JP3976263B2 - 同報サービスのための情報信号視聴方法、並びに、受信機及びそのプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の受信機に対して情報信号を一斉に送信する同報サービスのための情報信号視聴方法、並びに、受信機及びそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、放送番組は、基本的に放送局独自の編成及びスケジュールにより、一方向かつリアルタイムに送信(配信)されている。
そこで放送番組を受信し、視聴する場合において、視聴者は、希望の番組をリアルタイムに見ることができない場合には、ビデオデッキ等を利用して録画予約により番組を記録後、その記録した番組を再生することにより、番組を視聴することができる。
【0003】
しかしながら、録画予約を失念したり、番組の開始時にたまたま不在だったり、あるいは、その番組が放送されることを知らずにいた等の状況では、番組を途中から見た場合に、それまでの番組内容の情報を入手することは難しい。
【0004】
このため、図4に示すように、放送された映像データを信号受信装置(受信機)41で受信し、その映像データを常に一定時間、一時記憶装置42に記憶しておき、視聴者が、録画を行いたいときに、制御装置44からの指示に基づいて、一時記憶装置42の映像データを記憶装置43に記憶することで、視聴したい映像が放送された後であっても、記憶装置43に記憶されている映像データを参照することで、過去に遡ってその映像データの視聴を可能とする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、前記同様に、放送された映像データを一時記憶装置に記憶しておくことで、視聴者が番組を視聴する際に、すでに放送された番組であっても、再度繰り返して見ることを可能とする技術が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、放送局、又は、番組を管理し、販売若しくは貸し出しを行うサービス事業者のセンタ装置に対し、番組を受信する端末装置が、番組放送後に、過去の番組をリクエストすることで、視聴者が所望する過去の番組をセンタ装置から受信する番組送受信システムが提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−234599号公報(段落番号21−23、第1図)
【特許文献2】
特開平9−322085号公報(段落番号10−13、第2図)
【特許文献3】
特開2001−145087号公報(段落番号32−62、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術において、一時記憶装置を用いて放送された映像データを記録する手法によれば、受信機に電源が投入され、視聴者が視聴したい番組を選局していることが前提となる。従って、この手法は、受信機に電源が入っていない等、映像データを受信していない環境にあっては機能しないという問題があった。
【0008】
また、従来の技術において、サービス事業者に対して番組をリクエストする手法によれば、リクエストした番組の受信には、番組の販売若しくは貸し出しを行うサービス事業者と、放送受信とは別の受信契約が必要となる。また、番組の視聴者が持つ受信機と、番組の販売若しくは貸し出しを行うサービス事業者のセンタ装置との間には、何らかのネットワークが必要であり、そのリクエストした番組の受信は、利用するネットワークの性能に依存し、そのネットワークに繋がる受信機の数が多くなれば、必要なときに効率的に受信できないといった問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、同報サービスを行う通信又は放送により一方向かつリアルタイムのサービスとして送られた情報信号(番組)を、複数の受信機が受信する場合において、当該情報信号が送信されている途中に受信機の電源を入れたり、他の番組を受信していたり等で、それまでに受信機が全く当該情報信号を受信していなかった場合でも、受信開始前の情報信号を含む全ての当該情報信号を効率的に受信できるようにした、同報サービスのための情報信号視聴方法、並びに、受信機及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の情報信号視聴方法は、受信機で情報信号の記憶を許可する記憶時間情報と、視聴者が前記情報信号を視聴する猶予時間を示す視聴猶予時間情報とを含んだ管理情報を、前記情報信号を構成するパケット又はフレームの複数の組み合わせ毎に独立に付加して送信された前記パケット又は前記フレームを受信して、前記情報信号を視聴する同報サービスのための情報信号視聴方法であって、前記受信機において、前記パケット又は前記フレームを前記記憶時間情報に基づいて記憶し、前記パケット又は前記フレームが前記情報信号の一部である場合に、残りのパケット又はフレームを、前記受信機とネットワークを介して接続された他の受信機から受信し、前記視聴者に対して、前記視聴猶予時間情報で示された猶予時間だけ、前記情報信号の視聴を許可することとした。
【0015】
この方法によれば、情報信号視聴方法は、同報サービスを受信する受信機が、予め定められた有限の時間(記憶時間)だけ情報信号を一時記憶し、視聴者に対する情報信号の視聴を猶予時間だけ許可する。さらに、情報信号視聴方法は、同報サービスを受信する複数台の受信機をネットワークで接続し、各受信機が受信した情報信号を共有し合うことにより、送信された情報信号を途中からしか受信していない場合であっても、受信開始前の情報信号を含む全ての情報信号を、他の受信を行った受信機から取得することが可能になる。
【0016】
また、請求項2に記載の受信機は、情報信号を一斉に送信する同報サービスにより、前記情報信号を構成するパケット又はフレームの複数の組み合わせ毎に、少なくとも前記情報信号の記憶を許可する記憶時間情報と、視聴者が前記情報信号を視聴する猶予時間を示す視聴猶予時間情報とを含んだ管理情報を付加した、前記情報信号を受信する受信機であって、信号受信手段と、記憶手段と、通信手段と、信号処理手段と、視聴データ出力手段とを備える構成とした。
【0017】
かかる構成によれば、受信機は、信号受信手段によって同報サービスにより送信される情報信号を受信し、記憶手段に記憶する。なお、この記憶手段には、情報信号に付加されている記憶時間情報で許可された時間だけ情報信号を記憶する。また、受信機は、通信手段によって、ネットワークに接続された他の受信機と通信を行うことが可能であり、信号処理手段によって、記憶手段に記憶された情報信号を構成するパケット又はフレームが、情報信号の一部である場合に、他の受信機から情報信号を構成するための不足分であるパケット又はフレームを、通信手段を介して受信して、記憶手段に記憶する。そして、受信機は、視聴データ出力手段によって、情報信号に付加されている視聴猶予時間情報で示される猶予時間内で、記憶手段に記憶されている情報信号を、視聴者が視聴する視聴データとして出力する。
【0018】
これにより、受信機は、番組の視聴に不足する情報信号を受信機間のネットワークを介して受信することが可能になるため、同報サービスの受信機が情報信号を途中から受信した場合であっても、受信開始前の情報信号を含む全ての情報信号を取得することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の受信機は、請求項2に記載の受信機において、信号処理手段が、前記記憶手段に記憶された前記情報信号を構成する前記パケット又は前記フレームのうちで、前記他の受信機から要求されたパケット又はフレームを、前記通信手段を介して前記他の受信機へ送信することとした。
【0020】
かかる構成によれば、受信機は、信号処理手段が、記憶手段に記憶された情報信号を構成するパケット又はフレームのうちで、他の受信機から要求されたパケット又はフレームを、通信手段を介して他の受信機へ送信する。これにより、番組の視聴に不足する情報信号を受信機間のネットワークを介して交換することができる。
【0021】
さらに、請求項4に記載の受信プログラムは、情報信号を一斉に送信する同報サービスにより、前記情報信号を構成するパケット又はフレームの複数の組み合わせ毎に、少なくとも前記情報信号の記憶を許可する記憶時間情報と、視聴者が前記情報信号を視聴する猶予時間を示す視聴猶予時間情報とを含んだ管理情報を付加した、前記情報信号を受信するために、コンピュータを、信号受信手段、記憶制御手段、通信手段、視聴制御手段、視聴データ出力手段として機能させることとした。
【0022】
かかる構成によれば、受信プログラムは、信号受信手段によって、同報サービスにより送信される情報信号を受信し、記憶制御手段によって、情報信号を記憶手段に記憶する。なお、この記憶手段には、情報信号に付加されている記憶時間情報で許可された時間だけ情報信号を記憶する。すなわち、受信プログラムは、記憶制御手段によって、記憶時間情報で許可された時間経過後、情報信号を削除する。
【0023】
また、受信プログラムは、通信手段によって、ネットワークに接続された他の受信機と通信を行うことが可能であり、視聴制御手段によって、記憶手段に記憶された情報信号を構成するパケット又はフレームが、情報信号の一部である場合に、他の受信機から情報信号を構成するための不足分であるパケット又はフレームを、通信手段を介して受信して、記憶手段に記憶する。そして、受信プログラムは、視聴データ出力手段によって、情報信号に付加されている視聴猶予時間情報で示される猶予時間内で、記憶手段に記憶されている情報信号を、視聴者が視聴する視聴データとして出力する。
【0024】
これにより、受信プログラムは、番組の視聴に不足する情報信号をネットワークを介して交換することが可能になるため、同報サービスの情報信号を途中から受信した場合であっても、受信開始前の情報信号を含む全ての情報信号を取得することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。
[同報サービス配信システムの構成]
図1は、本発明に係る受信機を含み、同報サービスにおける情報信号送信方法及び情報信号視聴方法を実現した同報サービス配信システムの構成を示すシステム構成図である。
【0026】
ここでは、情報信号を配信する放送や通信の同報サービスとして、地上放送と衛星放送を想定する。放送局は、独自の編成と番組送出スケジュールとに従い、情報信号である放送番組を、管理情報とともにトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)として受信機に配信している。
【0027】
このとき、情報信号は、一定時間単位のパケット(パケット群又はフレーム)に分割され、各々のパケットに管理情報が付加されるものとする。そして、管理情報には、番組の識別情報や受信を許可する課金情報など従来の管理情報以外に、分割された各パケット群を結びつける情報、情報信号を受信機が一時記憶を許可する時間情報(記憶時間情報)及び視聴を猶予する期間情報(視聴猶予時間情報)が記述されるものとする。なお、基地局10から配信されるトランスポートストリームの単位パケットは、分割した情報信号のビットストリームに適宜前記管理情報を付加したものであればよく、例えば、MPEG2システム(ISO/IEC 13818−1規格)のTSパケットを用いて、その一定数量のパケット群に必要な前記管理情報を記載できるようにすればよい。
【0028】
図1に示すように、同報サービス配信システム1は、同報サービスの情報信号を送信する基地局10と、その情報信号を受信する複数の受信機20(20a、20b、20c)とで構成されている。
基地局10は、放送又は通信として配信される情報信号を、同報サービスとして、複数の受信機20に対して無線により一方向かつリアルタイムに配信(送信)するものである。この情報信号は、トランスポートストリームの形式で各受信機20に配信される。
【0029】
受信機20は、基地局10から配信される情報信号を受信して、視聴者が視聴可能な視聴データ(映像、音声等)として提示するものである。さらに、受信機20は、情報信号を記憶しておき、視聴者が番組(情報信号)を途中から視聴した場合に、その番組の先頭に遡って視聴することを可能にしたものである。
【0030】
この受信機20は、他の複数の受信機20と、ネットワーク3を構築し、各々が受信した情報信号を共有することで、ある受信機20(例えば20a)が、記憶していない情報信号を、他のネットワーク3上の受信機(例えば20b)から受信することを可能とするものである。なお、受信機20は、家庭や事務所などの固定の環境に置かれたものでもよいし、自動車など移動体内に配置されたものや、視聴者が直接携帯する小型端末であってもよい。
【0031】
ネットワーク3は、受信機20(20a、20b、20c)間を接続するものであって、ここでは、ローカルエリアネットワーク(LAN)を構築している。また、このLANは、同一のサービスプロバイダ内の同一サーバに接続する範囲まで拡大できるものとする。
【0032】
なお、ここでは3台の受信機20(20a、20b、20c)でネットワーク3を構成しているが、これに限定されるものではない。アドホックモードのネットワーク、又は、同一のルータあるいはアクセスポイントを利用できるネットワーク環境であれば、受信機20の台数は問わない。
【0033】
<受信機の構成>
次に、図1を参照して、受信機20の構成について詳細に説明する。受信機20は、基地局10から配信される情報信号であるトランスポートストリームをパケット単位で受信し、視聴者が視聴可能な視聴データ(映像、音声等)として提示するものである。ここでは、受信機20を信号受信手段21と、記憶手段22と、通信手段23と、信号処理手段24と、視聴データ出力手段25とを備えて構成した。
【0034】
信号受信手段21は、基地局10から配信される情報信号であるトランスポートストリームをパケット(TSパケット)単位で受信するものである。ここで受信したパケットは、信号処理手段24へ通知されるとともに、記憶手段22へ一時的に記憶される。なお、ここで受信したTSパケットには、管理情報が付加されており、その管理情報に含まれている一時記憶を許可する時間情報(記憶時間情報)、視聴を猶予する期間情報(視聴猶予時間情報)等も、記憶手段22へ記憶される。
【0035】
記憶手段22は、信号受信手段21から送信されるパケット(TSパケット)を一時的に記憶するものである。また、記憶手段22は、通信手段23を介して、他の受信機20から受信したパケットを記憶するものでもある。この記憶手段22は、一般的な半導体メモリ、ハードディスク等の記録媒体である。
【0036】
通信手段23は、信号処理手段24から通知される記憶手段22に記憶されているパケットでは、番組を構成することができない場合に、不足するパケットを、ネットワーク3を介して他の受信機20(20b、20c)から受信したり、要求されたパケットを他の受信機20(20b、20c)へ送信するものである。また、この通信手段23によって送受信される情報には、番組を識別するための識別情報、番組を視聴していない未視聴時間等を示す視聴情報、番組の転送を要求する伝送要求情報及び番組本体がある。
【0037】
信号処理手段24は、基地局10から配信される情報信号(トランスポートストリーム)の中から、視聴者が所望する情報信号を選択し、視聴データ出力手段25へ送信するものである。ここでは、信号処理手段24を、記憶制御部24aと、視聴制御部24bとを含んで構成した。
【0038】
記憶制御部(記憶制御手段)24aは、記憶手段22に対して、視聴者が選択した番組に対応する情報信号を記憶するとともに、記憶手段22に記憶される情報信号(パケット)に付加されている記憶時間情報に基づいて、許可された記憶時間経過後に該当するパケットを記憶手段22から削除するものである。
【0039】
視聴制御部(視聴制御手段)24bは、視聴者が番組を視聴可能かどうかの認証を行うとともに、視聴者の視聴したい番組が基地局10から配信途中である場合、すなわち、番組に対応する情報信号が記憶手段22に途中から記憶されている場合に、通信手段23を介して、他の受信機20(20b、20c)から、不足分のパケットを取得し、記憶手段22に記憶するものである。これによって、視聴者が番組の配信途中であっても、最初から番組を視聴することが可能になる。
【0040】
また、視聴制御部24bは、記憶手段22に記憶される情報信号(パケット)に付加されている視聴猶予時間情報に基づいて、視聴が猶予された時間内に限って、番組の視聴を許可するものとする。なお、番組の配信途中であって、番組を最初から視聴するか、途中から視聴するかは、視聴者が選択するものとする。
【0041】
また、視聴制御部24bは、他の受信機20(20b、20c)から、不足分のパケットの要求があった場合、該当するパケットを、記憶手段22から読み出して、他の受信機20(20b、20c)へ通信手段23を介して転送する。なお、不足分のパケットを示す情報を他の受信機20(20b、20c)と交換する場合、同一ネットワーク3内の受信機20(20a、20b、20c)の中で、最も電源投入時間が長いものを、その時点での親局として、その親局がパケットの配信元、配信先を決定するものとする。
【0042】
視聴データ出力手段25は、信号処理手段24から送信される情報信号を再生し、視聴者が視聴可能な視聴データとして、図示していないモニタ等の出力手段に出力するものである。この視聴データ出力手段25は、例えば、情報信号がMPEG2のトランスポートストリームである場合には、MPEG2の符号化方式に基づいて復号を行うものである。
【0043】
このように、受信機20aにおいて、他の受信機20b又は20cから、番組を視聴するために不足するパケットを取得することができるので、視聴者は、課金を含め番組の視聴に必要な認証を得ていること、視聴が予め定められている猶予時間内であることが確認された上で、番組を最初から視聴することが可能になる。
【0044】
このとき、他の受信機20b又は20cが、番組の視聴を停止したとしても、それが受信機20aの視聴開始後であれば、受信機20aは途中から自身が受信した情報信号に切り替えることで、番組を続けて視聴できる。また、受信機20b又は20cが途中から番組の視聴を開始した場合には、今度は受信機20aが受信機20b又は20cに情報信号を転送する。
【0045】
以上、本発明に係る同報サービスのための受信機20の構成について説明したが、各手段をコンピュータにおいて機能プログラムとして実現することも可能であり、各機能プログラムを結合して受信プログラムとして動作させることも可能である。
【0046】
<ネットワークの構成例>
ここで、図2を参照(適宜図1参照)して、ネットワーク3の構成について説明する。図2は、ネットワークを構成するLANの構成事例を示す模式図である。なお、図2において、建物や移動体(車等)の内部には、受信機20が存在しているものとする。
【0047】
図2に示すように、ネットワーク3は、建物のような固定した場所に配置した受信機同士を繋いだネットワーク(建物と建物のネットワーク31)、建物のような固定した場所に配置した受信機と、車等の移動体内部に配置した受信機とを繋いだネットワーク(建物と移動体のネットワーク32)、移動体内部に配置した受信機同士を繋いだネットワーク(移動体と移動体のネットワーク33)等がある。
【0048】
なお、家庭(建物)で同報サービスの情報信号を受信する場合、比較的長い時間電源を入れておくことができるため、多くの情報信号を記憶するサーバ型の受信機20を設置することが可能である。このため、建物と車等の移動体との組み合わせによるネットワーク(建物と移動体のネットワーク33)の活用が最も効果的である。
【0049】
例えば、地上放送を車で移動しながら受信し、ある番組を受信する場合、車における放送波の受信状態は変動するため、受信機20の電源のオン/オフや選局に関わらず、途中から受信可能になることや、逆に受信できなくなることが生じる。そこで、安定して放送波を受信している建物とネットワーク32を構成することで、移動体においても、番組を安定して視聴することが可能になる。
【0050】
また、建物での衛星放送の受信においても、突然の降雨による受信障害に対する対応として、広いエリアでの受信機間ネットワークを構成することで、本発明を利用することができる。
【0051】
なお、このネットワーク3の形態としては、光ファイバを含む100BASE、1000BASE等の高速イーサネット(R)(IEEE802.3規格)や、IEEE802.11a/e/g規格以上の高速無線LAN等とすることができる。さらに、将来においては、第4世代携帯電話や、ミリ波アドホックネットワークを用いることも想定される。
【0052】
[同報サービス配信システムの動作]
次に、図3を参照(適宜図1参照)して、受信機20を含んだ同報サービス配信システム1の動作について説明する。図3は、同報サービス配信システム1の動作を示すフローチャートである。
【0053】
ここでは、番組視聴の具体例として、1時間の番組(ドラマ等)が、基地局10から配信されるものとして説明を行う。また、この番組はパケットに分割され、そのパケットは一定時間(例えば5分)毎のパケット群毎に管理情報が付加されているものとする。この管理情報には、従来の識別情報以外に、パケットを連結するための連結情報、本来の番組終了時(番組開始から1時間)から1時間の一時記憶時間(記憶時間情報)、本来の番組終了時までの視聴開始猶予時間(視聴猶予時間情報)が記載されているものとする。
【0054】
まず、受信機20aは、電源が入れられる(電源オン)と、信号処理手段24の視聴制御部24bによって、視聴者が視聴する番組に対応する情報信号を選択するとともに、課金情報等によって、視聴者がその番組を視聴可能かどうかを認証する(ステップS10)。
【0055】
そして、受信機20aは、信号受信手段21によって、情報信号を受信し、記憶手段22に一時記憶(保存・管理)する(ステップS11)。また、この段階で、視聴者は、番組を記憶手段22に一時記憶しながら視聴することができる。なお、この記憶手段22に記憶されている情報信号は、記憶時間情報で示された時間(一時記憶時間)経過後、すなわち、番組開始から2時間が経過した段階で、信号処理手段24の記憶制御部24aによって削除される。
【0056】
ここで、信号処理手段24の視聴制御部24bが、受信した番組がすでに始まっており、番組(情報信号)が途中であるかどうかを判定し(ステップS12)、番組が途中でない場合(No)は、番組の閲覧が継続される(ステップS13)。そして、視聴者が番組視聴後、電源を切る(電源オフ)か、他の番組に切り替えるかによって、他の番組を視聴するかどうかを判定する(ステップS14)。ここで、他の番組に切り替えられたとき、すなわち、視聴者が他の番組を視聴する場合(ステップS14でYes)は、ステップS10へ戻り、電源が切られたとき、すなわち、視聴者が他の番組を視聴しない場合(ステップS14でNo)に、動作を終了する。
【0057】
一方、視聴する番組(情報信号)が途中の場合(ステップS12でYes)は、視聴者に対して、その番組を始めから視聴するかどうかを確認する(ステップS15)。この確認は、例えば、番組を始めから視聴するか、継続して視聴するかを選択可能な確認画面を提示し、視聴者が選択することで確認を行う。
ここで、番組を始めから視聴しない場合(ステップS15でNo)は、ステップS13へ進んで番組を継続して提示する。
【0058】
一方、番組を始めから視聴する場合(ステップS15でNo)は、視聴制御部24bによって、電源を入れてからここまでの間に目的の番組(情報信号)が、記憶手段22に記憶されているかどうかを判定する(ステップS16)。ここで、目的の番組が記憶手段22に記憶されているとき(Yes)は、記憶手段22に記憶されている情報信号を再生することで、番組を最初から提示(閲覧開始)する(ステップS17)。そして、番組視聴後、前記したステップS14の動作を行う。
【0059】
また、ステップS16において、目的の番組が記憶手段22に記憶されていない場合(No)は、視聴制御部24bは、付近(ネットワーク3内を指す)の受信機20b及び20cとネットワーク3を形成し、受信機20b及び20cと現在記憶している情報信号の視聴情報を交信し、不足分の情報信号(パケット)の検索を行う(ステップS18)。
【0060】
ここで、視聴制御部24bは、検索を行った結果、所望の情報信号を所有する受信機が、ネットワーク3の他の受信機20b又は20cであるかどうかを判定し(ステップS19)、例えば、受信機20bに所望の情報信号が存在する場合(ステップ19でYes)は、受信機20bに対して、情報信号の転送を依頼する(ステップS20)。
【0061】
このとき、例えば、番組開始からすでに8分が経過しているとすると、受信機20aは、自身の記憶手段22に対して、次のパケット群からの保存を要求するとともに、ネットワーク3を経由して得ている視聴情報に基づいて、その番組の開始10分相当(パケット群を5分単位で管理情報を付加した場合)のパケット群を受信している他の受信機20b又は20cに対し、情報信号の転送を依頼する。
【0062】
そして、受信機20aは、視聴制御部24bによって、視聴者の認証を行い(ステップS21)、不足分の情報信号を、その情報信号を保有している受信機20b又は20cから、通信手段23を介して受信する(ステップS22)。ここで、受信した情報信号は、記憶手段22に記憶される。なお、このステップS21とステップS22とは順番を逆にして動作させてもよい。
【0063】
これによって、記憶手段22には、視聴者が視聴したい番組の開始からの情報信号が記憶されたことになる。そして、受信機20aは、信号処理手段24によって、記憶手段22から番組に相当する情報信号を読み出し、視聴データ出力手段25によって、情報信号を再生することで、番組を最初から提示(閲覧開始)する(ステップS23)。
【0064】
なお、記憶手段22に記憶された情報信号(パケット)は、視聴開始猶予時間、すなわち、ここでは本来の番組開始から1時間の間で視聴可能とする。この視聴開始猶予時間の間であれば、視聴者は、番組を最初から閲覧することができる。このステップS23以降は、前記したステップS14以降の動作を行う。
【0065】
また、ステップS19において、検索を行った結果、所望の情報信号を所有する受信機が、ネットワーク3の他の受信機20b又は20cでない場合(ステップS19でNo)は、さらに他のネットワーク(外部ネットワークNW:図1に図示せず)の受信機(図示せず)に所望の情報信号が存在するかどうかを判定し(ステップS24)、存在する場合(Yes)は、その外部ネットワークに対して、情報信号を要求(番組リクエスト)し、ステップS20以降と同様の動作を行う。
【0066】
一方、ステップS24において、外部ネットワークにも、所望の情報信号が存在しない場合(ステップS24でNo)は、例えば、視聴者に対してその旨を提示し、番組を途中から視聴するかどうかを判定する(ステップS25)。ここで、視聴者が途中から番組を視聴する選択を行った場合(ステップS25でYes)は、前記したステップS13によって、番組の閲覧が継続される。また、視聴者が途中から番組を視聴する選択を行わなかった場合(ステップS25でNo)は、前記したステップS14以降の動作を行う。
【0067】
なお、ステップS24で、所望の情報信号が存在しない場合は、従来技術の番組リクエストのサービスを行うセンタ装置にアクセスすることで、情報信号を取得することとしてもよい。
【0068】
以上説明のように、本発明は、同報サービスを行う通信又は放送により一方向かつリアルタイムのサービスとして送られた情報信号を複数の受信機が受信する場合において、当該情報信号がすでに送信されている途中に、はじめて電源を入れたり、あるいは、他の番組を受信したり、それまでに当該情報信号の受信者が全く当該情報信号を受信していなかった場合でも、受信開始前の情報信号を含む全ての情報信号を効率的に受信することが可能になる。
【0069】
なお、前記した実施の形態では、情報信号を配信する同報サービスとして、地上波と衛星波を想定した放送についてのみ説明したが、インターネット等の通信を用いたコンテンツ配信についても同様に応用が可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係る同報サービスのための情報信号視聴方法、並びに、受信機及びそのプログラムでは、以下に示す優れた効果を奏する。
【0073】
請求項1に記載の発明によれば、同報サービスを受信する複数台の受信機をネットワークで接続し、各受信機が受信した情報信号を共有し合うことにより、送信された情報信号を途中からしか受信していない場合であっても、受信開始前の情報信号を含む全ての情報信号を、他の受信を行った受信機から取得することが可能になる。これによって、視聴者は、番組(情報信号)が放送されている途中であっても、番組の開始からその番組を視聴することが可能になる。
【0074】
請求項2又は請求項4に記載の発明によれば、番組の視聴に不足する情報信号を、受信機間のネットワークを介して受信することが可能になるため、同報サービスの情報信号を途中から受信した場合であっても、受信開始前の情報信号を含む全ての情報信号を受信することができる。これによって、視聴者は、番組(情報信号)が放送されている途中であっても、番組の開始からその番組を視聴することが可能になる。
【0075】
請求項3に記載の発明によれば、ネットワークを介して、他の受信機において、番組の視聴に不足する情報信号を、受信機間のネットワークを介して送信することが可能になる。これによって、受信機間のネットワークを介して、情報信号を共有することが可能になり、番組が放送されている途中であっても、視聴者は、番組の開始から、その番組を視聴することが可能になる。
さらに、本発明によれば、同報サービスの途中に、番組を提供する側に対して、番組を配信する要求を行わなくて済むため、番組を提供する側(基地局)の負荷を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る受信機を含んだ同報サービス配信システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るネットワークを構成するLANの構成事例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る受信機を含んだ同報サービス配信システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】従来の受信機の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 …同報サービス配信システム
3 …ネットワーク(LAN)
10 …基地局
20(20a、20b、20c)…受信機
21 …信号受信手段
22 …記憶手段
23 …通信手段
24 …信号処理手段
24a …記憶制御部(記憶制御手段)
24b …視聴制御部(視聴制御手段)
25 …視聴データ出力手段
Claims (4)
- 受信機で情報信号の記憶を許可する記憶時間情報と、視聴者が前記情報信号を視聴する猶予時間を示す視聴猶予時間情報とを含んだ管理情報を、前記情報信号を構成するパケット又はフレームの複数の組み合わせ毎に独立に付加して送信された前記パケット又は前記フレームを受信して、前記情報信号を視聴する同報サービスのための情報信号視聴方法であって、
前記受信機において、前記パケット又は前記フレームを前記記憶時間情報に基づいて記憶し、前記パケット又は前記フレームが前記情報信号の一部である場合に、残りのパケット又はフレームを、前記受信機とネットワークを介して接続された他の受信機から受信し、前記視聴者に対して、前記視聴猶予時間情報で示された猶予時間だけ、前記情報信号の視聴を許可することを特徴とする同報サービスのための情報信号視聴方法。 - 情報信号を一斉に送信する同報サービスにより、前記情報信号を構成するパケット又はフレームの複数の組み合わせ毎に、少なくとも前記情報信号の記憶を許可する記憶時間情報と、視聴者が前記情報信号を視聴する猶予時間を示す視聴猶予時間情報とを含んだ管理情報を付加した、前記情報信号を受信する受信機であって、
前記情報信号を受信する信号受信手段と、
この信号受信手段で受信した情報信号を、前記記憶時間情報で許可された時間だけ記憶する記憶手段と、
他の受信機とネットワークを介して通信を行う通信手段と、
前記記憶手段に記憶された前記情報信号を構成する前記パケット又は前記フレームが、前記情報信号の一部である場合に、前記他の受信機から前記情報信号を構成するための不足分であるパケット又はフレームを、前記通信手段を介して受信して、前記記憶手段に記憶する信号処理手段と、
前記視聴猶予時間情報で示される猶予時間内で、前記記憶手段に記憶されている前記情報信号を、視聴者が視聴する視聴データとして出力する視聴データ出力手段と、
を備えていることを特徴とする受信機。 - 前記信号処理手段は、前記記憶手段に記憶された前記情報信号を構成する前記パケット又は前記フレームのうちで、前記他の受信機から要求されたパケット又はフレームを、前記通信手段を介して前記他の受信機へ送信することを特徴とする請求項2に記載の受信機。
- 情報信号を一斉に送信する同報サービスにより、前記情報信号を構成するパケット又はフレームの複数の組み合わせ毎に、少なくとも前記情報信号の記憶を許可する記憶時間情報と、視聴者が前記情報信号を視聴する猶予時間を示す視聴猶予時間情報とを含んだ管理情報を付加した、前記情報信号を受信するために、コンピュータを、
前記情報信号を受信する信号受信手段、
この信号受信手段で受信した情報信号を、前記記憶時間情報で許可された時間だけ、記憶手段へ記憶する記憶制御手段、
他の受信機とネットワークを介して通信を行う通信手段、
前記記憶手段に記憶された前記情報信号を構成する前記パケット又は前記フレームが、前記情報信号の一部である場合に、前記他の受信機から前記情報信号を構成するための不足分であるパケット又はフレームを、前記通信手段を介して受信して、前記記憶手段に記憶する視聴制御手段、
前記視聴猶予時間情報で示される猶予時間内で、前記記憶手段に記憶されている前記情報信号を、視聴者が視聴する視聴データとして出力する視聴データ出力手段、
として機能させることを特徴とする受信プログラム。
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