JP3981736B2 - 3次元フォトニック結晶を用いた欠陥モードの制御方法 - Google Patents

3次元フォトニック結晶を用いた欠陥モードの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、3次元フォトニック結晶を用いて欠陥モードの振動数を制御して出力する方法、及びそのような出力を得るシステムに関する。
周期性誘電体構造は、フォトニック結晶として知られている(たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行)。特に3次元フォトニック結晶は、誘電体が3つの異なる方向に沿って周期的に配列している光学デバイスであり、近年注目されている。このような3次元フォトニック結晶を実際に製造する方法も知られている(たとえば、非特許文献1(「T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001」)参照。)。図12は、そのような3次元フォトニック結晶の例を示す図である。図12に示される結晶の上面は、複数のロッドが存在するロッド面である。一方、図12に示される結晶の下面はメッシュ面である。
光の波長の半分程度の大きさの周期を持った3次元半導体光結晶素子(3次元フォトニック結晶)の製造方法に関する発明は、既に知られている(たとえば、下記特許文献1(特開平11-183735号公報の図1、及び図2)参照)。図13、及び図14にそのような3次元フォトニック結晶の構成図を示す。図13、及び図14において、斜線の有無は誘電率の相違を示す。図13の結晶は、空孔が設けられている。一方、図14の結晶は複数のロッド部を有している。
千鳥格子状の矩形状の複数の溝を有する半導体光素子(フォトニック結晶)が知られている(たとえば、下記特許文献2(特開平4−180283号公報の図1)参照)。図15にそのようなフォトニック結晶の構成図を示す。図15において、斜線の有無は誘電率の相違を示す。図15中、b1、w1は、各層の厚さを表す。図15中、x、yは、周期を表す。
空孔を有する3次元フォトニック結晶の製造方法は既に知られている(たとえば、下記特許文献3(米国特許5,600,483号明細書の図1)参照)。図16にそのような3次元フォトニック結晶の構成図を示す。図16において、斜線の有無は誘電率の相違を示す。図16の結晶では、複数の空孔が設けられている。
いわゆる自己クローニング法による3次元フォトニック結晶の製造方法は既に知られている(たとえば、下記特許文献4(特開平10−335758号公報の図1)参照)。図17にそのような製造方法により製造された3次元フォトニック結晶の構成図を示す。図17において、色の相違は誘電率の相違を示す。
フォトニック結晶は、特有の光学的特性を持ち、光学、電気光学および光通信を含む幾つかの分野で応用されている(「Ohtaka, K., 1979, Phys. Rev. B, 19, 5057.」、「Yablonovich, E., 1987, Phys. Rev. Lett., 58, 2059.」、「Bowden, C. M., Dowling, J. P., and Everitt, H. O., 1993, 『Special Issue on Development and Applications of Materials Exhibiting Photonic Band Gaps』, J. Opt. Soc. Am. B, 10.」、「Wada, M., Doi, Y., Inoue, K., and Haus, J. W., 1997, Phys. Rev. B, 55, 10443.」)。
フォトニック結晶の最大の特徴は、そのフォトニック・バンドギャップ(PBG)である(たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行、44頁)。すなわち、フォトニック結晶は、PBGにおいて表面電磁波を維持できるという特性がある(「Meade, R. D., Brommer, K. D., Rappe, A. M., and Joannopoulos, J. D., 1991, Phys. Rev. B, 44, 10961.」、「Robertson, W. M., Arjavalingam, G., Meade, R. D., et al., J. D. 1993, Opt. Lett., 18, 528.」)。
フォトニック結晶上の表面電磁波は、光学装置の設計に寄与すると考えられている(Kitson, S. C., Barnes, W. L. and Sambles, J. R., 1996, Phys. Rev. Lett., 77, 2670)。すなわち、フォトニック結晶に欠陥が導入された場合、局所化された電磁モードが、バンドギャップ内の振動数で発生する(下記非特許文献2(Yablonovitch, E., Gmitter, T. J., Meade, R. D., et al., 1991, Phys. Rev. Lett., 67, 3380.)参照)。
このようにフォトニック結晶そのものは、光学素子として公知である。しかしながら、フォトニック結晶を組み合わせたフォトニック結晶システムについては知られていない。ましてや、フォトニック結晶と欠陥層とを組み合わせ、欠陥層と相互作用する結晶表面の物性を制御するような利用方法については、知られていない。
特開平11-183735号公報の図1、及び図2 特開平4−180283号公報の図1 米国特許5,600,483号明細書の図1 特開平10−335758号公報の図1 T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001 Yablonovitch, E., Gmitter, T. J., Meade, R. D., et al., 1991, Phys. Rev. Lett., 67, 3380.
本発明は、フォトニック結晶を組み合わせ、その物性を制御することにより欠陥モードの振動数を変化させる方法を提供することを目的とする。
本発明は、フォトニック結晶を組み合わせ、その物性を制御するようなフォトニック結晶システムを提供することを別の目的とする。
本発明は、特に平面欠陥モードのうちファブリ・ペロー共振器の縦モードに類似したモードを利用したフォトニック結晶システムを提供することを別の目的とする。
(1)上記の課題のうち少なくとも一つ以上を解決するため、本発明の3次元フォトニック結晶システム(1)は、上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶(2,3)と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層(4)とを具備し、前記欠陥層と接する3次元フォトニック結晶の向きを変化させることにより、面欠陥モードの振動数を表面モードの範囲内とするか,又は面欠陥モードがバンドエッジにおける定在波と結合する範囲とする
本発明の3次元フォトニック結晶システムでは、上記のような構成をとるので、欠陥層と接する3次元フォトニック結晶の向きを変化させることにより、欠陥層と3次元フォトニック結晶表面との相互作用を調整できる。これにより、本発明の3次元フォトニック結晶システムは、様々な欠陥モードの出力を得ることができる。特に、この2つの3次元フォトニック結晶は、好ましくは同一の種類であり、面欠陥の厚さを変化させることなく、面欠陥モードの周波数を制御できる。
(2)本発明の3次元フォトニック結晶システムの好ましい態様としては、前記3次元フォトニック結晶(1)が、複数の層(5)から構成され、3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層(5)は、少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッド(6)からなるロッド部(7)と、前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部(8)とを有し、前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面(9)と、メッシュ部からなるメッシュ面(10)とを有する上記(1)に記載の3次元フォトニック結晶システムが挙げられる。
この3次元フォトニック結晶システムでは、ロッド面と、メッシュ面とが異なる誘電特性を有している。したがって、2つの3次元フォトニック結晶と欠陥層との空間配置を制御することで、欠陥層と3次元フォトニック結晶表面との相互作用を調整できるので、これにより欠陥モードをも調整できる。
(3)本発明の3次元フォトニック結晶システムの好ましい態様としては、前記2つの3次元フォトニック結晶のうち入射光方向にあるものを第1の3次元フォトニック結晶(2)、残りを第2の3次元フォトニック結晶(3)とし、前記第1の3次元フォトニック結晶の面うち入射光方向にある面を第1面(11)、欠陥層に接する面を第2面(12)とし、
前記第2の3次元フォトニック結晶の面うち欠陥層に接する面を第3面(13)、第3面と対向する面を第4面(14)とすると、[(i)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システム、(ii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システム、(iii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システム、または(iv)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システム]からなる群から選ばれる(2)に記載のフォトニック結晶システムである。このようなフォトニック結晶システムであれば、欠陥層の厚さを変えずに、面欠陥モードの振動数を制御することができる。
(4)本発明の3次元フォトニック結晶システムとして、好ましくは、前記3次元フォトニック結晶が、ケイ素、二酸化ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、およびこれらの混合物のいずれかにより構成される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の3次元フォトニック結晶システムである。
(5)本発明の3次元フォトニック結晶システムとして、好ましくは、前記欠陥層が、空気層、または亜鉛、テルル、およびこれらの合金のいずれかにより構成される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の3次元フォトニック結晶システムである。
(6)本発明の3次元フォトニック結晶システムとして、好ましくは、前記3次元フォトニック結晶におけるロッドの周期のうち少なくともひとつが、10μm〜10cmの周期である上記(2)、または(3)に記載の3次元フォトニック結晶システムである。
(7)本発明の3次元フォトニック結晶システムとして、好ましくは、前記3次元フォトニック結晶における各層のロッドの数が25本〜1億本のいずれかの本数である上記(2)、または(3)に記載の3次元フォトニック結晶システムである。
(8)上記課題の少なくとも一つ以上を解決するため本発明の欠陥モードの調整方法は、上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層とを具備する3次元フォトニック結晶システムを用いた欠陥モードの調整方法であって、前記欠陥層の向き又は厚さを調整するか、または、フォトニック結晶の誘電体の周期を調整することにより前記欠陥層と接する3次元フォトニック結晶の表面の誘電特性を調整する欠陥モードの調整方法である。本発明によれば、欠陥層の厚さを変えなくとも、有効キャビティ長を変化させることができるので、本発明の欠陥モードの調整方法によれば、欠陥層の厚さを変化させることなく、出力される欠陥モードの周波数を調整できる。
(9)本発明の欠陥モードの調整方法の実施態様としては、前記3次元フォトニック結晶が複数の層から構成され、3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層は、少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッドからなるロッド部と、前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部とを有し、前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面と、メッシュ部からなるメッシュ面とを有する上記(8)に記載の欠陥モードの調整方法が挙げられる。
(10)本発明の欠陥モードの調整方法の実施態様としては、前記2つの3次元フォトニック結晶のうち入射光方向にあるものを第1の3次元フォトニック結晶、残りを第2の3次元フォトニック結晶とし、前記第1の3次元フォトニック結晶の面うち入射光方向にある面を第1面、欠陥層に接する面を第2面とし、前記第2の3次元フォトニック結晶の面うち欠陥層に接する面を第3面、第3面と対向する面を第4面とすると、前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システム、前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システム、前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システム、または前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システム、からなる群から選ばれるフォトニック結晶システムである上記(9)に記載の欠陥モードの調整方法が挙げられる。
(11) 本発明の欠陥モードの調整方法の実施態様としては、前記欠陥層と接する3次元フォトニック結晶の表面の誘電特性を調整し、面欠陥モードの振動数を表面モードの範囲内とするか,又は面欠陥モードがバンドエッジにおける定在波と結合する範囲とするものがあげられる。
本発明によれば、フォトニック結晶を組み合わせ、その物性を制御することにより欠陥モードの振動数を変化させる方法を提供できる。
本発明によれば、フォトニック結晶を組み合わせ、その物性を制御するようなフォトニック結晶システムを提供できる。
本発明によれば、特に平面欠陥モードのうちファブリ・ペロー共振器の縦モードに類似したモードを利用したフォトニック結晶システムを提供できる。
本発明は、フォトニック結晶と欠陥層との界面の形状や、フォトニック結晶の周期構造を変化させることにより欠陥モードを制御できるという知見に基づくものである。より具体的には、本発明においては、3次元フォトニック結晶の向き(対称性)や、結晶格子の大きさ、欠陥層の厚さなどを適宜変化させる。これにより様々な振動数の欠陥モード出力を得ることができるというものである。すなわち、フォトニック結晶の表面形状に応じて入射光の進入長が変化する。このことは、欠陥における閉じ込めの有効キャビティ長さを変化させることに相当する。本発明では、このようにフォトニック結晶の表面形状を制御することで、好ましくは欠陥層の厚さを変化させずに出力される欠陥モードの振動数を変化させることができる。
以下、図面にしたがって本発明の3次元フォトニック結晶システムの好ましい具現例について説明する。図1は、本発明の3次元フォトニック結晶システムの基本構成を表す概念図である。
[I. 3次元フォトニック結晶システムの基本構成]
図1に示されるように、この3次元フォトニック結晶システム(1)は、上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶(2,3)と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層(4)とを具備する、3次元フォトニック結晶システムである。
本発明の3次元フォトニック結晶システムでは、上記のような構成をとるので、欠陥層と接する3次元フォトニック結晶表面の誘電特性を変化させることができ、欠陥層と3次元フォトニック結晶表面との相互作用を調整できる。これにより、本発明の3次元フォトニック結晶システムは、様々な欠陥モードの出力を得ることができる。
[I-1.3次元フォトニック結晶]
このような3次元フォトニック結晶としては、公知の3次元フォトニック結晶を採用できる。
3次元フォトニック結晶は、誘電体が3つの異なる方向に沿って周期的に配列している(誘電率の変化が3つの方向で周期的に起こる)結晶である。3次元フォトニック結晶を構成する誘電体としては、銅、金、銀、白金、鉛、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、インジウム、アンチモン、テルル、バリウム、ビスマス、これらの窒化物、酸化物、フッ化物、硫化物、塩化物、臭化物、及びこれらの合金、空気などが挙げられる。3次元フォトニック結晶を構成する誘電体として、好ましくは、ケイ素、二酸化ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、およびこれらの混合物のいずれかにより構成されるものである。
[I.I.I. 3次元フォトニック結晶の例]
以下、3次元フォトニック結晶の例を説明する。先に説明したとおり、3次元フォトニック結晶を製造する方法は確立されており、本発明では公知の製造方法にしたがって3次元フォトニック結晶を製造できる。
(3次元フォトニック結晶の例1)
図12は、「T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001」(非特許文献1)に開示された3次元フォトニック結晶を示す図である。図12に示されるとおり、この例における3次元フォトニック結晶は、複数の層(5)から構成され、3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層(5)は、少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッド(6)からなるロッド部(7)と、前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部(8)とを有し、前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面(9)と、メッシュ部からなるメッシュ面(10)とを有する。
図2は、図12に示される3次元フォトニック結晶を用いたフォトニック結晶システムの例である。2つの3次元フォトニック結晶のうち入射光方向にあるものを第1の3次元フォトニック結晶(2)、残りを第2の3次元フォトニック結晶(3)とし、前記第1の3次元フォトニック結晶の面うち入射光方向にある面を第1面(11)、欠陥層に接する面を第2面(12)とし、前記第2の3次元フォトニック結晶の面うち欠陥層に接する面を第3面(13)、第3面と対向する面を第4面(14)とすると、[(i)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システム(図2(a))、(ii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システム(図2(b))、(iii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システム(図2(c))、または(iv)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システム(図2(d))]からなる群から選ばれるフォトニック結晶システムが挙げられる。
この例では、高抵抗シリコン(ε=11.4)(及び空気ε=1)をフォトニック結晶の誘電体として選択した。しかしながら、フォトニック結晶に用いられる誘電体としては、シリコン、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、及びこれらの合金、空気などを適宜用いてもよい。
この例では、5つの層からなるフォトニック結晶を用いたが、層の数は2層以上であれば特に限定されず、たとえば2層〜1000層、3層〜100層、4層〜200層、4層〜10層、4層〜20層、5層〜10層、10層〜100層の間で適宜選択すればよい*1。
メッシュ部は各ロッドを連結し支えるための部分であり、その幅としては、1nm〜100cmが挙げられ、より具体的には、1nm〜500nm、2nm〜100nm、5nm〜10nm、5nm〜50nm、10nm〜1000nm、1μm〜500μm、2μm〜100μm、5μm〜10μm、5μm〜50μm、10μm〜1000μm、1mm〜500mm、2mm〜100mm、5mm〜10mm、5mm〜50mm、10mm〜1000mmが挙げられる。メッシュ部の幅は、通常ロッドの幅(直径)と同様とすればよい。なお、メッシュ部の幅に応じて、フォトリソグラフィー、リソグラフィー、エッチング、機械切削などふさわしい製造方法を選択することによりこれらのフォトニック結晶層を製造できる。
ロッド部の形状としては、正方形柱などの矩形柱、円柱、多角形柱、多角錐、円錐、楕円錐などが挙げられ、好ましくは正方形柱である。
ロッドの幅(矩形であればその長辺、ロッドが円柱状であればその直径)としては、上記のメッシュ部の幅と同様のものを適宜選択できる。ロッドの長さとしては、上記メッシュ部の幅と同様のものを適宜選択できる。
ロッドの配置は、2つの方向に周期的な配置であれば特に限定されない。このようなロッドの配置としては、たとえばX軸方向及びY軸方向にそれぞれ等間隔に周期的に設けられているもの、X軸方向及びY軸方向に周期的に設けられているが、X軸方向の周期とY軸方向の周期とが異なるもの、X軸方向とX軸に対して所定の角度を持つ方向とに周期的に設けられているものなどが挙げられる。ロッド周期は、入射光の波長などにあわせて設定すればよい。ロッドの周期のうち少なくともひとつが、10μm〜10cmの周期が挙げられる。比較的大きなロッドの周期としては、1mm〜10cm、1mm〜5cm、0.1mm〜10mm、0.1mm〜100mm、5mm〜100mm、10mm〜100mmが挙げられる。*2このような大きなロッド間隔であれば、入射光として、大きな波長を有する光源を採用できる。また、3次元フォトニック結晶も切削技術などを用いて比較的容易に製造できる。比較的小さなロッドの周期としては、10nm〜100μm、10μm〜100μm、10μm〜50μm、20μm〜40μm、30μm〜90μmなどが挙げられる。
各層のロッドの本数は、3次元フォトニック結晶としての機能を担保できる本数であれば特に限定されない。この本数が多いほど、より大きな出力が得られるので好ましいが、この本数が多いと、費用がかかり体積も大きくなる。したがって、各層のロッド本数としては、25本〜1億本、25本〜500本、30本〜100本、50本〜200本、100本〜300本、1000本〜1万本、1万本〜10万本、10万本〜100万本、100万本〜1000万本、1000万本〜5000万本などが挙げられる。
(3次元フォトニック結晶の例2)
上記の例1、及び例2では、メッシュの交点から垂直に伸びるロッドによりフォトニック結晶を構成する各層が構成されたが、フォトニック結晶としてはこのような形状のものに特に限定されない。フォトニック結晶としては、ヤボロノバイト(Yablonovite)として知られる穿孔構造を有するもの(たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行の87頁)が挙げられる。
(3次元フォトニック結晶の例3)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図13に示される3次元フォトニック結晶が挙げられる。図13は、特開平11-183735号公報(特許文献1)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。
(3次元フォトニック結晶の例4)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図14に示される3次元フォトニック結晶が挙げられる。図14は、特開平11-183735号公報(特許文献1)の図2に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。
(3次元フォトニック結晶の例5)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図15に示される3次元フォトニック結晶が挙げられる。図15は、特開平4−180283号公報(特許文献2)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。
(3次元フォトニック結晶の例6)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図16に示される3次元フォトニック結晶が挙げられる。図16は、米国特許5,600,483号明細書(特許文献3)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。
(3次元フォトニック結晶の例7)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図17に示される3次元フォトニック結晶が挙げられる。図17は、特開平10−335758号公報(特許文献4)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。
[1.2.欠陥層]
欠陥層は、2つの3次元フォトニック結晶に挟まれた部分に存在する層であり、フォトニック結晶と異なる誘電率を有するものによって構成される層である。欠陥層を構成する誘電体としては、フォトニック結晶と異なる誘電率を有するものであれば特に限定されない。このような誘電体としては、銅、金、銀、白金、鉛、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、インジウム、アンチモン、テルル、バリウム、ビスマス、これらの窒化物、酸化物、フッ化物、硫化物、塩化物、臭化物、及びこれらの合金、空気などを適宜用いてもよい。欠陥層を構成する誘電体として、好ましくは空気層、または亜鉛、テルル、およびこれらの合金(テルル化亜鉛など)である。
欠陥層の厚さとしては、1nm〜100cmが挙げられ、より具体的には、1nm〜500nm、2nm〜100nm、5nm〜10nm、5nm〜50nm、10nm〜1000nm、1μm〜500μm、2μm〜100μm、5μm〜10μm、5μm〜50μm、10μm〜1000μm、1mm〜500mm、2mm〜100mm、5mm〜10mm、5mm〜50mm、10mm〜1000mmが挙げられる。
[II.3次元フォトニック結晶システムの作用]
3次元フォトニック結晶システムの作用は後述の実施例において説明されるとおりである。すなわち、フォトニック結晶の表面形状に応じて入射光の進入長が変化する。このことは、欠陥における閉じ込めの有効キャビティ長さを変化させることに相当する。本発明では、このようにフォトニック結晶の表面形状を制御することで、出力される面欠陥モードの振動数を変化させるのである。このようにすれば、欠陥層の厚さを変化することなく、出力される欠陥モードの振動数を調整できる。本発明においては、基本的には欠陥層と、3次元フォトニック結晶表面との相互作用を調整するので、欠陥層に接する3次元フォトニック結晶の表面物性や欠陥層の物性を制御し望ましい欠陥モードの出力を得ればよい。このような調整方法としては、2つの3次元フォトニック結晶の向きを変える方法、欠陥層の厚さを制御する方法、3次元フォトニック結晶におけるロッドの長さを調整する方法、3次元フォトニック結晶におけるロッドの周期を調整する方法などが挙げられる。以下、本発明の実現例を実施例にしたがって説明する。
(1.1.フォトニック結晶層の準備)
まず、厚さが0.4mmの高抵抗シリコン(ε=11.4)で作られた擬単純立方格子フォトニック結晶を準備した[Sozuer, H. S., and Haus, J. W., 1993, J. Opt. Soc. Am. B, 10, 296.]。ダイヤモンド・ソーを用いて、ウェーハ上にx、y方向(スラブに平行)に各々0.4mmピッチで幅と深さが0.29mmの溝を作った。x、y方向の溝の交差領域を、ウェットエッチング手法によって裏側から孔を作った。これらの孔は完全な正方形の孔ではなく部分的に四角錐で置き換えられているので、以下では「擬似」という用語を用いる。このフォトニック結晶層は、xy方向のメッシュ部と、そのメッシュ部の各交点から伸びるロッドとを含む。
このようにしてz方向(スラブに垂直な方向)の最上部と底部とに二つの異なる表面を得た。すなわち、製造されたフォトニック結晶層の一つの表面は、複数のロッドを含む面(ロッド面)であり、もう一つの面はメッシュ状の面(メッシュ面)であった。この空孔を有するフォトニック結晶スラブの格子定数は、0.4mmであった。この結晶の空孔充填率は、0.82であった。フォトニック結晶スラブの各層は、約170個の単位セルを含んでいた。なお、このフォトニック結晶は、文献「Aoki, T., Takeda M. W., Haus, J. W., et al., 2001, Phys. Rev. B, 64, 045106.」(非特許文献1)に記載の方法にしたがって製造した。
(1.2.フォトニック結晶の準備)
先に製造したフォトニック結晶層を4層積み重ねたフォトニック結晶を2つ作成した。すなわち、本実施例で用いられるフォトニック結晶は、文献「Aoki, T., Takeda M. W., Haus, J. W., et al., 2001, Phys. Rev. B, 64, 045106.」の図1(本願の図12)に開示されたフォトニック結晶である。また、ロッドの長さは0.29mmであった。
(1.3.欠陥層の準備)
欠陥層として厚さ0.4mmのテルル化亜鉛(ε=10.4)を準備した。
(1.4.フォトニック結晶システムの準備)
2セットの4層フォトニック結晶スラブの間に欠陥層として厚さ0.4mmのテルル化亜鉛(ε=10.4)を入れた。フォトニック結晶スラブは、前述のように二つのタイプの表面が存在した。フォトニック結晶を2つ組み合わせたフォトニック結晶スラブは、入射光の方向を区別すると、4つのタイプが存在する。図3に、4つのタイプのフォトニック結晶スラブ(システム)を示す。図3で、光が伝播する方向は、左から右である。フォトニック結晶キャビティのタイプ(a)の左(入射側)面はロッド面であり、右面はメッシュ面である。欠陥に対する界面は、入射側から順にメッシュ面とロッド面である。タイプ(b)ではこの関係は、完全に逆になる。z方向のスラブの非対称性を反映してタイプ(a)、(b)は、非対称キャビティである。今後、タイプ(a)を非対称Aと呼び、タイプ(b)を非対称Bと呼ぶ。非対称Aと非対称Bとに関して入射側フォトニック結晶スラブの積層方向を逆にして、それぞれタイプ(c)(対称A)とタイプ(d)(対称B)を得た。これら二つは、それらの欠陥の中心面に関して鏡面対称であった。こうして4タイプのキャビティを準備した。
なお、欠陥層の厚さ、ロッドの長さ、ロッドの間隔等を適宜修正し所望の周波数を有する電磁波を得ることは本発明の好ましい別の実施態様である。
(2.測定方法)
本実施例では、振動数を測定するためにテラヘルツ時間領域分光法を用いた。図4に、振動数を測定装置のブロック図を示す。水蒸気によるTHz吸収を減少させるために測定用のすべての光学的構成要素を真空ボックスに入れた。エミッタとディテクタとの励起源としてモード同期エルビウム・ファイバ・レーザー(TMRA、フェムトライト780)を使用した。これは、そのレーザーの中心波長が約780nmであり、100フェムト秒(FWHM)パルスを生成する。パルスの反復速度は、48メガヘルツであった。20ミリワットのフェムト秒パルスを、50:50の比率でエミッタ・ラインとディテクタ・ラインとに分割した。チョッパーの周期は12kHz以上とした。
エミッタ・ライン用のポンプパルスは、低温成長ガリウム・ヒ素膜で作られた光伝導性(ボータイ)アンテナの偏ったギャップに対物レンズを使用して、焦点を合わせた。放射されるTHz電磁波を、十分に分極化(50:1)した。この電磁波は、1対の軸はずれ放物面鏡によって平行にされて試料に焦点を合わせた。透過した電磁波は、別の1対の軸をずらした放物面鏡によって再び平行にされて検出器に焦点を合わせた。この検出器は、光導電性(ボータイ)アンテナでもある。
プローブパルスは、遅延ラインを通って検出器に到達する。これらのプローブパルスは、光導電性のサンプル検出器を制御する。電流計は、試料を透過したTHz電磁界によって誘導された検出器からの直流光電流を測定する。ポンプパルスに対するプローブパルスのタイミングを遅らせることによって、THz電磁界に関する時間領域の波形を再構成した。この波形をフーリエ変換することによって、振動数領域のスペクトルを得た。測定の解像度は、遅延ラインの長さの逆数によって決定される。実験では16.38mm長さの遅延ラインを採用した。したがって測定の解像度は、0.06cm-1であった。
(3.シミュレーション)
3次元有限差時間領域(FDTD)法を用いて実験をシミュレートした。FDTD法は、「Yee, K. S., 1966, IEEE Trans. Anntennas Propag., 14, 302.」、及び「Taflove, A., Hagness, S. C., 2000, Computational Electrodynamics: The finite difference time-domain method, 2nd ed. (Norwood: ARTECH HOUSE, INC.)」に記載されている。本実施例で用いたプログラムは、各境界に20層の完全整合層(PML)を含んだものとした。テラヘルツ電磁波をシミュレートするために、持続時間が1ピコ秒のガウスパルスの微係数を使用した。欠陥モードのスペクトルを得るために500psのフーリエ積分を取り、空間分布を計算するために200psの長さのフーリエ積分を取った。本実施例で用いたフォトニック結晶キャビティは、有限の幾何学形状であったので、周期的境界条件を想定しなかった。フォトニック結晶の各層に9×9個の単位セルを想定した。フォトニック結晶の「擬似」形状要素は考慮しなかった。
(4.分析)
図5に、非対称Aキャビティと非対称Bキャビティとに関する透過スペクトルを示す。縦方向は、欠陥モードの表示を可能にする。欠陥モードは、6.8cm-1で見ることができる。これらは、互いに類似のスペクトルを示したが、バンドギャップ領域の外側に不一致が見られた。これは、入射光と、フォトニック結晶の入射側における表面形状との間の結合カップリングの有効性によってもたらされたと考えられる。
図6に、対称Aキャビティと対称Bキャビティとに関する透過スペクトルを示す。欠陥モードは、対称Aキャビティに関しては6.3cm-1と10.5cm-1とに現れている。対称Bキャビティに関しては、欠陥モードは7.2cm-1に現れている。欠陥モードの振動数によって、これらのキャビティの有効光学長さを比較できる。対称Aキャビティの場合、比較のためにより低い振動数の欠陥モードをとる。この欠陥モードの振動数は、対称Aキャビティに関して最も低い。最高振動数は、対称Bキャビティの欠陥モードに関して見られる。非対称A(B)キャビティに関する欠陥モードの振動数は、対称Aキャビティに関する欠陥モードの周波数と対称Bキャビティに関する欠陥モードの周波数との間にある。この関係は、メッシュ界面がキャビティの有効光学長さを最短に制限することを教えている。こうして界面プロファイルの変化が欠陥モードの振動数を変化させ得ることが明らかになった。
欠陥モードをより詳細に調査するために、FDTDシミュレーションを行った。図7は、FDTDシミュレーションの結果を示すグラフである。図7(a)は、非対称フォトニック結晶キャビティに関する計算された透過スペクトルを示す。欠陥モードの振動数は、0.3cm-1内における実験と一致する。「擬」単純立方格子フォトニック結晶の構造が完全にはシミュレートされなかったので、ピークの強度は実験値とは異なっている。図7(b)は、欠陥モード付近の透過スペクトルである。図7中、太線は、対称がAのもの、点線は、対称がBのもののグラフである。
図8は、非対称フォトニック結晶キャビティ内の欠陥モードに関する電界の計算された空間分布を示す。図中、白色で表される部分は、電界の強度を示す。図8(a)から、フォトニック結晶の左界面に沿って電界が集中していることがわかる。左界面は、メッシュ面である。図8(b)では、電界が再びメッシュ面に沿って集中していることが確認される。最も誘電性の材料が含まれるメッシュ面では、表面モードはバンドギャップ内の最低振動数領域にあると考えられる(Meade, R. D., Brommer, K. D., Rappe, A. M., and Joannopoulos, J. D., 1991, Phys. Rev. B, 44, 10961.)。
非対称A、Bキャビティに関する欠陥モードの振動数は、誘電バンドに近いので、表面モードの範囲に入ると考えられる。これらの欠陥モードは、表面モードによって支援されている。図9は、非対称A、Bキャビティに関する欠陥モードの透過率を示す。欠陥モードは界面の片側に集中するので、欠陥モードの透過率は互いに異なっている。非対称Bキャビティでは欠陥モードは、光の出口側の界面に沿って集中している。非対称Aキャビティより多くの光が出力された。非対称キャビティの表面モードによって支援される平面欠陥モードは、光スイッチング素子として使用される可能性がある。
図8は、対称フォトニック結晶キャビティに関する計算された透過スペクトルを示す。対称A構造(図9(a))に関して、われわれは6.5cm-1と10.0cm-1とにおいて欠陥モードを得た。対称B構造(図9(b))に関しては、7.5cm-1において欠陥モードを得た。実験値との差は、0.5cm-1以内である。今後、欠陥モードというときは実験の振動数を使用する。
図10は、対称Aキャビティに関する欠陥モードの計算された空間分布を示す。図10(a)から、電界がフォトニック結晶の誘電体部分に広がっていることがわかる。これは、欠陥モードとバンドエッジにおける定在波とがカップリングした結果である。このモードは、ファブリ・ペロー共振器の縦モードに似た共振条件に合っており、振動数はバンドエッジに近かった。フォトニック結晶の反射を利用しないので、振動数の高透過率領域にもかかわらず、このモードが形成された。このモードはまた、バンドエッジにおける定在波の性質として低い群速度を持っていると考えられる(「Sakoda, K., and Ohtaka, K., 1996, Phys. Rev. B., 54, 5747.」、「Sakoda, K., 2001, 『Optical Properties of Photonic Crystals』, (Berlin Heidelberg: Springer-Verlag).」)。
図10(b)から、10.5cm-1における欠陥モードがフォトニック結晶の界面に沿って集中していることがわかる。この界面の構造はロッド面であった。ロッド面は、最も誘電性の低い材料を含んでいる。ロッド面上の表面モードは、バンドギャップ内の最高振動数領域であると考えられる(T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001)。欠陥モードの振動数は、真空バンドに近いので、ロッド面上の表面モードの領域に入る。図10(b)では欠陥層内の電界分布のピークの数はこの欠陥モードに関して3個であることにも注目した。6.3cm-1における欠陥モードは、図10(a)の欠陥層の内部に単一ピークを持っている。
欠陥層内に電界分布の2個のピークを持つべき欠陥モードは、そのピーク強度がわずかであった。これは、バンドエッジにおける定在波との関係、または表面モードとの関係を持たない欠陥モードが透過スペクトル内にそれほど大きなピークを形成できないことを示唆している。これは、3次元フォトニック結晶からの反射を考慮することによって理解できる。この反射は、実際には回折によるものである。3次元フォトニック結晶においては、回折は法線方向から種々の方向に向かって発生する。これはキャビティ形成の有効性を低下させる。よって、キャビティを形成するために3次元フォトニック結晶を使用するときは、表面モードの、あるいはバンドエッジにおける定在波を利用するとよいことがわかる。
図11では、対称Bキャビティの欠陥モードがフォトニック結晶の界面に沿って集中していることが見られる。界面の構造はメッシュ面である。前述の部分で見られるようにこの界面は、その振動数範囲が誘電バンドに近い表面モードを維持している。欠陥モードの振動数は誘電バンドに近いので、これらの界面上の表面モードによって支援されている。
(5.まとめ)
本実施例では、フォトニック結晶の界面プロファイルの修正による平面欠陥モードの制御を実証した。特に、本実施例において、ファブリ・ペロー共振子に関する縦モードに似た平面欠陥モードを実験と理論計算により求め、以下の事柄を確認した。すなわち、欠陥モードの振動数が表面モードの領域に入ってくると、欠陥モードは表面モードによって支持される。もし欠陥モードの振動数がバンドエッジに近ければ、欠陥モードはバンドエッジにおける定在波に結合する。そうでなければ平面欠陥モードは、透過時にそれほど強いピークを形成しない可能性がある。
本発明の3次元フォトニック結晶システムは、所定の欠陥モードを得ることができるので、光波回路素子として有効に利用できる*3。
図1は、本発明の3次元フォトニック結晶システムの基本構成を表す概念図である。 図1に示される3次元フォトニック結晶を用いたフォトニック結晶システムの例である。図2(a)は、(i)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システムを表す。図2(b)は、(ii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システムを表す。図2(c)は、(iii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システムを表す。図2(d)は、(iv)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システムを表す。 4つのタイプのフォトニック結晶キャビティの構成を示す図。図3(a):ロッド面は左表面に置かれ、メッシュ面は右表面に置かれている。図3(b):タイプ(a)の逆である。図3(c):図3(a)の左側フォトニック結晶スラブが逆のもの。図3(d):図3(b)の左側フォトニック結晶スラブが逆のもの。 図4は、測定装置のブロック図である。 図5は、非対称フォトニック結晶キャビティに関する透過スペクトルを示すグラフである。図5(a)は、非対称Aの透過スペクトルを表し、図5(b)は非対称Bの透過スペクトルを表す。 図6は、対称フォトニック結晶キャビティに関する透過スペクトルを示すグラフである。図6(a)は対称Aの透過スペクトルを表し、図6(b)は対称Bの透過スペクトルを表す。 図7は、非対称フォトニック結晶キャビティに関する計算された透過スペクトルを表すグラフである。図7(a)は、全体プロファイル(0〜15cm-1)を表し、図7(b)は、欠陥モードを中心とした拡大図(6.5〜7.5cm-1)を表す。 図8は、計算による非対称フォトニック結晶キャビティにおける欠陥モードに関する電界の空間分布を示す図である。図8(a)は非対称Aの電界の空間分布を示し、図8(b)は非対称Bの電界の空間分布を示す。 図9は、計算による対称フォトニック結晶キャビティに関する透過スペクトルを表すグラフである。図9(a)は対称Aの透過スペクトルを表し、図9(b)は対称Bの透過スペクトルを表す。 図10は、計算による対称Aフォトニック結晶キャビティにおける欠陥モードに関する電界の空間分布を示す図である。図10(a)は、波数が6.3cm-1の場合の電界の空間分布を表し、図10(b)は、波数が10.5cm-1。場合の電界の空間分布を表す。 図11は、計算による対称Bフォトニック結晶キャビティにおける欠陥モード(7.2cm-1)に関する電界の空間分布を示す図である。 図12は、「T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001」(非特許文献1)に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図13は、特開平11-183735号公報(特許文献1)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図14は、特開平11-183735号公報(特許文献1)の図2に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図15は、特開平4−180283号公報(特許文献2)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図16は、米国特許5,600,483号明細書(特許文献3)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図17は、特開平10−335758号公報(特許文献4)の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。
符号の説明
1 3次元フォトニック結晶システム()は、
2第1の3次元フォトニック結晶
3第2の3次元フォトニック結晶
4欠陥層
53次元フォトニック結晶を構成する層
6 ロッド
7 ロッド部
8メッシュ部
9ロッド面
10 メッシュ面
11 第1の3次元フォトニック結晶の第1面
12 第1の3次元フォトニック結晶の第2面
13 第2の3次元フォトニック結晶の第3面
14 第2の3次元フォトニック結晶の第4面

Claims (11)

  1. 上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層とを具備し、前記欠陥層と接する3次元フォトニック結晶の向きを変化させることにより、面欠陥モードの振動数を表面モードの範囲内とするか,又は面欠陥モードがバンドエッジにおける定在波と結合する範囲とした3次元フォトニック結晶システム。
  2. 前記3次元フォトニック結晶は、複数の層から構成され、
    前記3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層は、
    少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッドからなるロッド部と、
    前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部とを有し、
    前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面と、メッシュ部からなるメッシュ面とを有する請求項1に記載の3次元フォトニック結晶システム。
  3. 前記2つの3次元フォトニック結晶のうち入射光方向にあるものを第1の3次元フォトニック結晶、残りを第2の3次元フォトニック結晶とし、
    前記第1の3次元フォトニック結晶の面うち入射光方向にある面を第1面、欠陥層に接する面を第2面とし、
    前記第2の3次元フォトニック結晶の面うち欠陥層に接する面を第3面、第3面と対向する面を第4面とすると、
    前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システム、
    前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システム、
    前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システム、又は
    前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システム、
    からなる群から選ばれる請求項2に記載のフォトニック結晶システム。
  4. 前記3次元フォトニック結晶は、ケイ素、二酸化ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、およびこれらの混合物のいずれかにより構成される請求項1〜3のいずれかに記載の3次元フォトニック結晶システム。
  5. 前記欠陥層は、空気層、または亜鉛、テルル、およびこれらの合金のいずれかにより構成される請求項1〜3のいずれかに記載の3次元フォトニック結晶システム。
  6. 前記3次元フォトニック結晶におけるロッドの周期のうち少なくともひとつが、10μm〜10cmの周期である請求項2、又は請求項3に記載の3次元フォトニック結晶システム。
  7. 前記3次元フォトニック結晶における各層のロッドの数が25本〜1億本のいずれかの本数である請求項2、又は請求項3に記載の3次元フォトニック結晶システム。
  8. 上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層とを具備する3次元フォトニック結晶システムを用いた欠陥モードの調整方法であって、 前記欠陥層の向き又は厚さを調整するか、または、フォトニック結晶の誘電体の周期を調整することにより 前記欠陥層と接する3次元フォトニック結晶の表面の誘電特性を調整する
    欠陥モードの調整方法。
  9. 前記3次元フォトニック結晶は、
    複数の層から構成され、
    3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層は、
    少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッドからなるロッド部と、
    前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部とを有し、
    前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面と、メッシュ部からなるメッシュ面とを有する請求項8に記載の欠陥モードの調整方法。
  10. 前記2つの3次元フォトニック結晶のうち入射光方向にあるものを第1の3次元フォトニック結晶、残りを第2の3次元フォトニック結晶とし、
    前記第1の3次元フォトニック結晶の面うち入射光方向にある面を第1面、欠陥層に接する面を第2面とし、
    前記第2の3次元フォトニック結晶の面うち欠陥層に接する面を第3面、第3面と対向する面を第4面とすると、
    前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システム、
    前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システム、
    前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システム、
    前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システム、
    からなる群から選ばれるフォトニック結晶システムである
    請求項9に記載の欠陥モードの調整方法。
  11. 前記欠陥層と接する3次元フォトニック結晶の表面の誘電特性を調整し、面欠陥モードの振動数を表面モードの範囲内とするか、又は面欠陥モードがバンドエッジにおける定在波と結合する範囲とする請求項8に記載の欠陥モードの調整方法。
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