JP3973954B2 - 中性子吸収材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線発生装置及び原子力用等に使用されるホウ素を含有する2D−炭素繊維強化炭素複合材料(以下、2D−C/C複合材という。)からなる中性子吸収材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素の同位体において質量数が10のものは中性子吸収断面積が大きく、ホウ素またはホウ素化合物は中性子吸収材として利用される。原子炉では、ウラン等の核分裂を制御する制御棒、反応度調整並びに核反応の暴走を防ぐための安全装置等に用いられる。
【0003】
現在、中性子吸収材としてのホウ素混合炭素材料は、例えば、特許第1820502号や1993年2月発行のIAEA−TECDOC−690"The status of graphite development for gas cooled reactors"で示されているように、炭素または炭素前駆体の粉末と炭化ホウ素粉末を混合し成形後熱処理することによって得られる粒子結合型のものがもっぱら使用されている。尚、ここでいう炭素は広義の意味で用いており所謂黒鉛質のものも含む。
【0004】
C/C複合材は、人造黒鉛材料すなわち電極材や等方性黒鉛の欠点である低靭性、脆性破壊する機械的特性の欠点を大幅に改善した材料である。従ってC/C複合材を基材にホウ素を含有した材料が得られればその用途に大きな有益性をもたらすことになる。とりわけ高い安全性が要求される原子力産業分野においての利用は今後、重要となってくるものと考えられる。
【0005】
C/C複合材にホウ素若しくはその炭化物を存在せしめる方法として、例えば、金属アルコキシドを用いてホウ素を微分散させる方法は広く研究されている。しかしながら、アルコキシドが高価で大量にホウ素を存在させるのには不向きである。また、中性子吸収材として使われるC/C複合材に、加熱含浸装置(熱間静水圧加圧装置)を用いて酸化ホウ素を含浸せしめ、1500℃以上の高温で熱処理を行なってホウ素もしくはその炭化物を存在せしめる方法が示されている(特許第3034919号)。この方法ではホウ素の微分散が可能であるという利点がある。しかし、加熱含浸装置(熱間静水圧加圧装置)を必要としコスト高となる他、装置の大きさに制限を有する。
【0006】
また、通常のフェルトC/C複合材の製造工程内で炭化ホウ素粉末を混合する方法(特開平5−306180号)などが知られる。しかし、炭素繊維がフェルトで、マトリックスを熱分解炭素によって高密度化するこの方法は、フェルトC/C複合材しか適用できないことやコストが高いこと等の問題がある。
【0007】
また、特許第3058180号では、耐酸化材作製におけるマトリックスとなる熱硬化性樹脂、コールタール又はピッチに炭化ホウ素粉末を混ぜ合わせたものを塗布する方法とホウ素含有ガスの熱分解によってC/C複合材内にホウ素を含有させる方法を示している。炭素繊維を織布、編布、不織布、短繊維、炭素質フェルトを使用する場合を示している。ここでは、炭化ホウ素粉末を使用した場合、炭化ホウ素をとりわけ2D−C/C複合材中に均一分散させる具体案に欠ける。また、中性子吸収材については触れられていない。
一般に、2D−C/C複合材は炭素繊維が束状に存在しており、繊維束内部の炭素繊維中に炭化ホウ素粉末を均一に分散させることがより困難であり、またそのことを解決する手段を見出すことが本発明に至るプロセスである。
【0008】
炭化ホウ素粉末をホウ素源として使用すること自体は、上記の例示意外に一般に良く知られた事柄であるが、コスト面も考慮して工業材料として利用しうるホウ素が均一に含有されている2D−C/C複合材が得られていない状態である。
【0009】
また、現在、最も一般に使用されている2D−C/C複合材としては、二次元クロスを用いたもの若しくは一次元クロスを方向を違えて交互に積層したものがある。2D−C/C複合材は、三次元以上の多次元C/C複合材に対して、織りの装置や技術も平易であること、機械的特性が通常の用途では充分なものが得られることから、実用材として広く使用されている。しかしながら、とりわけ、2D−C/C複合材にホウ素を均一に存在せしめることが1D−C/C複合材やフェルトC/C複合材に比べて困難であることから、実用材としての開発は充分になされていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、C/C複合材の特性である高強度、高靭性の特性を損なうことなく、製造的にも簡便な方法で2D−C/C複合材中にホウ素が均一に分散したホウ素混合2D−C/C複合材料で構成される中性子吸収材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、発明者らは鋭意研究の結果、2D−C/C複合材に均一にホウ素を分散させるための炭化ホウ素粉末の選定と製造工程がきわめて重要であることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明に係る中性子吸収材は、1〜50重量%のホウ素と、残部が炭素繊維とマトリックスとで構成されるホウ素混合2D−炭素繊維強化炭素複合材料で形成された中性子吸収材であって、前記炭素繊維が、細密織りスパンヤーンクロス、又は、短炭素繊維と前記クロスとで構成されているものであり、炭素繊維の容量分率が少なくとも20容量%であり、前記ホウ素のホウ素源に平均粒径5μm以下の炭化ホウ素粉末を使用し、少なくとも1800℃以上の温度で熱処理を施し、炭素材料のX線回折法の学振法による(002)面の面間隔が0.341nm以下であることを特徴とする。とりわけ、製造方法が簡便であり実用性に優れているという観点から2D−C/C複合材の開発においては細密織りスパンヤーンクロスを用いた。
【0012】
すなわち、2D−C/C複合材の炭素繊維とマトリックスの両方に均一に炭化ホウ素粉末を微分散させるための手法を見出した。単純に炭化ホウ素粉末を混合したのでは炭化ホウ素粉末同士の凝集が生じて部分的に炭化ホウ素粉末が集合して均一な分散状態が得られない。この問題は、スーパーミキサーなどを用いて炭化ホウ素粉末を剪断力を掛けながら充分に解砕したものを用いて、他のマトリックスまたはマトリックス前駆体とも凝集しないように混合することによって解決される。
【0013】
使用する炭化ホウ素粉末の粒径は、出来るだけ細かい方が微分散しやすいが、平均粒径としては5μm以下、好ましくは1〜3μmにするのが適当である。平均粒径を5μm以下にすることによって機械的強度の低下を防ぎ、炭化ホウ素を材料中に均一に分散することができる。炭化ホウ素粉末の平均粒径が1μmよりかなり細かい、例えば、0.5μm以下になるとコストが高くなるという欠点が生じる。
【0014】
炭素繊維の分率は少なくとも20容量%である。より好ましくは20〜55容量%が適当である。炭素繊維の分率が55容量%を超えると、繊維クロス同士の結合力を充分に保つことができず本発明においては現実的には作製が困難である。また、20容量%未満であると炭素繊維の効果が少なくなり靭性が上がらない。
【0015】
また、前記炭素繊維は、細密織りスパンヤーンクロス、又は、短炭素繊維と前記クロスとで構成されているものである。細密織りスパンヤーンクロスとしては、繊維径が10〜20μmでフィラメント数が1000から12000のものが一般に入手可能である。
【0016】
バインダー成分としてのマトリックスは、液状の合成樹脂から、また液状の合成樹脂及び合成樹脂粉末から生じる炭素化物を含むものである。また、メソカーボン小球体及び/または残留揮発分を5〜15重量%含む炭素粉末を含むものである。合成樹脂としては、炭素化収率が高いフェノール樹脂を用いることが好ましい。これによって、製造コストの低減が可能となる。また、フェノール樹脂を用いることによって、補強材として短繊維チョップを加えることも出来る。なお、フェノール樹脂の他に、フラン樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることも可能である。
【0017】
また、本発明に係るホウ素混合2D−C/C複合材は、まず、炭化ホウ素粉末が混合されたマトリックス前駆体を作製後、このマトリックス前駆体を炭素繊維クロス表面に均一に塗布し、積層して成形体とし、焼成、黒鉛化することによって製造される。具体的には、以下の通りである。
【0018】
まず、マトリックス前駆体を作製する。常温で液状の合成樹脂を用いる混合の際には、スーパーミキサーなどを用いて剪断力を掛けながら充分に解砕した、ホウ素源となる炭化ホウ素粉末が再凝集しないようにエタノールなどのアルコール中に分散させた後、この分散液を液状の合成樹脂と充分に攪拌しながらスラリーを作製し、スラリー状のマトリックス前駆体とする。
【0019】
次に、炭素繊維とマトリックス前駆体を組み合わせて成形体を作製する。成形体の作製にあたってはマトリックスと炭素繊維が充分に均一に組み合わされていることが必要である。炭素繊維に、作製したスラリー状のマトリックス前駆体を塗布する。塗布は、はけ塗りやドクターブレードを用いて表面に塗布する方法やスラリーをこれら炭素繊維に擦り込むように浸透させる方法によって行われる。
【0020】
マトリックス前駆体に、炭化ホウ素粉末以外に、バインダー成分としての合成樹脂の他に、場合によってはメソカーボン小球体や揮発分を5〜15重量%含む炭素粉末や短繊維チョップ等の短炭素繊維を加えて混合する。合成樹脂の種類には特に指定はないが、炭素化収率が高いことコストなどの入手の面からフェノール樹脂やフラン樹脂が適当である。更には、常温で液状の合成樹脂を用いる混合の際には、まず、炭化ホウ素粉末が再凝集しないようにエタノールなどのアルコール中に分散させた後、この分散液を合成樹脂及び他のマトリックス成分と充分に攪拌しながらスラリー状とし、マトリックス前駆体を作製する。
【0021】
常温で固体粉末状の合成樹脂を用い、合成樹脂粉末とメソカーボン小球体、揮発分を5〜15重量%含む炭素粉末や短炭素繊維などを加える場合には、固体微粒子化により、炭化ホウ素粉末とこれら粉末を一体化させる。これによって、それぞれ均一分散が成されるとともにバインダーを有効に働かせることが出来、機械的特性が向上する。固体微粒子化の操作には、例えば市販の微粒子複合化装置を用いて行なう。
【0022】
また、上記スラリーと一体化した固体微粒子を併用することもできる。すなわち、例えば、炭素繊維クロスまたはシートにスラリーを塗布した後に固体微粒子をその上に載せて炭素繊維クロスを積層していくことも出来る。マトリックス前駆体の成分として合成樹脂以外に例えば、揮発分が10重量%であるメソカーボン小球体や5〜15重量%、好ましくは7〜12重量%の揮発分を含む炭素粉末を加えて高密度化することが出来る。この時、これらから生じる炭素の量を多く設定するとマトリックス中に大きなクラックを生じて機械的強度を著しく減じることになる。これは、メソカーボン小球体や揮発分を含む炭素粉末は収縮するが炭素繊維は収縮しないために内部応力を生じてそれを開放する際にクラックが生じるものである。これを防止するためには、15重量%を超えるような高い揮発分を有するようなものを使用しないことと、メソカーボン小球体や揮発分を含む炭素粉末から生じる炭素の量をマトリックス全体の30容量%程度以下にする必要がある。
【0023】
スラリーを塗布したクロスは所望の厚み、例えば3〜30mmに積層してプリプレグ積層体とする。その積層体を成形するには常法に従って行う。すなわち、ホットプレス法や真空バッグ成形によって成形体とすることができる。真空バッグ成形は、パイプ状や三次元的な形状を有する大型の成形体を得るために有効である。ホットプレス法では、その成形条件はそれぞれ使用した合成樹脂の種類や炭素繊維の種類や量、成形体の大きさ等の条件で設定する必要があるが、概ね5〜15kg/cm2の加圧下で最高温度150〜300℃で行われる。真空バッグ法では、一般に加圧力の最高が大気圧となる。
【0024】
熱処理は、炭素化工程である。熱処理は目的温度まで一回の工程で行ってもよいし、2回以上の工程に分けても良い。すなわち、一回目の熱処理では、800℃乃至1000℃の熱処理を窒素ガス雰囲気中などの非酸化性雰囲気下で行い、次に、炭化ホウ素が置換固溶し始める1800℃以上の熱処理を施して、ホウ素を材料中にさらに微分散させる。黒鉛結晶性をある程度高めるために、最終の熱処理を2300℃を超える温度に上げると、ホウ素の作用によって黒鉛結晶粒が大きく成長しすぎて、場合によっては炭素繊維とマトリックスが部分的に一体化し炭素繊維の形状が崩れ炭素繊維による補強効果が無くなり、機械的強度の劣化を招いてしまう。従って機械的強度が必要な場合は最終の熱処理を2300℃以下、好ましくは、2000℃から2200℃にするのが良い。
【0025】
原子炉用中性子吸収材の用途では特に、残存酸化ホウ素量が少ないことが求められる。これは、残存する酸化ホウ素の含有量が多いと、高温条件下で中性子吸収材として使用した場合に、中性子吸収材から蒸発した酸化ホウ素が比較的低温部に析出固着して金属製品を腐食したり、互いに固着するという問題を防止するためである。酸化ホウ素は、製造工程中の、比較的低温での熱処理時に、主として熱処理雰囲気下の不純物酸素と炭化ホウ素との反応によって形成されると考えられる。本発明においても、10重量%のホウ素を含む2D−C/C複合材料の作製において、窒素ガスを流しながら1000℃の熱処理を施した場合、1重量%の酸化ホウ素が残存していることが化学測定によって確認された。従って、酸化ホウ素を除去するためには、温度を上げるのみでも除去されるが、最終の熱処理を不活性ガス雰囲気の減圧下、好ましくは5Torr以下で行なうとより効果的に除去することができ、酸化ホウ素の含有量が0.2重量%以下のホウ素混合2D−C/C複合材とすることができる。
【0026】
機械的強度を向上させるためには、いずれかの熱処理後にピッチ若しくは液状のフェノール樹脂などの合成樹脂を材料中の開気孔に含浸して再び熱処理を施すと良い。この操作は二回以上繰り返すことができる。
【0027】
このように、C/C複合材中にホウ素が均一に分散した中性子吸収材が、簡便な方法で作製される。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び参考例により本発明を具体的に説明する。
【0029】
セラミックス粉末としては、平均粒径1μm及び3μmの炭化ホウ素粉末を使用した。使用したセラミックス粉末は市販のものをそのまま用いるか、または分級して用いた。平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置で確認した。
【0030】
炭素繊維の容量分率の計算には次の値を使用した。炭素粉末は炭素化収率90%、真密度2g/cm3であった。2000℃でレゾール型フェノール樹脂は炭素化収率50%、真密度1.5g/cm3で、粉末フェノール樹脂は炭素化収率70%、真密度1.5g/cm3であった。炭化ホウ素粉末は密度2.5g/cm3のものを用いた。スパンヤーンクロスの真密度は1.8g/cm3、長炭素繊維連続糸平織りクロス、長炭素繊維連続糸シートおよび短繊維の真密度は2.0g/cm3とした。
【0031】
(実施例1)
炭素繊維100重量部に対して、スーパーミキサーを用いて剪断力を掛けながら充分に解砕した96重量部に相当する平均粒径3μmの炭化ホウ素粉末をエチルアルコール中に添加し、充分に攪拌しながら分散させた。エチルアルコールの量は次に加える樹脂量とほぼ等量用いた。これに、液状の合成樹脂として、レゾール型フェノール樹脂を炭素繊維との重量比が1.1となるように加えて充分に攪拌しながら分散させスラリーとし、マトリックス前駆体を調整した。このスラリーを炭素繊維2Dクロスの細密織りスパンヤーンクロス(繊維径約10μmのPAN系)にドクターブレードを用いて均一に塗布した。この時、クロス内部までスラリーが浸透するように予めスラリーをクロスに擦り込むように塗布し、残りのスラリーを表面に塗布する工夫を行った。これら、スラリーを塗布したクロスを積層して風乾させた。尚、クロスの大きさは80mm×80mmで15枚重ねて約7mmの厚みのプリプレグ積層体とした。次に、常法に従って熱圧成形を行った。成形は、約10kg/cm2の圧力を掛けながら110℃から加圧を開始して、160℃で1時間保持することによって行った。その後、260℃で乾燥機中で16時間の熱処理を行って成形体とした。この成形体を、窒素ガスを流しながら約10℃/時間の昇温速度で1000℃の熱処理を施した。その後、アルゴンガス雰囲気5Torrの下、2000℃で熱処理を施して、ホウ素混合2D−C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、35容量%であった。
【0032】
ホウ素の定量はマンニットール滴定法などの化学滴定の手法を用いて測定した。全ホウ素量は29.9重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.02重量%であった。X線回折法の学振法による(002)面の面間隔は0.339nmであった。
【0033】
曲げ強さ測定用の試験片は、5×8×55mmの直方体を用いた。2次元クロスの場合はクロスの面方向を長手方向にし、また、5mmの方向がクロスの積層方向である。曲げ試験はインストロン試験機を用いてスパン40mm、クロスヘッドスピード0.5mm/minとして室温下、3点曲げで行った。本発明のホウ素混合2D−C/C複合材はいずれも脆性的な破壊をすることなく、通常市販の2D−C/Cが示すようなクロスヘッド変位を示し、本来の2D−C/C複合材が有する靭性を保持していることが確認された。かさ密度は1.58g/cm3であった。曲げ強度は、70MPaであった。
【0034】
(実施例2)
炭素繊維100重量部に対して、5重量部に相当する平均粒径3mの炭化ホウ素粉末を使用し、レゾール型フェノール樹脂を炭素繊維との重量比が1.5となるように加えた以外は、実施例1と同様にしてホウ素混合2D−C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、45容量%であった。全ホウ素量は2.2重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.01重量%であった。かさ密度は1.50g/cm3であった。曲げ強度は、80MPaであった。
【0035】
(実施例3)
炭素繊維100重量部に対して、210重量部に相当する平均粒径3μmの炭化ホウ素粉末を使用した以外は、実施例1と同様にしてホウ素混合2D−C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、26容量%であった。全ホウ素量は42.7重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.04重量%であった。かさ密度は1.60g/cm3であった。曲げ強度は、45MPaであった。
【0036】
(実施例4)
平均粒径1μmの炭化ホウ素粉末を用いた以外は、実施例1と同様にしてホウ素混合2D−C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、35容量%であった。全ホウ素量は29.5重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.02重量%であった。かさ密度は1.59g/cm3であった。曲げ強度は、75MPaであった。
【0037】
(参考例1)
炭素繊維2Dクロスに、長炭素繊維連続糸平織りクロス(PAN系、引っ張り強度3500MPa、引っ張り弾性率230GPa、繊維径約7μm、フィラメント数6000)を用いた以外は実施例1と同様にしてホウ素混合2D−C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、29容量%であった。全ホウ素量は29.7重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.02重量%であった。かさ密度は1.62g/cm3であった。曲げ強度は、75MPaであった。
【0038】
(参考例2)
炭素繊維2Dクロスに、一次元長炭素繊維連続糸シート(ピッチ系、引っ張り強度3600MPa、引っ張り弾性率650GPa、繊維径約10μm、シートの厚み0.29mm)を用いた以外は実施例1と同様にしてホウ素混合2D−C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、32容量%であった。全ホウ素量は29.9重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.02重量%であった。かさ密度は1.67g/cm3であった。曲げ強度は、72MPaであった。
【0039】
(参考例3)
炭素繊維100重量部に対して、75重量部に相当する平均粒径3μmの炭化ホウ素粉末をエチルアルコール中に添加し、充分に攪拌しながら分散させた。エチルアルコールの量は次に加える樹脂量とほぼ等量用いた。これに、液状の合成樹脂として、レゾール型フェノール樹脂を炭素繊維との重量比が1.1となるように加えて充分に攪拌しながら分散させスラリーとし、マトリックス前駆体を調整した(マトリックス前駆体A)。このスラリーを実施例5と同様の平織りクロスにドクターブレードを用いて均一に塗布した。この時、クロス内部までスラリーが浸透するように予めスラリークロスに擦り込むように塗布し、残りのスラリーを表面に塗布する工夫を行った。マトリックス前駆体として、2つのマトリックス前駆体を作製した。1つは、材料中の炭素繊維100重量部にして75重量部の平均粒径3μmの炭化ホウ素粉末と粉末フェノール樹脂を炭素繊維との重量比が0.4となるようにスーパーミキサーで剪断力を掛けながら充分に混合した。ミキサーの羽の回転速度は2000rpmで時間は3分間であった。このプロセスを怠ると炭化ホウ素粉末および粉末フェノール樹脂がそれぞれ充分に混ざり合うことが困難となる。この混合粉末を、マトリックス前駆体Aを塗布した上に均一に塗布した。それ以外の工程は実施例1と同様にしてホウ素混合2D−C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、28容量%であった。全ホウ素量は36.9重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.04重量%であった。かさ密度は1.62g/cm3であった。曲げ強度は、50MPaであった。
【0040】
(実施例8)
マトリックス前駆体として、炭素繊維100重量部に対して、148重量部に相当する量の平均粒径3μmの炭化ホウ素粉末と、炭素繊維との重量比が0.4となる量の炭素粉末(ピッチと平均粒径1μmの人造黒鉛を熱間混練り後に粉砕を行った平均粒径5μm、揮発分10重量%の炭素粉末)とをスーパーミキサーで剪断力を掛けながら充分に混合した。ミキサーの羽の回転速度は2000rpmで時間は3分間であった。このプロセスを怠ると炭化ホウ素粉末および炭素粉末がそれぞれ充分に混ざり合うことが困難となる。この混合粉末をエチルアルコール中に充分に攪拌しながら分散させた。アルコールの量は次に加える樹脂量とほぼ等量用いた。次に、レゾール型フェノール樹脂を炭素繊維との重量比が1.1となるように加えて充分に攪拌しながら分散させスラリーとした。それ以外の工程は実施例1と同様にしてホウ素混合C/C複合材を得た。炭素繊維の容量分率は、30容量%であった。全ホウ素量は34.2重量%であった。酸化ホウ素の濃度は0.03重量%であった。かさ密度は1.45g/cm3であった。曲げ強度は、40MPaであった。
【0041】
図1および図2にそれぞれ実施例1のクロス積層面の走査型顕微鏡(SEM)像とその部分のX線マイクロアナライザーによって得られた、ホウ素の分布状態を示す。SEM像より繊維とマトリックスが緻密に組み合わされ複合化されているのが分かる。ホウ素の分布図よりホウ素がマトリックス部およびクロスの部分にも均一に分散されているのが分かる。以上より、本発明のホウ素混合2D−C/C複合材料は、炭素繊維とマトリックスが緻密に組み合わさり、また、ホウ素が材料全体に均一分布している。
【0042】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されており、2D−C/C複合材中に簡易な方法でホウ素を均一に分散することができ、ホウ素源を分散させた場合であっても、強度、靭性等の特性が低下することもなく、2D−C/C複合材を中性子吸収材として適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1のクロス積層面の走査型顕微鏡(SEM)による写真である。
【図2】図1の像の部分のX線マイクロアナライザーによって得られた、ホウ素の分布状態を示す写真を示す図である。
Claims (5)
- 1〜50重量%のホウ素と、残部が炭素繊維とマトリックスとで構成されるホウ素混合2D−炭素繊維強化炭素複合材料で形成された中性子吸収材であって、
前記炭素繊維が、細密織りスパンヤーンクロス、又は、短炭素繊維と前記クロスとで構成されているものであり、
前記炭素繊維の容量分率が少なくとも20容量%であり、前記ホウ素のホウ素源に平均粒径5μm以下の炭化ホウ素粉末を使用し、少なくとも1800℃以上の温度で熱処理を施し、炭素材料のX線回折法の学振法による(002)面の面間隔が0.341nm以下であることを特徴とする中性子吸収材。 - 前記炭化ホウ素粉末が、剪断力を掛けながら解砕されたものである請求項1に記載の中性子吸収材。
- 前記ホウ素混合2D−炭素繊維強化炭素複合材料中の酸化ホウ素の含有量が0.2重量%以下である請求項1に記載の中性子吸収材。
- 前記マトリックスが、液状の合成樹脂から、または液状の合成樹脂及び合成樹脂粉末から生じる炭素化物を含むものである請求項1乃至3のいずれかに記載の中性子吸収材。
- 前記マトリックスが、メソカーボン小球体及び/または残留揮発分を5〜15重量%含む炭素粉末を含むものである請求項4に記載の中性子吸収材。
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