JP3973625B2 - 成型品を製造する方法 - Google Patents

Description

本発明は、特許請求項１の前文に記載の成形品を製造する方法に関する。

シート・モールディング・コンパウンド（強化繊維シート成形材料、ＳＭＣ）からの成形品の製造は極めて複雑で、かつ、品質保証の点で制御困難な工程である。以下の内容で、ＳＭＣ材料という用語は、熱硬化性の、繊維質を強化した複合プラスチックを意味すると理解される。まず最初に、このためレジン、硬化剤、希釈剤や炭酸カルシウムとか水酸化アルミニウムのような充填剤を含む原材料が、容器内で混合され原材料混合体を形成する。

この混合操作で既に空気が微細気泡の形で昆入させられ、それは後に、例えば気孔が形成されるというように、成形品の質に悪影響を及ぼす。その上、撹拌器により行うこの混合操作は、エネルギーの導入を正確に調整しないので、その結果として原材料混合体の粘性に影響を及ぼす。

混合体は、次に、貯蔵容器から公知のＳＭＣ設備に導入される。このＳＭＣ設備はＳＭＣ半完成品を製造するのに使用される。このために、同混合体はシックナー（一般に酸化マグネシウム）を供給され、水平動のエンドレス・フィルム上に注入され、その後、通常１ｍｍから３ｍｍの間の所望の厚さに、ドクターナイフを使ってならされる。このフィルムは原材料混合体用のサポート・フィルムとして使われる。

工程が進むと、ファイバー、特に、ガラスファイバーが原材料混合体上に細分される。続いて、細分されたガラスファイバーが原材料の表面の上に均等に分配される。付随して動いている原材料混合体を有する別のフィルムは、次に、エンドレス・ストリップが、その上下側でフィルムにより保護され、その内部でファイバーを含む原材料混合体を含有するように形成されるように、ファイバーと結合する。このストリップは、その後、種々のロール・スタンドを通過し、そこで同ストリップは圧縮され、ファイバーは混合体を含浸する。同時に、同ストリップはこの操作により、大まかに脱気される。

このストリップは、半完成品マットとして巻き上げられ、２〜７日間続く熟成工程に入る。その後、同半完成品は所望の目標重さにカットされ、プレス機により成形モールドで押圧され成形品が形成される。押圧操作中、半完成品は加熱され、それにより成形品は硬化する。

この工程の難点は、特にその複雑で長々と続く手順と不適切な品質保証にある。半完成品の単位面積あたりの重さおよび他のパラメーターは、粘度のばらつきのために十分な正確さを持って維持することは不可能であり、その上、種々のステップ（原材料の混合、フィルムの結合）により、空気の封入を招き、半完成品の材料の密度および／または単位面積当たりの重さに、ばらつきを生じさせる。このようなばらつきの結果、非常に複雑な圧縮モールドが組み立てられ、製造される必要があり、その工程をますます高価なものにする。

これまで、こういった難点から、ＳＭＣ材料は、高品質成形品用の一連の大きな工程で使用するには不適当とみなされてきた。

従って、本発明の目的は、先行技術に比較してより低い工程費用で、改善された品質保証を可能にするＳＭＣ成形品を製造する方法を提供することにある。

上記目的は、特許請求項１の特徴を有する方法により達成される。

特許請求項１に説明した方法は、原材料の調製のステップと、半完成品の製造のステップと、成形品成形のステップとを含む。本発明によれば、原材料の調製は、１個以上の押出機内で行われる。このために、原材料は押出機に入れられ、均質に混合される。この場合の原材料とは、とりわけ、レジン、硬化剤、スチレンのような希釈剤、充填剤（例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、または、シリカ）、他の添加剤、ファイバーを含む。粘度を慎重に設定することができ、封入される空気量も極めて低量に保たれる。

次に、半完成品が、適切に成形されたモールドにより、押出機から直接押圧される。同モールドは通常、矩形板を形成するが、最終成形品に対応する他の最適な形状寸法のものを製造することも可能である。このように、半完成品を削り仕上げする必要を省くことが可能であり、その結果、原材料費が節約できる。

原材料の調製と半完成品の製造は、従って、統合された連続工程のステップで行われる。これは、例えば半完成品の熟成といった、複数の工程ステップを省き、製造コストを低減し、品質管理を容易にする。先行技術に比較して、本発明により製造された半完成品は、大幅により一定の材料密度と単位面積当りの重さと形状寸法とを有している。それは、順に成形品成形を容易にし、より費用のかからないモールドの使用につながり得る。

原材料の調製は、段階的に連続した押出機を使用すると、極めて有利に行うことができる。原材料の個別の成分は、目標としたやり方で添加することができる。押出機は、コンベヤー・スクリュー（例えば、遊星形スクリュー、二軸スクリュー、一軸スクリュー）を有し、同スクリューは、余計な空気を全く取り入れることなく、材料を混合し、均質化し、搬送する。段階的に連続した個々の押出機のスクリューは、異なる形状寸法、または、構造型を有するのが好ましい。これは、個別に入れられた原材料を押出機内の原材料混合体に最適に入れ、均質化するのを可能にする。原材料混合体の均質化に影響を与える他のパラメーターには、押出機スクリューの回転スピードと移動方向がある。

１個以上の押出機の脱気は、更に、半完成品の質を最適化し、特に、半完成品の単位面積当りの重さをより一定にすることにつながる。

本発明の更に有効な形態は、エンドレス・ファイバーを少なくとも１個の押出機に供給することに在り、これらのファイバーは直接、導入中、またはその直前に、直接所望の長さに切断され、特にガラスファイバーの場合は細分される。ファイバーは、押し出し工程の終わりに導入されるのが好ましい。それは、ファイバーへの損害を与える剪断荷重を避けることになるからである。

しかしながら、エンドレス・ファイバーにとって押出機に入れられ、押出機スクリューによって細分されるのは、又、好都合であり得る。短いファイバーへの追加または代案として、本発明による工程には、これらのエンドレス・ファイバーが、細分されずに、押し出し工程の終わりに、モールドに直接入れられるオプションも用意されている。これらのファイバーは、単一方向性長ファイバー強化材として作用し、成形品の強度を増大させる。

ファイバーは通常ガラスファイバーであり、それは十分に高い抗張力を有し、又、比較的安価である。しかしながら、炭素繊維またはアラミド繊維のような有機繊維などの他のタイプのファイバーもまた、好都合である。

本発明のさらなる部分は、特許請求項に記載の方法を実施するための装置である。押出機、または複数の段階的に連続した押出機には、種々の成分を含む原材料が充填され得る。押出機スクリューは、原材料を均質化し、圧力の下出口開口を通してモールドに搬送する。同モールドは半完成品を成形するのに使用される。

原材料の均質性を最も最適化するために、押出機は、それを通して原材料に存在し得る空気が抜け出ることができる、脱気手段を備えている。

少なくとも１個の押出機がファイバー供給装置を有してよい。この装置はエンドレス・ファイバーを直接、押出機または、押出機スクリューに搬送し、所望の長さに切断または、細分し原材料と混合する。

本発明の特に好ましい実施例が、下記の例と図１により、より詳細に説明される。

図１に示す３個の段階的に連続した押出機１、３、５は、押出機スクリュー７、９、１１を備え、充填装置１２、１３、１４を有している。一端部に於いて、押出機は各々出口開口１５、１７、１９を備えている。押出機１と３は、供給シャフト１６と１８を通して接続されている。加えて、押出機は各々脱気器２１、２３、２５を有している。押出機５は、エンドレス・ファイバー２７を細分し、切断されたファイバーを押出機５に供給するのに使われるファイバー・カッティング装置２９を、備えている。押出機５の出口開口１９は、型穴３２を有しＳＭＣ半完成品の製造に適しているモールド３１に、開いている。

押出機１は、充填装置１２と１３を通して、原材料（レジン、硬化剤、スチレン、任意の添加剤）の液体成分が充填される。これらの成分は、押出機スクリュー７内で均質化される。充填操作中に導入されうる空気の封入は、押出機１内の均質化操作中に、脱気器バルブ２１を通って脱気される。この均質化した液体原材料は、出口開口１５および供給シャフト１６により押出機３に供給される。

次に、追加の原材料が、充填剤の役目をする固体成分の形で、充填装置１４により混合される。適切な固体成分は特に、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、またはシリカである。本発明による方法は、例えば酸化マグネシウムのような、従来の方法で使用されている増粘剤を、必要としない。原材料混合体は、続いて新たに加えられた成分と均質化され、さらに脱気バルブ２３により脱気され、続いて、均質化混合体は出口開口１７および供給シャフト１８により押出機５に運ばれる。

押出機５の押出機スクリュー１１は上記混合体を運び続け、それを更に均質化する。押出機５の端部でガラスファイバー２７が原材料混合体内に取り入れられる。エンドレス・ファイバー２７としてデザインされたガラスファイバー２７は、細分装置２９に供給され、２ｍｍと５０ｍｍとの間の長さで短いファイバーに細分される。このファイバーは、過度の剪断およびそれによるファイバーへのダメージを最小化するために、均質化工程の終わりに取り入れられる。このあと、脱気バルブ２５を通して最終脱気ステップが続く。均質化された原材料は次に、出口開口１９を通してモールド３１の型穴３２に運ばれる。

型穴３２は、押出機スクリュー１１により圧力下に原材料を充填する。この方法で製造された半完成品の形状寸法は、モールドの公差により決定されるので、極めて一定である。これは、同半完成品の単位面積当りの重さの標準以上の不変性につながる。空気の封入は、本発明による原材料の調製工程と繰り返し脱気により、最小に減少される。これは、成形品製造用の圧縮型に対する、容積測定で正確な、信頼性のある計量にとって、有利である。

本発明により製造された半完成品は、次に圧縮型（図１に図示せず）に置かれる。本発明による方法は、従来の方法で必要とされるような、半完成品のための熟成時間を必要としない。これは、製造コストを大幅に減少させる。

半完成品の精密な形状寸法故に、又、半完成品の単位面積当りの重さが非常に僅かな公差に左右される、ということから、圧縮型はピンチエッジ型としてデザインされる可能性がある。ピンチエッジ型が、通例使用される押し込み金型にまさる利点は大幅な金型費の減少である。押し込み金型はピンチエッジ型より著しくより大きい交差を必要とし、従って、著しくより高くつく。その上、押し込み金型は高水準の摩耗を免れない。

圧縮型において、最終成形品の形状寸法は半完成品に与えられている。型が加熱されると、その結果、半完成品も加熱される。原材料に含まれた硬化剤はレジンを硬化させ、それはガラスファイバーと充填剤とにより強化された、架橋した熱硬化性プラスチック母材になり、ＳＭＣ材と呼ばれることになる。最後に、ＳＭＣ材から作られた成形品は型外しされ、適切な場合、必要とされ得るいかなる最終機械加工にも供される。

実施例の方法を実施するための装置を示す概略図である。

Claims (7)

1. 原材料の調製のステップと、半完成品の製造のステップを含み、熱硬化性の、繊維質を強化したシート・モールディング・コンパウンド（ＳＭＣ）材から半完成の成形品を製造する方法において、
   レジンと、硬化剤と、充填剤と、ファイバーとを含む原材料が、少なくとも２段以上の連続した複数の押出機によって原材料の調製のステップで調製され、
   前記ファイバーは、前記連続した押出機のうち最後の押出機で加えられ、
   前記押出機を用いてモールド内に調製した原材料が送られて半完成品が製造され、
   前記原材料の調製と前記半完成品の製造は連続して行われること、を特徴とする方法。
2. 前記押出機のそれぞれはスクリューを有し、該スクリューが、異なる形状寸法と、回転スピードを有することを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 少なくとも１個の前記押出機内で、原材料がその調製中に脱気されることを特徴とする請求項１〜２のいずれか一項に記載の方法。
4. 前記ファイバーが前記最後の押出機にエンドレス・ファイバーの形で供給され、該押出機への供給直前か供給中に切断または細分されることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の方法。
5. 前記エンドレス・ファイバーが、少なくとも１個の前記押出機のスクリューによって細分されることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記エンドレス・ファイバーが、入口開口を通してモールド内に単一方向に供給されることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の方法。
7. 前記ファイバーがガラスファイバー、カーボン・ファイバー、アラミド繊維、または金属繊維であることを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載の方法。

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