JP3984615B2 - 新規ポリエステル系プラスチック分解菌 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
発明の属する技術分野
本発明は、新規な微生物、および該微生物を用いる生物学的処理法によるプラスチックの分解方法、モノマー回収方法に関する。
従来の技術
近年地球環境保護の観点から、持続可能な循環型社会システムの構築が最重要課題とされている。このような社会情勢の中、プラスチック廃棄物の再資源化技術の開発にも大きな力が注がれている。プラスチック廃棄物の再資源化技術は、物理的方法(サーマルリサイクル、マテリアルリサイクル)と化学的方法(ケミカルリサイクル)の2つに大別される。このうち、前者の物理的処理法は、比較的簡便かつ低コストであるため、PET樹脂をはじめとして、すでに商業化ベースで実用化されている。しかし、この方法では繰り返し使用による品質の低下が避けられないため、再生品の用途は限られてしまう。
一方、ケミカルリサイクルでは、廃プラスチックを化学的にモノマーもしくはオリゴマーに分解して回収し、これを原料として新たにプラスチックを再合成する。この方法では一次生産品と全く同等のプラスチック製品を作ることができ、品質の低下は起こらない。このような観点から、近年ケミカルリサイクルを念頭においた製品が開発され、その一部はすでに市販されている。
さらに、ケミカルリサイクルは近年急速に普及しつつある生分解性プラスチックの処理方法としても有効である。生分解性プラスチックは今後全プラスチック生産量の半分近くを占めるともいわれており、その効率的なリサイクル法の開発も今後注目を浴びることが予想される。現在流通している生分解性プラスチックは、そのほとんどがポリエステル系である。すなわち有機酸や多価アルコールなどのモノマー成分が、加水分解をうけやすいエステル結合でつながっているため、モノマーリサイクルが極めて容易である。
しかし、実際にリサイクルを考えた場合、大きな問題が一つある。それは、廃棄物は複数種類の混合物であるという点である。廃棄物の分別回収も叫ばれているが、実際には排出者の意識やそれにかかる手間を考えると、完全実施は困難であろう。特にプラスチック製品は通常複数の異なるプラスチックを組み合わせて使用しており、現在の技術ではすべてのプラスチック廃棄物を、その種類ごとに分別することは不可能であるといえる。このため、リサイクルはその方法に関わらず、分別回収が容易なものに限られているのが現状である。
生分解性プラスチックのケミカルリサイクルを考えた場合でも、酸やアルカリなどの一般的な化学分解ではモノマーも混合物で得られてしまい、これを精製するには多くのプロセスを必要とし、コストの面できわめて不利である。
この問題点を解決するため、プラスチックのケミカルリサイクルに酵素を用いた新プロセスが提案されている。酵素を用いることによるメリットとしては、反応が常温常圧で行えるため、エネルギーコストがかからず、環境汚染の原因となる有機溶媒も必要としない点も重要ではあるが、酵素の持つ基質特異性が最も優れた点であると考えている。一般的に酵素は基質特異性を持っており、反応対象となる基質を明確に選択している。そこで、ある特定のプラスチックにのみ反応性を持つ酵素を組み合わせることによって、混合物であるプラスチック廃棄物から、分別作業を行うこと無しに、高純度のモノマーを効率よく取り出すことができる。一般的にバイオプロセスは高コストであり、この点は不利であるのは間違いないが、分別を行うこと無しに高純度モノマーを取り出せるメリットは大きい。特に生分解性プラスチックは、自然界において微生物の分泌する酵素によって分解されることが明らかであることからも、これらの分解菌由来の酵素を利用したプロセス開発が期待できる。
酵素を用いたリサイクルを確立するためには、高い基質特異性を持った、強力なプラスチック分解酵素の存在が大前提となる。特にプラスチック廃棄物は実際にはチップやブロックのような固体で排出されるため、特に固体を分解する菌が重要である。
これまでに知られているポリエステル系の固体プラスチック分解酵素としては、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を分解する酵素、PHAデポリメラーゼが挙げられる。PHAは微生物の生産する天然ポリエステルであり、古くから生分解性プラスチックとして用いられている。PHAは本来細菌のエネルギー貯蔵物質であるため、これを分解してエネルギー生産を行う代謝系も当然存在する。このため、Pseudomonas属菌をはじめとする多くの細菌が、これを分解可能であることが知られている。
非天然型のプラスチック分解菌由来のものとしては、エステル系ポリウレタンの分解酵素が知られている。本酵素はComamonas acidovorans由来で、エステル系固体ポリウレタンのエステル結合を切断し、水溶性モノマーを生成する(非特許文献1、特許文献1)。
Akutsu, Y., Nakajima-Kambe, T., Nomura, N., and Nakahara, T.: Purification and properties of a polyester polyurethane-degrading enzyme from Comamonas acidovorans TB-35. Appl. Environ. Microbiol., 64, 62-67 (1998) 特開平09-224664 ポリウレタンエステラーゼの精製方法及びエステル系ポリウレタンの分解方法(出願人:スズキ自動車、発明者中島敏明他)
その他のポリエステル系プラスチックとしては、生分解性プラスチックであるポリ乳酸やポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート−co−アジペート(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)等がある。これらの生分解性プラスチックについては、分解菌は数多く報告されているが、乳化されたものや粉末体、又はミクロンオーダーの薄いフィルムについての分解報告がほとんどであった(非特許文献2)。UchidaらによりPBSAペレットを唯一炭素源とし資化するAcidovolax delafieldii BS-3株が単離されているが(特許文献2、非特許文献3)、固体ペレットを分解する菌の報告は他に無い。
Kim, D. Y., and Rhee, Y. H.: Biodegradation of microbial and synthetic polyesters by fungi. Appl. Microbiol. Biotechnol., 61,300-308 (2003). 特開平11-225755 生分解性ポリマー分解酵素及びその製造方法(出願人:三菱化学、発明者:中島敏明他) Uchida, H., Nakajima-Kambe, T., Shigeno-Akutsu, Y., Nomura, N., Tokiwa, Y., and Nakahara, T.: Properties of a bacterium which degrades solid poly(tetramethylene succinate)-co-adipate, a biodegradable plastic.FEMS Microbiology Letters, 189, 25-29, (2000))。
また、リサイクルとは別に、生分解性プラスチックの適正な処理方法として分解菌の生ごみ処理機への添加やコンポスト化が有望視されているが、この場合、栄養が豊富な環境においてもプラスチックを良好に分解することが望まれる。しかし、これまでの多くの分解微生物が当該プラスチックを唯一の炭素源として利用しており、他の有機物が高濃度に存在すると分解能が著しく低下するか、または消失してしまう。栄養豊富な状態で分解可能な微生物を探索した例はまだ少ない。
発明が解決しようとする課題
本発明は、プラスチックを分解することのできる新規微生物、および該微生物を用いたプラスチックの分解方法、モノマー回収方法を提供することを目的とする。特に、固体のプラスチックを高活性で分解することができ、さらには栄養豊富な状態で分解可能な微生物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
この問題を解決するため、自然界より、有機物の存在下において、ポリエステル系の固体プラスチックを分解する新規な菌を取得することを目的として探索を行った。
プラスチック、特に分子構造中にエステル結合を有するプラスチックを分解する微生物のスクリーニングを、ポリブチレンサクシネート−co−アジペート(PBSA)を試料として用いて行い、レプトスリックス(Leptothrix)属に属する微生物が前記プラスチックで固体形状のものを分解できることを見出した(尚、レプトスリックス属に属する微生物が前記プラスチックの分解能を有することはこれまで知られていなかった。)。また、本発明者らはレプトスリックス属に属する微生物を用いるプラスチックの分解方法、またはモノマー回収方法を見出した。
即ち、本発明はプラスチック、特に分子構造中にエステル結合を有する固体プラスチックを分解する能力を有するレプトスリックス属に属する微生物を提供するものであり、また、レプトスリックス属に属する微生物を用いたプラスチックの分解方法またはモノマー回収方法を提供するものである。尚、該微生物由来のプラスチック分解活性を有する酵素、該酵素のアミノ酸配列および遺伝子配列は、同一出願人による「発明の名称:新規新規ポリエステル系プラスチック分解酵素および該酵素をコードする遺伝子」の同日特許出願に記載されている。
発明の実施の形態
レプトスリックス属に属し、固体プラスチック分解能を有する微生物は、既に公知の微生物であってもよく、新たにスクリーニングされた微生物であってもよい。
微生物のスクリーニングの一例を示せば、各地より採取した土壌を生理食塩水で適宜希釈し、乳化したPBSAを重層したNB平板培地に塗布し、30℃にて培養を行い、コロニー周辺にクリアゾーンを形成する菌を取得することにより行うことができる。必要であれば二次スクリーニングとして、NB液体培地入り試験管にPBSAペレットを添加し、上記スクリーニングで得られた候補菌株を植菌し、培養前と培養後のPBSAの重量差の生じたサンプルを候補菌株とする。
本発明の微生物は、プラスチック、特に固体であり分子構造中にエステル結合を有するプラスチックを分解する能力を有するレプトスリックス属菌であればよい。具体的には、代表例として、平成17年1月20日付けで、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受領されたレプトスリックス (Leptothrix)属菌TB−71株(受領番号FERM ABP−10204)が挙げられる。レプトスリックス属菌の菌学的性質は、例えばバージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(BERGEY'S MANUAL of Systematic Bacteriology)(第1巻1984年、第2巻1986年、第3巻1989年、第4巻1989年)に記載されている。
更に本発明の微生物は、プラスチック、特に固体であり分子構造中にエステル結合を有するプラスチックを分解する能力を有するレプトスリックス属菌であれば、野生株、変異株のいずれでも良い。
変異株は、従来からよく用いられている変異剤であるエチルメタンスルホン酸による変異処理、ニトロソグアニジン、メチルメタンスルホン酸などの他の化学物質処理、紫外線照射、或いは変異剤処理なしで得られる、いわゆる自然突然変異によって取得することも可能である。
レプトスリックス属に属する微生物の培養に用いる培地としては、レプトスリックス属に属する微生物が生育できる培地であれば特に制限なく用いることができ、例えば、LB培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl)およびNB培地が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の微生物の生育に使用する培地は、具体的には、本発明の微生物が資化し得る炭素源、例えばグルコース等、及び本発明の微生物が資化し得る窒素源を含有し、窒素源としては有機窒素源、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スチープ・リカー等、無機窒素源、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を含有することができる。さらに所望により、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の陽イオンと硫酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン等の陰イオンとからなる塩類を含んでもよい。さらに、ビタミン類、核酸類等の微量要素を含有することもできる。炭素源の濃度は、例えば0.1〜10%程度であり、窒素源の濃度は、種類により異るが、例えば0.01〜5%程度である。また、無機塩類の濃度は、例えば0.001〜1%程度である。
本発明において分解できる固体状プラスチックは、プラスチックの分子構造中にエステル結合を有するものであるが、好ましくはポリブチレンサクシネート−co−アジペート、ポリエチレンサクシネート、またはポリカプロラクトンが挙げられる。尚、本酵素は固体状プラスチックを分解できるが、プラスチックが液状やゲル状などであっても分解することができる。ここで、「固体状」とは、フィルムおよびペレット状などの固体形状のことをいう。
ポリブチレンサクシネート−co−アジペートとは、ポリブチレンサクシネート合成において原料にアジピン酸を加えることにより調製される高分子をいう。融点は90℃ぐらいにまで下がるが、柔軟性が向上する。包装材や苗のポット、ゴミ袋などに利用されている。本発明の分解方法において適用し得るポリブチレンサクシネート−co−アジペートの数平均分子量は、特に制限はない。
ポリエチレンサクシネートとは、ポリブチレンサクシネートのブタンジオールをエチレングリコールに代えたものをいう。機械物性はポリエチレンやポリプロピレンと同等、融点は100℃と低めであるが、酸素を通しにくいため食品フィルムへの応用が期待されている。本発明の分解方法において適用し得るポリエチレンサクシネートの数平均分子量は、特に制限はない。
ポリカプロラクトンとは、ε-カプロラクトンの開環重合により合成され、かなり低い温度でも軟らかい熱可塑性ポリエステルである。本発明の分解方法において適用し得るポリカプロラクトンの数平均分子量は、特に制限はない。
更に本発明は、プラスチック、特に固体であり分子構造中にエステル結合を有するプラスチックを微生物の作用により分解処理する方法を提供する。該方法は、微生物の増殖過程でプラスチックが分解され栄養源として消費されることを利用する、あるいは微生物の有する酵素の作用によりプラスチックを分解する作用を利用するもの、すなわち増殖した後の微生物菌体、例えば休止菌体を利用するものである。
プラスチック由来のモノマーの回収は、上記分解プロセスの後に分解により生じたモノマーを回収することにより実施することができる。
あるいは、菌体を定法により凍結乾燥した粉末状、その粉末と各種ビタミンやミネラル、必要な栄養源、例えば酵母エキス、カザミノ酸、ペプトン等を配合した後に打錠した錠剤等固形状の形態の調製物として固体プラスチックの処理に提供しても良い。また、菌株を活性汚泥およびコンポストの成分として利用することもできる。
分解に共される固体プラスチックは、例えば液体の培地中にエマルジョンとして、あるいは粉体の形で加えても良いし、フィルム、ペレット等の塊として加えても良い。なお、培地に対するプラスチックの投入量は、0.01〜10重量%が望ましい。添加する微生物量は極少量であってもよいが、分解効率を考慮してプラスチックに対して0.1重量%以上(湿重量)が好ましい。また、分解に供するプラスチックは、1種類であっても複数種類であっても良い。
微生物の増殖過程でプラスチックが分解され栄養源として消費されることを利用する態様では、プラスチックを単一の炭素源として与えることも、他の炭素源とともに与えることもできる。本発明のレプトスリックス属に属する微生物は、栄養豊富な状態であっても固体プラスチックを分解できるという特徴を有し、使用し得る培地としては、炭素源としては、プラスチックあるいはグルコース等、及び本発明の微生物が資化し得る窒素源を含有し、窒素源としては有機窒素源、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スチープ・リカー等、無機窒素源、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を含有することができる。さらに所望により、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の陽イオンと硫酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン等の陰イオンとからなる無類を含んでもよい。さらに、ビタミン類、核酸類等の微量要素を含有することもできる。炭素源の濃度は、例えば0.1〜10%程度であり、窒素源の濃度は、種類により異るが、例えば0.01〜5%程度である。また、無機塩類の濃度は、例えば0.001〜1%程度である。
微生物の有する酵素のプラスチックを分解する作用を利用する態様、すなわち増殖した後の微生物菌体、例えば休止菌体を利用する態様では、プラスチックの分解に際し、該微生物の増殖を伴わないため、緩衝液に固体プラスチックを添加した培地などであっても良いが、その他に窒素源、無機塩、ビタミンなどを添加しても良い。緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液が挙げられる。
固体プラスチックの分解に要する時間は、分解に供するプラスチックの種類、組成、形状及び量、使用した微生物の種類及び樹脂に対する相対量、その他種々の培養条件等に応じて変化しうる。
本発明において、上記微生物に対し、好気条件で、静置培養、振盪培養あるいは通気培養を行えばプラスチックの分解がみられる。好ましくは回転振盪培養が良く、回転数は30〜250回転/分の範囲であるのが良い。培養条件としては、培養温度は10〜50℃、特に30℃付近が好ましい。また、培地のpHは4〜10の範囲、好ましくは7付近であるのが良い。
培地中のプラスチックの分解の確認は、例えば、分解に供したプラスチックの重量減少の測定、エマルジョンとして供する場合はプラスチックの分解によるクリアーゾーンの形成により測定することができる。
本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1 微生物のスクリーニング
供試ポリエステル
供試ポリエステル系の固体プラスチックとしてはPBSAを用いた。PBSAは昭和高分子社製のビオノーレ3020(平均分子量14万)を用いた。
平板培地の作成方法
2gのPBSAを40mlのジクロロメタンで溶解した。これを40mgのPlysurf A210G(界面活性剤、第一製薬工業社製)を含む250mlの蒸留水に加え、ブレンダーで攪拌し、乳化させた。これをドラフト中で80℃にて加熱攪拌し、溶媒を除去したものを乳化PBSAとした。この乳化PBSAを含む寒天培地をNutrient broth(NB)平板培地に重層した。
スクリーニング
関東周辺の土壌、河川、浄水処理場の活性汚泥をスクリーニング源として、生理食塩水で適宜希釈し、乳化したPBSAを重層したNB平板培地に塗布した。30℃にて培養を行い、コロニー周辺にクリアゾーンを形成する菌を取得した。
二次スクリーニングとして、大型試験管(口径22mm)にNB液体培地10mlを添加し、PBSAペレットの分解試験を行った。なお、分解試験には、直径2.5mm、長さ4mmの円筒状ペレットを用い、70%エタノールに浸漬して滅菌後、クリーンベンチ内で無菌的に乾燥させたものを用いた。
培養終了後PBSAを取り出し、蒸留水で洗浄、乾燥後、重量を測定した。培養前と培養後のPBSAの重量差を分解量とした。
土壌、河川、活性汚泥などの環境中より採取した350サンプルから菌を抽出して、検定用平板に塗布したところ、コロニー周辺の乳化PBSAを分解してクリアーゾーンを形成する菌株40種を分離した。これらについてPBSAペレットの分解試験を行った結果、培養1週間でペレットの消失が見られたTB−71株を分離し、以降の研究に用いた。
実施例2 微生物の同定
TB−71株のシングルコロニーから、16SrDNAに特異的なプライマー(27F:5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’と1494R:5’−TGACTGACTGAGGYTACCTTGTTAC−3’)を用いて、ダイレクトコロニーPCR法により16SrDNAの全長を増幅した。PCRの条件は表1に示した通りである。PCR産物をpGEM−Tベクターに連結し、宿主大腸菌XL10gold株の形質転換を行った。アンピシリンを含む平板培地にて一晩培養して出現したコロニーよりプラスミドを抽出し、インサートDNAの塩基配列を決定した。その後得られた塩基配列をBLASTプログラムで相同性検索を行い、Clastal Xソフトウェアにて系統樹を作成した。
Figure 0003984615
シークエンス反応の結果、TB−71株の16SrDNAの5’側より約640bpの塩基配列を決定した。これをDNA相同性検索(BLAST)に供したところ、unculturedなもの以外では、最も相同性が高いものでもLeptothrix mobilisとの95%であった。系統樹を作成したところ(図1)、本菌株はLeptothrix属と同じクラスターに属したが既知の種の中では最も相同性の高いものでも95%程度であり、新種である可能性が高い。
実施例3 TB−71株による固体PBSAの分解
NB培地50mlを入れた300ml容の三角フラスコに、25mm径、厚さ0.5mmのディスク状に成型したビオノーレ3020(平均分子量14万)(300mg)を添加したものを用いた。ディスクは70%エタノールに12時間浸漬後、クリーンベンチ内で乾燥したものを用いた。
TB−71株はNB平板培地にて30℃、24時間培養し、これを生理食塩水に懸濁して初発菌濃度がOD580=0.05となるように植菌した。一定時間経過後、PBSAディスクを取り出し、蒸留水で洗浄、乾燥後、重量を測定した。培養前と培養後のPBSAの重量差を分解量とした。エステラーゼ活性の測定には、基質としてp-ニトロフェニルアセテートをもちいて、エステル結合の切断によって生じるp-ニトロフェノールを、405nmの吸光度の増加量で測定する方法を用いた。1分間に1マイクロモルのp-ニトロフェノールを生じさせるのに必要な酵素量を1unitとした。
結果を図2に示した。本菌株の生育は24時間で最高に達したが、PBSAディスクの分解はそれより少し遅れて、48時間で完全に分解された。また、分解に伴い培養液からエステラーゼ活性が観察された。
実施例4 TB−71株による各種ポリエステル系固体プラスチックの分解
供試ポリエステル系固体プラスチックとして、生分解性プラスチックであるポリブチレンサクシネート(PBS)(昭和高分子社製ビオノーレ1020:分子量14万および1001:分子量26万)、ポリ乳酸(PLA)(トヨタ社製ラクティ:分子量13万)、およびポリエチレンサクシネート(PES)(日本触媒社製ルナーレSE:分子量6万)を用いて分解試験を行った。また、分子量の異なるPBSA(昭和高分子社製ビオノーレ3001:分子量26万)も同時に用いた。実験方法は上と同様300mgのディスクを作成し、72時間培養後の分解量、菌体生育量、エステラーゼ活性を測定した。
結果を表2に示した。菌株はPBSAに関してはより分子量の高いビオノーレ3001に対しても、ディスクを完全分解する活性を持っていた。また、ポリエチレンサクシネート(ルナーレSE)に対しても強力な分解活性を持っていた。しかし、ポリ乳酸に対しては分解活性は認められなかった。興味深いことに、PBSAとその化学構造が極めて類似しているPBSに対しての分解活性は認められなかった。この理由は現在のところ不明である。このように本菌株のポリエステル系固体プラスチック分解活性は明瞭な基質特異性を有しており、選択的モノマー化への応用に適する。
Figure 0003984615
本菌株は PBSAディスク約300mgを2日間で完全に分解した。これまでに知られているPBSA分解菌はエマルジョンやフィルムの分解菌がほとんどであり、ペレットやディスクのような固形物の分解の報告はほとんど無い。プラスチック廃棄物はエマルジョンやフィルムで与えられることはあまり無く、これをモノマーリサイクルへ応用するにはペレットやチップ状のプラスチックを分解可能なことが必須である。PBSAペレット分解菌としては、既に報告されているAcidovolax delafieldii BS-3株(特許文献2、非特許文献3参照)がある。しかし、本菌株はPBSAディスクを7日間で約150mg分解しているが、それに比べて 6倍以上強力な分解力を持つことを示した。またBS−3株はPBSAを唯一の炭素源として分解するが、他の有機栄養源の存在下での分解性は調べられていない。さらにエマルジョンやフィルムの分解菌を含めてもLeptothrix属の分解菌の報告は無い。
発明の効果
上述のように、本発明の微生物は、固体状プラスチックの分解能を有し、しかも分解力は極めて強力である。さらに、栄養豊富な条件下でもプラスチック分解能を有し、明瞭な基質特異性をも有しており、酵素を用いたケミカルリサイクルへの応用が期待される。
図1は、TB−71株およびその類縁菌の進化系統樹を示す。 図2は、TB−71株によるPBSAディスク分解の経時変化を示す。

Claims (3)

  1. レプトスリックス属TB−71株(受託番号FERM BP−10204)。
  2. 固体状のポリブチレンサクシネート−co−アジペート、ポリエチレンサクシネート、またはポリカプロラクトンの分解能を有する、レプトスリックス属TB−71株の変異株。
  3. 請求項1または2記載の菌株を、固体状のポリブチレンサクシネート−co−アジペート、ポリエチレンサクシネート、またはポリカプロラクトンと接触させる工程を含む、前記プラスチックの分解方法。
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