JP3982047B2 - Otdr装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry;光時間領域後方散乱光測定)装置に関し、特に、OTDRを用いた光ファイバ線路の測定結果の解析により、理想的なOTDR装置によって測定されるのと同等の戻り光分布波形を得るための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光パルス試験器の一つであるOTDR装置は、試験対象の光ファイバ線路へ光パルスを送出し、この光ファイバ線路から戻ってくる後方散乱光等の戻り光の強さの時間的な変化を検出することによって、光ファイバ線路に存在する障害点の検出を行うとともに損失分布や接続損失の測定を行う装置である。
【0003】
図7は従来から用いられている一般的なOTDR装置の構成を示すブロック図である。同図によれば、タイミング発生部1の出力するタイミング信号に従って、駆動回路2が光源3を駆動し、それによって光源3が光パルスを出射する。この光パルスは、光ファイバ4,光方向性結合器5,光ファイバ6,光コネクタ7を順に伝播して被測定光ファイバ8に入射し、さらに光コネクタ9を伝播して被測定光ファイバ10に入射する。
【0004】
一方、被測定光ファイバ8及び被測定光ファイバ10からの戻り光は、入射したときと反対方向に伝播してゆき、光方向性結合器5から光ファイバ11を通って受光器12に入射する。これにより、受光器12で戻り光が受光されて電気信号に変換され、増幅器13が受光器12の出力を増幅してディジタル処理部14へ出力する。ディジタル処理部14はタイミング発生部1から送られるタイミング信号に従いつつ、増幅器13の出力に対して平均処理を行って、得られた結果を対数変換して後方散乱光等の戻り光の分布波形を表示部15の画面上に表示させる。
【0005】
ここで、図8を参照してOTDR装置で測定される戻り光分布波形について説明する。同図は、図7に示したように被測定光ファイバ8,10を接続して測定した場合の波形例であって、横軸は距離,縦軸は受信光レベルを表している。なお、横軸の距離は、光源3から出射された光パルスが被測定光ファイバ8へ導かれてからの時間に相当する距離を意味している。そして、前述したようにディジタル処理部14で対数変換を行うことで、図8に示したように、被測定光ファイバからの後方散乱光は右下がりの直線となって現れる。また、コネクタや端末点における反射(いわゆるフレネル反射)は上向きの大きな不連続波形(符号W1,W2を参照)として観測され、接続部における損失は段差(符号W3を参照)として観測される。
【0006】
これらのうち、コネクタにおける反射は、光ファイバの材料とコネクタ部分の空気層との間の屈折率の違いによって発生する反射である。したがって、OTDR装置が理想的なものであって、測定用の発光パルス幅を無限に細くすることができ、しかも、受光器12及び増幅部13(以下、これらを総称して「受信回路」という)の信号再生周波数帯域を無限大に広くすることができれば、図9に実線で示すごとく、反射点に相当する波形が時間(距離)軸上で幅を持たずに一点で表される観測波形を得ることが期待できる。
【0007】
また、融着による接続点の損失や被測定光ファイバの特定の部分が曲げられたことによる損失は、局部的にレベルが変化する段差として観測される。したがって、上述したようにOTDR装置が理想的なものであれば、図10に実線で示すごとく、接続点に相当する波形がステップ状に変化した傾斜を持たない観測波形を得ることが期待できる。
【0008】
しかしながら、実際のOTDR装置では、図9に波線で表した通り、反射点における波形は距離軸上で幅のある距離広がりが生じるほか、図10に波線で表したように、接続点における波形も距離広がりによる傾斜を持った段差波形となる。こうした波形になるのは、実際のOTDR装置は理想的なものでないために、測定用の発光パルスが有限の光パルス幅を持つことと、受信回路の信号再生周波数帯域の特性に起因している。
【0009】
また、仮に、受信回路の信号再生周波数帯域を無限大に広げられたとしても、測定用の発光パルスの光パルス幅に関しては無限小にすることができず有限の値になるため、光パルスが光ファイバ線路中を伝わる時の光の帯に相当する距離の広がりを持った波形となってしまう。したがって、測定対象の光ファイバ線路において、反射点や接続点が、測定用の発光パルスの光パルス幅や受信回路の特性から決定される距離広がりよりも狭い間隔で近接していると、反射波形や段差波形が重なって観測されてしまい、それぞれの波形を互いに分離して正しく測定することができなくなってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、もし理想的なOTDR装置を実現できるのであれば、測定用の発光パルスの光パルス幅を無限に細くでき、しかも、受信回路の信号再生周波数帯域を無限大に広げることができる。それゆえ、図9に実線で示すごとく、反射点が幅をもたず一点で表されるとともに、図10に実線で示すごとく接続点がステップ状に変化して距離広がりを持たない観測波形が得られる。しかし、実際には発光パルス幅を無限小にすることは不可能であるため、光パルスが光ファイバ線路中を伝わる時の光の帯に相当する距離の広がりを持つ観測波形しか得られないことになる。こうしたことから、OTDR装置の観測波形に存在するこうした距離広がりを打ち消せるようなOTDR装置が望まれている。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光ファイバ線路からの戻り光強度の時間変化とOTDR装置自身の受信回路の応答特性から、OTDR装置自身の発する光パルスが光ファイバ線路中を伝わる時の光の帯に相当する距離や、受信回路の信号再生周波数帯域の特性等に起因する距離の広がりを打ち消すことができるOTDR装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、第1の発明は、光ファイバ線路へ光パルスを出射し、該光パルスに応じて前記光ファイバ線路から得られる戻り光を受信手段で受信して前記戻り光の光強度の時間変化を出力するOTDR装置において、測定距離と前記光パルスのパルス幅とを測定条件として設定する測定条件設定手段と、前記パルス幅を持つ光パルスを前記光ファイバ線路へ出射した場合に前記光ファイバ線路から得られる光パルス波形をパルス応答波形として予め設定するパルス応答波形設定手段と、前記測定条件の下に、前記光ファイバ線路へ前記光パルスを出射し、該光パルスに応じた戻り光の光強度の時間変化を測定波形として求める波形測定手段と、前記光パルスが出射されてから前記受信手段で受信されるまでの間に生じる距離広がりの打ち消された理想波形と前記パルス応答波形とのによって前記測定波形が得られることに基づき、前記パルス応答波形及び前記測定波形から前記理想波形を生成する波形生成手段とを具備することを特徴としている。
【0013】
また、第2の発明は、上記第1の発明において、前記波形生成手段は、前記パルス応答波形及び前記測定波形を所定のサンプリング間隔で数値化するとともに、前記パルス応答波形を複数のインパルス応答波形の集まりと見なして、数値化された前記パルス応答波形の波形データのレベルの総和が“1”となるように該パルス応答波形の波形データを正規化し、前記理想波形の波形データ数が前記測定波形の波形データ数に等しいものとして、前記パルス応答波形の波形データと前記理想波形の波形データの積が前記測定波形の波形データに等しいことから前記理想波形の波形データを算出することを特徴としている。
また、第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記光ファイバ線路に設けられた被測定光ファイバと、該被測定光ファイバへ前記光パルスを入射させるとともに前記被測定光ファイバからの戻り光を前記受信手段へ導く光方向性結合器との間に、反射が生じない態様でダミーファイバを挿入したことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、OTDR装置の構成として図1に示すものを用いており、同図においては図7に示した構成要素と同じものについては同一の符号を付してある。図1に示すOTDR装置は、図7に示したOTDR装置に対して、光方向性結合器5と光コネクタ7の間の光ファイバ6にダミーファイバ16を挿入している。このダミーファイバ16は、光コネクタ7で反射された波形を観測できるように距離を離すためのものである。ここで、ダミーファイバ16を挿入するにあたっては、反射光が発生しないように融着するか或いは整合剤を用いた接続手段で挿入するようにしている。こうすることによって、反射光が発生しない状況下で、光パルスの発光直後に受信される散乱光を測定することが可能となる。
【0015】
そして、従来のOTDR装置と本実施形態によるOTDR装置の間の動作の違いは、主としてディジタル処理部14で実行される処理の相違によるものである。したがって、以下で説明するOTDR装置の動作のうち、特記しないものについてはディジタル処理部14がこれを行うことになる。
【0016】
まず、本実施形態によるOTDR装置で行われる処理の概要を説明しておく。本実施形態では、図2に示すようにOTDR装置で実際に測定された観測波形から、図3に示すように理想的なOTDR装置で得られるのと同等の戻り光分布波形を求めて表示させるものである。さらに言えば、図2に示される戻り光強度の観測波形ならびにOTDR装置自身が発する光パルスの波形や受信回路の信号再生周波数帯域等から定まるパルス応答特性に基づいて、光パルスが光ファイバ線路中を伝わる時の光の帯に相当する距離や、受信回路の信号再生周波数帯域の特性等に起因する距離の広がりを打ち消す処理を行うようにしている。こうすることで、反射点に対応する波形が時間軸上において一点で表されるようになると共に、接続点に対応する波形がステップ状に変化して傾斜を持たない理想的な波形が生成される。
【0017】
次に、図4に示すフローチャートを参照しつつ、上記構成によるOTDR装置の動作について説明する。
まず、ステップS1において、OTDR装置を用いた測定に必要となる条件として、発光パルス幅および測定距離の情報を入力装置(図示省略)を用いてディジタル処理部14へ設定する。これにより、ディジタル処理部14は設定されたこれら情報を内部に記憶する。ここで、発光パルス幅は、測定用の光パルスが光ファイバ線路の中を伝わるときの光の帯に相当する距離を決定するためのものである。一方、測定距離は、増幅部13から出力されるアナログ電気信号の観測波形をディジタル処理部14がサンプリングするときのデータポイント数を決定するものである。例えば、データのサンプリング間隔(換言すれば「分解能」)を1m間隔に設定したのであれば、測定距離を10kmとすると、データポイント数は10〔km〕/1〔m〕=10000個になる。
【0018】
次に、ステップS2では、ステップS1で設定された条件の下に、光源3から出射される測定用の発光パルスの波形やOTDR装置内の受信回路の信号再生周波数帯域等から決定されるパルス応答波形を決定して、ディジタル処理部14へ設定する。これにより、ディジタル処理部14は設定されたパルス応答波形を数値化して記憶する。
【0019】
すなわち、一般に理想的なパルス波形は矩形であるが、実際にOTDR装置で測定を行う局面においては、光源3内部のパルス発生回路(図示省略)の特性によって、パルス波形の立ち上がり時間や立ち下がり時間はゼロとはならず、図5に示すように立ち上がりや立ち下がりに傾斜を持った波形となる。また、OTDR装置では自身の発する光パルスの反射波を受信して信号再生を行っている。そのため、パルス発生回路や光パルスの伝播する光ファイバ内での分散の影響によって波形の乱れが生じるほか、受信回路の信号再生周波数帯域によって制限を受けることになる。したがって、再生されるパルス波形は理想的な矩形から変化した波形になってしまっている場合が多い。こうしたことから、本実施形態では、これらの様々な影響を受けて再生される波形を図5に示すようなパルス応答波形として予め決定しておき、このパルス応答波形を数値化したデータをディジタル処理部14へ設定している。
【0020】
ディジタル処理部14がパルス応答波形を数値化するにあたっては、各データサンプルの間隔をOTDR装置で測定を行う際のデータサンプリング間隔と同じ間隔に設定するようにしている。例えば、測定距離に関して述べたように1m間隔のデータサンプリング間隔を設定したのであれば、パルス応答波形についても1m毎のデータで波形を表すものとする。このように、本実施形態では、パルス応答波形がデータサンプリング間隔毎に存在する複数のインパルス応答波形の寄せ集めであるという考え方を採っている。
【0021】
図5はパルス応答波形を数値化するときの様子を示したものであり、横軸にはデータ番号を“1”から“n”(nは自然数)まで1m間隔にとり、縦軸にはパルス応答波形のレベルP(j)(j=1〜n)をとっている。レベルP(j)としては、各データ番号に対応するパルス応答波形のレベルの総和が“1”となるようにして、レベルP(j)が正規化されたレベルを与えるようにしている。換言すれば、以下に示す(1)式を満足するようにレベルP(j)を決めることになる。
【数1】
Figure 0003982047
【0022】
したがって、データ番号jに対応するパルス応答波形の元々のレベルをp(j)(j=1〜n)とすれば、以下に示される(2)式に従ってレベルP(j)を算出できることになる。
【数2】
Figure 0003982047
以上のようにして、このステップS2では、パルス応答波形を数値化してディジタル処理部14内に記憶させるようにする。
【0023】
次に、ステップS3では、ステップS1で設定された発光パルス幅及び測定距離の条件下で、実際にOTDR装置によって光ファイバ線路を測定する。すると、図2に示すような戻り光の受信光レベルの時間的変化を表す波形が得られるので、ディジタル処理部14は測定された波形を取り込み、これを数値化した波形データを記憶する。なお、こうした実際の観測波形は従来の技術で説明したのと同様の動作によって得られるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0024】
図2から分かるように、この場合の波形データには、光パルスが発光された直後にダミーファイバ16で発生する後方散乱光の受信レベルが含まれることになる。そして、ダミーファイバ16の後方散乱光波形に続いて、ダミーファイバ16と被測定光ファイバ8を接続する光コネクタ7による反射と被測定光ファイバ8の接続点における接続損失があり、さらには、光コネクタ9による反射と被測定光ファイバ10の接続点における接続損失が続いて観測されることになる。
【0025】
ここで、波形データの総数を(m+n−1)個とおいたときに、(m+n−1)の値がステップS1で設定した測定距離に対応するデータポイント数以上となるようにmを決定する。例えば、ステップS1に関する説明で例示したように測定距離を10kmとした場合には、(m+n−1)の値が“10000”以上となるようにmの値を選ぶ必要がある。なお、これ以後、図2に示す実際の観測波形から得られる波形データをq(x)(x=1,2,…,m+n−1)とする。また、波形データq(x)の値は、受信光レベルが対数軸である表示画面を持った一般的なOTDR装置を想定した値になっている。そこで、波形データq(x)を次式に従って線形値へ変換したものを波形データQ(x)(x=1,2,…,m+n−1)とする。
Q(x)=10q(x)/5 … (3)
【0026】
次に、ステップS4においては、ステップS2によって得られたパルス応答波形とステップS3で得られた観測波形を合成する。
いま、図3に示すような最終的に求めたい波形の波形データをf(x)(x=1,2,…,m+n−1)とおく。なお、波形データf(x)のデータポイント数は波形データq(x)と同じく(m+n−1)個とする。図3に示される波形は、図2に示される実測波形と同様に反射点及び接続点を有しているが、OTDR装置自身の発する光パルスが光ファイバ線路中を伝わる時の光の帯に相当する距離や、受信回路の信号再生周波数帯域の特性等に起因する距離の広がりが打ち消された波形となっていることが分かる。
【0027】
次に、前述した波形データq(x)と同じく、波形データf(x)の値も受信光レベルとして対数軸を持つ画面上に表示することを想定している。そこで、波形データを次式に従って線形値に変換した波形データをF(x)(x=1,2,…,m+n−1)とおくことにする。
F(x)=10f(x)/5 … (4)
なお、これら波形データf(x)及び波形データF(x)の値は何れもこの時点では未知の値である。
【0028】
ここで、レベルP(j)と波形データF(x)の積を考えることにするが、説明の便宜上、これらレベルP(j)及び波形データF(x)に対応する行列をそれぞれ定義しておくことにする。
まず、レベルP(j)(j=1〜n)の値をそれぞれ P1,P2,…,Pn-1,Pn とし、これらの値を用いて以下の(5)式で表される(m+n−1)行(m+n−1)列の行列P(m+n−1,m+n−1)を定義する。
【数3】
Figure 0003982047
また、目的とする波形データF(x)(x=1〜m+n−1)の値をそれぞれL1,L2,…,Lm+n-1 として、(m+n−1)行1列の行列F(1,m+n−1)を以下の(6)式のように定義する。
【数4】
Figure 0003982047
【0029】
次に、(5)式と(6)式の行列積“P×F”を計算して、以下の(7)式で示される(m+n−1)行1列の行列M(1,m+n−1)を求める。なお、(7)式では第1,第2,第n−1,第n,第n+1,第m,第m+1,第m+n−2,第m+n−1の各列だけを示してある。
【数5】
Figure 0003982047
次いで、波形データF(x)を(6)式に示す行列で表記したのと同様にして、波形データQ(x)を以下の(8)式のように行列で表記する。なお、ここでは、Q(1),Q(2),…,Q(m+n−1)の値をそれぞれD1,D2,…,Dm+n-1としている。
【数6】
Figure 0003982047
【0030】
次に、以下に述べる手順で(6)式中の値L1,L2, …,Lm+n-1 を算出して波形データF(x)を求める。すなわち、(7)式及び(8)を等しいものとおき、(7)式及び(8)式の各行について以下に示す連立方程式(9)を立てる。
【数7】
Figure 0003982047
【0031】
ここで、このような連立方程式(9)が成立する理由について、図6及び前掲した図5を参照しつつ以下に説明する。いま、パルス応答波形を図5に示すようにP1,P2,…,Pn-1,Pnで表現するとしたとき、光パルス波形は図5の左側から右側に向かって進行することになる。ここで、このような光パルス波形が光源3から光ファイバ線路へ送出されて伝播してゆくときの様子を示したのが図6である。光パルス波形のレベル値は前述したようにP1〜Pnであるため、同図では光パルス波形をインパルスP1〜インパルスPn の集まりとして表している。
【0032】
ここで、光ファイバ線路中のある地点において反射が発生する場合を考える。すると、光パルス波形が未だ反射点に到達していない間は、同図の波形PW1 で示すように光パルス波形が図中の矢印方向へと進行してゆくことになる。その後、光パルス波形が反射点に達するが、その場合には、インパルスPn が時間的に最初に反射点へ到達し、これに続いてインパルスPn-1,Pn-2,…,P2 が順次反射点へ到達し、最後にインパルスP1 が反射点へ到達する。これによって、図6の波形PW2に示すように、最初に到達したインパルスPnによって反射点で反射が生じ、次いで、同図の波形PW3 に示すようにインパルスPn-1〜P2が次々に反射点で反射され、最後は、同図の波形PW4 に示すようにインパルスP1 が反射点に到達して反射が生じ、この時点で反射点での光パルス波形の反射が終わる。
【0033】
ところで、実際に観測される光パルス波形は、インパルスP1〜Pnをそれぞれ光ファイバ線路へ入射させることによって得られるn個の理想波形を重ね合わせたものと考えることができる。したがって、最初に観測されるインパルス応答は、最初に反射点へ到達するインパルスPn に対応して得られる理想波形のうちの最初の波形データに相当する。換言すれば、最初に観測されるインパルス応答の波形データの値D1 は、理想波形の最初の波形データの値L1 と、最初に反射されてくるインパルスPn のレベル(即ち、図5に示したパルス応答波形における割合ないしは重み)とを乗じたものに相当すると言える。
【0034】
また、続いて観測されるインパルス応答は、最初に観測されるインパルス応答よりも1サンプリング間隔だけ遅れた時刻において観測されることになる。この場合、当該時刻において同時に観測されるインパルス応答は、インパルスPn よりも1サンプリング間隔だけ遅れて反射されるインパルスPn-1 に対応して得られる理想波形のうちの最初の波形データと、インパルスPn に対応して得られる理想波形のうちの2番目の波形データの2つのインパルス応答である。したがって、当該時刻のインパルス応答の波形データの値D2 は、インパルスPn-1 のレベルに理想波形の最初の波形データの値L1を乗じたものと、インパルスPnのレベルに理想波形の2番目の波形データの値L2 を乗じたものとの総和となる。以下同様にして、順次観測されるインパルス応答の波形データの値D3,…,Dn-1,Dn,Dn+1,…,Dm+n-2,Dm+n-1は、それぞれ同時に観測される3個,…,n−1個,n個,n−1個,…,2個,1個のインパルス応答の和となるため、それぞれ(9)式に示したように表現されることになる。
【0035】
さて、(9)式において、右辺に存在するP1〜Pnの値は正規化されたパルス応答波形に相当するものであって、そのすべてが(2)式で与えられる既知の値である。また、左辺に存在するD1〜Dm+n-1の値もステップS3で設定された実測の観測波形から決まる波形データであって、(8)式によって与えられる既知の値である。したがって、(9)式中の最初の等式からL1 の値が求められることになる。次いで、求められたL1 を(9)式中の2番目の等式に代入することでL2 の値が求められる。以下これと同様に、(9)式中の最後の式を除く3番目〜(m+n−2)番目までの等式に関しても、それまでに求められた値を順次代入して各等式を順に解いてゆけば良い。こうして最終的にはL1〜Lm+n-1の値をすべて求めることができる。
【0036】
最後に、以上のようにして求めた(6)式の行列F(1,m+n−1)を波形データF(x)の形に書き直す。前述した通り、この波形データは線形値で表されたものであることから、波形データF(x)の各値を次の(10)式にしたがって対数軸を持つ画面上に表示するための波形データf(x)へ逆変換する。
f(x)=5×log10(F(x)) … (10)
こうして波形データf(x)の各値が得られたので、ディジタル処理部14がこれらf(x)の値に基づいて表示部15上に戻り光分布波形を表示させれば、図3に示す波形が得られることになる。
【0037】
以上のように、本実施形態では、光ファイバ線路からの戻り光強度の時間変化を実測して得られる観測波形と、発光パルスのパルス幅やOTDR装置自身の受信回路の信号再生周波数帯域等の応答特性から決まるパルス応答波形を用いて、パルス応答波形が複数のインパルス応答波形の寄せ集めであるとの想定の下に、目的とする理想波形にパルス応答波形を合成することで観測波形が得られるものとして、上述した行列演算を利用した数値解析を施して理想波形の波形データを求めるようにしている。こうすることで、OTDR装置の発する光パルスが光ファイバ線路を伝わる時の光の帯に相当する距離や、受信回路の信号再生周波数帯域の特性等に起因する距離の広がりを打ち消すことができるため、理想的なOTDR装置を用いたのと同等の戻り光分布波形が得られることになる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、測定条件として測定距離と光パルス幅を設定するとともに、設定された光パルス幅を持つ理想的な光パルスから得られるパルス応答波形を設定し、設定された測定条件下で戻り光の光強度の時間変化を表す測定波形を求め、パルス応答波形及び測定波形に基づき、光パルスの出射から受信までの間に生じる距離広がりの打ち消された理想波形を生成している。これにより、光パルスが光ファイバ線路を伝わる時の光の帯に相当する距離や、受信手段の信号再生周波数帯域の特性等に起因する距離の広がりを打ち消すことができる。したがって、反射点に対応する波形が時間軸上において一点で表されるようになると共に、接続点に対応する波形がステップ状に変化して傾斜を持たない波形を生成することができ、理想的なOTDR装置を用いたのと同等の戻り光分布波形が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるOTDR装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 同装置において、光ファイバ線路から測定される受信波形の一例を示した波形図である。
【図3】 同装置による波形処理を実施して得られる距離広がりのない戻り光分布波形を示す波形図である。
【図4】 同装置による波形処理の手順の概要を示したフローチャートである。
【図5】 同装置で用いられるパルス応答波形を示した波形図である。
【図6】 同実施形態におけるパルス応答波形と光ファイバ線路中の反射点との関係を示す説明図である。
【図7】 従来の技術によるOTDR装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 一般的なOTDR装置によって得られる受信波形の一例を示した波形図である。
【図9】 従来の技術によるOTDR装置を用いて、光コネクタによる接続部分を観測したときの受信波形の一例を示した波形図である。
【図10】 従来の技術によるOTDR装置を用いて、融着による接続部分を観測したときの受信波形の一例を示した波形図である。
【符号の説明】
1…タイミング発生部、2…駆動回路、3…光源、4,6,11…光ファイバ、7,9…光コネクタ、8,10…被測定光ファイバ、12…受光器、13…増幅部、14…ディジタル処理部、15…表示部、16…ダミーファイバ

Claims (3)

  1. 光ファイバ線路へ光パルスを出射し、該光パルスに応じて前記光ファイバ線路から得られる戻り光を受信手段で受信して前記戻り光の光強度の時間変化を出力するOTDR装置において、
    測定距離と前記光パルスのパルス幅とを測定条件として設定する測定条件設定手段と、
    前記パルス幅を持つ光パルスを前記光ファイバ線路へ出射した場合に前記光ファイバ線路から得られる光パルス波形をパルス応答波形として予め設定するパルス応答波形設定手段と、
    前記測定条件の下に、前記光ファイバ線路へ前記光パルスを出射し、該光パルスに応じた戻り光の光強度の時間変化を測定波形として求める波形測定手段と、
    前記光パルスが出射されてから前記受信手段で受信されるまでの間に生じる距離広がりの打ち消された理想波形と前記パルス応答波形とのによって前記測定波形が得られることに基づき、前記パルス応答波形及び前記測定波形から前記理想波形を生成する波形生成手段と
    を具備することを特徴とするOTDR装置。
  2. 前記波形生成手段は、
    前記パルス応答波形及び前記測定波形を所定のサンプリング間隔で数値化するとともに、前記パルス応答波形を複数のインパルス応答波形の集まりと見なして、数値化された前記パルス応答波形の波形データのレベルの総和が“1”となるように該パルス応答波形の波形データを正規化し、前記理想波形の波形データ数が前記測定波形の波形データ数に等しいものとして、前記パルス応答波形の波形データと前記理想波形の波形データの積が前記測定波形の波形データに等しいことから前記理想波形の波形データを算出する
    ことを特徴とする請求項1記載のOTDR装置。
  3. 前記光ファイバ線路に設けられた被測定光ファイバと、該被測定光ファイバへ前記光パルスを入射させるとともに前記被測定光ファイバからの戻り光を前記受信手段へ導く光方向性結合器との間に、反射が生じない態様でダミーファイバを挿入した
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のOTDR装置。
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