JP3985206B2 - プラネタリギヤのシミュレーションモデル生成装置、シュミレーション装置、シュミレーション方法、データ記憶媒体、及びプログラム記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラネタリギヤをシミュレーションするためのモデルを生成するシミュレーションモデル生成装置に関し、さらには、シミュレーションモデルを実行するシュミレーション装置、さらにはシュミレーション方法、シミュレーションデータやシミュレーションプログラムを記憶するデータ記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
商品開発の短期化を目的として、従来試作品を用いた試験によって行っていた性能や機能の評価・確認を、シミュレーションによって開発の上流で行う必要性が高まっている。
自動車の諸性能は、エンジンや変速機など個々のユニットの特性が統合されて現れるものである。これらの特性は複数の異なる分野に跨るため、シミュレーションの目的に対応した固有の方法で異なる理論体系を結びつけてモデル化が行われている。しかし、数多くの問題に対してシミュレーションを充足しそれらを維持管理するには、効率的ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この問題の解決には、異なる分野に対して共通化され、それらの統合を容易にできるモデル化技術を必要とする。
発明者たちは先に、特願平7−250974号などで、ポテンシャルとフローという概念で部品をシステム方程式により表現することを提案し、複数の部品からなるユニットを行列表現化した。
【0004】
本発明は、この提案の延長線上になされたものであり、複雑な構成を有して複雑な動作をするプラネタリギヤを効率よく且つ簡潔に表現するシミュレーションモデルを生成する装置及び方法、さらにはそのようなシミュレーションモデルをシミュレーションする装置及び方法を提案するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、請求項1に提案の、
入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を、位差量と流動量とを入出力としコンピュータ処理可能なギアモデルにより表現するシミュレーションモデルを生成するシミュレーションモデル生成装置は、
前記ギアモデルを、入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部と、この第1のデータ部に並列に設定され、動特性モデルを表現する第2データ部とを含むように生成することを特徴とする。
【0006】
また、同じ課題を達成するために、請求項6に提案の、
入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を位差量と流動量との関係で表現するギアモデルをコンピュータ上で実行するシミュレーション装置は、
前記ギアモデルとして、入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部と、この第1のデータ部に並列に設定され、動特性モデルを表現する第2データ部とを含むように生成するモデル生成手段と、
この生成されたギアモデルをコンピュータ上で実行するシミュレーション手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
入出力関係と動特性とが切り離され、簡潔に表現されるとともに、動特性が入出力関係に与える干渉を的確に評価することができる。
プラネタリギヤは、通常、合わせて3つの入力部と出力部とを有する。而して、本発明の好適な一態様である請求項2または5に拠れば、前記ギアモデルは、これら3つの入力部と出力部に対応したユニットモデルを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の好適な一態様である請求項3または8に拠れば、個々のユニットモデルは前記入出力ラインに接続され、
この入出力ラインに接続され、個々のユニットモデルの変更可能なゲインを表現する第3のデータ部を有することを特徴とする。ゲインを変更することにより異なるプラネタリギヤに対応することが可能である。
【0009】
プラネタリギヤはタービンシャフトなどの必ず太いシャフトを有する。このようなシャフトの寄与を無視することはできない。そこで、本発明の好適な一態様である請求項4または9に拠れば、個々のユニットモデルは、このギア装置のシャフトを表現する慣性モメントの微分項を表現する第4のデータ部を更に有することを特徴とする。
【0010】
自動変速機においてはプラネタリギヤ装置はクラッチを有する。そこで、本発明の好適な一態様である請求項5または10に拠れば、前記ギア装置はクラッチを有し、
ユニットモデルはクラッチを表現するスイッチ素子としての第5のデータ部を有する。
【0011】
本発明の請求項11のシミュレーション装置は、例えば請求項1などのシミュレーションモデル生成装置により生成されたシミュレーションモデルを実行するときに有利である。
プラネタリギヤは非線形な構成要素が多く含まれる。非線形要素を精度よくシミュレーションするために、本発明の好適な一態様である請求項12に拠れば、前記ギアモデルを時間的に離散的なモデルに変換する手段を有する。
【0012】
本発明は、更にシミュレーションモデル生成方法やシミュレーション方法にも適用可能である。
また、請求項14のデータ記憶媒体は、入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を、位差量と流動量とを入出力とするコンピュータ処理可能なギアモデルとして表現するモデルデータを記憶する記憶媒体であって、
入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部と、
前記第1のデータ部に並列となるように設定され、動特性モデルを表現する第2データ部という特徴的なコンピュータデータを記憶するものである。
【0013】
また、請求項15のデータ記憶媒体は、入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を位差量と流動量とを入出力として表現するギアモデルを生成するプログラムを記憶する記憶媒体であって、
入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部を生成する第1のコンピュータコード手段と、
前記第1のデータ部に並列となるように設定され、動特性モデルを表現する第2データ部を生成する第2のコンピュータコード手段とを記憶するものである。
【0014】
また、本発明の好適な一態様である請求項17または18に拠れば、前記動特性は、出力に関与するギアの自転運動を表現することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態であるシュミレーションシステムを説明する。
〈位差量と状態量〉
実施形態のシミュレーション装置に特徴的な、ユニット表現の基本について説明する。
【0016】
ある実体のシステムを構成する部分機能はエネルギの授受を行うシステム要素としてモデル化される。このエネルギモデルは、第1図に示すように、ある部分機能をブラックボックスとすると、このブラックボックスの内部損失と、当該ブラックボックスに入力される入力エネルギと、当該ブラックボックスから出力される出力エネルギとで構成され、入力エネルギ=出力エネルギ+内部損失で表される。入力エネルギ及び出力エネルギは、それぞれ位差量と流動量からなる状態量で表される。位差量は実体に加わる入出力エネルギのポテンシャル成分を表す状態量で、流動量は実体に加わる入出力エネルギのフロー成分を表す状態量である。
【0017】
そして、状態量は入力状態量と出力状態量の対とし、入力状態量は入力位差量又は入力流動量として表され、出力状態量は出力位差量又は出力流動量として表される。すなわち、入出力エネルギは入力位差量と出力流動量の対、又は入力流動量と出力位差量の対としたいずれかで表される。
位差量と流動量の具体的な例を、表1に示す。
【0018】
前記エネルギモデルをさらに具体的に説明すると、次の通りである。モータの働きをブラックボックスとし、入力エネルギの流動量に電流(値)を与えると、入力エネルギ側の位差量にはモータの内部抵抗とモータ出力に対応した電圧(値)が返される。この場合、電流が入力流動量で、電圧が出力位差量となり、(電流×電圧)が入力エネルギとなる。すなわち、回転トルクを一定とした場合、電流を多く流すと電圧が高くなりモータの回転数も増加する。一方、トルクが出力流動量として出力され、モータの角速度が入力位差量として返される。この場合、(トルク×角速度)が出力エネルギとなる。
【0019】
なお、この例において、位差量である電圧を入れることにより流動量として電流が返されると考えてもよい。この場合には、第1図の矢印が逆になり、電圧が入力位差量となり、電流が出力流動量となる。
前記実体のブラックボックスの内部は、第2図に示すように、実体の固有特性を表す閉ループ系(固有値系)と、入力エネルギを閉ループ系に供給する環境特性を表す開ループ系で構成される。閉ループ系では、第3図に示すように、出力状態量がフィードバックされて入力状態量に加えられ状態量の永久ループを形成し、このループに包含されている内部要素が固有値を確定する。開ループ系では、第4図に示すように、入力状態量が出力状態量に加えられ、状態量の流れを形成し、実体に加えられる入力エネルギとなる外部状態量および固有値の入力エネルギとなる内部状態量の間の流れを確定する。したがって、実体に加えられるエネルギ群は、位差入カエネルギ群と流動入力エネルギ群を環境系に加え、この環境系を経由して固有値系に位差,流動エネルギ群が加わる。
【0020】
このようにして製品を構成する全ての部分機能をシステム要素としてエネルギモデル化し、各システム要素をある接続関係で組み合わせれば製品がモデル化される。
これから説明する仮想原型はこのような知見に基づき、それを更に発展させたものである。
【0021】
〈仮想原型の概念〉
仮想原型(virtual prototype)の概念構成を第5図に示す。
仮想原型によるモデルでは、モデルの内容が「機能モデル」(functiona model)と「機構モデル」(mechanism model)に層別される。
機能モデルは、上述の「位差量」(potential)と「流動量」(flow)という、二つの一般化された「状態量」によって記述される。「機能モデル」はモデル化対象となる実体の動特性を表し、サブシステム(subsystem)を統合して全体システム(integrated system)を形成する役割を担う。第5図の例では、全体システムはサブシステム(a)とサブシステム(b)とからなる。
【0022】
「機構モデル」は機能モデルのパラメータ(parameters)に代入される物理特性値(physical characteristic)を与え、実体のメカニズムに依存したモデルとなる。
この階層構造化されたモデル構成によって、一般に複雑化する機構モデルの扱いに苦慮することなく、統一された方法でサブシステムのモデルを統合して全体機能をモデル化する事ができる。
【0023】
機能モデルはシステム方程式によって表され、サンプリングクロック毎に機構モデルによるパラメータの更新と離散化を行う。従ってメカニズムによる特性の非線形性は、機能モデルにおいてサンプリングタイム毎に線形化される。
〈パワートレインの基本モデル〉
パワートレインには、クラッチやブレーキなどの、モデル間のつながりを断続させて、モデル構造を不連続に切り替える要素が含まれる。この構造変化を「構造非線形」と呼ぶ。
【0024】
まず構造非線形を含まないモデルを考え、機能モデルと機構モデルから成る構成の実例と、サブシステムから全体への統合そして解法について述べる。
パワートレインの全体モデルは、第6図に示すように、4つの機能モデル(「エンジン」(engine & accessary)と「トルクコンバータ」(torque converter)と「変速機」(gear box)と「駆動力」(driving force)の4つの機能モデル)から構成される。これらの各機能モデルは、パラメータを介してエンジン、トルクコンバーターなどの機構モデルと結ばれる。なお、変速機は減速比だけに単純化している。
【0025】
各機能モデル間は、流動量であるトルク・力と、位差量である回転・速度で結ばれる。
〈エンジンおよび補機の駆動抵抗のモデル〉
エンジン機能モデルは、第7図に示すように、慣性モーメントJengと粘性抵抗係数Cengから成る一次遅れ系として表される。
【0026】
また、エンジンの機構モデルは、同じく、第7図に示すように、エンジンのトルク特性と補機の駆動抵抗を粘性抵抗係数及び抵抗の摩擦成分であるオフセット値TC.engとして機能モデルに与える。エンジン機構モデルは電子制御モデルを含み、制御入力およびドライバーの操作入力に対する過度応答を考慮しているが、失火等の不安定現象は考慮していない。
【0027】
エンジンの機構モデルのシステム方程式を、
【0028】
【数1】
【0029】
で表すとする。但し、「’」は時間微分を表す。
ここで、Xengは状態ベクトルで、状態変数はxengの一つだけであるから、
【0030】
【数2】
【0031】
であり、状態量を抽出するための観測ベクトルOeng、外部入力ベクトルIengは、エンジンの補器の機能モデルが第8図に示すブロック線図によって表現される場合には、夫々、
【0032】
【数3】
【0033】
によって表される。ここで、Tengはエンジンのトルク、ωengはエンジンの回転速度、Taccyは補器への出力トルクであるとした。従って、モデルのパラメータから構成される部分行列は、
【0034】
【数4】
【0035】
【数5】
【0036】
【数6】
【0037】
尚、第8図を含めて、本実施形態のシステムブロック線図において用いられる図形記号を第9図に示す。
〈トルクコンバーターのモデル〉
トルクコンバーターはポンプ部とタービング部に分け、前者はエンジンと、後者は車軸と剛体結合されているものと考える。また、トルクコンバーター内部の流体の過度的挙動は無視する。
【0038】
トルクコンバーターの駆動トルクはポンプとタービンの速度比eを変数とする容量係数Ccpを用いて下式で表される。
【0039】
【数7】
【0040】
機構モデルは、速度比eから、第10図のグラフに示された駆動トルク曲線の接線を求め、この接線の傾きCtcと切片TO.tcとを機能モデルに与える。また、同時にトルク比を特性データから読みとり、機能モデルに与える。
トルクコンバーターの機能モデルのブロック線図を第10図に示す。
〈車両駆動力モデル〉
車両駆動力モデルは第11図に示すように、車両質量、走行抵抗、タイヤ半径、最終減速比とアクスルシャフト慣性モーメントから構成される。走行抵抗の要因であるタイヤ転がり抵抗、空気抵抗、登坂抵抗は、機構モデルから粘性抵抗係数およびオフセット荷重に変化して機能モデルに与える。
【0041】
第6図に於いて、Rfは変速機の最終段のギヤ比、Jaxはシャフトの慣性質量、Rtyはタイヤの半径、Mvは車輌の質量、Cvは速度に依存する粘性抵抗計数、FO.vは車体に働くオフセット力である。をいう。
〈機能モデルの統合〉
上述のエンジン、トルクコンバータ、駆動力の各ユニットの統合体であるパワートレーンをこれらの状態方程式の統合によって表現することができる。
【0042】
第12図乃至第14図は、状態方程式の統合化を説明する。この統合化の詳細は、本出願人による、特願平7−250974号に詳細に説明されている。
即ち、第12図に示すように、統合化対象のユニットモデルが3つ存在するとする。そして、第13図に示すように、各ユニットのパラメータ行列をシステム方程式上に対角に配置し、行・列を操作して入出力ベクトルを状態変数と入力および観測状態量に整理する。
【0043】
次に、第15図に示すように、2つのユニット間の接続状態量(観測状態量)を入力状態量に代入して、入力ベクトルから接続状態量である入力状態量を消去する。このような操作により、最終的に、第14図の形状の方程式で統合システムが表現され、その入力ベクトルIは定数項のみとなり、従って、時間に依存しなくなる。これにより全体モデルが完成する。
【0044】
入力ベクトルIが定数項のみとなるのは、各ユニットモデルの部分行列A,B,Cにオフセット量などを組み込むからである。
〈解法〉
統合したモデルをシミュレーションするためには、統合したシステム方程式を解く必要がある。
【0045】
本実施形態では、ゼロ次ホールドを用いて、統合した状態方程式を離散時間系で計算する。連続時間系ではこの状態方程式は非線形であるが、単位時間の短い離散時間系では、入力Iはステップ入力、即ち、短いΔt時間の間には、入力は定数値を示すステップ入力となりゼロ次である。連続時間系から離散時間系への変換処理は、部分行列[AB]に対して行い、変換後の行列を[PQ]とすると、第17図及び第18図に示すように、
【0046】
【数8】
【0047】
【数9】
【0048】
ここで、Eは単位行列、tsはサンプリングタイムである。離散系のシステム方程式は、下式で表される。
【0049】
【数10】
【0050】
〈構造非線形なパワートレイン機能モデル〉
クラッチは、系を分離したり合成したりする構造非線形を司る典型的な機構要素である。本実施形態がシミュレーション対象とするパワートレーンはこの非線形要素を含む実例としてラビニョウ型遊星歯車列を有する自動変速機モデルである。
【0051】
以下に、この構造非線形なクラッチ要素を扱う時のクラッチ要素のモデル化を説明する。
〈クラッチ要素のモデル化〉
クラッチモデルとは、接続する2つの系の双方の回転差を入力し、応答としてトルクを出力する機械インピーダンスを基礎としてモデル化したものである。
【0052】
機械インピーダンスについては、剛性によって系をつなぐものと、粘性係数のみから成る二つのモデルが考えられる。後者は、粘性軸継手として喩えられ、係合時にわずかな滑りが生じるが扱いが容易であるため、自動変速機モデルである本実施形態システムでは、この後者の粘性係数のみからなるモデルを採用する。
クラッチは、伝達すべきトルクが伝達可能なトルク値(以後、トルク容量TCcと呼ぶ)を越えるとスリップ状態となり、トルク容量TCcに等しいトルクが出力されるという性質を有する。
【0053】
クラッチの機能モデルを第19図に示す。このトルク容量TCcはクラッチ機構モデルによって機能モデルに与えられる。第19図に示すように、機能モデルは、係合状態のトルク値を算出する。即ち、入力と出力の回転数差(=ωC,in−ωC,out)は係数CCcによってトルク値Tinに変換され、このトルク値は容量TCcと比較される。Tin≧TCcならばTCcを出力し、Tin<TCcならばTを出力する。即ち、TinとTCcのうち絶対値の小さい方を採用する。
【0054】
この絶対値の小さい方を採用するという論理演算を、第19図では「スイッチswitch」として表している。論理演算結果を反映するために、式では係合時に“1”、スリップ時に0となるスイッチ係数SEと、その逆の値をとるスイッチ係数SSとを設定した。前者(SE)を機械インピーダンス部分のパラメータに、後者(SS)をトルク容量TCcに乗じ、両者の和を出力する。
【0055】
クラッチのシステム方程式の各要素は以下の通りである。
【0056】
【数11】
【0057】
【数12】
【0058】
但し、係合時には、
SE=1
SS=1
スリップ時には、
SE=0
SS=0
である。尚、ブレーキは、片方の系が停止しているクラッチとして扱う。
【0059】
即ち、第20図に、粘性カップリングとしての、クラッチ(ブレーキ)の機能モデルのブロック線図を示す。図中、C-clutchは第19図のCCcと等価である。2つのスイッチS-engageとS-slipは、
|Tin|≦|TC| → S-engage=1、S-slip=0
|Tin|>|TC| → S-engage=0、S-slip=1
である。
【0060】
〈自動変速機構の機能モデル〉
自動変速機には複数のクラッチ、ブレーキが含まれるが、仮想原型では、複数のクラッチおよびブレーキモデルを、実体の動力の流れと同一に配置する事でモデル化ができる。
第21図に本実施形態がモデル化対象とする自動変速機の構成を示す。図中、1はトルクコンバータ、2はタービンシャフト、3はフォワード(FWD)クラッチ、4はコースタクラッチ、5は3−4クラッチ、6はリバースクラッチ、7はL&Rブレーキ、8は2−4ブレーキ。9は遊星歯車機構(Planetary gear train)である。第21図の自動変速機における動力の伝達を図示すると、第23図のようになる。
【0061】
図中、▲1▼はタービンシャフト→FWDクラッチ→フロントサンギアという動力の流れを示し、▲2▼はタービンシャフト→3−4クラッチ→リアキャリア(L&Rクラッチと共に)という流れを示し、▲3▼はタービンシャフト→3リバースクラッチ→リアサンギヤ(2/4バンドブレーキと共に)という流れを示し、▲4▼はフロントキャリア→最終段ギヤという流れを示す。
【0062】
第23図の構成要素のつながりをそのままモデル化すると、第24図のようになる。第24図に於いて、四角のシンボルは伝達函数(機械インピーダンスまたはモビリティ)を、破線の矢印は位差量(各速度)の流れを、実線の矢印は流動量(トルク)の流れを示している。ここで、パワー=トルク×各速度であることを前提としている。
【0063】
タービンシャフトのモデル化は第25図に従って行う。即ち、タービンシャフトは、慣性(J-trb)と粘性抵抗(D-trb)とからなる一次遅れ系の質点系モデルとして取り扱う。このモデルのブロック図を第26図に示す。尚、第26図に於いて、トルクT-tcはトルクコンバータからのトルク入力である。このブロック図に従ったタービンシャフトの状態方程式は、|
【0064】
【数13】
【0065】
第27図に上記状態式に従ったこのタービンシャフトの応答図を示す。第27図は同モデルが一次応答遅れの特性を有していることを示している。
次に、FWDクラッチ、3−4クラッチ、リバースクラッチ、L&Rクラッチ、2−4バンドブレーキのモデル化を考える。一般的なクラッチは第19図により説明した。ここでは、自動変速機に固有な各種クラッチ及びブレーキのモデル化を考える。
【0066】
まず、変速には直接関与しないコースティングクラッチは本モデル化の対象から省略できる。
そこで、クラッチの機能モデルを第28図に示す。同図において、μは摩擦係数、REはクラッチの有効径、TCはトルク容量、FCは押しつけ力である。従って、
TC=μ・RE・FC
である。第28図のモデルに対して、第20図のブロック図を与える。
【0067】
ところで、ワンウェイクラッチでは、係合状態と非係合状態とが回転方向に応じて切り替わる。この動作は、トルク容量TCcが、回転方向に応じて、ゼロまたは確実に係合される大きな値をとる事と解釈できる。即ち、
TC =0:回転方向=正回転のとき、
TC =T0(但し、T0≫1:回転方向=逆回転のとき、
である。従って、摩擦クラッチとワンウェイクラッチの配置・動作を考慮したトルク容量を与え、一つのモデルで表した場合には、その特性は第29図のようになる。
【0068】
ところで、この変速機ではFWDクラッチとワンウェイクラッチ(OWC)とが直列に配置された構成を有しているが、この直列配置では、FWDクラッチとワンウェイクラッチのどちらかが非係合ならばスリップ状態となる。すなわち、トルク容量の絶対値が小さい方が採用される。即ち、FWDクラッチとワンウェイクラッチ(OWC)は1つのクラッチモデルに置き換えることができ、それはトルク容量の絶対値が小さい方を採用するクラッチモデルである。
【0069】
一方L&Rブレーキは並列配置のため片方だけで係合させる事ができるから、トルク容量の絶対値が大きい方が採用される。
機構モデルは自動変速機の制御系の動作に応じた各クラッチ・ブレーキ油圧からトルク容量を求め、機能モデルへ与える。
この部分は、既存のシミュレーションプログラムを流用した。また、係合状態で機能するCCc.F等の粘性係数は、係合時の滑りと係合瞬間のスパイク状のトルク発生を考慮して値を設定した。
【0070】
〈遊星歯車列の機能モデル〉
本パワートレーンの自動変速機も遊星歯車機構を有するものとして設計される。ここでは遊星歯車列としてラビニョー(ravigneaux)型遊星歯車列の機能モデルを提案する。
第30図,第31図にラビニョー型遊星歯車列を回転動作(ω)の観点から見た場合と、トルク伝達(T)の観点から見た場合を示す。
【0071】
この遊星歯車列はロングピニオンの運動に注目してモデル化する。このモデル化は、遊星歯車列の入出力軸の回転を、
▲1▼:出力軸であるリングギヤの回転と
▲2▼:ピニオンギアの自転
とで表す。各軸の回転、即ち、小サンギアの回転速度ωSSと、キャリアの回転速度ωCと、Eサンギアの回転速度ωLSとは、第30図を参照しながら、
【0072】
【数14】
と表される。ここで、GSS,GC,GLSはリングギヤ固定条件下でのピニオンと各軸のギヤ比で、ピニオンの自転に伴う公転も含むものであり、
【0073】
【数15】
で定義される。
次に第31図を参照しながらトルクのバランスを考える。各入力軸からの遊星ギヤ系へのトルクをTSS,TC,TLS、出力トルクをTRとし、簡単のため各軸の慣性力および抵抗を無視すると、系全体の釣合から、
【0074】
【数16】
スモールサンギヤ、ラージサンギヤ及びリングギヤからピニオンへの伝達トルクTLPSS,TLPLS,TLPRより、ピニオン軸周りの運動方程式は、
【0075】
【数17】
で表される。但し、「’」は時間微分を表す。
以上のようにして、このラビニョー(ravigneaux)型遊星歯車列のブロック線図を第32図に示す。
第32図のブロック図の特徴は、同図において、TLPとωLPとが入出力される部分はロングピニオンの自転運動を表現し、それ以外の部分が公転成分の動力伝達釣り合いを表現しているということである。換言すれば、自転運動がギア比を介して公転運動に「干渉」しているということである。即ち、自転運動と公転運動とが並列的に表現されている。もし自転運動と公転運動とが直列的に表現されると、条件や状態が異なる毎にモデル化をやり直さなければならないが、並列表現にすることによって、条件や状態が異なってもパラメータの変更だけで遊星歯車列を表現できるという利点を発揮できる。
【0076】
この遊星歯車機構を並列表現すると言うことの利点は、ラビニョー型以外の歯車機構への適用によってはっきりする。
遊星歯車列がCR−CR型遊星歯車列である場合の機能モデルを考察する。
第33図に、CR−CR型遊星歯車列の構造を示す。この歯車列は、サンギアとリングギアの間で、サンギアの周りに公転するようにピニオンギアが設けられている。このCR−CR型遊星歯車列では、リアのリングギアとフロントのピニオンギアとがプラネタリキャリアによって結合され、フロントのピニオンギアとリアのピニオンギアとがプラネタリキャリアによって結合されている。第34図はサンギアの周りにピニオンギアが公転し、そのときに、ピニオンギアの公転と一緒にキャリアがサンギアの軸の周りに回転することを示している。リングギアはピニオンギアと歯合する。
【0077】
この遊星歯車列はロングピニオンの運動に注目してモデル化する。このモデル化は、遊星歯車列の入出力軸の回転を第34図の▲1▼と▲2▼の回転で表し、即ち、
▲1▼:出力軸であるリングギヤの回転(即ち、系全体の回転)と
▲2▼:ピニオンギアの自転
とで表す。この場合、出力軸(フロントキャリア)を固定されているとして考える。第34図を参照して、J-fpをフロントピニオンの慣性、D-fpをフロントピニオンの粘性計数、ω-fpをフロントピニオンの角速度とすると、第34図に示された歯車列は第35図としてブロック図化される。従って、遊星歯車列全体では第36図のようにブロック図化される。
【0078】
第36図のブロック図によれば、CR−CR型の歯車機構でも、フロントピニオンギアの自転による寄与部分と、系全体の公転による寄与部分とが並列的に分離されていることがわかる。
〈全体モデルへの統合〉
減速比だけの結合に簡略化していた変速機モデルを、変速機構(第24図)と遊星歯車列(第30図,第31図)との機能統合モデルに置換し、全体モデルを構築する。この統合には、第12図乃至第15図に関連して説明した手法を適用する。
【0079】
第37図乃至第42図に、実施形態のシュミレーション装置に適用されたシュミレーション対象のパワートレーン全体のブロック図を示す。これらの図面の内、第37図から第41図までを直列的につなぎ合わせ、第42図の遊星歯車機構のブロック図を、第39図のギア部分に置き換えて組み込むことにより、全体のブロック図が完成する。
【0080】
〈シミュレーション結果〉
こうして統合された全体モデルの行列表現を、離散系の時間軸に沿ってシュミレーションする。先ず、パラメータが非線形であるようなシミュレーション事例を行う。
即ち、アイドリング中の車両において、エンジン補機の負荷をある時点で入力したことに対するエンジン回転変動をシミュレートした結果を、第43図に示す。同図のシュミレーション結果(実線)と実機によるテスト結果(破線)とを比較すれば、本シュミレーション装置によるモデル化によっても、エンジン回転およびエンジン制御系の挙動共に十分な精度が得られていることを示している。なお、シミュレーション結果では、回転の復帰が早い事、実機で見られる回転の上昇後の振動が無い事が異なるが、これは燃焼の不安定さやエンジンマウントなどの振動系を考慮していないためと考える。
【0081】
次ぎに、構造的非線形を含むシミュレーション事例を第44図に示す。
第44図は、第43図のシュミレーションと同じモデルを用いて、走行中において、スロットル操作に対する自動変速機の変速をおこなうことをシミュレートした結果を示す。実測値は同じ状況を台上で再現して計測したデータである。シミュレーションは実機とはよく一致している。
【0082】
このように、仮想原型の概念を応用して、個別にモデル化したエンジン・自動変速機・車両駆動負荷および制御系を統合し、パワートレイン全体のモデルを開発したが、検証の結果、十分な精度が得られたことを確認し、仮想原型によるモデル化の有効性を立証する事ができた。
〈システム構成〉
第45図は実施形態にかかるシミュレーション装置のハードウェアの構成を示す。このハードウェアは、CPU1、表示装置(ディスプレイ)2、キーボード3、マウス4、メインメモリ5、ファイルディスク6、処理ソフトウェアのファイルディスク7からなっている。
【0083】
第46図は、第45図のシミュレーション装置におけるデータ及びファイルの流れを説明する。同図のシミュレーション装置が
同図において、機能モデルファイルは、各ユニット毎に前もって生成した機能モデルを出たとして記憶する。この機能モデルファイルの生成は本出願人の前記特願平7−250974号に詳述されている。また、第45図に於いて、データモデルファイルは、前述の「機構モデル」に対応するデータを記憶するファイルで、例えば、第10図に示すように、物理的特性データを函数またはテーブルとして記憶する。
【0084】
本システムは、まず、個々のユニットについて、機能モデル(運動方程式を含む)とデータモデルファイルとを結合して個々のユニット毎に登録する。その上で、これらのファイルを前述の方法で統合する(ステップS1及びステップS2)。この統合には前述したように、接続状態量の消去を行い、統合化された状態方程式を生成する(ステップS3)。
【0085】
シミュレーションはこの統合化された状態方程式に従ってなされる。シミュレーションにおいては、この状態方程式にアペンドされたデータモデルファイルから、静的特性を読み出し、パラメータに変換して供給する(ステップS5)。その後、状態方程式を離散的な時間軸に沿って離散化する(ステップS6)。シミュレーションはこの離散的な時間に沿って次々にパラメータの供給と離散化を繰り返しながら行ってゆく。
【0086】
第47図は本手法により完成されるシュミレーションシステムの全体を示すもので、自動車の個々のユニットから一体化された装置へのシュミレーションを効率よく行うことができることが示されている。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複雑な構成を有して複雑な動作をするプラネタリギヤを効率よく且つ簡潔に表現するシミュレーションモデルを生成することができる。特に複数のプラネタリギヤ装置に対して1つのモデルで対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本件の発明者が特願平7−250974号で提案し、本実施形態のシミュレーション装置が採用しているユニットを位差量と流動量とで表現する手法を説明する図。
【図2】 本件の発明者が特願平7−250974号で提案し、本実施形態のシミュレーション装置が採用しているユニットを位差量と流動量とで表現する手法を説明する図。
【図3】 ユニットを閉ループ系で表現する手法を説明する図。
【図4】 ユニットを開ループ系で表現する手法を説明する図。
【図5】 本実施形態に採用されている仮想原型の概念を説明する図。
【図6】 図5の仮想原型の概念を適用したパワートレーンの構成を説明する図。
【図7】 仮想原型を適用したエンジンのモデルを示す図。
【図8】 図7のエンジンの機能モデルを示す図。
【図9】 本実施形態において採用されている記号を説明する図。
【図10】 仮想概念を適用したトルクコンバータのモデル図。
【図11】 図10のトルクコンバータの機能モデルを説明する図。
【図12】 複数のユニットの状態方程式の統合を説明する図。
【図13】 複数のユニットの状態方程式の統合を説明する図。
【図14】 複数のユニットの状態方程式の統合を説明する図。
【図15】 統合する際の接続状態量の消去を説明する図。
【図16】 統合されたユニットの状態方程式を連続時間系で示す図。
【図17】 統合されたユニットの状態方程式を離散時間系に変換する原理を説明する図。
【図18】 統合されたユニットの状態方程式を離散時間系に変換する原理を説明する図。
【図19】 仮想概念を適用したクラッチのモデル図。
【図20】 仮想概念を適用したクラッチ/ブレーキのモデル図。
【図21】 シミュレーションの対象となる自動変速機の構成を説明する図。
【図22】 図21の自動変速機における構成及びトルク伝達を説明する図。
【図23】 図21の自動変速機における構成及びトルク伝達を説明する図。
【図24】 図21の自動変速機における構成及びトルク伝達を説明する図。
【図25】 図21の自動変速機のタービンシャフトのモデル概念を示す図。
【図26】 図25のタービンシャフトの機能モデル図。
【図27】 図26の機能を有するタービンシャフトの応答特性を説明する図。
【図28】 仮想概念を適用したクラッチの機能モデルを説明する図。
【図29】 図28のクラッチモデルの特性を説明する図。
【図30】 実施形態に適用されているラビノー型プラネタリギヤ装置におけるギヤの回転を説明する図。
【図31】 実施形態に適用されているプラネタリギヤ装置におけるトルク伝達を説明する図。
【図32】 同プラネタリギヤ装置の機能モデルを説明する図。
【図33】 CR−CR型プラネタリギヤ装置の構成を説明する図。
【図34】 図33のギア装置におけるトルクの流れを説明する図。
【図35】 図33のギア装置のピニオンギアの機能モデルを説明する図。
【図36】 図33のギア装置全体の機能モデルを説明する図。
【図37】 図6のパワートレーンシステム全体の機能モデルを示す図37乃至図42のうち、エンジン補器部分のみの機能モデルを示す図。
【図38】 図6のパワートレーンシステム全体の機能モデルを示す図37乃至図42のうち、トルクコンバータのみの機能モデルを示す図。
【図39】 図6のパワートレーンシステム全体の機能モデルを示す図37乃至図42のうち、ギヤ及びデフのみの機能モデルを示す図。
【図40】 図6のパワートレーンシステム全体の機能モデルを示す図37乃至図42のうち、アクスルのみの機能モデルを示す図。
【図41】 図6のパワートレーンシステム全体の機能モデルを示す図37乃至図42のうち、走行負荷のみの機能モデルを示す図。
【図42】 図6のパワートレーンシステム全体の機能モデルを示す図37乃至図42のうち、プラネタリギヤユニットのみの機能モデルを示す図。
【図43】 図6のパワートレーンのシミュレーション結果を示す図。
【図44】 図6のパワートレーンのシミュレーション結果を示す図。
【図45】 本シミュレーション装置のハード構成を説明する図。
【図46】 本シミュレーション装置における処理を順に説明したフローチャート。
【図47】 本シミュレーション装置の処理における各段階での結果を説明する図。
Claims (18)
- 入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を、位差量と流動量とを入出力としコンピュータ処理可能なギアモデルにより表現するシミュレーションモデルを生成するシミュレーションモデル生成装置であって、
前記ギアモデルを、入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部と、この第1のデータ部に並列に設定され、動特性モデルを表現する第2データ部とを含むように生成することを特徴とするシミュレーションモデル生成装置。 - 前記プラネタリギヤ装置は合わせて3つの入力部と出力部とを有し、前記ギアモデルは、これら3つの入力部と出力部に対応したユニットモデルを有することを特徴とする請求項1に記載のシュミレーションモデル生成装置。
- 個々のユニットモデルは前記入出力ラインに接続され、
この入出力ラインに接続され、個々のユニットモデルの変更可能なゲインを表現する第3のデータ部を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のシミュレーションモデル生成装置。 - 個々のユニットモデルは、このギア装置のシャフトを表現する慣性モメントの微分項を表現する第4のデータ部を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシミュレーションモデル生成装置。
- 前記ギア装置はクラッチを有し、
ユニットモデルはクラッチを表現するスイッチ素子としての第5のデータ部を有する請求項1乃至4のいずれかに記載のシミュレーションモデル生成装置。 - 入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を位差量と流動量との関係で表現するギアモデルをコンピュータ上で実行するシミュレーション装置であって、
前記ギアモデルとして、入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部と、この第1のデータ部に並列に設定され、動特性モデルを表現する第2データ部とを含むように生成するモデル生成手段と、
この生成されたギアモデルをコンピュータ上で実行するシミュレーション手段とを具備することを特徴とするプラネタリギアのシュミレーション装置。 - 前記プラネタリギヤ装置は合わせて3つの入力部と出力部とを有し、前記ギアモデルは、これら3つの入力部と出力部に対応したユニットモデルを有することを特徴とする請求項5に記載のシュミレーション装置。
- 個々のユニットモデルは前記入出力ラインに接続され、
この入出力ラインに接続され、個々のユニットモデルの変更可能なゲインを表現する第3のデータ部を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のシミュレーション装置。 - 個々のユニットモデルは、このギア装置のシャフトを表現する慣性モメントの微分項を表現する第4のデータ部を更に有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のシミュレーション装置。
- 前記ギア装置はクラッチを有し、
ユニットモデルはクラッチを表現するスイッチ素子としての第5のデータ部を有する請求項1乃至9のいずれかに記載のシミュレーション装置。 - 請求項1乃至5に記載のモデル生成装置により生成されたギアモデルをコンピュータ上で実行するシミュレーション装置。
- 前記ギアモデルを時間的に離散的なモデルに変換する手段を有する請求項6乃至11のいずれかに記載のシミュレーション装置。
- 入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を、位差量と流動量とを入出力とするコンピュータ処理可能なギアモデルとして表現してシミュレーションするシミュレーション方法であって、
入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部を生成し、
動特性モデルを表現する第2データ部を前記第1のデータ部に並列となるように設定して生成し、
これらの生成された第1と第2のデータ部を含むギアモデルをコンピュータ上で実行することを特徴とするプラネタリギアのシュミレーション方法。 - 入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を、位差量と流動量とを入出力とするコンピュータ処理可能なギアモデルとして表現するモデルデータを記憶する記憶媒体であって、
入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部と、
前記第1のデータ部に並列となるように設定され、動特性モデルを表現する第2データ部とを記憶するデータ記憶媒体。 - 入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を位差量と流動量とを入出力として表現するギアモデルを生成するプログラムを記憶する記憶媒体であって、
入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部を生成する第1のコンピュータコード手段と、
前記第1のデータ部に並列となるように設定され、動特性モデルを表現する第2データ部を生成する第2のコンピュータコード手段とを記憶するプログラム記憶媒体。 - 入力部と出力部とを合わせて少なくとも3つ有するプラネタリギア装置を位差量と流動量とを入出力として表現するギアモデルを生成してシミュレーションするプログラムを記憶する記憶媒体であって、
入力部と出力部とを結ぶ入出力ラインを記述する第1データ部を生成する第1のコンピュータコード手段と、
前記第1のデータ部に並列となるように、動特性モデルを表現する第2データ部を設定して生成する第2のコンピュータコード手段と、
第1のデータ部と第2のデータ部とを統合したギアモデルをシミュレーションする第3のコンピュータコード手段とを記憶するプログラム記憶媒体。 - 前記動特性は、出力に関与するギアの自転運動を表現することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションモデル生成装置。
- 前記動特性は、出力に関与するギアの自転運動を表現することを特徴とする請求項2に記載のシミュレーション装置。
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