JP3983872B2 - 自動分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨床医学、生物学等の各種分野において種々の検査を実施するために使用する自動分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の自動分析装置において、試料と試薬といった分析用液体を反応させる反応容器は容器保持部、ここでは反応ディスクに保持され、さらに反応容器内の反応液を反応に適した温度にしつつ反応させるために、例えば液体又は気体を用いた恒温槽を備え、容器保持部を恒温化するようにしていた。しかし、外部より反応ディスクに侵入する熱や外部環境温度の影響で、各反応容器の温度に違いが出たり、所望の反応温度にならない等、正確な温度管理は難しいものであった。この場合、外部より侵入する熱としては反応容器内を洗浄する洗浄液や反応容器内に注入する試料や試薬によるものが主であり、これらが反応容器内に収容されている反応液の温度に変化を与える影響は大きいものであった。
【0003】
そこで、従来は、試薬分注機構により分注される試薬の熱による影響を避けるために分注する試薬を反応温度近くまで予備加熱しておくとか、試薬分注用プローブに加温部を設定しておき、例えば電熱線又はヒーターを設け、吐出する時の試薬を加熱して温度を高め、又、反応容器を洗浄する洗浄水の加熱で反応温度を安定させる等の対策が考えられていた。
【0004】
他には、試料や試薬の吐出温度は低いままで、反応温度を一定に保持するために予め反応容器と反応ディスクの方の温度を、反応温度より高くなるように制御し、試料や試薬の分注により熱容量のバランスをとりつつ所定の反応温度に安定させる対応策も考えられる。通常は、反応槽内部の温度を反応容器内に収容される反応液へ熱の移動があることを考慮して、反応に適した温度より若干高めの温度に設定し制御することが行なわれている。
【0005】
しかし、いずれの対策でも吐出時の温度を反応温度に制御して短時間で分注することは実際上困難である上に、その際には高精度で複雑な温度検出装置や加温装置等が必要となる。
【0006】
また、反応ディスクに保持されている反応容器列には空きの反応容器が発生する場合がある。例えば、反応ディスク2で行なうのとは別な分析項目の測定装置、例えば電解質測定装置を備えた自動分析装置の場合、次のようにして、空きの容器(反応容器)が発生する。
【0007】
つまり、反応ディスクは反応容器を保持した状態で間欠的に回転する。ここで、電解質測定装置による測定を行う場合、試料側の分注装置は、反応容器への分注を行なう事なく、電解質測定装置側に試料を分注する。試料が分注されなかった反応容器は間欠的に常に回っているため、反応容器は空のまま試薬側の分注位置へ移動するが、試料が入っていない空のものであるために試薬の分注を行なわない制御を行う。一方、電解質測定装置側はというと、測定用の試料の分注が行なわれた後、さらに水を分注して電解質測定が行なわれる。以上のようにして反応ディスクで間欠的に搬送される反応容器には空きの容器が発生する事になる。
【0008】
このように分析中の反応容器列反応領域の中に空きの反応容器が発生すると、前述したような各対策の有無に拘らず、それに隣り合う反応容器の反応液の反応温度が変わり易い、すなわち、恒温槽内の液体又は気体の温度が突発的且つ不規則なタイミングで変動し易くなり、反応容器を連続して使用した場合の反応液の反応温度にも変動が生じ、分析データの正確性に劣るという事態が起こる。また、通常の自動分析装置による分析において、例えば、オペレータが装置本体にラックをセットする際のセットタイミング等が要因となり、空きの容器が発生していた。また、緊急検査などの1検体1項目の分析のみを実施する場合と、多数の検体を連続して分析を実施する場合とでも反応温度に差が発生し易く、分析データの正確性に劣るという事態が生じる。さらに、連続で分析を実施した分析の先頭側の反応容器と、分析中間の反応容器と、分析の最終位置での反応容器の反応期間中の温度にも差が出やすく、分析データの正確性に劣るものであった。
【0009】
以上の如く、分析中、反応容器列の中に空きの反応容器が多い場合と少ない場合とでは外部より侵入する熱や外部環境温度の影響で、反応ディスクにおける各反応容器の反応期間中の温度が変化し易く、この反応温度にも影響を与えるため、反応温度を常に均一に保つことは困難なものであった。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて成されたもので、装置自体の構成を大きく変更する事なく、使用する容器の数や分注量等の条件が異なる場合でも、容器内の反応温度を一定に保ち、信頼性の高い分析データを得る事ができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、分析用液体を収容するための複数の容器を保持し、該容器を間欠的に移動させる容器保持部と、前記容器保持部の容器を温めておく恒温手段と、前記容器内に分析用液体又は温度制御用液体を分注する分注手段と、分析中に前記容器保持部に保持した容器に分析用液体が収容されない空となる予定の容器が生じる場合、試料分注位置に該空の容器が移動する以前に該空の容器に対して選択的に前記分注手段により温度制御用液体を分注する制御を行う制御部とを具備したことを特徴とする自動分析装置である。
本発明は、前記分注手段が、分注する液体に応じて夫々別体に備えていることを特徴とするものである。
本発明は、前記制御部が、空の容器への前記温度制御用液体の分注回数を可変制御することを特徴とするものである。
本発明は、前記制御部が、空の容器への前記温度制御用液体の分注量を可変制御することを特徴とするものである。
そして、実際に分析に使用する反応容器の前の反応容器に1個以上分注するもの、分析終了後も複数の空の反応容器に液を分注するもの、分析途中の反応容器に空きが発生した場合にその反応容器に液を分注するもののいずれも含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して本発明の第1実施形態に係わる自動分析装置を説明する。図1はその自動分析装置の構成を概略的に示す斜視図、図2はその自動分析装置の分注装置部の構成の概略的な説明図である。
【0013】
図1中、1は装置本体であり、この装置本体1には以下のような種々の機構部が組み込まれている。装置本体1の中央部位には反応容器4を複数保持する容器保持部としての反応ディスク(テーブル)2を有した反応部3が配置されており、反応ディスク2は図示しない駆動装置により一定周期で反時計方向へ間欠的に回転するように駆動される。この反応ディスク2には同一円周上に位置して複数の反応容器4が保持されている。この反応ディスク2は恒温槽5で囲まれ、反応ディスク2と反応容器4はその恒温槽5により一定の温度に保たれるようになっている。なお、ここで使用する恒温槽5としては、反応ディスク2及び反応容器4の温度を一定に保つ手段として、温水を用いたウォーターバス方式を採用したが、これに限られるものではなく、例えば、温めた空気を用いるドライバス方式を用いる事もできる。
【0014】
また、この自動分析装置は反応ディスク2の一周部に隣接して反応容器用洗浄機構部6と電解質測定装置53と図示しない分析測定部とが設けられている。洗浄機構部6はノズル7を有し、このノズル7により反応終了後の反応容器4内の反応液を吸引して除去したのちの反応容器4内に洗浄液を注入してその反応容器4内の洗浄を行うものである。また、この洗浄機構部6は反応容器4内に注入された後述する押出し液の除去も行うようになっている。反応液等の吸引は図示しない吸引ポンプによって行われ、洗浄液の注入は図示しない洗浄液ポンプによって行われる。尚、反応ディスク2上にある各反応容器4の位置はそれぞれ制御装置の記憶部に記憶されている。
【0015】
反応ディスク2の片方側部位には試料収納部(収納サンプラー)10が配置されている。この試料収納部10は複数の試料容器11を装填したラック12が設けられている。各試料容器11には分析用液体としての試料が収納されている。分析対象となる試料としては、採取された血液(適宜分離された血清等の成分を含む)、尿、細胞可溶化溶液、糞便溶解液、培養細胞液等を含むものである。ラック12は前述した反応ディスク2の場合と同様、図示しない移動装置により矢印aの方向に一定周期で間欠的に移動させられるようになっている。尚、本装置では試料収納部10における試料容器11の位置、すなわち各種試料に対応した試薬の分注が行なえるように試料に関する位置情報について、事前に制御装置の記憶部に記憶しておくようにする。
【0016】
反応ディスク2と試料収納部10の間の位置には分注手段としての試料分注機構15が設けられている。試料分注機構15は回動腕16とこの回動腕16の回動先端から垂下するように吊持された試料分注プローブ(分注ピペットノズル)17を有してなり、回動腕16は図示しない駆動装置により双方向への回動及び上下への昇降がなされるように操作させられるようになっている。そして、試料分注プローブ17は反応ディスク2上の試料分注位置と試料収納部10上の採取位置とを両端の終端位置として双方向へ回動し得ると共に、試料分注位置と試料収納部10との間に位置する電解質測定装置53の位置に位置決めし得、さらに、昇降動作がなされ得るようになっている。試料分注プローブ17の回動軌跡上には図示しない分注プローブ用洗浄部またはノズルチップ交換部が設けられている。
【0017】
反応ディスク2の他方側部位には試薬収納部20が配置されている。この試薬収納部20には2つの試薬テーブル(試薬トレイ)21,22が並べて設けられている。各試薬テーブル21,22はここではいずれも円盤状のものからなり、これらの試薬テーブル21,22には分析用液体としてそれぞれ要求される分析項目に必要な試薬が個別的に収納された複数の試薬容器23,24が装填される。尚、第2の試薬テーブル22に装填される試薬容器24には、第1の試薬テーブル21側の試薬と組合わせて使用される試薬が収容されており、第2の試薬だけで試料と反応させる試薬は収容しないようにしておくと共に、第1の試薬テーブル21に装填される試薬容器23には、試料と反応させるために単独で使用することができる試薬と第2の試薬と組合わせて使用するための試薬とが収容されているようにする。この各試薬容器23,24は図示しない冷却器で一定の温度で保冷されている。試薬テーブル21,22も前述した反応ディスク2の場合と同様、図示しない駆動装置により移動させられるようになっている。この試薬収納部20における各試薬容器23,24の位置情報及び試薬の種類に関する情報もそれぞれ制御装置の記憶部に記憶しておくようにする。
【0018】
第1の試薬テーブル21と反応ディスク2との間の位置には分注手段としての第1の試薬分注機構25が設けられている。また、第2の試薬テーブル22と反応ディスク2との間の位置にも分注手段としての第2の試薬分注機構26が設けられている。試料分注機構15と各試薬分注機構25,26の両者も機構的に同様な構成のものであるため、それらの構成について図2を参照して統一的に説明する。各試薬分注機構25,26は回動アーム31と、この回動アーム31の回動先端から垂下するように吊持された分注プローブ32を有し、回動アーム31は駆動装置33により回動及び昇降動作を行う。
【0019】
そして、第1の試薬分注機構25はその分注プローブ32を反応ディスク2上の分注位置と第1の試薬テーブル21上の試薬吸引位置を含むように双方向へ回動すると共に、各位置での分注プローブ32の昇降を行うようになっている。また、第2の試薬分注機構26はその分注プローブ32を反応ディスク2上の分注位置と第2の試薬テーブル22上の試薬吸引位置を含むように双方向へ回動すると共に、各位置での分注プローブ32の昇降を行うようになっている。
【0020】
また、各試薬分注機構25,26における分注プローブ32の回転軌跡上には使用した分注プローブ32を洗浄する分注プローブ洗浄部(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0021】
さらに、前記装置本体1には前述した各分注機構における分注プローブに、それぞれ個別に連結される複数の分注器が設けられている。つまり、第1の試薬分注機構25の分注プローブ32に連結される第1の分注器41と、第2の試薬分注機構26の分注プローブ32に連結される第2の分注器42と、前記試料分注機構15の試料分注プローブ17に連結される第3の分注器43とが設けられている。
【0022】
そして、各分注器41,42,43は対応する分注プローブ17,32にそれぞれ個別的に通じるチューブ44を介して接続されている。ここでの各分注器41,42,43はそれぞれ図2で示すように構成される。すなわち、シリンダ46とピストン47によって構成されている。ピストン47は図示しない駆動手段と制御手段とによって分注量等が操作される。また、シリンダ46には電磁弁からなる注入弁48及び吐出ポンプ49を介して液体容器50が接続されている。液体容器50には押出し液が収納されている。この押出し液としてはイオン交換水や脱気水または洗剤液、油等が用いられる。
【0023】
前記装置本体1にはキーボード51が付設されている。このキーボード51は要求される各分析項目に応じて、試料分注量、試薬分注量、後述する温度制御用液体としての押出し液の分注回数及び分注量、測定波長、濃度換算係数等の分析条件を、装置本体1内に組み込んだ図示しないCPUに、予め記憶させるための入力装置である。さらに、前記装置本体1には要求された各分析項目に応じた分析条件と、その分析条件に応じて分析動作を制御する図示しない制御装置が設けられており、この制御装置は前記CPUから分析項目と分析条件を読み出して分析操作を制御するようになっている。さらに、装置本体1には前記キーボード51による入力情報や分析データ等を表示させるためのCRT52や図示しないプリンターが付設されている。
【0024】
次に、この自動分析装置の分析処理手順を説明する。まず、オペレータがキーボード51を使って所望の分注項目や条件を入力すると共に、ラック12に分注すべき試料を収容した試料容器11をセットした上で、装置本体1の所定の試料供給位置にラック12をセットし、スタートボタンをオンして分析をスタートさせる。すると、制御装置が、分注プローブ17,32を、分注プローブ洗浄部の洗浄位置に位置させた状態で、注入弁48を開いて吐出ポンプ49を動作させ、分注器41,42,43のシリンダ46の空間部を通りチューブ44を通じて各分注プローブ17,32に押出し液を送り込み、該分注プローブ17,32内を押出し液で満たした後に、注入弁48を閉じるといった制御を行なう。この状態で、分注器41,42,43のピストン47を図示しない駆動手段で操作すれば、各分注プローブ17,32の先端ノズル部分に分析用液体としての試料や試薬を吸引することができると共に、反応容器4に対して、所定量の試料や試薬を吐出することができる。つまり、ピストン47を引く駆動制御をすれば、試料や試薬の吸引がなされ、ピストン47を押し込む駆動制御をすれば、吸引した試料や試薬を吐出させることができる。このように押出し液による吸引圧または吐出圧を加えて分注プローブ17,32の先端から試料や試薬の吸引または吐出を行うことができる状態で待機する。尚、ピストン47の引き込み量と押し込み量については、制御装置により、分注量に応じた制御が行なわれる。
【0025】
また、押出し液を温度制御用液体としても分注するために使用する分注器41,42,43の全部または一部の、例えば第1の分注器41とする場合にあっては吐出ポンプ49を動作させると同時にピストン47を引き込み、シリンダ46内に押出し液を取り込む。尚、装置本体1の起動時は、恒温槽5内の温度の変動を小さくするために、分析前の反応容器4の数個について、予め押出し液を収容した状態で反応ディスク2を待機させておくようにしておく。
【0026】
一方、反応部3では、反応ディスク2が、図示しない駆動装置により間欠的に回転駆動され、分析に使用する特定の反応容器4が、第1の分注機構25による第1の試薬分注位置Pr1 と、第2の試薬分注機構26による第2の試薬分注位置Pr2 と、試料分注機構15による試料分注位置Psに順次停止するように間欠的に回動する。
【0027】
そして、この実施形態では反応ディスク2上の反応容器4が第1の試薬分注機構25による第1の試薬分注位置Pr1 にきたときに限り、その第1の試薬分注機構25により押出し液を、その反応容器4に所定量分注する。これにより、押出し液の分注回数の設定は、1回に固定される。この動作を2周期実施する。
【0028】
この後、3周期目から分析項目、分析条件に応じた試薬と試料を分析に使用する反応容器4に分注する制御が行なわれる。
詳述すると、不図示の記憶部に記憶されている試料に関する情報を基に、該試料で行なう分析に応じた試薬を、第1の試薬テーブル21から選択し、反応ディスク2上の反応容器4に分注する制御が行なわれる。その際の第1の試薬分注機構25は、分注プローブ32で第1の試薬テーブル21に保持されている試薬容器23から第1の試薬を選択吸引し、吸引した第1の試薬を反応ディスク2に保持されている反応容器4に所定量分注する。尚、第2の試薬分注機構26については、第1の試薬と組合わせて使用する場合を除き、第1の試薬とだけの反応を行なわせる場合や後述する押出し液の分注が行なわれた場合には、分注動作を行なわないように設定しておく。
【0029】
次いで、第1の試薬を収容した反応容器4が試料分注位置Psに位置すると、試料分注機構15は、分注プローブ17により試料収納部10の試料容器11から試料を吸引し、吸引した試料を試料分注位置Psに位置する反応容器4に所定量分注する制御が行なわれる。
【0030】
仮に、記憶部に記憶されている試料が第1と第2の試薬を組合わせて分析を行なうものである場合、第1の試薬と試料とを反応させた反応液に対して、さらに第2の試薬を分注するために、第2の試薬分注機構26は、分注用プローブ32で第2の試薬テーブル22に保持されている試薬容器24から対応する第2の試薬を選択吸引し、吸引した第2の試薬を反応ディスク2に保持されている反応容器4に所定量分注する制御が行なわれる。
【0031】
また、分注プローブ17の回動軌跡上に配置されている反応ディスク2の反応容器4を使用しない電解質測定装置53の分析を行なう場合、その項目に該当する試料が電解質測定に用いられる。このとき、反応ディスク2上に使用しない空の反応容器4が発生することになる。そのため、空となる予定の反応容器4に対しては第1の試薬分注機構25で分注すべき液体を別の試薬から押出し液となるように選択的に切換えることにより試料分注位置Psに反応容器4が移動する以前に押出し液を温度制御用液体として所定量分注する制御を行なう。このような制御が電解質測定の分析を受け付けた周期分、実施される。空の反応容器4への押出し液の分注は第1の試薬分注機構25以外の第2の試薬分注機構26を用いて行なうようにすることも可能である。
【0032】
このような手順で制御することにより、反応ディスク2上の所定領域全ての反応容器4内には試薬及び試料といった分析用液体または温度制御用液体である押出し液が分注されることになる。反応液を作成した反応容器4は反応ディスク2により搬送される間、恒温槽5で反応に適した反応温度に加温した状態で所定時間経過させ、不図示の測定位置に搬送されると、その反応容器4内の反応液は依頼された分析項目に応じた所定の波長で吸光度の変化等の測定が行なわれる。この測定値と分析項目に応じた濃度換算係数によって分析データを算出し、プリンターから分析データを出力する。さらにCRT52に表示して分析結果をモニターするようにする。
【0033】
このように分析動作中での電解質測定により、試料の分注が行なわれず、空きが生じる予定の反応容器に対して、第1の試薬分注機構25(第1分注器41)によって押出し液を温度制御用液体として所定量分注しておくことができる。尚、押出し液に関する分注量と温度との関係は、試料及び/又は試薬を分注した時の恒温槽内での温度変化に類似する変化が生じるように設定する必要がある。そのため、分注量の制御と共に、押出し液の温度もコントロールできるようにしてあることが望ましい。押出し液の温度をコントロールする手段としては、例えば分注機構の押出し液の流路近傍や液体容器に不図示のヒーターや電熱線等を備える手段等がある。また、温度制御用液体を分注する分注機構は、第1の試薬分注機構に限られるものではなく、第2の試薬分注機構や試料分注機構であってもよい。
【0034】
以上の操作により、少なくとも反応ディスク2の反応領域には空きの反応容器を生じることがなく試薬と試料とによる反応液、または押出し液のいずれかが満たされているため、各反応容器4の前後の反応容器4間では熱の影響を互いに受けることなく、常に反応液を反応に適した温度で反応させることができるので、信頼性の高い分析データを得ることができる。尚、分析動作終了後に押出し液が分注されている反応容器4の数については、恒温槽内の温度の変動が起こらない程度分注してあるのが好ましく、最低でも反応ディスク2に保持されている全反応容器4の約1/3に第1の試薬分注機構25による押出し液が分注されていることが望ましい。
【0035】
分析が終了すると反応容器4はその反応容器4を洗浄する反応容器用洗浄機構部6に移送されて洗浄され、繰り返し分析に使用される。
この例では温度制御用液体としての押出し液による分注量と分注回数は固定しているが、たとえば、反応液の量が分析条件によって変わる場合、反応容器4内の反応液の熱交換量が変動することになる。そのため、このような場合を改善をする実施形態として、分析条件の情報を予め、CPUに記憶させておくことで、このデータを利用して、ピストン47の制御により押出し液の量を変えるか、押出し液を分注する分注機構としての第2の試薬分注機構26も選択的に追加制御して分注の回数を変えれば、分析条件による変動も抑える事ができる。
【0036】
また、環境温度変化により、恒温槽5の制御温度が変化したり、試料、試薬の分注温度の差で温度データが変動する場合を改善する実施形態として、環境変動による影響を防止するため、装置本体1の内部の温度をモニターする図示しないセンサーを付加し、装置の温度変動による温度変化のデータを、予めCPUに記憶させておくことで、このデータを利用して、上述したように押出し液の量と分注の回数を変えれば、環境変動による変化量を抑える事ができる。
【0037】
以上の如く、分析中、反応容器4列の中に空きの反応容器4が生じるような場合、各反応容器間での温度差を小さくすることができ、反応温度を常に均一に保つことが可能となり、信頼性の高い分析データを得ることができる。また、試薬等を予備加熱して分注する方策が必ずしも必要なものではなくなり、その際に必要であった温度検出装置や加温装置等の構成が不要または簡略化することができると共に、安価な自動分析装置を提供することができる。さらに前記各方策を組み合わせて実施することにより反応温度を安定化させることができる。
【0038】
また、押出し液を分注した反応容器に関しては、その後の処理手順を通常通り行なうようにしておき、測定した分析データのみ採用しないように制御したり、分注装置及び/又は測定装置を動作させないように制御することもできる。また、試料の分注されない反応容器に温度制御用液体として、試薬のようなコストのかかる液体を用いることなく、押出し液を用いるようにしているので、コストをかけることなく良好な分析が維持できる。
【0039】
(第2実施形態)
図3を参照して本発明の第2実施形態に係わる自動分析装置を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すと共に、第1実施形態の試料、試薬及び押出し液を用いて説明を省略する。図3はその第2実施形態に係わる自動分析装置を概略的に示す斜視図である。
【0040】
この第2実施形態では第1の試薬分注機構25における分注プローブ32の軌跡上に、プローブ洗浄槽60と、反応部3の恒温槽5の一部に位置して試料が分注されないで空の反応容器4となる反応容器4に分注を行なうための第1の温度制御用液体として例えばイオン交換水を収容した第1の液容器61とを配置するスペース62を設ける。第1の液容器61内のイオン交換水の温度は恒温槽5の制御温度とほぼ等しくする。また、第1の試薬テーブル21には試料が分注されないで空の反応容器4となる反応容器4に分注を行なうための第2の温度制御用液体として例えばイオン交換水を収容した第2の液容器63を配置するようにした。第2の液容器63内のイオン交換水の温度は図示しない冷却器の制御温度とほぼ等しくする。その他は前述した第1実施形態のものと同様である。
【0041】
このような構造により装置内部の図示しないセンサーで装置の温度変動による温度変化のデータを予めCPUに記憶させておき、分注プローブ32による押出し液を温度制御用液体として使用するか、恒温化された第1の液容器61のイオン交換液を温度制御用液体として使用するか、第1の試薬テーブル21の第2の液容器63のイオン交換液を温度制御用液体として使用するかを、制御装置のCPUで選択して、前記同様、試料が分注されることなく空の反応容器4となる反応容器4に分注する制御を行う。
さらに、分注プローブ32による押出し液、第1の液容器61の恒温化されたイオン交換液、第2の液容器63のイオン交換液の選択と、それらの分注の回数、量の制御で、空となる予定の反応容器4に分注を行い、温度制御を行うようにしても良い。
【0042】
尚、別の実施形態として、前記分注プローブの代わりに専用の吐出ノズルと専用の図示しない分注器を持ち、分注量、温度コントロール、分注回数を制御して、空となる予定の反応容器に分注するようにしてもよい。
【0043】
尚、本発明は前記各実施形態のものに限定されるものではなく、前述した各実施形態の事項を組み合わせた形態のものを含むものである。
また、上述した実施形態では、反応ディスク2で行なうのとは別な分析項目として電解質測定についてのみ説明を行なったが、それ以外の項目であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、試料収納部10における試料容器11の位置について、事前に制御装置の記憶部に記憶するようにしていたが、例えば各種試料に関する情報を予めバーコード化し印刷したもの、例えばシールを各試料容器11に貼り付けておき、試料の採取位置に試料容器11が移動してくる前、例えば数個前、好ましくは試料容器7〜8個程度前にバーコードリーダーにより試料に関する情報を読み取り、その読み取った情報を基に制御装置が反応ディスク2で行なう分析であるか、そうでないかを判別するようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、反応容器に試薬を先に分注しておき、試薬を収容した反応容器に試料を分注して反応させる分析装置について説明を行なったが、これに限られるものではなく、例えば試料容器が採取位置にくる少なくとも1個前に上述したバーコードリーダーで試料容器に関する情報を読み取るようにする等変更することで、反応容器に試料を分注した後に試薬を分注して反応させる分析装置にも適用することもできる。
【0046】
また、試料収納部10上の採取位置に移動してくる試料容器11の有無を判別するように、上述したのと同じく試料の採取位置に試料容器11が移動してくる前、例えば数個前、好ましくは試料容器7〜8個程度前に超音波等を用いた試料容器11の有無判別装置を備えることにより、試料が分注されない反応容器4に対して事前に試薬分注位置Pr1 (Pr2 )で押出し液を分注する制御を行なう事ができるので、オペレータが試料容器11をラック12にセットする際等に発生していた空の反応容器4の発生を防止することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、装置自体の構成を大きく変更する事なく、使用する容器の数や分注量等の条件が異なる場合でも、容器内の反応温度を一定に保ち、信頼性の高い分析データを得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係わる自動分析装置を概略的に示す斜視図。
【図2】同第1実施形態に係わる自動分析装置の分注装置部の構成の概略的な説明図。
【図3】第2の実施形態に係わる自動分析装置を概略的に示す斜視図。
【符号の説明】
1…装置本体、2…反応ディスク、4…反応容器、5…恒温槽、6…反応容器用洗浄機構部、10…試料収納部、11…試料容器、12…ラック、15…試料分注機構、16…回動腕、17…試料分注プローブ、20…試薬収納部、21…第1の試薬分注機構、22…第2の試薬分注機構、23…第1の試薬容器、24…第2の試薬容器、25…第1の試薬分注機構、26…第2の試薬分注機構、41,42,43…分注器、44…チューブ、46…シリンダ、47…ピストン、48…注入弁、49…吐出ポンプ、50…液体容器、51…キーボード、52…CRT。
Claims (4)
- 分析用液体を収容するための複数の容器を保持し、該容器を間欠的に移動させる容器保持部と、
前記容器保持部の容器を温めておく恒温手段と、
前記容器内に分析用液体又は温度制御用液体を分注する分注手段と、
分析中に前記容器保持部に保持した容器に分析用液体が収容されない空となる予定の容器が生じる場合、試料分注位置に該空の容器が移動する以前に該空の容器に対して選択的に前記分注手段により温度制御用液体を分注する制御を行う制御部とを具備したことを特徴とする自動分析装置。 - 前記分注手段は、分注する液体に応じて夫々別体に備えていることを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
- 前記制御部は、空の容器への前記温度制御用液体の分注回数を可変制御することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
- 前記制御部は、空の容器への前記温度制御用液体の分注量を可変制御することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
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