JP3984323B2 - 切削屑の溶解分離装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、旋盤やボール盤の切削屑から軸受合金などに使用されている非鉄金属を溶解して回収するための溶解分離装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に軸受合金等に含有されている金属は、高温で溶解し鉄から分離して再利用されるのが望ましい。図４は従来のこの種の溶解分離装置の一例を示したもので、ポット型炉２１に懸けられる鉄鍋２２に切削屑を入れ、バーナ２３により鉄鍋２２を加熱して切削屑を溶解し、比重の小さい非鉄金属を上層から汲み出すようにしたものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来方式は、切削屑を鉄鍋２２を介して間接的に加熱する方式であるために熱効率が悪く、また未溶解の切削屑が湯面に浮遊し易いために攪拌手段を必要とする上に、鉄屑と非鉄金属との分離が悪く溶融金属に鉄分が混入し易いという欠点があった。本発明は上述の問題点を解消し、熱効率が高く、分離が容易で手間もかからないこの種の溶解分離装置を提供することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明による切削屑の金属溶解分離装置は、図１〜３に示すように、上面開口に開閉蓋２を備えた竪形筒状の炉３内に、底板を多孔板４で形成された金属製バケット５を出し入れ自在に吊設すると共に、炉３内の底部より外部へ出湯口６を導出し、炉壁に設けたバーナ７により炉３内へ供給された熱風が、上記バケット５内を通り上記開閉蓋２に貫設された排気筒８から排出されるようにしたものであって、バケット５の底板を構成する多孔板４を通して溶融した金属を滴下させると共に、下方からの熱風を通過させてバケット5内の切削屑に直接熱風を接触させ、それによって熱効率を向上させると同時に、比較的低い温度で鉄屑と非鉄金属を完全に分離できるようにしたものである。これに加えて、排気の一部を炉３内底部から出湯口６へ至る出湯通路１１へ導き、上記出湯口６の直前に設けた排気筒１３から外部へ排出するようにしたことで、溶融金属が出湯口６に達する前に冷却固化してしまわないようにすることができる。
【０００５】
【発明の実施の形態】
図１〜３は本発明装置の一実施例を示したもので、竪形円筒状の炉３の上面開口には、クレーンで開閉操作される開閉蓋２が被着されており、炉３内には底板を多孔板４で形成された円筒形の金属製バケット５が挿入され、炉３の上端部で内方へ張り出した内鍔部９にバケット５の上端フランジ部１０が係着して、炉内に吊り下げられるようになっている。炉３内の底部には、溶融滴下した金属を外部へ流出させるため、勾配を持った溝状の出湯通路１１が形成され、その外側の端部に出湯口６が設けられている。また炉壁には内鍔部９よりもやや下方に、ファン付きバーナ７が周方向に熱風を吹き込むように貫設され、吹き込まれた熱風は炉壁とバケット５の外周面との間に形成されている約１５０ｍｍ程度の間隙１２内を周回しながら下方へ下り、多孔板４からバケット５内へ圧入されて、上記開閉蓋２に貫設された排気筒８から外部へ排出されるようになっている。また排気の一部は、炉内底部から上記出湯通路１１へ導かれて、出湯口６の直前に設けた排気筒１３から外部へ排出されるようになっており、これによって溶融金属が出湯口６に達する前に冷却固化してしまわないようにしている。なお１４はバケット５のフランジ部１０に固着された吊り上げ用金具、１５は開閉蓋２を開閉する際のバランスウエイト、１６は点検窓、１７は排気調整用ダンパである。
【０００６】
【実施例】
軸受部分にホワイトメタル（Ｓｎ，Ｓｂ，Ｃｕ，Ｐｂの合金：融点２３０℃）を使用した軸受の切削屑の鉄成分から合金成分を分離した。バケット（材質ＳＵＳ３０４，口径５００ｍｍ×高さ７００ｍｍ）の底板にピッチ１０ｍｍ（千鳥）で直径３ｍｍの孔を穿けたものを使用、ファン付きバーナは５万ｋｃａｌ／ｈ，短炎仕様のものを使用した。処理能力は１００ｋｇ／バッチである。炉温は約４２０℃が最適であり、それより低いときは処理時間が長くかかり、高過ぎると酸化物が多くなる。
【０００７】
【発明の効果】
本発明によれば上述のように、バケット５の底板を構成する多孔板４が溶融した金属を滴下させると共に下方からの熱風を通過させ、バケット５内の切削屑に直接熱風を接触させるので、従来方式に比し熱効率を向上させることができ、また溶融した金属は順次滴下して未溶融の金属面が直接熱風に露出するので、比較的低い温度で鉄屑と非鉄金属を容易に且つほぼ完全に分離し得るという利点があると共に、排気の一部を炉内底部から出湯口へ至る出湯通路へ導き、上記出湯口の直前に設けた排気筒から外部へ排出するようにしたことで、溶融金属が出湯口に達する前に冷却固化してしまわないようにすることができるという利点がある。なお本発明は、上述した軸受合金の分離に限らず、例えば亜鉛と鉛の混合スクラップを粉砕して鉛を溶融分離する等の用途にも応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来例の縦断面図。
【図２】本発明の一実施例を示す縦断面図。
【図３】同上の他の断面で見た要部縦断面図。
【図４】同上の一部切欠上面図。
【符号の説明】
２ 開閉蓋
３ 炉
４ 多孔板
５ バケット
６ 出湯口
７ ファン付きバーナ
８ 排気筒
９ 内鍔部
１０ フランジ部
１１ 出湯通路
１２ 間隙
１３ 排気筒
１４ 吊り上げ金具
１５ バランスウエイト

Claims (1)

1. 上面開口に開閉蓋を備えた竪形筒状の炉内に、底板を多孔板で形成された金属製バケットを出し入れ自在に吊設すると共に、炉内底部より外部へ出湯口を導出し、炉壁に設けたバーナにより炉内へ供給された熱風が、上記バケット内を通り上記開閉蓋に貫設した排気筒から排出されるようにし、排気の一部を炉内底部から出湯口へ至る出湯通路へ導き、上記出湯口の直前に設けた排気筒から外部へ排出するようにして成る切削屑の溶解分離装置。

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