JP3949266B2 - 多分岐光線路試験方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多分岐光線路の障害発生時刻・障害発生回線及び障害発生位置を測定する多分岐光線路試験方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の多分岐光線路試験装置の構成例を示すブロック図である。この多分岐光線路試験装置は、1.31/1.55波長多重伝送システムに設けられた8分岐形光線路において、光線路の故障切分けの試験を行うものである。この図において、OTDR測定器1からの試験光(1.6μm帯)は、カプラ2を介して、光線路3に入射し、スターカプラ4によって分岐された後、光ファイバfb1〜fb8に分配される。
【0003】
これらの各光ファイバfb1〜fb8のONU(Optical Network Unit:加入者ネットワーク装置)の手前の箇所には、フィルタ41〜48が各々設けられている。これらのフィルタ41〜48は、対応するONUに対する光信号のみを通過させ、上記試験光は反射する通過帯域特性を有している。
したがって、光ファイバfb1〜fb8を進んできた各試験光は、これらのフィルタ41〜48によって反射され、各フィルタからの反射光が光ファイバfb1〜fb8を逆戻りすることとなる。そして、これらの反射光は、スターカプラ4を通過することにより合波され、カプラ2を介して、応答光として、OTDR測定器1に戻される。このようにして戻された応答光が、OTDR測定器1によって解析される。
【0004】
図10は、このOTDR測定器1によって観測される応答光の波形例を示すグラフである。この図に示す波形は、上記応答光の時系列的変化を示すものであるが、この図10では、該応答光の伝播時間に光の伝送速度を乗じた値(すなわち、応答光が伝播してきた光ファイバの長さ)を横軸としている。
ここで、応答光は、各フィルタ41〜48からの反射光が合波されたものであるが、これらのフィルタ41〜48は、OTDR測定器1からの距離が異なった位置に設けられている。従って、OTDR測定器1によって観測される各フィルタ41〜48からの反射光は、時間軸(図10の横軸)上において重ならず、各々分離して観測されることとなる。図10では、最も左側に示されている反射ピークRが、スターカプラ4からの反射光のものであり、これから右側に向かって順に、光ファイバfb1〜fb8を介してOTDR測定器1に戻される反射光の反射ピークが表示されている。
【0005】
図11は、OTDR測定器1によって観測される反射光のうち、光ファイバfb6〜fb8を介して戻ってきた各反射光の波形を拡大して示したものである。このうち、図11(a)は、いずれの光ファイバにも障害が発生していない場合を示し、図11(b)は、光ファイバfb7に3dBの曲げ損失を付与して、障害を模擬した場合を示している。これらの図に示すように、光ファイバfb7については、障害を模擬的に発生させたことにより、反射光の強度の低下が生じていることが分かる。
【0006】
このように、図9に示す構成によれば、OTDR測定器1に戻ってくる応答光中の各反射光の強度を解析することにより、光線路(光ファイバ)に生じた障害を検出することができる。
なお、この技術については、1994年電子情報通信学会秋期大会における論文B−846「分岐形光線路の1.6μm帯故障切り分け試験技術」に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した多分岐光線路試験装置では、光線路の障害発生回線は検出できるが、障害発生点までの距離(障害発生位置)を検出できない、という課題があった。さらに、カプラからフィルタまでの間隔がそれぞれ異なるように各フィルタを設置しなければならないので、光ファイバ長が制限されてしまう、という課題があった。実際には、それぞれのフィルタを構成するシステムのコストを考えれば、実用がなかなか難しい。
【0008】
この発明は、上述した問題点を解決するために、多分岐光線路の障害発生時刻・障害発生回線及び障害発生位置を自動的に検出することができる多分岐光線路試験方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、複数の光線路に分岐した多分岐光線路の分岐点に、光パルスを導入する第1の過程と、前記各光線路の各部で発生した前記光パルスの反射光が重なった応答光を受光する第2の過程と、前記各応答光を光電変換した電気信号の値を、対数波形データに対数変換すると共に、該応答光の波形を、該波形のフレネル反射点を分割点として分割する第3の過程と、分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データを、Hough変換する第4の過程と、分割された各範囲について、Hough変換された各対数波形データを、中央値フィルタ処理する第5の過程と、分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データを、逆Hough変換する第6の過程と、分割された各範囲について、逆Hough変換された各対数波形データを、リニア波形データに逆対数変換する第7の過程と、分割された各範囲について、前記リニア波形データに基づいて、減衰定数分離解析を行い、該各範囲の減衰定数を算出する第8の過程と、前記第1の過程から前記の第8の過程を繰り返し、該繰り返しにより得られた各減衰定数に基づいて、前記多分岐光線路の障害発生時刻、障害発生回線及び障害発生位置を判定する第9の過程とを具備することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の多分岐光線路試験方法において、前記第4の過程では、分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データy(m)を、次式に基づいて、Hough変換することを特徴とする。
z(m)=y(m)+m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の多分岐光線路試験方法において、前記第5の過程では、分割された各範囲について、所定の中央値フィルタの個数nf(nfは自然数)を決定し、Hough変換された第j番目の対数波形データz(j)から第(2・nf+j)番目の対数波形データz(2・nf+j)を小さい順にならべ、その中央値を、この(2・nf+1)個の対数波形データの中央値とする処理を、該範囲内の全ての対数波形データについて行うことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多分岐光線路試験方法において、前記第6の過程では、分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データz(m)を、次式に基づいて、逆Hough変換することを特徴とする。
y(m)=z(m)−m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
請求項5記載の発明は、複数の光線路に分岐した多分岐光線路の分岐点に、光パルスを導入する発光手段と、前記各光線路の各部で発生した前記光パルスの反射光が重なった応答光を受光する受光手段と、前記各応答光を光電変換した電気信号の値を、対数波形データに対数変換する対数変換手段と、前記応答光の波形を、該波形のフレネル反射点を分割点として分割する分割手段と、分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データを、Hough変換するHough変換手段と、分割された各範囲について、Hough変換された各対数波形データを、中央値フィルタ処理する中央値フィルタ処理手段と、分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データを、逆Hough変換する逆Hough変換手段と、分割された各範囲について、逆Hough変換された各対数波形データを、リニア波形データに逆対数変換する逆対数変換手段と、分割された各範囲について、前記リニア波形データに基づいて、減衰定数分離解析を行い、該各範囲の減衰定数を算出する算出手段と、上記各手段の処理を繰り返し行わせる繰返手段と、前記繰返手段による各手段の処理の繰り返しにより得られた各減衰定数に基づいて、前記多分岐光線路の障害発生時刻、障害発生回線及び障害発生位置を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の多分岐光線路試験装置において、前記Hough変換手段は、分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データy(m)を、次式に基づいて、Hough変換することを特徴とする。
z(m)=y(m)+m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
請求項7記載の発明は、請求項5または請求項6のいずれかに記載の多分岐光線路試験装置において、前記中央値フィルタ処理手段は、分割された各範囲について、所定の中央値フィルタの個数nf(nfは自然数)を決定し、Hough変換された第j番目の対数波形データz(j)から第(2・nf+j)番目の対数波形データz(2・nf+j)を小さい順にならべ、その中央値を、この(2・nf+1)個の対数波形データの中央値とする処理を、該範囲内の全ての対数波形データについて行うことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の多分岐光線路試験装置において、前記逆Hough変換手段は、分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データz(m)を、次式に基づいて、逆Hough変換することを特徴とする。
y(m)=z(m)−m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態による多分岐光線路試験装置の構成例を示すブロック図である。この図において、MS1は、OTDR測定器であり、SW1は、該OTDR測定器MS1においてデータ解析を行う為のソフトウェアが格納されたメモリである。また、FB1〜FB4は、それぞれ分岐光ファイバであり、ED1〜ED4は、それぞれ各分岐光ファイバの終端器である。また、CP1は光カプラであり、CN1〜CN4は、該光カプラCP1と分岐光ファイバFB1〜FB4とを接続するコネクタであり、CN5は、該光カプラCP1とOTDR測定器MS1とを接続するコネクタである。
【0011】
光カプラCP1、分岐光ファイバFB1〜FB4及び終端器ED1〜ED4は、本実施形態における試験対象を構成している。そして、この試験対象に対し、光カプラCP1を介して接続されたOTDR測定器MS1、及び、該OTDR測定器MS1が実行するソフトウェアを格納したメモリSW1が、本実施形態に係る多分岐光線路試験装置を構成している。
なお、図1に示されていないが、本試験装置は、OTDR測定器MS1の測定結果を記憶する大容量の測定結果記憶装置(ハードディスク等)を有している。
【0012】
次に、上記構成による多分岐光線路試験装置の動作を説明する。
図2は、本試験装置によるOTDR波形データの解析処理の一例を示すフローチャートである。
(1)OTDR波形データの取り込み
まず、ステップS1では、OTDR測定器MS1が光パルスを出射すると、該光パルスは、光カプラCP1で分割され、各分岐光ファイバFB1〜FB4に入射する。これにより、各分岐光ファイバFB1〜FB4の近端から終端までの各部において生じた後方散乱光が、光カプラCP1で重なり、応答光としてOTDR測定器MS1に戻る。この応答光は、OTDR測定器MS1内部で、そのレベルに応じた電気信号に変換される。変換された電気信号は、OTDR波形データ(デジタル信号データ)として測定結果記憶装置に保存される。
【0013】
図3は、いずれの分岐光ファイバにも障害が発生していない場合におけるOTDR波形データの一例を示すグラフである。この図において、横軸は距離を示し、該横軸上において各データを示す点(ポイント)は、1点が2mに対応している。すなわち、例えば、上記横軸上における20000ポイントは、40km(=2m×20000)に対応する。また、この図において、縦軸は、各分岐光ファイバFB1〜FB4の後方散乱光のレベル(光パワー)を示す。
なお、このOTDR波形データは、各分岐光ファイバFB1〜FB4の後方散乱光が重なったものである。また、図3において、ED1〜ED4は、それぞれ、各分岐光ファイバFB1〜FB4の終端器ED1〜ED4における反射ピークの波形である。一方、CPは、光カプラCP1において、各分岐光ファイバFB1〜FB4に接続するコネクタの反射ピークの波形である。
【0014】
(2)波形解析
次に、ステップS2では、OTDR波形データ(リニア波形データ:図3の波形)を対数波形データへ変換する。本実施形態における対数波形データへの変換式は、下記の式(1)である。
y(n)=5log{x(n)} ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、x(n)は、OTDR測定器MS1によって受信される後方散乱光のレベル(光パワー)を示す。また、nは、図3に示すグラフの横軸上における各ポイント(n=1,2,3,・・・,20000)を示す。
【0015】
すなわち、x(n)において、x(1)は、図3に示すグラフにおける2m(=2m×1)地点からの後方散乱光のレベルを示し、x(20000)は、40km(=2m×20000)地点からの後方散乱光のレベルを示している。
式(1)により、20000個のリニア波形データx(n)は、20000個の対数波形データy(n)に変換される。図4は、図3に示すOTDR波形データ(リニア波形データ)を対数波形データに変換したグラフである。
【0016】
次に、ステップS3では、フレネル反射点を分割点として、図3に示すOTDR波形データを分割する。図3において、L1,L2,L3,L4は、それぞれ分割された範囲である。
以下、各範囲をLi(i=1,2,3,4)で表し、該範囲Li内の対数波形データをyi (m)と表す。例えば、範囲L1の第1番目の対数波形データをy1 (1)と表し、範囲L4の第100番目の対数波形データをy4 (100)と表す。
【0017】
この場合、mの取り得る値は、各範囲Liの範囲によって変化する。
例えば、範囲L1が8km〜10kmである場合、(10km−8km)/2m=1000であるから、mは1〜1000の範囲となる。そして、8km=2m×4000であるから、範囲L1の第1番目の対数波形データy1 (1)は、分割前の対数波形データy(4000)を指している。
一方、例えば、範囲L1が9km〜15kmである場合、(15km−9km)/2m=3000であるから、mは1〜3000の範囲となる。そして、9km=2m×4500であるから、範囲L1の第1番目の対数波形データy1 (1)は、分割前の対数波形データy(4500)を指している。
【0018】
分割が終了すると、それぞれの範囲Li(i=1,2,3,4)に対して、以下に示すステップS4〜S7の処理を行う。
まず、ステップS4では、範囲Liについて、該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き(Hough変換角度)を求める。
次に、該範囲Liにおいて、該範囲Li内の全てのデータyi (m)について、次の式でHough変換を行う。
zi (m)=yi (m)+m・a ・・・・・・・・・・・・・・・(2)
上式(2)において、aは上記Hough変換角度である。
【0019】
次に、ステップS5では、以下の手順で、中央値フィルタ処理を行う。
すなわち、まず始めに、中央値フィルタの処理個数nfを決定する。ここでは、一例として、該処理個数nf=10とする。
処理個数nfが決まると、範囲Liの第1番目のデータzi (1)から第21(=2nf+1=2・10+1)番目のデータzi (21)を処理対象とする。そして、この21個のデータzi (1)〜zi (21)を、小さい順に、w(1)〜w(21)に代入する。最後に、w(1)〜w(21)の中央値w(11)を、上記21個のデータzi (1)〜zi (21)の中央値zi (11)とする。
【0020】
次に、処理対象の範囲を1つずらして、範囲Liの第2番目のデータzi (2)から第22(=2nf+2=2・10+2)番目のデータzi (22)を処理対象とする。そして、この21個のデータzi (2)〜zi (22)を、小さい順に、w(1)〜w(21)に代入する。最後に、w(1)〜w(21)の中央値w(11)を、上記21個のデータzi (2)〜zi (22)の中央値zi (12)とする。
以下、処理対象の範囲を1つずつずらしながら、範囲Liの全範囲について、同様の処理を行う。
【0021】
次に、ステップS6では、逆Hough変換を行う。
この変換式は、式(2)に基づいて、以下に示す式(3)となる。
yi (m)=zi (m)−m・a ・・・・・・・・・・・・・・・(3)
【0022】
次に、ステップS7では、ステップS6で求めた対数波形データyi (m)を、リニア波形データに変換する。
この変換式は、式(1)に基づいて、以下に示す式(4)となる。
xi (m)=10{yi(m)/5} ・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
最後に、減衰定数分離解析を行い、減衰定数を算出する。
以上の処理(ステップS4〜S7)を各範囲L1〜L4に対して行い、該各範囲L1〜L4の減衰定数を求める。
【0023】
そして、各範囲L1〜L4の減衰定数に基づいて、各範囲の分割点がいずれの分岐光ファイバの終端点に対応するのかを判断する。
図5は、いずれの分岐光ファイバにも障害が発生していない場合における減衰定数とその判断の一例を示す表である。この図において、α1は分岐光ファイバFB1の減衰定数であり、α2は分岐光ファイバFB2の減衰定数であり、α3は分岐光ファイバFB3の減衰定数であり、α4は分岐光ファイバFB4の減衰定数である。従って、この図に示すように、例えば、範囲L1で算出され範囲L2で算出されない減衰定数はα1であるので、該減衰定数α1に対応する分岐光ファイバFB1の終端点ED1が、範囲L1と範囲L2の分割点と判断される。他の範囲の分割点も同様に判断される。
【0024】
(3)情報収集
本試験装置では、一定時間毎にステップS1〜S7の過程を繰り返し、減衰定数分離解析により算出された減衰定数を情報として記憶しておく(ステップS8)。
ここでは、この一定時間毎の各測定時刻をt1 ,t2 ,・・・,tk ,tk+1 ,tk+2 ,・・・とする。そして、一例として、測定時刻tk と測定時刻tk+1 の間において、図6に×印で示す障害が、分岐光ファイバFB3において発生した場合を考える。
【0025】
この場合において、該障害発生前の時刻tk におけるOTDR波形データを図3に示す。このときの分割範囲L1〜L4は、図3に示す通りである。また、各範囲L1〜L4の解析結果(減衰定数)は、図5に示す通りである。
一方、該障害発生後の時刻tk+1 におけるOTDR波形データを図7に示す。このときの分割範囲L1’〜L4’は、図7に示す通りである。また、各範囲L1’〜L4’の解析結果(減衰定数)は、図8に示す通りである。
【0026】
(4)障害回線の判定
次に、ステップS9では、各測定時刻において得られた解析結果(減衰定数)を比較することによって、障害発生時刻・障害発生回線及び障害発生位置を判断する。例えば、図6に示す障害の場合、測定時刻t1 →tk においては、解析結果(減衰定数)に変化がないので、障害は発生していないと判定する。これに対して、図5と図8を比較すると、測定時刻tk →tk+1 において、解析結果(減衰定数)に変化が生じたので、障害が発生したと判定する。
【0027】
障害発生を検出すると、本試験装置は、以下の方法で、障害発生時刻を判定し、障害発生回線及び障害発生位置を判定・計算する。
すなわち、ファイバFB3の終端点の位置が測定時刻tk と測定時刻tk+1 とで異なるので、障害発生時刻は、測定時刻tk と測定時刻tk+1 の間と判定される。また、分岐光ファイバFB3の終端点の位置がED3からED3’に変化したので、障害発生回線は、該分岐ファイバFB3と判定される。また、分岐光ファイバFB3が障害発生回線と判定されると、障害発生位置は、測定時刻tk+1 における該分岐光ファイバFB3の終端点の位置ED3’と判定される。
このように、本試験装置は、多分岐光線路の障害発生時刻・障害発生回線及び障害発生位置を自動的に検出することができる。
【0028】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
たとえば、上述した一実施形態において、試験対象となる多分岐光線路は4分岐形光線路であるが、当然のことながら、本発明は、他の分岐数の多分岐光線路の試験にも適用可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、波形データにおける雑音を除去するために中央値フィルタ処理を利用する。ここで、中央値フィルタ処理の効果は波形データの分布角度に依存するので、該中央値フィルタ処理を利用する場合には角度変換処理が必要となる。そこで、このフィルタ処理の効果を高めるために、該フィルタ処理の前段階に、座標変換としてHough変換処理段階を導入した。従って、上記Hough変換処理および中央値フィルタ処理を通すことによって、波形データにおける高周波雑音を平滑することができる。また、雑音の平滑後、Hough変換処理する前の分布角度状態に戻すために、逆Hough変換処理を導入した。
以上の処理により、本発明の多分岐光線路試験方法及びその装置によれば、多分岐光線路の障害発生時刻・障害発生回線及び障害発生位置を自動的に検出することができる。したがって、従来のように、障害回線を測定する際に、フィルタを回線(光線路)毎に異なる間隔で設置しなくとも、効率よくこれらの測定作業を行うことが可能である。
また、この多分岐光線路試験装置においては、該試験装置によって同一な計測動作が行われるので、人が計測を行う場合に比較し、客観性および信頼性のより高い計測を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による多分岐光線路試験装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態による多分岐光線路試験装置の解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】 いずれの分岐光ファイバにも障害が発生していない場合におけるOTDR波形データの一例を示すグラフである。
【図4】 図3の波形を対数変換したグラフである。
【図5】 いずれの分岐光ファイバにも障害が発生していない場合における減衰定数とその判断の一例を示す図表である。
【図6】 障害発生の一例を示すブロック図である。
【図7】 図6に示す障害が発生した場合におけるOTDR波形データの一例を示すグラフである。
【図8】 図6に示す障害が発生した場合における減衰定数とその判断の一例を示す図表である。
【図9】 従来の多分岐光線路試験装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】 従来の多分岐光線路試験装置による測定波形の一例を示すグラフである。
【図11】 図10に示す波形の一部を拡大したグラフである。
【符号の説明】
MS1……OTDR測定器、 SW1……メモリ、
FB1〜FB4……分岐光ファイバ、 ED1〜ED4……終端器、
CP1……光カプラ、 CN1〜CN5……コネクタ
Claims (8)
- 複数の光線路に分岐した多分岐光線路の分岐点に、光パルスを導入する第1の過程と、
前記各光線路の各部で発生した前記光パルスの反射光が重なった応答光を受光する第2の過程と、
前記各応答光を光電変換した電気信号の値を、対数波形データに対数変換すると共に、該応答光の波形を、該波形のフレネル反射点を分割点として分割する第3の過程と、
分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データを、Hough変換する第4の過程と、
分割された各範囲について、Hough変換された各対数波形データを、中央値フィルタ処理する第5の過程と、
分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データを、逆Hough変換する第6の過程と、
分割された各範囲について、逆Hough変換された各対数波形データを、リニア波形データに逆対数変換する第7の過程と、
分割された各範囲について、前記リニア波形データに基づいて、減衰定数分離解析を行い、該各範囲の減衰定数を算出する第8の過程と、
前記第1の過程から前記の第8の過程を繰り返し、該繰り返しにより得られた各減衰定数に基づいて、前記多分岐光線路の障害発生時刻、障害発生回線及び障害発生位置を判定する第9の過程と
を具備することを特徴とする多分岐光線路試験方法。 - 請求項1記載の多分岐光線路試験方法において、
前記第4の過程では、
分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データy(m)を、次式に基づいて、Hough変換する
z(m)=y(m)+m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
ことを特徴とする多分岐光線路試験方法。 - 請求項1または請求項2のいずれかに記載の多分岐光線路試験方法において、
前記第5の過程では、
分割された各範囲について、
所定の中央値フィルタの個数nf(nfは自然数)を決定し、
Hough変換された第j番目の対数波形データz(j)から第(2・nf+j)番目の対数波形データz(2・nf+j)を小さい順にならべ、その中央値を、この(2・nf+1)個の対数波形データの中央値とする処理を、該範囲内の全ての対数波形データについて行う
ことを特徴とする多分岐光線路試験方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多分岐光線路試験方法において、
前記第6の過程では、
分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データz(m)を、次式に基づいて、逆Hough変換する
y(m)=z(m)−m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
ことを特徴とする多分岐光線路試験方法。 - 複数の光線路に分岐した多分岐光線路の分岐点に、光パルスを導入する発光手段と、
前記各光線路の各部で発生した前記光パルスの反射光が重なった応答光を受光する受光手段と、
前記各応答光を光電変換した電気信号の値を、対数波形データに対数変換する対数変換手段と、
前記応答光の波形を、該波形のフレネル反射点を分割点として分割する分割手段と、
分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データを、Hough変換するHough変換手段と、
分割された各範囲について、Hough変換された各対数波形データを、中央値フィルタ処理する中央値フィルタ処理手段と、
分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データを、逆Hough変換する逆Hough変換手段と、
分割された各範囲について、逆Hough変換された各対数波形データを、リニア波形データに逆対数変換する逆対数変換手段と、
分割された各範囲について、前記リニア波形データに基づいて、減衰定数分離解析を行い、該各範囲の減衰定数を算出する算出手段と、
上記各手段の処理を繰り返し行わせる繰返手段と、
前記繰返手段による各手段の処理の繰り返しにより得られた各減衰定数に基づいて、前記多分岐光線路の障害発生時刻、障害発生回線及び障害発生位置を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする多分岐光線路試験装置。 - 請求項5記載の多分岐光線路試験装置において、
前記Hough変換手段は、
分割された各範囲について、該範囲の各対数波形データy(m)を、次式に基づいて、Hough変換する
z(m)=y(m)+m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
ことを特徴とする多分岐光線路試験装置。 - 請求項5または請求項6のいずれかに記載の多分岐光線路試験装置において、
前記中央値フィルタ処理手段は、
分割された各範囲について、
所定の中央値フィルタの個数nf(nfは自然数)を決定し、
Hough変換された第j番目の対数波形データz(j)から第(2・nf+j)番目の対数波形データz(2・nf+j)を小さい順にならべ、その中央値を、この(2・nf+1)個の対数波形データの中央値とする処理を、該範囲内の全ての対数波形データについて行う
ことを特徴とする多分岐光線路試験装置。 - 請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の多分岐光線路試験装置において、
前記逆Hough変換手段は、
分割された各範囲について、中央値フィルタ処理された各対数波形データz(m)を、次式に基づいて、逆Hough変換する
y(m)=z(m)−m・a
a:該範囲に分割された波形の自乗近似直線の傾き
m:該範囲内における該対数波形データの測定位置
ことを特徴とする多分岐光線路試験装置。
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