JP3973039B2 - 複合めっき物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、めっき被膜にカーボンナノファイバを含む複合めっき物の製造方法に関するものである。
金属の表面を保護することなどを目的に、電気めっき法が盛んに行われている。すなわち、金属製品の表面に、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属の薄膜を電気めっき法で被せることで、金属製品の耐食性、装飾性又は耐久性を向上させる。
近年、複合めっきと称し、金属薄膜中にセラミックスや有機物を分散させる技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特開2001−254195公報(請求項1) 特開平7−70788号公報(請求項4)
特許文献1、2は共に、有機物系酸化物又はセラミックス酸化物を含む複合めっき法に係る発明を開示するものである。
特許文献1、特許文献2のベースとなる複合めっき法を、銅・アルミナ複合めっき法を例に次図で説明する。
図6は従来の複合めっきの基本原理を説明する図であり、アルミナ粒子101を混ぜた硫酸銅(CuSO)の水溶液102に金属製品103を沈め、電気めっきを施すと銅イオンとともに、アルミナ粒子101が金属製品103の表面に集まる。この結果、金属製品102の表面にアルミナ粒子101を含む銅めっき膜104が成膜できる。アルミナは硬く、耐熱性に富み、銅めっき膜104の機械的強度向上や耐熱性、耐久性の向上に寄与する。
上記アルミナ粒子101を他の酸化物や補強物質に置き換えることで複合めっきが実施できる。
ところで、補強物質として、カーボンナノファイバが注目を浴びている。カーボンナノファイバの形状を図面に基づいて説明する。
図7はカーボンナノファイバのモデル図であり、カーボンナノファイバ110は、六角網目状に配列した炭素原子のシートを筒状に巻いた形態のものであり、直径Dが1.0nm(ナノメートル)〜50nmであり、ナノレベルであるため、カーボンナノファイバ、カーボンナノ材料又はカーボンナノチューブと呼ばれる。なお、長さLは数μm〜100μmである。
炭素原子が立方格子状に並んだものがダイヤモンドであって、ダイヤモンドは極めて硬い物質である。カーボンナノファイバ110は、ダイヤモンドと同様に規則的な結晶構造を有するために機械的強度は大きい。
本発明者らは、カーボンナノファイバをアルミナ粒子に代わる補強物資として複合めっきを試みた。
図8は複合めっき用めっき液(以下、複合めっき液と記す)の問題点を説明する図である。
(a)にて、容器111にめっき液112を満たし、このめっき液112にカーボンナノファイバ113を入れる。
(b)にて、攪拌機114で充分に撹拌する。この撹拌は振動式攪拌機で行ってもよい。
(c)は、一定時間放置した後の状態を示し、カーボンナノファイバ113が容器111の底に沈殿していることが分かる。
これでは、カーボンナノファイバ113が金属製品の表面に到達しない、又は到達したとしても複合率に著しいばらつきが発生するため、複合めっきが実施できない。
以上の理由で、複合めっき物の製造方法が実用化されていないと言える。しかし、カーボンナノファイバを用いた複合めっきが実用化されれば、産業に与える利益は少なくない。
本発明は、複合めっき物の製造方法を確立することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するためにめっき金属とカーボンナノファイバとの比率を種々変更して複合状態、生産性などの変化を調べた。この結果を表1に示す。
Figure 0003973039
表において、めっき金属が100体積%で、カーボンナノファイバが0体積%では、複合は起こらないから複合状態での評価は×とし、生産は実質的に行えないので生産性の評価は×とした。
めっき金属が98体積%で、カーボンナノファイバが2体積%では、複合は部分的に認められたので複合状態での評価は○とし、複合化に困難さは無かったので生産性の評価は○とした。
めっき金属が95体積%で、カーボンナノファイバが5体積%では、複合はほぼ均一に認められたので複合状態での評価は○とし、生産性は良好であるから生産性の評価は◎とした。
めっき金属が90体積%で、カーボンナノファイバが10体積%では、複合は均一に認められたので複合状態での評価は◎とし、生産性は良好であるから生産性の評価は◎とした。
めっき金属が80体積%で、カーボンナノファイバが20体積%では、複合は均一に認められたので複合状態での評価は◎とし、生産性は良好であるから生産性の評価は◎とした。
めっき金属が70体積%で、カーボンナノファイバが30体積%では、複合は均一に認められたので複合状態での評価は◎とした。しかし、生産性はやや落ちるので生産性の評価は○とした。
めっき金属が60、50体積%で、カーボンナノファイバが40、50体積%では、複合は一部偏りが認められたので複合状態での評価は○とし、生産には高度な技術が要求されるため生産性の評価は△とした。
めっき金属が40体積%で、カーボンナノファイバが60体積%では、複合は膜が脆弱であったので複合状態での評価は×とし、生産は実質的に困難であったので生産性の評価は×とした。
総合評価は、2つの評価とも×で無いものを「可」、そのうちで、少なくとも一方が◎であるものを「良」、2つの評価とも◎のものを「優」とした。
請求項に係る発明は、金属系めっき液に、界面活性剤とともにカーボンナノファイバを混合することで、複合めっき用めっき液を調整し、この複合めっき用めっき液を用いてめっき処理を施す複合めっき物の製造方法において、
前記界面活性剤は、アセチレンジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤を用いたことを特徴とする。
請求項に係る発明は、金属系めっき液に、界面活性剤とともにカーボンナノファイバを混合することで、複合めっき用めっき液を調整し、この複合めっき用めっき液を用いてめっき処理を施す複合めっき物の製造方法において、
前記金属系めっき液は、亜鉛めっき液であり、
前記界面活性剤は、アセチレンジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤を用いたことを特徴とする
ところで、カーボンナノファイバの撥水性を抑制する上で界面活性剤は有効であるが、この界面活性剤は多すぎると撹拌性を低下させる。撹拌性が低下すると複合化に必須の混合性能が低下する。
したがって、界面活性剤は、少な過ぎても多過ぎても良くなく、最適範囲を見出す必要がある。
そこで、本発明者らはカーボンナノファイバに対する界面活性剤の添加量を検討した。
この検討の一部を表2に示す。
Figure 0003973039
めっき金属に対するカーボンナノファイバ添加量を、2kg/mに固定し、界面活性剤の添加量を100〜1100cm/mの範囲で変化させて、撹拌時の発泡、複合性(めっき層におけるカーボンナノファイバの含有率)を調べた。◎は優、○は良、×は不可とした。
カーボンナノファイバ添加量が2kg/m の場合、界面活性剤は100〜700cm/mの範囲であれば「良」、100〜300cm/mの範囲であれば「優」であった。
同様に、カーボンナノファイバ添加量を4kg/m、6kg/m・・・のごとく増量して、前記表2と同様の表を作成した。作成した表は記載を省略するが、表2及び作成した表群から、次のグラフを作成することができた。
図1は本発明に係るカーボンナノファイバ添加量と界面活性剤添加量の関係を示すグラフであり、横軸をカーボンナノファイバ添加量、縦軸を界面活性剤添加量とした。
すなわち、前記表2では、カーボンナノファイバ添加量が2kg/mの場合、界面活性剤は100〜700cm/mの範囲であれば「良」、100〜300cm/mの範囲であれば「優」であった。
このことから、座標(2,100)、(2,700)、(2,300)をグラフに定めることができる。同様に、作成した表群から座標を求めて、座標同士を結んで得たのが図1である。
請求項3に係る発明では、複合めっき用めっき液、カーボンナノファイバ2〜20kg/m 及び界面活性剤を含むことを特徴とする。
請求項に係る発明では、界面活性剤を採用したので、カーボンナノファイバの濡れ性を高めることができた。すなわち、濡れ性が高いため、めっき液からカーボンナノファイバが分離することはなく、めっき液にカーボンナノファイバを良好に分散させることができた。特に、界面活性剤にアセチレンジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤を用いた。アセチレンジオールの界面活性剤を採用することで、カーボンナノファイバを良好に分散させることができた。
請求項2に係る発明も、界面活性剤を採用したので、カーボンナノファイバの濡れ性を高めることができた。すなわち、濡れ性が高いため、めっき液からカーボンナノファイバが分離することはなく、めっき液にカーボンナノファイバを良好に分散させることができた。特に、界面活性剤にアセチレンジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤を用いた。アセチレンジオールの界面活性剤を採用することで、カーボンナノファイバを良好に分散させることができた。
更に、請求項に係る発明では、めっき液に亜鉛を採用した。本発明の複合めっき法は亜鉛めっきに用いることで、より良好な成果が得られた。
請求項に係る発明では、複合めっき液を、カーボンナノファイバ2〜20kg/m、界面活性剤100〜1500cm/mから構成した。
カーボンナノファイバが2kg/m未満であると、浴内での濃度不足であり、めっき物中への複合が不十分であり、20kg/mを超えると浴中に必要な界面活性剤の絶対量が増えるため、好ましくない。
従って、複合めっき液、カーボンナノファイバ2〜20kg/m 及び界面活性剤を含むことにより、カーボンナノファイバの含有率の高い複合めっきを行うことができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図2は本発明に係る電気めっきを施す電気めっき設備の原理図であり、電気めっき設備10は、めっき槽11に正極として亜鉛板12を下げるとともに負極として鉄板13を下げ、両板12、13に電源14を連結し、めっき層11に次に述べるめっき液15を満たした設備である。めっき液15を撹拌し循環させる撹拌手段、循環手段は必須であるが周知の手段が採用できるので説明は省略する。
めっき液15は、比較例では(水+塩化亜鉛+塩化アンモニウム)、実施例では(水+塩化亜鉛+塩化アンモニウム+界面活性剤+カーボンナノファイバ)とした。混合比は後述する。
比較例では、めっき液15中の亜鉛イオンが陰極である鉄板13に到達し、膜を形成する。消費された亜鉛イオンは、亜鉛板12から補充される。従って、比較例では亜鉛被膜を鉄板13に形成することができる。
一方、実施例では、亜鉛イオンとともにカーボンナノファイバが、鉄板13に到達する。従って、実施例では亜鉛とカーボンナノファイバとが混合した形態の被膜を鉄板13に形成することができる。
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
○電気めっきにおける共通条件:
陰極:鉄板(脱脂処理した清浄な板)
陽極:亜鉛板
めっき液温:25℃
電流密度:1〜10A/dm
めっき厚さ:5〜50μm
○比較例でのめっき液の組成:
水:1.0m
塩化亜鉛:70kg/m
塩化アンモニウム:180kg/m
○実施例1でのめっき液の組成:
水:1.0m
塩化亜鉛:70kg/m
塩化アンモニウム:180kg/m
界面活性剤:2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤(製品名 オルフィン PD−002W 日信化学工業(株)製 ):2000cm/m
カーボンナノファイバ:2kg/m
○実施例2でのめっき液の組成:
水:1.0m
塩化亜鉛:70kg/m
塩化アンモニウム:180kg/m
界面活性剤:アセチレンジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤(製品名 オルフィン PD−301 日信化学工業(株)製):2000cm/m
カーボンナノファイバ:2kg/m
実施例では、めっき液に超音波振動を付与しながら、カーボンナノファイバを混入した。これで、カーボンナノファイバの分散を促すことができた。
なお、界面活性剤については前記のような理由のため、できる限り添加量を少なくすることが望ましい。つまり、界面活性剤の添加量については、カーボンナノファイバの添加量を増やしたときに分散が悪いようであれば添加量を増やす程度が良い。
つまり、20kg/mのカーボンナノファイバを添加する場合でも界面活性剤をはじめから2000cm/mを入れるのではなく、まずは少量で分散状態を確認し、目視でカーボンナノファイバの凝集がみられないようであったら、それ以上界面活性剤は添加しないほうが良い。
さらに、カーボンナノファイバを2kg/m以上添加する場合には、一度に全ての量を浴内に入れると、浴内での分散が著しく悪くなり、通常よりもたくさんの界面活性剤を添加しなければ十分に分散しなくなってしまう。したがって、例えば、20kg/mのカーボンナノファイバを添加する場合では、まず界面活性剤を100cm/m添加し、続いてカーボンナノファイバを2kg/m添加し、攪拌や超音波振動により浴内に十分分散させる。
その後、カーボンナノファイバを2kg/mずつ添加して、分散を繰り返す。このように、カーボンナノファイバを少量ずつ添加することによって、一度に添加するよりも少ない界面活性剤によって分散させることができる。なお、カーボンナノファイバを2kg/mずつ添加して、分散を繰り返しているうちに明らかに分散状態が悪くなるようであれば、今度は界面活性剤を少量添加し、再度分散を行うようにすれば、カーボンナノファイバの添加量が多い場合でも、少量の界面活性剤の添加により十分に分散させることができる。
表3は、比較例用めっき液と実施例1用めっき液と実施例2用めっき液を用いて実施した試験1〜7をまとめた表である。
Figure 0003973039
比較例用めっき液を用い、電流密度5A/dmで行った試験1では、めっき膜の色は光沢のある銀色であった。この光沢のある銀色は亜鉛めっきによるめっき膜の標準的な色である。
実施例1用めっき液を用い、電流密度10A/dmで行った試験2では、めっき膜の色はやや黒みがかかった銀色であった。これは、カーボンナノファイバ(黒色)が均一に現れていないことを意味する。また、陰極からの水素の発生により表面が荒れていた。従って、評価は×である。
実施例1用めっき液を用い、電流密度5A/dmで行った試験3では、めっき膜の色は黒色であった。これは、カーボンナノファイバ(黒色)の現れた、若しくは含まれていることを意味する。従って、評価は○である。
実施例1用めっき液を用い、電流密度2A/dmで行った試験4でも、めっき膜の色は黒色であった。これは、カーボンナノファイバ(黒色)の現れた、若しくは含まれていることを意味する。従って、評価は○である。
実施例2用めっき液を用い、電流密度10A/dmで行った試験5では、めっき膜の色は銀色であった。これは、カーボンナノファイバ(黒色)が表面に現れていない、もしくは含まれていないことを意味する。また、陰極からの水素の発生により表面が荒れていた。従って、評価は×である。
実施例2用めっき液を用い、電流密度5A/dmで行った試験6では、めっき膜の色は黒色であった。これは、カーボンナノファイバ(黒色)の現れた、若しくは含まれていることを意味する。従って、評価は○である。
実施例2用めっき液を用い、電流密度1A/dmで行った試験7では、めっき膜の色は黒色であった。これは、カーボンナノファイバ(黒色)の現れた、若しくは含まれていることを意味する。しかし、ファイバの巻き込みが不均一であった。従って、評価△である。
前記試験3での試料を顕微鏡で詳細に観察したところ、次のことが判明した。
図3はめっき膜の拡大図(模式図)であり、めっき膜は粒子21、又は糸状物の集合体であることが分かった。
図4は粒子の拡大図(模式図)であり、めっき膜を構成する粒子21は、めっき膜表面に亜鉛原子がカーボンナノファイバ23を巻き込みながら積層して50μm程度の塊となった亜鉛塊22と表面に巻き込まれたカーボンナノファイバが確認された。また、表面を電子顕微鏡で観察したところ、粒子からはみ出たカーボンナノファイバの表面は、亜鉛原子がコーティングされていることが確認された。
図5は粒子の断面図(以下に示す実際の破断面における電子顕微鏡観察でも亜鉛の析出と共にファイバが巻き込まれて複合化されており、破断面ではほぼ一様にファイバが存在している状態であり、鉄板13に10μm未満の厚さのカーボンナノファイバを含んだめっき膜24が形成され、その後、カーボンナノファイバを含んだ亜鉛塊22を主体とした凹凸形状が形成され、このカーボンナノファイバを含んだ亜鉛塊22の凸部に亜鉛が集中して析出するようになり、その際に、カーボンナノファイバも凸部に集中して巻き込まれて複合化された状態となる。
なお、複合めっき物の極表面では析出金属内に完全に取りこまれていないカーボンナノファイバが存在しており、このような状態のものについては水洗程度でも簡単に剥離することができる。従って、水洗後の表面には析出金属にある程度取り込まれた状態のカーボンナノファイバが残ることになる。
基本的なめっき膜成長の原理として、金属イオンの析出は、形成されためっき膜の表面全体で均一に起こるのではなく、相対的に凸となった部分に集中する。そのような凸部に金属の析出が集中すると、凹となった部分ではほとんど析出が起こらずめっき膜の成長が乏しくなる。従って、金属の析出初期に凹凸が形成されると、めっき処理時間の延長と共に益々助長し、凹凸が激しい表面となる。
上記のような理由のため、金属析出の激しい凸部に集中してカーボンナノファイバが巻き込まれていると考えられる。実際、電子顕微鏡写真でも凸となった部分にカーボンナノファイバがより集中した結果を示している。
上記において、めっき膜に凹凸形状が形成されると述べたが、凹凸を少なくしたい場合には、出来るだけ低い電流密度(例えば1A/dm )でめっき時間を短い時間(例えば1分間)とすることで、凹凸を抑えた複合めっき物を得ることができる。また、レベリング剤や光沢剤等の添加によるめっき膜の平滑化は周知の技術である。ただし、本実施例では低い電流密度で平滑となったが、めっき金属の種類やめっき液の組成によっては高い電流密度の方が平滑となる場合もある。
そのため、平滑なめっき膜を得たい場合には、めっき液の組成や条件を最適に制御する必要がある。具体的には、界面活性剤の添加量やカーボンナノファイバの添加量が多い条件では、基本的に生成された複合めっき物は膜形態にはなりにくく、粉状に析出する傾向が強い。したがって、膜状の複合めっき物を得たい場合には、これらの添加量をある程度抑えておく必要がある。
上記めっき膜のめっき金属と、カーボンナノファイバの割合は、種々の条件により制御でき、同条件においてカーボンナノファイバの添加量を増加させていくことにより複合めっき物におけるカーボンナノの割合を増やすことができる。
具体的には、1〜10kg/mのカーボンナノファイバ添加量においては、めっき膜におけるカーボンナノ材料の体積比率は、2〜20%となり、10〜20kg/mにおいては、20〜50%の比率まで増やすことができる。尚、20kg/mを超える添加も可能であるが、添加量に比してめっき時間もかかるため、20kg/mを超えて添加しても含有比率は上がらなかった。
尚、本発明のめっき液は、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属めっきに適用できる。また、被めっき材は、金属であれば種類は何れであってもよい。
また、得られた亜鉛とカーボンナノファイバとの複合物は、金属用補強材、コンクリート用補強材、樹脂用補強材の何れに供してもよい。
本発明は、カーボンナノファイバを含む亜鉛系めっき法に好適である。
本発明に係るカーボンナノファイバ添加量と界面活性剤添加量の関係を示すグラフである。 本発明に係る電気めっきを施す電気めっき設備の原理図である。 めっき膜の拡大図(模式図)である。 粒子の拡大図(模式図)である。 粒子の断面図(模式図)である。 従来の複合めっきの基本原理を説明する図である。 カーボンナノファイバのモデル図である。 複合めっき液の問題点を説明する図である。
符号の説明
15…めっき液、23…カーボンナノファイバ。

Claims (3)

  1. 金属系めっき液に、界面活性剤とともにカーボンナノファイバを混合することで、複合めっき用めっき液を調整し、この複合めっき用めっき液を用いてめっき処理を施す複合めっき物の製造方法において、
    前記界面活性剤は、アセチレンジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤を用いたことを特徴とする複合めっき物の製造方法。
  2. 金属系めっき液に、界面活性剤とともにカーボンナノファイバを混合することで、複合めっき用めっき液を調整し、この複合めっき用めっき液を用いてめっき処理を施す複合めっき物の製造方法において、
    前記金属系めっき液は、亜鉛めっき液であり、
    前記界面活性剤は、アセチレンジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤を用いたことを特徴とする複合めっき物の製造方法。
  3. 前記複合めっき用めっき液、カーボンナノファイバ2〜20kg/m 及び界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の複合めっき物の製造方法。
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