JP3979631B2 - 2軸延伸ブロー成形用プリフォーム保持治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製壜体の2軸延伸ブロー成形方法に使用されるプリフォーム保持治具の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂製2軸延伸ブロー成形壜体、特にポリエチレンテレフタレート樹脂製の2軸延伸ブロー成形壜体が、数多くの優れた特性を発揮することから、壜容器として多方面で多量に使用されている。
【0003】
この合成樹脂製2軸延伸ブロー成形壜体は、有底円筒形状に射出成形されたプリフォームを、延伸効果を発現させることのできる温度に加熱した状態で、軸方向および径方向に延伸変形させて成形されるのが一般である。
【0004】
すなわち、図10に示すように、ガイド筒部10に逆立姿勢でゆるく嵌合した状態で保持治具5に保持されて延伸効果が発現する温度に加熱されたプリフォームPを、保持治具5と一緒にブロー金型1に、プリフォームPの口筒部P2外周面下端に一体周設したネックリングP1を、ブロー金型1のネック支持鍔部3に係止させた状態で組付け、保持治具5の中央に貫通形成されたピン挿通孔11を通して挿通される延伸ピン16により軸方向に延伸成形されると共に、ピン挿通孔11もしくは延伸ピン16を通して圧入されるブローエアにより径方向に延伸成形されて、壜体P’への成形を達成している。
【0005】
上記の従来の方法において、プリフォームの姿勢は主として口筒部P2に嵌入したガイド筒部10により確保されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プリフォームの口筒部にガイド筒部を嵌入させて、このプリフォームの組付き姿勢を保持する従来の方法では、このガイド筒部の分、ブローエアの流路として利用できる、プリフォームの口筒部内部の有効断面積が小さくなり、ブローエアの流量を大きくし、ブロー時間を短縮するという、生産性の向上に関わる対応ができない、と云う問題があった。
【0007】
また、ブロー成形直後に、エアを壜体内に吹き込むエアサーキュレーションによる壜体の冷却のための工程が多く見られ、主として延伸ピン内に設けたエア流路を通して実施されるが、このエア流路を大きくして、エアの流量をさらに大きくし、冷却効率を上げ、生産性をさらに向上することが要求されており、ここにおいても、口筒部の有効断面積の減少が問題となっている。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、プリフォーム内へのエアの流路の拡大を技術的課題とし、もって2軸延伸ブロー成形壜体の高い生産性を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するための本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、
プリフォームの保持治具において、
延伸ピンが挿通するピン挿通孔を、中央に貫通形成した筒状の治具本体の先端部に、口筒部を嵌入限まで嵌入して組付く有底円筒形状の合成樹脂製プリフォームに対して、治具本体の先端部内周面の、口筒部のカブラ部に対向する位置からその一部を突出させ、口筒部が着脱自在に、カブラ部のみの外周に弾接してプリフォームの組付き姿勢を保持する支持部を設けること、
治具本体をブロー金型に取り付けた状態で、口筒部の外周面下端に一体周設したネックリングを、治具本体の先端開口縁部に設けた当接段部に密に当接し、ブローエアに対するシールが達成される構成とすること、
この治具本体の先端部に、有底円筒形状の合成樹脂製プリフォームの口筒部を嵌入限まで嵌入させて、このプリフォームを保持した状態で、全ての構成部位が、プリフォームの中心軸線上から、少なくとも口筒部の内径の半分の長さ分、離れて位置する構成とすること、
にある。
【0010】
請求項1記載の上記構成により、プリフォームを保持した状態で、全ての構成部位が、プリフォームの中心軸線上から、少なくとも口筒部の内径の半分の長さ分、離れて位置するので、すなわち口筒部の内部、およびプリフォーム内部へのエアの供給流路となる治具本体のピン挿通孔にも、プリフォーム内部へのエアの流動を妨げる部位がない構成であるので、エアの流路を限界にまで広くすることが可能となり、ブローエアの流量を大きくすることによるブロー時間の短縮、またエアサーキュレーション時のエアの流量を大きくすることによる冷却効率の向上等により、生産性の向上を達成することができる。
【0011】
通常、ブロー成形におけるエアブロー、またブロー後の壜体冷却のためのエアサークレーションは、保持治具およびプリフォームに延伸ピンを挿通させた状態で実施され、エアブローにおいては、主として延伸ピン外周面と口筒部の内周面の隙間からプリフォーム内にブローエアが流動し、エアサーキュレーション時には、延伸ピン内に形成された通路をエアが流動するが、目的に応じて、主として延伸ピンの外径により、ブローエアあるいはサーキュレーション用エアの流動に利用できる有効断面積を決めることができる。
【0012】
そして、請求項1中の「延伸ピンが挿通するピン挿通孔を、中央に貫通形成した筒状の治具本体の先端部に、口筒部を嵌入限まで嵌入して組付く有底円筒形状の合成樹脂製プリフォームに対して、治具本体の先端部内周面の、口筒部のカブラ部に対向する位置からその一部を突出させ、口筒部が着脱自在に、カブラ部の外周に弾接してプリフォームの組付き姿勢を保持する支持部を設けること」なる構成は、上記した「全ての構成部位が、プリフォームの中心軸線上から、少なくとも口筒部の内径の半分の長さ分、離れて位置する」と云う構成を実現可能とするプリフォームの姿勢を保持するための構成の一つである。
【0013】
上記構成により、保持治具の内周面に設けた支持部は、プリフォームの口筒部の嵌入および抜き出しを可能にしており、壜体の製造工程において、必要に応じて、この嵌入、抜き出しができる。
【0014】
また、支持部がプリフォームのカブラ部の外周に弾接しながら、プリフォームの姿勢を保持する構成であり、ブロー金型に取り付けた状態ではもちろん、ブロー金型から保持治具を外した状態においても、支持部によりプリフォームの姿勢を確実に保持することができ、またプリフォームの揺動を抑制することができ、搬送時等にその姿勢がずれることによる、生産トラブルの発生を防止することができる。
【0015】
そして、請求項1中の「治具本体をブロー金型に取り付けた状態で、口筒部の外周面下端に一体周設したネックリングを、治具本体の先端開口縁部に設けた当接段部に密に当接させる」と云う構成も上記した「全ての構成部位が、プリフォームの中心軸線上から、少なくとも口筒部の内径の半分の長さ分、離れて位置する」と云う構成を実現可能とするプリフォームの姿勢を保持するための構成の一つである。
【0016】
上記構成により、ネックリングの上面が当接段部に当接することにより、口筒部の嵌入限が決まり、またブロー金型に設置した状態では、プリフォームのネックリングが、ブロー金型と治具本体の当接段部により挟持されているので、ブロー金型に対するプリフォームの組付き姿勢を一定に固定する。
【0017】
また、ブロー金型から取り外した状態においても、ネックリング部分が当接段部に当接した状態であり、ブロー成形品はカブラ部および、ネックリングの2箇所で、その姿勢が保持されることになり、特にブロー成形品の横方向への揺動を確実に抑制することができる。
【0018】
さらに、保持治具のブロー金型への組付きにより、プリフォームのネックリングは、ブロー金型のネック支持鍔部と治具本体の当接段部との間に挟持され、これにより当接段部に密接して当接するので、ブローエアに対するシールが達成される。
【0019】
このため、ネックリングはプリフォームの口筒部の外周面の下端に位置しているので、口筒部はその外部あるいは内部に関わらず、全体がブロー圧力雰囲気内に位置することになり、口筒部の全表面にはブロー圧力が均等に作用し、口筒部の拡径変形等の不正変形の発生を防止することができる。
【0020】
請求項2記載の発明の手段は、請求項1の発明において、オーリングを、治具本体の内周面に形成した内周溝に、組付け固定して支持部を構成すること、にある。
【0021】
請求項2記載の上記構成により、オーリングに摺動させながら容易に口筒部を嵌入したり、抜き出したりすることができ、またオーリングがカブラ部分の外周全域に亘って弾接するので、プリフォームの姿勢を適正に、安定して保持することができ、さらに支持部の構造が簡単となる。
【0022】
請求項3記載の発明の手段は、請求項1の発明において、ホルダースプリングを、治具本体の内周面に形成した内周溝に、組付け固定して支持部を構成すること、にある。
【0023】
請求項3記載の上記構成により、ホルダースプリングの機能を利用して、容易にプリフォームの口筒部を嵌入したり、抜き出したりすることができ、またカブラ部に弾接することにより、ホルダースプリングの所望値に設定した弾性力により、プリフォームの姿勢を適正に、安定して保持することができる。
【0024】
請求項4記載の発明の手段は、請求項1の発明において、治具本体の先端部筒壁内周面に開口し、治具本体の中心軸に関して略等中心角度間隔に、少なくとも3箇所に形成した円孔状の横孔内に、表面の滑らかな球体を抜け出し不能に、かつ弾性体による押圧状態で一部を突き出した状態で設置し、横孔にブローエアに対してシール性を発揮するシール部を設けて支持部を構成すること、にある。
【0025】
請求項4の上記構成は、ボールプランジャー様の機能を利用するものであり、球体は、押圧状態で横孔内を移動し、球体の回転等の作用により、プリフォームの口筒部を保持治具に円滑に嵌入させたり、抜き出したりすることができ、またカブラ部に弾接した状態で、弾性体による押圧により、プリフォームの組付き姿勢を確実に保持することができ、さらにこの弾性体の反発力の調整により、適正な嵌入、抜き出し性および姿勢保持性を容易に実現することができる。
【0026】
球体としては、外力による変形の少ない、また良好な表面滑り性を有した球体を用いることができ、たとえばステンレス球等を用い、弾性体としては、たとえばゴム性等の弾性的性質を有したオーリング状の部材、コイルスプリング等を使用することができる。
【0027】
なお、上述したオーリング、ホルダースプリング、あるいは球体の、カブラ部への弾接位置は、目的や必要に応じて決めることができるが、カブラ部の下端縁に当接させるのがより好ましく、カブラ部下端縁が係止片の機能を発揮し、より確実にプリフォームの姿勢を支持することが可能となる。
【0028】
請求項5記載の発明の手段は、請求項1、2、3または4の発明において、治具本体の基端部外周面に、搬送装置に引き抜き不能に係止する係止部を設けたこと、にある。
【0029】
請求項5の上記構成により、ブロー成形した壜体等のブロー成形品を保持治具から引き抜く際に、支持部による抵抗があっても、この係止部により、治具本体の搬送装置に対する組付きを確保するので、治具本体がブロー成形品と一緒に持ち上がって、搬送装置から離脱することも無く、生産におけるトラブルを防ぐことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による第1実施例の保持治具へプリフォームPを取り付け、ブロー金型1に装着した状態を示したものであり、図2は、さらに延伸ピンを挿通させた状態を示したものであり、図3は、治具本体6の半縦断正面図および平面図を示したものであり、治具本体6は、図示省略した搬送装置に組み付く周溝状の係止部17を外周面に形成した、比較的小さい外径を有する柄筒部7の上端に、外径を拡径し、ブロー金型1の組付け凹部4に嵌入組付く嵌着筒部9を連設し、構成されている。
【0031】
柄筒部7は、プリフォームPの口筒部P2の内径よりも若干大きい内径を有しており、嵌着筒部9の内径は、その下部においては柄筒部7と同じ内径であり、拡径部を経てその上部では、口筒部P2が容易に嵌入できるように、カブラ部P3に緩やかに外接可能で、また上方に向かって緩やかなテーパ状に拡径した内径を有し、プリフォームPの口筒部P2を上部(先端部)開口部から嵌着筒部9に嵌入し、ネックリングP1の上面を後述する当接段部13に当接した状態で、口筒部P2のカブラ部P3に対向する高さ位置の内周面上部に、オーリング21を組付け保持するための内周溝18aが周設されている。
【0032】
さらに、嵌着筒9の上端部には、ネックリングP1の上面に密接しながら当接する当接段部13を形成し、この当接によって口筒部P2の嵌入限が決まり、またブローエアに対するシール効果を発揮するように構成されており、ブロー成形時において、口筒部P2は、その全体がブロー圧力雰囲気内に位置することになり、このため口筒部の全表面にはブロー圧力が均等に作用し、口筒部P2の拡径変形等の不正変形の発生を防止することができる。
【0033】
本第1実施例においては、内周溝18aにオーリング21を組付け固定して支持部Kを構成し、このオーリング21が、プリフォームPの口筒部P2に周設されたカブラ部P3の下端縁に弾接することにより、プリフォームPの姿勢が保持される(図1、図4参照)。
【0034】
さらに、ネックリングP1の上面が、嵌着筒部9の当接段部13に当接した状態であり(図4参照)、このネックリングP1の当接部分も、プリフォームPの姿勢の保持のための作用機能を発揮した状態となり、その結果プリフォームPはカブラ部P3とネックリングP1の部分の2箇所で、その姿勢を支持されることになり、より確実な姿勢の保持と、揺動の抑制ができる。
【0035】
また、治具本体6をブロー金型1に取り付けた状態では、プリフォームPは支持部Kの作用により姿勢を保持されると共に、ネックリングP1が当接段部13とブロー金型1のネック支持鍔部3の間に確実に挟持されるので、ブロー延伸成形中においても、プリフォームPの揺動を確実に抑制でき、またプリフォームPの抜けを防止することができる。
【0036】
図2には、治具本体6のピン挿通孔11に延伸ピン16を挿通させた状態を図示したが、前述したように、口筒部P2に弾接する支持部Kにより、プリフォームPの姿勢を確実に保持することができるので、従来の例(図10参照)のように、プリフォームPの内側に姿勢を保持するためのガイド筒片10を設置する必要が無く、さらに治具本体6の柄筒部7も口筒部P2の内径よりも若干大きい内径を有し、エアの流動を妨げる部位が存在しない。
【0037】
後述する他の実施例でも同様であるが、前述のように本第1実施例では、プリフォームP内部へのエアの流動を妨げる部位がないので、エアの流路を限界まで、すなわち少なくとも口筒部P2の内径を有する円孔状の流路を、確保することができる。
【0038】
ここで、延伸ピン16の外径を細く設定すれば、この延伸ピン16の外周と口筒部P2の内周とで形成される隙間が大きくなり、その分、ブローエアの流量を大きく取ることができるが、逆に、延伸ピン16の径を太くしてその分内部を流れるエアサークレーション用のエアの流量を大きくすることもでき、目的に応じて延伸ピン16の径を選択することができる。
【0039】
また、本実施例のような支持部Kを採用した場合、プリフォームPを保持治具6から上方に抜き取る際に若干の抵抗があるが、治具本体6の柄筒部7に形成した周溝状の係止部17を利用して治具本体6を搬送装置に固定することにより、この抜き取りを、容易にかつ確実に達成することができる。
【0040】
なお、後述する第2実施例乃至第4実施例においても同様であるが、上述した第1実施例では、垂直な姿勢の治具本体6に、上下逆転した向きでプリフォームを上方から嵌入し、その姿勢を保持する例について記述しているが、本実施例の支持部Kによれば、取り得るプリフォームの姿勢は、この姿勢に限定されること無く、プリフォームを下方から嵌入する姿勢、斜め、あるいは横から嵌入する姿勢等、目的や必要に応じて任意の向きにその姿勢を保持することが可能であり、たとえば連続生産工程において、搬送装置等の各装置の設計あるいは配置等の自由度が広がる等の効果を有する。
【0041】
本発明の第2実施例は、第1実施例におけるオーリング21に替えて、内周溝18aにホルダースプリング22を設置して支持部Kを構成したものであり、ホルダースプリング22は、バネの力により、内側に締め付ける力を発揮するので、プリフォームPのカブラ部P3に弾接しながら、より確実に、プリフォームPの姿勢を保持して揺動を抑制することができる。
【0042】
図5(a)はホルダースプリング22の一例であり、コイル状のスプリングを丸くしながらオーリング状の形状にして、このオーリング状の形状の内周部分の一部を嵌着筒部9の内周面から突き出した状態で、内周溝18aに嵌め込み、カブラ部P3の下端部に弾接させ使用するものであり、図5(b)はホルダースプリング22の他の例である。
【0043】
このホルダースプリング22は、口筒部P2の嵌入および引き抜き性およびプリフォームPの姿勢の保持性、耐久性等のバランスをとりながら、目的に応じて最適な形状、弾性力等を選択することができる。
【0044】
図6は、本発明の第3実施例の治具本体6の正面図および平面図であり、口筒部P2のカブラ部P3の下端縁に球体23が弾接するように、ゴム弾性的な性質を有した外周シールリング26を組付け保持する外周溝18bを、嵌着筒部9の上部外周面に形成し、さらにこの外周溝18bの底部から、嵌着筒部9の中心軸に関して等中心角度の位置に3箇所、嵌着筒部9の筒壁を貫く円孔状の横孔19を形成している。
【0045】
本実施例では、球体23としてステンレス球を用いており、横孔19は、その内端部が若干縮径した形状になっており、球体23をこの横孔19内に入れ、球体23を外側から押さえるように、外周溝18bに外周シールリング26をセットすることにより、球体23は外周シールリング26により押圧されながら、嵌着筒部9の内周面からその下部を突き出した状態となる(図7参照)。
【0046】
また、この外周シールリング26が、ブローエアに対するシール性を発揮するシール部を構成し、ブローエアをシールする機能を果たす。
【0047】
口筒部P2を、嵌着筒部9内にその嵌入限界まで嵌入させた状態で、球体23の一部がカブラ部P3の下端縁に係止することにより、プリフォームPの姿勢保持および揺動の抑制の機能をより確実に発揮することができ、プリフォームPの取り付け、取り外ずしは、球体23の回転等の作用により大きな抵抗も無く実施することができる(図7参照)。
【0048】
図8は、本発明の第4実施例で、球体23の作用を利用した他の実施例の説明図であり、スプリング24が球体23に押圧を付与する機能を、プラグ27がブローエアに対するシール性を発揮するシール部を構成し、ブローエアをシールする機能を果たす。
【0049】
なお、第3実施例および第4実施例のような、球体23による作用は、市販されている外周面に螺条を有したボールプランジャーを、螺条を刻設した横孔19にシールを保持した状態で螺合組付けることによっても、達成できる。
【0050】
図9は、本発明の第5実施例であり、第1実施例において、支持部Kを採用せず、単に治具本体6の先端部を口筒部P2にゆるく外接する内径を有した円筒形状としており、少なくともプリフォームPを逆立して、治具本体6に嵌入させた姿勢においては、プリフォームPの姿勢を保持することができる。
【0051】
嵌着筒部9の内径は、その上部では、口筒部P2が容易に嵌入できるように、カブラ部P3に緩やかに外接可能で、また上方に向かって緩やかなテーパー状に拡径した内径を有しているが、口筒部P2の治具本体6の先端部への嵌入および抜き取り性、姿勢の保持性のバランスを考慮してその内径およびテーパー形状を選択することができる。
【0052】
また、本実施例のように支持部Kを採用しない場合であっても、治具本体6をブロー金型1に取り付けた状態では、ネックリングP1が当接段部13とブロー金型1のネック支持鍔部3の間に確実に挟持されるので、ブロー中におけるプリフォームPの揺動を抑制することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、口筒部の内部、およびプリフォーム内部へのエアの供給流路となる治具本体のピン挿通孔にも、プリフォーム内部へのエアの流動を妨げる部位がないように構成した保持治具であり、プリフォームを安定して保持した状態で、エアの流路を限界にまで広くすることができ、エア流量を大きくすることにより、ブロー時間の短縮、またエアサーキュレーション時の冷却効率の向上が可能となり、生産性の向上を達成することができる。
【0054】
また、支持部によりブロー金型から外した状態でも、ブロー成形品の組付き姿勢を確実に保持することができ、搬送時等にその姿勢がずれることによる、生産トラブルの発生を防止することができる。
【0055】
また、ネックリングの部分においても支持がなされるので、プリフォームの姿勢の保持、揺動の抑制をより確実に達成することができる。
【0056】
さらに、ネックリングでブローエアに対するシールを達成することにより、口筒部の全表面には、ブロー圧力が均等に作用し、口筒部の拡径変形等の不正変形の発生を防止することができる。
【0057】
請求項2記載の発明にあっては、オーリングが、口筒部のカブラ部全周に亘って外周接して、支持するのでプリフォームの姿勢を適正に、安定して保持することができ、かつ支持部を簡単に構成できる。
【0058】
請求項3記載の発明にあっては、ホルダースプリングの所望値に設定した弾性力により、プリフォームの姿勢を適正に、安定して保持することができる。
【0059】
請求項4記載の発明にあっては、球体の作用により、プリフォームの姿勢の安定した保持と、無理なく安全にプリフォームの口筒部を嵌入したり、抜き出したりすることができる。
【0060】
請求項5記載の発明にあっては、ブロー成形した壜体を保持治具から引き抜く際に支持部による抵抗があっても、係止部を利用して、治具本体を搬送装置に確実に固定することにより、治具本体が一緒に持ち上がることも無く、生産におけるトラブルを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例のブロー金型への装着状態を示す、左半分縦断正面図。
【図2】 本発明の第1実施例をブロー金型へ装着して延伸ピンを挿通した状態を示した、要部拡大縦断面図。
【図3】 本発明の第1実施例を示す、正面図および平面図。
【図4】 本発明の第1実施例にプリフォームを装着した状態の、要部拡大縦断面図。
【図5】 本発明の第2実施例に用いるホルダースプリングの例を示す、平面図。
【図6】 本発明の第3実施例を示す、正面図および平面図。
【図7】 本発明の第3実施例にプリフォームを装着した状態の、要部拡大縦断面図。
【図8】 本発明の第4実施例にプリフォームを装着した状態の、要部拡大縦断面図。
【図9】 本発明の第5実施例のブロー金型への装着状態を示す、左半分縦断正面図。
【図10】 従来例を示す、要部拡大縦断面図。
【符号の説明】
1 ; ブロー金型
2 ; 成形型面
3 ; ネック支持鍔部
4 ; 組付け凹部
5 ; 保持治具
6 ; 治具本体
7 ; 柄筒部
9 ; 嵌着筒部
10 ; ガイド筒片
11 ; ピン挿通孔
13 ; 当接段部
14 ; ガイド鍔片
16 ; 延伸ピン
17 ; 係止部
18a; 内周溝
18b; 外周溝
19 ; 横孔
21 ; オーリング
22 ; ホルダースプリング
23 ; 剛体球
24 ; スプリング
26 ; 外周シールリング
27 ; プラグ
P ; プリフォーム
P’ ; 壜体
P1 ; ネックリング
P2 ; 口筒部
P3 ; カブラ部
K ; 支持部
Claims (5)
- 延伸ピン(16)が挿通するピン挿通孔(11)を、中央に貫通形成した筒状の治具本体(6)の先端部に、口筒部(P2)を嵌入限まで嵌入して組付く有底円筒形状の合成樹脂製プリフォーム(P)に対して、前記治具本体(6)の先端部内周面の、前記口筒部(P2)のカブラ部(P3)に対向する位置からその一部を突出させ、口筒部(P2)が着脱自在に、該カブラ部(P3)のみの外周に弾接して前記プリフォーム(P)の組付き姿勢を保持する支持部(K)を設け、前記治具本体(6)をブロー金型(1)に取り付けた状態で、前記口筒部(P2)の外周面下端に一体周設したネックリング(P1)を、前記治具本体(6)の先端開口縁部に設けた当接段部(13)に密に当接し、ブローエアに対するシールが達成される構成とし、前記治具本体(6)の先端部に、前記口筒部(P2)を嵌入限まで嵌入させて、前記プリフォーム(P)を保持した状態で、全ての構成部位が、前記プリフォーム(P)の中心軸線上から少なくとも前記口筒部(P2)の内径の半分の長さ分、離れて位置する構成とした2軸延伸ブロー成形用プリフォーム保持治具。
- オーリング(21)を、治具本体(6)の内周面に形成した内周溝(18a)に組付け固定して支持部(K)を構成した請求項1記載の2軸延伸ブロー成形用プリフォーム保持治具。
- ホルダースプリング(22)を、治具本体(6)の内周面に形成した内周溝(18a)に組付け固定して支持部(K)を構成した請求項1記載の2軸延伸ブロー成形用プリフォーム保持治具。
- 治具本体(6)の先端部筒壁内周面に開口し、前記治具本体(6)の中心軸に関して略等中心角度間隔に、少なくとも3箇所に形成した円孔状の横孔(19)内に、表面の滑らかな球体(23)を抜け出し不能に、かつ弾性体による押圧状態で一部を突き出した状態で設置し、前記横孔(19)にブローエアに対するシール性を発揮するシール部を設けて支持部を構成した請求項1記載の2軸延伸ブロー成形用プリフォーム保持治具。
- 治具本体(6)の基端部外周面に、搬送装置に引き抜き不能に係止する係止部(17)を設けた請求項1、2、3または4記載の2軸延伸ブロー成形用プリフォーム保持治具。
Priority Applications (6)
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---|---|---|---|
JP2002024472A JP3979631B2 (ja) | 2002-01-31 | 2002-01-31 | 2軸延伸ブロー成形用プリフォーム保持治具 |
AU2002360047A AU2002360047A1 (en) | 2001-12-28 | 2002-12-26 | Preform-holding jig for biaxial stretching blow-molding |
CA2453289A CA2453289C (en) | 2001-12-28 | 2002-12-26 | Preform holding jig for biaxial orientation blow molding |
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