JP3972754B2 - 制動制御装置 - Google Patents
制動制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3972754B2 JP3972754B2 JP2002200817A JP2002200817A JP3972754B2 JP 3972754 B2 JP3972754 B2 JP 3972754B2 JP 2002200817 A JP2002200817 A JP 2002200817A JP 2002200817 A JP2002200817 A JP 2002200817A JP 3972754 B2 JP3972754 B2 JP 3972754B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure
- fluid pressure
- brake fluid
- wheel cylinder
- cylinder pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Regulating Braking Force (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、制動流体圧をポンプで増圧すると共に制御バルブで減圧して、当該制動流体圧を増減圧制御する制動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような制動制御装置としては、例えば、特開2001−63553号公報に記載されているように、ポンプを駆動して制動流体圧を増圧し、その増圧された制動流体圧を制御バルブで減圧して、各輪のホイールシリンダに供給するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の制動制御装置にあっては、ポンプを駆動して制動流体圧を増圧し、その増圧された制動流体圧を制御バルブで減圧するようになっているため、増圧特性と減圧特性とが異なっている。そのため、例えば、運転者の制動操作に応じた制動流体圧指令値と実際の制動流体圧との差に基づいて電流指令値を設定し、その電流指令値に応じてポンプと制御バルブとを制御しても、それらの出力特性、つまり、制動流体圧の増圧特性と減圧特性とが異なるため、制動流体圧を適切に制御することは難しい。
【0004】
そこで本発明は、上記従来の制動制御装置の問題点を解決することを課題とするものであって、電流指令値に対するポンプや制御バルブの駆動電流を補償することにより、一つの電流指令値でも制動流体圧を適切に制御できるようにした制動制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の制動制御装置は、運転者の制動操作に基づいて設定された制動流体圧指令値及び制動流体圧に基づいて、当該制動流体圧を増圧する制動流体圧ポンプ及び制動流体圧を減圧する制動流体圧制御バルブを制御するホイールシリンダ圧フィードバック補償器と、実際に前記制動流体圧ポンプを駆動する電流値で到達するシリンダ内圧力を上流圧とし、前記制動流体圧検出手段で検出される制動流体圧を下流圧として得られる流量に基づいて、前記制動流体圧ポンプを駆動するポンプ駆動電流を補償して、前記制動流体圧ポンプの非線形特性を補償する制御バルブ用非線形補償器と、を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の効果】
したがって本発明にあっては、実際に前記制動流体圧ポンプを駆動する電流値で到達するシリンダ内圧力を上流圧とし、当該制動流体圧を下流圧として得られる流量に基づいてポンプ駆動電流を補償する構成としたため、当該制動流体圧ポンプによる増圧特性を制動流体圧制御弁による減圧特性と同じ特性にすることができ、一つの電流指令値でも制動流体圧を適切に制御することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の制動制御装置の一実施形態を示す概略構成図である。図中、符号6は、ブレーキペダル12の踏み込みとは個別に各車輪の制動力を制御するブレーキアクチュエータであり、コントロールユニット3からの指令値(指令信号)に応じて作動状態が制御される。図中のマスタシリンダ11は既存のものであり、ポンプユニット31によってアキュムレータ32に蓄圧されている高圧を用いて、ブレーキペダル12の踏力をブースタ13で倍力し、リザーバ14内の制動流体圧を昇圧し、それをマスタシリンダ圧として、前左輪用ホイールシリンダ9FL及び前右輪用ホイールシリンダ9FRの系統と、後左輪用ホイールシリンダ9FL及び後右輪用ホイールシリンダ9RRの系統との二系統に出力する。つまり、図1の図示左方の系統が前輪制動流体圧系統であり、図示右方の系統が後輪制動流体圧系統である。なお、制御されるべき制動流体圧は、各ホイールシリンダ9FL〜9RRの圧力であるので、以下、ホイールシリンダ圧と記す。また、図中の符号15はブレーキスイッチ、符号10はストロークセンサである。
【0008】
前記ブレーキアクチュエータ6は、このマスタシリンダ11と、各車輪のホイールシリンダ9FL〜9RRとの間に介挿されている。このブレーキアクチュエータ6は、前記マスタシリンダ11と各系統のホイールシリンダ9FL〜9RRとを断続する常開型のカットオフバルブ16a、16bと、前記カットオフバルブ16a、16bによって切断されたマスタシリンダ11の二つの系統をそれぞれ、個別のストロークシミュレータ2a、2bに接続する常閉型のストロークシミュレータバルブ8a、8bと、各車輪のロックを抑制防止するアンチスキッド制御ユニット7と、各系統毎に制動流体圧を加圧したり、前記アンチスキッド制御ユニット7によって各ホイールシリンダ9FL〜9RRのホイールシリンダ圧を減圧したりするためのポンプ18a、18bと、各ホイールシリンダ9FL〜9RRから流出する制動流体量を調節して各系統のホイールシリンダ圧の減圧量を制御する常閉型の減圧バルブ19a、19bと、ホイールシリンダ9FL〜9RRへの制動流体圧の流入量を調節したり、前記ポンプ18a、18bの補助として前記マスタシリンダ11で昇圧されたホイールシリンダ圧を供給したりするための常閉型の補助バルブ17a、17bとを備え、前記アンチスキッド制御ユニット7は、各ホイールシリンダ9FL〜9RRのホイールシリンダ圧を個別に増加するための常開型の増圧バルブ20FL〜20RRと、各ホイールシリンダ9FL〜9RRのホイールシリンダ圧を個別に減少するための常閉型の減圧バルブ21FL〜21RRとを備えている。また、前記二系統にそれぞれ備えられたポンプ18a、18bは、一つのポンプモータ22で同時に駆動される。
【0009】
このブレーキアクチュエータ6により、各系統のホイールシリンダ圧を、マスタシリンダ圧とは個別に制御するためには、まず前記カットオフバルブ16a、16bを閉じ、ストロークシミュレータバルブ8a、8bを開いた状態として、各系統のホイールシリンダ圧を増圧する場合にはポンプ18a、18bを駆動し、各系統のホイールシリンダ圧を減圧する場合には減圧バルブ19a、19bを開く。つまり、このブレーキアクチュエータによれば、アンチスキッド制御ユニット7による各ホイールシリンダ9FL〜9RRのホイールシリンダ圧の個別の制御とは別に、各系統のホイールシリンダ圧を、それぞれ個別に増減圧制御することができる。なお、各バルブは電流比例弁であり、バルブへの電流値は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)による電圧デューティ信号等によって調整可能である。したがって、各系統のホイールシリンダ圧の減圧制御も、減圧バルブ19a、19bへの信号のPWM制御によって行う。また、同様に、各系統のホイールシリンダ圧の増圧制御は、前記ポンプモータ22への信号のPWM制御によって行う。
【0010】
また、このブレーキアクチュエータ6には、運転者の制動操作量としてマスタシリンダ圧PMCを検出するマスタシリンダ圧センサ5a、5b及び前後輪の各系統の制動流体圧をホイールシリンダ圧PWCf、PWCrとして検出するホイールシリンダ圧センサ4a、4bが備えられている。
前記コントロールユニット3は、前述の各センサやスイッチ類からの検出信号を入力して、前記ブレーキアクチュエータ6への制御信号を出力するマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータから出力される制御信号を前記ブレーキアクチュエータ6内の電磁切替弁などからなる各制御弁ソレノイドへの駆動信号やモータへの駆動信号に変換する駆動回路とを備えている。そして、前記マイクロコンピュータは、A/D変換機能等を有する入力インタフェース回路や、D/A変換機能等を有する出力インタフェース回路や、マイクロプロセッサユニットMPU等からなる演算処理や、ROM、RAM等からなる記憶装置を備えている。なお、前記マイクロコンピュータでは、いくつかのタスクを平行して行うことができる。
【0011】
次に、前記ブレーキアクチュエータ6内の前輪ホイールシリンダ圧系統のホイールシリンダ圧と後輪ホイールシリンダ圧系統のホイールシリンダ圧とを個別に制御するために、前記コントロールユニット3内のマイクロコンピュータで実行される演算処理について、図2のフローチャートに基づいて説明する。なお、この演算処理では特に通信のためのステップを設けていないが、前記マイクロコンピュータ内の記憶装置のROMに記憶されているプログラムやマップ或いはRAMに記憶されている各種のデータ等は常時演算処理装置のバッファ等に伝送され、また演算処理装置で算出された各算出結果も随時記憶装置に記憶される。
【0012】
この演算処理は、例えば10msec.といった所定サンプリング周期ΔT毎にタイマ割込として実行され、まずステップS1で、前記マスタシリンダ圧センサ5a、5bで検出されたマスタシリンダ圧PMCを読み込む。
次にステップS2に移行して、前記ホイールシリンダ圧センサ4a、4bで検出された前後輪ホイールシリンダ圧PWCf、PWCrを読み込む。
【0013】
次にステップS3に移行して、前記各スイッチ(図ではSW)信号の状態を読み込む。
次にステップS4に移行して、前記ブレーキスイッチ15の信号状態からブレーキペダルが踏み込まれているか否かを判定し、ブレーキペダルが踏み込まれている場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0014】
前記ステップS5では、前記ストロークシミュレータバルブ8a、8bを開状態としてマスタシリンダ11をストロークシミュレータ2a、2bに連結する。次にステップS6に移行して、前記カットオフバルブ16a、16bを閉状態としてマスタシリンダ11を切断する。
次にステップS6’に移行して、前記マスタシリンダ圧PMCに応じた目標ホイールシリンダ圧PWC*を設定する。具体的には、当該マスタシリンダ圧PMCと同等の目標ホイールシリンダ圧PWC*を設定する。
【0015】
次にステップS6”に移行して、後述する図3のホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000によって前輪ホイールシリンダ圧系統及び後輪ホイールシリンダ圧系統の電流指令値i*f、i*rを算出する。
次にステップS7に移行して、前輪の電流指令値i*fで増圧するか否かを判定し、前輪の電流指令値i*fで増圧する場合にはステップS10に移行し、そうでない場合にはステップS8に移行する。具体的には、例えば前記ステップS6’で算出されるマスタシリンダ圧PMCに応じた目標ホイールシリンダ圧PWC*に対し、後述するホイールシリンダ圧フィードバック補償器で設定される前輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値if*が正値であり且つ後輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値ir*より大きいときに前輪の電流指令値で増圧するものと判定する。なお、各電流指令値if*、ir*は正値で増圧、負値で減圧を表し、それは前記ポンプモータへのデューティ比、或いは減圧バルブ19a、19bへのデューティ比で表されている。
【0016】
前記ステップS10では、後述する図3の非線形補償器2000によって前輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値if*に非線形補償を行ってからステップS11に移行する。
前記ステップS11では、後輪も増圧するか否かを判定し、後輪も増圧する場合にはステップS17に移行し、そうでない場合にはステップS12に移行する。具体的には、前記後輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値ir*が正値であるときに後輪も増圧するものと判定する。
【0017】
前記ステップS12では、後述する図3の非線形補償器2000によって後輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値ir*に非線形補償を行ってからステップS17に移行する。
一方、前記ステップS8では、後輪の電流指令値ir*で増圧するか否かを判定し、後輪の電流指令値ir*で増圧する場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS9に移行する。具体的には、例えば前記ステップS6’で算出されるマスタシリンダ圧PMCに応じた目標ホイールシリンダ圧PWC*に対し、後述するホイールシリンダ圧フィードバック補償器で設定される後輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値ir*が正値であり且つ前輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値if*より大きいときに後輪の電流指令値で増圧するものと判定する。
【0018】
前記ステップS13では、後述する図3の非線形補償器2000によって後輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値ir*に非線形補償を行う。
次にステップS14に移行して、前輪も増圧するか否かを判定し、前輪も増圧する場合には前記ステップS17に移行し、そうでない場合にはステップS15に移行する。具体的には、前記前輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値if*が正値であるときに前輪も増圧するものと判定する。
【0019】
前記ステップS15では、後述する図3の非線形補償器2000によって前輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値if*に非線形補償を行ってから前記ステップS17に移行する。
また、前記ステップS9では、前後輪同時に減圧するか否かを判定し、前後輪同時に減圧する場合にはステップS16に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。具体的には、前記前輪ホイールシリンダ系統への電流指令値if*及び後輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値ir*が共に負値であるときに前後輪同時に減圧するものと判定する。
【0020】
前記ステップS16では、後述する図3の非線形補償器2000によって前輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値if*に非線形補償を行うと共に、後輪ホイールシリンダ圧系統への電流指令値ir*に非線形補償を行ってから前記ステップS17に移行する。
前記ステップS17では、後述する図3の非線形補償器2000で非線形補償された駆動電流if’、ir’で前記ポンプモータ22や減圧バルブ19a、19bを駆動してからメインプログラムに復帰する。
【0021】
この演算処理によれば、前輪ホイールシリンダ圧系統及び後輪ホイールシリンダ圧系統を同時に増圧する場合には何れか大きい方の系統への電流指令値で前記ポンプモータを駆動し、何れか一方の系統を増圧する場合には該当する系統への電流指令値で前記ポンプモータを駆動し、何れか一方の系統を減圧する場合には該当する系統への電流指令値で前記該当する系統の減圧バルブを駆動し、両系統を同時に減圧する場合には該当する系統への電流指令値で該当する系統の減圧バルブを同時に駆動する。
【0022】
次に、前記図2の演算処理内のステップS6”で用いられる図3のホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000について、図3のブロック図に基づいて説明する。なお、このホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000は、前記前輪ホイールシリンダ圧系統及び後輪ホイールシリンダ圧系統に対し、それぞれ同等の演算処理を施すものである。このホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000は、いわゆるロバストモデルマッチング制御手法によって構築されたものであり、ポンプモータ22及び減圧バルブ19a、19bへの電流指令値if*、ir*を入力とし、且つ、ホイールシリンダ圧PWCf、PWCrを出力とする制御対象G(s)は、積分要素G1(s)=1/sと無駄時間要素G2(s)=e-La・sとの積で近似される。
【0023】
このホイールシリンダ圧フィードバック補償器のモデルマッチング補償器部100は、フィードフォワード型モデルマッチング補償器部101と、フィードバック型モデルマッチング補償器部102とで構成される。フィードフォワード型モデルマッチング補償器部101では、前記マスタシリンダ圧PMCに応じた目標ホイールシリンダ圧(以下、指令値とも記す)PWC*を、予め設定された過渡特性の規範モデル化すると共にフィードバック型モデルマッチング補償器部102での遅れ分だけ位相を進めた規範ホイールシリンダ圧PWC0を出力する。この規範ホイールシリンダ圧PWC0から加減算器103でホイールシリンダ圧PWCf、PWCrを減じてホイールシリンダ圧差ΔPWCf、ΔPWCrを算出する。前記フィードバック型モデルマッチング補償器部102では、このホイールシリンダ圧差ΔPWCf、ΔPWC rを所定の時定数TAで除して出力x1f、x1rを出力する。この出力x1f、x1rから加減算器104で、ロバスト補償器部105の出力x6f、x6rを減じて出力x2f、x2rを出力する。この出力x2f、2rは前記ポンプモータ22と減圧バルブ19a、19bの定常特性ゲインであり、このゲインKaをリミッタ106で制限して出力x3f、x3rを出力する。この出力x3f、x3rに基づいて、未制限電流指令値設定部107では、マップ検索により電流指令値if*、ir*を設定出力する。
【0024】
一方、前記ロバスト補償器部105では、前記リミッタ106の出力x3f、x3rを一次ローパスフィルタ110(伝達関数H(s)=1/(Tcs+1))に通し、さらに無駄時間加算部111で、前記制御対象G(s)の無駄時間要素G2(s)=e-La・sを加え、出力x4f、x4rを出力する。また、位相補償部位113では、前記ホイールシリンダ圧PWCf、PWCrに対し、位相合わせを行って出力x5f、x5rを出力する。この出力x5f、x5rから前記出力x4f、x4rを加減算器114で減じて前記出力x6f、x6rを出力する。なお、前記位相補償部位113の伝達関数は、前記一次ローパスフィルタ110の伝達関数H(s)を前記制御対象G(s)の積分要素G1(s)=1/sで除したものとなる。したがって、この位相補償部位113は、前記ホイールシリンダ圧PWCf、PWCrに対し、微分要素を持つことになる。
【0025】
次に、前記非線形補償器2000を図面に基づいて説明する。この非線形補償器2000は、図3に示すように、ポンプモータ22への電流指令値if*、ir*(以下、ポンプ駆動電流iM*f、iM*rと記す。)を非線形補償するモータ用非線形補償器2000’と、減圧バルブ19a、19bへの電流指令値if*、ir*(以下、バルブ駆動電流iV*f、iV*rと記す。)を非線形補償する減圧バルブ用非線形補償器2000”とを備え、前記電流指令値if*、ir*が入力されたときの増圧特性と減圧特性とが同じ特性G(s)にされている。このモータ用非線形補償器2000’では、図4に示すように、前記ホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000から出力されたポンプ駆動電流iM*f、iM*rに基づいて、流量指令値出力部201でマップ検索により流量指令値QM*を出力する。この流量指令値出力部QM*を比例定数算出部202で、実際流量出力部204から出力される実際流量値QM/kで除して前記ポンプ18a、18bの軸トルク比例定数kMを出力する。この軸トルク比例定数kMは、図5に示すように、ポンプモータ22に入力される電流とシリンダ内圧力の到達圧力PMとの比例定数であり、この軸トルク比例定数kMに基づいて、電流指令値出力部203でマップ検索により前記ポンプモータ22に入力する駆動電流iM’f、iM’rを出力する。
【0026】
なお、本来ポンプモータ22に入力される電流は到達圧力PMに直接影響を与えるが、このシリンダ内圧力PMを電流の関数とするとパラメータの推定が困難となるため、本実施形態では、ポンプモータ22に入力される電流による流量の変化を比例定数kMとして設計した。この軸トルク比例定数kMは、ポンプ18a、18bの増圧特性から推定されてマップ化されている。
【0027】
一方、前記実際流量出力部204では、オリフィスによる流量方程式を前記軸トルク比例定数kMで除した下記(1)式に従って、前記比例定数算出部で用いられる実際流量値QM/kを算出する。
QM/k=CM・AM(2(PM―PWC)/ρ)1/2 ………(1)
ここで、前記駆動電流iM’f、iM’rに基づいて到達圧力出力部205で到達圧力PMを出力する。この到達圧力PMから加減算器206で、ホイールシリンダ圧PWCf、PWCrを減じて差圧(PM―PWC)を出力する。また、この差圧(PM―PWC)に基づいて、増圧側流量係数出力部207で増圧側流量係数CMを出力する。この増圧側流量係数CMは、任意の電流の増圧特性を用いて、到達圧力PMとホイールシリンダ圧PWCとの差圧(PM―PWC)に応じてマップ化されている。
【0028】
このように本実施形態にあっては、モータ用非線形補償器2000’でポンプ18a、18bを駆動するポンプ駆動電流iM*f、iM*rを補償して、当該ポンプ18a、18bの非線形特性を補償する構成としたため、前記ホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000に当該非線形特性も補償させる方法に比べ、当該非線形特性が速やかに補償されると共に、前記ホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000の計算負荷が軽減される。
【0029】
また、前記ポンプ駆動電流iM*f、iM*rの補償を、実際にポンプ18a、18bを駆動する駆動電流iM’f、iM’rで到達する到達圧力PMを上流圧とし、ホイールシリンダ圧PWCを下流圧として得られる実際流量値QMに基づいて行う構成としたため、当該上流圧が精度よく推定され、前記モータ用非線形補償器2000’でポンプ18a、18bの非線形特性が適切に補償される。
【0030】
一方、減圧バルブ用非線形補償器2000”では、図6に示すように、前記ホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000から出力されたバルブ駆動電流iV*f、iV*rに基づいて、開口面積出力部301でマップ検索により開口面積AVを出力する。ここで開口面積AVは、減圧バルブ19a、19bの減圧特性から推定されてマップ化されている。また同時に、任意の初期ホイールシリンダ圧PWC0に基づいて、減圧側流量係数出力部302でマップ検索により減圧側流量係数CVを出力する。ここで減圧側流量係数CVは、任意の電流の減圧特性を用いて、ホイールシリンダ圧PWCと大気圧Paとの差圧(PWC−Pa)に応じてマップ化されている。これら減圧側流量係数CVと前記開口面積AVと初期ホイールシリンダ圧PWC0とに基づいて、流量指令値出力部303で下記(2)式に従って流量指令値QV*を算出する。
【0031】
この流量指令値出力部QV*を必要開口面積算出部304で、単位開口面積当たりの流量(CV(2PWC/ρ)1/2)で除して開口面積AVを出力する。この開口面積AVは、図7に示すように、前記流量指令値QV*に相当する流量を得ることができる面積であり、この開口面積AVに基づいて、電流指令値出力部305でマップ検索により前記減圧バルブ19a、19bに入力する駆動電流iV’f、iV’rを出力する。なお、ホイールシリンダ圧PWCf、PWCrに基づいて、減圧側流量係数算出部306でマップ検索により前記必要開口面積算出部304へ減圧側流量係数CVを出力する。
【0032】
このように本実施形態にあっては、モータ用非線形補償器2000’と減圧バルブ用非線形補償器2000”によって増圧特性と減圧特性とを同じ特性G(s)に構成したため、一つの電流指令値i*f、i*rでホイールシリンダ圧PWCを適切に制御でき、前記ホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000を容易に設計することができる。
【0033】
次に、図8(a)に示すように、目標ホイールシリンダ圧PWC*とホイールシリンダ圧PWCとが一致した状態にあるときに、その目標ホイールシリンダ圧PWC*を2[MPa/s]で増加させる正のランプ信号を入力した場合について説明する。
まず時刻t0に運転者がブレーキペダルを徐々に踏み込んで、前記正のランプ信号を入力したとする。すると、図4に示すように、モータ用非線形補償器2000’では到達圧力PMとホイールシリンダ圧PWCとの差圧が小さいので、実際流量出力部204で実際流量値QM/kが小さく出力され、比例定数算出部202で軸トルク比例定数kMが大きく出力され、電流指令値出力部203で駆動電流iM’f、iM’rが大きく出力され、ホイールシリンダ圧PWCが早く立ち上がり、ホイールシリンダ圧PWCが目標ホイールシリンダ圧PWC*に速やかに収束される。
【0034】
次いで、時刻t1に運転者がブレーキペダルの踏み込みを徐々に小さくして、目標ホイールシリンダ圧PWC*を2[MPa/s]で減少させる負のランプ信号を入力したとすると、前記正のランプ信号が入力されたときと同様に、前記ホイールシリンダ圧PWCが目標ホイールシリンダ圧PWC*に速やかに収束される。
ちなみに、ホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000から出力されるポンプ駆動電流iM*f、iM*rでポンプモータ22を直接駆動するようにした場合、図8(b)に示すように、ホイールシリンダ圧PWCの立ち上がりが遅く、ホイールシリンダ圧PWCが目標ホイールシリンダ圧PWC*に収束するまでに多くの時間がかかる。
【0035】
以上より、前記図2の演算処理のステップS6’が本発明の制動流体圧指令値設定手段を構成し、以下同様に、前記図2の演算処理のステップS6”〜S17及び前記図3のホイールシリンダ圧フィードバック補償器1000が制御手段を構成し、前記図4のモータ用非線形補償器2000’がポンプ用非線形補償器を構成し、前記図6の減圧バルブ用非線形補償器2000”が制御バルブ用非線形補償器を構成する。
【0036】
なお、前期実施形態では、コントロールユニットがマイクロコンピュータで構成されているものについて詳述したが、このコントロールユニットは、各種の論理回路や電子回路によっても構成可能である。
また、モータ用非線形補償器2000’と減圧バルブ用非線形補償器2000”とによって増圧特性と減圧特性とを同じ特性とするものについて詳述したが、モータ用非線形補償器2000’によって増圧特性を減圧特性と同じ特性としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動制御装置の一実施形態を示すブレーキアクチュエータの概略構成図である。
【図2】図1のコントロールユニットで行われる演算処理を示すフローチャートである。
【図3】図1のコントロールユニットで行われる演算処理を示すブロック図である。
【図4】図1のコントロールユニットで行われる演算処理を示すブロック図である。
【図5】図1のポンプを拡大して示す要部拡大図である。
【図6】図1のコントロールユニットで行われる演算処理を示すブロック図である。
【図7】図1の減圧バルブを拡大して示す要部拡大図である。
【図8】本発明の制動制御装置の作用の説明図である。
【符号の説明】
2a、2bはストロークシミュレータ
3はコントロールユニット
4a、4bはホイールシリンダ圧センサ
5a、5bはマスタシリンダ圧センサ
6はブレーキアクチュエータ
7はアンチスキッド制御ユニット
9FL〜9RRはホイールシリンダ
11はマスタシリンダ
12はブレーキペダル
18a、18bはポンプ
19a、19bは減圧バルブ
22はポンプモータ
1000はホイールシリンダ圧フィードバック補償器
2000’はモータ用非線形補償器
2000”は減圧バルブ用非線形補償器
Claims (2)
- 制動流体圧を増圧する制動流体圧ポンプと、制動流体圧を減圧する制動流体圧制御バルブと、制動流体圧を検出する制動流体圧検出手段と、運転者の制動操作に基づいて制動流体圧指令値を設定する制動流体圧指令値設定手段と、前記制動流体圧指令値設定手段で設定された制動流体圧指令値及び前記制動流体圧検出手段で検出された制動流体圧に基づいて前記制動流体圧ポンプ及び制動流体圧制御バルブを制御するホイールシリンダ圧フィードバック補償器と、実際に前記制動流体圧ポンプを駆動する電流値で到達するシリンダ内圧力を上流圧とし前記制動流体圧検出手段で検出される制動流体圧を下流圧として得られる流量に基づいて前記制動流体圧ポンプを駆動するポンプ駆動電流を補償して、前記制動流体圧ポンプの非線形特性を補償するポンプ用非線形補償器とを備えたことを特徴とする制動制御装置。
- 前記制動流体圧検出手段で検出される制動流体圧に基づいて、前記制動流体圧制御バルブを駆動する制御バルブ駆動電流を補償する制御バルブ用非線形補償器を備えることを特徴とする請求項1に記載の制動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002200817A JP3972754B2 (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 制動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002200817A JP3972754B2 (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 制動制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004042724A JP2004042724A (ja) | 2004-02-12 |
JP3972754B2 true JP3972754B2 (ja) | 2007-09-05 |
Family
ID=31707528
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002200817A Expired - Fee Related JP3972754B2 (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 制動制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3972754B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4512063B2 (ja) * | 2006-06-12 | 2010-07-28 | 日信工業株式会社 | 車両用ブレーキ液圧制御装置 |
JP4853148B2 (ja) * | 2006-07-12 | 2012-01-11 | 株式会社アドヴィックス | アンチスキッド制御装置 |
CN114228683B (zh) * | 2021-12-28 | 2022-08-30 | 江苏恒力制动器制造有限公司 | 一种电子液压制动系统及其控制方法 |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002200817A patent/JP3972754B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004042724A (ja) | 2004-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8123307B2 (en) | Brake boost control apparatus | |
US9376097B2 (en) | Vehicle brake device and method of controlling the same | |
US8768591B2 (en) | Method for operating a boosted brake system of a vehicle and control device for a boosted brake system of a vehicle | |
US20050110343A1 (en) | Vehicle brake system with active hydraulic brake force reinforcement | |
JP2000197205A (ja) | 車両用回生協調ブレ―キ制御装置 | |
US6422662B1 (en) | Method and device for triggering a brake system pump | |
JP3972754B2 (ja) | 制動制御装置 | |
JP2000127929A (ja) | ブレ―キ装置における圧力制御弁の制御方法および装置 | |
US7010410B2 (en) | Electronically controlled hydraulic brake system | |
CN108137009B (zh) | 车辆的制动控制装置 | |
US6454365B1 (en) | Brake control system for actively controlling wheel brakes | |
US6234583B1 (en) | Process for regulating a predetermined, changeable brake pressure in the wheel brakes of a braking system | |
JPH11180273A (ja) | 車両制動装置の制御装置 | |
JP2004034729A (ja) | 制動制御装置 | |
EP1167148B1 (en) | A method and apparatus for calculating actuation control of an FDR/ESP hydro-subassembly for reduction of hydraulic noises | |
JP4667399B2 (ja) | ブレーキ制御装置 | |
JP2002316631A (ja) | 液圧制御装置およびブレーキ液圧制御装置 | |
JP2007516897A (ja) | 電子制御可能なブレーキ設備での圧力生成制御方法 | |
US10857987B2 (en) | Braking control device for vehicle | |
US6568182B2 (en) | Electronically controllable brake booster | |
JP2003205830A (ja) | 制動制御装置 | |
JP3713968B2 (ja) | 車両用ブレーキ制御装置 | |
US20010028195A1 (en) | Vehicle braking system | |
TWI760195B (zh) | 電液壓煞車系統 | |
JP3675187B2 (ja) | 車両用ブレーキ制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050624 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060811 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060815 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061013 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070522 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070604 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110622 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120622 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120622 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |