JP3972330B2 - ヒートホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、塗料、接着剤、発泡材の加熱溶液(温度が低下すると凝固しやすく輸送が困難になる材料)を輸送するヒートホースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗料や接着剤の加熱溶液等をホースで輸送する際、温度低下による溶液の凝固を防止すべく以下のA,Bに示す形態のヒートホースが用いられている。
A.図2に示すように、フッ素樹脂製の本体チューブ90に、ステンレス製の金属層91、ステンレス製の保護層92、保温層93、外層94を順に外装させて成るものであり、前記保護層92に保温用ヒータhを螺旋状に巻き付けるようにして構成してある(特許文献1参照。)。また、ナイロン樹脂製のコアチューブに合成繊維を編組した補強層、保護層、外層を順に外装させて成るものであり、保温用ヒータとして帯状の銅板を螺旋状に巻き付けたものもある。
【0003】
ところが、これらヒートホースでは、保温用ヒータhや銅板を保護層92に螺旋状に巻き付ける作業に手間がかかり、また、保温用ヒータhや銅板の存在によりホース径が大きく且つ屈曲性が劣るという問題がある。
B.ナイロン樹脂製のコアチューブに、ステンレス線を編組した補強層、表面層を順に外装させて成るものであり、前記補強層に、所定の電圧を加えて発熱させるようにしてある。
【0004】
ところが、ステンレス鋼線は電気抵抗値が大きい(約20Ω/100m)ため発熱量が小さく、電圧100Vではせいぜい40℃程度までしか保温できないという問題があった。この程度の温度では特に冬場は塗料や接着剤等の加熱溶液等の輸送が困難になる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−246307号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明では、保温用ヒータを巻く手間が不要であり、直径が小さく屈曲性が良好で、更に比較的低電圧でも加熱溶液を確実に輸送できるヒートホースを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(請求項1記載の発明)
この発明のヒートホースは、2種類以上の導電性金属線を編組して成り且つ長さ100m当たりの電気抵抗値が0.5〜3Ωであるスリーブ状のヒータが、コアーチューブに対して熱伝導可能に外装されており、導電性金属線は、銅線とステンレス線を含むものである。
(請求項2記載の発明)
この発明のヒートホースは、請求項1記載の発明に関し、ヒータに電圧をかけ、コアーチューブで輸送される加熱溶液が60〜100℃で保温できるようになっている。
(請求項3記載の発明)
この発明のヒートホースは、請求項1又は2記載の発明に関し、コアーチューブとヒータとの間に、合成繊維を編組して成る補強層を設け、ヒータの外側に非導電性のカバーを設けてある。
(請求項4記載の発明)
この発明のヒートホースは、請求項1又は2記載の発明に関し、ヒータを構成する導電性金属線が銅線とステンレス線の2種類であり、これら導電性金属線のうち一方は抵抗率が1〜10μΩcmである。
【0008】
なお、上記した発明のヒートホースの作用・効果については、以下の発明の実施の形態の欄で説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施形態のヒートホースを図面を参照しつつ説明する。
〔実施形態1〕
この実施形態のヒートホースHは、ウレタン発泡塗装機に用いられるホースであり、図1に示すように、コアーチューブ1に、補強層2、ヒータ3、カバー4を順に外装して構成させてあり、前記ヒータ3に60Vの電圧をかけることによりコアーチューブ1で輸送されるウレタン(加熱溶液)を60〜80℃で保温できるようにしたものである。
【0010】
コアーチューブ1は、ナイロン樹脂により構成されており、その内径:1/4inchに設定してある。
【0011】
補強層2は、ホースの耐圧性を向上させるためのものであり、繊度120,000デシテックス程度のホリエステル繊維を編組して形成されている。
【0012】
ヒータ3は、1本の直径0.27mmの銅線と3本の直径0.23mmのステンレス線(SUS304)をスリーブ状に編組して形成されており、長さ100m当たりの電気抵抗値を約2.0Ωに設定してある。
【0013】
カバー4は、非導電性部材であり且つ水分透過性の少ない熱可塑性エラストマー(例えば、AESの登録商標であるサントプレーン101−87)をチューブ状に形成して構成されている。
【0014】
ここで、このヒートホースHは上記のような構成であるから、次の▲1▼〜▲3▼に示す作用・効果を奏する。
▲1▼.従来から存在していた保護層をヒータとして機能させる構造であるから、従来の技術の欄に示した前者のヒートホースの如く保温用ヒータを巻く手間が不要である。
▲2▼.保温用ヒータを別に巻き付けるものではないから、直径が小さなヒートホースにできる。また、ヒータ3は、ステンレス線(SUS304)と銅線を編組して形成されたものであるから、屈曲性が良好なヒートホースにできる。
▲3▼.ヒータ3は、1本の直径0.27mmの銅線と3本の直径0.23mmのステンレス線(SUS304)を編組して形成され、長さ100m当たりの電気抵抗値を約2.0Ωに設定してあるから、電圧60V時の流体保温可能温度は、60〜80℃になる。したがって、溶融温度が約60℃であるウレタンはホース内で凝固することなく円滑にウレタン発泡塗装機の先端ノズルまで確実に輸送できる。
〔他の実施形態〕
上記実施形態1では、輸送の対象をウレタンとしているが、これに限定されることなく他の塗装材料や接着剤の加熱溶液等を輸送するために用いることができる。この場合において、塗装材料や接着剤の溶融温度に合わせて、ヒータ3における構成部材(導電性金属線)の種類、線径、本数を変えることにより合成抵抗値を変化させるようにする(合成抵抗値が0.5〜3Ωのとき60〜100℃での保温が可能である)。例えば、2本の直径0.27mmの銅線と3本の直径0.23mmのステンレス線(SUS304)によりヒータ3の合成抵抗値は1.0Ω/100mになり、約80℃での保温が可能である。
【0015】
上記実施形態1では、ヒータ3は2種類の導電性金属線を編組して成るものとしているが、3種類の導電性金属線を編組して成るものでもよい。
【0016】
上記した全ての実施形態において、銅線においては耐久強度をさらに高めるために撚り線とすることもできる。
【0017】
【発明の効果】
この発明は以下に示すような効果を奏する。
【0018】
発明の実施の形態の欄に記載した内容から明らかなように、保温用ヒータを巻く手間が不要であり、直径が小さく屈曲性が良好で、更に比較的低電圧でも加熱溶液を確実に輸送できるヒートホースを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態のヒートホースの斜視図。
【図2】先行技術のヒートホースの斜視図。
【符号の説明】
H ヒートホース
1 コアーチューブ
2 補強層
3 ヒータ
4 カバー
Claims (4)
- 2種類以上の導電性金属線を編組して成り且つ長さ100m当たりの電気抵抗値が0.5〜3Ωであるスリーブ状のヒータが、コアーチューブに対して熱伝導可能に外装されており、導電性金属線は、銅線とステンレス線を含むものであることを特徴とするヒートホース。
- ヒータに電圧をかけ、コアーチューブで輸送される加熱溶液が60〜100℃で保温できるようになっていることを特徴とする請求項1記載のヒートホース。
(請求項3記載の発明) - コアーチューブとヒータとの間に、合成繊維を編組して成る補強層を設け、ヒータの外側に非導電性のカバーを設けてあることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートホース。
- ヒータを構成する導電性金属線が銅線とステンレス線の2種類であり、これら導電性金属線のうち一方は抵抗率が1〜10μΩcmであることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートホース。
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