JP3980016B2 - ペプチドとその用途 - Google Patents

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Description

この発明は、新規ペプチドとその用途、とりわけ、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を活性化するペプチドと、そのペプチドを有効成分として含んでなる免疫療法剤に関する。
ここ十数年来、我国においては、春先になるとスギ花粉症による鼻炎や結膜炎を訴える人の数が増加し続けている。患者の数が多いことと、発症季がいろいろな行事が続く春先ということもあり、マスコミなどでも頻繁に取上げられ、今や、公衆衛生上無視できない問題の一つになっている。
スギ花粉症はアレルギー症の一種であり、その主因はスギ花粉中の抗原性物質、すなわち、スギ花粉アレルゲンであると云われている。大気中に飛散したスギ花粉がヒトの体内に侵入すると、スギ花粉アレルゲンに対するイムノグロブリンE抗体が産生する。この状態で次にスギ花粉が侵入すると、その花粉中のアレルゲンとこのイムノグロブリンE抗体が免疫反応を起し、アレルギー症状を呈することとなる。
現在、スギ花粉中には、抗原性の相違する少なくとも二種類のアレルゲンの存在することが知られている。その一つは、ヤスエダらが『ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリニカル・イムノロジー』、第71巻、第1号、第77〜86頁(1983年)に報告しているアレルゲンであり、今日、これは「Cry j I」と呼称されている。もう一つは、タニアイら『エフ・イー・ビー・エス・レターズ』、第239巻、第2号、第329〜332頁(1988年)やサカグチら『アレルギー』、第45号、第309〜312頁(1990年)に報告されているアレルゲンであり、今日、これは「Cry j II」と呼称されている。スギ花粉中には、通常、Cry j IとCry j IIが約50:1乃至5:1の割合で存在し、花粉症患者から採取した血清の殆どがCry j IにもCry j IIにも反応すると云われている。澤谷らは、『アレルギー』、第42巻、第6号、第738〜747頁(1993年)において、Cry j IIが、皮内試験やRAST試験すると、Cry j Iと同程度の抗原性を発揮すると報告している。
このように、スギ花粉アレルゲンが既に幾つか単離され、その性質・性状もある程度解明されたことから、精製スギ花粉アレルゲンをヒトに投与して減感作することにより、スギ花粉症を治療・予防できる見通しがついてきた。最近ではそのための減感作剤も幾つか考案されており、例えば、特開平1−156926号公報や特開平3−93730号公報には、N末端からのアミノ酸配列がAsp−Asn−Pro−Ile−Asp−Ser又はAla−Ile−Asn−Ile−Phe−Asnで表わされるスギ花粉アレルゲンに糖質を共有結合せしめ、生成した複合体を減感作剤としてヒトに投与する提案が為されている。しかしながら、アレルギー症の診断や減感作療法には、通常、高純度のアレルゲンが大量に必要とされるところ、スギ花粉中のアレルゲンは僅少であるうえに安定性が低く、スギ花粉症の診断剤や減感作剤をスギ花粉だけで賄おうとすると、多大の困難が伴なうと予想される。
このようなことから、最近のアレルギー疾患の治療・予防においては、これまでのように、患者にアレルゲン全体を投与するのではなく、アレルゲンにおけるT細胞が特異的に認識する最小領域、すなわち、本質的にT細胞エピトープからなる低分子のペプチドを投与する免疫療法が注目を浴びつつある。
一般に、アレルゲンは、マクロファージなどの抗原提示細胞に取込まれると、そこで消化され、消化断片が免疫提示細胞表層のHLA蛋白質に結合し、抗原提示されることとなる。抗原提示される断片は、HLA蛋白質に対する親和性などにより、アレルゲンにおける一部の特定領域に限られ、斯かる領域のうち、T細胞が特異的に認識する領域は、通常、「T細胞エピトープ」と呼称される。本質的にT細胞エピトープからなるペプチドを投与する免疫療法には、
(i) ペプチドがB細胞エピトープを欠いている、すなわち、アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体が反応しないので、従来の粗製又は精製アレルゲンで頻発していたアナフィラキシーなどの副作用が起こり得ない。
(ii) 少量からスタートし、有効投与量に達するまでの期間が、従来の減感作剤に比較して、大幅に短縮できる。
などの利点がある。
目下、種々のアレルゲンのT細胞エピトープが精力的に解析されているが、T細胞エピトープの解析には、通常、アレルゲンの全アミノ酸配列が必須となり、少なくともスギ花粉アレルゲンに関するかぎり、T細胞エピトープは実質的に解明されるに到っていないというのが実状である。
斯かる状況に鑑み、この発明の第一の課題は、本質的にスギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープからなるペプチド及びそれに相同的なペプチドを提供することにある。
この発明の第二の課題は、有効成分として上記ペプチドを含んでなる免疫療法剤を提供することにある。
この発明は、前記第一の課題を、スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に実質的に反応せず、3H−チミジンの取込みにより判定する方法で 試験すると、陰性対照と比較して、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化するペプチドにより解決するものである。
この発明は、前記第二の課題を、有効成分として斯かるペプチドを含んでなる免疫療法剤により解決するものである。
この発明のペプチドは、スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に実質的に反応しないので、ヒトを含む哺乳類一般に投与すると、実質的にアナフィラキシーを引起こすことなく、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を活性化する。
有効成分として斯かるペプチドを含んでなるこの発明の免疫療法剤は、ヒトを含む哺乳類一般に投与すると、実質的にアナフィラキシーを引起こすことなく、スギ花粉症に対して顕著な治療・予防効果を発揮する。
以下、実験例、実施例等によりこの発明を説明するに、この発明は、本質的にスギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープからなるペプチドの発見に基づくものである。
本発明者らは、長年に亙るスギ花粉アレルゲンに係わる研究の一成果として、昨年、スギ花粉アレルゲンの主たる1成分が配列表における配列番号14に示すアミノ酸配列を有することを突止め、特願平5−344596号明細書に開示した。一方、国際特許公開第93/01213号明細書には、スギ花粉アレルゲンの別の1成分が、配列表における配列番号15に示すアミノ酸配列を有すると開示されており、本発明者らも、平成6年4月14乃至16日に熊本県熊本市で開催された『第6回日本アレルギー学会春期臨床大会』において、同じアミノ酸配列を発表している。
そこで、本発明者が、スギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープを解明すべく、これら配列番号14及び15に示すアミノ酸配列に基づき、それらアミノ酸配列における連続する11、14又は17個のアミノ酸残基からなる、180余種の互いに相違するアミノ酸配列のペプチドを合成し、スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に対する反応性と、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞に対する活性化作用につき試験した。その結果、配列表における配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列を有するペプチドは、スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に実質的に反応せず、また、3H−チミジンの取込み により判定する方法で試験すると、陰性対照と比較して、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化することが明らかとなった。このことは、それら配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列を有するペプチドが本質的にスギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープからなるものであることを示唆している。また、その配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列をさらに解析したところ、配列表の配列番号1乃至7に示すアミノ酸配列は、T細胞が配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列のペプチドを認識するために不可欠の配列であることが判明した。
次の実験例1及び2では、これら事実を解明するに到った一連の実験について説明する。
<実験1:ペプチド及びスギ花粉アレルゲンの調製>
<実験例1−1:ペプチドの調製>
前述のとおり、これまで、スギ花粉には、性質・性状の相違する、少なくとも2種類のアレルゲンの存在することが知られている。これらスギ花粉アレルゲンの成熟蛋白質は、組換えDNA技術により、配列表における配列番号14又は15に示すアミノ酸配列を有することが明らかにされており、現に、スギ花粉からは、配列番号14に示すアミノ酸配列における第46乃至433番目又は第51乃至433番目に相当するアミノ酸配列のスギ花粉アレルゲン(以下、「アレルゲンA」と云う。)と、配列番号15に示すアミノ酸配列における第1乃至353番目のアミノ酸配列を有するスギ花粉アレルゲン(以下、「アレルゲンB」と云う。)が単離されている。なお、アレルゲンAをコードする遺伝子においては、未だ、シグナルペプチドが確定されていないので、配列番号14においては、暫定的に、cDNAの塩基配列から解読したアミノ酸配列におけるN末端側の最初のアミノ酸残基に符号「1」を付している。
本実験例では、配列表における配列番号14に示すアミノ酸配列については、その第46乃至433番目の領域に亙り、アミノ酸残基を10個ずつ重複させながら、11又は14個のアミノ酸残基からなる、95種類の相違するアミノ酸配列のペプチド(試料A−1乃至A−95)を化学合成する一方、配列番号15に示すアミノ酸配列については、その第1乃至353番目の領域に亙り、同じく、アミノ酸残基を10個ずつ重複させながら、14個のアミノ酸残基からなる、86種類の相違するアミノ酸配列のペプチド(試料B−1乃至B−86)を化学合成し、この発明のペプチドを検索するための後記実験例2に供した。
すなわち、常法にしたがって、11又は14個のアミノ酸残基からなり、後記表1乃至6に示すアミノ酸配列を有する181種類のペプチドをケンブリッジ・リサーチ・バイオケミカルズ製ペプチド合成キット『マルチピン』を使用する固相法により合成し、合成後、その一部をとり、パーキン・エルマー製ペプチドシーケンサー『470A型』により分析して所期のアミノ酸配列を有していることを確認した。
<実験例1−2:スギ花粉アレルゲンの調製>
秋田県産ウラスギの雄花から採取した花粉1重量部を約16重量部の0.125M炭酸水素ナトリウム水溶液(pH8.2)に浸漬し、穏やかに攪拌しながら、4℃で1時間抽出した。抽出物を遠心分離し、残渣を上記と同様に再度抽出し、得られた上清と初回の上清をプールし、これにセタブロンを0.1%(w/v)になるように加え、緩やかに攪拌しながら、4℃で1時間静置して多糖類を沈澱させ、遠心分離後、上清に硫酸アンモニウムを80%飽和になるように加え、4℃で一昼夜静置して塩析した。
塩析物における沈澱部を採取し、これを50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)に対して10時間透析し、濾過後、予め50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)で平衡化させておいたDEAE−セファデックスカラムに負荷し、カラムに新鮮な同一緩衝液を通液して蛋白質成分を含む画分を溶出させた。この画分を採取し、酢酸を加えてpH5.0に調整後、予め10mM酢酸緩衝液(pH5.0)で平衡化させておいたCM−セファデックスカラムに負荷し、カラムを10mM酢酸緩衝液(pH5.0)で洗浄後、カラムに0.3M塩化ナトリウムを含む0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)を通液し、蛋白質成分を含む画分を採取した。
次に、この画分に予め10mM酢酸緩衝液(pH5.0)で平衡化させておいたMono Sカラムに負荷し、カラムを10mM酢酸緩衝液(pH5.0)で洗浄後、0Mから0.5Mに上昇する塩化ナトリウムの濃度勾配下、カラムに10mM燐酸緩衝液(pH7.0)を通液したところ、0.1乃至0.3付近の塩化ナトリウム濃度でアレルゲンBが、また、0.4M付近の塩化ナトリウム濃度でアレルゲンAが溶出した。アレルゲンA又はBを含む画分を別々に採取し、適宜濃縮後、凍結乾燥して次の実験例2に供した。収量は、原料スギ花粉固形分当たり、アレルゲンAで約0.01%、アレルゲンBで約0.02%であった。
<実験例2:スギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープを含むペプチドの検索>
<実験例2−1:スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞の活性化>
フィコール・ハイパック比重遠心法により、花粉症患者のヘパリン加末梢血からスギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を含む単核細胞群を分離した。この単核細胞群を5%(v/v)AB血清を補足したRPMI1640培地(pH7.0)に浮遊させ、96ウェルマイクロプレート上に5×10個/ウェルずつ分注 し、実験例1−1及び1−2で調製したペプチド又はスギ花粉アレルゲンを1μg/ウェル加え、新鮮な同一培地で200μl/ウェルとした後、5%CO2培 養器中、37℃で2日間インキュベートした。その後、3H−チミジンを1.0 μCi/ウェルずつ加え、同一条件下でさらに16時間インキュベートした後、シンチレーションカウンタを使用する公知の方法により、単核細胞群における3H−チミジンの取込み量を測定した。同時に、ペプチドもスギ花粉アレルゲンも含まない系を設け、上記と同様に処置して陰性対照とした。
スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞に対する活性化作用の有無は、同T細胞を含む単核細胞群における3H−チミジンの取込み量(cpm)に基づき判定し、取込み量が陰性対照の略2倍以上に達した系を「陽性」、達しなかった系を「陰性」とした。結果を表1乃至6に示す。
Figure 0003980016
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表1乃至6の結果は、試験に供したペプチド及びスギ花粉アレルゲンが、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞に対して明らかに異なる挙動をしたことを示している。すなわち、試料A−19、A−20、A−23、A−48、A−49、A−89、B−39、B−80又はスギ花粉アレルゲンA若しくはBを添加した系では、陰性対照と比較して、明らかに有意な3H−チミジンの取込み促進が認 められたのに対して、その余の試料を添加した系においては、有意な取込み促進が認められなかった。このことは、試料A−19、A−20、A−23、A−48、A−49、A−89、B−39、B−80並びにスギ花粉アレルゲンA及びBのみが、単核細胞群中のスギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化したことを意味している。
さらに、アミノ酸配列が互いに重複する試料A−19、A−20、A−48及びA−49並びにT細胞活性化作用が他の陽性試料に比べてやや低かった試料A−23及びA−89につき、別途、17個のアミノ酸残基からなる、配列表における配列番号8乃至11に示すアミノ酸配列のペプチドを化学合成した。
すなわち、ミリジェン/バイオリサーチ製ペプチド合成機『エクセル』を使用し、常法にしたがって、配列表における配列番号8乃至11に示すアミノ酸配列のペプチド(試料C−1乃至C−4)を別々に合成し、バイオラド製クロマトグラフィーカラム『Hi−Pore RP−318型』を使用する逆相高速液体クロマトグラフィーによりそれぞれ純度95%まで精製した。精製後、試料C−1乃至C−4の一部をとり、パーキン・エルマー製ペプチドシーケンサ『470A型』により分析したところ、合成に係る4種類のペプチドすべてが所期のアミノ酸配列を有していた。
これら試料C−1乃至C−4につき、上記と同様に試験したところ、いずれも陽性であり、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化することが判明した。
<実験例2−2:スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に対する反応性>
実験例2−1においてスギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化することが明らかとなった試料B−39、B−80、C−1乃至C−4並びにアレルゲンA及びBに、タニアイらが『モレキュラー・イムノロジー』、第30巻、第2号、第183〜189頁(1993年)に報告しているEIA法を適用し、スギ花粉症患者の血液から採取したスギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体との反応性を調べた。
すなわち、ピアス製架橋剤『(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)』1gを蒸留水10mlに溶解し、ヌンク製『コバリンク型』96ウェルマイクロプレートに50μl/ウェルずつ分注し、37℃で3時間インキュベートした。蒸留水でマイクロプレートを洗浄し、実験例1及び2で調製した試料B−39、B−80、C−1乃至C−4又はアレルゲンA若しくはBを20μg/ml又は5μg/mlになるようにPBSに溶解し、マイクロプレートに50μl/ウェル分注し、37℃でさらに3時間インキュベートしてマイクロプレートに共有結合させた。そして、マイクロプレートに1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSを50μl/ウェル加え、4℃で一晩静置して未反応の活性基をブロックした後、0.1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSで洗浄し、ウシ血清アルブミンを同量含む新鮮なPBSで5倍希釈したスギ花粉症患者の血清を50μl/ウェル加え、37℃で1時間反応させた。
次に、マイクロプレートを0.1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSで洗浄し、ウシ血清アルブミンを同量含む新鮮なPBSで1μg/mlに希釈したキルケガード・アンド・ペリー製ビオチン標識抗ヒトε鎖抗体を50μl/ウェルずつ加え、37℃で1時間インキュベートした後、0.1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSで再度洗浄後、ウシ血清アルブミンを同量含む新鮮なPBSで5,000倍に希釈したザイメッド製パーオキシダーゼ標識アビジンを50μl/ウェル加え、37℃でさらに1時間インキュベートした。そして、マイクロプレートを0.1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSで洗浄後、過酸化水素を0.03%(v/v)とオルトフェニレンジアミンを0.5mg/ml含む0.1Mクエン酸−燐酸緩衝液(pH5.0)を100μl/ウェル加え、室温下で5分間静置して酵素反応させた。2N硫酸を100μl/ウェルずつ加えて反応を停止させた後、分光光度計を使用する公知の方法で492nmの波長下における吸光度を測定した。
同時に、スギ花粉患者の血清に代えて健常者の血清を使用する系を設け、同様に処置して陰性対照とした。結果を表1乃至6に示す。
表1乃至6に示す結果から明らかなように、アレルゲンA及びBがスギ花粉症患者由来のスギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に強く反応したのに対して、試料B−39、B−80及びC−1乃至C−4は実質的に反応しなかった。このことは、これら試料がアレルゲンA及びBに含まれるスギ花粉アレルゲンのB細胞エピトープを欠いていることを意味している。これらの結果と実験例2−1の結果を総合的に判断すると、上記試料、すなわち、配列表における配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列のペプチドは、本質的にスギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープからなるものであると判断される。
<実験例3:T細胞がT細胞エピトープを認識するために不可欠なアミノ酸配列の検索>
本実験例では、実験例2で明らかにした6種類のT細胞エピトープをさらに解析し、T細胞がそれらを認識するために不可欠なアミノ酸配列を検索した。
すなわち、実験例1−1の方法により、配列表における配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列並びに表5乃至6において陽性を否定し切れなかった試料B−38、B−81及びB−82のアミノ酸配列につき、それらの一端又は両端のアミノ酸の1個又は2個以上をアラニンで置換したアミノ酸14個又は17個からなる種々のペプチドを化学合成した。そして、それらペプチドにつき、実験例2の方法により、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞の活性化とスギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に対する反応性を調べた。
その結果、表7に示すように、配列表の配列番号1乃至7に示すアミノ酸配列を含んでなる試料D−1乃至D−7のペプチドは、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞及びスギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に対して配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列のペプチドとほぼ同様の挙動を示すことが判明した。このことは、配列表の配列番号1乃至7に示すアミノ酸配列は、T細胞が配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列のペプチドを認識するために不可欠な配列であることを強く示唆している。
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以上説明したように、この発明は、スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に実質的に反応せず、3H−チミジンの取込みにより判定する方法 により試験すると、陰性対照と比較して、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化するペプチドに関するものである。この発明は、ペプチドが斯かる性質を具備するかぎり、その構造、出所・由来、調製方法に係わりなく、すべて包含するものとする。
この発明のペプチドは、通常、5乃至50個、望ましくは、10乃至20個のアミノ酸がペプチド結合してなる。個々のペプチドとしては、例えば、配列表における配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列を有するものと、それらアミノ配列に相同的なアミノ酸配列を有するものが挙げられる。相同的なアミノ酸配列のペプチドは、上記の免疫学的作用を実質的に変えることなく、配列表における配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸の1個又は2個以上を他のアミノ酸で置換するか、それらアミノ酸配列の一端又は両端に適宜のアミノ酸を1個又は2個以上結合させることにより得ることができる。
具体的には、例えば、配列表の配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列において、T細胞がそれらを認識するために不可欠なアミノ酸配列のみを不変とし、それ以外のアミノ酸については、スギ花粉のT細胞エピトープとしての免疫学的作用を実質的に変えない範囲で他のアミノ酸により置換する。あるいは、その不可欠なアミノ酸配列の一端又は両端に、必要に応じて、例えば、アラニンなどの適宜アミノ酸を1個又は2個以上結合させ、得られるペプチドが全体としてT細胞の認識し得る長さ、すなわち、通常、アミノ酸残基数にして10乃至20個になるようにする。斯かるアミノ酸配列としては、例えば、配列表における配列番号1乃至7に示すアミノ酸配列が挙げられ、また、斯かる相同体の例として、例えば、配列表における配列番号16乃至24に示すアミノ酸配列のペプチドを挙げることができる。
この発明のペプチドは、「固相法」又は「液相法」として知られる斯界において慣用のペプチド合成法により、容易に調製することができる。この発明はペプチド合成そのものに係わるものではないので、詳しい説明は省略するが、例えば、社団法人日本生化学会編『新生化学実験講座』、第1巻、「タンパク質VI」、第3〜44頁、1992年、東京化学同人発行などにはペプチド合成の詳細が記載されている。ただし、この発明のペプチドは化学合成により調製されたものに限定されず、例えば、スギの花粉又は雄花から採取するか、組換えDNA技術により調製したスギ花粉アレルゲンを適宜分解し、分解物から採取したものであってもよい。あるいは、例えば、配列表における配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列又はそれらに相同的なアミノ酸配列を有するペプチドをコードするDNAを調製し、これを自律複製可能なベクターに挿入して組換えDNAとし、これを大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母などの適宜宿主に導入して形質転換体とし、その培養物からこの発明のペプチドを採取してもよい。配列表における配列番号8乃至13に示すアミノ酸配列のペプチドをコードするDNAは、例えば、特願平5−344596号明細書や国際特許公開第93/01213号明細書に記載されたcDNAの塩基配列に基づいて調製することができる。さらに、この発明のペプチドは、斯くして得られるペプチドに糖質やポリエチレングリコールを付加して得られる複合体としての形態、さらには、ペプチドをアセチル化、アミド化及び/又は多官能試薬により架橋重合させて得られる誘導体又は重合体としての形態であってもよい。
この発明のペプチドは、比較的粗な形態で投与しても所期の治療・予防効果を発揮するが、通常は使用に先立って精製される。精製には、例えば、濾過、濃縮、遠心分離、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグフラフィー、高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気泳動、等電点電気泳動などのペプチド乃至蛋白質を精製するための斯界における慣用の方法が用いられ、必要に応じて、これら方法を適宜組合せればよい。そして、最終使用形態に応じて、精製したペプチドを濃縮・凍結乾燥して液状又は固状にすればよい。
前述のとおり、この発明のペプチドは、スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に実質的に反応せず、しかも、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化するので、スギ花粉症を治療・予防するための免疫療法剤として広範な用途を有する。有効成分としてこの発明のペプチドを含んでなる免疫療法剤は、スギ花粉症に罹患したヒトを含む哺乳類一般に投与すると、アナフィラキシーなどの副作用を実質的に引起こすことなく、スギ花粉症を治療することができる。一方、この発明の免疫療法剤を、スギ花粉が飛散し始める前に健常な個体や潜在的なスギ花粉症の個体に投与するときには、スギ花粉症に対して顕著な予防効果を発揮するとともに、発症時のアレルギー症状の緩解に著効を発揮する。
この発明の免疫療法剤につきさらに詳しく説明すると、この発明の免疫療法剤は、通常、この発明によるペプチドの1種又は2種以上を0.01乃至100%(w/w)、望ましくは、0.05乃至50%(w/w)、さらに望ましくは、0.5乃至5.0%(w/w)含んでなる。この発明の免疫療法剤は、当該ペプチド単独の形態はもとより、それ以外の生理的に許容される、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、マンニトール、マルトース、トレハロースなどの担体、賦形剤、免疫助成剤、安定剤、さらには、必要に応じて、ステロイドホルモンやクリモグリク酸ナトリウムなどの抗炎症剤や抗ヒスタミン剤を含む1種又は2種以上の他の薬剤との組成物としての形態を包含する。さらに、この発明の免疫療法剤は、投薬単位形態の薬剤をも包含し、その投薬単位形態の薬剤とは、この発明のポリペプチドを、例えば、1日当たりの用量又はその整数倍(4倍まで)又はその約数(1/40まで)に相当する量を含有し、投与に適する物理的に分離した一体の剤型にある薬剤を意味する。このような投薬単位形態の薬剤としては、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、坐剤、点眼剤、点鼻剤、噴霧剤、注射剤などが挙げられる。
この発明の免疫療法剤の使用方法について説明すると、この発明の免疫療法剤は、スギ花粉症の治療・予防を目的に、ヒトを含む哺乳類一般に経皮、経口、点鼻、点眼又は注射投与される。ヒトにおける投与量は、投与の目的や症状に依っても変わるが、通常、対象者の症状や投与後の経過を観察しながら、成人1日当たり0.01乃至1.0g、望ましくは、0.01乃至0.1gを目安に、毎週1回乃至毎月1回の頻度で、約1乃至6カ月間、通常、用量を増やしながら反復投与される。
以下、この発明によるペプチドの調製と用途につき、2〜3の実施例を挙げて説明する。
<実施例A−1:ペプチドの調製>
ミリジェン/バイオリサーチ製ペプチド合成機『エクセル』を使用し、常法にしたがって、配列表における配列番号8乃至11に示すアミノ酸配列のペプチドを別々に合成し、バイオラド製クロマトグラフィーカラム『Hi−Pore RP−318型』を使用する逆相高速液体クロマトグラフィーによりそれぞれ純度95%まで精製後、凍結乾燥して固状物とした。固状物の一部をとり、パーキン・エルマー製ペプチドシーケンサ『470A型』により分析したところ、合成に係る4種類のペプチドすべてが所期のアミノ酸配列を有していた。
<実施例A−2:ペプチドの調製>
ケンブリッジ・リサーチ・バイオケミカルズ製ペプチド合成キット『マルチピン』を使用し、常法にしたがって、配列表における配列番号12及び13に示すアミノ酸配列のペプチドを別々に化学合成し、実施例A−1と同様にしてそれぞれ純度95%まで精製後、凍結乾燥して固状物とした。固状物の一部をとり、実施例A−1と同様に分析したところ、いずれも所期のアミノ酸配列を有していた。
<実施例A−3:ペプチドの調製>
実施例A−1と同様にして、配列表における配列番号16に示すアミノ酸配列のペプチドを化学合成し、純度95%まで精製した。精製後、ペプチドの一部をとり、実施例A−1と同様に分析したところ、所期のアミノ酸配列を有していた。
<実施例A−4:ペプチドの調製>
実施例A−2と同様にして、配列表における配列番号17に示すアミノ酸配列のペプチドを化学合成し、純度95%まで精製した。精製後、ペプチドの一部をとり、実施例A−1と同様に分析したところ、所期のアミノ酸配列を有していた。
<実施例A−5:ペプチドの調製>
実施例A−1乃至A−2と同様にして、実験例3の試料D−1乃至D−7に相当する配列表における配列番号18乃至24に示すアミノ酸配列のペプチドを化学合成し、それぞれ純度95%まで精製後、凍結乾燥して固状物とした。固状物の一部をとり、パーキン・エルマー製ペプチドシーケンサ『470型』により分析したところ、合成に係る7種類のペプチドすべてが所期のアミノ酸配列を有していた。
<実施例B−1:液剤>
実施例A−1及びA−2の方法により得た6種類のペプチドのいずれかを最終濃度0.1g/mlになるように安定剤として1%(w/v)精製ゼラチンを含む蒸留水に溶解し、常法により滅菌濾過して6種類の液剤を得た。
この発明のペプチドに対する感受性は、個体ごとに変わるのが通例であるから、本品は、個々の個体に最も適した組成になるよう、6種類の液剤を適宜配合して使用する。安定性に優れた本品は、スギ花粉症を治療・予防するための点眼剤、点鼻剤、口腔内噴霧剤用の液剤として有用である。
<実施例B−2:注射剤>
安定剤として1%(w/v)ヒト血清アルブミンを含む生理食塩水に実施例A−1及びA−2の方法により得た6種類のペプチドをそれぞれ最終濃度0.01、0.1又は1mg/mlになるように溶解し、滅菌濾過した後、滅菌バイアル瓶に2mlずつ分注し、凍結乾燥し、密栓した。
本品は、投与に先立ち、先ず、バイアル瓶内に注射用蒸留水等を1ml加え、次いで、内容物を均一に溶解して使用する。安定性に優れ、有効成分としてこの発明による6種類のポリペプチドを含んでなる本品は、スギ花粉症を治療・予防するための乾燥注射剤として有用である。
<実施例B−3:錠剤>
平均分子量約20,000ダルトンの精製プルラン2gを蒸留水100mlに均一に溶解し、溶液に塩化シアヌルの1.7%(w/v)アセトン溶液を2ml加え、5%(w/v)炭酸ナトリウム水溶液でpHを7付近に保ちつつ、攪拌下、5℃で2時間反応させた。その後、同様にして反応物のpHを7付近に保ちながら、4℃の冷水に対して一晩透析し、活性化プルランを含む水溶液20mlを得た。
この水溶液に実施例A−1の方法により得た配列表における配列番号8、10及び11に示すアミノ酸配列のペプチドと、実施例A−2の方法により得た配列表に配列番号13に示すアミノ酸配列のペプチドと、実施例A−3の方法により得たペプチドと、実施例A−4の方法により得たペプチドをそれぞれ0.2mg加え、溶液のpHを7付近に保ちつつ、緩やかに攪拌しながら、37℃で12時間反応させた。反応後、反応物にグリシンを4g加え、緩やかに攪拌しながら、37℃で5時間インキュベートし、未反応の活性基をブロックした。
反応物を濃縮し、予め0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)で平衡化させておいたセファデックスG−50カラムに負荷し、カラムに新鮮な同一緩衝液を通液して、この発明のペプチドとプルランの複合体を含む画分を採取した。収量は、原料ペプチド固形分当たり、約30%であった。
常法にしたがって、この画分を滅菌濾過し、濃縮し、凍結乾燥し、粉砕後、マンニトールを均一に混合し、混合物を打錠して製品1錠(200mg)当たり複合体を2、10又は50mg含む錠剤を得た。
摂取性、安定性に優れた本品は、スギ花粉症を治療・予防するための舌下剤として有用である。
<実施例B−4:シロップ剤>
大腸菌由来の精製リポ多糖1gを10mM燐酸カルシウム水溶液100mlに溶解し、溶液に100mM過沃素酸ナトリウムを6ml加え、室温下で20分間反応させてリポ多糖を活性化した。反応物を4℃の1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH4.4)に対して一晩透析して未反応の過沃素酸を除去した後、0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液によりpH9.5付近に調整する一方、別途、実施例A−1及びA−2の方法により得た6種類のペプチドを0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)100mlにそれぞれ10mgずつ溶解し、活性化リポ多糖を含む上記反応物に加え、室温下で12時間静置して反応させた。
その後、新たに得られた反応物を実施例B−3の方法により精製し、得られたこの発明のペプチドとリポ多糖の複合体を含む画分を濃縮し、凍結乾燥し、粉砕して固状物とした。収量は、原料ペプチド固形分当たり、約30%であった。
この固状物と蔗糖をそれぞれ最終濃度が0.1若しくは1mg/ml又は50%(w/w)になるように安定剤として精製ゼラチンを1%(w/v)含む蒸留水に溶解し、溶液を常法により滅菌濾過してシロップ状物を得た。このシロップ状物を2mlずつ滅菌バイアル瓶に分注し、密栓して製品とした。
安定性に優れ、有効成分としてこの発明のペプチドとリポ多糖の複合体を含む本品は、スギ花粉症を治療・予防するためのシロップ剤として有用である。
<実施例B−5:液剤>
実施例A−5の方法により得た7種類のペプチドのいずれかを最終濃度0.1g/mlになるように安定剤として1%(w/v)精製ゼラチンを含む蒸留水に溶解し、常法により滅菌濾過して7種類の液剤を得た。
この発明のペプチドに対する感受性は、個体ごとに変わるのが通例であるから、本品は、個々の個体に最も適した組成になるよう、7種類の液剤を適宜配合して使用する。安定性に優れた本品は、スギ花粉症を治療・予防するための点眼剤、点鼻剤、口腔内噴霧剤用の液剤として有用である。
<実施例B−6:注射剤>
安定剤として1%(w/v)ヒト血清アルブミンを含む生理食塩水に実施例A−5の方法により得た7種類のペプチドをそれぞれ最終濃度0.01、0.1又は1mg/mlになるように溶解し、滅菌濾過した後、滅菌バイアル瓶に2mlずつ分注し、凍結乾燥し、密栓した。
本品は、投与に先立ち、先ず、バイアル瓶内に注射用蒸留水等を1ml加え、次いで、内容物を均一に溶解して使用する。安定性に優れ、有効成分としてこの発明による7種類のポリペプチドを含んでなる本品は、スギ花粉症を治療・予防するための乾燥注射剤として有用である。
<実施例B−7:シロップ剤>
精製ゼラチンを1%(w/v)含む蒸留水に実施例A−5の方法により得た7種類のペプチドをそれぞれ0.1mg/mlと蔗糖を50%(w/v)になるように溶解し、溶液を常法により滅菌濾過してシロップ状物を得た。このシロップ状物を2mlずつ滅菌バイアル瓶に分注し、密栓して製品とした。
安定性に優れ、有効成分としてこの発明のペプチドを含む本品は、スギ花粉症を治療・予防するためのシロップ剤として有用である。
<実験例4:急性毒性試験>
常法により、生後20日目のマウスに実施例B−1乃至B−7の方法により得た免疫療法剤を経口又は腹腔内投与した。その結果、これら免疫療法剤は、いずれの投与経路によっても200mg/kg以上のLD50であることが判明した。このことは、この発明のペプチドが、ヒトを含む哺乳類に投与する免疫療法剤に安全に配合使用し得ることを示している。
以上説明したように、この発明は、本質的にスギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープからなるペプチドの発見に基づくものである。この発明のペプチドは、スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に実質的に反応しないので、ヒトを含む哺乳類に投与すると、実質的にアナフィラキシーを引起こすことなく、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を活性化する。したがって、有効成分として斯かるペプチドを含んでなるこの発明の免疫療法剤は、ヒトを含む哺乳類に投与すると、副作用少なく、短期間でスギ花粉症に対して顕著な治療・予防効果を発揮する。しかも、この発明のペプチドは、所望量を容易に製造でき、品質管理も容易なことから、スギ花粉症の治療・予防にきわめて安全に使用できるものである。
斯くも顕著な作用効果を発揮するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明と云える。

Claims (1)

  1. スギ花粉アレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体に実質的に反応せず、H−チミジンの取込みにより判定する方法で試験すると、陰 性対照と比較して、スギ花粉アレルゲンに特異的なT細胞を有意に活性化することを特徴とする、配列表の配列番号1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12又は13で表されるアミノ酸配列のペプチドを2種以上を含んでなる免疫療法剤。

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