(参考例1)
本参考例では、半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法として、シリコン基板からなる半導体基板10(図1(a)参照)の一部を陽極酸化工程において多孔質化することにより形成した多孔質シリコンからなる多孔質部14(図1(c)参照)を除去してシリコンレンズからなる半導体レンズ1(図1(d)参照)を製造する製造方法を例示する。ここにおいて、本参考例における半導体レンズ1は、平凸型の非球面レンズである。なお、本参考例では、半導体基板10として導電形がn形のものを用いるようにしてあるが、半導体基板10としては、不純物濃度が1×1019cm−3未満のものを用いるのが好ましい。
以下、上述の半導体レンズ1の製造方法について図1(a)〜(d)を参照しながら説明する。
まず、図1(a)に示す半導体基板(後述のダイシングを行うまではウェハ)10の一表面側(図1(a)における下面側)に後述の陽極酸化工程で利用する所定膜厚(例えば、1μm)の導電性層(例えば、Al膜、Al−Si膜など)からなる陽極11を形成する陽極形成工程を行うことによって、図1(b)に示す構造を得る。ここにおいて、陽極形成工程では、例えばスパッタ法によって半導体基板10の上記一表面上に導電性層を成膜した後、N2ガスおよびH2ガス雰囲気中で導電性層のシンタ(熱処理)を行うことにより半導体基板10との接触がオーミック接触をなす陽極11を形成する。なお、導電性層の成膜方法はスパッタ法に限らず、例えば蒸着法などを採用してもよい。また、導電性層の材料もAlに限定するものではなく、半導体基板10とオーミック接触が可能な材料であればよく、例えばAlを主成分とするAl−Siなどを採用してもよい。また、導電性層の成膜方法はスパッタ法に限らず、例えば蒸着法などを採用してもよい。
陽極形成工程の後、図1(c)に示すように電解液B中で半導体基板10の他表面側(図1(c)における上面側)に対向配置される白金電極よりなる陰極25と陽極11との間に通電して半導体基板10の他表面側に除去部位となる多孔質シリコンからなる多孔質部14を形成する陽極酸化工程(陽極酸化処理)を行う。
ここにおいて、陽極酸化工程では、電解液Bとして、半導体基板10の構成元素であるSiの酸化物であるSiO2をエッチング除去する溶液、例えば、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液を用いているが、フッ化水素水溶液の濃度やフッ化水素水溶液とエタノールとの混合比は特に限定するものではない。また、フッ化水素水溶液と混合する液体もエタノールに限らず、メタノール、プロパノール、イソプロパノール(IPA)などのアルコールなど、陽極酸化反応で発生した気泡を除去できる液体であれば、特に限定するものではない。また、陽極酸化工程では、電解液B中において半導体基板10の上記他表面に陰極25を対向配置して、500Wのタングステンランプからなる光源30により半導体基板10の上記他表面に光照射を行いながら、電源から陽極11と陰極25との間に所定電流密度の電流を所定時間だけ流すことによって、多孔質部14を形成する。なお、光源30は、半導体基板10が光吸収により電子・ホール対を生成できる波長の光を放射するものであればよく、特に限定するものではない。陽極酸化工程において用いる陽極酸化装置については、例えば、電解液Bを入れる処理槽と、陰極25と、陽極11と陰極25との間に電圧を印加する電圧源と、電圧源から陽極11に流れる電流を検出する電流センサと、電流センサの検出電流に基づいて電圧源の出力電圧を制御するマイクロコンピュータなどからなる制御部とを備えたものを用いればよい。
ここで、半導体基板10の一部を陽極酸化工程において多孔質化する際には、光源30からの光照射により電子・ホール対が発生するので、ホールをh+、電子をe−とすると、以下の反応が起こっていると考えられる。
Si+2HF+(2−n)h+→SiF2+2H++ne−
SiF2+2HF→SiF4+H2
SiF4+2HF→SiH2F6
すなわち、半導体基板10の陽極酸化では、Fイオンの供給量とホールh+の供給量との兼ね合いで多孔質化あるいは電解研磨が起こることが知られており、Fイオンの供給量の方がホールの供給量よりも多い場合には多孔質化が起こり、ホールh+の供給量がFイオンの供給量よりも多い場合には電解研磨が起こる。したがって、陽極酸化工程では、陽極酸化による多孔質化の速度はホールh+の供給量で決まるから、半導体基板10中を流れる電流の電流密度で多孔質化の速度が決まり、多孔質部14の厚みが決まることになる。
ところで、本参考例では、陽極酸化工程において図1(c)に示したように半導体基板10の上記他表面側に対向配置される陰極25が、半導体基板10の上記他表面に所望のレンズ形状に応じた光量分布(光強度分布)を形成するように設計されて光源30と半導体基板10の上記他表面との間に配置されるマスクを構成するようにパターン設計されている。したがって、言い換えれば、陽極酸化工程においては、光源30と半導体基板10の上記他表面との間に、上記他表面に所望のレンズ形状に応じた光量分布を形成するように設計したマスクを兼ねる陰極25を配置し、光源30から半導体基板10の上記他表面側へ光を照射しながら陽極11と陰極25との間に通電している。要するに、本参考例では、陽極酸化工程にて半導体基板10の上記他表面側に照射する光の光量分布を所望のレンズ形状に応じて決定することにより、陽極酸化工程において半導体基板10中に誘起されるホールの分布が所望のレンズ形状に応じた分布となるようにしている。なお、図1における陰極25は、上記レンズ形状に応じてパターン設計された円環状の開孔部が形成されており、図1には光源30から放射され陰極25の開孔部を通って半導体基板10の上記他表面側へ伝搬する光の広がり範囲を一点鎖線で示してある。
上述の陽極酸化工程の終了後、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程を行う。ここにおいて、多孔質シリコンからなる多孔質部14を除去するエッチング液としてアルカリ系溶液(例えば、KOH、NaOH、TMAHなどの水溶液)やHF系溶液を用いれば、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程において、Al膜やAl−Si膜により形成されている陽極11もエッチング除去することができ、図1(d)に示す構造の半導体レンズ1を得ることができるので、その後、個々の半導体レンズ1に分離するダイシング工程を行えばよい。なお、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程と、陽極11を除去する陽極除去工程とを別々に行ってもよい。また、多孔質シリコンからなる多孔質部14を除去する多孔質部除去工程においてエッチング液としてアルカリ系溶液を用いる場合には、エッチング液を加熱せずに室温でも多孔質部14をエッチング除去することができる。
以上説明した本参考例の半導体レンズ1の製造方法によれば、陽極酸化工程において、半導体基板10の上記他表面側に光源30から光を照射するにあたって、光源30と半導体基板10の上記他表面との間に、上記他表面に所望のレンズ形状に応じた光量分布を形成するように設計したマスクを兼ねる陰極25を配置するので、半導体基板10の上記他表面側の光量分布により多孔質部14の形成に寄与するホールの供給量の面内分布が決まり、半導体基板10に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるから、陽極酸化工程にて形成する多孔質部14の厚みの面内分布を制御することできて厚みが連続的に変化した多孔質部14を形成することが可能であり、当該多孔質部14を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状の半導体レンズ1が形成されるから、半導体基板10の厚みによらずレンズ径や曲率などを適宜設計した任意形状の半導体レンズ1を容易に形成することが可能になる。例えば、半導体レンズ1として図2(b)に示すような平凹型のレンズを形成する場合には、図2(a)に示すようにマスクを兼ねる陰極25の開孔部を円形状の形状として多孔質部14を形成してから、当該多孔質部14および陽極11を除去すればよく、上記開孔部の内径を適宜設定することにより、所望のレンズ径の平凹型のレンズを形成できる。
また、本参考例のように、光源30としてタングステンランプを用いる場合には、陽極酸化工程において多孔質化を開始した後、多孔質化の終了前に例えば光源30への入力電力を下げたりフィルタを挿入したりすることで光強度を低下させて多孔質部14における半導体基板10との境界付近の多孔度を低下させる(ポア径を小さくして緻密な多孔質構造とする)ことにより、多孔質部14を除去することで半導体基板10において露出する表面からなるレンズ表面への微細な凹凸の形成を抑制することができ、レンズ表面がより平滑な半導体レンズ1を形成することが可能となり、結果として、半導体レンズ1のレンズ表面の微細な凹凸に起因した光の乱反射を抑制することができ、レンズ性能の向上を図れる。
また、上述の製造方法により製造する半導体レンズ1では、図3および図4に示すように、レンズ部1aとレンズ部1aを全周に亘って囲むフランジ部1bとを連続一体に形成することが可能となり、例えば、図3および図4に示す構成の赤外線センサのパッケージ50への取り付けが容易になる。以下、図3および図4に示す構成の赤外線センサについて簡単に説明する。
ここで、図3および図4に示す赤外線センサは、熱型赤外線検出素子(例えば、焦電素子、サーモパイルなど)からなる赤外線検出素子61および赤外線検出素子61の出力を信号処理する信号処理回路が設けられた回路ブロック60と、回路ブロック60を収納するキャンパッケージからなるパッケージ50とを備えている。
パッケージ50は、回路ブロック60が絶縁材料からなるスペーサ71を介して実装される円板状のステム51と、回路ブロック60を覆うようにステム51に固着される金属製のキャップ52とを備え、回路ブロック60の適宜部位と電気的に接続される複数本(本参考例では、3本)の端子ピン55がステム51を貫通する形で設けられている。また、キャップ52は、後面が開放された有底円筒状の形状に形成されており、後面がステム51により閉塞されている。また、キャップ52において赤外線検出素子61の前方に位置する前壁には、矩形状(本参考例では、正方形状)の透光窓53が形成されており、赤外線検出素子61の受光面へ赤外線を集光する光学部材として、上述の半導体レンズ1が透光窓53を覆うようにキャップ52の内側から配設されている。
ステム51は、上述の各端子ピン55それぞれが挿通される複数の端子用孔51bが厚み方向に貫設されており、各端子ピン55が端子用孔51bに挿通された形で封止部54により封着されている。
上述のキャップ52およびステム51は鋼板により形成されており、ステム51の周部に形成されたフランジ部51cに対して、キャップ52の後端縁から外方に延設された外鍔部52cを溶接により封着してある。
回路ブロック60は、上述の信号処理回路の構成要素であるIC63および電子部品64が互いに異なる面に実装されたプリント配線板(例えば、コンポジット銅張積層板など)からなる第1の回路基板62と、第1の回路基板62における電子部品64の実装面側に積層された樹脂層65と、ガラスエポキシなどからなる絶縁性基材の表面に金属材料(例えば、銅など)からなる金属層(以下、シールド層と称す)が形成され樹脂層65に積層されたシールド板66と、赤外線検出素子61が実装されるとともにシールド板66に積層されたプリント配線板(例えば、コンポジット銅張積層板)からなる第2の回路基板67とで構成されている。
ここにおいて、第2の回路基板67には、赤外線検出素子61のセンシングエレメントと第2の回路基板67とを熱絶縁するための熱絶縁用孔67aが厚み方向に貫設されている。なお、回路ブロック60は、第1の回路基板62、樹脂層65、シールド板66、第2の回路基板67それぞれに、上述の端子ピン55が挿通されるスルーホール62b,65b,66b,67bが厚み方向に貫設されており、赤外線検出素子61と信号処理回路とが端子ピン55とを介して電気的に接続されている。なお、上述の赤外線センサの3本の端子ピン55は、1本が給電用の端子ピン55(55a)、他の1本が信号出力用の端子ピン55(55b)、残りの1本がグランド用の端子ピン55(55c)であり、シールド板66におけるシールド層はグランド用の端子ピン55cと電気的に接続されている。ここで、端子ピン55a,55bを封着する封止部54,54(54a,54b)は、絶縁性を有する封着用のガラスにより形成されており、端子ピン55cを封着する封止部54(54c)は、金属材料により形成されている。要するに、端子ピン55a,55bはステム51と電気的に絶縁されているのに対し、グランド用の端子ピン55cはステム51と同電位となっている。
また、半導体レンズ1は、レンズ部1aが、平凸型の非球面レンズの形状に形成されており、レンズ部1a以外の部位であるベース部1bの外周形状が矩形状に形成されている。また、半導体レンズ1は、透光窓53の内側に位置するレンズ部1a以外の部位であるベース部1bを通して赤外線検出素子61の受光面へ入射しようとする赤外線を阻止する赤外線阻止部1dが設けられている。ここで、赤外線阻止部1dは、金属材料(例えば、Al,Al−Siなど)からなる赤外線反射膜により構成してあるが、当該赤外線反射膜の材料は、AlやAl−Siなどに限らず、薄膜形成時に光沢があり凹凸を小さくできる材料であればよく、特に、赤外線の反射率が0.9よりも高いAu、Ag、Alなどの金属材料や、これらの金属材料を主成分とする材料を採用することが好ましい。また、赤外線阻止部1dを構成する赤外線反射膜としては、誘電体膜や、誘電体多層膜を採用してもよい。なお、赤外線阻止部1dは、赤外線を反射する赤外線反射膜に限らず、赤外線を散乱させる機能を有する膜により構成してもよい。
上述の半導体レンズ1を用いた赤外線センサでは、キャップ52の透光窓53内にレンズ部1aを配置した状態でフランジ部1bをキャップ52の前壁の後面における透光窓53の周部と固着することができるので、シリコン基板やゲルマニウム基板を研磨することにより形成された従来の赤外線用のレンズに比べて、パッケージ50へ容易に取り付けることが可能となる。
また、上述の半導体レンズ1を用いた赤外線センサでは、レンズ部1a以外の部位であるベース部1bを通して赤外線検出素子61へ入射しようとする赤外線を赤外線阻止部1dにより阻止することが可能となり、レンズ部1aの形状などにより決まる検知エリア以外からの不要な赤外線の赤外線検出素子61への入射を防止することができ、赤外線検出素子61の感度を高めることが可能となる。また、上述の赤外線センサでは、半導体レンズ1とキャップ52とを接合する接合材料として導電性材料(例えば、半田など)を用い、半導体レンズ1とキャップ52と電気的に接続することで電磁シールドを行うことができ、赤外線検出素子61への電磁ノイズの影響を防止できる。
ところで、上述の赤外線センサでは、キャップ52の透光窓53を矩形状に開口してあるが、キャップ52の透光窓53を円形状に開口しておき、半導体レンズ1をレンズ部1aのみにより構成して透光窓53へ落とし込んでキャップ52と半導体レンズ1とを接着することも考えられる。しかしながら、このような構成を採用する場合には、透光窓53へ半導体レンズ1を落とし込む際に半導体レンズ1の光軸に直交する平面がキャップ52の前壁に対して傾いてしまい、半導体レンズ1と赤外線検出素子61との平行度が出なくなり、半導体レンズ1の集光点が赤外線検出素子61からずれてしまう可能性がある。
これに対して、図3及び図4に示した構成の赤外線センサでは、上述のようにキャップ52において半導体レンズ1のベース部1bを落とし込む透光窓53の開口形状を、各辺がベース部1bの各辺よりも短く且つレンズ部1aのレンズ径よりも大きな正方形状としてあり、半導体レンズ1のベース部1bの周部において他の部位よりも薄肉に形成された鍔部1cをキャップ52の前壁の後面に当接させた形でベース部1bの周部を上記接合材料からなる接合部58を介してキャップ52に固着してある。したがって、半導体レンズ1と赤外線検出素子61との平行度を高めることができ、半導体レンズ1の集光点が赤外線検出素子61からずれるのを防止することができる。
ところで、上記特許文献2に記載された技術のように陽極酸化工程において除去部位である酸化膜を形成する技術を利用した場合、数十μmの高低差を有する曲面を形成するためには陽極酸化工程と酸化膜除去工程とを繰り返す必要があり、所望のレンズ形状を得ることが難しい。これに対して、本参考例の半導体レンズ1の製造方法では、数百μmの高低差を有する曲面を1回の陽極酸化工程と1回の多孔質部除去工程とで形成することができるので、一般的にマイクロレンズと呼ばれるレンズ径が数百μm以下のレンズに限らず、レンズ径が数mm程度のレンズでも1回の陽極酸化工程と1回の多孔質部除去工程とを形成することができる。
また、本参考例の半導体レンズ1の製造方法では、陽極酸化工程において半導体基板10の上記他表面側で光が照射されない領域ではホールが供給されず多孔質化が抑制されるから、言い換えれば、半導体基板10の上記他表面側で光が照射される領域が選択的に多孔質化されるから、多孔質化の不要な領域が多孔質化されるのを防止することができ、プロセス時間の短縮を図れ、低コスト化を図れる。また、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して陽極11をパターニングするような工程も必要ないから、より一層の低コスト化を図れる。
また、本参考例では、陰極25を上記マスクとして兼用しているので、陰極25と上記マスクとを別々に配置する場合に比べて陽極酸化工程を簡略化することができる。
(実施形態)
本実施形態の半導体レンズの製造方法は参考例1と略同じであって、参考例1では陽極酸化工程において、光源30としてタングステンランプを用いており、マスクを兼ねる陰極25を利用して半導体基板10の上記他表面側に光量分布(光強度分布)を形成していたのに対して、図5に示すように光源30として単色光のレーザ光源を用い、所望のレンズ形状(ここでは、平凹型のレンズ形状)に応じてレーザ光を半導体基板10の上記他表面上で走査し位置ごとに光強度を調節するようにしている点が相違する。ここで、本実施形態における陽極酸化工程においては、半導体レンズの所望のレンズ形状に応じて個別に設計した陰極25(図1(c)参照)を用意する必要がなく、半導体レンズの所望のレンズ形状によらず、共通の陰極を利用することができ、低コスト化を図れる。なお、他の工程は参考例1と同じなので説明を省略する。
しかして、本実施形態の半導体レンズの製造方法によれば、陽極酸化工程において、半導体基板10の上記他表面側に光源30から光を照射するにあたって、光源30としてレーザ光源を用い、半導体基板10中に誘起されるホールの分布が所望のレンズ形状に応じた分布となるように決めた半導体基板10の上記他表面側での光量分布に応じてレーザ光を半導体基板10の上記他表面上で走査し位置ごとに光強度を調節するので、半導体基板10の上記他表面側の位置ごとに光強度に応じて多孔質部14の形成に寄与するホールの供給量が決まるから、陽極酸化工程にて形成する多孔質部14の厚みの面内分布を例えば図5のように制御することでき、当該多孔質部14を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状の半導体レンズが形成されるから、半導体基板10の厚みや抵抗率などによらずレンズ径や曲率などを適宜設計した任意形状の半導体レンズを容易に形成することが可能になる。
ところで、本実施形態では、光源30としてレーザ光源を用いているが、光源30として例えばタングステンランプのような光源を用い、光源30から半導体基板10の上記他表面側に照射する光を適宜の光学系を利用して走査するようにしてもよい。ただし、本実施形態のように、光源30としてレーザ光源を用いることにより、多孔質化に適した単一の波長の光(単色光)のみを光強度を制御しながら照射することが可能となり、光源30としてタングステンランプのような紫外域から赤外域に亘るブロードな発光スペクトルの光源を用いる場合に比べて、多孔質部14に形成される多数のポアのポア径を揃えやすくなるとともに多孔度の均一性を高めやすくなり、多孔質部14における多孔度のばらつきを低減することができ、多孔質部除去工程において容易に除去可能な多孔質部14を形成可能になるという利点がある。
また、本実施形態のように、光源30としてレーザ光源を用いる場合には、陽極酸化工程において多孔質化を開始した後、多孔質化の終了前に光強度を低下させて多孔質部14における半導体基板10との境界付近の多孔度を低下させる(ポア径を小さくして緻密な多孔質構造とする)ことにより、多孔質部14を除去することで半導体基板10において露出する表面からなるレンズ表面への微細な凹凸の形成をより抑制することができ、レンズ表面がより平滑な半導体レンズを形成することが可能となり、結果として、半導体レンズのレンズ表面の微細な凹凸に起因した光の乱反射を抑制することができ、レンズ性能の向上を図れる。
なお、図5に示した例では、光源30から放射されたレーザ光を光学部品を介さずに図示しない電解液を通して半導体基板10の上記他表面側に照射しているが、図6に示すようにレンズ35を用いてビーム径を制御するようにしてもよい。また、上述の例では光源30からの光を半導体基板10の上記他表面上で走査し位置ごとに光強度を調節することで半導体基板10に照射される光の光量分布を形成しているが、光強度ではなく光照射時間を調整することで半導体基板10に照射される光の光量分布を形成するようにしてもよく、この場合には、光照射時間に応じて多孔質部14の形成に寄与するホールの供給量が決まることになり、半導体基板10の厚みによらず任意形状の半導体レンズを容易に形成することが可能になる。
ところで、上記参考例1および上記実施形態では、半導体基板10としてシリコン基板を採用しているが、半導体基板10の材料はSiに限らず、Ge、SiC、GaAs、GaP、InPなどの陽極酸化処理による多孔質化が可能な他の材料でもよく、導電形もn形に限らず、p形でもよい。ここで、陽極酸化工程において用いる電解液であって半導体基板10の構成元素の酸化物を除去する電解液としては、例えば、下記表1のような電解液を用いればよい。
(参考例2)
図7に基づいて説明する本参考例の半導体レンズ1の製造方法は参考例1と略同じなので、参考例1と同様の工程については説明を適宜省略する。なお、本参考例では、半導体基板10として導電形がp形で抵抗率が80Ωcmのシリコン基板を用いている。
まず、図7(a)に示す半導体基板(後述のダイシングを行うまではウェハ)10の一表面側(図7(a)の下面側)に後述の陽極酸化工程で利用する陽極11(図7(c)参照)の基礎となる所定膜厚(例えば、1μm)の導電性膜(例えば、Al膜、Al−Si膜など)からなる導電性層11aを形成する導電性層形成工程を行うことによって、図7(b)に示す構造を得る。ここにおいて、導電性層形成工程では、例えばスパッタ法によって半導体基板10の上記一表面上に導電性層11aを成膜した後、N2ガスおよびH2ガス雰囲気中で導電性層11aのシンタ(熱処理)を行うことで、導電性層11aと半導体基板10とのオーミック接触を得ている。なお、導電性層11aの成膜方法はスパッタ法に限らず、例えば蒸着法などを採用してもよい。
導電性層形成工程の後、導電性層11aに円形状の開孔部12を設けるように導電性層11aをパターニングするパターニング工程を行うことによって、図7(c)に示す構造を得る。ここにおいて、パターニング工程では、フォトリソグラフィ技術を利用して半導体基板10の上記一表面側に上記開孔部12に対応する部位が開孔されたレジスト層(図示せず)を形成した後、レジスト層をマスクとして導電性層11aの不要部分を例えばウェットエッチング技術あるいはドライエッチング技術によってエッチング除去して開孔部12を設けることにより導電性層11aの残りの部分からなる陽極11を形成し、その後、上記レジスト層を除去する。なお、導電性層11aがAl膜やAl−Si膜であれば、導電性層11aの不要部分をウェットエッチング技術によりエッチング除去する場合には、例えば燐酸系エッチャントを用いればよく、導電性層11aの不要部分をドライエッチング技術によりエッチング除去する場合には、例えば反応性イオンエッチング装置などを用いればよい。また、本参考例では、上述の導電性層形成工程とパターニング工程とで、陽極形成工程を構成しており、陽極形成工程にて形成する陽極11と半導体基板10との接触パターンを所望のレンズ形状に応じて決定することにより、陽極酸化工程において半導体基板10中に誘起されるホールの分布が所望のレンズ形状に応じた分布となるようにしている。なお、円形状の開孔部12の半径は1mmに設定してあるが、この数値は特に限定するものではなく、半導体レンズ1のレンズ径の設計値に基づいて適宜設定すればよい。
パターニング工程の後、図7(d)に示すように、陽極酸化用の電解液B中で半導体基板10の他表面側(図7(d)の上面側)に対向配置される陰極25と陽極11との間に電圧源31から通電して半導体基板10の上記他表面側に除去部位となる多孔質シリコンからなる多孔質部14を形成する陽極酸化工程(陽極酸化処理)を行う。ここで、本参考例のように半導体基板10としてp形のシリコン基板を用いている場合には、陽極酸化による多孔質化の速度はホールh+の供給量で決まるから、半導体基板10中を流れる電流の電流密度で多孔質化の速度が決まり、多孔質部14の厚みが決まることになる。本参考例では、陽極11と半導体基板10の上記他表面側において半導体レンズ1の中心に対応する位置(以下、第1の位置と称す)との間の距離が、陽極11と半導体基板10の上記他表面側における陽極11の鉛直上方の位置(以下、第2の位置と称す)との間の距離よりも長くなるので、陽極11と第1の位置との間の抵抗値Raが、陽極11と第2の位置との間の抵抗値Rbよりも大きくなる。したがって、半導体基板10中を流れる電流の電流密度は、陽極11と第1の位置との間の経路よりも、陽極11と第2の位置との間の経路の方が大きくなり、半導体基板10の上記他表面側では、陽極11の開孔部12の中心線(半導体基板10の厚み方向に沿った中心線)から離れるほど電流密度が徐々に大きくなるような電流密度の面内分布を有することとなり、半導体基板10の上記他表面側に形成される多孔質部14は、陽極11の開孔部12の中心線に近くなるほど徐々に薄くなっている。なお、上述の電流密度の面内分布は、陽極11と陰極25との間に通電しているときに陽極11と半導体基板10との接触パターンなどにより決まる半導体基板10内の電界強度の分布に応じて発生し、電界強度が強いほど電流密度が大きくなり、電界強度が弱いほど電流密度が小さくなる。
上述の陽極酸化工程の終了後、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程を行う。ここにおいて、多孔質シリコンからなる多孔質部14を除去するエッチング液としてアルカリ系溶液(例えば、KOH、NaOH、TMAHなどの水溶液)やHF系溶液を用いれば、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程において、Al膜やAl−Si膜により形成されている陽極12もエッチング除去することができ、図7(e)に示す構造の半導体レンズ1を得ることができるので、その後、個々の半導体レンズ1に分離するダイシング工程を行えばよい。
以上説明した本参考例の半導体レンズ1の製造方法によれば、陽極形成工程にて形成する陽極11と半導体基板10との接触パターンにより陽極酸化工程において半導体基板10の上記他表面側に誘起されるホールの分布が決まり、半導体基板10に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、陽極酸化工程にて形成する多孔質部14の厚みの面内分布を制御することができて厚みが連続的に変化した多孔質部14を形成することが可能であり、当該多孔質部14を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状の半導体レンズ1が形成されるから、半導体基板10の厚みによらず任意形状の半導体レンズ1を容易に形成することが可能になる。
ここにおいて、本参考例における陽極形成工程では、半導体基板10の上記一表面側に陽極11の基礎となる導電性層11aを形成した後、導電性層11aに円形状の開孔部12を設けるように導電性層11aをパターニングすることで陽極11を形成しているので、陽極酸化工程において半導体基板10の上記他表面側では半導体基板10に流れる電流の電流密度が、陽極11(導電性層11a)の開孔部12の中心線に近づくほど小さくなる面内分布となるから、半導体基板10の上記他表面側では陽極11の開孔部12の中心線に近づくほど多孔質部14の厚みが薄くなり、半導体レンズ1として表面が滑らかな平凸型の非球面レンズを形成することができる。なお、このようにして形成された半導体レンズ1の光軸は半導体基板10の厚み方向に沿った開孔部12の中心線(口軸)と一致する。
ところで、上述の半導体レンズ1の製造方法においては、陽極酸化工程において半導体基板10に流れる電流の電流密度の面内分布によってレンズ形状(本参考例では、平凸型の非球面レンズにおける非球面の曲率半径やレンズ径)が決まるので、半導体基板10の抵抗率や厚み、陽極酸化工程にて用いる電解液Bの電気抵抗値や、半導体基板10と陰極25との間の距離、陰極25の平面形状(半導体基板10に対向配置した状態において半導体基板10に平行な面内での形状)、陽極11における円形状の開孔部12の内径などを適宜設定することによっても、レンズ形状を制御することができる。
ここにおいて、半導体基板10の抵抗率が小さいほど、曲率半径の大きな緩やかな曲面を有する半導体レンズ1を形成することができ、抵抗率が大きいほど、曲率半径が小さく焦点距離が短い半導体レンズ1を形成できる。また、半導体基板10の厚みが薄いほど曲率半径が小さく焦点距離が短い半導体レンズ1を形成することができ、厚みが厚いほど曲率半径の大きな緩やかな曲面を有する半導体レンズ1を形成することができる。
また、その他に、レンズ形状を制御するパラメータとして、陽極酸化工程における陽極酸化の処理時間(上記所定時間)があり、処理時間が長く多孔質部14の厚みが厚くなるほど、多孔質部14において厚い部分の厚さと薄い部分の厚さとの差が大きくなって曲率半径の小さな曲面を形成でき、処理時間が短く多孔質部14の厚みが薄くなるほど、多孔質部14において厚い部分の厚さと薄い部分の厚さとの差が小さくなって曲率半径の大きな曲面を形成できる。
また、上述の陽極酸化工程では、参考例1にて説明した制御部において電流センサによる検出電流の電流密度が所定電流密度となるように電圧源31の出力電圧を制御し、通電開始から所定時間が経過すると直ちに通電を終了するようにしているが、通電終了前に電流密度を連続的ないし段階的に減少させることで半導体基板10の多孔質化の速度および多孔度を低下させれば、多孔質部14を除去した後の半導体レンズ1の表面をより滑らかな表面とすることが可能となる。要するに、上記通電時には除去部位である多孔質部14における表面側の部分の多孔度よりも半導体基板10との境界側の部分の多孔度を小さくするように通電条件を変化させるようにすれば、多孔質部14における半導体基板10との境界側の部分の多孔度が表面側の部分の多孔度に比べて小さくなって、多孔質部14を除去する際の曲面への微細な凹凸の形成を抑制することができ、より滑らかな曲面を有する半導体レンズ1を形成することが可能となる。
なお、本参考例では、半導体基板10としてp形のシリコン基板を用いた場合について説明したが、n形のシリコン基板を用いる場合には、陽極酸化工程において、半導体基板10の上記他表面側の全域に光源からの光を照射することでホールを誘起させて多孔質化を行えばよい。
(参考例3)
本参考例の半導体レンズ1の製造方法は参考例2と略同じであって、半導体基板10としてFZ結晶(FZ法により製造されたシリコン単結晶)からなる高抵抗率(例えば、抵抗率が100Ωcm以上、好ましくは、数十kΩcm以上)のシリコン基板を用いる点が相違するだけなので、図示および説明を省略する。
ところで、上述の参考例1、実施形態では、半導体基板10として、n形不純物をドーピングしたn形のシリコン基板を用い、参考例2では、半導体基板10として、p形不純物をドーピングしたp形のシリコン基板を用いているので、人体から放射される赤外線の波長域(8μm〜12μm程度)に対しては、透過率の高い半導体レンズ1を製造することができるが、テラヘルツ波の波長域の電磁波に対して透過率の高い半導体レンズ1を製造することができなかった。
参考資料として、シリコン基板の抵抗率の相違による透過特性の違いについてインターネット上で開示されているデータ例を図8に示す(〔平成18年7月27日検索〕、インターネット<URL:http:www.tydex.ru/materials/materials2/Si.html>)。ここで、図8中の「イ」は、抵抗率が30kΩcmのFZ結晶からなるシリコン基板の透過特性を示し、同図中の「ロ」は、抵抗率が10ΩcmのFZ結晶からなるn形シリコン基板および抵抗率が10ΩcmのCZ結晶(CZ方により製造されたシリコン単結晶)からなるn形シリコン基板の透過特性を示している。
図8から、抵抗率が低いFZ結晶やCZ結晶からなるn形のシリコン基板では、400μm〜1000μmの波長域の電磁波に対する透過率が10%以下となるのに対して、抵抗率の高いFZ結晶からなるシリコン基板では、同じ波長域の電磁波に対する透過率が53%程度であり、反射防止膜を設けていない場合に媒質での吸収がない理想的な透過率と同等の透過率が得られている。
しかして、本参考例の半導体レンズ1の製造方法によれば、透過対象の電磁波がテラヘルツ波であり低コスト化が可能な所望のレンズ形状の半導体レンズ1を提供することが可能となる。なお、参考例1、実施形態1にて説明した半導体レンズ1の製造方法においても、半導体基板10として高抵抗率のシリコン基板を用いることにより、透過対象の電磁波がテラヘルツ波であり低コスト化が可能な所望のレンズ形状の半導体レンズ1を提供することが可能となる。また、本参考例では、半導体基板10として、FZ結晶からなる高抵抗率のシリコン基板を用いているので、CZ結晶を用いる場合に比べて、より広い波長帯域に亘って透過率が高く、テラヘルツ波のエネルギ損失が小さな半導体レンズ1を製造することができる。
また、本参考例では、半導体基板10として抵抗率の高いものを用いているので、曲率半径が小さく焦点距離の短い半導体レンズ1を容易に製造することができるから、隣り合う単レンズが互いに重なりあったマルチレンズを製造する場合には、マルチレンズ全体の小型化を図れる。
なお、本参考例や参考例1、実施形態、参考例2では、半導体基板10としてシリコン基板を用いているので、半導体基板10としてゲルマニウム基板、SiC基板、GaAs基板、GaP基板、InP基板などを用いる場合に比べて、半導体基板10の入手が容易になるとともに半導体基板10のコストを低減できるので、低コスト化を図れる。
ここで、上述の半導体レンズ1の製造方法により製造した半導体レンズ1を用いたテラヘルツ波応用機器の一例として、図9に示す構成のイメージングシステムについて簡単に説明する。
図9に示す構成のイメージングシステムは、テラヘルツ波を放射する波長可変のテラヘルツ波発生源(テラヘルツ波光源)81と、テラヘルツ波発生源81から放射されたテラヘルツ波を被測定物90に集光する半導体レンズ1からなる投光レンズ82と、被測定物90を保持し被測定物90を投光レンズ82の光軸に交差する面内で2次元的に移動させるXYステージ83と、被測定物90にて反射されたテラヘルツ波を受光するテラヘルツ波検出器(テラヘルツ波受光器)85と、被測定物90にて反射されたテラヘルツ波をテラヘルツ波検出器85へ集光する半導体レンズ1からなる受光レンズ84と、テラヘルツ波検出器85の出力に基づいて被測定物90の物性の面内分布を求めるコンピュータからなる信号処理装置(図示せず)と、信号処理装置にて求めた被測定物90の物性の面内分布などを表示させるディスプレイからなる表示装置(図示せず)とを備えている。したがって、テラヘルツ波発生源81から放射されたテラヘルツ波が投光レンズ82にて集光されて被測定物90に照射され、被測定物90にて反射されたテラヘルツ波が受光レンズ84にて集光されてテラヘルツ波検出器85にて検出されるが、被測定物90の物性により反射率の波長依存性が異なるので、テラヘルツ波検出器85の出力に基づいて被測定物90の物性の面内分布を検査することが可能となる。
なお、テラヘルツ波発生源81としては、例えば、非線形光学結晶(例えば、ニオブ酸リチウム結晶など)に励起光を入射してテラヘルツ波を放射させるパラメトリック光源や、テラヘルツ波を出力する半導体レーザなどを採用すればよい。また、テラヘルツ波検出器85としては、例えば、光伝導アンテナ(PCA)型の検出器、電気光学(EO)結晶を用いた検出器、ボロメータや焦電素子を用いた検出器などを採用すればよい。
ところで、上記実施形態、参考例1〜3では、平凸型のレンズや平凹型のレンズを製造する方法について説明したが、シリンドリカルレンズを製造することも可能であり、また、多孔質部(第1の多孔質部)14を除去した後で、半導体基板10の上記他表面側に第1の多孔質部14を形成するまでの工程を採用して半導体基板10の上記一表面側に所望のレンズ形状に応じた厚み分布を有する第2の多孔質部を形成してから除去するようにすれば、両凸レンズ、両凹レンズ、凹凸レンズなどを形成することができる。また、上記実施形態、参考例1〜3では、陽極酸化工程にて半導体基板10の上記他表面側に照射する光の光量分布と、陽極形成工程にて形成する陽極11と半導体基板10との接触パターンとの一方を所望のレンズ形状に応じて決定することにより、陽極酸化工程において半導体基板10中に誘起されるホールの分布が所望のレンズ形状に応じた分布となるようにするようにしているが、上記光量分布と上記接触パターンとの少なくとも一方を所望のレンズ形状に応じて決定すればよく、両方を所望のレンズ形状に応じて決定してもよい。
また、本発明の技術思想によれば、半導体レンズとして、平凸レンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、凹凸レンズ、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズなどの微細な構造を有するレンズ(光源30としてレーザ光源などを用いた場合)などの単レンズに限らず、マルチレンズや、上述の単レンズをアレー状に設けた所謂アレーレンズや上述の複数種類の単レンズを複合させたレンズも形成することが可能となる。