JP3983991B2 - オゾン発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体を介して電圧を印加して誘電体層表面に空気あるいは酸素を含むガスを放電させて、オゾン原料ガスからオゾンを生成するオゾン発生装置に係り、特に高濃度のオゾンを発生できるようにしたコンパクトでかつ安価なオゾン発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば上下水道の殺菌・消臭・脱色といった浄水処理システムや、工業排水処理の脱臭・脱色、パルプ漂白、ガス浄化システムおよび医療機器の殺菌、半導体の酸化物形成やクリーニング、化学プラント等に、酸化力の強いオゾンが多く用いられてきている。
【0003】
このオゾンを発生するオゾン発生装置としては、対向する複数の電極を備え、この複数の電極間で無声放電、すなわち体積放電を生じさせて、オゾン原料ガスからオゾンを生成するものが知られている。
【0004】
図12は、この種の従来の同軸円筒型オゾン発生装置の構成例を示す概要図である。
【0005】
図12に示すように、同軸円筒型オゾン発生装置は、円筒形のステンレス製の金属電極1の内部に、円筒形のガラス製の誘電体2が挿入されている。
【0006】
また、誘電体2の内面には、金属層3が蒸着されており、リード線4を介して電源5に接続されている。
【0007】
そして、電源5から交流電圧が印加されると、金属電極1と誘電体2との間の空間に満たされている空気あるいは酸素を含むガスに放電が発生する。
【0008】
この放電は、無声放電、あるいはバリア放電と称されるものである。
【0009】
また、詳細を後述するが、本発明に関連する沿面放電、共面放電も、このバリア放電の一種である。
【0010】
そのため、かかる従来例のように、金属電極1と誘電体2との間の空間に発生する放電を、体積放電(体積型バリア放電)とも称している。
一方、このような放電によって発生した熱は、金属電極1の外部の冷却水6によって冷却される。
【0011】
また、金属電極1と誘電体2との間隙が放電ギャップとなるが、当該空間を一定に確保するために、金属電極1と誘電体2との間に、スペーサ7が挿入されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなオゾン発生装置のうち、オゾン原料ガスとして空気を用いてオゾンを生成するものでは、装置が大きいばかりでなく、高濃度のオゾンを得ることが困難であるといった課題がある。
【0013】
そこで、高濃度のオゾンを得るに当たって、窒素吸着によって酸素濃度を少し増加する、いわゆる酸素富家オゾン発生といった方法を採用したオゾン発生装置も用いられることがある。
【0014】
しかしながら、オゾン原料ガスとして、空気のような窒素を含むガスを用いたオゾン発生装置では、放電によって発生する副生成物である窒素酸化物、すなわちNO、NO2、NO3、N2O5が、連鎖的にオゾンを破壊することが知られている。
【0015】
そのため、高濃度のオゾンを発生することが困難である。
【0016】
特に、沿面放電型のように、誘電体表面で放電を発生するものにおいては、体積放電型に比べて、窒素酸化物の影響が大きく、高濃度のオゾンを得ることが困難である。
【0017】
本発明の目的は、誘電体表面で放電を発生する沿面放電型あるいは共面放電型のオゾン発生装置において、高濃度のオゾンを発生することができ、しかも従来の体積放電型オゾン発生装置よりもコンパクトでかつ安価なオゾン発生装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明では、金属プレートの少なくとも一方の表面に誘電体を設置し、かつ当該誘電体を設置した金属プレートに冷却機構を備えて構成され、誘電体を介して電圧を印加して誘電体表面に放電を発生させ、オゾン原料ガスからオゾンを生成するオゾン発生装置において、誘電体を、コイルばね等のコイル状の弾性部材によって直接、金属プレートに密着させるようにしている。また、誘電体の裏面である金属プレートとの接触面に、導電性材料を蒸着あるいは塗布するようにしている。
【0019】
従って、請求項1に対応する発明のオゾン発生装置においては、誘電体を、コイル状の弾性部材によって直接、金属プレートに密着させることにより、コイル状の弾性部材が誘電体を金属プレートに押さえつけて密着することで、熱伝達がよくなり、安定した放電特性が得られると同時に、放電領域と誘電体表面との間隔が最短になるため、簡便な構造でかつ高い冷却性能を確保することができ、高濃度のオゾンを発生することができる。また、誘電体の裏面である金属プレートとの接触面に、導電性材料を蒸着あるいは塗布することにより、誘電体の裏面と金属プレートとの間の異常放電を抑制して、高い信頼性を得ることができる。
【0026】
また、請求項2に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明のオゾン発生装置において、誘電体を、対をなす電極の一方の表面に設置し、かつ他方が金属電極であり、当該金属電極に冷却構造を付与せず、かつ高電圧を印加するようにしている。
【0027】
従って、請求項2に対応する発明のオゾン発生装置においては、誘電体を、対をなす電極の一方の表面に設置し、かつ他方が金属電極であり、当該金属電極に冷却構造を付与せず、かつ高電圧を印加することにより、冷却装置に高電圧が印加される恐れをなくして、信頼性を向上することができる。
【0030】
一方、請求項3に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明のオゾン発生装置において、誘電体の外周部が、当該誘電体を設置した金属プレートの外周部よりも大きくなるようにしている。
【0031】
従って、請求項3に対応する発明のオゾン発生装置においては、誘電体の外周部が、当該誘電体を設置した金属プレートの外周部よりも大きくなるようにすることにより、誘電体の外周部が絶縁バリアとなって、端部の異常絶縁破壊を防ぎ、高い信頼性を得ることができる。
【0034】
さらに、請求項4に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明のオゾン発生装置において、誘電体と誘電体との間隙長を一定にするスペーサを備えている。
【0035】
従って、請求項4に対応する発明のオゾン発生装置においては、誘電体と誘電体との間隙長を一定にするスペーサを備えることにより、上記発明を容易に実現することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置の構成例を示す分解斜視図、図2は本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置の構成例を示す断面図、図3は図2における電極部の構成例を示す拡大図であり、図12と同一要素には同一符号を付して示している。
図1乃至図3において、金属からなる水冷プレート8の上に、当該水冷プレート8よりも外周が大きい誘電体であるガラス基板9を設置している。
【0038】
また、水冷プレート8は、内部に冷却機構(構造)を備えており、冷却水入口10から冷却水を導入し、当該冷却水を冷却水出口11から排出するようにしている。
【0039】
一方、ガラス基板9は、コイル状の弾性部材であるコイルばね12によって直接、水冷プレート8に密着させている。
【0040】
また、コイルばね12は、中央に開口部を設けた金属枠13に取り付けており、当該金属枠13は電源5に接続している。
【0041】
さらに、ガラス基板9と対向するもう一枚のガラス基板9との間隙長を一定にするスペーサ7を、金属枠13に取り付けている。
【0042】
さらにまた、ガラス基板9の裏面である水冷プレート8と接触する面に、ステンレスやITO膜等の導電性材料を蒸着するか、あるいは銀ペースト等をスクリーン印刷あるいは塗布している。
【0043】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるオゾン発生装置においては、電源5から交流電圧が印加されると、金属枠13を介してコイルばね12に、交流電圧が荷電される。
【0044】
水冷プレート8は、アース電位に接続することで、コイルばね12自体が沿面電極となり、ガラス基板9上に沿面放電14が発生する。
【0045】
この場合、誘電体であるガラス基板9を、コイルばね12によって直接、水冷プレート8に密着させていることにより、コイルばね12がガラス基板9を水冷プレート8に押さえつけて密着することで、熱伝達がよくなる。
【0046】
その結果、安定した放電特性が得られると同時に、放電領域と誘電体であるガラス基板9表面との間隔が最短になるため、簡便な構造でかつ高い冷却性能を確保することができ、高濃度のオゾンを発生することができる。
【0047】
また、ガラス基板9の外周部が、水冷プレート8の外周部よりも大きくなるようにしていることにより、ガラス基板9の外周部が絶縁バリアとなって、電圧が印加されるコイルばね12や金属枠13から直接水冷プレート8への端部の異常絶縁破壊を起こさないように防止することができる。
【0048】
一方、ガラス基板9の水冷プレート8と接触する面は、コイルばね12のへたり等の事故によって浮き上がる可能性がある。
【0049】
そして、もしガラス基板9が水冷プレート8から浮き上がると、ガラス基板9と水冷プレート8との間にできた空間に異常放電が発生するため、ガラス基板9が破損してしまう可能性がある。
【0050】
この点、本実施の形態では、ガラス基板9の水冷プレート8と接触する面に、ステンレスやITO膜等の導電性材料を蒸着するか、あるいは銀ペースト等をスクリーン印刷あるいは塗布していることにより、たとえ一部分においてガラス基板9が水冷プレート8から浮き上がっていても、一部分が接触することでガラス基板9と水冷プレート8との間にできた空間は全て同電位になるため、異常放電を抑制することができる。
【0051】
また、ガラス基板9と対向するもう一枚のガラス基板9との間隙には、オゾンが発生して満たされる。空気は、外周から内側に向かって流れて中央に集まる過程で、沿面放電によってオゾン化されて中央から排出される。
【0052】
この空間は、金属枠13に取り付けたスペーサ7によって、一定の幅以下に抑えられる。
【0053】
上述したように、本実施の形態によるオゾン発生装置では、高濃度のオゾンを発生することができ、しかも従来の体積放電型オゾン発生装置よりもコンパクトでかつ安価なオゾン発生装置を得ることが可能となる。
【0054】
(第2の実施の形態)
図4は、本実施の形態による共面放電型のオゾン発生装置における電極部の構成例を示す拡大図であり、図1乃至図3と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
図1乃至図3において、コイルばね12とガラス基板9を設置した電極15a、15b間に、電源5から交流電圧を印加するようにしている。
【0055】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるオゾン発生装置においては、ガラス基板9上に印刷された電極15a、15bの間に交流電圧を印加することにより、電極15a、15bの上面に印刷した誘電体層16を介して、当該誘電体層16表面に沿面放電14が発生する。
【0056】
なお、電極15aと電極15bとが一つの面内にあることから、共面構造と呼ばれている。
【0057】
また、本実施の形態のような電極構成でも、誘電体であるガラス基板9を、コイルばね12によって直接、水冷プレート8に密着させていることにより、コイルばね12がガラス基板9を水冷プレート8に押さえつけて密着することで、熱伝達がよくなる。
【0058】
その結果、安定した放電特性が得られると同時に、放電領域とガラス基板9表面の間隔が最短になるため、高い冷却性能を確保することができ、高濃度のオゾンを発生することができる。
【0059】
上述したように、本実施の形態によるオゾン発生装置では、高い冷却性能を確保することができ、高濃度のオゾンを発生することができるオゾン発生装置を得ることが可能となる。
【0060】
(第3の実施の形態)
本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置は、前述した第1または第2の実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置において、オゾン原料ガスとして、空気あるいは酸素濃度が90%未満のガスを用い、さらに放電面積1平方メートル当たりの投入電力W/S[kW/m2]と、放電を発生させるガラス基板9表面から設けた空間の高さdとの間に、
(W/S)*(0.8*d−0.2)<5
なる関係を満たすようにしている。
【0061】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるオゾン発生装置においては、オゾン原料ガスとして、空気あるいは酸素濃度が90%未満のガスを用い、放電面積1平方メートル当たりの投入電力W/S[kW/m2]と、放電を発生させるガラス基板9表面から設けた空間の高さdとの間に、上記式の関係を満たすようにしていることにより、放電によって発生したオゾンが空間全体に拡散し、当該拡散したオゾンの偏差を5g/Nm3以下に抑えることが可能となるため、オゾンの分解反応を抑制することができ、高い効率で高濃度のオゾンを発生することができる。
【0062】
以下、かかる点について詳細に述べる。
オゾン原料ガスとして空気原料を用いた場合には、酸素原料よりも多くのガス流量Qを必要とする。
【0063】
投入した放電電力Wをガス流量Qで割った値W/Qを、特性エネルギー(Specific Energy)と称する。
酸素原料では、特性エネルギーW/Qは、1.0〜2.0[kWh/Nm3]であるが、空気原料では、特性エネルギーW/Qは、0.2〜0.4[kWh/Nm3]である。
【0064】
空気原料では、特性エネルギーW/Qが、酸素原料のおよそ1/5になっている。
【0065】
すなわち、空気原料では酸素原料の5倍程度のガス流量Qが必要となる。
【0066】
ガス流量Qが大きいため、その流速Vは、これに比例して大きく、ガスが水冷プレート8と隣り合う水冷プレート8との間の空間に留まっている時間tが、反比例して短い。
【0067】
すなわち、ガスが放電空間に留まっている時間が、1/5に短くなる。
【0068】
その結果、空気原料の場合には、沿面放電14からその上空のフリースペースに向かって十分拡散する時間をとり難くなる。
【0069】
図5は、本実施の形態によるオゾン発生装置のパラメータの効果を示す関係図である。
【0070】
図5において、横軸がギャップ中の位置Xで、0〜0.020cmの範囲が放電領域である。
【0071】
この放電領域でオゾンが生成し、ギャップ中をフリースペースである右側に拡散していく。
【0072】
この拡散過程は、次に示すような微分方程式を解くことで得られる。
【0073】
dN/dt=g−D(d2N/dX2) (1)
ここで、
N:オゾン濃度[g/cm3]
t:時間[s]
g:単位放電体積当たりのオゾン発生量[g/cm3/s]
D:拡散係数[cm2/s]
オゾン発生量gは、放電領域では放電電力W[W]に比例し、放電のないフリー・スペースではゼロになる。
【0074】
本発明者等は、沿面放電あるいは共面放電において、オゾン原料ガスとして空気を用いる原料オゾン発生装置では、オゾン発生量gは、放電電力W[W]を放電面積S[cm2]で割った電力密度W/S[W/cm2]との間に、下記のような関係があることを見出している。
【0075】
ここで、
X:ギャップ中の位置
d:空間の高さ(ギャップ)
図5から、放電部オゾン濃度CD、すなわち左端のオゾン濃度は、フリースペースのオゾン濃度CF、すなわち右端のオゾン濃度よりも早く立ち上がっていくことがわかる。
【0076】
図6は、図5における横軸を、時間tから特性エネルギーW/Qに次のような式で変換して示した関係図である。
【0077】
W/Q=(W/S)/d*t (3)
図6では、放電でよく用いられるcgs単位系から、一般的なMKS単位系に変換を行なっている。
【0078】
放電部オゾン濃度CD、およびフリースペースオゾン濃度CFは、特性エネルギーW/Qの上昇と共に高くなっていく。
【0079】
放電部オゾン濃度CDとフリースペースオゾン濃度CFとの差は、飽和を示している。
【0080】
その値は、この場合、12g/Nm3程度である。
【0081】
そして、この濃度差が飽和することを、本発明者等は初めて見出した。
【0082】
このオゾン濃度差の定常値をΔCとして、いくつかの電力密度W/Sに対して依存性を見てみると、図7に示す関係図のようになる。
【0083】
図7において、横軸は空間の高さであるギャップdである。
【0084】
空間内のオゾン濃度差ΔCは、電力密度W/Sと空間の高さであるギャップdに共に比例していることがわかる。
【0085】
そこで、オゾン濃度差ΔCを電力密度W/Sで割ったΔC/(W/S)と、空間の高さであるギャップdとの関係は、図8に示す関係図のように、一本の直線になってしまう。
【0086】
以上から、空間中でのオゾン濃度の偏差が5g/Nm3以下の条件で、高い効率で高濃度オゾンを発生できることを、本発明者らは初めて見出した。
【0087】
その条件は、放電面積1平方メートル当たりの投入電力、W/S[kW/m2]と、放電を発生させるガラス基板9表面から設けた空間の高さdとの間に、
(W/S)*(0.8*d−0.2)<5
なる関係を満たすことである。
【0088】
この条件により、放電によって発生したオゾンが、空間全体に拡散することになる。
【0089】
なお、本実施の形態では、オゾン原料ガスとして、空気原料を用いた場合について主に示したが、オゾン原料ガスとして、酸素濃度が90%未満のガスを用いた場合についても、同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
上述したように、本実施の形態によるオゾン発生装置では、放電によって発生したオゾンが空間全体に拡散し、当該拡散したオゾンの偏差を5g/Nm3以下に抑えることが可能となるため、オゾンの分解反応を抑制することができ、高い効率で高濃度のオゾンを発生することができるオゾン発生装置を得ることが可能となる。
【0091】
(第4の実施の形態)
本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置は、前述した第1または第2の実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置において、冷却機構を備えた水冷プレート8を複数枚重ねた構成を有するものとし、さらに互いに隣り合う水冷プレート8間に設けたガス流路幅Zと、放電面積1平方メートル当たりの投入電力W/S[kW/m2]との間に、
(W/S)*(0.4*Z−0.2)<5
なる関係を満たすようにしている。
【0092】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるオゾン発生装置においては、冷却機構を備え複数枚重ねた構成を有する水冷プレート8における、互いに隣り合う水冷プレート8間に設けたガス流路幅Zと、放電面積1平方メートル当たりの投入電力W/S[kW/m2]との間に、上記式の関係を満たすようにしていることにより、放電によって発生したオゾンが空間全体に拡散し、当該拡散したオゾンの偏差を5g/Nm3以下に抑えることが可能となるため、オゾンの分解反応を抑制することができ、高い効率で高濃度のオゾンを発生することができる。
【0093】
すなわち、図5乃至図8に示した実施の形態では、放電面は1面であったが、図1および図2に示した実施の形態のように、両側に放電面がある場合には、隣り合う金属プレート8間に設けたガス流路幅Zと放電面積1平方メートル当たりの投入電力、W/S[kW/m2]との間に、上記式を満たす関係にすることにより、同様の効果が得られ、高い効率で高濃度のオゾンを発生することができる。
【0094】
この理由は、両側に放電面がある場合、中央を挟んで対称面となっているため、ガス流路幅Zの半分であるZ/2が、放電面が1面の場合の空間高さdと等価であるためである。
【0095】
上述したように、本実施の形態によるオゾン発生装置では、放電によって発生したオゾンが空間全体に拡散し、当該拡散したオゾンの偏差を5g/Nm3以下に抑えることが可能となるため、オゾンの分解反応を抑制することができ、高い効率で高濃度のオゾンを発生することができるオゾン発生装置を得ることが可能となる。
【0096】
(第5の実施の形態)
図9は本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置の構成例を示す分解斜視図、図10は本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置の構成例を示す断面図であり、図1および図2と同一要素には同一符号を付して示している。
図1および図2において、コイルばね12を、金属電極17によって保持している。
【0097】
また、金属からなる水冷プレート8の上に、当該水冷プレート8よりも外周が大きい誘電体であるガラス基板9を設置している。
【0098】
さらに、水冷プレート8は、内部に冷却機構(構造)を備えており、冷却水入口10から冷却水を導入し、当該冷却水を冷却水出口11から排出するようにしている。
【0099】
一方、ガラス基板9は、コイル状の弾性部材であるコイルばね12によって直接、水冷プレート8に密着させている。
【0100】
また、コイルばね12は金属電極17に取り付けられており、当該金属電極17は電源5に接続している。
【0101】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるオゾン発生装置においては、電源5から交流電圧が印加されると、金属電極17およびコイルばね12に、交流電圧が荷電される。
【0102】
水冷プレート8は、アース電位に接続することで、コイルばね12自体が沿面電極となり、ガラス基板9上に沿面放電14が発生する。
【0103】
また、これと同時に、金属電極17と水冷プレート8との間でも、ガラス基板9を介して直接、体積放電も発生する。
【0104】
この体積放電の場合でも、均一に空間全体に放電がつくわけではなく、ガラス基板9近くの放電が最も強くオゾンを発生する。
【0105】
このガラス基板9上の放電は、沿面放電であると言われている。
【0106】
いずれの場合にも、ガラス基板9上が強いオゾン発生源となるため、ガラス基板9の冷却が重要である。
【0107】
この点、本実施の形態では、誘電体であるガラス基板9を、コイルばね12によって直接、水冷プレート8に密着させていることにより、コイルばね12がガラス基板9を水冷プレート8に押さえつけて密着することで、熱伝達がよくなる。
【0108】
その結果、安定した放電特性が得られると同時に、放電領域と誘電体であるガラス基板9表面との間隔が最短になるため、簡便な構造でかつ高い冷却性能を確保することができ、高濃度のオゾンを発生することができる。
【0109】
上述したように、本実施の形態によるオゾン発生装置では、高濃度のオゾンを発生することができ、しかも従来の体積放電型オゾン発生装置よりもコンパクトでかつ安価なオゾン発生装置を得ることが可能となる。
【0110】
また、コイルばね12を金属電極17によって保持し、簡単な構成で、均一な放電と高い冷却性能を得ることが可能となる。
(第6の実施の形態)
図11は、本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置の構成例を示す分解斜視図であり、図1および図2と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
本実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置は、図11に示すように、前述した第1または第2の実施の形態による沿面放電型のオゾン発生装置において、誘電体であるガラス基板9を、対をなす電極の一方の表面に設置し、かつ他方が金属電極である沿面電極18であり、当該沿面電極18に冷却構造を付与せず、かつ高電圧を印加するようにしている。
【0111】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるオゾン発生装置においては、電源5から交流電圧が印加されると、金属枠13を介してコイルばね12に、交流電圧が荷電される。
【0112】
コイルばね12は、沿面電極18を水冷プレート8に押さえつけ、ガラス基板9上に沿面放電14が発生する。
【0113】
この場合、誘電体であるガラス基板9を、コイルばね12によって直接、水冷プレート8に密着させていることにより、コイルばね12がガラス基板9を水冷プレート8に押さえつけて密着することで、熱伝達がよくなる。
【0114】
その結果、安定した放電特性が得られると同時に、放電領域と誘電体であるガラス基板9表面との間隔が最短になるため、高い冷却性能を確保することができ、高濃度のオゾンを発生することができる。
【0115】
上述したように、本実施の形態によるオゾン発生装置では、高濃度のオゾンを発生することができ、しかも従来の体積放電型オゾン発生装置よりもコンパクトでかつ安価なオゾン発生装置を得ることが可能となる。
【0116】
また、金属電極である沿面電極18に冷却構造を付与せず、かつ高電圧を印加して、冷却装置に高電圧が印加される恐れをなくし、信頼性を向上することができるオゾン発生装置を得ることが可能となる。
【0117】
(第7の実施の形態)
本実施の形態では、前述した第1乃至第6の実施の形態のうちいずれかの実施の形態のオゾン発生装置により生成されるオゾンを用いて、浄水処理システムを構成している。
以上のように構成した本実施の形態による浄水処理システムにおいては、前述した実施の形態のオゾン発生装置により生成されるオゾンを用いていることにより、浄水処理システムを安価に運営することが可能となり、かつ高い処理能力を与えることが可能となる。
(第8の実施の形態)
本実施の形態では、前述した第1乃至第6の実施の形態のうちいずれかの実施の形態のオゾン発生装置により生成されるオゾンを用いて、ガス浄化システムを構成している。
以上のように構成した本実施の形態によるガス浄化システムにおいては、前述した実施の形態のオゾン発生装置により生成されるオゾンを用いていることにより、ガス浄化システムを安価に運営することが可能となり、かつ高い処理能力を与えることが可能となる。
(第9の実施の形態)
本実施の形態では、前述した第1乃至第6の実施の形態のうちいずれかの実施の形態のオゾン発生装置により生成されるオゾンを用いて、化学プラントを構成している。
以上のように構成した本実施の形態による化学プラントにおいては、前述した実施の形態のオゾン発生装置により生成されるオゾンを用いていることにより、化学プラントを安価に運営することが可能となり、かつ高い処理能力を与えることが可能となる。
(その他の実施の形態)
尚、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。
例えば、前記各実施の形態では、コイル状の弾性部材として、コイルばねを用いた場合について説明したが、その他の部材を用いるようにしてもよい。
また、各実施の形態は可能な限り適宜組合わせて実施してもよく、その場合には組合わせた作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより、種々の発明を抽出することができる。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、誘電体表面で放電を発生する沿面放電型あるいは共面放電型のオゾン発生装置において、高濃度のオゾンを発生することができ、しかも従来の体積放電型よりもコンパクトでかつ安価なオゾン発生装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるオゾン発生装置の第1の実施の形態を示す分解斜視図。
【図2】本発明によるオゾン発生装置の第1の実施の形態を示す断面図。
【図3】同第1の実施の形態によるオゾン発生装置における電極部の構成例を示す拡大図。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるオゾン発生装置における電極部の構成例を示す拡大図。
【図5】本発明の第3の実施の形態によるオゾン発生装置のパラメータの効果を説明するための関係図。
【図6】本発明の第3の実施の形態によるオゾン発生装置のパラメータの効果を説明するための関係図。
【図7】本発明の第3の実施の形態によるオゾン発生装置のパラメータの効果を説明するための関係図。
【図8】本発明の第3の実施の形態によるオゾン発生装置のパラメータの効果を説明するための関係図。
【図9】本発明によるオゾン発生装置の第5の実施の形態を示す分解斜視図。
【図10】本発明によるオゾン発生装置の第5の実施の形態を示す断面図。
【図11】本発明によるオゾン発生装置の第6の実施の形態を示す分解斜視図。
【図12】従来の同軸円筒型オゾン発生装置の構成例を示す概要図。
【符号の説明】
5…電源
7…スペーサ
8…水冷プレート
9…ガラス基板
10…冷却水入口
11…冷却水出口
12…コイルばね
13…金属枠
14…沿面放電
15a、15b…電極
16…誘電体層
17…金属電極
18…沿面電極。
Claims (4)
- 金属プレートの少なくとも一方の表面に誘電体を設置し、かつ当該誘電体を設置した金属プレートに冷却機構を備えて構成され、前記誘電体を介して電圧を印加して誘電体表面に放電を発生させ、オゾン原料ガスからオゾンを生成するオゾン発生装置において、
前記誘電体を、コイル状の弾性部材によって直接、前記金属プレートに密着させるようにし、
前記誘電体の裏面である金属プレートとの接触面に、導電性材料を蒸着あるいは塗布するようにした
ことを特徴とするオゾン発生装置。 - 前記請求項1に記載のオゾン発生装置において、
前記誘電体を、対をなす電極の一方の表面に設置し、かつ他方が金属電極であり、当該金属電極に冷却構造を付与せず、かつ高電圧を印加するようにした
ことを特徴とするオゾン発生装置。 - 前記請求項1に記載のオゾン発生装置において、
前記誘電体の外周部が、当該誘電体を設置した金属プレートの外周部よりも大きくなるようにした
ことを特徴とするオゾン発生装置。 - 前記請求項1に記載のオゾン発生装置において、
前記誘電体と誘電体との間隙長を一定にするスペーサを備えた
ことを特徴とするオゾン発生装置。
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