことから、Aに比べてC’の方がより広い範囲で無線カード5を動作させることが可能である。
なお、この図3において、閉ループ導体1がある時C‘と無い時Aとでは、共振周波数が異なるので、それぞれの場合において共振回路8により、搬送波周波数付近で共振するように調節されているとする。
【0014】
また、BとCとを比較すると、近傍での電磁界強度において、BとCとの間の差はさほどないが、遠方での電磁界強度において、CのほうがBよりも弱い。このように、閉ループ導体1を接地することにより電磁界強度と距離との関係が変化する。
【0015】
以上のように、本参考例における無線カード用通信装置6は、アンテナコイル2周辺に配した閉ループ導体1の効果により、磁界密度の分布を変化させることができるため、近傍の磁界強度を弱めること無く遠方の電磁界強度を弱めることが可能になる。この遠方の磁界強度を弱めることで、他の機器への影響を抑えることができる。一方、近傍の磁界強度を強くすることで、無線カード5と通信装置6とがより離れた距離でもデータや電力を授受できるので、無線カード5を通信装置6に近づけて動作させる手間が解消され、この無線カード5や通信装置6を利用するシステムの利便性を向上するものである。
図7は、アンテナコイル2の内径よりも閉ループ状導体1が小さく、かつアンテナ基板3と閉ループ状導体1とが重なった配置の参考例である。
【0016】
図4乃至図6は、本発明の一実施形態による閉ループ導体、アンテナコイル、アンテナ基板の配置の例を示す。
図4は、閉ループ導体1の中心とアンテナコイル2の中心とが一致せず、かつアンテナ基板3と閉ループ状導体1とが重なった配置を示す。
図5は、閉ループ導体1が矩形でアンテナコイル2が円形でアンテナコイル2の中心が閉ループ状導体1の角付近にあり、アンテナコイル2の一部分が閉ループ状導体1の外側に出て、かつアンテナ基板3と閉ループ状導体1とが重なった配置を示す。
図6は、閉ループ状体1およびアンテナコイル2が共に矩形で、閉ループ導体1の一部分とアンテナコイル2の一部分が重なった配置を示す。
なお、上述の図4乃至図6において、閉ループ導体1とアンテナ基板3との位置関係が逆転する場合もある。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明の無線カード用通信装置は、閉ループ導体が、少なくとも前記アンテナコイルの中心を囲み且つ該アンテナコイルの中心とを偏芯させた位置に配置されていると共に、電気的に接地されていることにより、磁界密度の分布を変化させて、近傍の磁界強度が強くかつ遠方の電磁界強度が弱い磁界強度特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の対象となる無線カード用通信装置を示した構成図である。
【図2】 (A)は閉ループ導体、アンテナコイル、アンテナ基板の平面図、(B)は(A)におけるB−B線断面図である。
【図3】 アンテナコイルからの放射電磁界強度(縦軸)の実測値と、アンテナコイルからの距離(横軸)との関係を示したグラフである。
【図4】 本発明の一実施形態を示し、(A)は閉ループ導体、アンテナコイル、アンテナ基板例を示した平面図、(B)は(A)におけるB−B線断面図である。
【図5】 本発明の一実施形態を示し、(A)は閉ループ導体、アンテナコイル、アンテナ基板の変形例を示した平面図、(B)は(A)におけるB−B線断面図である。
【図6】 本発明の一実施形態を示し、(A)は閉ループ導体、アンテナコイル、アンテナ基板の変形例を示した平面図、(B)は(A)におけるB−B線断面図である。
【図7】 (A)は閉ループ導体、アンテナコイル、アンテナ基板の変形例を示した平面図、(B)は(A)におけるB−B線断面図である。
【図8】 従来の無線カード用通信装置の一実施形態を示した構成図である。
【符号の説明】
1:閉ループ導体、2:アンテナコイル、3:アンテナ基板、4:送受信回路、5:無線カード、6:通信装置、7:上位装置、8:共振回路、A:閉ループ導体1を有しない場合の電磁界強度、B:閉ループ導体1(非接地)を有する場合の電磁界強度、C:閉ループ導体1(接地)を有する場合の電磁界強度、C’:閉ループ導体1(接地)を有する場合で出力が強くなるように調整したの電磁界強度、D:無線カード5が動作するのに必要な電磁界強度、X1:Aの場合の無線カード5の読み取り距離、X2:C’の場合の無線カード5の読み取り距離。
Claims (1)
- アンテナ基板上に搭載され通信装置との間で磁界を介してデータ交信を行う無線カードに磁界を放射しかつ前記無線カードからのデータを受信するアンテナコイルと、前記アンテナコイルに電力を供給しかつ前記アンテナコイルに誘起した電圧を検出する送受信回路と、前記アンテナコイル面に対して異なる平行面に配置された閉ループ導体と、を有する無線カード用通信装置において、
前記閉ループ導体は、少なくとも前記アンテナコイルの中心を囲み、且つ中心が該アンテナコイルの中心に対して偏芯させアンテナコイルとアンテナ基板上で重なった位置に配置されていると共に、電気的に接地されていることを特徴とする無線カード用通信装置。
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