JP3973306B2 - 高出力軽油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ディーゼル燃料などに用いられ、優れた燃費が得られる高出力軽油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽油は、ディーゼルエンジンに用いられる燃料として広く用いられている。ディーゼルエンジンは、トラック、バス、船舶、建設機械などに用いられ、エネルギー変換効率が高く、二酸化炭素の排出が低く押さえられることから注目されている。
【0003】
また、排気ガス中の窒素酸化物、パーティキュレートを低減するために、軽油に含まれる芳香族分の低減が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、軽油中の芳香族分を低減すると、一般に、燃費が低下する。
【0005】
本発明は、このような燃費の低下を解決するもので、その目的は、排気ガス中の窒素酸化物、パーティキュレートなどを低減し、かつ、高い燃費が得られる軽油組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による軽油組成物は、硫黄含有量が500ppm以下、セタン価が50以上、15℃での密度が0.82g/cm3以上、全芳香族分が40質量%以下、かつ、全芳香族分[質量%]が(密度[g/cm3]×450−350)の値より少ない炭化水素油を主成分とするものである。
【0007】
特に、硫黄含有量が50ppm以下、セタン価が52以上、15℃での密度が0.82g/cm3以上0.86g/cm3以下、全芳香族分が25質量%以下 10質量%以上、かつ、全芳香族分[質量%]が(密度[g/cm3]×450−356)の値より少なく、(密度[g/cm3]×450−365)の値より大きい炭化水素油を主成分とすることが好ましい。
【0008】
本発明による軽油組成物の製造方法は、セタン価が54以上である高セタン価基材と、15℃での密度が0.84g/cm3以上である高密度基材とを10:90〜90:10の重量比で配合し、前記高セタン価基材のセタン価は前記高密度基材よりも5以上高く、かつ、前記高密度基材の密度は、前記高セタン価基材よりも0.03g/cm3以上高いものであり、高セタン価基材と高密度基材の50%留出温度の一方が290℃以下であり、他方が300℃以上であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の炭化水素油は、高セタン価基材と高密度基材を混合することで好ましく製造することができる。具体的には、▲1▼軽質な高セタン価基材(以下、高セタン価軽質基材ともいう)と重質な高密度基材(以下、高密度重質基材ともいう)の組み合わせ、および、▲2▼重質な高セタン価基材(以下、高セタン価重質基材ともいう)と軽質な高密度基材(以下、高密度軽質基材ともいう)の組み合わせが好ましい。通常、高セタン価基材と高密度基材とを90:10〜10:90、好ましくは80:20〜20:80の重量比で混合して本発明の炭化水素油を調製する。
【0010】
セタン価が高く、密度の低い重質軽油基材とセタン価が高く、密度の低い軽質軽油基材の組み合わせでは燃費が低く、また、セタン価が低く、密度の高い軽質軽油基材とセタン価が低く、密度の高い重質軽油基材との組み合わせでは十分なセタン価が得られない。
【0011】
好ましい炭化水素油の性状は、硫黄含有量が50ppm以下、特には20〜 50ppm、セタン価が52以上、特には、52〜65、15℃での密度が0.82g/cm3以上、特には0.82〜0.86g/cm3、または、全芳香族分が30質量%以下、特には30〜10質量%である。
【0012】
セタン価が高く、密度の低い重質軽油基材(高セタン価重質基材)としては、比重が0.82g/cm3未満、特には0.76〜0.81g/cm3、セタン価は54以上、特には56以上、また、50%留出温度が270℃以上、特には 280℃〜340℃の性状が好ましく用いられる。このような基材は、原油の常圧蒸留、減圧蒸留から得られる重質軽油留分を水素化精製した基材を用いることができる。水素化精製の条件としては、芳香族分が10%、特には5%以下になるように、また、核水添が生じる条件を選ぶことが好ましい。
【0013】
セタン価が高く、密度の低い重質軽油基材(高セタン価重質基材)と組み合わされる高密度軽質基材の性状は、高セタン価重質基材よりも0.03g/cm3以上比重が高く、セタン価が5以上低く、かつ、50%留出温度が低い。具体的な高密度軽質基材の性状は、比重が0.82g/cm3以上、特には0.83〜0.92g/cm3、セタン価は54以下、また、50%留出温度が300℃未満、特には250℃〜300℃の性状が好ましく用いられる。このような基材は、原油の常圧蒸留、減圧蒸留から得られる、または、石油留分や他の炭素源から得られる分解油を分留して得ることができる。
【0014】
セタン価が低く、密度の高い軽質軽油基材(高密度軽質基材)としては、比重が0.82g/cm3以上、特には0.83〜0.92g/cm3、セタン価は54以下、また、50%留出温度が300℃未満、特には230℃〜290℃の性状が好ましく用いられる。このような基材は、(1)石炭液化油、天然ガス液化油などの原油以外の炭素源を用いた液化油や、(2)石油留分の熱分解、接触分解により得られる分解油の軽油留分を水素化精製した基材を用いることができる。
【0015】
セタン価が低く、密度の高い軽質軽油基材(高密度軽質基材)と組み合わされる高セタン価重質基材の性状は、高密度軽質基材よりも比重が小さく、セタン価が高く、かつ、50%留出温度が高い。具体的な高密度軽質基材の性状は、比重が0.82g/cm3以下、特には0.76〜0.81g/cm3、セタン価は 56以上、特には56〜60、また、50%留出温度が270℃以上、特には 280℃〜340℃の性状が好ましく用いられる。このような基材は、原油の常圧蒸留、減圧蒸留から得られる石油留分を分留し、さらには水素化精製などを経て得ることができる。
【0016】
本発明の軽油組成物には、エーテル化合物などの含酸素化合物に代表される他の基材を20重量%、特には10重量%まで含んでいてもよい。さらに、耐摩耗性向上剤、セタン価向上剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、腐食防止剤等の公知の燃料添加剤を添加してもよい。耐摩耗性向上剤としては、耐摩耗性向上剤としては、長鎖(例えば、炭素数12〜24)の脂肪酸またのその脂肪酸エステルが好ましく用いられる。10〜500、好ましくは50〜100ppmの添加量で十分に耐摩耗性が向上する。また、通常、自動車に搭載される高速回転型ディーゼルエンジン用燃料として、90%留出温度は350℃以下、30℃における動粘度は1.5〜5.0cStとする。
【0017】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を説明する。
【0018】
実施例となる供試油1は、軽質基材77重量%と、重質基材23重量%を配合し、耐摩耗性向上剤(エクソン社製、パラダイン655)を75重量ppm添加したものである。供試油1、軽質基材および重質基材の性状を表1にまとめる。用いた軽質基材は南方系原油の常圧蒸留から得た軽質軽油留分を核水添がほとんど起こらない条件で水素化精製したものである。また、用いた重質基材は中東系原油の常圧蒸留から得たから得た重質軽油留分を核水添が起こる条件で水素化精製したものである。
【0019】
【表1】
【0020】
また、比較のために、表2にその性状を示す供試油2、3、4を用意した。供試油2は軽質な軽油留分を水素化精製したものであり、供試油3は重質な軽油留分を水素化精製したものであり、また、供試油4は市販軽油である。
【0021】
【表2】
【0022】
セタン価は、CFRエンジンを用いてJIS K2280に規定の方法により、硫黄分は、JIS K 2541 電流滴定酸化法により、窒素分はJIS K 2609 化学発光法により、また、芳香族は石油学会規格 JPI−5S−49−97に準拠してそれぞれ測定した。
【0023】
(排ガス、燃費評価)
供試油1〜4について、表3に示すエンジン試験条件で、市販のエンジンを用いてディーゼル自動車13モード排出ガスおよび粒子状物質試験法(TRIAS23−1992)に従って、排気ガス中のパーティキュレート(以下、PMともいう)〔ミニダイリューションシステム(堀場製作所製)により採取〕、HC、 CO、NOx〔自動車排気ガス測定装置MEXA−4000、堀場製作所製〕を測定した。その際の燃費も併せて測定した。その測定結果を表4に示す。測定値は、市販軽油での値を100とした相対値で示している。なお、パーティキュレートは、エンジン回転数1080rpmおよび2160rpmで測定した。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
これらの結果から明らかなように、供試油1は、燃費を悪化させること無く、パーティキュレート(PM)を低減することができる。他方、供試油3は燃費の向上はみられるが、パーティキュレートは増大してしまう。供試油2はパーティキュレートの低減は可能であるが、燃費は低下する。
【0027】
他の実施例となる供試油5は、石炭液化油25重量%と、重質基材75重量%を配合し、耐摩耗性向上剤(エクソン社製、パラダイン655)を75重量ppm添加したものである。供試油5、石炭液化油および重質基材の性状を表5のまとめる。用いた重質基材は重質軽油留分を水素化精製したものである。
【0028】
【表5】
【0029】
【発明の効果】
本発明による高出力軽油組成物は、硫黄含有量が500ppm以下、セタン価が50以上、15℃での密度が0.82以上、全芳香族分が40質量%以下、かつ、全芳香族分[質量%]が(密度[g/cm3]×450−350)の値より少ない炭化水素油を主成分とするものである。
【0030】
本発明によれば、硫黄含有量、芳香族含有量を減らして、排気ガス中のパーティキュレート(PM)を低減し、その際に燃費を低下させることもない。
Claims (1)
- セタン価が54以上である高セタン価基材と、15℃での密度が0.84g/cm3以上である高密度基材とを10:90〜90:10の重量比で配合し、前記高セタン価基材のセタン価は前記高密度基材よりも5以上高く、かつ、前記高密度基材の密度は前記高セタン価基材よりも0.03g/cm3以上高く、前記高セタン価基材と前記高密度基材の50%留出温度の一方が290℃以下であり、他方が300℃以上である軽油組成物の製造方法。
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