JP3975024B2 - 低質燃料の燃焼・ガス化炉 - Google Patents

低質燃料の燃焼・ガス化炉 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、灰分及びカーボンを含む低質燃料を燃焼又はガス化するための低質燃料の燃焼・ガス化炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、石炭等の灰分を含む燃料をガス化するガス化炉には、固定床炉、流動層炉、噴流床炉、溶融床炉等があり、噴流床炉としては図8に模式的に示す構成の炉(例えばテキサコ炉)が知られている。この炉はダウンフロー形の一段一室のガス化炉であり、炉頂部から燃料と酸化剤が供給され、断熱構造の炉頂部で燃料の一部が燃焼して高温(約1400[℃])を発生し、残りの燃料をガス化する。更に燃料中の灰分は、溶融してガス化ガス(粗ガス)と共にガス化炉底部から排出され、水冷室で凝固してスラグとして排出される。
【0003】
同様に、RDF等の低質固形燃料を燃焼させる焼却炉や、燃焼熱により高温空気を発生させる燃焼炉では、炉内で燃料を完全燃焼させ、その熱で余剰空気を加熱する。ここでRDFとは、Refuse Derived Fuel(廃棄物固形化燃料)の略であり、可燃ゴミを破砕、選別、成形、乾燥することにより得られるペレット状の高カロリー固形燃料である。
【0004】
上述した従来の燃焼炉やガス化炉(以下、燃焼・ガス化炉という)では、反応時間が非常に短いため、燃焼、又はガス反応が短時間で完結するよう、燃料の粒子を非常に細かくする必要があった。燃焼・ガス化炉の形式により燃料の供給方法は異なるが、いずれの形式においても、石炭を微粉砕し、これをそのまま、若しくは水を加えてスラリー化した後、炉内へ供給する。炉内への供給に際し、燃料は供給ノズルから高速で噴射され、細かい飛沫となるため、短時間で反応が完結する。又、燃焼・ガス化炉の形式により燃料の範囲は異なるが、一般的には反応性に優れた、揮発分が比較的多く、固定炭素(石炭等を熱処理し、揮発分を取り除いた後に残る炭素分)が比較的少ない燃料、例えば、重質油、瀝青炭等が適している。
【0005】
微粉化しにくい燃料(例えば、廃棄物固形化燃料:RDF)を燃焼・ガス化する場合、比較的大きな粒子径で炉内に供給することになり、上述した燃焼・ガス化炉では、反応を完結することができないため、従来、このような燃料は利用されなかった。
【0006】
更に、従来の燃焼・ガス化炉では、燃料中の灰分の大半は溶融灰(溶融スラグ)としてガス化炉底部から排出されるが、灰分の一部、及び未燃カーボン等の微粉はガスに同伴されるため、下流側に脱塵設備(例えば、セラミックフィルタや水洗式除塵器)を設ける必要があった。
【0007】
又、従来の燃焼・ガス化炉は、熱容量が小さいために、炉の緊急停止時に炉の温度が低下し、灰の抜き出しが難しくなる問題があった。
【0008】
これらの問題を解決するために、従来においては、図9に示されるような燃焼・ガス化炉が考え出されている。
【0009】
図9に示される燃焼・ガス化炉は、燃料1を燃焼又はガス化する反応炉10と、該反応炉10の下方に連結され発生した溶融灰3と反応ガス4を重力分離する分離室20とを備えている。
【0010】
前記反応炉10は、その頂部に設けられ燃料1と酸化剤2を燃焼・ガス化炉内へ供給する供給ノズル12と、該供給ノズル12の下方に設けられたガス反応空間14と、該ガス反応空間14の下方に設けられ溶融灰3を付着させて滴下し且つ反応ガス4と溶融灰3を接触反応させるセラミック充填層16とを備えている。
【0011】
前記反応炉10は、全体が一段一室構造であり、ガス反応空間14とセラミック充填層16を囲む耐熱層10aと、そのまわりを囲む断熱層10bと、更に全体を囲む反応容器10cとを備えている。耐熱層10aは内部の反応温度(例えば1500[℃]以上)に耐える耐火材、例えば耐火煉瓦、キャスタブル等で構成される。断熱層10bは、熱伝導率の低い断熱材で構成される。反応容器10cは、常圧用でもよいが、好ましくは燃焼・ガス化反応を加圧下で行う圧力容器である。
【0012】
前記供給ノズル12は、反応容器10cの頂部に下向きに取り付けられており、燃料1をガス反応空間14に下向きに供給する燃料供給ノズル12aと、その周りに酸化剤2を供給する酸化剤供給管12bとから構成されている。燃料供給ノズル12aと酸化剤供給管12bは、それぞれ耐火材で内張りされている。
【0013】
燃料1には、微粉砕した石炭等の従来の燃焼・ガス化炉に使用される燃料の他に、微粉化が難しい燃料(例えば、廃棄物固形化燃料:RDF)も用いることができる。又、酸化剤2としては、酸素ガス又は空気が用いられる。特に、1000[℃]以上に予熱された高温空気を用いるようにすれば、使用燃料、例えば石炭の自己着火温度を遥かに越えているので、燃料と接触すると同時に燃焼を開始させることができる。
【0014】
前記ガス反応空間14は、供給ノズル12とセラミック充填層16の間に位置する中空の空間であり、この内部で燃料の一部が燃焼し、高温ガスを発生させるようになっている。このガス反応空間14は、燃料1に含まれる揮発分の燃焼には充分であるが、カーボンは完全燃焼できない程度の比較的小さい容積に設定されている。
【0015】
このガス反応空間14において、化学量論比以下の酸素で燃料を部分燃焼させることにより、灰の溶融点以上の温度で一部の燃料を安定燃焼させながら、それによって生ずる高温によって残りの燃料をガス化することができる。同様に、充分な酸素或いは空気で燃料を完全燃焼させることにより、低質燃料を焼却し、或いは高温ガスを発生させることができる。このガス反応空間14で、燃料の一部分が燃焼又はガス化され、反応により発生した溶融灰3と未燃カーボン6が、発生した高温の反応ガス4のガス流に随伴して下方のセラミック充填層16に流入するようになっている。
【0016】
前記セラミック充填層16は、耐熱性の高いセラミック充填物16aからなる。このセラミック充填物16aとしては、例えば、直径20〜100[mm]程度の球形のアルミナボールが用いられ、図9の例では、50[mm]程度の大径のアルミナボールで下層を形成し、その上部に20[mm]程度の小径のアルミナボールを積層した二重構造にしてある。この二重構造とされた小径のアルミナボールからなる上層のセラミック充填物16a表面に付着した溶融灰3により効率的に灰分や未燃成分を捕獲することができ、同時に大径のアルミナボールからなる下層のセラミック充填物16aで全体の圧力損失を低く抑え、スラグの滴下を容易にできるようになっている。
【0017】
尚、セラミック充填物16aは、1500[℃]以上の高温に耐える耐熱材であれば、アルミナに限定されず、その他のセラミック材を用いることもできる。又、その形状も溶融灰3の流れと高温の反応ガス4の流れを形成できるものであれば、球形に限定されず、例えば、円筒形、或いは破砕したままのランダムな多面体とすることもできる。
【0018】
前記耐熱層10aの底部、即ち、反応炉10の下端開口10dは、図10に示される如く、セラミック充填物16aが抜け落ちない細長い矩形に形成され、且つ上方が徐々に拡がった漏斗形状に形成されている。この構成により、セラミック充填物16aの下方への落下を防止しながら、充分な面積のガス流路を確保することができるようになっている。
【0019】
前記分離室20は、図9に示される如く、前記反応炉10と同様の、全体が一段一室構造であり、側面にガス排出管22が取り付けられ、下端に灰分の抜出管24が取り付けられている。更に、分離室20の内部には中空の分離空間20aが形成され、その底部には冷却水7が一定のレベルに保持されている。
【0020】
この構成により、分離室20の分離空間20aにおいて滴下した溶融灰3と高温ガスとを重力分離し、高温の反応ガス4はガス排出管22を介して図示していない下流設備(例えば、ガスタービン、高温空気燃焼設備)に供給し、溶融灰3は冷却水7で冷却凝固させて抜出管24から排出することができるようになっている。
【0021】
図9に示される燃焼・ガス化炉の場合、酸化剤2と共に反応炉10の供給ノズル12に供給された燃料1は、ガス反応空間14において燃焼又は部分燃焼し、揮発成分の全量とカーボンの一部を燃焼させて高温の溶融灰3と高温の反応ガス4並びに未燃カーボン6、フライアッシュ8を発生させる。
【0022】
次いで、発生した溶融灰3及び反応ガス4は、未燃カーボン6、フライアッシュ8と共にセラミック充填層16を通過し、ここで、溶融灰3はセラミック充填層16を構成するセラミック充填物16aの表面に付着して捕獲され、同時に反応ガス4中のフライアッシュ8や未燃カーボン6は、セラミック充填物16a表面に溶融灰3と接触して捕獲され除去される。
【0023】
更にセラミック充填層16で捕獲された溶融灰3は、セラミック充填物16aの表面を流れる高温のガス流で保温されながら重力により徐々に下方に移動し、下端で分離室20内に滴下する。この溶融灰の滞留時間は、ガス反応空間14におけるガス流の通過時間に比べて充分に長いので、溶融灰3に取り込まれたカーボンの反応が更に進み未燃カーボンを低減することができる。
【0024】
従って、フライアッシュ8及び未燃カーボン6を溶融灰3で捕獲し、該溶融灰3中でゆっくりと反応させて未燃分を低減することができる。又、比較的小型の炉で、カーボン等の反応時間が長くとれることから、反応性の劣る低質燃料についても適用が可能となる。
【0025】
又、セラミック充填物16aの充填により炉の熱容量が増加し、緊急停止をしても炉の温度が下がり難く、灰の排出が容易となる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示されるような従来の燃焼・ガス化炉の場合、前述の如く、耐熱層10aの底部、即ち、反応炉10の下端開口10dを、図10に示されるように、セラミック充填物16aが抜け落ちない程度の細長い矩形に形成し、且つ上方が徐々に拡がった漏斗形状として、セラミック充填物16aの下方への落下を防止するようになっているが、この形状では、小型のものには対応可能であるものの、燃焼・ガス化炉を大型化しようとした場合、反応炉10の下端開口10dも大きくしなければならず、セラミック充填物16aの下方への落下を防止できなくなるという問題を有しており、大型化への障害となっていた。
【0027】
本発明は、斯かる実情に鑑み、反応炉の下端開口を大きくしても、セラミック充填物の下方への落下を確実に防止することができ、大型化に対応し得る低質燃料の燃焼・ガス化炉を提供しようとするものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、頂部に設けられ燃料と酸化剤を供給する供給ノズルと、該供給ノズルの下方に設けられたガス反応空間と、該ガス反応空間の下方に設けられ溶融灰を付着させて滴下せしめ且つ反応ガスと溶融灰を接触反応させるセラミック充填物からなるセラミック充填層とを有し、燃料を燃焼又はガス化する反応炉と、
該反応炉の下方に連結され且つ発生した溶融灰と反応ガスを重力分離する分離室と
を備えた低質燃料の燃焼・ガス化炉において、
前記反応炉の下端開口に、内部に冷却媒体が流通される冷却管と、該冷却管の外周面に放射状に取り付けられる棒状体と、該棒状体を含む冷却管の外周を被覆する耐火材とからなる脱落防止部材を、前記セラミック充填物が脱落しない間隔をあけて配設し、
前記分離室内下部に、重力分離した溶融灰を急激に冷却・凝固させて炉内から取り出すための冷却水貯留部を、前記脱落防止部材の下方に位置するよう設け、
前記脱落防止部材と冷却水貯留部との間に、滴下する溶融灰が冷却水貯留部まで流下するよう傾斜を付けた円錐形で且つその外周部を緻密で高耐熱性を有するセラミック耐火物とした頭部と、該頭部を支え且つ内部に冷却水が流通される金属製の支持部材と、該支持部材と前記セラミック耐火物との間に介在され且つ耐熱性は劣るが熱伝導率が小さく断熱性に優れたセラミック耐火物とからなる熱シールドを設け、
該熱シールドにより、前記脱落防止部材と冷却水貯留部に満たされた冷却水との間の輻射伝熱を阻害し、該輻射伝熱による脱落防止部材の温度低下と、それに伴って発生する溶融灰の脱落防止部材表面での凝固を防止するよう構成したことを特徴とする低質燃料の燃焼・ガス化炉にかかるものである。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0033】
反応炉の下端開口に、セラミック充填物が脱落しない間隔をあけて脱落防止部材を配設すると、セラミック充填物の重量は、脱落防止部材で支えられることになり、セラミック充填物は落下しなくなり、大型化に対応可能となる。
【0034】
前記低質燃料の燃焼・ガス化炉において、内部に冷却媒体が流通される冷却管と、該冷却管の外周面に放射状に取り付けられる棒状体と、該棒状体を含む冷却管の外周を被覆する耐火材とから脱落防止部材を構成してあるため、脱落防止部材が冷却媒体によって冷却されることにより、脱落防止部材の温度上昇が抑えられ、冷却管が高温化に伴ってその強度が低下したり、腐食が発生したりする心配がないと共に、冷却管の外周が耐火材で被覆されることにより、溶融スラグと冷却管との直接接触が避けられ、スラグが硬化して脱落防止部材間を閉塞させる心配もなく、更に、冷却管に対する耐火材の結合状態が強まり、冷却管から耐火材が脱落することが防止される
【0035】
【0036】
、分離室内下部に、重力分離した溶融灰を急激に冷却・凝固させて炉内から取り出すための冷却水貯留部を、脱落防止部材の下方に位置するよう設けた場合、反応炉の下端開口は反応炉での燃焼・ガス化反応によって発生する熱により灰分が溶融する温度以上になる一方、冷却水貯留部は水の沸点以下に保たれるため、脱落防止部材と冷却水貯留部との間には非常に大きな温度差が生じ、該温度差により反応炉の下端開口から冷却水貯留部へ熱の輻射が起こり、特に燃焼・ガス化炉を大型化した場合に前記反応炉の下端開口から冷却水貯留部への輻射伝熱が増加し反応炉の下端開口が著しく温度低下し、それに伴って溶融灰の脱落防止部材表面での凝固が発生する虞があるが、脱落防止部材と冷却水貯留部との間に、脱落防止部材と冷却水貯留部に満たされた冷却水との間の輻射伝熱を阻害する熱シールドを設けてあるため、前記輻射伝熱による脱落防止部材の温度低下と、それに伴って発生する溶融灰の脱落防止部材表面での凝固が防止され、脱落防止部材間の閉塞も生じなくなり、溶融灰が分離室内を安定して流下する。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0038】
図1〜図7は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図9と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、装置全体を大型化した以外の基本的な構成は図9に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1〜図7に示す如く、反応炉10の下端開口10dに、セラミック充填物16aが脱落しない間隔Lをあけて脱落防止部材30を配設した点にある。
【0039】
前記脱落防止部材30は、内部に冷却媒体31が流通される冷却管32の外周面に棒状体33(図5及び図6参照)を放射状に取り付け、該棒状体33を含む冷却管32の外周を耐火材34で被覆してなる構成を有している。
【0040】
前記冷却媒体31としては、通常、水を用いるが、温度条件に応じて蒸気や油等を用いてもよい。
【0041】
又、前記冷却管32の材質としては、炭素鋼、或いはステンレス鋼等を用いることができ、棒状体33についても同様の材質のものを用いることができる。
【0042】
更に又、前記耐火材34の材質としては、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)系或いはこれらの複合酸化物、或いは酸化クロム(Cr23等)を含む耐火モルタル等を用いることができる。
【0043】
一方、図1に示す燃焼・ガス化炉の場合、分離室20内下部には、重力分離した溶融灰3を急激に冷却・凝固させて炉内から取り出すための冷却水7が貯留された冷却水貯留部35が、脱落防止部材30の下方に位置するよう設けられているが、この場合、反応炉10の下端開口10dは反応炉10での燃焼・ガス化反応によって発生する熱により灰分が溶融する温度以上になる一方、冷却水貯留部35は水の沸点以下に保たれるため、脱落防止部材30と冷却水貯留部35との間には非常に大きな温度差が生じ、該温度差により反応炉10の下端開口10dから冷却水貯留部35へ熱の輻射が起こり、反応炉10の下端開口10dは反応炉10内部より若干低い温度となる。
【0044】
燃焼・ガス化炉を大型化した場合に反応炉10の下端開口10dの拡大を伴うことは、上述した通りであるが、このことは同時に、反応炉10の下端開口10dから冷却水貯留部35への輻射伝熱の増加をもたらし、特に、脱落防止部材30を設けた反応炉10においては、反応炉10の下端開口10dの二分の一以上を占める耐火材34で被覆した冷却管32の面積が大きいため、脱落防止部材30を設置しない反応炉10と比較して、輻射伝熱量は大きくなることが予想され、従って温度の低下も大きくなることが示唆される。脱落防止部材30からは常時、溶融スラグが滴下しているが、この温度低下が著しい場合、溶融スラグの凝固が起こり、通路が閉塞する虞がある。
【0045】
このため、本図示例の場合、図1及び図7に示す如く、脱落防止部材30と冷却水貯留部35との間に、脱落防止部材30と冷却水貯留部35に満たされた冷却水7との間の輻射伝熱を阻害する熱シールド36を設け、前記輻射伝熱による脱落防止部材30の温度低下と、それに伴って発生する溶融灰3の脱落防止部材30表面での凝固を防止するよう構成してある。
【0046】
前記熱シールド36は、反応炉10の下端開口10dから冷却水貯留部35へ向かって輻射される熱の流線上に取り付けられ、熱の移動を妨げるものであって、反応炉10の下端開口10dと略同じ断面積を有し、又、滴下する溶融灰3が容易に冷却水貯留部35まで流下するよう傾斜を付けた円錐形の頭部37と、該頭部37を支えるための金属製の支持部材38とを備えてなる構成を有している。
【0047】
前記支持部材38は、二重管構造を有し、内部に冷却水39を流通させて周囲の高温により強度が低下しないようにしてある一方、前記円錐形の頭部37は、耐火性の高いセラミック(例えば、アルミナ系耐火材)材料からなり、その外周部を緻密で高耐熱性を有するセラミック耐火物37aとし、該セラミック耐火物37aと前記支持部材38との間に、耐熱性は若干劣るが熱伝導率が比較的小さく断熱性に優れたセラミック耐火物37bを介在せしめ、これにより、内部に冷却水39が流通される支持部材38への熱伝導を極力小さくすることによって、前記頭部37のセラミック耐火物37aの温度が低下して溶融灰3が該セラミック耐火物37aの表面で凝固するのを防ぐようにしてある。
【0048】
尚、図1及び図7中、40は前記熱シールド36の支持部材38を支えるために、該支持部材38から放射状に張り出して分離室20内部の水冷ジャケット41に連結される補強支持梁である。
【0049】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0050】
前述の如く反応炉10の下端開口10dに、セラミック充填物16aが脱落しない間隔Lをあけて脱落防止部材30を配設すると、セラミック充填物16aの重量は、脱落防止部材30で支えられることになり、セラミック充填物16aは落下しなくなり、大型化に対応可能となる。
【0051】
又、脱落防止部材30は冷却管32として内部に冷却媒体31を流通させているため、脱落防止部材30の温度上昇が抑えられ、冷却管32が高温化に伴ってその強度が低下したり、腐食が発生したりする心配がないと共に、冷却管32の外周は耐火材34で被覆してあるため、溶融スラグと冷却管32との直接接触が避けられ、スラグが硬化して脱落防止部材30間を閉塞させる心配もない。尚、耐火材34の表面は、溶融スラグとの接触等により表面から徐々に成分組成が変化すると共に、元から存在する成分が徐々に溶け出すことにより、消耗する。即ち、脱落防止部材30は消耗品であり、セラミック充填物16aの保持に支障を来たすまで消耗が進んだ場合、容易に交換できるような構造としてある。
【0052】
更に又、冷却管32の外周面に棒状体33を放射状に取り付け、該棒状体33を含む冷却管32の外周を耐火材34で被覆してあるため、冷却管32に対する耐火材34の結合状態が強まり、冷却管32から耐火材34が脱落することが防止される。
【0053】
【0054】
一方、図1及び図7に示すように、脱落防止部材30と冷却水貯留部35との間に、脱落防止部材30と冷却水貯留部35に満たされた冷却水7との間の輻射伝熱を阻害する熱シールド36を設ければ、前記輻射伝熱による脱落防止部材30の温度低下と、それに伴って発生する溶融灰3の脱落防止部材30表面での凝固が防止され、脱落防止部材30間の閉塞も生じなくなり、溶融灰3が分離室20内を安定して流下する。
【0055】
こうして、反応炉10の下端開口10dを大きくしても、セラミック充填物16aの下方への落下を確実に防止することができ、大型化に対応し得ると共に、大型化に伴う反応炉10の下端開口10dから冷却水貯留部35への輻射伝熱による脱落防止部材30の温度低下と、それに伴って発生する溶融灰3の脱落防止部材30表面での凝固を防止でき、脱落防止部材30間の閉塞を防止できる。
【0056】
尚、本発明の低質燃料の燃焼・ガス化炉は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0057】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1記載の低質燃料の燃焼・ガス化炉によれば、反応炉の下端開口を大きくしても、セラミック充填物の下方への落下を確実に防止することができ、大型化に対応し得るという優れた効果を奏し得る。
【0058】
本発明の請求項1記載の低質燃料の燃焼・ガス化炉によれば、上記効果に加え更に、脱落防止部材を冷却管として内部に冷却媒体を流通させることにより、脱落防止部材の温度上昇を抑制し得、強度の低下や腐食の発生を予防できると共に、冷却管の外周を耐火材で被覆することにより、溶融スラグと冷却管との直接接触を回避し得、スラグの硬化による脱落防止部材間の閉塞を防止できるという優れた効果を奏し得る。
【0059】
本発明の請求項1記載の低質燃料の燃焼・ガス化炉によれば、上記効果に加え更に、前記冷却管の外周面に棒状体を放射状に取り付け、該棒状体を含む冷却管の外周を耐火材で被覆することにより、冷却管から耐火材が脱落することを防止できるという優れた効果を奏し得る。
【0060】
本発明の請求項1記載の低質燃料の燃焼・ガス化炉によれば、上記効果に加え更に、前記分離室内下部に、重力分離した溶融灰を急激に冷却・凝固させて炉内から取り出すための冷却水貯留部を、前記脱落防止部材の下方に位置するよう設け、前記脱落防止部材と冷 却水貯留部との間に、滴下する溶融灰が冷却水貯留部まで流下するよう傾斜を付けた円錐形で且つその外周部を緻密で高耐熱性を有するセラミック耐火物とした頭部と、該頭部を支え且つ内部に冷却水が流通される金属製の支持部材と、該支持部材と前記セラミック耐火物との間に介在され且つ耐熱性は劣るが熱伝導率が小さく断熱性に優れたセラミック耐火物とからなる熱シールドを設けることにより、大型化に伴う反応炉の下端開口から冷却水貯留部への輻射伝熱による脱落防止部材の温度低下と、それに伴って発生する溶融灰の脱落防止部材表面での凝固を防止でき、脱落防止部材間の閉塞を防止でき、しかも、内部に冷却水が流通される支持部材への熱伝導を極力小さくすることによって、前記熱シールドの頭部のセラミック耐火物の温度が低下して溶融灰が該セラミック耐火物の表面で凝固するのを防ぐことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する形態の一例の全体概要構成図である。
【図2】 図1のII−II矢視拡大図である。
【図3】 図2のIII−III矢視図である。
【図4】 図3のIV−IV矢視図である。
【図5】 本発明を実施する形態の一例における脱落防止部材の断面図である。
【図6】 図5のVI−VI矢視拡大図である。
【図7】 図1に示す熱シールドの概略断面図である。
【図8】 従来の噴流床炉の全体概要構成図である。
【図9】 従来の低質燃料の燃焼・ガス化炉の全体概要構成図である。
【図10】 図9のX部斜視図である。
【符号の説明】
1 燃料
2 酸化剤
3 溶融灰
4 反応ガス
6 未燃カーボン
7 冷却水
10 反応炉
10d 下端開口
12 供給ノズル
12a 燃料供給ノズル
12b 酸化剤供給管
14 ガス反応空間
16 セラミック充填層
16a セラミック充填物
20 分離室
20a 分離空間
22 ガス排出管
24 抜出管
30 脱落防止部材
31 冷却媒体
32 冷却管
33 棒状体
34 耐火材
35 冷却水貯留部
36 熱シールド
L 間隔

Claims (1)

  1. 頂部に設けられ燃料と酸化剤を供給する供給ノズルと、該供給ノズルの下方に設けられたガス反応空間と、該ガス反応空間の下方に設けられ溶融灰を付着させて滴下せしめ且つ反応ガスと溶融灰を接触反応させるセラミック充填物からなるセラミック充填層とを有し、燃料を燃焼又はガス化する反応炉と、
    該反応炉の下方に連結され且つ発生した溶融灰と反応ガスを重力分離する分離室と
    を備えた低質燃料の燃焼・ガス化炉において、
    前記反応炉の下端開口に、内部に冷却媒体が流通される冷却管と、該冷却管の外周面に放射状に取り付けられる棒状体と、該棒状体を含む冷却管の外周を被覆する耐火材とからなる脱落防止部材を、前記セラミック充填物が脱落しない間隔をあけて配設し、
    前記分離室内下部に、重力分離した溶融灰を急激に冷却・凝固させて炉内から取り出すための冷却水貯留部を、前記脱落防止部材の下方に位置するよう設け、
    前記脱落防止部材と冷却水貯留部との間に、滴下する溶融灰が冷却水貯留部まで流下するよう傾斜を付けた円錐形で且つその外周部を緻密で高耐熱性を有するセラミック耐火物とした頭部と、該頭部を支え且つ内部に冷却水が流通される金属製の支持部材と、該支持部材と前記セラミック耐火物との間に介在され且つ耐熱性は劣るが熱伝導率が小さく断熱性に優れたセラミック耐火物とからなる熱シールドを設け、
    該熱シールドにより、前記脱落防止部材と冷却水貯留部に満たされた冷却水との間の輻射伝熱を阻害し、該輻射伝熱による脱落防止部材の温度低下と、それに伴って発生する溶融灰の脱落防止部材表面での凝固を防止するよう構成したことを特徴とする低質燃料の燃焼・ガス化炉。
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