JP3976634B2 - 復調装置および受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積一括復調方式を採用する復調装置および受信装置に関するものであり、特に、パイロットシンボルを用いることなく周波数誤差を検出することが可能な復調装置および受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来の復調方法について説明する。図9は、復調時における周波数誤差の検出にパイロットシンボルを用いる場合の信号フォーマットの一例を示す図である。図9において、「SW」は同期語を表し、「P」はパイロットシンボルを表し、「D」はデータを表す。この方法では、パイロットシンボルという既知系列をスロットに埋め込み、このパイロットシンボルの位相変化を検出することによって、周波数誤差を検出する。
【0003】
また、図10は、復調時における周波数誤差の検出に同期語のみを用いる場合の信号フォーマットの一例を示す図である。たとえば、同期語におけるk−1番目とk番目のシンボル間の位相偏移をθとし、受信信号中の同期語部分におけるk−1番目とk番目のシンボル間の位相偏移をφとすると、この間における実際の位相偏移はφ−θで与えられる。これを同期語全体にわたって平均化すると、この間の位相偏移、すなわち、周波数誤差を求めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記、図9に示す従来の復調方法では、スロット中にパイロットシンボルという冗長信号を挿入するので、フレームの使用効率が低下する、という問題があった。
【0005】
また、図10に示す従来の復調方法では、同期語だけを用いて周波数誤差を検出しているが、同期語だけでは精度のよい周波数誤差を検出することができず、さらに、同期語における周波数誤差と同期語から離れた時間位置での周波数誤差が異なる場合には、BER特性が劣化する、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、パイロットシンボルを用いることなく、同期語およびデータ部分の少なくともいずれか一方を用いて、精度よく周波数誤差を検出可能な復調装置および受信装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる復調装置にあっては、同期語およびデータ部を有する受信信号から送信データを復調するデータ復調手段を備え、前記データ復調手段は、前記受信信号に基づいて伝送路推定処理を行う伝送路推定手段と、受信信号系列内において時間的に離れた複数のシンボルに対応した前記伝送路推定結果を用いて周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
つぎの発明にかかる復調装置に置いて、前記データ復調手段は、受信済みのシンボルから推定された伝送路推定結果に基づいて、当該データ判定対象のシンボルの位相を調整する位相調整手段と、前記位相調整後の入力信号をシンボル単位に判定するデータ判定手段と、を備え、前記伝送路推定手段は、前記判定結果および前記位相調整前の受信信号を用いて伝送路推定処理を行うことを特徴とする。
【0009】
つぎの発明にかかる復調装置にあっては、前記データ復調手段と、前段の周波数誤差検出手段により検出された周波数誤差に基づいて受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、の組み合わせを複数段備えることを特徴とする。
【0010】
つぎの発明にかかる復調装置にあっては、前記周波数誤差除去手段が、前記周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力し、前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする。
【0011】
つぎの発明にかかる復調装置にあっては、さらに、前記周波数誤差と同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差との加算結果に基づいて、受信信号から現段階でのすべての周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を前記データ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、前記データ復調手段出力の周波数誤差を所定のタイミングで前記周波数誤差除去手段にフィードバックするタイミング制御手段と、を備え、前記フィードバックによって発生する周波数誤差除去処理と、当該周波数誤差除去処理後の受信信号の復調処理と、を所定回数にわたって繰り返し実行することを特徴とする。
【0012】
つぎの発明にかかる復調装置にあっては、前記データ復調手段と、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から前記データ復調手段出力の周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に入力する周波数誤差除去手段と、の組み合わせを複数段備え、前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする。
【0013】
つぎの発明にかかる復調装置にあっては、前記定数と、前記伝送路推定手段にてLMSアルゴリズムを採用した場合のステップサイズと、前記周波数誤差検出手段によってデータ判定を行うシンボル数と、の少なくとも1つのパラメータの値を、復調処理毎に変更可能とすることを特徴とする。
【0014】
つぎの発明にかかる受信装置にあっては、所定の無線受信処理後の受信信号から送信データを復調するデータ復調手段を備え、前記データ復調手段は、前記受信信号に基づいて伝送路推定処理を行う伝送路推定手段と、受信信号系列内において時間的に離れた複数のシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
つぎの発明にかかる受信装置において、前記データ復調手段は、受信済みのシンボルから推定された伝送路推定結果に基づいて、当該データ判定対象のシンボルの位相を調整する位相調整手段と、前記位相調整後の受信信号をシンボル単位に判定するデータ判定手段と、を備え、前記伝送路推定手段は、前記判定結果および位相調整前の受信信号を用いて伝送路推定処理を行うことを特徴とする。
【0016】
つぎの発明にかかる受信装置にあっては、前記データ復調手段と、前段の周波数誤差検出手段により検出された周波数誤差に基づいて受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、の組み合わせを複数段備えることを特徴とする。
【0017】
つぎの発明にかかる受信装置にあっては、前記周波数誤差除去手段が、前記周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力し、前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする。
【0018】
つぎの発明にかかる受信装置にあっては、さらに、前記周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から現段階でのすべての周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を前記データ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、前記データ復調手段出力の周波数誤差を所定のタイミングで前記周波数誤差除去手段にフィードバックするタイミング制御手段と、を備え、前記フィードバックによって発生する周波数誤差除去処理と、当該周波数誤差除去処理後の受信信号の復調処理と、を所定回数にわたって繰り返し実行することを特徴とする。
【0019】
つぎの発明にかかる受信装置にあっては、前記データ復調手段と、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から前記データ復調手段出力の周波数誤差またはその定数倍の値を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に入力する周波数誤差除去手段と、の組み合わせを複数段備え、前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする。
【0020】
つぎの発明にかかる受信装置にあっては、前記定数と、前記伝送路推定手段にてLMSアルゴリズムを採用した場合のステップサイズと、前記周波数誤差検出手段によってデータ判定を行うシンボル数と、の少なくとも1つのパラメータの値を、復調処理毎に変更可能とすることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる復調装置および受信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる復調装置の実施の形態1の構成を示す図である。図1において、1は受信信号であり、2はデータ判定結果であり、3−2,…,3−Nは受信信号を記憶するための受信信号記憶回路であり、4−1,4−2,…,4−Nは周波数誤差を補正するための周波数誤差補正器であり、5−1,5−2,…,5−Nは受信信号から送信データを取り出すためのデータ復調器であり、13−1,13−2,…は乗算器である。
【0023】
また、図2は、上記復調装置を備えた受信装置の構成を示す図である。図2において、21は受信アンテナであり、22は受信アンテナで受信した信号から送信データを取り出す受信装置であり、23は受信アンテナで受信した信号を所望のレベルに増幅し、周波数変換処理等の受信処理を実行する無線受信部であり、24は上記復調装置である。
【0024】
ここで、上記のように構成される復調装置の動作について説明する。まず、受信信号は、蓄積一括復調における復調処理単位で周波数誤差補正器4−1と受信信号記憶回路3−2に受け取られる。この受信信号は、たとえば、直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)の場合、同相成分である余弦波の振幅(I軸)をIとし、直交成分である正弦波の振幅(Q軸)をQとし、(I、Q)=(1、1)のように表される。
【0025】
周波数誤差補正器4−1では、受け取った受信信号1を用いて周波数誤差を除去する。なお、ここでは、前段にデータ復調器がなく、周波数誤差が検出されていないので、上記周波数誤差除去処理を省略することとしてもよい。また、上記周波数誤差除去処理においては、たとえば、予め規定した固定値や、データ復調器以外で検出された値、等を用いて周波数誤差を除去することとしてもよい。
【0026】
データ復調器5−1では、周波数誤差除去後の受信信号に対してデータ判定を行う。同時に、同期語(SW)およびデータ部分(D)の少なくともいずれか一方を用いて後述する周波数誤差の検出を行い、周波数誤差補正器4−2に対して周波数誤差を出力する。
【0027】
一方、受信信号記憶回路3−2では、受け取った受信信号1を記憶するとともに、周波数誤差補正器4−2に対してこの受信信号1を出力する。周波数誤差補正器4−2では、データ復調器5−1から受け取る周波数誤差(この場合乗算器13−1省略可)または乗算器13−1出力の定数倍(α(1))の周波数誤差と、同一受信信号系列において検出された(補正された)以前の周波数誤差またはその定数倍(α(1))の周波数誤差と、をすべて加算する。そして、その加算結果を用いて、受信信号記憶回路3−2出力の受信信号1から周波数誤差を除去する。
【0028】
データ復調器5−2では、周波数誤差除去後の受信信号に対してデータ判定を行う。同時に、同期語(SW)およびデータ部分(D)の少なくともいずれか一方を用いて後述する周波数誤差の検出処理を行う。
【0029】
以下同様に、受信信号記憶回路3−N(Nは3以上の整数)では、受け取った受信信号を記憶するとともに、周波数誤差補正器4−Nに対してこの受信信号を出力する。周波数誤差補正器4−Nでは、前段のデータ復調器から受け取る周波数誤差またはその定数倍(α(N−1):図示せず)の周波数誤差と、同一受信信号系列において検出された(補正された)以前の周波数誤差またはその定数倍の周波数誤差と、をすべて加算する。そして、その加算結果を用いて、受信信号記憶回路3−N出力の受信信号から周波数誤差を除去する。最後に、データ復調器5−Nでは、周波数誤差除去後の受信信号に対してデータ判定を行い、当該データ判定結果2を出力する。
【0030】
図3は、上記データ復調器の構成例を示す図である。図3において、6は周波数誤差補正後の受信信号であり、7は検出された周波数誤差であり、8は受信信号6の位相を調整するための位相調整器であり、9は位相調整後の受信信号に対してデータ判定を行うデータ判定器であり、10はデータ判定結果とデータ判定前の信号を用いて伝送路インパルス応答(CIR)を推定するための伝送路推定器であり、11は推定CIRから周波数誤差を推定するための周波数誤差検出器である。
【0031】
ここで、上記のように構成されるデータ復調器の動作について説明する。まず、位相調整器8では、伝送路推定器10から出力される1つ前のシンボルから求められた推定CIRを用いて、データ判定対象の1シンボルの位相調整を行う。
【0032】
データ判定器9では、位相調整後のシンボルに対してデータ判定を行う。伝送路推定器10では、上記判定データと、受信信号6と、上記位相調整に用いた推定CIRと、の3つのデータに基づいて、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムによる推定CIRの更新処理を行う。ここで、LMSアルゴリズムにおけるステップサイズは、復調の回数に応じた値を用いることとしてもよい。
【0033】
以降、位相調整器8では、シンボル毎に更新される推定CIRを用いて受信シンボルの位相調整を行い、後続するデータ判定器9および伝送路推定器10においても、上記と同様の動作を繰り返し実行する。なお、判定対象のシンボルは、同期語(SW)であってもデータ部分(D)であってもよい。
【0034】
また、周波数誤差検出器11では、同一受信信号系列内において、時間的に離れた2つのシンボルに対応するそれぞれの推定CIRより、1シンボルあたりの位相回転量、すなわち、周波数誤差を検出する。なお、周波数誤差を検出する場合は、同一受信信号系列内(同期後およびデータ部分を含む同一スロット内)において時間的に離れた2つのシンボルに対応した推定CIRが必要であって、必ずしも、同一受信信号系列内のすべてのシンボルに対してデータ判定を行う必要はない。たとえば、図4に示したように、周波数誤差検出時におけるデータ判定シンボル数は、同期語部分とデータ部分の中のN(ET)シンボルだけでもよい。また、ここで検出される周波数誤差は、図4に示したように、定常位相誤差の存在により本来の周波数誤差よりも値が小さくなるのが一般的である。
【0035】
また、図5は、上記繰り返し復調の時間的な制約を示す図である。上記繰り返し復調では、蓄積一括復調方式を採用しているため、1スロット分のデータは、1スロットに相当する時間以内に復調されなければならない。
【0036】
このように、本実施の形態においては、従来の復調時のように同期語だけを用いて周波数誤差を検出するのではなく、一回の復調時に、同期語およびデータ部分の少なくともいずれか一方を用いて、精度よく周波数誤差を検出する。そして、この復調処理を繰り返し実行することによって、さらに精度の高い周波数誤差を求める。これにより、ビット誤り率を大幅に改善することができる。
【0037】
実施の形態2.
図6は、本発明にかかる復調装置の実施の形態2の構成を示す図である。図6において、3は受信信号を格納するための受信信号記憶回路であり、4は周波数誤差を補正するための周波数誤差補正器であり、5は受信信号から送信データを取り出すためのデータ復調器であり、12は動作タイミングを制御する動作タイミング制御回路であり、14は乗算器である。なお、受信装置の構成については、前述した実施の形態1と同様である。
【0038】
受信信号記憶回路3では、蓄積一括復調における復調処理単位で受信信号を記憶し、動作タイミング制御回路12からの制御信号にしたがって、周波数誤差補正器4に対して受信信号を出力する。
【0039】
周波数誤差補正器4では、受信信号から動作タイミング制御回路12出力の周波数誤差を除去し、周波数誤差除去後の受信信号をデータ復調器5に対して出力する。このとき、動作タイミング制御回路12では、データ復調器5が検出する周波数誤差(この場合乗算器14省略可)または乗算器14出力の定数倍(α(N))の周波数誤差と、同一受信信号系列において検出された(補正された)以前の周波数誤差またはその定数倍(α)の周波数誤差と、をすべて加算し、その加算結果を周波数誤差補正器4に対して出力する。
【0040】
データ復調器5では、周波数誤差補正後の受信信号に対してデータ判定を行う。同時に、周波数誤差の検出処理を行い、動作タイミング制御回路12に対して周波数誤差を出力する。なお、データ復調器5の詳細な動作については、前述した実施の形態1における図3と同様である。また、繰り返し復調における時間的な制約についても、前述した実施の形態1と同様である。
【0041】
つぎに、本実施の形態の復調方法の手順について説明する。図7は、上記復調装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
動作タイミング制御回路12では、同一受信信号系列を復調する場合に、周波数誤差の補正が必要かどうか、すなわち、すでにデータ復調器5で検出済みの周波数誤差が存在するかどうか、を判断する(ステップS1)。
【0043】
たとえば、補正すべき周波数誤差が存在する場合(ステップS1,Yes)、周波数誤差補正器4では、動作タイミング制御回路12から受け取った周波数誤差にしたがって受信信号を補正する(ステップS2)。
【0044】
また、補正すべき周波数誤差が存在しない場合(ステップS1,No)、または、周波数誤差補正後(ステップS2)、データ復調器5では、周波数誤差補正器4出力の受信信号を上記のように復調する(ステップS3)。そして、上記のように周波数誤差を検出し、その結果を動作タイミング制御回路12に対して出力する(ステップS4)。
【0045】
動作タイミング制御回路12では、復調処理が終了したかどうか、すなわち、同一受信信号系列に対する復調回数が規定回数に達したかどうか、を判断する(ステップS5)。そして、たとえば、規定回数に達している場合(ステップS5,Yes)、復調装置では、復調処理を終了する。一方、規定回数に達していない場合は(ステップS5,No)、規定回数に達するまで、上記処理(ステップS1〜S5)を繰り返し実行する。
【0046】
このように、本実施の形態においては、繰り返し復調に複数の同一構成を用いることなく、動作タイミング制御回路によるタイミング制御で、さらに精度の高い周波数誤差を求める。これにより、前述した実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、回路規模を削減できる。
【0047】
実施の形態3.
図8は、本発明にかかる復調装置の実施の形態3の構成を示す図である。図8において、3−1,3−2,…,3−M(M=N−1)は受信信号を記憶するための受信信号記憶回路であり、4−1,4−2,4−3,…,4−Nは周波数誤差を補正するための周波数誤差補正器であり、5−1,5−2,5−3,…,5−Nは受信信号から送信データを取り出すためのデータ復調器であり、15−1,15−2,…は乗算器である。なお、受信装置の構成については、前述した実施の形態1と同様である。
【0048】
ここで、上記のように構成される復調装置の動作について説明する。まず、受信信号は、蓄積一括復調における復調処理単位で周波数誤差補正器4−1に受け取られる。この受信信号は、たとえば、直交振幅変調(QAM)の場合、同相成分である余弦波の振幅(I軸)をIとし、直交成分である正弦波の振幅(Q軸)をQとし、(I、Q)=(1、1)のように表される。
【0049】
周波数誤差補正器4−1では、受け取った受信信号を用いて周波数誤差を除去する。そして、周波数誤差補正後の受信信号を、データ復調器5−1と受信信号記憶回路3−1に対して出力する。なお、ここでは、前段にデータ復調器がなく、周波数誤差が検出されていないので、上記周波数誤差除去処理を省略することとしてもよい。また、上記周波数誤差除去処理においては、たとえば、予め規定した固定値や、データ復調器以外で検出された値、等を用いて周波数誤差を除去することとしてもよい。
【0050】
データ復調器5−1では、周波数誤差除去後の受信信号に対してデータ判定を行う。同時に、同期語(SW)およびデータ部分(D)の少なくともいずれか一方を用いて先に説明した周波数誤差の検出処理を行い、周波数誤差補正器4−2に対して周波数誤差を出力する。一方、受信信号記憶回路3−1では、受け取った周波数誤差補正後の受信信号を記憶し、これを周波数誤差補正器4−2に対して出力する。
【0051】
周波数誤差補正器4−2では、受信信号記憶回路3−1からの受信信号から、データ復調器5−1に検出された周波数誤差(この場合乗算器15−1省略可)または乗算器15−1出力の定数倍(α(1))の周波数誤差を除去する。そして、周波数誤差補正後の受信信号を、データ復調器5−2と受信信号記憶回路3−2に対して出力する。
【0052】
以下同様に、周波数誤差補正器4−N(Nは3以上の整数)では、前段のデータ復調器から受け取る周波数誤差またはその定数倍(α(N−1))の周波数誤差を用いて、受信信号記憶回路3−M出力の受信信号から周波数誤差を除去する。最後に、データ復調器5−Nでは、周波数誤差除去後の受信信号に対してデータ判定を行い、当該データ判定結果2を出力する。なお、各データ復調器の詳細な動作については、前述した実施の形態1における図3と同様である。
【0053】
このように、本実施の形態においては、従来の復調時のように同期語だけを用いて周波数誤差を検出するのではなく、一回の復調時に、同期語およびデータ部分の少なくともいずれか一方を用いて、精度よく周波数誤差を検出する。そして、この復調処理を繰り返し実行することによって、さらに精度の高い周波数誤差を求める。これにより、ビット誤り率を大幅に改善することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、従来の復調時のように同期語だけを用いて周波数誤差を検出するのではなく、一回の復調時に、同期語およびデータ部分の少なくともいずれか一方を用いて、すなわち、同一受信信号系列内において時間的に離れた2つのシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて、周波数誤差を検出する構成とした。これにより、同期語のみを用いて周波数誤差を検出する場合と比較して、精度よく周波数誤差を検出することができる、という効果を奏する。
【0055】
つぎの発明によれば、受信済みのシンボルから推定された伝送路推定結果に基づいてデータ判定対象のシンボルの位相を調整する構成とした。これにより、さらに精度よく周波数誤差を検出することができる、という効果を奏する。
【0056】
つぎの発明によれば、一回の復調時に、同一受信信号系列内において時間的に離れた2つのシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて、周波数誤差を検出する構成とした。そして、この復調処理を繰り返し実行することによって、さらに精度の高い周波数誤差を求め、各周波数誤差除去手段が、受信信号から現段階でのすべての周波数誤差を除去する構成とした。これにより、高精度に周波数誤差を除去できるため、ビット誤り率を大幅に改善することができる、という効果を奏する。
【0057】
つぎの発明によれば、前段で検出された周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から周波数誤差を除去する構成とした。これにより、精度の高い周波数誤差除去処理が可能となる、という効果を奏する。
【0058】
つぎの発明によれば、繰り返し復調に複数の同一構成を用いることなく、タイミング制御手段によるタイミング制御で、さらに精度の高い周波数誤差を求める構成とした。これにより、さらに、回路規模を削減できる、という効果を奏する。
【0059】
つぎの発明によれば、一回の復調時に、同一受信信号系列内において時間的に離れた2つのシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて、周波数誤差を検出する構成とした。そして、この復調処理を繰り返し実行することによって、さらに精度の高い周波数誤差を求め、各周波数誤差除去手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から当該周波数誤差を除去する構成とした。これにより、さらに高精度に周波数誤差を除去できるため、ビット誤り率を大幅に改善することができる、という効果を奏する。
【0060】
つぎの発明によれば、各パラメータの値を復調処理毎に可変としたので、さらに精度の高い周波数誤差除去処理が可能となる、という効果を奏する。
【0061】
つぎの発明によれば、従来の復調時のように同期語だけを用いて周波数誤差を検出するのではなく、一回の復調時に、同期語およびデータ部分の少なくともいずれか一方を用いて、すなわち、同一受信信号系列内において時間的に離れた2つのシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて、周波数誤差を検出する構成とした。これにより、同期語のみを用いて周波数誤差を検出する場合と比較して、精度よく周波数誤差を検出することが可能な受信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0062】
つぎの発明によれば、受信済みのシンボルから推定された伝送路推定結果に基づいてデータ判定対象のシンボルの位相を調整する構成とした。これにより、さらに精度よく周波数誤差を検出することが可能な受信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0063】
つぎの発明によれば、一回の復調時に、同一受信信号系列内において時間的に離れた2つのシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて、周波数誤差を検出する構成とした。そして、この復調処理を繰り返し実行することによって、さらに精度の高い周波数誤差を求め、各周波数誤差除去手段が、受信信号から現段階でのすべての周波数誤差を除去する構成とした。これにより、高精度に周波数誤差を除去できるため、ビット誤り率を大幅に改善することが可能な受信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0064】
つぎの発明によれば、前段で検出された周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から周波数誤差を除去する構成とした。これにより、精度の高い周波数誤差除去処理が可能な受信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0065】
つぎの発明によれば、繰り返し復調に複数の同一構成を用いることなく、タイミング制御手段によるタイミング制御で、さらに精度の高い周波数誤差を求める構成とした。これにより、さらに、回路規模を削減可能な受信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0066】
つぎの発明によれば、一回の復調時に、同一受信信号系列内において時間的に離れた2つのシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて、周波数誤差を検出する構成とした。そして、この復調処理を繰り返し実行することによって、さらに精度の高い周波数誤差を求め、各周波数誤差除去手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から当該周波数誤差を除去する構成とした。これにより、さらに高精度に周波数誤差を除去できるため、ビット誤り率を大幅に改善することが可能な受信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0067】
つぎの発明によれば、各パラメータの値を復調処理毎に可変としたので、精度の高い周波数誤差除去処理が可能となり、復調特性を大幅に向上させることが可能な受信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる復調装置の実施の形態1の構成を示す図である。
【図2】 本発明にかかる復調装置を備えた受信装置の構成を示す図である。
【図3】 データ復調器の構成例を示す図である。
【図4】 一般的な周波数誤差を示す図である。
【図5】 繰り返し復調の時間的な制約を示す図である。
【図6】 本発明にかかる復調装置の実施の形態2の構成を示す図である。
【図7】 復調装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 本発明にかかる復調装置の実施の形態3の構成を示す図である。
【図9】 復調時における周波数誤差の検出にパイロットシンボルを用いる場合の信号フォーマットの一例を示す図である。
【図10】 復調時における周波数誤差の検出に同期語のみを用いる場合の信号フォーマットの一例を示す図である。
【符号の説明】
1,6 受信信号、2 データ判定結果、3,3−1,3−2,3−M,3−N 受信信号記憶回路、4,4−1,4−2,4−3,4−N 周波数誤差補正器、5,5−1,5−2,5−3,5−N データ復調器、7 周波数誤差、8位相調整器、9 データ判定器、10 伝送路推定器、11 周波数誤差検出器、12 動作タイミング制御回路、13−1,13−2,14,15−1,15−2 乗算器、21 受信アンテナ、22 受信装置、23 無線受信部、24 復調装置。
Claims (12)
- 同期語およびデータ部を有する受信信号から送信データを復調するデータ復調手段を備えた復調装置において、
前記データ復調手段は、
前記受信信号に基づいて伝送路推定処理を行う伝送路推定手段と、
受信信号系列内において時間的に離れた複数のシンボルに対応した前記伝送路推定結果を用いて周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段と、
受信済みのシンボルから推定された伝送路推定結果に基づいて、データ判定対象のシンボルの位相を調整する位相調整手段と、
前記位相調整後の入力信号をシンボル単位に判定するデータ判定手段と、
を備え、
前記伝送路推定手段は、前記判定結果および前記位相調整前の受信信号を用いて伝送路推定処理を行うことを特徴とする復調装置。 - 前記データ復調手段と、
前段の周波数誤差検出手段により検出された周波数誤差に基づいて受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、
の組み合わせを複数段備えることを特徴とする請求項1に記載の復調装置。 - 前記周波数誤差除去手段が、前記周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力し、
前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする請求項2に記載の復調装置。 - さらに、前記周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から現段階でのすべての周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を前記データ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、
前記データ復調手段出力の周波数誤差を所定のタイミングで前記周波数誤差除去手段にフィードバックするタイミング制御手段と、
を備え、
前記フィードバックによって発生する周波数誤差除去処理と、当該周波数誤差除去処理後の受信信号の復調処理と、を所定回数にわたって繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載の復調装置。 - 前記データ復調手段と、
前段にて周波数誤差除去後の受信信号から前記データ復調手段出力の周波数誤差またはその定数倍の値を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に入力する周波数誤差除去手段と、
の組み合わせを複数段備え、
前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする請求項1に記載の復調装置。 - 前記定数と、前記伝送路推定手段にてLMSアルゴリズムを採用した場合のステップサイズと、前記周波数誤差検出手段によってデータ判定を行うシンボル数と、の少なくとも1つのパラメータの値を、復調処理毎に変更可能とすることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の復調装置。
- 所定の無線受信処理後の受信信号から送信データを復調するデータ復調手段を備えた受信装置において、
前記データ復調手段は、
前記受信信号に基づいて伝送路推定処理を行う伝送路推定手段と、
受信信号系列内において時間的に離れた複数のシンボルに対応した伝送路推定結果を用いて周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段と、
受信済みのシンボルから推定された伝送路推定結果に基づいて、データ判定対象のシンボルの位相を調整する位相調整手段と、
前記位相調整後の受信信号をシンボル単位に判定するデータ判定手段と、
を備え、
前記伝送路推定手段は、前記判定結果および位相調整前の受信信号を用いて伝送路推定処理を行うことを特徴とする受信装置。 - 前記データ復調手段と、
前段の周波数誤差検出手段により検出された周波数誤差に基づいて受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、
の組み合わせを複数段備えることを特徴とする請求項7に記載の受信装置。 - 前記周波数誤差除去手段が、前記周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に対して出力し、
前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする請求項8に記載の受信装置。 - さらに、前記周波数誤差またはその定数倍の値と、同一受信信号系列において検出されたそれ以前の周波数誤差またはその定数倍の値と、の加算結果に基づいて、受信信号から現段階でのすべての周波数誤差を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を前記データ復調手段に対して出力する周波数誤差除去手段と、
前記データ復調手段出力の周波数誤差を所定のタイミングで前記周波数誤差除去手段にフィードバックするタイミング制御手段と、
を備え、
前記フィードバックによって発生する周波数誤差除去処理と、当該周波数誤差除去処理後の受信信号の復調処理と、を所定回数にわたって繰り返し実行することを特徴とする請求項7に記載の受信装置。 - 前記データ復調手段と、
前段にて周波数誤差除去後の受信信号から前記データ復調手段出力の周波数誤差またはその定数倍の値を除去し、当該周波数誤差除去後の受信信号を次段のデータ復調手段に入力する周波数誤差除去手段と、
の組み合わせを複数段備え、
前記複数段にわたって復調処理および周波数誤差除去処理を繰り返し実行し、最終段のデータ復調手段が、前段にて周波数誤差除去後の受信信号から送信データを復調することを特徴とする請求項7に記載の受信装置。 - 前記定数と、前記伝送路推定手段にてLMSアルゴリズムを採用した場合のステップサイズと、前記周波数誤差検出手段によってデータ判定を行うシンボル数と、の少なくとも1つのパラメータの値を、復調処理毎に変更可能とすることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一つに記載の受信装置。
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