JP3978407B2 - 多孔質構造体および触媒担体 - Google Patents

多孔質構造体および触媒担体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体通過時の圧力損失が小さく、かつ流体の接触面積を十分に確保でき、形状加工が容易な軽量の多孔質構造体、触媒担体および多孔質構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、バスやトラックなどの車両や建設機械などの内燃機関からの排気ガスを浄化するためにアルミナハニカム、メタルフォーム等のフォームにメタノールの改質媒体であるPd(パラジウム)やPt(白金)などを担持させた触媒担体が知られている。
【0003】
従来の触媒担体は、必要な空隙を形成するために複数の金属部材からなる板材を様々な形状で組み合わせてハニカムを形成する工程を経て製造されている(例えば、特許文献1参照。)。また、触媒担体を構成するセラミックスの原料を成型してから焼成しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。また、押出し成型によるセラミックスハニカムフィルターも提示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
一方、これらの従来技術を改良し、スポンジなどの多孔質構造体の有形骨格に成形したままの形状を保持させて、複雑形状のものでも容易に製造可能にした、炭化珪素系軽量多孔質構造体およびその製造方法が開発されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−321678号公報
【特許文献2】
特開平06−182228号公報
【特許文献3】
特開平05−124021号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、複数の金属部材からなる板材を様々な形状で組み合わせてハニカム構造を形成するので、所望の空隙を形成するために非常に複雑な工程を経る必要がある。また、上記特許文献2では、触媒担体を構成するセラミックスの原料を成型してから焼成するため、焼成時の変形が生じた場合には使用不能となってしまう。また、上記特許文献3では、押出し成型によるセラミックスハニカムフィルターが開示されているが、この手法では複雑な構造を有するフィルターを作製することは困難であり、また、構造体の軽量化を図ることも難しい。
【0007】
本発明は、これらの知見に基づいて、形状加工が容易であって、さらに流体との接触面積を十分に確保できる軽量の多孔質軽量セラミックス構造体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の多孔質構造体の製造方法は、3次元的な網目構造を有する多孔質構造体を製造する多孔質構造体の製造方法であって、樹脂類および金属粉末からスラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリーを、3次元的な網目構造を有し、有機物からなるプリフォームに含浸させて乾燥する含浸工程と、前記乾燥後に不活性雰囲気下において加熱し、前記加熱により炭素化する炭素化工程と、前記炭素化工程の後、穿孔することにより、前記3次元的な網目構造の骨格が形成する空隙より1オーダー大きな空隙である空隙構造を作製する穿孔工程と、前記穿孔工程後に焼成する焼成工程と、を含むことを特徴としている。
【0009】
このように、本発明の多孔質構造体の製造方法は、炭素化した後に穿孔して第2の空隙構造を設ける。炭素化した多孔質構造体は乾燥による樹脂硬化後のものほど強度が高くなく、また炭化珪素化後ほど脆くもない。このため、強度が高く穿孔し難かったり、脆くなって欠け易かったりするということを回避でき、本発明に係る多孔質構造体に容易に孔を設けることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、特開2001−226714号公報に開示されている製造方法を基に鋭意検討を重ねた結果、スラリーをスポンジ状多孔質構造体に含浸・乾燥させ、乾燥後に加熱し炭素化した後の工程で、網目の平均的な空隙径よりも1オーダー大きな径の穿孔が可能になると共に、流体の通過性を高め、流体との接触面積を十分に確保できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の多孔質構造体は、3次元的な網目構造を有する多孔質構造体であって、セラミックス、またはセラミックスの粒子と金属成分からなる複合材料により第1の空隙構造を形成する骨格部と、多孔質構造体を処理することによって形成される空隙であって、第1の空隙構造の平均的な空隙径よりも1オーダー大きな空隙である第2の空隙構造と、骨格部に形成されるセラミックス粒子間空隙であって、第1の空隙構造の平均的な空隙径よりも1オーダー小さい空隙である第3の空隙構造と、を備えることを特徴としている。
【0012】
これにより、気孔率が高く(65%以上)、流体との接触面積が大きく軽量化した多孔質構造体を実現することができる。その結果、本発明の多孔質構造体を大容量フィルターとして使用した場合でもフィルターの軽量化を図ることができる。特に車載などの移動体の場合には、軽量化が利点となる。また、セラミックスの結晶粒子径以下の大きさの微粒子を効率的に除去することができる。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態に係る多孔質構造体1の概念図である。本実施の形態に係る多孔質構造体1は、3次元的な網目構造を有する網目構造部2および第2の空隙構造として複数並列された螺旋状の空孔3から構成されている。空孔3はその径が約1000μmである。これにより、気体などの流体を通過させやすくして圧力損失を小さくすることができる。また、空孔3は螺旋状に形成されているため、流体が接触する面積を大きくすることができる。なお、本実施の形態では、多孔質構造体の全体形状が円柱状であるが、特に形状は限定されず、角柱状であってもよい。
【0014】
図2は網目構造部2の概念図である。図2に示すように、網目構造部2は骨格部4と空隙5によって構成されており、第1の空隙構造としての網目の径は約100μmである。これにより、流体との接触面積が大きく軽量化した多孔質構造体を実現することができる。なお、網目の径は、プリフォームとされるスポンジ状の空隙構造によって調節することができる。
【0015】
図3は骨格部4の走査型電子顕微鏡写真の観察像である。図3に示すように、骨格部4は、主に炭化珪素粒子によって構成されるバルク部6と第3の空隙構造としての空孔7によって構成されている。空孔7の径は20μm以下である。これにより、触媒担体として用いた場合には、空孔内に触媒が有効に担持され、触媒効果を効率よく発現することができる。
【0016】
なお、骨格部のバルク部はセラミックスと金属とからなる複合材料で構成されていてもよい。その場合、具体的には、骨格部のバルク部はセラミックス粒子と金属成分によって構成される。セラミックス粒子間の空隙は、金属の配合量を小さくすることにより、十分に確保ことができる。これにより、セラミックスの結晶粒子径以下の大きさの微粒子を効率的に除去することができる。その場合は、骨格部が金属を含むため、導電性、熱伝導性を高くすることができ、発生した電気や熱を外部に逃がすことができる。
【0017】
上記のように骨格部4の表面には第3の空隙構造に相当する空孔7が存在するが、説明の簡略化のため、図2に示す骨格部4の表面では表示すべき空孔を省略している。
【0018】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る多孔質構造体1の製造方法について説明する。図4は、本実施の形態に係る多孔質構造体1の製造方法を示すフローチャートである。
【0019】
まず、フェノール樹脂の炭素化による炭素と珪素との原子比を適当な割合になるよう、フェノール樹脂と珪素粉末の混合比を設定し、エチルアルコールでフェノール樹脂を溶解してこれに珪素粉末を配合したスラリーを1日間ボールミルにて混合調整する(ステップS1)。なお、珪素粉末の代わりに、アルミニウム等の他の金属粉末を混合することもでき、炭素源として、フェノール樹脂の代わりに、フラン樹脂、有機金属ポリマーを混合することもできる。フェノール樹脂の炭素化による炭素と珪素との原子比は、Si/C=0.05〜4になるように設定するのが好ましい。
【0020】
次に、スポンジ状の多孔質構造体に十分に含浸させた後、スラリーを除去する(ステップS2)。なお、スポンジ状の多孔質構造体以外に木材、紙、綿、布、プラスチック等の塑性体であっても、それを基にして同様の気孔率を有する多孔質構造体を得ることができる。このように、多孔質を有する骨格としてスポンジを用いるので、細かい網目構造の多孔質構造体を容易に形成することが可能となる。網目構造は、セラミックスまたはセラミックスの粒子と金属成分からなる複合材料により構成されるので、耐熱性に優れ、高い強度を備えた多孔質構造体を実現することができる。
【0021】
スラリーの含浸の方法は、多孔質構造体をスラリーに浸す方法が一般的であるが、スラリーを多孔質構造体の上から塗布する方法によってもよい。
【0022】
次に、スラリーが含浸した多孔質構造体からスラリーを除去し、室温にて乾燥させた後、さらに70℃前後の温度で十分に乾燥させ、エタノールなどの揮発性成分を除去する(ステップS3)。
【0023】
上記乾燥させた多孔質構造体を、アルゴン等の不活性雰囲気下で、900〜1350℃で焼成して炭素化する(ステップS4)。
【0024】
炭素化後の試料に切削具として螺旋釘を有する穿孔工具を用い、炭素化したスポンジに螺旋状に空隙加工を施す(ステップS5)。これにより、本発明の多孔質構造体を触媒担体として用いる場合は、通過する流体が、螺旋状の第2の空隙構造を通過する際に大きく捻じ曲げられることとなり、流体中の成分(例えば微粒子やNOなど)は、第2の空隙構造の内壁面に衝突して接触を繰り返すこととなる。これにより、微粒子の除去能や触媒との反応効率を向上させることが可能となる。また、効率がよいほど、同じ性能であっても、占有体積を小さくすることができ、装置の省スペース化を図ることができる。
【0025】
なお、孔は一端面から他端面に貫通させてもよい。これにより、流体の流れを良くして、圧力損失を小さくすることができる。
【0026】
また、このように、多孔質構造体を炭素化した後に切削部が螺旋状である穿孔工具により孔を設けるので、この段階での多孔質構造体は乾燥による樹脂硬化後のものほど強度が高くなく、また炭化珪素化後ほど脆くもない。これにより、強度が高く穿孔し難かったり、脆くなって欠け易かったりということを回避でき、本発明に係る多孔質構造体に容易に孔を設けることができる。
【0027】
さらに、この試料を、真空中1350℃以上の温度で焼成し(ステップS6)、炭化珪素セラミックスまたは炭化珪素セラミックスの粒子と珪素金属成分からなる複合材料により構成される多孔質構造体を得る。その際、構造体中の炭素成分は、珪素と化学反応して、炭化珪素粒子が生成する。この段階で、骨格部4には、その骨格部により形成される第1の空隙構造より1オーダー小さい、粒子間隙による第3の空隙構造が生成される。炭素と反応しない一部の珪素は金属珪素として残り、炭化珪素粒子の間隙に存在する。さらに、本焼成時に適当な量の金属珪素を構造体に接触して設置することによって、金属珪素成分の含有比率の高い複合材料を得ることができる。この場合、最終製品の強度を高めることが可能である。その際、溶融含浸する珪素により、網目構造骨格部の微小な孔は塞がれるが、珪素の量を小さくしておけば、塞がれる孔は一定割合以下におさえることができるため、微小粒子の除去効果を維持できる。
【0028】
このようにして、骨格部4はセラミックス、またはセラミックスの粒子と金属成分からなる複合材料により形成される。
【0029】
これにより、本実施の形態に係る多孔質構造体は、材料特性に起因して耐熱性が大きく、機械的特性に優れ、かつ熱伝導率も大きくすることができる。
【0030】
上記製造方法により得られた多孔質構造体は、気孔率65%以上、嵩密度1.0×10kg/m以下の軽量の多孔質構造体である。これにより、本発明の多孔質構造体を大容量フィルターとして使用した場合でもフィルターの軽量化を図ることができる。特に車載などの移動体の場合には、軽量化が利点となる。
【0031】
なお、珪素粉末の代わりにチタン等の他の金属粉末を混合したスラリーを用いることにより、炭化珪素以外の炭化物系セラミックスからなる、または炭化珪素以外の炭化物系セラミックスと金属との複合材料からなる骨格部4を有する多孔質構造体1を作製することも可能である。その場合、具体的には、骨格部のバルク部はセラミックス粒子と金属成分によって構成される。セラミックス粒子間の空隙は、金属の配合量を小さくすることにより、十分に確保ことができる。これにより、セラミックスの結晶粒子径以下の大きさの微粒子を効率的に除去することができる。
【0032】
さらに、焼成時に適当な量の金属珪素以外の金属あるいは各種合金を構造体に接触して設置することによって、セラミックス粒子と各種金属成分との複合材料を得ることができる。
【0033】
また、炭素化した後に穿孔する場合、図5に示すようにドリルで蟻地獄の巣の形状に近似するすり鉢状の孔を設けてもよい。これにより、孔の深さ方向について径の異なる孔を設けることができる。その結果、流体の通過性を保持しながら、流体の接触面積を大きくすることができる。
【0034】
そして、この本実施の形態に係る多孔質構造体1は、高効率な排気ガス等のフィルターの機能を有する触媒担体として用いることができる。担持可能な触媒成分に特に制限はないが、特に有効な成分としてPt,Pd,Ni,Co,Cuなど各種遷移金属成分が利用可能であり、これらの成分を溶出法などの一般的な担持方法で触媒を担持することができる。その後、還元処理などにより触媒の活性化を行う。
【0035】
本実施の形態に係る触媒担体は、3次元的な網目構造を有する多孔質構造体からなり、表面積が大きいため、溶出法等の担持方法により多孔質構造体に有効に触媒成分を担持させることができる。この結果、大きい表面積の触媒担体を作製することができ、軽量で効率の良い触媒担体を実現することが可能となる。
【0036】
以下に具体的な実施例を示した。なお、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
【0037】
(実施例)
まず、フェノール樹脂の炭素化による炭素と珪素との原子比が2:3になる割合にフェノール樹脂と珪素粉末の混合比を設定し、エチルアルコールでフェノール樹脂を溶解してこれに珪素粉末を配合したスラリーを1日間ボールミルにて混合調整した。次にφ200mm×長さ200mmのポリウレタン製スポンジに十分に含浸させた後、スラリーを除去した。次に、スラリーが含浸したスポンジからスラリーを除去し、室温にて乾燥させた後、さらに70℃の温度で約15時間乾燥させ、エタノールなどの揮発性成分を除去した。上記乾燥させたスポンジを、アルゴン等の不活性雰囲気下で、1000℃、1時間焼成して炭素化した。
【0038】
炭素化後の試料に、切削具として螺旋釘を有する穿孔工具を用い、螺旋状の孔を施した。詳細は後述する。
【0039】
この試料を、真空中1450℃で1時間焼成し(ステップS6)、主に炭化珪素からなるセラミックスにより構成される多孔質構造体を得た。
【0040】
上記製造方法により得られた多孔質構造体は、気孔率92%、嵩密度0.25×103kg/m3の特性を有し、軽量の多孔質構造体であることが確認された。
【0041】
本構造体を用いて、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微細なカーボン粒子の除去する試験を行なった。この試験において高い除去率を示すサンプルは、その流体の接触面積が大きいため、触媒担体として用いた場合、高い排気ガス処理機能を有すると考えられる。試験結果について、比較例と対比しつつ本発明の実施例について説明する。図6ないし図8を参照して説明する。
【0042】
サンプルAは、上記の製造方法の穿孔工程において、コルク栓抜き状の螺旋釘がついた切削工具を用いてサンプルの長さ方向に約3分の2の長さまで穿孔し、孔の径1mm、螺旋の幅7mm、ピッチ7mmの螺旋状の孔を、5mm間隔で、合計100個開けた本実施例の多孔質構造体である。図6はその螺旋状の孔の形態を示す図である。サンプルBは、上記の製造方法の穿孔工程において、長さ方向に約3分の2の長さまで穿孔し、孔の径1mmの直線状の孔を、合計100個開けた比較例の多孔質構造体である。図7はその直線状の孔の形態を示す図である。サンプルCは、上記の製造方法において、穿孔工程を省いて得た比較例の多孔質構造体である。
【0043】
これらのサンプルA、サンプルBおよびサンプルCについて、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微細なカーボン粒子を吸着し除去する試験を行った。図8は本排気ガス処理試験の結果を示す表である。カーボン粒子の除去率については、サンプルAの除去率が91%、サンプルCの除去率が92%であり、サンプルAおよびサンプルCはカーボン粒子の除去率が高かった。一方、サンプルBの除去率は71%であり、サンプルAまたはサンプルCと比較して、カーボン粒子の除去率が低かった。この結果から、サンプルAおよびサンプルCは、流体の接触面積が大きいことが確認された。
【0044】
また、圧力損失については、サンプルAの圧力損失が8mmHO、サンプルBの圧力損失が6mmHOであり、安定して小さい値を示し、触媒担体としてガスフィルター等に使用された場合、その使用に十分に耐えうることが示された。一方、サンプルCの圧力損失は22mmHOであり、また、その値は時間と伴に増大する傾向を示し、サンプルCはフィルターとしての安定性が劣ることが確認された。
【0045】
以上の結果から、本実施例に係るサンプルAを触媒担体としてガスフィルターに用いた場合、流体との接触面積および安定性の点から最も有効であることが確認された。
【0046】
(実施の形態2)
実施の形態2では、上記多孔質構造体の製造方法において、有機物からなる複数の板状体のそれぞれに径が異なる孔を設け、前記孔が重なるように前記各板状体を積層して前記プリフォームを形成する工程をさらに含む。
【0047】
すなわち、実施の形態1では、スラリーを含浸させたプリフォームを炭素化した後に、穿孔するが、実施の形態2では、板状のプリフォームを予め穿孔しておき、それを積層し接着することで、孔の経路および径を任意に変えたプリフォームを作製し、本発明に係る多孔質構造体を作製する。
【0048】
例えば、複数枚のダンボールに径の異なる孔を設けて、中心をずらしながら積載してプリフォームを作製する。これにより、径が異なる螺旋状の孔を設けることができる。さらに、孔の経路を複雑の交錯させることによって、ネット状の孔を設けることができる。これらは、コンピュータシミュレーションにより容易に設計可能であり、実際にはシミュレーションに基づいて複数枚のダンボールを積層してプリフォームを作製することにより行なう。
【0049】
図9は、各板状体のプリフォームの穿孔例を示す図である。図9に示すように、各板状体Lnに穿孔された孔Hnについて、a、bで特定される孔の位置およびrで特定される孔の径を各層ごとに変える。なお、a、bは円孔の中心位置を示しており、各層ごとにa、bを変えて積層することで孔の経路を任意に形成することができる。図10は、その板状のプリフォームを積層した例の断面図である。この例においては、下から、図9にL1からL4まで例示する板状体について、さらに同様にして穿孔されたL5からL8までの4層を追加してL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8の順で積層している。各層について、孔の径HnはH1、H2,H3,H4、H5、H6,H7,H8と対応している。また、孔の径だけでなく、円孔の中心によって定まる孔の位置(a、b〜a、b)も変えているため、積層したときには孔の経路は螺旋を描くことになる。この多孔質構造体を排気ガス等のフィルターの機能を有する触媒担体として用いた場合、排気ガスは螺旋状の孔を通過する際、その内壁にそって旋回を強いられることになる。したがって、気体分子および排気ガス中に浮遊する微粒子は遠心力で孔の内壁に衝突し、付着する。これにより、多孔質構造体の微粒子の除去能や触媒との反応効率を向上させることが可能となり、高効率な排気ガス等のフィルターの機能を有する触媒担体を実現することができる。図10に示すプリフォームの例は、実施の形態2のプリフォームを模式的に示したものであり、孔を複数設ける、または層数を増やすこともできる。孔の径および経路、層数を変化させてさらに複雑なプリフォームを作製することもできる。このようなプリフォームはコンピュータシミュレーションにより容易に設計可能である。このようにして、孔の経路および深さに対する径を任意に変えたプリフォームを作製することができる。このプリフォームにスラリーを含浸させ、炭素化および焼成を行なうことで、孔の経路および深さに対する径を任意に変えた本発明に係る多孔質構造体を作製することができる。
【0050】
このように、第2の空隙構造としての孔を、任意の経路で形成された孔、または深さ方向に対して垂直な断面の位置に応じて異なる径を有する孔とすることができるので、例えば、気体などの流体が通過するときに、流体との接触面積を大きくすることができる。従って、本発明に係る多孔質構造体を触媒担体として用いる場合は、ディーゼルエンジン等の排気ガスのガス流が、螺旋状の、または径の異なる孔を通過する際に大きく捻じ曲げられることとなり、ガス中の成分(微粒子やNOなど)は、第2の空隙構造の内壁面に衝突して接触を繰り返すこととなる。これにより、触媒としての効率を向上させることが可能となる。また、効率がよいほど、同じ性能であっても、占有体積を小さくすることができ、装置の省スペース化を図ることができる。
【0051】
なお、孔の経路および深さに対する径については、予め孔の形態を設計した上で、コンピュータシミュレーションを用いて、各板状体の孔の位置および径を算出することができる。これにより、多孔質構造体の内部で複雑に絡み合った孔であっても容易に形成することが可能となる。
【0052】
(実施の形態3)
実施の形態3では、上記多孔質構造体の製造方法において、有機物からなる網を積層して前記プリフォームを形成する工程をさらに含む。
【0053】
すなわち実施の形態1では、3次元的な網目構造を有するプリフォームとしてスポンジを用いているが、実施の形態3では、有機物により作製されている網(ネット)を重ねてプリフォームを作製する。例えば、細孔な穴が幾数も空いているネット状の有機物に用いられるネットを用いて、それを積層し、接着してプリフォームを作製することができる。
【0054】
図11は一枚のネットの上面図である。ネットの網目は、一定方向(A←→B)に流れるような形状を有しており、ネットは一定の方向性を有している。図12は、プリフォーム作製のためのネットの積層方法を示す図である。図12に示すように、一枚積層するごとに縦横にネットの方向性を変えて積層する。例えば、縦方向に方向性を有するネット11の上には横方向に方向性を有するネット12を積層する。図13は、ネットを積層して形成されたプリフォームを図12の点線の矢印の方向から見た側面図である。図中の点または線はネットの端部を表示したものである。作製されたプリフォームは、ネットの平面方向については空隙が小さく、密な網目構造を有し、積層方向については空隙が大きく、疎な網目構造を有することになる。
【0055】
実施の形態3では、以上のようにしてネットを積層して形成したプリフォームに上記の多孔質構造体の製造方法によりスラリーを含浸させ、炭素化し、炭素化後に穿孔して焼成することで、本発明に係る多孔質構造体を作製する。作製される多孔質構造体は、第1の空隙構造としてネットの網目構造により形成される空隙を有し、第2の空隙構造として炭素化後の穿孔により形成される空孔を有し、第3の空隙構造として網目構造を形成する骨格部に生じるセラミックス粒子間の空隙を有する。プリフォームと同様に、作製された多孔質構造体は、ネットの平面方向については空隙が小さく、密な網目構造を有し、積層方向については空隙が大きく、疎な網目構造を有することになる。このようにして、網目構造について異方性を有する本発明の多孔質構造体を作製することができる。すなわち、表面積を大きくとりながら、特定の方向についてのみ流体を通しやすくすることができる。また、ネットを積層することでより緻密な多孔質構造体を作製することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多孔質構造体の製造方法は、3次元的な網目構造を有する多孔質構造体を製造する多孔質構造体の製造方法であって、樹脂類および金属粉末からスラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリーを、3次元的な網目構造を有し、有機物からなるプリフォームに含浸させて乾燥する含浸工程と、前記乾燥後に不活性雰囲気下において加熱し、前記加熱により炭素化する炭素化工程と、前記炭素化工程の後、穿孔することにより、前記3次元的な網目構造の骨格が形成する空隙より1オーダー大きな空隙である空隙構造を作製する穿孔工程と、前記穿孔工程後に焼成する焼成工程と、を含むことを特徴としている。
【0057】
このように、本発明の多孔質構造体の製造方法は、炭素化した後に穿孔して第2の空隙構造を設ける。炭素化した多孔質構造体は乾燥による樹脂硬化後のものほど強度が高くなく、また炭化珪素化後ほど脆くもない。このため、強度が高く穿孔し難かったり、脆くなって欠け易かったりするということを回避でき、本発明に係る多孔質構造体に容易に孔を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
多孔質構造体の概念を示す模式図
【図2】網目構造部の概念を示す模式図
【図3】骨格部の拡大図
【図4】多孔質構造体の製造方法を示すフローチャート
【図5】すり鉢状の孔を穿孔した多孔質構造体の模式図
【図6】螺旋状の孔の模式図
【図7】直線状の孔の模式図
【図8】排気ガス処理試験の結果を示す図
【図9】板状体のプリフォームの穿孔例を示す図
【図10】板状のプリフォームを積層した例を示す断面図
【図11】一枚のネットの上面図
【図12】プリフォーム作製のためのネットの積層方法を示す図
【図13】ネットを積層して形成されたプリフォームを図12の点線の矢印の方向から見た側面図
【符号の説明】
1…多孔質構造体、2…網目構造部、3…空孔、4…骨格部、5…空隙、6…バルク部、7…空孔、11…縦方向に方向性を有するネット、12…横方向に方向性を有するネット、L1〜L8…各板状体のプリフォーム、H1〜H4…各プリフォームに穿孔された孔

Claims (1)

  1. 3次元的な網目構造を有する多孔質構造体を製造する多孔質構造体の製造方法であって、
    樹脂類および金属粉末からスラリーを作製するスラリー作製工程と、
    前記スラリーを、3次元的な網目構造を有し、有機物からなるプリフォームに含浸させて乾燥する含浸工程と、
    前記乾燥後に不活性雰囲気下において加熱し、前記加熱により炭素化する炭素化工程と、
    前記炭素化工程の後、穿孔することにより、前記3次元的な網目構造の骨格が形成する空隙より1オーダー大きな空隙である空隙構造を作製する穿孔工程と、
    前記穿孔工程後に焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする多孔質構造体の製造方法。
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