JP3980938B2 - 光学式液面センサー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水、油、シリコーンオイル等の液体の液面を検出する液面センサーであって、特に光を検出手段とする光学式液面センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液面センサーとしては、例えば、実用新案登録番号第2510524号公報に記載されたものがある。図1は左記実用新案登録番号第2510524号公報に記載の従来例であって、上下に延びる3本のリードフレームのうち、第1のリードフレーム11の上端面11aには発光素子チップ、たとえばLEDチップ14が取りつけられ、第2のリードフレーム12の上端面12aには受光素子チップ、例えばフォトディテクタチップ15が取りつけられ、第3のリードフレーム13の上端面13aにはLEDチップ14とフォトディテクタチップ15のそれぞれと接続されるワイヤーボンディングが施され、LEDチップ14とフォトディテクタチップ15およびリードフレームの上端面11a、12a、13aを覆うように3本のリードフレームの上端領域を透明樹脂で封止してレンズ16を形成した構成になっている。
【0003】
上記、従来の液面センサー10を使う場合は、液面を検出される液体を収めたタンクに上記液面センサー10を透明樹脂レンズ16を下向きにして取り付ける。ここで、検出される液面が透明樹脂レンズ16より下側にある場合、つまり透明樹脂レンズ16が空気中にある場合は、LEDチップ14から放射された光は透明樹脂の中を直進し、透明樹脂レンズ16の内壁に到着する。ここで、透明樹脂と空気の屈折率の差が大きいため、レンズ16の内壁に到着した光は内壁で内部反射する光成分が多くなり、光の一部は屈折して空気中に放出されるが、光の大部分は内部反射してフォトディテクタチップ15に到達する。従ってフォトディテクタチップ15の出力が大きくなり、液面センサー10が空気中にあることが検知される。
【0004】
一方、検出される液面が透明樹脂レンズ16より上方にある場合、つまり透明樹脂レンズ16が液体中にある場合は、透明樹脂の屈折率と液体の屈折率の差が小さいため、LEDチップ14から放射され、透明樹脂の中を直進して透明樹脂レンズ16の内壁に到着した光は内壁で内部反射する光成分が少なくなり、光の一部は内部反射するが、光の大部分は液体中に放出されてフォトディテクタチップ15に到着しない。従ってフォトディテクタチップ15の出力が小さくなり液面センサー10が液体中にあることが検知される。
上記説明したように、従来の液面センサー10は、液面センサー10のLEDチップ14から放射された光のほとんどがフォトディテクタチップ15に到達するかどうかによって、検出される液面が、取り付けられた液面センサー10の上側にあるか下側にあるかを検知する。上記液面センサの用途としては、給湯器、石油ファンヒータ等の灯油残量検知に使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成の液面センサーにおいては、例えば、検出する液体が水の場合、長期間水中に浸されることにより、水中に浮遊する水垢などの異物が液面センサーの透明樹脂レンズの表面に付着し、本来液面センサーが液体中にある時は上記で説明したように、LEDチップから放射された光のほとんどは、透明樹脂レンズを通して液体中に放出され、フォトディテクタチップには到達しないはずであるが、異物がレンズに付着することにより、LEDチップから放射された光は、レンズの表面に付着した異物に当たり、拡散、反射してフォトディテクタチップに到達する。これは、液面センサーが空気中にある状態を検知したと同じ結果を示すものであり、したがって、液面センサーが液体中にあるにも係らず、あたかも空気中にあるという検知結果を示すものである。
【0006】
また、検出される液面が変化し、液面センサーのレンズの上側にあった液面が液面センサーのレンズの下側に下がり、レンズが空気中に露出する時、レンズの先端に液体が玉状に残り(以後、液溜まりという)、LEDチップから放射された光がレンズを通して液溜まりから空中に放出され、受光素子まで到達しない結果となる。これは、センサーが空気中にあるにも係らず、液体中にあることをしめすもので、液面が液面センサーのレンズより下側に下がった時点から液溜まりが解消されるまでは結果的に液面センサーは液体中にあることを示すことになり、液面検出の遅れが生じることになる。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑みて創案されたものであり、液中に浮遊する水垢などの異物の付着による誤検出及び液溜まりの影響を少なくして、長時間の使用に対してメンテナンスのほとんど不用な、応答速度の早い光学式液面センサーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された光学式液面センサーは、少なくとも1個の紫外線発光部及び当該紫外線よりも長波長の光を発光する長波長発光部と、少なくとも1個の受光部と、を透明樹脂レンズで一体に封止し、前記レンズの表面にはチタン系酸化物からなる光触媒の薄膜を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載された光学式液面センサーは、請求項1において、上記長波長発光部は、赤外線LED素子または可視光LED素子であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に記載された光学式液面センサーは、請求項1又は2のいずれか1項において、上記紫外線発光部は、上記長波長発光部及び受光部よりも上記透明樹脂レンズ頂点から遠ざかる方向のレンズ内に設けられたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に記載された光学式液面センサーは、請求項1乃至3のいずれか1項において、上記レンズの表面と前記光触媒の薄膜との間にシリカ膜を備えることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図2乃至図7を参照しながら、詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の例示にすぎず、以下の記載によって発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0014】
図2は本発明を適用した第1の実施形態による光学式液面センサー20である。
1列に、平行に配置された5本のリードフレームを有し、第1のリードフレーム21の上端面21aに取りつけられた紫外線発光部としての紫外線LED素子26と、第2のリーフレーム22の上端面22aにボンディングされた紫外線LED素子26に接続したワイヤー26bと、第3のリードフレーム23の上端面23aに取りつけられた赤外線発光部としての赤外線LED素子27と、第4のリードフレーム24の上端面24aに取りつけられた受光部としてのホトトランジスタ素子28と、第5のリードフレーム25の上端面25aにボンディングされた赤外線LED素子27およびホトトランジスタ素子28のそれぞれに接続したワイヤー27b、28bと、5本のリードフレームの上端領域を覆うように形成された透明樹脂レンズ30と、を有し、レンズは、赤外線LED素子27の放射方向の上方に形成され、赤外線LED素子27から放射された赤外線の大部分がレンズの内壁を照射する範囲に対応するレンズ表面に光触媒の薄膜31を備えた構成になっている。
【0015】
第1の実施形態による光学式液面センサーの液面検出方法は、従来の液面センサの液面検出方法と同様である。つまり光学式液面センサー20を使う場合は、液面を検出される液体を収めたタンクに光学式液面センサー20を透明樹脂レンズ30を下向きにして取り付ける。ここで、検出される液面がレンズ30より下側にある場合、つまりレンズ30が空気中にある場合は、赤外線LED素子27から放射された光は透明樹脂の中を直進し、レンズ30の内壁に到着する。ここで、透明樹脂と空気の屈折率の差が大きいため、レンズ30の内壁に到着した光は内壁で内部反射する光成分が多くなり、光の一部は屈折して空気中に放出されるが、光の大部分は内部反射してホトトランジスタ素子28に到達する。従ってホトトランジスタ28の出力が大きくなり、光学式液面センサー20が空気中にあることが検知される。
【0016】
一方、検出される液面が透明樹脂レンズ30より上方にある場合、つまりレンズ30が液体中にある場合は、透明樹脂の屈折率と液体の屈折率の差が小さいため、赤外線LED素子27から放射され、透明樹脂の中を直進してレンズ30の内壁に到着した光は内壁で内部反射する光成分が少なくなり、光の一部は内部反射するが、光の大部分は液体中に放出されてホトトランジスタ素子28に到着しない。従ってホトトランジスタ素子28の出力が小さくなり光学式液面センサー20が液体中にあることが検知される。
【0017】
このように、本発明の光学式液面センサーの液面検出方法は、光学式液面センサー20の赤外線LED素子27から放射された光の大部分がホトトランジスタ素子28に到達するかどうかによって、検出される液面が、取り付けられた光学式液面センサー20の上側にあるか下側にあるかを検知するものである。
【0018】
更に、本発明の第1の実施形態の光学式液面センサー20に設けられた紫外線LED素子26と透明樹脂レンズ30の表面に備えられた光触媒の薄膜31との関係を説明する。紫外線LED素子26から放射された紫外線が光触媒を照射すると、紫外線を受けた光触媒は紫外線を吸収して光触媒反応を起こす。光触媒反応には、有機物を分解する作用がある。よってレンズの表面に接している水垢、汚れ等の有機物を分解し、防汚、浄化することによって、レンズの表面に異物が付着することによって起こる液面の誤検出を防ぐことが可能となる。
【0019】
特に、検出する液体が灯油の場合は、透明樹脂レンズの表面に接している油に汚れが浮遊していても油の自助浄化作用によってレンズの表面には汚れは付着しない。しかしながら検出する液体が水の場合は、油のような自助浄化作用がないため、誤検出を防ぐためには、光触媒によるレンズ面の浄化が特に必要となる。
【0020】
上記、透明樹脂レンズの表面に備えられた光触媒の材料は、光触媒として一般的にはチタン系酸化物が使用されているが、そのなかにあって二酸化チタンを使うことがが望ましい。これは、紫外線を吸収して表面に接している有機物を分解して防汚、浄化する、そして超親水性の働きにより水滴を残さないなどの効果が得られるためである。さらに、空気の屈折率約1.0に対して二酸化チタンの屈折率は約2.35と大きく、また両物質の屈折率の差も大きい。このことは、空気と二酸化チタンの境界面での法線に対する入射角が比較的小さくても全反射することを意味する。したがって、赤外線LED素子から放射された赤外線のうち、全反射に寄与する量が多くなり、検出確度が向上する。
上記、透明樹脂レンズの表面に光触媒の薄膜を備える手段としては、真空蒸着、スパッタ、CVD、電着等の任意の手段で実現すればよい。
【0021】
上記、透明樹脂レンズの表面に光触媒を備える構成は、透明樹脂レンズの表面に上記手段で直接光触媒の薄膜を形成する構成のみならず、透明樹脂レンズの表面と光触媒の薄膜の間にシリカの膜を設ける構成でもよい。
この構成によると、直接透明樹脂レンズと二酸化チタンが接触することにより、二酸化チタンが紫外線を受けて二酸化チタンと接触する透明樹脂レンズ部分を分解し、荒らされることを防ぐことが可能になる。このことは、製造上はシリカの膜を付ける工程が増えるため、製造コストの上昇の要因となるが、長期に亘って使用する場合は信頼性が向上するメリットがある。
【0022】
また、光触媒反応には親水化の作用もある。物体を液体中から空気中に引き上げた時、引き上げた物体の最も液体に近い部分に液体が玉状に残る。この液溜まりは、レンズが空気中に露出したにも係らず赤外線LEDが放射した赤外線を液溜まりを通して空気中に放射してしまいホトトランジスタには赤外線は届かない。従って光学式液面センサーが液体中にあると検知してしまう。光触媒の親水化の作用を利用すると、レンズを液体中から気体中に引き上げても、光触媒の薄膜には玉状の液体は形成されず、液体が玉状にのこることによって起こる誤検出および液体中から空気中に露出したことを検出する時間的な遅れの改善が可能となる。
【0023】
なお、第1の実施形態による光学式液面センサー20における透明樹脂レンズ30の形状は、球体でも良いし、赤外線LED素子27とホトトランジスタ素子28を焦点位置付近とする回転楕円形としても良い。レンズ30の形状が回転楕円形の場合、回転楕円形の第1の焦点に赤外線LED素子27を、第2の焦点にホトトランジス素子28を配置することにより、レンズが空気中にある場合、第1の焦点に配置された赤外LED素子27から放射された赤外線の大部分はレンズ内壁で反射されて第2の焦点に配置されたホトトランジスタ28に到達する。従って、レンズが液体中にある場合と空気中にある場合とでのホトトランジスタ素子28に到達する赤外線の量の差が大きくなり、ホトトランジスタ素子28から出力される信号のS/N比が大きくとれる。
【0024】
また紫外線LED素子26を上記第一の焦点に配置された赤外線LED素子27の近傍に設けることにより、赤外線LED素子27から放射される赤外線と、紫外線LED素子26から放射される紫外線の各々が略同一の光路を進む。このため、レンズの表面に備えられた光触媒にあっては、赤外線が全反射する場所と同一の場所に紫外線が照射することになり、光触媒を備えた目的が効果的に達成できる構成になる。
【0025】
また、第1の実施形態による光学式液面センサーにおいて、1列に、平行に配置された5本のリードフレームの間隔は必ずしも同一である必要はないし、順序も固定されるものではなく、光学的設計、製造を考慮した設計によって最も効果的、効率的な配置を施せばよい。
【0026】
さらに、第1の実施形態で検出媒体である光に赤外線を使用するために、発光素子として赤外線LED素子27を使用したが、必ずしも赤外線である必要はなく、可視光であっても検知機能には変わりがなく、その場合可視光LED素子を発光素子として使用することで実現できる。可視光LED素子を使用すると、発光素子としての可視光LED素子が正常に動作しているかどうかが目で見て直接確認できるというメリットがある。
【0027】
図4は本発明を適用した第2の実施形態による光学式液面センサーである。
5本のリードフレームが平行に配置されており、さらに第1のリードフレーム41を含む直線上に、第1のリードフレーム41を挟んで対向するように第2のリードフレーム42および第5のリードフレーム43が設けられ、左記第2および第5のリードフレームを含む直線に直行する直線上の第1のリードフレーム41を挟んで対向するように第4のリードフレーム44および第3のリードフレーム45が設けられている。
【0028】
前記5本のリードフレームには、前記第1のリードフレーム41の上端面41aには紫外線LED素子46が取り付けられ、第2のリードフレーム42の上端面41aには紫外線LED素子46に接続したワイヤー46bがボンディングされ、第3のリードフレーム45の上端面45aには赤外光LED素子47が取り付けられ、第4のリードフレーム44の上端面44aにはホトトランジスタ素子48が取り付けられ、第5のリードフレーム43の上端面43aには赤外線LED素子47およびホトトランジスタ素子48のそれぞれに接続したワイヤー47b、48bがボンディングされている。
【0029】
そして左記5本のリードフレームの上端領域を覆うように透明樹脂でレンズが形成されていて、レンズは上記赤外線LED素子47が赤外線を放射する方向に設けられ、さらに赤外線LED素子47から放射された赤外線の大部分がレンズの内壁を照射する範囲に対応するレンズ表面には光触媒の薄膜52が備えられている。
【0030】
さらに左記5本のリードフレームのうち、第1のリードフレーム41および第2のリードフレーム42が第3のリードフレーム43、第4のリードフレーム44、及び第5のリードフレーム45に対してレンズが形成されている方向とは反対方向の下側に配置されている。つまり、赤外LED素子47及びホトトランジスタ素子48に対して紫外線LED素子46がレンズ頂点までの距離が長い状態で配置されている。
【0031】
第2の実施形態による液面センサーの液面検出方法は、上記第1の実施形態と同様であり、上記第1の実施形態の中で説明しているのでここでは説明を省略する。
【0032】
なお、第2の実施形態においは、紫外線LED素子46を取りつけた第1のリードフレーム41をレンズ51の中心位置に配置し、さらに第2のリードフレーム42と共に、他の3本のリードフレームよりレンズから離れる方向に位置させることにより、紫外線LED素子46とレンズ51との距離を長くしている。これにより、レンズ表面に備えられた光触媒に紫外線を放射する場合、紫外線LED素子46から放射された直接光と透明樹脂レンズの側面で反射されてレンズ面に至る間接光の両方の紫外線を利用して紫外線を有効に光触媒に照射し、光触媒の作用を効果的に促進することが可能となる。
【0033】
なお、第2の実施形態による光学式液面センサーにおける透明樹脂レンズは、球体でも良いし、赤外線LED素子およびホトトランジスタ素子を焦点位置とする回転楕円形としても良い。
【0034】
図3は上記第1及び第2の実施形態に共通する回路図を示している。ここで、赤外線LEDのアノードは端子3、カソードはホトトランジスタbのエミッタと共通で端子5に、ホトトランジスタbのコレクタは端子4、エミッタは赤外線LEDaのカソードと共通で端子5に、紫外線LEDcのアノードは端子1、カソードは端子2にそれぞれ接続されている。
【0035】
上記回路を駆動するために必要な電源の接続方法は、赤外線LEDaに対しては、電源の−側を端子5に、+側を端子3に外付けで設けられた電流制限抵抗を介して接続し、適宜に調整した電圧を印加して発光させる。また、ホトトランジスタbには、電源の−側を端子5に、+側を赤外線LEDaから放射される赤外線を受けて変化するコレクタ電流を電圧として検出するために端子4に外付けで設けられた抵抗を介して接続し、電圧を印加することにより受光量の変化を電圧の変化として検出する。さらに、紫外線LEDcには、電源の−側を端子2に、+側を端子1に外付けで設けられた電流制限抵抗を介して接続し、適宜に調整した電圧を印加して透明樹脂レンズの表面に備えられた光触媒を照射する紫外線を放射させる。
【0036】
なお、上記第1及び第2の実施形態における構成と回路との対応を説明すると、図3の回路図7における赤外線LEDaは、第1の実施形態を示す図2においては赤外線LED素子27に、第2の実施形態を示す図4においては赤外線LED素子47に対応する。以下同様に、ホトトランジスタbはホトトランジスタ素子28及び48、紫外線LEDcは赤外線LED素子26及び46、端子1は第1のリードフレーム21および41、端子2は第2のリードフレーム22及び42、端子3は第3のリードフレーム23及び45、端子4は第4のリードフレーム24及び44、端子5は第5のリードフレーム25及び43に対応する。
【0037】
図5は本発明を適用した第3の実施形態による光学式液面センサー60である。
上記、第3の実施形態では、赤外線LED素子65、ホトトランジスタ素子66及び透明樹脂レンズの組み合わせによる検出方向は、光学式液面センサーを構成するリードフレームの平行方向に対して直角な方向となっている。
つまり、断面が四角形の4本のリードフレームが平行に配置されており、さらに第1のリードフレーム61の上端側面部61aには赤外線LED素子65が設けられ、第2のリードフレーム62の上端側面部62aにはホトトランジスタ素子66が設けられ、第3のリードフレーム63の上端側面部63aには紫外線LED素子67と、同様に左記上端側面部63aには赤外線LED素子65およびホトトランジスタ素子66に接続されたワイヤー65b、66bがボンディングされ、第4のリードフレーム64の上端側面部64aには紫外線LED素子67に接続されたワイヤー67bがボンディングされている。
【0038】
そして4本のリードフレームの上端領域を覆うように形成された透明樹脂レンズ68が形成されていて、透明樹脂レンズは、リードフレームの平行方向に直角な方向の紫外線LED素子67、赤外線LED素子65及びホトトランジスタ素子66の上方に形成され、さらに赤外線LED素子から放射された赤外線の大部分がレンズの内壁を照射する範囲に対応するレンズ表面には光触媒の薄膜69が備えられている。
【0039】
第3の実施形態による光学式液面センサーは、上記第1及第2の実施形態では検出方向がリードフレームの平行方向であるのに対し、リードフレームに対して横向きので検出する構成になっている。これは、検出する液体の入ったタンクに穴をあけ、レンズをタンクの内部に向けて取り付けた場合、リードフレームはタンクと平行に密着して配置されるため、タンク周辺に他の部品が取り付けられていて余分なスペースが少ない場合には有利な構造となっている。
【0040】
ここで、第3の実施形態による光学式液面センサーの液面検出方法および紫外線発光LED素子と透明樹脂レンズに備えられた光触媒との関係は、上記第一の実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0041】
なお、第3の実施形態による光学式液面センサーにおける透明樹脂レンズは、球体でも良いし、赤外線LED素子およびホトトランジスタ素子を焦点位置とする回転楕円形としても良い。
【0042】
図7は本発明を適用した第4の実施形態による光学式液面センサーである。
上記第4の実施形態では、検出方向は前記実施形態3と同様にリードフレームと平行方向の対して直角方向となっているが、透明樹脂レンズに備えられされた光触媒を照射するための紫外線を放射する紫外線LED87は、赤外線LED素子85の放射方向とはリードフレームに対して反対方向に設けられている。つまり、断面が四角形の4本のリードフレームが平行に配置されており、さらに第1のリードフレーム81の上端側面部81aには赤外線LED素子85が設けられ、第2のリードフレーム82の上端側面部82aにはホトトランジスタ素子86が設けられ、第3のリードフレーム83の上端側面部83aには赤外線LED素子及びホトトランジスタ86とはリードフレームを挟んだ反対向きに紫外線LED素子87が設けられ、上端側面部83aには赤外線LED素子85およびホトトランジスタ素子86に接続したワイヤー85b、86bがボンディングされ、第4のリードフレーム84の先端側面部84aには紫外線LED素子87に接続したワイヤー87bがボンディングされている。
【0043】
そして左記4本のリードフレームの上端領域を覆うように形成された透明樹脂レンズ88が形成されていて、透明樹脂レンズは、リードフレームに平行は方向に直角な方向の赤外線LED素子85及びホトトランジスタ素子86の上方に形成され、さらに、赤外線LED素子から放射された赤外線に大部分がレンズの内壁を照射する範囲に対応するレンズ表面には光触媒の薄膜89が備えられている。また、紫外線LED素子87の発光方向には紫外線発光素子87から放射された紫外線を反射して左記赤外線LED素子85から放射される赤外線と同一方向に向うように、反射面90が設けられた構成になっている。
【0044】
なお、上記反射面は紫外線LEDを焦点とする放物反射面とすることにより、紫外線LEDから放射された紫外線は放物反射面で反射され略平行光となってレンズ面に備えられた光触媒に薄膜に均一に照射される。また前記放物反射面を拡散反射面とすることで反射面で反射された紫外線が平行光と拡散光の組み合わせとなり、レンズ表面に備えられた光触媒の薄膜を照射する紫外線光の均一性がさらに向上する。
【0045】
拡散反射面を構成する方法の一例として、透明樹脂で反射面の形状を形成し、表面にアルミニュームを蒸着、あるいは塗装することが考えられる。また、拡散反射シートを張り付けることでも実現できる。その他、拡散反射面を構成する方法は、実際の設計にあたって適宜な手段で実現すればよい。
【0046】
第4の実施形態による光学式液面センサーは、上記第3の実施形態と同様に検出方向がリードフレームに対して横向きので検出する構成になっている。これは、検出する液体の入ったタンクに穴をあけ、レンズをタンクの内部に向けて取り付けた場合、リードフレームはタンクと平行に密着して配置されるため、タンク周辺に他の部品が取り付けられていて余分なスペースが少ない場合には有利な構造となっている。
【0047】
なお、第4の実施様態による光学式液面センサーにおける透明樹脂のレンズは、球体でも良いし、赤外線LED素子およびホトトランジスタ素子を焦点位置とする回転楕円形としても良い。
【0048】
さらに、第4の実施形態で検出媒体である光に赤外線を使用し、発光素子として赤外線LED素子47を使用したが、必ずしも赤外線である必要はなく、可視光であっても検知機能には変わりがなく、その場合可視光LEDを発光素子として使用することで実現できる。可視光LED素子を使用すると、発光素子としての可視光LED素子が正常に動作しているかどうかが目で見て直接確認できるというメリットがある。
【0049】
図6は上記第3及び第4の実施形態に共通する回路70を示している。ここで、赤外線LEDaのアノードは端子111、カソードはホトトランジスタbのエミッタと紫外線LEDcのカソードと共通の端子113に、ホトトランジスタbのコレクタは端子112、エミッタは前記共通の端子113に、紫外線LEDcのアノードは端子114、カソードは前記共通の端子113にそれぞれ接続されている。
【0050】
上記回路を駆動するために必要な電源の接続方法は、赤外線LEDaに対しては、電源の−側を端子113に、+側を端子111に外付けで設けられた電流制限抵抗を介して接続し、適宜に調整した電圧を印加して発光させる。また、ホトトランジスタbには、電源の−側を端子113に、+側を赤外線LEDaから放射される赤外線を受けて変化するコレクタ電流を電圧として検出するために端子112に外付けで設けられた抵抗を介して接続し、電圧を印加することにより受光量の変化を電圧の変化として検出する。さらに、紫外線LEDcには、電源の−側を端子113に、+側を端子114に外付けで設けられた電流制限抵抗を介して接続し、適宜に調整した電圧を印加して透明樹脂レンズの表面に備えられた光触媒を照射する紫外線を放射させる。
【0051】
なお、上記第3及び第4の実施形態における構成と回路との対応を説明すると、図6の回路図70における赤外線LEDaは、第3の実施形態を示す図5においては赤外線LED素子65に、第4の実施形態を示す図7においては赤外線LED素子85に対応する。以下同様に、ホトトランジスタbはホトトランジスタ素子66及び85、紫外線LEDcは赤外線LED素子67及び87、端子111は第1のリードフレーム61および81、端子113は第2のリードフレーム64及び82、端子113は第3のリードフレーム63及び83、端子114は第4のリードフレーム64及び84、に対応する。
【0052】
上記第1から第4の実施形態で使用する紫外線LED素子の主な発光波長は、300nm〜410nm、可視光LED素子の主な発光波長は410nm〜780nm、赤外線LED素子の主な発光波長は780nm〜1600nmが望ましい。また、受光素子はシリコンを主成分とするホトトランジスタ、PINホトダイオード、アバランシェホトダイオードなどが用いられ、感度波長範囲は320nm〜1140nmが望ましい。
【0053】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、液面を検出する液体に直接浸漬して使用する光学式液面センサーにあって、光学式液面センサーの内部に設けられた紫外線LED素子から放射される紫外線を、光学式液面センサーの透明樹脂レンズの表面に備えられた光触媒の薄膜に照射、吸収させ、光触媒反応によって、レンズの表面に接している水垢、汚れ等の有機物を分解し、防汚、浄化することにより、レンズの表面に異物が付着することによって起こる液面の誤検出を防ぐことが可能になる。
【0054】
また、光触媒には親水の働きもあり、レンズが液体中から空気中に露出したときに起きる液溜まりを防ぎ、レンズが液体中から空気中に露出した時点で遅れなく空気中にあることを検知することが可能となる。
【0055】
さらに、可視光又は赤外線と受光素子の組み合わせによる液面検出機能と、紫外線とレンズ表面に設けられた光触媒の薄膜の組み合わせによるレンズ表面の浄化機能は、それぞれ独立して機能を果たすような回路構成になっている。したがって、本発明の光学式液面センサーを取りつけた装置が、レンズを液体中に浸漬された状態で長時間使用されない場合であっても、紫外線LED素子のみを駆動し、光触媒反応を継続させておくことで常にレンズの表面に異物の付着しない状態が保たれ、レンズの清掃等のメンテナンスをすることなく装置の使用を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液面センサーの例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光学式液面センサーの概略断面図である。
【図3】本発明の第1及び第2の実施形態に係る光学式液面センサーの回路図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る光学式液面センサーを示し、(a)は概略上面図、(b)は概略断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る光学式液面センサーを示し、(a)は概略断面図、(b)は概略側面図である。
【図6】本発明の第3及び第4の実施形態に係る光学式液面センサーの回路図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る光学式液面センサーの概略上面図である。
【符号の説明】
20、40、60、80 光学式液面センサー
21、41、61、81 第1のリードフレーム
22、42、62、82 第2のリードフレーム
23、45、63、83 第3のリードフレーム
24、44、64、84 第4のリードフレーム
25、43 第5のリードフレーム
21a、22a、23a、24a、25a 上端面
41a、42a、43a、44a、45a 上端面
61a、62a、63a、64a 上端側面
81a、82a、83a、84a 上端側面
26、46、67、87 紫外線LED素子
27、47、65、85 赤外線LED素子
28、48、66、86 ホトトランジスタ素子
c 紫外線LED
a 赤外線LED
b ホトトランジスタ
30、51、68、88 透明樹脂レンズ
31、52、69、89 光触媒の薄膜
Claims (4)
- 少なくとも1個の紫外線発光部及び当該紫外線よりも長波長の光を発光する長波長発光部と、少なくとも1個の受光部と、を透明樹脂レンズで一体に封止し、前記レンズの表面にはチタン系酸化物からなる光触媒の薄膜を備えたことを特徴とする光学式液面センサー。
- 上記長波長発光部は、赤外線LED素子または可視光LED素子であることを特徴とする請求項1に記載の光学式液面センサー。
- 上記紫外線発光部は、上記長波長発光部及び受光部よりも上記透明樹脂レンズ頂点から遠ざかる方向のレンズ内に設けられたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の光学式液面センサー。
- 上記レンズの表面と前記光触媒の薄膜との間にシリカ膜を備えることを特徴とする請求項 1 乃至3のいずれか1項に記載の光学式液面センサー。
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