JP3971872B2 - プロペラシャフト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のプロペラシャフト関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のプロペラシャフトは、自在継手とこの自在継手に接続される中空状の接続部材とが、それぞれに形成した当接面が互いに当接する共に、一方の当接面に形成した嵌合突起が他方の当接面に形成した嵌合穴に嵌合して、相互に接続されている。
【0003】
これによって、前記自在接手及び接続部材の中空内部は密閉されることになるから、自在継手が所定の屈曲角度を持って回転し、動力伝達を司るとき、自在接手が若干発熱した場合に、自在接手及び接続部材の中空内部の空気が膨張する虞がある。
【0004】
前記自在接手及び接続部材の中空内部の空気が膨張すると、自在接手を密封するダストブーツ等が膨張することになるから、これを回避するために、接続部材に中空内部を大気開放する通気孔を形成した動力伝達軸が知られている(例えば、1993年7月三菱自動車工業発行の三菱パジェロサービス周報2−47頁参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例にあっては、通気孔が直線状に形成されている。このため、この通気孔を介して泥水等が自在接手及び接続部材の中空内部に浸入し易くなる虞がある。前記自在接手の内部に泥水等が浸入すると、自在接手の潤滑不良を招来する虞があるから、好ましくないものである。
【0006】
本発明は前記従来の実情に鑑みて案出されたもので、泥水等が浸入することを可及的に防止可能な通気孔を備えたプロペラシャフトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1記載の発明は、自在接手と、前記自在接手に接続される中空状の接続部材と、前記自在接手及び前記接続部材が外周部で互いに当接する当接面と、前記当接面の一方に形成された嵌合突起と、前記当接面の他方に形成された前記嵌合突起を嵌合する嵌合穴と、前記自在接手と接続部材との当接により前記嵌合突起と前記嵌合穴との間に形成されて、前記接続部材の中空内部より大気開放する通気孔とを設け、前記通気孔は、接続部材の中空内部より略半径方向に延在する隙間と記隙間と連通し前記接続部材の外周より軸方向に延在する通路と構成されて、終減速機側に向かって開口させてある。
【0009】
また、請求項記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、前記通気孔、嵌合突起と嵌合穴との間に形成されてなる構成にしてある。
【0011】
斯かる構成において、本発明のプロペラシャフト動車のエンジンと終減速機との間に設けられ、エンジンの回転駆動力を終減速機に伝達する。
【0012】
ここで、前記自在接手が所定の屈曲角度を持って回転し、動力伝達を司るとき、自在接手が若干発熱して、自在接手及び接続部材の中空内部の空気が膨張した場合に、膨張した空気は通気孔から容易に排出される。これによって、前記自在接手及び接続部材の中空内部は大気圧に保たれる。
【0013】
また、前記通気孔を通じて泥水等が浸入しようとするとき、通気孔が屈曲していることにより、泥水等は自在接手及び接続部材の内部に浸入することが可及的に阻止される。
【0014】
したがって、泥水等が浸入することを可及的に防止可能な通気孔を備えたプロペラシャフトが得られる。
【0015】
また、前記通気孔が、それぞれの当接面の間及び嵌合突起と嵌合穴との間に形成されているから、通気孔の形成が容易になる。加えて、前記通気孔が2回屈曲することになるから、泥水等をより入り難くすることができる。
【0016】
また、請求項記載の発明にあっては、前記通気孔が、嵌合突起と嵌合穴との間に形成されているから、通気孔の形成が容易になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をプロペラシャフトに適用した態様として、図面に基づいて詳述する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態としての動力伝達軸の要部を示す断面図である。
【0020】
図において、1は自在接手、2はこの自在接手1に接続される中空状の接続部材である。
【0021】
前記自在接手1は、略円筒状の外輪3の内部に、内輪4、複数のボール5及びケージ6を収装して構成されており、複数のボール5はケージ6によって保持され、外輪3及び内輪4に形成した複数の案内溝7,8内にそれぞれ転動自在に収容されている。
【0022】
前記外輪3の一端側には放射方向に延びるフランジ9が形成されており、このフランジ9に接続部材2との当接面10が形成されている。前記当接面10には、環状の嵌合突起11が形成してある。前記嵌合突起11の内周側にはダストキャップ12が設けられて、外輪3の内部、即ち自在接手1の内部を覆っている。また、前記ダストキャップ12の略軸心位置には、エアブリーザ13が設けられている。
【0023】
前記内輪4には、スプライン孔16が軸方向に形成されており、このスプライン孔16に嵌合するスプライン軸17を備えたスタブシャフト18が接続されている。また、前記スタブシャフト18にはチューブ19が接続されており、スタブシャフト18はチューブ19を介して図外の終減速機に接続されるようになっている。尚、前記スタブシャフト18の先端側にはスナップリング20が設けられ、これによって抜け止めされている。
【0024】
前記スタブシャフト18と外輪3の他端側との間には、ゴム等の可撓性材料からなるダストブーツ21が設けられている。前記ダストブーツ21は、筒状の一端が金具22を介して外輪3に取付けられ、他端が織り返された状態でスタブシャフト18の外周に取付けられており、外輪3の内部、即ち自在継手1の内部に塵埃等が侵入することを防止している。
【0025】
前記接続部材2の一端側には放射方向に延びるフランジ24が形成されており、このフランジ24に外輪3との当接面25が形成されている。即ち、前記当接面25は外輪3の当接面10に接している。また、前記当接面25には、外輪3に形成した嵌合突起11が嵌合する嵌合穴26が形成してある。
【0026】
これによって、前記自在接手1と接続部材2とは、それぞれに形成した当接面10,25が互いに当接すると共に、一方の当接面10に形成した嵌合突起11が他方の当接面25に形成した嵌合穴26嵌合して、相互に接続されていることになる。
【0027】
また、前記接続部材2のフランジ24と外輪3のフランジ9とは、これらフランジ24,9を貫通する複数のボルト27及びこのボルト27に螺合するナット28によって締結されている。
【0028】
前記接続部材2には、この接続部材2の中空内部を大気開放する通気孔29が形成してある。前記通気孔29は動力伝達軸の回転中心から比較的離れた位置であるフランジ24の近傍に、屈曲して形成してある。即ち、前記通気孔29は、接続部材2の中空内部に開口する略軸方向の孔29aと、この孔29aに連通して接続部材の外周に開口する半径方向の孔29bとから形成されている。尚、前記孔29a,29bはドリル加工によって形成される。
【0029】
また、前記接続部材2には、スプライン孔32が軸方向に形成されており、このスプライン孔32に嵌合するスプライン軸33を備えたスタブシャフト34が接続されている。また、前記スタブシャフト34にはチューブ35が接続されており、スタブシャフト34はチューブ35を介して図外のエンジンに接続されるようになっている。尚、前記スタブシャフト34の先端側にはナット36が螺合され、これによって抜け止めされている。
【0030】
前記スタブシャフト34の外周にはセンターベアリング装置39が設けられている。前記センターベアリング装置39は、軸受け40と、この軸受け40の外周側に配置されたインシュレータ41とからなり、図外の支持装置を介して車体側に連結支持されるようになっている。
【0031】
斯かる構成のプロペラシャフトは、図外のエンジンと終減速機との間に設けられ、エンジンの回転駆動力を終減速機に伝達する。
【0032】
ここで、前記自在接手1が所定の屈曲角度を持って回転し、動力伝達を司るとき、自在接手1が若干発熱して、自在接手1及び接続部材2の中空内部の空気が膨張した場合に、自在接手1の内部で膨張した空気は、エアブリーザ13を介して接続部材2の中空内部に導き出され、接続部材2の中空内部で膨張した空気と共に通気孔29から容易に排出される。これによって、前記自在接手1及び接続部材2の中空内部は大気圧に保たれる。
【0033】
また、前記通気孔29を通じて泥水等が浸入しようとするとき、通気孔29が屈曲していることにより、泥水等は自在接手1及び接続部材2の内部に浸入することが可及的に阻止される。
【0034】
したがって、泥水等が浸入することを可及的に防止可能な通気孔29を備えたプロペラシャフトが得られる。
【0035】
また、前記通気孔29が、動力伝達軸の回転中心から比較的離れた位置に形成されているから、自在継手1及び接続部材2の内部に浸入した泥水等が遠心力によって通気孔29から容易に排出される。
【0036】
図2乃至図11は本発明の別の実施の形態を示す図面で、この実施の形態が前記実施の形態と変わるところは、前記通気孔29の形成態様である。
【0037】
以下、これらの実施の形態について順次説明する。尚、説明に際して、前記実施の形態と同一構成部分には同一符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0038】
先ず、図2乃至図6に示す実施の形態は、前記通気孔29を、嵌合突起11と嵌合穴26との間に形成してある。
【0039】
即ち、前記フランジ24の当接面25に形成した嵌合穴26の所定位置に切欠き44を設け、この切欠き44によって形成される通路29cと、嵌合突起の11の先端と嵌合穴26の底面との間の隙間29dとによって、屈曲した通気孔29を形成してある。つまり、前記通路9cが軸方向に形成され、隙間29dが半径方向に形成されていることによって、屈曲した通気孔29が形成されることになるのである。
【0040】
斯かる構成にあっては、前記通気孔29が屈曲して形成してあるから、前記実施の形態と同様の作用及び効果が得られるのに加え、通気孔29がドリル加工等によらず、容易に形成できる。
【0041】
次に、図7乃至図11に示す実施の形態は、前記通気孔29を、それぞれの当接面10,25の間及び嵌合突起11と嵌合穴26との間に形成してある。
【0042】
即ち、前記フランジ9の当接面10の所定位置に切欠き45を設けると共に、嵌合突起11の所定位置に切欠き45に連通する切欠き46を設け、切欠き45によって形成される通路29eと、切欠き46によって形成される通路29fと、嵌合突起11の先端と嵌合穴26の底面との間の隙間29dとによって、屈曲した通気孔29を形成してある。つまり、前記通路29eが半径方向に形成され、通路29fが軸方向に形成され、隙間29dが半径方向に形成されていることによって、屈曲した通気孔29が形成されることになり、この通気孔29は2回屈曲していることになる。
【0043】
斯かる構成にあっては、前記通気孔29が屈曲して形成してあるから、前記実施の形態と同様の作用及び効果が得られるのに加え、通気孔29がドリル加工等によらず、容易に形成できる。
【0044】
また、前記通気孔29が2回屈曲しているため、泥水等をより入り難くすることができる。
【0045】
以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、泥水等が浸入することを可及的に防止可能な通気孔を備えたプロペラシャフトが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての動力伝達装置の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の別の実施の形態を示す、図1と同様の図面である。
【図3】図2のA部を拡大して示す断面図である。
【図4】図2の矢印B方向の矢視図である。
【図5】図2に示す接続部材の平面図である。
【図6】図5のA−O−A線断面図である。
【図7】本発明の別の実施の形態を示す、図1と同様の図面である。
【図8】図7のA部を拡大して示す断面図である。
【図9】図7の矢印B方向の矢視図である。
【図10】図7に示す自在接手の平面図である。
【図11】図10のA−O−A線断面図である。
【符号の説明】
1 自在接手
2 接続部材
3 外輪
4 内輪
10 当接面
11 嵌合突起
25 当接面
26 嵌合穴
29 通気孔

Claims (2)

  1. 自在接手と、前記自在接手に接続される中空状の接続部材と、前記自在接手及び前記接続部材が外周部で互いに当接する当接面と、前記当接面の一方に形成された嵌合突起と、前記当接面の他方に形成された前記嵌合突起を嵌合する嵌合穴と、前記自在接手と接続部材との当接により前記嵌合突起と前記嵌合穴との間に形成されて、前記接続部材の中空内部より大気開放する通気孔とを設け、
    前記通気孔は、接続部材の中空内部より略半径方向に延在する隙間と記隙間と連通し前記接続部材の外周より軸方向に延在する通路とより構成されて、終減速機側に向かって開口していることを特徴とするプロペラシャフト
  2. 前記通気孔は、前記嵌合突起と嵌合穴との間に形成されてなることを特徴とする、請求項1記載のプロペラシャフト
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