JP3974716B2 - リニア搬送装置およびこれを用いた組合せ計量計数装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータを駆動源として、物品を所定の搬送方向へ搬送するリニア搬送装置およびこれを用いた組合せ計量計数装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
複数の計量器による物品の計量値を組合せ演算し、許容範囲内の組合せ重量となる計量器内の物品を選択して組み合わせる組合せ計量装置の一例として、前記各計量器に供給する複数のフィーダを放射状に配置するとともに、その放射配列の中央部に例えば円錐状の分散フィーダを配置して、この分散フィーダの上方から投下した物品を分散フィーダを介して前記各フィーダに均等に分配供給するようにしたものが知られている。この場合、各フィーダには、傾斜方向に配置したトラフを加振器で加振して、トラフ上の物品を順次、前方に移動させる加振式の搬送装置が使用される。
【0003】
しかし、加振式の搬送装置をフィーダとして使用した前記組合せ計量装置では、加振器でトラフを加振して搬送駆動を行うので、騒音が発生する。また、放射状に配置されたフィーダのトラフ上に物品が局所的に偏在した山形の堆積状態となり易く、従来、そのような物品の偏在した状態は自然に解消されるのに任せていた。そのため、各計量器への物品の所望量の供給が適正に行えず、組合せ演算の精度の向上を阻害する要因となっていた。
【0004】
ところで、物品を搬送する装置として、上述した加振式の搬送装置のほかに、リニア搬送装置が知られている。このリニア搬送装置は、1次巻線鉄心により構成される固定子と磁石とからなるリニアモータを使用し、前記固定子を、ベース上に設けるとともに、前記磁石を、物品を載せるトラフの底面に前記固定子と所定の間隔を隔てた状態に取り付け、リニアモータの駆動でトラフを所定の搬送方向に往復動させることにより、トラフ上の物品を搬送するようにしたものである(特公昭54−35395号公報)。
【0005】
このリニア搬送装置では、搬送駆動に伴い騒音が発生するのを防止することはできるが、トラフ上に載せられた物品が偏在した山形の堆積状態となっても、その堆積状態を解消する対策が講じられていないので、やはり物品の搬送量が一定しないという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたもので、トラフ上に載せられた物品が偏在した堆積状態となった場合に、この状態を自動的に解消して、物品を定量搬送することのできるリニア搬送装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、本発明の請求項1に係るリニア搬送装置は、物品が載置されるトラフと、前記トラフを搬送方向に往復動させて物品を計量部へ搬送させるリニアモータ式の駆動機と、前記トラフ上の物品が山形に偏在した堆積状態となっていることを判別する判別手段と、前記駆動機を制御するコントローラとを備える。前記コントローラは、前記偏在した堆積状態が判別されたとき、物品を搬送させないようにトラフを往復動させて前記偏在した堆積状態を解消する偏在解消手段を有する。
【0008】
前記リニア搬送装置によれば、トラフ上の物品が山形に偏在した堆積状態となっていることを判別手段が判別すると、駆動機を制御するコントローラの偏在消去手段が、物品を搬送させないようにトラフを往復動させ、これにより物品の山が崩れ、物品が偏在して堆積する状態が解消される。
【0009】
また、本発明の請求項2に係るリニア搬送装置は、請求項1の構成において、前記判別手段が、前記トラフの前後部の重量を検出する一対の重量検出器と、検出された重量から前記偏在した堆積状態を判別する判別回路とを有している。
【0010】
前記リニア搬送装置によれば、一対の重量検出器のそれぞれが検出するトラフ前後部の重量の差異に基づき、判別回路が偏在した堆積状態を判別するので、ビデオカメラなどの複雑な機構による映像処理で前記偏在した堆積状態を判別する必要がないので、安価な構成により偏在した堆積状態を正確に判別できる。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る組合せ計量計数装置は、複数の計量器による物品の計量値または計数値を組み合わせ演算し、許容範囲内の組合せ重量または組合せ個数となる計量器内の物品を選択して組み合わせる装置であって、物品を前記計量器に供給するフィーダが、請求項1または2に記載のリニア搬送装置で構成されている。
【0012】
前記組合せ計量計数装置によれば、トラフ上で物品が偏在した堆積状態になるのを自動的に解消できるので、計量器への所望量の物品の定量供給が適正に行われることになり、物品を正確に組合せ演算できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るリニア搬送装置を備えた組合せ計量装置を示す一部切断した概略正面図である。図1において、搬送コンベア1によって搬送されてきた被計量物である例えばスナック菓子のような物品Mは、投入シュート2を介して平坦な円錐状の単一の分散フィーダ3上に供給される。この分散フィーダ3は加振器4の駆動により上下に加振されて振動し、物品Mを全方位に分散させる。分散フィーダ3の下方周囲にはリニア搬送装置からなる複数の移送フィーダ7が放射状に配置され、各移送フィーダ7の先端部下方には、複数のプールホッパ9が各移送フィーダ7に個々に対応させて円形に配置されている。さらに、プールホッパ9の下方には、複数の計量ホッパ10が各プールホッパ9に個々に対応させて円形に配置されている。前記プールホッパ9および計量ホッパ10は、これらの下部排出口を開閉するゲート13,14を有する。
【0014】
前記各移送フィーダ7は、分散フィーダ3から受けた物品Mを水平方向の往復動によって対応するプールホッパ9に供給し、プールホッパ9は、投入された物品Mを一時的にプールしたのちに、この物品Mをゲート13の開動により排出して計量ホッパ10に供給する。
【0015】
前記計量ホッパ10は、この計量ホッパ10内の物品Mの重量を計量するロードセルのような計量手段11を介して後述するケース23に支持されている。計量ホッパ10の下方には、計量ホッパ10から排出された物品Mを中央下部に集める集合排出シュート17が配置されており、この集合排出シュート17は、着脱自在な複数の上段シュート部17aを、固定された下段シュート部17bの回りに放射状に配置することにより構成されている。下段シュート部17bの下端排出口から排出された物品Mは、集合排出シュート17に集合されたうえで、振分シュート18を通って包装機19に供給されて包装される。
【0016】
図示しない床に支持された支持架台20上に本体フレーム21が載置されており、この本体フレーム21に、複数の支持脚22を介してケース23が支持されている。このケース23の上部に、投入シュート2、分散フィーダ3、移送フィーダ7およびプールホッパ9が配置されているとともに、ケース23の外周部に計量ホッパ10が、内側に計量手段11が、それぞれ配置されている。ケース23内には、プールホッパ9および計量ホッパ10の制御部や駆動モータなどが収納されている。
【0017】
前記ケース23内の制御部は、複数の計量ホッパ10の物品Mの計量値を組合せ演算し、許容範囲内の組合せ重量となる計量ホッパ10内の物品Mを選択し、それらの計量ホッパ10のゲート14を開動し、包装機19に供給する。
【0018】
図2は、前記移送フィーダ7の制御系の構成を示すブロック図である。この移送フィーダ7はリニア搬送装置からなる。このリニア搬送装置は、搬送する物品Mが載置されるトラフ25と、このトラフ25を水平な搬送方向X−Yに往復動させて物品Mを計量部のプールホッパ9へ搬送させるリニアモータ式の駆動機26と、この駆動機26を制御するコントローラ29と、前記トラフ25上の物品Mが山形に偏在した堆積状態となっていることを判別する判別手段30とを備える。前記コントローラ29には、前記判別手段30によって前記偏在した堆積状態が判別されたとき、物品Mを搬送させないようにトラフ25を往復動させて前記偏在した堆積状態を解消する偏在解消手段33が内蔵されている。
【0019】
前記トラフ25の水平な底面の前後部は、上述した往復動が可能となるように、一対の重量検出器31で支持される。この一対の重量検出器31と、これら重量検出器31で検出された前記トラフ25の前後部の重量から、前記偏在した堆積状態を判別する判別回路32とで、前記判別手段30が構成される。
【0020】
前記移送フィーダ7の駆動機26は、前記トラフ25の底面に設けた磁石27と、前記トラフ25を前記重量検出器31を介して支持するベース34の上面に設けたコイル28とを有する。前記ベース34は、ケース23の上壁により形成されている。トラフ25は、前記磁石27とコイル28との間に所定の上下隙間が生じる高さとなるように、上述した前後部の重量検出器31で支持される。このように、駆動機26の磁石27とコイル28とが、トラフ25とベース34に分けて設けられているので、必要に応じてトラフ25をベース34上から容易に取り外すことができ、しかも、トラフ25に電気配線が不要なので、トラフ25の洗浄を容易に行うことができる。
【0021】
前記重量検出器31は左右の固定部31aおよび可動部31bと、これらを連結する上下のビーム部31c,31cと、可動部31bの上下変位量に相当する歪量を検出する歪ゲージとを有するロードセルからなる。そのロードセル31の可動部31bには、上方に突出してトラフ25の底面を水平摺動可能に支持する支持ロッド35が設けられ、また固定部31aは、下方に延びたブラケット36を介して前記ベース34に支持されている。
【0022】
前記移送フィーダ7による物品Mの搬送動作は、図3に示すように行われる。すなわち、図3(A)のようにトラフ25の上に物品Mが載せられた状態で、コイル28への通電により駆動機26が作動して、図3(B)のようにトラフ25が、トラフ25に対する物品Mの静止摩擦抵抗に打ち勝たない程度のピーク値P1(図4)を持つ速度VF で前進側(X方向)に移動する。これにより、物品Mはトラフ25と一体となって前進側に移動する。なお、物品Mは、わかり易くするために、一部分のみを記載している。
【0023】
次に、駆動機26の逆作動により、図3(C)のようにトラフ25が、トラフ25に対する物品Mの静止摩擦抵抗に打ち勝つように、前記前進速度VF よりも大きいピーク値P2(図4)を持つ速度VR で後退側(Y方向)に移動する。これにより、物品Mは、トラフ25上を、静止摩擦抵抗よりも小さい動摩擦抵抗を受けながら相対的に前進側に滑って移動する。以下、図3(D),(E)に示すように、トラフ25の前記往復動を繰り返すことにより、物品Mが搬送方向に順次移動して搬送が行われ、トラフ25の先端側の計量部のプールホッパ9(図1)に物品Mが投入される。
【0024】
図4(A)は、前記移送フィーダ7の搬送動作時のトラフ25の速度変化を示す波形図である。縦軸はトラフ25の移動速度を表し、横軸は時間を表す。また、縦軸の上側は前進速度VF を表し、下側は後退速度VR を表す。上述したように、後退速度VR のピーク値P2は、前進速度VF のピーク値P1より大きい値とされる。
【0025】
なお、同図において、前進速度VF および後退速度VR の波形と時間軸(横軸)とで囲まれる部分の面積(波形の時間積分値)は、トラフ25の往復動のストローク(振幅)を表し、前進速度VF の部分の面積と後退速度VR の部分の面積とは等しく、ピーク値の小さい前進速度VF の波形の時間軸TF は、ピーク値の大きい後退速度VR の波形の時間幅TR よりも長くなる。また、前進速度VF および後退速度VR の面積は、トラフ25の往復動のストロークが長くなるほど大きくなる。図2のコイル28の磁束密度に比例するコイル28への通電電流の波形は、前記速度波形を時間微分した波形に相当する。
【0026】
前記移送フィーダ7におけるトラフ25上の物品Mが後部に偏在した山形の堆積状態となっている場合、図5に示すようにして偏在解消が行われる。すなわち、トラフ25上の物品Mが前後に偏在した堆積状態となると、トラフ25の前部重量を検出する一方の重量検出器31の検出値と、トラフ25の後部重量を検出する他方の重量検出器31の検出値との差が大きくなる。これら両検出値を入力する図2の次段の判別回路32では、前記両検出値の差が所定値以上になると、偏在判別信号を出力してコントローラ29の偏在解消手段33に入力させる。
【0027】
これにより、偏在解消手段33は、図5(A)に示す停止状態から、図5(B),(C)に示すように、物品Mを搬送させないようにトラフ25を往復動させて、前記偏在した堆積状態を解消する。すなわち、この偏在解消動作では、図4(B)に示すように、先述した搬送動作時の前進速度VF のピーク値P1よりも大きく、後退速度VR のピーク値P2よりも小さいピーク値P3となる前進速度VF および後退速度VR でトラフ25を往復動させる。これにより、トラフ25の往復動で、物品Mの下部は静止摩擦抵抗に打ち勝ってトラフ25を滑動することはないが、物品Mの山の上部は前後に動くので、物品Mの山部が崩される。以下、図5(D),(E)に示すように、トラフ25の前記往復動を繰り返すことにより、さらに物品Mの山部が崩されて、最終的に前後にわたって平坦化される。物品Mが平坦な堆積状態となると、前後の重量検出器31の検出値の差が所定値以下となるので、図2の判別回路32から偏在解消手段33への偏在判別信号の出力が停止され、偏在解消動作が終了する。
【0028】
図5において、物品の山がトラフ25の前部に存在する場合、つまり、前部の重量検出器31の検出値の方が後部の重量検出器31よりも所定値以上大きいとき、山が崩れて前方の計量部の一部であるプールホッパ9内に不測に落下するのを避けるために、後退速度VR のピーク値P3の方を前進速度VF のピーク値P3よりも若干大きくして、山の上部が後方へ崩れ落ちるように設定する。
【0029】
図1に示した組合せ計量装置は、その移送フィーダ7が、前記のように構成されたリニア搬送装置からなるので、トラフ25上で物品Mが偏在した堆積状態となるのを自動的に解消でき、計量部のプールホッパ99への物品Mの定量供給を適正に行うことができる。その結果、物品Mを正確に組合せ演算できる。
【0030】
なお、前記実施形態では、トラフ25上の物品Mが偏在した堆積状態であることを判別する判別手段30を、前後1対の重量検出器31と判別回路32で構成したが、ビデオカメラなどによる映像処理により判別するようにしてもよい。
【0031】
また、前記実施形態では、物品を定量ずつ切り出す組合せ計量装置について説明したが、飴や小粒のチョコレートのように、1個の重量のばらつきが小さく、重量(計量値)を単品重量で除して正確な個数(計数値)が求められる物品について、所定の個数となる計量ホッパの組合せを選択し、それらの計量ホッパから物品を排出させる組合せ計数装置にも、本発明を同様に適用することができる。
【0032】
さらに、本発明のリニア搬送装置は、組合せ計量計数装置以外に、薬剤のような物品の秤量装置に物品を所望量ずつ供給する、いわゆるコンスタントフィーダとして用いることもできる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1のリニア搬送装置によれば、物品が載置されるトラフと、前記トラフを搬送方向に往復動させて物品を計量部へ搬送させるリニアモータ式の駆動機と、前記トラフ上の物品が山形に偏在した堆積状態となっていることを判別する判別手段と、前記駆動機を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記偏在した堆積状態が判別されたとき、物品を搬送させないようにトラフを往復動させて前記偏在した堆積状態を解消する偏在解消手段を有するものとしたため、トラフ上で物品が山形に偏在した堆積状態となって搬送されるのを解消することができ、所望量の物品の搬送を適正に行うことができる。
【0034】
また、本発明の請求項3の組合せ計量装置によれば、複数の計量器による物品の計量値または計数値を組み合わせ演算し、許容範囲内の組合せ重量または組合せ個数となる計量器内の物品を選択して組み合わせるものにおいて、物品を前記計量器に供給するフィーダが前記構成のリニア搬送装置からなるものとしたため、計量器への所望量の物品の搬送が適正に行われ、物品を正確に組合せ演算できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るリニア搬送装置を使用した組合せ計量装置を示す一部破断した概略側面図である。
【図2】同リニア搬送装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】同リニア搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図4】(A)は搬送動作時のトラフ移動速度の波形図を示し、(B)は偏在解消動作時のトラフ移動速度の波形図を示す。
【図5】同リニア搬送装置の偏在解消動作を示す側面図である。
【符号の説明】
7…移送フィーダ(リニア搬送装置)、9,10,11…計量部、25…トラフ、26…駆動機、27…磁石、28…コイル、29…コントローラ、30…判別手段、31…重量検出器、32…判別回路、33…偏在解消手段、M…物品
Claims (3)
- 物品が載置されるトラフと、
前記トラフを搬送方向に往復動させて物品を計量部へ搬送させるリニアモータ式の駆動機と、
前記トラフ上の物品が山形に偏在した堆積状態となっていることを判別する判別手段と、
前記駆動機を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記偏在した堆積状態が判別されたとき、物品を搬送させないようにトラフを往復動させて前記偏在した堆積状態を解消する偏在解消手段を有しているリニア搬送装置。 - 請求項1において、前記判別手段は、前記トラフの前後部の重量を検出する一対の重量検出器と、検出された重量から前記偏在した堆積状態を判別する判別回路とを有するリニア搬送装置。
- 複数の計量器による物品の計量値または計数値を組み合わせ演算し、許容範囲内の組合せ重量または組合せ個数となる計量器内の物品を選択して組み合わせる組合せ計量計数装置において、物品を前記計量器に供給するフィーダが、請求項1または2に記載のリニア搬送装置で構成されていることを特徴とする組合せ計量装置。
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JP30369598A JP3974716B2 (ja) | 1998-10-26 | 1998-10-26 | リニア搬送装置およびこれを用いた組合せ計量計数装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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- 1998-10-26 JP JP30369598A patent/JP3974716B2/ja not_active Expired - Fee Related
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