JP3983079B2 - 電動レンチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動レンチに関し、ナットの締付作業が終了した際に電動レンチをナット締付作業箇所から容易に取り外すことを可能とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナットの締付作業に用いられる電動レンチとして、モータを収容した本体部と、この本体部に接続されるとともにヘッド開口部を有するヘッド部と、ヘッド部に回転可能に設けられたソケット部とを有する構造が知られている。ソケット部にはソケット開口部が形成され、このソケット開口部に挿通されたナットは、モータを介してソケット部がヘッド内で回転することにより締付トルクを受けることになる。
【0003】
従来の電動レンチでは、締付作業が終了した時点でソケット部は回転を停止することになるため、ナットを収容したソケット開口部がヘッド開口部に臨まない場合が生じ得る。ソケット開口部とヘッド開口部の開口位相が合致しない場合、従来の電動レンチでは、ソケット開口部がヘッド開口部を臨む位置に達するまでモータを逆転駆動しソケット部を回転させて調節していた。この手法によればソケット開口部とヘッド開口部の開口位相を合致させるべく、締付作業が終了する毎にモータの逆転駆動操作を行うという煩雑な作業が必要となり、改良の余地がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、電動レンチにおけるソケット開口部とヘッド開口部の開口位相を容易に調節することができる技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、モータを収容する本体部、モータ駆動制御手段、ヘッド部およびソケットを有する電動レンチが構成される。ヘッド部は本体部に接続されるとともにヘッド開口部が形成されている。ソケットはこのヘッド部に回転可能に設けられている。ヘッド部は本体部に直接接続されてもよいし、モーターの回転を変速して伝達する変速機構を収容したギアハウジング等あるいは他の機能部材を介して間接的に接続されてもよい。また本体部とヘッド部は直線状に接続されてもよいし、交差状に接続されてもよい。
【0006】
ソケットは、ヘッド開口部に臨むソケット開口部を有する。さらにソケットは、モータの駆動によってヘッド部内で回転することによってソケット開口部に挿通されたナットの締付作業を遂行する。典型的には、ヘッド開口部にソケット開口部を臨ませた状態で、換言すればソケット開口部とヘッド開口部の開口位相が合致した状態で、電動レンチ外方からナットをソケット開口部に係合させ、この状態でソケットをヘッド部内で回転させることにより、ナットが締付対象物に締付けられることになる。ヘッド開口部およびソケット開口部は、それぞれナット・締付対象物の挿通および係合を許容する寸法に設定されるのが好ましい。
【0007】
本発明におけるモータ駆動制御手段は、ナット締付作業が終了する場合に、ソケット開口部がヘッド開口部を臨むようにモータの駆動を介してソケットを回動させる。ソケットを回動させてソケット開口部がヘッド開口部を臨むことにより、すなわち両開口部の開口位相が合致することにより、締付作業が終了した際に電動レンチを締付作業部位から容易に取り外すことが可能となる。とりわけ長尺状の締付対象物、例えばパイプ状構造物においてナットの締付作業を行う場合には、両開口部の開口位相が合致する場合にのみ電動レンチを当該締付対象物の径方向に向かって取り外すことができるので有用である。
【0008】
本発明では、ナット締付作業が終了する際に、モータ駆動制御手段がソケットを回動させてソケット開口部がヘッド開口部を臨ませるようにするため、容易にナットないし締付対象物等を電動レンチから取り外すことが可能な状態が得られる。とりわけ本発明では、両開口部の位相合わせを、モータ駆動制御手段によるモータ駆動を通じて行うため、例えば付勢バネや遊動駒等の機械的手段によってソケットを回動する構成に比べ、一層シンプルな構造で両開口部の位相合わせを行うことができ合理的である。なお本発明におけるモータ駆動制御手段に関しては、ナット締付作業をおこなう際のモータ駆動制御部と、作業終了時のソケット回動をおこなう際のモータ駆動制御部とを別に設定してもよいし、ひとつのモータ駆動制御部によって締付作業時の駆動制御と作業終了時のソケット回動制御とを行ってもよい。
【0009】
本発明では、ナット締付作業終了の際の上記ソケット開口部とヘッド開口部の位相合わせは、ナット締付トルクの大きさおよびトリガスイッチの断続状態に基づいて遂行される。具体的には、ナット締付作業が終了することにより、ナット締付トルクが増大し所定の範囲を超える場合に、モータ駆動制御手段がモータの駆動を停止し、これによってソケットの回転が停止する。
次にトリガスイッチの投入が解除される場合、すなわち作業者がトリガスイッチを解除した場合には、モータ駆動制御手段は、モータを再駆動してソケットを回動させ、これによってソケット開口部がヘッド開口部に臨むようにする。これにより電動レンチをナットによる締付作業箇所から取り外すのを容易にすることができる。
【0010】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の電動レンチによれば、請求項1に記載の電動レンチにおいて、モータの回転トルクをソケットに伝達し、ソケットによるナット締付トルクが所定の範囲を超えた場合に、ソケットに対する回転トルクの伝達を遮断するクラッチを有する。そしてモータ駆動制御手段は、クラッチによる回転トルクの伝達が遮断された場合にモータの駆動を停止する。すなわち、請求項2に記載の電動レンチによれば、モータ駆動制御手段は、クラッチの作動を検出し、モータを停止することができる。
【0011】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の電動レンチによれば、モータ駆動制御手段は、回転位置検出手段からの信号に基づいてソケット開口部とヘッド開口部との位相を合致させるので、複雑な機械的構造を設定することなく簡便な手法によってネジ締付作業が終了したソケット開口部をヘッド開口部に臨ませて、ナットないし締付作業対象物を電動レンチから抜き出すことが可能となる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1に、本発明の実施の形態の一例である電動レンチ101の全体構成が示され、図2には電動レンチ101のヘッド部109の詳細な構造を示す部分的断面図、図3には電動レンチ101の模式的な構成を示す底面図が示される。
【0013】
電動レンチ101は、概括的に見て、モータハウジング105とギアハウジング107とを備えた本体部103と、当該本体部103のギアハウジング107側に連接されるとともにヘッド開口部111を有するヘッド部109と、モータハウジング105に着脱自在に接続されるバッテリパック113とを有する。
【0014】
モータハウジング105内には電動レンチ101駆動のためのモータ121が収容されている。モータ121は、バッテリパック113に収容されたバッテリ(便宜上特に図示しない)からの駆動電流を受けて駆動制御手段161によって駆動制御される。モータ121が駆動されると、モータの駆動軸123が回転されるとともに、当該駆動軸123の回転は、遊星歯車125aを主体とする減速機構125およびクラッチ127を経てスピンドル131に伝達される。スピンドル131の回転はベベルギア133,133を経て第1スパーギア(平歯車)135に伝達され、当該スパーギア135を水平面内にて回転させる。
【0015】
図3によく示されるように、ヘッド部109には第1〜第3のスパーギア135,137,139が配置されており、第1のスパーギア135の回転は、第2および第3のスパーギア137,139を経由してソケット141に伝達され、当該ソケット141を水平面内にて回転させる。ソケット141には、ヘッド開口部111に臨む切り欠き状のソケット開口部143が形成されている。ソケット開口部143にはナット151が係脱可能に挿通される。
【0016】
ソケット141は、ヘッド部109内にて回転(自転)可能とされるが、ソケット141の回転に伴い、ソケット開口部143はヘッド開口部111に臨む状態と、臨まない状態とが出現し得る。図3では、ソケット開口部143がヘッド開口部111に臨んだ状態、すなわちソケット開口部143とヘッド開口部111との両開口部143,111の開口位相が合致した状態でソケット141が静止した状態が示される。
【0017】
ソケット141の底面にはソケット141とともに回転するマグネット165が設けられ、このマグネット165に対応してヘッド部109の下部には、ホールIC回路163が配置される(図2参照)。マグネット165およびホールIC回路163は、本発明における「ソケット開口部の回転位置検出手段」の一例に相当する。ホールIC回路163はハーネス163aを介して駆動制御手段161に電気的に接続される。ホールIC回路163は、特に図示しないもののホール素子を主体として構成され、ソケット開口部143がヘッド開口部111を臨んだ際にホールIC回路163の上方に位置するように構成されたマグネット165を検知し、これによってソケット開口部143とホール開口部111との開口位相の合致信号を出力し、ハーネス163aを通じて駆動制御手段に当該合致信号を送る。なおホールIC回路163およびハーネス163aは、アングルヘッドカバー117下部に配列されるとともに回路カバー115に着脱自在に覆蓋される。
【0018】
本実施の形態に係る電動レンチ101は上記のように構成される。次に当該電動レンチ101の作用および使用方法について説明する。なお、本実施の形態における駆動制御手段161によるモータ121の駆動制御手順が図4に示されるが、以下の説明においては、電動レンチ101の操作手順とともに、図4に示す駆動制御手順についても併せて説明する。
【0019】
本実施の形態では、電動レンチ101は、自動車工場において長尺状の自動車用パイプ部材、例えばアンチブレーキロック装置(ABS)用パイプ(以下ABSパイプという)をナット締付によって接合する作業に用いられる。この場合、電動レンチ101のソケット開口部143にナット151を挿通した状態で、図1に示すトリガスイッチ162を作動させる。図4では、ステップS1およびS2がこれに対応する。トリガスイッチ162の作動によってバッテリパック113側から駆動電流が供給され、モータ121は駆動制御手段161を介して駆動される。図4ではステップS2で「Yes」が出力されてステップS3が実行された状態がこれに対応する。
【0020】
モータ121の回転トルクは駆動軸123、減速機構125、クラッチ127、スピンドル131、ベベルギア133、第1スパーギア135、第2および第3スパーギア137,139を経由してソケット141に伝達され、当該ソケット141はヘッド部109内で回転駆動される。ソケット141が回転駆動されることによりソケット開口部143内に挿通されたナット151が回転されてパイプ部材を締付結合する。図4では、モータ121が駆動されつつ、ステップS4で「Yes」と判断されるとともに、ステップS5で「No」と判断され、ステップS4およびS5の手順が繰り返される状態がこれに対応する。
【0021】
ナット151の締付が終了段階に至ると、ナット151の締付トルク(ナット151側からソケット141が受ける締付反動トルク)が増大する。ナット151の締付トルクが所定範囲を超える場合、換言すれば所定の設定トルクを超える場合、モータ121の駆動トルクを伝達しようとする側のクラッチ歯が、当該駆動トルクを受承する側のクラッチ歯に乗り上げる形でクラッチ歯の噛み合い係合が解除される。このようにクラッチ127が作動することにより、モータ121の駆動トルクのソケット141への伝達が遮断される。図4ではステップS5においてクラッチ127作動が検知され「Yes」と判断された状態がこれに該当する。
【0022】
これと同時に、例えばマイクロスイッチ等を用いて、クラッチ歯の係合解除によるクラッチ127の作動を検出した駆動制御手段161は、モータ121の駆動を停止する。図4ではステップS6がこれに対応する。モータ121の駆動が停止されることによってナット151の締付作業が終了する。なおモータ121の駆動停止により、ナット151の締付トルクが解除されるためクラッチ127におけるクラッチ歯は再度噛み合い係合した状態に復帰する。
【0023】
ナット151による締付作業が終了した際、作業者はトリガスイッチ162を作動した状態のまま、電動レンチ101をパイプの長軸方向(ナット151の締付による進行方向)へ移動させて、ソケット開口部143からナット151を抜き出す。このときナット151が抜け出したソケット開口部143内にはパイプ部材が挿通された状態となっている。図4ではステップS7にて「Yes」が出力されるとともに、トリガスイッチ162の解除が検知されるまでステップS7の判断を繰り返す。このときステップS6におけるモータ121の駆動停止状態が維持されている。
【0024】
ソケット開口部143からナット151が抜け出した状態で、作業者はトリガスイッチ162を解除する。図4では、ステップS7にて「No」が出力された状態に相当する。するとトリガスイッチ162が解除された状態で、駆動制御手段161はモータ121を回転駆動し(図4ではステップS8に対応)、ソケット開口部143がヘッド開口部111を臨むように、換言すればソケット開口部143とヘッド開口部111の開口位相が合致するようにソケット141を回転させる。具体的にはソケット141に設置されたマグネット165がホールIC回路163に検出されるまでモータ121を駆動してソケット141を回動する。図4ではステップS10で「No」が出力されてステップS8におけるモータ121の回転駆動が維持されたままの状態でステップS9,S10を繰り返す。
【0025】
マグネット検出信号が出力されると、ソケット開口部143がヘッド開口部111に臨んだものとして(両開口部143,111の開口位相が合致したものとして)モータ121の駆動を停止する。図4では、ステップS10にて「Yes」が出力され、ステップS11にてモータ121の駆動が停止された状態がこれに対応する。これによってソケット開口部141がヘッド開口部111に臨んだ状態にてソケット141が静止する。なおソケット開口部143からナット151が抜け出さない状態でトリガスイッチ162を解除してしまった場合には、再びクラッチ127が作動する。図4では、ステップS9にて「Yes」に進み、ステップS11にてモータ121が停止する。
【0026】
作業者は、ソケット開口部143とヘッド開口部111の開口位相とが合致した状態にて、ソケット開口部143内のパイプ部材を当該ソケット開口部143およびヘッド開口部111を通じて外方に離脱させ、これによって電動レンチ101をパイプ部材から取り外し、ナット締付作業が完了することとなる。
【0027】
本実施の形態によれば、ナット締付作業が終了する際、駆動制御手段161は、トリガスイッチ162の解除に基づいて、ソケット開口部143がヘッド開口部111を臨むようにモータ121を駆動してソケット141を回動させる。これにより締付作業が終了した際にソケット開口部143とヘッド開口部111の開口位相が合致した状態が得られるため、電動レンチ101を作業部位から容易に取り外すことが可能となる。
【0028】
しかも本実施の形態では、ソケット開口部143とヘッド開口部111の開口位相を合致させるのに、作業者がモータ121を逆転させてソケット141を後戻りさせて調節したり、あるいはスパーギア135,137,139に付勢バネや遊動駒等を別途配設することを要せず、単にナット締付作業終了時にトリガスイッチ121の解除を行うだけで駆動制御手段161がモータ121を駆動し、両開口部143,111の開口位相が合致した状態を自動的に得ることができるので、シンプルな構造で実用性の高い電動レンチ101が得られることとなった。
【0029】
なお本発明の趣旨に鑑み、下記のような各種形態が構成可能である。
(形態1)
「請求項1から3のいずれかに記載の電動レンチであって、前記ナット締付作業により自動車用パイプの接合が行われることを特徴とする電動レンチ。」
【0030】
形態1に記載の電動レンチによれば、ナットや当該ナットによる締付対象物等を狭い空間の中でソケット開口部から取り外すことが多い自動車用パイプ接合作業に請求項1から3までの各電動レンチが供されるので、ネジ締付作業を合理的に遂行することが可能となる。
【0031】
(形態2)
「モータを収容する本体部と、前記モータの駆動制御手段と、前記本体部に接続されるとともにヘッド開口部が形成されたヘッド部と、前記ヘッド部に回転可能に設けられたソケットとを有する電動レンチの使用方法であって、
前記モータの駆動によって前記ソケットを前記ヘッド部内で回転させ、これによって前記ソケット開口部に挿通されたナットの締付作業を遂行し、
前記ナット締付作業が終了する場合に、前記モータ駆動制御手段によって前記モータを駆動して前記ソケットを回動させ、これによって前記ソケット開口部を前記ヘッド開口部に臨ませるステップを有することを特徴とする電動レンチの使用方法。」
【0032】
この形態2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明と実質的に同等の構成を有する電動レンチの使用方法の発明が示される。もちろん他の請求項に係る発明の特徴的構成要素を適宜組み合わせた電動レンチの使用方法を構成することも可能である。
【0033】
(形態3)
「形態2に記載の電動レンチの使用方法であって、
前記モータ通電用のトリガスイッチが投入される場合に、前記モータ駆動制御手段が前記モータを駆動し、前記ソケットによるナット締付トルクが所定の範囲を超える場合に前記モータの駆動を停止し、さらに前記トリガスイッチが解除される場合に、前記ソケット開口部が前記ヘッド開口部を臨むように前記モータを再駆動して前記ソケットを回動させるステップを有することを特徴とする電動レンチの使用方法。」
【0034】
形態3に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明と実質的に同等の構成を有する電動レンチの使用方法の発明が示される。もちろん他の請求項に係る発明の特徴的構成要素を適宜組み合わせた電動レンチの使用方法を構成することも可能である。なお当該形態3の具体的な実施形態として下記のような構成例が可能である。
「形態3に記載の電動レンチの使用方法であって、
前記ソケット開口部が前記ヘッド開口部に臨む状態でパイプ接合用のナットを前記ソケット開口部に挿通し、
モータ通電用のトリガスイッチを投入することによって、前記モータ駆動制御手段が前記モータを駆動し、これによって前記ソケットが回転するとともに前記ソケット開口部に挿通されたナットの締付作業が遂行され、
前記ソケットによるナット締付トルクが所定の範囲を超える場合には、前記モータ駆動制御手段は、前記トリガスイッチ投入が維持された状態で前記モータの駆動を停止し、
前記トリガスイッチ投入が維持されつつ前記モータの駆動が停止された状態にて、前記パイプの長軸方向に向かって前記ソケット開口部から前記ナットを離脱させ、
前記ソケット開口部から前記ナットが離脱された状態にて前記トリガスイッチが解除される場合に、前記モータ駆動制御手段は、前記ソケット開口部が前記ヘッド開口部を臨むように前記モータを再駆動して前記ソケットを回動し、これによって前記ソケット開口部から前記パイプを離脱させ、電動レンチを接合済みパイプから取り外すステップを有することを特徴とする電動レンチの使用方法。」
【0035】
かかる具体的適用例によれば、ナットを締め付けることによってパイプの接合作業を行う場合に、ナットの締付作業を効果的に遂行するのみならず、締付作業終了時に電動レンチをパイプ接合箇所から容易に取り外すことが可能な構成が得られるので、ネジ締付作業を合理的に完遂することが可能となる。とりわけこの形態例では、狭小空間での作業を強いられることが多い自動車製造ライン等での使用、例えば自動車におけるABSパイプ等の接合作業を行う場合に有用である。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、電動レンチにおいてソケット開口部とヘッド開口部の開口位相を容易に調節するのに有効な技術が提供されることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る電動レンチの全体構成を示す。
【図2】 本実施の形態に係る電動レンチのヘッド部の詳細な断面構造を示す。
【図3】本実施の形態に係る電動レンチのヘッド部の模式的な底面図を示す。
【図4】 本実施の形態に係る電動レンチの駆動制御手段によるモータの制御手順を示す。
【符号の説明】
101 電動レンチ
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
109 ヘッド部
111 ヘッド開口部
113 バッテリパック
115 回路カバー
117 アングルヘッドカバー
121 モータ
123 モータ駆動軸
125 減速機構
125a 遊星歯車
127 クラッチ
131 スピンドル
133 ベベルギア
135 第1スパーギア
137 第2スパーギア
139 第3スパーギア
141 ソケット
143 ソケット開口部
151 ナット
161 駆動制御手段
163 ホールIC回路
165 マグネット

Claims (3)

  1. モータを収容する本体部と、前記モータの駆動制御手段と、前記本体部に接続されるとともにヘッド開口部が形成されたヘッド部と、前記ヘッド部に回転可能に設けられたソケットとを有し、
    前記ソケットは、前記ヘッド開口部に臨むソケット開口部を有するとともに、前記モータの駆動によって前記ヘッド部内で回転することによって前記ソケット開口部に挿通されたナットの締付作業を遂行し、
    前記モータ駆動制御手段は、前記ナット締付作業が終了する場合に、前記ソケット開口部が前記ヘッド開口部を臨むように前記モータを駆動して前記ソケットを回動させる電動レンチであって、
    作業者により投入状態と解除状態との間で動作される前記モータ通電用のトリガスイッチを有し、前記モータ駆動制御手段は、前記トリガスイッチが投入状態に置かれた場合に前記モータを駆動するとともに、前記ソケットによるナット締付トルクが所定の範囲を超える場合に前記モータの駆動を停止し、さらに前記トリガスイッチが解除状態に置かれた場合に、前記ソケット開口部が前記ヘッド開口部を臨むように前記モータを再駆動して前記ソケットを回動させることを特徴とする電動レンチ。
  2. 請求項1に記載の電動レンチであって、
    前記モータの回転トルクを前記ソケットに伝達し、前記ソケットによるナット締付トルクが所定の範囲を超えた場合に、前記ソケットに対する前記回転トルクの伝達を遮断するクラッチを有し、
    前記モータ駆動制御手段は、前記クラッチによる回転トルクの伝達が遮断された場合に前記モータの駆動を停止することを特徴とする電動レンチ。
  3. 請求項1または2に記載の電動レンチであって、
    前記ソケット開口部の回転位置検出手段をさらに有し、
    前記モータ駆動制御手段は、前記ナット締付作業が終了する場合、前記回転位置検出手段からの信号に基づいて前記ソケット開口部が前記ヘッド開口部を臨むまで前記モータの駆動を介して前記ソケットを回動することを特徴とする電動レンチ。
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