JP3983133B2 - クリーンボックスおよび当該ボックスに対する基板のローディング方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、不純物汚染或いはパーティクル等の付着を極力防止することを要するフラットパネルディスプレイ用の基板、半導体用ウエハ等の被搬送物を、窒素雰囲気中等に保持し且つその清浄度を変えることなく移送すること等を可能とするクリーンボックスおよび当該クリーンボックスに対する基板のローディング方法に関する。より詳細には、高純度の窒素等の不活性ガスで封止された状態で、前述の被搬送物を保管、搬送等を行うこと等を可能とするクリーンボックス、および当該ボックスに対しての基板の収納および取りだし方法に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば、半導体用ウエハを収容するクリーンボックスとして、特許第3167970号公報において本出願人が提案する構成のものが挙げられる。当該クリーンボックスは、正面に開口部を有するボックス本体と、当該開口部と対向して開口部の開閉に供せられるドア部とから構成される。また、密閉空間とされるボックス内部の排気および内部への不活性ガス等の供給等を行うポートが、このボックス本体に設けられている。
【0003】
さらに、開口部周囲にはフランジが設けられており、このフランジ部はドア部の外周部と協動して環状の吸着用空間を形成するように構成されている。この吸着用空間は、フランジ部あるいはドア部周囲の内の一方に設けられた環状溝、当該溝と対向する他方における平坦面、およびこの環状溝の内周側と外周側とに配置された二つのOリングとから形成される。
【0004】
これらOリングはフランジ部あるいはドア部周囲の何れに固定されても良く、両者と密着することによって気密用のシールとして作用する。この吸着用空間内部を減圧することによって、大気圧によってドア部外周とフランジ部とを強固に密着させ、クリーンボックス内部の気密性を高めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
クリーンボックスが収容する対象物の一つである半導体用ウエハは、種々の要請からその大径化が進められている。また、半導体用ウエハにおけるこれまでの実績から、当該ボックスを、例えばフラットパネルディスプレイ用の基板に対しても用いようとする試みが進められている。この場合、クリーンボックスは、その構成要素であるボックス本体、開口部およびドア部等、全てが大型化されて用いられることとなる。
【0006】
このような大型化が図られた場合、従来から用いられている吸着用空間は、例えば環状溝の幅あるいは深さに対してする長さの比率が極度に大きくなると思われる。このため、当該空間の排気効率が極端に低下し、当該空間が充分な密着力を示すレベルまでその内部を減圧することが困難となる、あるいはOロングによるシールが不完全なものとなり当該空間から得られる密着力が場所により不均一となる等の状況が生じる恐れがある。
【0007】
また、ドア等の大型化に伴ってその重量も大きくなり、これを所定位置に固定する際に従来より大きな密着力が必要となるが、上述の構成からなる吸着空間によっては充分な大きさの密着力を得ること自体が困難となる場合も考えられる。さらには、加工上、ドア等の大型化に伴って、フランジ部とドア外周部との平坦性を従来のクリーンボックスと同等に保つことが困難となり、密着性を低下させてしまう恐れもある。
【0008】
通常、Oリングはゴム等の弾性体から構成されており、クリーンボックス密閉時にはフランジ部とドア外周部とに挟持され、弾性変形することによってシール性を高め、吸着用空間の密閉性を高めている。しかしながら、特定の方向からのみ負荷がかかった状態で繰り返して使用された場合、Oリングはその程度に差はあるが準塑性的な変形を生じることが多い。このような変形がOリングに生じることによって、クリーンボックスの機密性を保つためにはさらに大きな密着力が必要となる。しかし、上述のように吸着空間が長くなるといった条件が付加された場合、このような更なる密着力の提供はより困難となると考えられる。
【0009】
以上述べたように、従来からある構成からなるクリーンボックスをより大きなサイズの基板に対して用いようとした場合、充分な気密性を保つことが困難となり、従って充分な清浄度を提供することも困難となると思われる。本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、フラットパネルディスプレイ用の基板等大型の基板に対して使用可能であり、且つ充分な気密性を提供し得るクリーン搬送装置としてのクリーンボックス、および当該ボックスに対する基板の収納および取り出し方法の提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るクリーンボックスは、被保持物を特定圧力に保たれた清浄雰囲気下で保持するクリーンボックスであって、被保持物を収容する、特定方向に開口部を有する第1の空間と、第1の空間とは独立して第1の空間の周囲に配置され、開口部の周囲に開口部を有する第2の空間とからなるボックス本体と、第1の空間における開口部および第2の空間における開口部を共に閉鎖するドア部とからなることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係るクリーンボックスは、被保持物を特定圧力に保たれた清浄雰囲気下で保持するクリーンボックスであって、ドア部と、ボックス本体とを有し、ボックス本体は、ボックス本体を画定する外壁と、外壁の内部に配置され、被保持物を収容する第1の空間と、第1の空間を画定し、第1の空間と外壁との間に第2の空間を形成する隔壁とを有し、第1の空間および第2の空間は各々開口部を有し、各々の開口部はドア部によって共に閉鎖されることを特徴としている。なお、当該クリーンボックスにおいては、第2の空間の開口部は、第1の空間の開口部を囲むように存在することが好ましい。
【0012】
また、上述のクリーンボックスにおいては、ドア部にはラッチ機構が設けられ、ボックス本体の第2の空間開口を有する面における第2の空間開口部の外側にラッチ機構を受けるラッチ受け部が配置されることが好ましい。また、ボックス本体の第2の空間開口を有する面における第2の空間開口部の外側に、第2の空間とクリーンボックス外部とを連通させる真空吸引路における開口部が配置され、真空吸引路はその経路中に開閉バルブを有することが好ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るクリーンボックスに対する基板のローディング方法は、被保持物を収納可能であって特定方向に開口部を有する第1の空間と、第1の空間を囲むと共に第1の空間開口部の周囲に開口部を有する第2の空間とからなるボックス本体と、第1および第2の空間各々の開口部を共に閉鎖するドア部とを有するクリーンボックスに被保持物をローディングする方法であって、ドア部を間にして、クリーン搬送装置における第1および第2の空間各々の開口部が存在する特定面をポートエリアと密着させ、ポートエリア内部を第1の所定圧力まで排気し、第2の空間とポートエリアとをドア部以外の部分にて連通させ、ポートエリア内部および第2の空間内部に所定の気体を導入することによって第2の圧力とし、ドア部を所定面に対する密着状態から解放して、第1および第2の空間を開放状態とし、第1の空間内部に被保持物を収納させ、第1および第2の空間をドア部により略閉鎖状態とし、ポートエリア内部および第2の空間内部を第3の所定圧力まで排気し、第2の空間とポートエリアとを独立した空間とし、ポートエリア内部を第2の圧力と略等しい圧力とする工程からなることを特徴としている。
【0014】
なお、当該ローディング方法においては、ポートエリアは、第1の空間に収納予定の被搬送物を予め保持すると共に、被搬送物を第1の空間に収納させる際にドア部が待機する、所定の気体によって第2の圧力に略等しい圧力に予め保持されたロードポートと連通し、ポートエリアを排気する工程、ポートエリア内部および第2の空間内部に所定の気体を導入する工程、およびポートエリア内部を第2の圧力と略等しい圧力とする工程においては、ロードポートとポートエリアとは独立した空間とされていることが好ましい。
【0015】
また、第2の空間内部およびポートエリア内部の圧力調整が施される各工程において、ドア部に設けられたラッチ機構およびクリーンボックスに設けられたラッチ受け部によって、ドア部による第1および第2の空間開口部の略閉鎖状態が保たれ、第1の空間および第2の空間各々開口部からドア部を除去する工程においては、ラッチ機構を介してドア部の移動が為されることが好ましい。
【0016】
【実施例】
本発明に係るクリーンボックス縦断面を側方から見た状態を示す図1を用いて、当該クリーンボックスの構成について説明する。当該クリーンボックス1も、従来と同様ボックス本体3とドア部20とから構成されており、ボックス本体3はドア部10との対向面側に開口部を有している。しかし、本発明に係るボックス本体は、隔壁5によって第1の空間6と、隔壁を挟んでこの第1の空間6の外周部に配置される第2の空間7とに分離されている。
【0017】
従って、本ボックス本体3をドア部方向から見た場合、略中央に配置された第1の空間の開口部6a、当該開口部を規定する隔壁端面5a、隔壁端面を挟んで第1の空間開口部6aを囲む第2の空間の開口部7a、および第2の開口部7aの外周を規定するボックス本体の外壁3aの順で配置されることとなる。すなわち、第1の空間6は隔壁5によってその領域が画定されているといえる。
【0018】
隔壁5のドア部20に面した端面5aには第1のOリング11が配置されており、ドア部20におけるボックス本体との対向面がこの第1のOリング11と密着することにより、第1の空間6の気密性が確保される。第2の空間7の外壁ともなるクリーンボックス外壁におけるドア部20との対向端面3aには第2のOリング12が配置されており、ドア部20におけるボックス本体3との対向面が第1および第2のOリング11、12と密着することにより、第2の空間7の気密性が確保される。
【0019】
第1の空間6は、ガラス基板15等を収容するための収容室として用いられる。また、第2の空間7は、開閉バルブ16および真空吸引路17を介して後述するポートエリアに連通可能となっており、真空室として用いられる。この真空吸引路17は、第2の空間7に対して第2のOリングの外側に設けられており、通常大気と連通している。なお、本実施例においては、第1の空間6の内部に基板支持用の突起15aが設けられており、ガラス基板15等は当該突起によって略一定の間隔を空けて当該空間内部に保持されることとなる。
【0020】
上述の如く、第2の空間7を真空室として用いることによって、非常に大きな密着力によりドア部20を第1のOリング11に対して押し付けることが可能となり、高いシール状態で第1の空間6を密閉することが可能となる。従って、より大きな基板に対応した収容量の大きなクリーンボックスにおいても、確実な気密性を提供することが可能となる。また、排気効率の高い第2の空間7を用いて密着力を得る構成としたことにより、第1の空間の開口部6a外周についてほぼ均等な密着力によって、収容室(第1の空間6)を密閉状態とすることが可能となる。
【0021】
また、本構成においては、収納室6は、大気との間に、体積の大きな真空室7をバッファ層として配置することとなる。このため、仮に第1あるいは第2のOリング11、12にきず等に起因したリーグが生じた場合であって、従来と比較してより長い時間基板等の周囲が清浄な状態に保たれるといった副次的な効果も得られる。
【0022】
なお、ドア部20には、ボックス本体に対する対向面とは逆の面(ドア部表面)20a上に、当該ドア部20の開閉に用いられるラッチ機構25が設けられている。図1においては、クリーンボックス自体の説明を容易なものとするために省いているが、ドア部20の表面20aおよび当該ラッチ機構25を正面から見た図を図2に示し、これについて簡単に説明する。
【0023】
第1および第2の空間の位置関係についての理解を容易なものとするために。図中第1の空間6、隔壁5、第2の空間7各々の境界に対応する部分を点線によって示している。ラッチ機構25は同一軸上において一直線に配置された上部ラッチ25aおよび下部ラッチ25bの一対から構成されており、その配置および駆動方向が各々対称となるだけでその形状は同一となっている。各々のラッチの外側端部には、ボックス本体の開口部周囲に設けられたラッチ受け部18と係合する係合爪27が設けられている。
【0024】
上部および下部のラッチ25a、25bの間には、外部操作機構としてのラッチ駆動軸40が配置され、当該ラッチ駆動軸40には各ラッチをロックおよびアンロックの二位置に駆動するためのここのラッチに対応した駆動用ピン41が二つ設けられている。各々のラッチ25a、25bの内側端部には、ラッチを駆動する際に駆動用ピン41と係合する鈎爪28が設けられている。また、各々のラッチの略中央部にバネ29が配置されており、各ラッチは、これらバネ29によって係合爪27がラッチ受け部18と係合する方向に付勢されている。
【0025】
駆動軸40が回転し、図示の状態となることによって駆動用ピン41は鈎爪28と係合する。駆動軸40が図中矢印Aの方向にさらに回転することによって、各ラッチ駆動用ピン41がバネによる付勢方向とは略逆となる方向にラッチ25a、25bを引っ張り、係合爪27がラッチ受け部18から隔置される。
【0026】
また、駆動軸40が矢印Aとは逆の方向に回転することによって、鈎爪28が駆動用ピン41によって引っ張られた状態から解放され、バネ29の付勢力によって係合爪27がラッチ受け部18と係合することとなる。この係合爪27とラッチ受け部18とが係合状態にある場合には、ドア部20がラッチ機構25を介してボックス本体3の開口部に押し付けられている。当該係合状態が解除されることによって、ボックス本体3とドア部20とが隔置可能な状態となる。
【0027】
次に、図3Aから図3Dを参照して、クリーンボックスとドア部との隔置操作すなわちドア部の開操作について述べる。なお、ここでは空のクリーンボックスに対して基板を収容させる場合について述べる。図は、ドア部開閉機構50と当該機構におけるドア部の開閉位置に配置されたクリーンボックス1およびドア部20を側面から見た場合の概略構成を示すものである。
【0028】
ドア部開閉機構50は、ロード用開口部51aを有する略閉鎖空間であるローポート51と、ロード用開口部51aと連続するポートエリア61とを有している。ロード用開口部51aは、ドア部20が通過可能な大きさを有している。ロードポート51内部には、ロード用開口部51aを閉鎖可能な大きさのポートドア52およびポートドア52を開口部51aに対して接近、隔置するためにポートドア52と接続されたポートドア移動用のシリンダ53が配置されている。
【0029】
ポートドア52の略中央部には、前述のラッチ機構25の駆動に用いられるラッチ駆動軸40がロードポート51の外部、すなわちクリーンボックス1の配置方向に向けて突出するように配置されている。当該駆動軸40には不図示の回転機構が接続されている。また、ポートドア52は、ロードポート51内部側のロード開口部51a外周と接触可能となる大きさを有しており、この接触部分に第4および第5のOリング54、55が配置されている。
【0030】
ポートエリア61は、ロード用開口部51aとは逆側にポート開口部61aが形成されており、当該ポート開口部61aもロード用開口部51aと同様にドア部20が通過可能な大きさを有している。また、ポートエリア61に対しては、窒素供給バルブ62を介して窒素供給系63が、また排気バルブ64を介して不図示の排気系が接続されている。
【0031】
クリーンボックス1は、位置調整機構70によって、ドア部20がロードポート51側に向かい、且つドア部20に設けられたラッチ機構25の中央部とラッチ駆動軸40の先端が一致するようにその保持位置が調整される。この状態を図3Aに示す。
【0032】
保持位置調整後、クリーンボックス1の背後に配置されているクリーンボックス移動用のシリンダ71によって、クリーンボックス1はロードポート51側に移動される。クリーンボックス1の移動は、クリーンボックスのドア部20の外周に配置された第3のOリング13が、ポート開口部61aの位置調整機構側の外周に形成されたOリング受け面に対して略密着状態となったときに停止される。この状態を図3Bに示す。
【0033】
図3Bの状態において、ドア部20、ドア部外周に位置するボックス本体の端部、第3のOリング13、第4のOリング54、およびポートドア52によって、ポートエリア61は密閉空間とされる。なお、この状態において、クリーンボックス1に設けられた真空吸引路17は、ポートエリア61と連通している。また、ラッチ駆動軸40の先端はラッチ機構25の略中心であって、ラッチ機構25を駆動可能な位置に存在することとなる。
【0034】
この状態においてラッチ駆動軸40が回転することによって、駆動用ピン41が鈎爪28と係合する。ラッチ駆動軸40がさらに回転することによって、各ラッチ25a、25bはラッチ機構25の略中央部に引っ張られ、係合爪27がラッチ受け部18から隔置される。この状態を図3Cに示す。
【0035】
なお、この状態では、ポートエリア61には大気圧の空気が存在しているため、この空気にから受ける圧力によって、ドア部20はクリーンボックス本体3に密着している。続いて、排気バルブ64を介してポートエリア61内の排気を行う。この排気操作は、ポートエリア61内部の圧力が第2の空間7内部の所定圧力値と略一致する、第1の所定圧力までは続けられることが好ましい。
【0036】
また、この時、クリーンボックス1に設けられた真空吸引路17内部もポートエリア61と共に排気されることとなる。ポートエリア61内部の排気が終了した後、窒素供給バルブ62を開き、当該バルブ62を介して窒素供給系である窒素タンク63よりポートエリア61内部に窒素が導入される。本実施例において所定の気体として選択された窒素は、ポートエリア61内部が第2の圧力となるまで導入される。
【0037】
さらに、クリーンボックス1に設けられた開閉バルブ16を開くことにより、第2の空間7は真空吸引路17を介してポートエリア61と連通し、第2の空間7内部にも窒素が導入されることとなる。第2の空間7内部が窒素によって満たされ、その内部圧力がポートエリア61内部の圧力とほぼ同一の第2の圧力となることにより、ドア部20に対して周囲の気体より受ける圧力はほぼゼロとなる。その結果、ドア部20をクリーンボックス本体3に対して保持する力はラッチ駆動軸40からによるもののみとなる。
【0038】
図3Dに示す様に、ポートドア移動用のシリンダ53を用いてポートドア52を後退させることにより、ラッチ駆動軸40に保持されたドア部20はポートドア52と共に移動する。なお、当然のことながら、ポートドア52の移動に際しては、ロードポート51内部の空間もポートエリア61内部の空間と同様に窒素によってほぼ同一圧力とされていることを要する。
【0039】
以上の操作によって、クリーンボックス1のドア部20が取り除かれ、クリーンボックス本体3内部への基板15の挿入が可能となる。基板15等の挿入は、ロードポート51内に配置された不図示の基板搬送機構によってなされる。その際、ロードポート51内部およびポートエリア61内部が高純度の窒素ガスによって満たされていることにより、基板収容室である第1の空間6も高純度の窒素により満たされることとなる。
【0040】
基板15の挿入が終了した後、ドア部20を保持したポートドア52が駆動され、ドア部20が第1および第2のOリング6、7と接触したところで、その駆動が停止される。駆動停止後、ラッチ駆動軸40が回転し、鈎爪28が駆動用ピン41から解放され、バネ29の付勢力によって係合爪27がラッチ受け部18に填り、ドア部20はクリーンボックス本体3に対して固定される。
【0041】
この状態で、ポートエリア61に設けられた排気バルブ64を開き、ポートエリア61およびこれと連通状態にある第2の空間7内部の排気を行う。この排気操作は、ポートエリア61内部等が最3の所定圧力となるまで続けられる。なお、その際第1の空間6内部には窒素が満たされているため、これによりドア部20はポートエリア61側に向け圧力を受ける。従って、ラッチ機構25は、この圧力に抗し得るだけの強度を有する必要がある。
【0042】
所定の圧力値までポートエリア61等の排気が為された後、排気バルブ64およびクリーンボックス1側の開閉バルブ16が閉じられる。その後、ポートエリア61に設けられた窒素供給バルブ62を開き、ポートエリア61内が大気圧と略等しい圧力となるまで、窒素を導入する。
【0043】
以上の操作によって、ドア部20はクリーンボックス本体3の開口部3aを完全に閉鎖し、第2の空間7がドア部20を真空吸着することによって、充分な強度を伴って第1および第2の空間6、7を密閉状態とする。また、ポートエリア61が大気圧となることによって、クリーンボックス1はポートエリア61から容易に隔置することが可能となる。なお、基板15の取り出しに際しては、以上に述べた手順を逆に行うことで可能であるため、ここで改めの述べることは省略する。
【0044】
以上の構成からなるドア部開閉機構50を用いることにより、比較的簡便な手順によって、基板収容室6内部の窒素の置換、窒素充填、基板15の収容および取り出しを行うことが可能となる。当該構成は、大型基板向けの搬送技術として特に適しており、装置構成としても安価各安定して動作し得るものとなる。従って、当該基板を用いた製造ラインにおける生産効率の向上にも寄与すると考えられる。
【0045】
なお、本実施例においては、各空間を充填する所定の気体として窒素を用いることとしているが、不活性ガスであれば何れを用いることとしても良い。また、基板の種類あるいは基板に施された処理等に応じて、酸化性ガス等種々の気体を用いることが可能である。
【0046】
また、基板収納時にポートエリア内等を大気圧とすることとしているが、例えば基板収納状態で長時間クリーンボックスを放置することを要する場合には、大気圧よりも高い圧力下で各操作を行い、最終的に基板収容室の内部を大気圧よりも高い圧力とすることが好ましい。さらには、基板収容室である第1の空間に独立した窒素供給系および排気系を設けることとしても良い。
【0047】
また、本実施例において、第2の空間は、ポートエリアと連通させることによって、ポートエリアを介して窒素の導入あるいは排気を行っているが、これを各々個別の窒素供給系および排気系と接続することとしても良い。これにより、第2の空間内部の真空度を高め、ドア部とクリーンボックスとの密着性の向上および第2の空間内部における清浄度の向上を図ることが可能となる。
【0048】
また、本実施例において、第2の空間は、第1の空間における開口を有した面以外の全ての面を囲むように形成されている。しかし、本発明の効果に鑑みた場合、第2の空間は、第1の空間における開口を有した面およびこれと対向する面以外の4面を囲むように形成されても良い。なお、この場合、第1の空間における上記4面各々の接触部と、第2の空間を形成する外壁との間隔を大きくし、この部分の排気抵抗を充分に下げておくことが望ましい。あるいは、必要に応じて開閉バルブ等を複数の位置に設けることとしても良い。
【0049】
また、第2の空間を、略立方体形状の第1の空間における上下に配置し、第2の空間が配置されていない部分の隔壁(外壁と略一致)には第2の空間各々と連通する吸着溝を形成することとしても良い。第2の空間を介して吸着溝内部の排気を良好に行えるため、吸着溝の幅等を従来よりも大きく形成し、当該溝による吸着力を高めることが可能となることから、より大きなドア部に対しても対応することが可能となる。
【0050】
また、本実施例においては、二つのラッチからなるラッチ機構を用いることとした。しかし、本発明はこれに限定されず、以上に述べた基板の収納等の操作においてより強力にドア部を固定する必要があれば、三つあるいはそれ以上のラッチを用いることとしても良い。また、ラッチの形状、あるいはラッチを駆動する方法等も本実施例によって限定されるものではなく、ドア部の固定用式、ドア部の重量等に応じて適宜変更されることが望ましい。
【0051】
【本発明の効果】
本発明に実施により、従来のクリーンボックスと比較して非常に大きな密着力によりドア部を第1のOリングに対して押し付けることが可能となり、高いシール状態で第1の空間を密閉することが可能となる。従って、より大きな基板に対応した収容量の大きなクリーンボックスにおいても、確実な気密性を提供することが可能となる。
【0052】
さらに、本発明によるクリーンボックスに対しては、比較的簡便な手順によって、基板収容室内部の窒素の置換、窒素充填、基板の収容および取り出しを行うことが可能であり、当該基板を用いた生産工程の生産効率を向上させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリーンボックスの断面形状について、これを側方より見た場合の概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係るクリーンボックスについて、ドア部をその正面から見た状態の構成を示す図である。
【図3A】図1および2に示したクリーンボックスに対して基板を収納する場合の手順を示す図である。
【図3B】図1および2に示したクリーンボックスに対して基板を収納する場合の手順を示す図である。
【図3C】図1および2に示したクリーンボックスに対して基板を収納する場合の手順を示す図である。
【図3D】図1および2に示したクリーンボックスに対して基板を収納する場合の手順を示す図である。
【符号の説明】
1:クリーンボックス
3:ボックス本体
5:隔壁
6:第1の空間(基板収容室)
7:第2の空間(真空室)
11:第1のOリング
12:第2のOリング
13:第3のOリング
15:基板
16:開閉バルブ
17:真空吸引路
18:ラッチ受け部
20:ドア部
25:ラッチ機構
27:係合爪
28:鈎爪
29:バネ
40:ラッチ駆動軸
41:駆動用ピン
50:ドア部開閉機構
51:ロードポート
52:ポートドア
53:ポートドア用シリンダ
54:第4のOリング
55:第5のOリング
61:ポートエリア
62:窒素供給バルブ
63:窒素供給系
64:排気バルブ
70:位置調整機構
71:シリンダ
Claims (4)
- 被保持物を特定圧力に保たれた清浄雰囲気下で保持するクリーンボックスであって、
被保持物を収容する、特定方向に開口部を有する第1の空間と、
前記第1の空間とは独立して前記第1の空間の周囲に配置され、前記開口部の周囲に開口部を有する第2の空間とからなるボックス本体と、
前記第1の空間における開口部および前記第2の空間における開口部を共に閉鎖するドア部とからなり、
更に、前記第2の空間を前記クリーンボックスの外部と連通して前記第2の空間内の排気或いは前記第2の空間内への気体の導入を可能とする真空吸引路、および前記真空吸引路の経路中に設けられた開閉バルブを有し、
前記真空吸引路の開口部は、前記ドア部が前記第1の空間開口部および第2の空間開口部を閉鎖した状態にある際に前記クリーンボックスの外部と連通し、
前記真空吸引路の開口部は、前記ボックス本体の前記第2の空間開口を有する面における前記第2の空間開口部の外側に配置され、
前記真空吸引路の開口部は、前記ドア部が前記第1の空間開口部および前記第2の空間開口部を閉鎖した状態であっても、前記被保持物を前記クリーンボックスに対して挿脱する際に前記第1の空間開口部および前記第2の空間開口部が連通される空間と連通可能であることを特徴とするクリーンボックス。 - 被保持物を収納可能であって特定方向に開口部を有する第1の空間と、前記第1の空間を囲むと共に前記第1の空間開口部の周囲に開口部を有する第2の空間とからなるボックス本体と、前記第1の空間開口部および前記第2の空間開口部が形成される前記ボックス本体におけるドア部対向端面に密着して前記第1および第2の空間各々の開口部を共に閉鎖するドア部とを有するクリーンボックスに被保持物をローディングする方法であって、
前記ドア部を間にして、前記クリーン搬送装置における前記第1および第2の空間各々の開口部が存在する特定面をポートエリアと密着させ、
前記ポートエリア内部を第1の所定圧力まで排気し、
前記第2の空間と前記ポートエリアとを前記ドア部以外の部分にて連通させ、
前記ポートエリア内部および前記第2の空間内部に所定の気体を導入することによって第2の圧力とし、
前記ドア部を前記ドア部対向端面に対する密着状態から解放して、前記第1および第2の空間を開放状態とし、
前記第1の空間内部に被保持物を収納させ、
前記第1および第2の空間を前記ドア部により閉鎖状態とし、
前記ポートエリア内部および第2の空間内部を第3の所定圧力まで排気し、
前記第2の空間と前記ポートエリアとを独立した空間とし、
前記ポートエリア内部を前記第2の圧力と等しい圧力とする工程からなることを特徴とする被搬送物のローディング方法。 - 前記ポートエリアは、前記第1の空間に収納予定の被搬送物を予め保持すると共に、被搬送物を前記第1の空間に収納させる際に前記ドア部が待機する、前記所定の気体によって前記第2の圧力に等しい圧力に予め保持されたロードポートと連通し、
前記ポートエリアを排気する工程、前記ポートエリア内部および前記第2の空間内部に所定の気体を導入する工程、および前記ポートエリア内部を前記第2の圧力と等しい圧力とする工程においては、前記ロードポートと前記ポートエリアとは独立した空間とされていることを特徴とする請求項2記載の方法。 - 前記第2の空間内部および前記ポートエリア内部の圧力調整が施される前記各工程において、前記ドア部に設けられたラッチ機構および前記クリーンボックスに設けられたラッチ受け部によって、前記ドア部による前記第1および第2の空間開口部の閉鎖状態が保たれ、
記第1の空間および第2の空間各々開口部から前記ドア部を除去する工程においては、前記ラッチ機構を介して前記ドア部の移動が為されることを特徴とする請求項2記載の方法。
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