JP4006527B2 - 表面モードを出力する3次元フォトニック結晶システム - Google Patents

表面モードを出力する3次元フォトニック結晶システム Download PDF

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Description

本発明は、3次元フォトニック結晶を用いて表面モードの出力を得る方法、及びそのような出力を得るシステムなどに関する。
周期性誘電体構造は、フォトニック結晶として知られている(たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行)。特に3次元フォトニック結晶は、誘電体が3つの異なる方向に沿って周期的に配列している光学デバイスであり、近年注目されている。このような3次元フォトニック結晶を実際に製造する方法も知られている(たとえば、非特許文献1(「T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001」)参照。)。図14は、そのような3次元フォトニック結晶の例を示す図である。
フォトニック結晶は、特有の光学的特性を持ち、光学、電気光学および光通信を含む幾つかの分野で応用されている(「Ohtaka, K., 1979, Phys. Rev. B, 19, 5057.」、「Yablonovich, E., 1987, Phys. Rev. Lett., 58, 2059.」、「Bowden, C. M., Dowling, J. P., and Everitt, H. O., 1993, 『Special Issue on Development and Applications of Materials Exhibiting Photonic Band Gaps』, J. Opt. Soc. Am. B, 10.」、「Wada, M., Doi, Y., Inoue, K., and Haus, J. W., 1997, Phys. Rev. B, 55, 10443.」)。
フォトニック結晶の最大の特徴は、そのフォトニック・バンドギャップ(PBG)である(たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行、44頁)。すなわち、フォトニック結晶は、PBGにおいて表面電磁波を維持できるという特性がある(「Meade, R. D., Brommer, K. D., Rappe, A. M., and Joannopoulos, J. D., 1991, Phys. Rev. B, 44, 10961.」、「Robertson, W. M., Arjavalingam, G., Meade, R. D., et al., J. D. 1993, Opt. Lett., 18, 528.」)。
フォトニック結晶上の表面電磁波は、光学装置の設計に寄与すると考えられている(Kitson, S. C., Barnes, W. L. and Sambles, J. R., 1996, Phys. Rev. Lett., 77, 2670)。すなわち、フォトニック結晶に欠陥が導入された場合、局所化された電磁モードが、バンドギャップ内の振動数で発生する(Yablonovitch, E., Gmitter, T. J., Meade, R. D., et al., 1991, Phys. Rev. Lett., 67, 3380.)。
このようなフォトニック結晶による出力として、表面モードがある。3次元フォトニック結晶を用いた表面モードの出力方法は、既に知られている(例えば、下記非特許文献2(Robertson, W. M., Arjavalingam, G., Meade, R. D., et al., J. D. 1993, Opt. Lett., 18, 528.)参照)。図15は、このような表面モードの出力装置の概略構成図である。図15に示されるように、この出力装置は、変調可能なダイオードレーザ101と、多層102と、多層上のガラススライド103と、プリズム104と、ガラススライドとプリズムとの間の流体105と、プリズムなどを回転可能に支持するターンテーブル106と、プリズムからの出力を観測する光検出器107とを具備する。そして、ダイオードレーザからの出力は、プリズムを経て、光検出器により観測される。その際、プリズムが適切な角度となるようにターンテーブルが、プリズムの角度を調整する。この装置では、3次元フォトニック結晶を用いて、表面モードの出力を得ることができる。しかしながら、この方法では、表面モードを得るためにプリズムを用いなければならない。また、出力される表面モード光の振動数を制御できないなど、出力光を調整できないという問題がある。
T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001 Robertson, W. M., Arjavalingam, G., Meade, R. D., et al., J. D. 1993, Opt. Lett., 18, 528.
本発明は、3次元フォトニック結晶を用いて表面モードの出力を得る方法、及びそのようなフォトニック結晶システムなどを提供することを目的とする。
本発明は、周波数や出力強度などを従来にくらべて容易に調整できる表面モードの出力を得る方法、及びそのような出力をえるためのフォトニック結晶システムなどを提供することを別の目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、より具体的には、以下に示すような表面モードを出力する3次元フォトニック結晶システムや、表面モードの出力方法に関する発明などが挙げられる。
(1)本発明の3次元フォトニック結晶システムは、上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層とを具備する表面モードを出力するための3次元フォトニック結晶システムである。
本発明の3次元フォトニック結晶システムでは、3次元フォトニック結晶を分光分析などにより表面モードの出力を得られることを確認し、光を一方のフォトニック結晶の端部に閉じ込めることができるので、所望の表面モードの出力を得ることができる。また、欠陥層の厚さを制御することで、出力される表面モードの特性を制御できる。
(2)本発明の3次元フォトニック結晶システムの好ましい態様としては、前記3次元フォトニック結晶(1)が、複数の層(5)から構成され、3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層(5)は、少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッド(6)からなるロッド部(7)と、前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部(8)とを有し、前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面(9)と、メッシュ部からなるメッシュ面(10)とを有する上記(1)に記載の3次元フォトニック結晶システムが挙げられる。
この3次元フォトニック結晶システムでは、ロッド面と、メッシュ面とが異なる誘電特性を有している。ロッド面やメッシュ面の周期などを調整することにより、出力される表面モードの特性を調整できる。したがって、所望の表面モードの出力を得られる。
(3)本発明の3次元フォトニック結晶システムの好ましい態様としては、前記3次元フォトニック結晶は、ケイ素、二酸化ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、およびこれらの混合物のいずれかにより構成される上記(1)又は(2)に記載のフォトニック結晶システムが挙げられる。
(4)本発明の3次元フォトニック結晶システムとして、好ましくは、前記3次元フォトニック結晶は、シリコンからなり、前記ロッドは、断面が0.29mm四方の正方形からなり、高さが0.29mmの四角柱状であり、前記ロッド部における、前記ロッドは0.4mmの周期で、格子点上に設けられ、前記欠陥層は、テルル化亜鉛からなる厚さ0.10mmの欠陥層である上記(2)に記載の3次元フォトニック結晶システムである。
(5)本発明の表面モードの出力方法は、上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層とを具備する3次元フォトニック結晶システムを用い、前記欠陥層の厚さ調整することで、平面欠陥モードの周波数を表面モードの存在範囲内とする表面モードの出力方法であって、前記2つの3次元フォトニック結晶の上面又は下面から前記欠陥層に向けて入力光を照射することにより前記欠陥層に対して平行な方向に表面モードの出力を得る、表面モードの出力方法に関する。より詳細には、フォトニック結晶を表面モードを得られる状態として、その状態のフォトニック結晶システムに光を照射する。すると、フォトニック結晶の端部に光を閉じ込めることができるので、表面モードの出力を得ることができる。
(6)表面モードの出力方法は、好ましくは、前記3次元フォトニック結晶は、複数の層から構成され、前記3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層は、少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッドからなるロッド部と、前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部とを有し、前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面と、メッシュ部からなるメッシュ面とを有し、前記3次元フォトニック結晶は、シリコンからなり、前記ロッドは、断面が0.29mm四方の正方形からなり、高さが0.29mmの四角柱状であり、前記ロッド部における、前記ロッドは0.4mmの周期で、格子点上に設けられ、前記欠陥層は、テルル化亜鉛からなる厚さ0.10mmの欠陥層である。
本発明によれば、フォトニック結晶を用いた表面モードの出力を得る方法、及びそのようなフォトニック結晶システムを提供できる。
本発明によれば、周波数や出力強度などを従来にくらべて容易に調整できる表面モードの出力を得る方法、及びそのような出力をえるためのフォトニック結晶システムなどを提供できる。
全ての層状物質は、ある終端に対して表面モードを持つ。表面モードは、結晶などの表面にモードが局在化したものである。モードが表面の両側でエバネッセント(指数的に減衰する状態)であるときだけ表面モードが実現される(たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行)。本明細書において、表面モードとは、好ましくは実質(bona fide)表面モードである。たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行の98頁に記載されているように、「バンドギャップとある与えられた傾きの表面に対して、局在化モードを許容するある終端表面を必ず見出すことができる」。
本発明では、上記の知見に基づき、3次元フォトニック結晶の表面モードが得られる状態を把握し、表面モード付近に欠陥層を設け、欠陥層を挟む形で別のフォトニック結晶を設置する。このようにして、表面モードを3次元フォトニック結晶の端部領域に局在化させて、表面モードによる出力を得る。なお、ある3次元フォトニック結晶の表面モード状態については、後述の分光分析によって検証できる。
そして、出力される表面モードの光の物性(周波数、強度、半値全幅など)は、たとえば、欠陥層の厚さや、3次元フォトニック結晶の誘電率(比)、3次元フォトニック結晶の周期、3次元フォトニック結晶の向き(方向、対称性)などを制御することにより制御できる。
以下、図面にしたがって本発明の3次元フォトニック結晶システムの好ましい具現例について説明する。図1は、本発明の3次元フォトニック結晶システムの基本構成を表す概略構成図である。
[3次元フォトニック結晶システムの基本構成]
図1に示されるように、この3次元フォトニック結晶システム(1)は、上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶(2,3)と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層(4)とを具備する、3次元フォトニック結晶システムである。なお、図1中、hv(ハーミュー)及び点線の矢印は、入力光を表し、hv’及び実線の矢印は、出力光を表す。すなわち、この3次元フォトニック結晶システムでは、入力光(hv)が、第1のフォトニック結晶(2)に入力されると第1のフォトニック結晶と欠陥層が接する面でモードが局在化する。所定の場合このモードは、表面モードである。表面モードは、出力光(hv’)として出力される。この際、第2の3次元フォトニック結晶(3)は表面モードを閉じ込めることに寄与する。なお図1中、9と10とは、物性のことなる表面を表し、たとえば、9はロッド面、10はメッシュ面などを表す。
[3次元フォトニック結晶]
本発明の3次元フォトニック結晶システムに用いられる3次元フォトニック結晶としては、公知の3次元フォトニック結晶を採用できる。
3次元フォトニック結晶は、誘電体が3つの異なる方向に沿って周期的に配列している(誘電率の変化が3つの方向で周期的に起こる)結晶である。3次元フォトニック結晶を構成する誘電体としては、銅、金、銀、白金、鉛、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、インジウム、アンチモン、テルル、バリウム、ビスマス、これらの窒化物、酸化物、フッ化物、硫化物、塩化物、臭化物、及びこれらの合金、空気などが挙げられる。3次元フォトニック結晶を構成する誘電体として、好ましくは、ケイ素、二酸化ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、およびこれらの混合物のいずれかにより構成されるものである。
[3次元フォトニック結晶の例]
以下、3次元フォトニック結晶の例を説明する。先に説明したとおり、3次元フォトニック結晶を製造する方法は確立されており、本発明では公知の製造方法にしたがって3次元フォトニック結晶を製造できる。
(3次元フォトニック結晶の例1)
図14は、「T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001」(非特許文献1)に開示された3次元フォトニック結晶を示す図である。図14(a)は、その3次元フォトニック結晶の概略図である。図14(b)は、図14(a)の3次元フォトニック結晶を模式的に表したものである。図14に示されるとおり、この例における3次元フォトニック結晶は、複数の層(5)から構成され、3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層(5)は、少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッド(6)からなるロッド部(7)と、前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部(8)とを有し、前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面(9)と、メッシュ部からなるメッシュ面(10)とを有する。
図2は、図14に示される3次元フォトニック結晶を用いたフォトニック結晶システムの例である。図2に示されるように、本明細書では2つの3次元フォトニック結晶のうち入射光方向にあるものを第1の3次元フォトニック結晶(2)、残りを第2の3次元フォトニック結晶(3)とし、前記第1の3次元フォトニック結晶の面うち入射光方向にある面を第1面(11)、欠陥層に接する面を第2面(12)とし、前記第2の3次元フォトニック結晶の面うち欠陥層に接する面を第3面(13)、第3面と対向する面を第4面(14)とする。
本発明のフォトニック結晶システムの例としては、[(i)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システム(図2(a))、(ii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システム(図2(b))、(iii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システム(図2(c))、または(iv)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システム(図2(d))]からなる群から選ばれるフォトニック結晶システムが挙げられる。
この文献の例では、高抵抗シリコン(ε=11.4)(及び空気ε=1)をフォトニック結晶の誘電体として選択した。しかしながら、フォトニック結晶に用いられる誘電体としては、シリコン、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、及びこれらの合金、空気などを適宜用いてもよい。
この例では、5つの層からなるフォトニック結晶を用いたが、層の数は2層以上であれば特に限定されず、たとえば2層〜1000層、3層〜100層、4層〜200層、4層〜10層、4層〜20層、5層〜10層、10層〜100層の間で適宜選択すればよい。
メッシュ部は各ロッドを連結し支えるための部分であり、その幅としては、1nm〜100cmが挙げられ、より具体的には、1nm〜500nm、2nm〜100nm、5nm〜10nm、5nm〜50nm、10nm〜1000nm、1μm〜500μm、2μm〜100μm、5μm〜10μm、5μm〜50μm、10μm〜1000μm、1mm〜500mm、2mm〜100mm、5mm〜10mm、5mm〜50mm、10mm〜1000mmが挙げられ、より具体的には、0.29mmが挙げられる。メッシュ部の幅は、通常ロッドの幅(直径)と同様とすればよい。なお、メッシュ部の幅に応じて、フォトリソグラフィー、リソグラフィー、エッチング、機械切削などふさわしい製造方法を選択することによりこれらのフォトニック結晶層を製造できる。
ロッド部の形状としては、正方形柱などの矩形柱、円柱、多角形柱(四角柱、三角柱、六角柱)、多角錐台、多角錐、円錐、円錐台、楕円錐などが挙げられ、好ましくは正方形柱である。
ロッドの幅(矩形であればその長辺、ロッドが円柱状であればその直径)としては、上記のメッシュ部の幅と同様のものを適宜選択できる。ロッドの長さとしては、上記メッシュ部の幅と同様のものを適宜選択でき、より具体的には、0.29mmが挙げられる。
ロッドの配置は、2つの方向に周期的な配置であれば特に限定されない。このようなロッドの配置としては、たとえばX軸方向及びY軸方向にそれぞれ等間隔に周期的に設けられているもの、X軸方向及びY軸方向に周期的に設けられているが、X軸方向の周期とY軸方向の周期とが異なるもの、X軸方向とX軸に対して所定の角度を持つ方向とに周期的に設けられているものなどが挙げられる。ロッド周期は、入射光の波長などにあわせて設定すればよい。ロッドの周期のうち少なくともひとつが、10μm〜10cmの周期が挙げられる。比較的大きなロッドの周期としては、1mm〜10cm、1mm〜5cm、0.1mm〜10mm、0.1mm〜100mm、5mm〜100mm、10mm〜100mmが挙げられ、より具体的には、0.40mmが挙げられる。このような大きなロッド間隔であれば、入射光として、大きな波長を有する光源を採用できる。また、3次元フォトニック結晶も切削技術などを用いて比較的容易に製造できる。比較的小さなロッドの周期としては、10nm〜100μm、10μm〜100μm、10μm〜50μm、20μm〜40μm、30μm〜90μmなどが挙げられる。
各層のロッドの本数は、3次元フォトニック結晶としての機能を担保できる本数であれば特に限定されない。この本数が多いほど、より大きな出力が得られるので好ましいが、この本数が多いと、費用がかかり体積も大きくなる。したがって、各層のロッド本数としては、25本〜1億本、25本〜500本、30本〜100本、50本〜200本、100本〜300本、1000本〜1万本、1万本〜10万本、10万本〜100万本、100万本〜1000万本、1000万本〜5000万本などが挙げられる。
(3次元フォトニック結晶の例2)
上記の例1では、メッシュの交点から垂直に伸びるロッドによりフォトニック結晶を構成する各層が構成されたが、フォトニック結晶としてはこのような形状のものに特に限定されない。フォトニック結晶としては、ヤボロノバイト(Yablonovite)として知られる穿孔構造を有するもの(たとえば、藤井、井上著『フォトニック結晶−光の流れを型にはめ込む−』コロナ社2000年発行の87頁)が挙げられる。
(3次元フォトニック結晶の例3)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図3に示されるように、光の波長の半分程度の大きさの周期を持った3次元半導体光結晶素子(3次元フォトニック結晶)3次元フォトニック結晶が挙げられる。図3は、特開平11-183735号公報の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。図3において、斜線の有無は誘電率の相違を示す。図3の結晶は、空孔が設けられている。
(3次元フォトニック結晶の例4)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図4に示されるように、光の波長の半分程度の大きさの周期を持った3次元フォトニック結晶が挙げられる。図4は、特開平11-183735号公報の図2に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。図4において、斜線の有無は誘電率の相違を示す。一方、図4の結晶は複数のロッド部を有している。
(3次元フォトニック結晶の例5)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図5に示されるように千鳥格子状の矩形状の複数の溝を有する3次元フォトニック結晶が挙げられる。図5は、特開平4−180283号公報の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。図5において、斜線の有無は誘電率の相違を示す。図5中、b1、w1は、各層の厚さを表す。図5中、x、yは、周期を表す。
(3次元フォトニック結晶の例6)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図6に示されるように空孔を有する3次元フォトニック結晶が挙げられる。図6は、米国特許5,600,483号明細書の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。図6において、斜線の有無は誘電率の相違を示す。図6の結晶では、複数の空孔が設けられている。
(3次元フォトニック結晶の例7)
他の3次元フォトニック結晶の例としては、図7に示されるように、自己クローニング法による3次元フォトニック結晶が挙げられる。図7は、特開平10−335758号公報の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。図7において、色の相違は誘電率の相違を示す。
[欠陥層]
欠陥層は、2つの3次元フォトニック結晶に挟まれた部分に存在する層であり、フォトニック結晶と異なる誘電率を有するものによって構成される層である。欠陥層を構成する誘電体としては、フォトニック結晶と異なる誘電率を有するものであれば特に限定されない。このような誘電体としては、銅、金、銀、白金、鉛、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、インジウム、アンチモン、テルル、バリウム、ビスマス、これらの窒化物、酸化物、フッ化物、硫化物、塩化物、臭化物、及びこれらの合金、空気などを適宜用いてもよい。欠陥層を構成する誘電体として、好ましくは空気層、または亜鉛、テルル、およびこれらの合金(テルル化亜鉛など)である。
欠陥層の厚さとしては、1nm〜100cmが挙げられ、より具体的には、1nm〜500nm、2nm〜100nm、5nm〜10nm、5nm〜50nm、10nm〜1000nm、1μm〜500μm、2μm〜100μm、5μm〜10μm、5μm〜50μm、10μm〜1000μm、1mm〜500mm、2mm〜100mm、5mm〜10mm、5mm〜50mm、10mm〜1000mmが挙げられ、更に具体的には、0.1mmが挙げられる。
[3次元フォトニック結晶システムの作用]
3次元フォトニック結晶システムでは、入力光(hv)が、第1のフォトニック結晶(2)に入力されると第1のフォトニック結晶と欠陥層が接する面でモードが局在化する。所定の場合このモードは、表面モードである。表面モードは、出力光(hv’)として出力される。この際、第2の3次元フォトニック結晶(3)は表面モードを閉じ込めることに寄与する。
出力される表面モードの光の物性(周波数、強度、半値全幅など)は、たとえば、欠陥層の厚さや、3次元フォトニック結晶の誘電率(比)、3次元フォトニック結晶の周期、3次元フォトニック結晶の向き(方向、対称性)などを制御することにより容易に制御できる。
[表面モードの確認方法]
先に説明したとおり、全ての3次元フォトニック結晶には、表面モード(実質表面モード)の出力があると考えられる。そして、そのような表面モードは、実施例に示される透過スペクトルを観測する分光法などにより確認できる。すなわち、3次元フォトニック結晶を構成する物質の種類(誘電率)、3次元フォトニック結晶の周期、3次元フォトニック結晶の方向(傾き)、3次元フォトニック結晶の表面状態、3次元フォトニック結晶システムの対称性、欠陥層の厚さなどを適宜変化させ、それぞれの状態において透過光分光により表面モードが得られるか確認できる。また、それら様々なパラメータを変化させることで、周波数や、強度、半値全幅など物性の異なる表面モードの出力を得ることができる。以下、本発明の実現例を実施例にしたがって説明する。
(1.1.フォトニック結晶層の準備)
まず、厚さが0.4mmの高抵抗シリコン(ε=11.4)で作られた擬単純立方格子フォトニック結晶を準備した[Sozuer, H. S., and Haus, J. W., 1993, J. Opt. Soc. Am. B, 10, 296.]。ダイヤモンド・ソーを用いて、ウェーハ上にx、y方向(スラブに平行)に各々0.4mmピッチで幅と深さが0.29mmの溝を作った。x、y方向の溝の交差領域を、ウェットエッチング法によって裏側から孔を作った。これらの孔は完全な正方形の孔ではなく部分的に四角錐で置き換えられているので、以下では「擬似」という用語を用いる。このフォトニック結晶層は、xy方向のメッシュ部と、そのメッシュ部の各交点から伸びるロッドとを含む。
このようにしてz方向(スラブに垂直な方向)の最上部と底部とに二つの異なる表面を得た。すなわち、製造されたフォトニック結晶層の一つの表面は、複数のロッドを含む面(ロッド面)であり、もう一つの面はメッシュ状の面(メッシュ面)であった。この空孔を有するフォトニック結晶スラブの格子定数は、0.4mmであった。この結晶の空孔充填率は、0.82であった。フォトニック結晶スラブの各層は、約170個の単位セルを含んでいた。なお、このフォトニック結晶は、文献「Aoki, T., Takeda M. W., Haus, J. W., et al., 2001, Phys. Rev. B, 64, 045106.」(非特許文献1)に記載の方法にしたがって製造した。
(1.2.フォトニック結晶の準備)
先に製造したフォトニック結晶層を4層積み重ねたフォトニック結晶を複数個作成した。すなわち、本実施例で用いられるフォトニック結晶は、文献「Aoki, T., Takeda M. W., Haus, J. W., et al., 2001, Phys. Rev. B, 64, 045106.」の図1(本願の図14)に開示されたフォトニック結晶である。また、ロッドの長さは0.29mmであった。
(1.3.欠陥層の準備)
欠陥層としてテルル化亜鉛(ε=10.4)を準備した。
(1.4.フォトニック結晶システムの準備)
2セットの4層フォトニック結晶スラブの間に欠陥層として厚さ0.25mm、0.20mm、0.15mm、および0.10mmのテルル化亜鉛(ε=10.4)を入れた。フォトニック結晶スラブ(システム)は、前述のように二つのタイプの表面が存在した。フォトニック結晶を2つ組み合わせたフォトニック結晶スラブは、入射光の方向を区別すると、図2に示される4つのタイプが存在する。本実施例では、図2(a)のタイプを用いて実験を行った。
なお、欠陥層の厚さ、ロッドの長さ、ロッドの間隔等を適宜修正し所望の周波数を有する電磁波を得てもよいことは、先に説明したとおりである。
(2.測定方法)
本実施例では、振動数を測定するためにテラヘルツ時間領域分光法を用いた。図8に、実験系の概略構成図を示す。図8中、21は実験系、22は励起源、23はフェムト秒ハ゜ルス、24は(調整可能な)テ゛ィレイライン、25はサフ゛テ゛ィレイライン、26はロックインアンフ゜、27はアンフ゜、28はレンス゛、29はテ゛ィテクタ、30は試料、31はエミッタ、32はレンス゛、33はテラヘルツハ゜ルス、34はテラヘルツハ゜ルスを表す。水蒸気によるTHz吸収を減少させるために測定用のすべての光学的構成要素を真空ボックスに入れた。エミッタとディテクタとの励起源としてモード同期エルビウム・ファイバ・レーザー(TMRA、フェムトライト780)を使用した。これは、そのレーザーの中心波長が約780nmであり、100フェムト秒(FWHM)パルスを生成する。パルスの反復速度は、48メガヘルツであった。20ミリワットのフェムト秒パルスを、50:50の比率でエミッタ・ラインとディテクタ・ラインとに分割した。
エミッタ・ライン用のポンプパルスは、低温成長ガリウム・ヒ素膜で作られた光伝導性(ボータイ)アンテナの偏ったギャップに対物レンズを使用して、焦点を合わせた。放射されるTHz電磁波を、十分に分極化(50:1)した。この電磁波は、1対の軸はずれ放物面鏡によって平行にされて試料に焦点を合わせた。透過した電磁波は、別の1対の軸をずらした放物面鏡によって再び平行にされて検出器に焦点を合わせた。この検出器は、光導電性(ボータイ)アンテナでもある。
プローブパルスは、遅延ラインを通って検出器に到達する。これらのプローブパルスは、光導電性のサンプル検出器を制御する。電流計は、試料を透過したTHz電磁界によって誘導された検出器からの直流光電流を測定する。ポンプパルスに対するプローブパルスのタイミングを遅らせることによって、THz電磁界に関する時間領域の波形を再構成した。この波形をフーリエ変換することによって、振動数領域のスペクトルを得た。測定の解像度は、遅延ラインの長さの逆数によって決定される。実験では80mmの長さの遅延ラインを採用した。したがって測定の解像度は、0.06cm-1であった。
(3.シミュレーション)
3次元有限差時間領域(FDTD)法を用いて実験をシミュレートした。FDTD法は、「Yee, K. S., 1966, IEEE Trans. Anntennas Propag., 14, 302.」、及び「Taflove, A., Hagness, S. C., 2000, Computational Electrodynamics: The finite difference time-domain method, 2nd ed. (Norwood: ARTECH HOUSE, INC.)」に記載されている。本実施例で用いたプログラムは、各境界に20層の完全整合層(PML)を含んだものとした。テラヘルツ電磁波をシミュレートするために、持続時間が1ピコ秒のガウスパルスの微係数を使用した。欠陥モードのスペクトルを得るために500psのフーリエ積分を取り、空間分布を計算するために200psの長さのフーリエ積分を取った。本実施例で用いたフォトニック結晶キャビティは、有限の幾何学形状であったので、周期的境界条件を想定しなかった。フォトニック結晶の各層に14×14個の単位セルを想定した。フォトニック結晶の「擬似」形状要素は考慮しなかった。
(4.分析)
図9に、各試料の透過スペクトルを示す。図9(a)〜図9(d)は、それぞれ欠陥層の厚さが、0.25、0.20、0.15、及び0.10mmの試料に関する透過スペクトルである。各透過スペクトルにおいて、6.3(a)、6.8(b)、7.2(c)、8.1cm-1(d)でのスペクトル・ピークを見ることができる。また、8.5(a)、9.5cm-1(b)でも別の小さなピークが見られる(図9(a)、及び図9(b)の挿入図を参照)。エアーバンドの透過は、厚さが0.15mmの欠陥層を有する試料を除いて、25%未満であった。これらのピークの振動数は、PBGの中心に近く、またピークの透過は欠陥層の厚さが薄くなるにつれて減少した。透過スペクトルの挙動は、ファブリ・ペロー共振器の縦モードと異なっていた。バンドエッジに近い領域での透過は比較的高く、光の閉じ込めは有効性が低いはずである。しかしながら、図9に示される透過スペクトルでは、明らかな透過のピークを示した。これは、3次元フォトニック結晶内の平面欠陥モードが、ファブリ・ペロー共振器の縦モードとは異なる形成機構を持っていることを示唆している。欠陥モードの境界は、欠陥長さによって制約されることはなく、フォトニック結晶内にまで延びている。その結果、薄い平面欠陥を有する試料に関して非常に長い波長の欠陥モードを得ることができる。
図10は、欠陥モードの振動数と欠陥層の厚さとの関係を示すグラフである。図10(a)は、実測値を表し、図10(b)は計算の結果を表す。実線の円は測定された点と計算された点とを示す。「擬似」形状要素と、フォトニック結晶と使用された試料からのテルル化亜鉛(ZnTe)との間の誘電率の僅かな差とを無視すれば、バンドエッジの振動数と欠陥モードの振動数は、実験によってほんの僅かな差(0.4cm-1以内)しか示さない。
厚さが0.10mmである欠陥層を有する試料と、より厚い欠陥を有する試料との間で欠陥モード振動数の比較的大きな差があった。この相違は、少なくとも二つの異なる局所化機構が存在することを示唆している。厚さが0.10mmである欠陥層を有する試料の8.1cm-1におけるモードは、この他の比較的大きなピークとは異なるモードであると考えられる。そこで、このモードの局所化機構を明らかにするために欠陥モードの電界分布を計算した。
図11に0.25mmの欠陥層を有する試料における欠陥モードの計算による電界分布を示す。図11(a)は、6.3cm-1で大きなピークを与える欠陥モードの電界分布を表す図であり、図11(b)は、8.5cm-1で小さなピークを与えるとに関する欠陥モードの電界分布を表す図である。図11には、電界のEy成分の平方振幅が示されている。切断面(x−z平面)は単位セルのエッジを通っている。図11(a)では、フォトニック結晶の欠陥層の平面波様の構造と、フォトニック結晶の誘電体部分の電界の広がりとが見られる。この分布は、この欠陥モードが誘電バンドエッジにおける定在波に共振することを示唆している。この共振条件は、ファブリ・ペロー共振器の縦モードの共振条件と似ているはずであるが、これはフォトニック結晶の反射機構を使用しない。その代わり、この欠陥モードは、フォトニック結晶の両側に一つずつ存在し、二つの定在波を接続している。平面波構造は、欠陥層に保存されるので、横方向の損失は小さくできた。この共振機構は、高い透過を正当なものとしている。バンドエッジにおける定在波は高い光学状態密度を持っているので(Sakoda, K., and Ohtaka, K., 1996, Phys. Rev. B., 54, 5747.,Sakoda, K., 2001, Optical Properties of Photonic Crystals, (Berlin Heidelberg: Springer-Verlag).)、この欠陥モードも高い光学濃度状態を持っていると考えられる。この特性は光学素子にとって有用である。
厚さが0.15mmである欠陥層を有する試料に関するエアーバンドの透過がすべてのうちで最高であった。これは、この他の共振ピーク(この他の二つの試料に関する小さなピーク)がエアーバンドのバンドエッジに入ると解釈できる。図11(b)では、欠陥層の周りの局所化された形状要素が見られる。しかしながら、欠陥層内に現れる構造は、6.3cm-1の欠陥モードの構造と比較して不鮮明である。これは、8.5cm-1の欠陥モードでは、局所化の有効性が弱いことを示唆している。このピークが弱く観測された理由は、後述する。
図12は、7.2cm-1での透過ピークに対応する厚さが0.15mmの欠陥層を有する試料に関する欠陥モードの計算による電界分布を示す図である。図12(a)は、電界のEy成分の平方振幅を示す。切断面(x−z平面)は、単位セルの中心を通っている。フォトニック結晶のメッシュ面の周りにEy成分の強い局所化が見られる。図12(b)では、電界のEz成分の平方振幅がプロットされている。切断面は、単位セルのエッジを通っている。挿入図は、電界の符号を示す。メッシュ境界にはx方向に走る波動様構造が見られる。この構造は、フォトニック結晶の表面モードの一部である。すなわちこの欠陥モードは、表面モードを励起する。表面モードの励起は、欠陥モードに通常の縦モードよりも短い寿命を与える。
表面モードは、フォトニック結晶の欠陥モードの他の平面局所化である。表面モードは通常、入射平面波とは結合しない。しかしながら、平面欠陥層にはz方向に向かわない波動ベクトルを有する多量の光が存在する。このような光は、欠陥層とフォトニック結晶との間の界面における回折によって生じる。この機構は、われわれに表面モードと入射光とが結合するための新しい方法を与えてくれる。
今まで、その欠陥厚さが0.10mmより厚い欠陥モードの局所化機構について論じてきた。以下では、厚さが0.10mmの欠陥層を有する試料について検討する。厚さが0.10mmの欠陥層を有する試料の局在化機構を検討するために、厚さが0.10mmの欠陥層を有する試料の電界分布を計算した。その結果を図13に示す。図13は、厚さが0.10mmの欠陥層を有する試料の計算による電解分布の様子を表す図である。図13では、8.1cm-1透過ピークで、このモードに対応するx−z平面内の計算された電界分布がプロットされている。欠陥層内の構造は、均質でなく、厚さが0.25mmの欠陥層を有する試料の小さなピークに似ている。透過強度も互いに似ているので、これら二つの欠陥モードの機構は、同じものと考えることができる。厚さが0.20mmの欠陥層を有する試料の小さなピークの電界分布も他の二つに似ている。
これら三つのモードは、フォトニック結晶キャビティ内の単純な縦モードであると結論できる。すべての観測された単純縦モードは、極めて低い透過を示している。これは、測定上の分解能により観測ピークの高さが制約された結果である。表面モードを励起した欠陥モードでは寿命が短くQ値が低いためにこれらのモードより透過ピークは大きく観測できた。
メーデ(Meade)らは、表面モードがバンドを形成することを指摘した(Meade, R. D., Brommer, K. D., Rappe, A. M., and Joannopoulos, J. D., 1991, Phys. Rev. B, 44, 10961., Joannopoulos, J. D., Meade, R. D., and Winn, J. N., 1995, Photonic Crystals: Molding the Flow of Light (Princeton: Princeton University Press).)。彼らは、その研究の中で、最も誘電性の材料を含む表面は誘電バンドから始まってPBC内のどこかで終わるバンドを持つことができると論じている。メッシュ面は、この場合に対応している。本実施例で用いたフォトニック結晶では、メッシュ面は誘電バンドから始まって約7.8cm-1で終わる表面モード・バンドを持つはずである。このバンド構造は、8.1cm-1の欠陥モードが強く観測されない理由を説明している。
上述のように欠陥モードの振動数の差異が存在する。ラモス−メンディタ(Ramos−Mendieta)とへラヴィ(Halevi)は、表面モード上の表面平面の効果を研究した[Ramos-Mendieta, F., and Halevi, P., 1997, J. Opt. Soc. Am. B, 14, 370., Ramos-Mendieta, F., and Halevi, P., 1999, Phys. Rev. B., 59, 15112.]。更に彼らは、表面波の電界プロファイルを明らかにした。表面モードのz方向には一定のプロファイルが存在する。本実施例において、表面モードを励起する欠陥モードの共振条件は、表面モード・プロファイルによって制約されている。これは、ファブリ・ペロー共振器の通常の縦モードから欠陥モードの振動数を修正する。本実施例の場合、この効果は有効キャビティ長さを増加させ、また振動数を低下させる。
(5.まとめ)
本実施例において、平面欠陥モードに関する3タイプの形成機構を論じてきた。第1のタイプは、バンドエッジにおける定在波に共振する。これは欠陥層の両端に配置された各フォトニック結晶上に一つずつある二つの定在波をブリッジし、また横方向の損失を引き起こす多重反射は含まれない。平面波構造は大部分、欠陥層に保存されるので、横方向の損失は小さい。
第2のタイプは、フォトニック結晶の表面モードを励起する。この機構によって形成される欠陥モードは、そのモード・プロファイルによって横方向の損失を減少させている。表面モードの局所化は、欠陥モードを通常の縦モードより短く維持し、同一測定条件下では通常の縦モードより大きな透過ピークを示す。
第3のタイプは、ファブリ・ペロー共振器における縦モードに似ている。有限周期性構造では、横方向の損失は大きくなる。これに対して回折は、フォトニック結晶と欠陥層との間の界面において表面モード励起を発生させる。
本実施例によれば、欠陥層の厚さを変えることによって、表面モードの存在範囲内であれば、選択された振動数で表面モードを発生させられることがわかる。本実施例では、単純立方格子フォトニック結晶に限定されているが、ここに論じられた局所化機構は他のタイプのフォトニック結晶にも適用可能である。
本発明の3次元フォトニック結晶システムは、表面モードの出力を得ることができるので、光波回路素子として有効に利用できる。
図1は、本発明の3次元フォトニック結晶システムの基本構成を表す概念図である。 図1に示される3次元フォトニック結晶を用いたフォトニック結晶システムの例である。図2(a)は、(i)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第1のフォトニック結晶システムを表す。図2(b)は、(ii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第2のフォトニック結晶システムを表す。図2(c)は、(iii)前記第1面はメッシュ面であり、前記第2面は、ロッド面であり、前記第3面はロッド面であり、前記第4面はメッシュ面である第3のフォトニック結晶システムを表す。図2(d)は、(iv)前記第1面はロッド面であり、前記第2面は、メッシュ面であり、前記第3面はメッシュ面であり、前記第4面はロッド面である第4のフォトニック結晶システムを表す。 図3は、特開平11-183735号公報の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図4は、特開平11-183735号公報の図2に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図5は、特開平4−180283号公報の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図6は、米国特許5,600,483号明細書の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図7は、特開平10−335758号公報の図1に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図8は、実施例における測定系の概略構成を示す図である。 図9に、各試料の透過スペクトルを示す。図9(a)〜図9(d)は、それぞれ欠陥層の厚さが、0.25、0.20、0.15、及び0.10mmの試料に関する透過スペクトルである。 図10は、欠陥モードの振動数と欠陥層の厚さとの関係を示すグラフである。図10(a)は、実測値を表し、図10(b)は計算の結果を表す。 図11に0.25mmの欠陥層を有する試料における欠陥モードの計算による電界分布を示す。図11(a)は、6.3cm-1で大きなピークを与える欠陥モードの電界分布を表す図であり、図11(b)は、8.5cm-1で小さなピークを与えるとに関する欠陥モードの電界分布を表す図である。 図12は、7.2cm-1での透過ピークに対応する厚さが0.15mmの欠陥層を有する試料に関する欠陥モードの計算による電界分布を示す図である。図12(a)は、電界のEy成分の平方振幅を示す。図12(b)は、電界のEz成分の平方振幅をプロットした図である。 図13は、厚さが0.10mmの欠陥層を有する試料の計算による電解分布の様子を表す図である。 図14は、「T.Aoki et. al., Phys. Rev. B 64 p.45106, 2001」(非特許文献1)に開示された3次元フォトニック結晶の例を示す図である。 図15は、「Robertson, W. M., Arjavalingam, G., Meade, R. D., et al., J. D. 1993, Opt. Lett., 18, 528.」(非特許文献2)に示された表面モードの出力装置の概略構成図である。
符号の説明
1 3次元フォトニック結晶システム
2 第1の3次元フォトニック結晶
3 第2の3次元フォトニック結晶
4 欠陥層
5 3次元フォトニック結晶を構成する層
6 ロッド
7 ロッド部
8 メッシュ部
9 ロッド面
10 メッシュ面
11 第1の3次元フォトニック結晶の第1面
12 第1の3次元フォトニック結晶の第2面
13 第2の3次元フォトニック結晶の第3面
14 第2の3次元フォトニック結晶の第4面
21 実験系
22 励起源
23 フェムト秒ハ゜ルス
24 テ゛ィレイライン
25 サフ゛テ゛ィレイライン
26 ロックインアンフ゜
27 アンフ゜
28 レンス゛
29 テ゛ィテクタ
30 試料
31 エミッタ
32 レンス゛
33 テラヘルツハ゜ルス
34 テラヘルツハ゜ルス

Claims (3)

  1. 上面と下面が異なる誘電特性を有する2つの3次元フォトニック結晶と、前記2つの3次元フォトニック結晶の間に設けられた欠陥層とを具備する、3次元フォトニック結晶システムを用い、前記欠陥層の厚さを調整することで、平面欠陥モードの周波数を表面モードの存在範囲内とする表面モードの出力方法であって、
    前記2つの3次元フォトニック結晶の上面又は下面から前記欠陥層に向けて入力光を照射することにより前記欠陥層に対して平行な方向に表面モードの出力を得る、表面モードの出力方法
  2. 前記3次元フォトニック結晶は、複数の層から構成され、
    前記3次元フォトニック結晶を構成するそれぞれの層は、
    少なくとも2つの方向に周期的に設けられた複数のロッドからなるロッド部と、
    前記ロッド部の下端に設けられ、近接するロッド間を連結するように設けられたメッシュ部とを有し、
    前記3次元フォトニック結晶は、ロッド部からなるロッド面と、メッシュ部からなるメッシュ面とを有する請求項1に記載の表面モードの出力方法。
  3. 前記3次元フォトニック結晶は、シリコンからなり、
    前記ロッドは断面が0.29mm四方の正方形からなる高さが0.29mmの四角柱状であり、
    前記ロッド部における、前記ロッドは0.4mmの周期で、格子点上に設けられ、
    前記欠陥層は、テルル化亜鉛からなる厚さ0.10mmの欠陥層である請求項2に記載の表面モードの出力方法。
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