JP3971261B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムに係り、詳しくはボトルの収縮ラベル等として好適に使用できる熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱収縮性フィルムをボトルの収縮ラベル等として使用する際、フィルムの皺、歪み、収縮斑等を少なく抑え、収縮仕上がりを良くするためには収縮率を大きくする必要がある。ポリエステル系樹脂を主たる材料とした熱収縮性ポリエステル系フィルムは、室温での剛性が高く、透明性に優れ、PVC(ポリ塩化ビニル)やSBS(スチレン・ブタジエンブロック共重合体)からなる熱収縮性フィルムに比べると自然収縮率は低い。しかし、一般包装資材に比べると収縮率の経時変化が大きく、輸送や保管条件、または保管期間への制限が多かった。即ち、輸送及び保冷時冷暗所に置くことが必要で、この様な管理ができていないと収縮率が低下し、加熱収縮時に収縮斑や皺が発生し易く、収縮仕上がり性に劣る傾向が見られた。なお、自然収縮とは、常温よりやや高い温度、例えば夏場において、フィルムが本来の使用前に収縮してしまうことを意味する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近の熱収縮性フィルムにおけるラベリング工程では、内容物を容器に充填した後にフィルムのシュリンクを行うことが主流となりつつあり、この方法では内容物の温度上昇による品質低下を回避するとともに、コストダウンのためPETボトルの薄肉化を進めている。そのためにシュリンク時の温度を下げ、ボトルの変形を防ぐことも要望されている。
【0004】
従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、保管中の経時変化により、70℃近辺の収縮率が低下することに起因してシュリンク時にフィルムの皺、歪み、収縮斑などが発生し易いという問題点を抱えていた。そこで、なるべく低温から収縮が開始し、高収縮であり収縮仕上がりの優れたものであるとともに、輸送や保管に特殊な管理を必要としない熱収縮性ポリエステル系フィルムが切望されている。
【0005】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は製品の輸送及び保管条件を一般包装資材と同等にしても、低温のシュリンカーでラベリングができ、収縮時のフィルムの皺、歪み、収縮斑を少なくすることができる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は前記問題点を解決するため、種々検討の結果、70℃の温水に5秒間浸漬したときにおけるフィルムの収縮率を特定の数値以上にするとともに、その収縮率の経時変化を少なくすることによって前記問題点を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸とイソフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコールを主成分とするエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルと、ポリエーテル及びイソフタル酸を共重合したポリブチレンテレフタレートとをブレンドしたポリエステル樹脂からなるフィルムを80〜83℃で横方向に延伸倍率3.8〜4.2倍で一軸延伸してなり、前記ポリエステル樹脂全体に対し、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を85〜95mol%、イソフタル酸を15〜5mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを55mol%以上含有し、70℃の温水に5秒間浸漬したときにおけるフィルムの主収縮方向の収縮率が20%以上であり、30℃かつ相対湿度35%で30日間保管した後の前記収縮率の低下、(低下分の絶対値)が10%以下である。収縮率の特性が前記条件を満足するポリエステル系フィルムを生産することにより、製品の輸送及び保管条件を一般包装資材と同等にしても、低温のシュリンカーでラベリングができ、収縮時のフィルムの皺、歪み、収縮斑を少なくすることができる。また、この発明では、前記フィルムの収縮率を前記特定の値に調整することが容易になる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記ポリエーテルがポリアルキレングリコールであり、前記ポリブチレンテレフタレートのジオール成分中に前記ポリアルキレングリコールが0.3〜10モル%含有されている
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
本発明のポリエステル系フィルムでは、70℃の温水に5秒間浸漬したときにおける主収縮方向の収縮率が20%以上とし、かつ30℃、相対湿度35%で30日間保管した後の収縮率の低下が10%以下とする必要がある。これには、以下に示すようなTg(ガラス転移温度)を下げた材料を使用するとともに、延伸による配向が大きくならないように、その延伸条件を制御する必要がある。
【0011】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいては、上記の収縮特性を発現させるために材料特性も工夫したほうが良い。
本来ポリエステル系樹脂は結晶性樹脂であり、フィルムを延伸することによって配向結晶化してしまう。熱収縮性フィルムを使用する場合は、通常、印刷及び溶剤を用いた製袋工程が伴う。そこで、印刷適性及び溶剤シール性を向上させるために構成材料自体の結晶性を下げることが必要となる。しかし、構成材料の樹脂を完全に非晶性としてしまうと、熱収縮性フィルムとして十分に要求特性を満足させることが困難となる。従って、適度な結晶性を付与させることが重要である。
【0012】
非晶性のポリエステル系フィルムでは、その粘弾性特性に応じて急激な収縮カーブの立ち上がりと、非常に高い収縮応力を有している。一方、適度な結晶性を付与させることによって、高温時での収縮率が低減されるために、結果的に収縮カーブ曲線が緩やかになり収縮仕上がり性を向上させることが期待できる。
【0013】
さらに、結晶性を付与させることによって延伸後のフィルムの厚み精度に影響を及ぼす。延伸加工条件によっても厚み精度を向上させる方法はいくつかあるが、最も厚み精度に影響するのは構成材料の樹脂の結晶性である。
【0014】
延伸加工の初期の段階において、加熱されるフィルムを部分的に見た場合、不均一な温度分布を示すことがある。この場合、より高い温度の個所から延伸が開始される。使用する樹脂が非晶性樹脂の場合、延伸されて薄くなった個所がより延伸され、フィルム全体が不均一な延伸となる。
【0015】
一方、結晶性がある場合、初期に延伸された部分は薄くなるとともに配向結晶化により延伸応力が大きくなるので、非延伸部分が延伸され易くなる。その結果、フィルム全体で均一延伸されることによって厚み精度が向上する。
【0016】
本発明フィルムの素材となるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とするエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好適に用いられる。共重合成分としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等、ジオール成分としてネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオールなどを用いた共重合ポリエステルが工業的に容易に入手でき、かつ収縮性も良好で好ましい。
【0017】
本発明において用いる共重合ポリエステルにおいては、ジカルボン酸成分100モル%およびジオール成分100モル%の合計量200モル%中、共重合成分が合計20モル%以上、より好ましくは30モル%以上とするのがよい。共重合成分が合計20モル%未満の共重合ポリエステルはフィルムにした際の結晶化度が高くなり、収縮仕上がり、溶剤シール性が劣るので好ましくない。
【0018】
本発明フィルムにおいて、上述した粘弾性特性を付与させるためには、ポリエーテルを共重合したポリブチレンテレフタレートをブレンドすることが好ましい。ポリブチレンテレフタレート自体でもTgは非常に低く、配合することによってTgを下げる効果は十分に期待できるが、ポリブチレンテレフタレートの添加量のみで、より低温収縮性を付与させる場合、上記に示した通り、結晶性が上昇しすぎてしまい、溶剤シール性、インキ密着性が低下し易い。
【0019】
特に、ポリエーテルのなかでもポリアルキレングリコール(例えば、ポリテトラメチレングリコール)が、重合面や品質面から最も良好である。なお、上記ポリエーテルをポリブチレンテレフタレート中に共重合することにより粘弾性特性を満足させるだけではなくTgを下げる効果も期待できることから最も良好な組成の1つである。
【0020】
ポリブチレンテレフタレート中のポリアルキレングリコール含有量はジオール成分中0.3〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜3モル%である。ポリアルキレングリコールユニットが0.3モル%未満ではポリブチレンテレフタレート単体の場合と同様な物性となる。一方、10モル%を超える場合、他の混合樹脂との相溶性が悪くなり透明性の低下をもたらし易い。
【0021】
なお、本発明フィルムの極限粘度は0.5以上、好ましくは0.6以上がよい。フィルムの極限粘度が0.5未満であると耐破断性が低下し易い。
また本発明のフィルムでは、フィルムの易滑性を向上させるため、有機滑材、無機滑材などの微粒子を含有させてもよく、静防剤等を練り込み方法やコーティング方法によって付与させることも可能である。本発明に使用される原料は各成分をもつポリエステル樹脂を混合した状態で使用されるにとどまらず、重合段階において上記内容と同等のポリエステルを作成し、使用することもできる。
【0022】
つぎに本発明フィルムの製造法を具体的に説明するが、下記製造法には限定されない。重縮合反応によって得られた共重合ポリエステルを混合し、200〜320℃の温度で溶融押出する。押出に際しては、Tダイ法、チューブラ法などの方法を採用してもよい。
【0023】
Tダイ法を用いた場合、押出後、表面温度15〜80℃のキャスティングドラム上で急冷して、厚さ30〜300μmの未延伸フィルムを形成する。得られた未延伸フィルムを、加熱縦延伸ロールを用いて、ロール温度60〜120℃にて1.0〜2.0倍、好ましくは1.0〜1.5倍延伸する、縦延伸後、テンターを用いて延伸温度60〜120℃にて1.7〜7.0倍延伸し、60〜100℃の温度で熱処理して巻き取る。
【0024】
ここで、前記フィルムの諸特性のうち、収縮特性は主に延伸倍率と延伸温度に依存するので、主収縮方向の収縮率を上げるという面からは高倍率、低温延伸が好ましい。一方収縮応力も延伸温度に主に依存し、高倍率、低温延伸ほど収縮能力が大きくなり、また延伸後の熱処理(アニーリング、特に弛緩熱処理)の影響もある。収縮率の温度依存性をよりなだらかに設定するためには、やや高温での延伸を行いつつ延伸倍率を調整するのが一つの方法であり、延伸後のフィルムの平坦性改良や収縮率調整のために熱処理を行う場合にはポリエステルの結晶化を促進しない低温で行うことである。それにより、加熱収縮時初期のフィルムの挙動に大きく影響する収縮応力を低く抑え、なだらかな収縮特性を示すフィルムを得ることが可能になる。具体的な温度条件は使用するポリエステルの種類に応じて適宜設定することができる。
【0025】
また、本発明においては、前記延伸工程中、延伸前または延伸後に、フィルムの片面または両面にコロナ放電処理などの表面活性化処理を施してフィルムの印刷層に対する接着性を向上させることも可能である。また上記延伸工程中、延伸前または延伸後に、フィルムの接着性、帯電防止性、滑り性、遮光性などを向上させることも可能である。さらに、例えば芯層に上記ポリエステル樹脂を用い、表層に結晶化度を該ポリエステル樹脂よりも下げた共重合ポリエステル樹脂層を設ける等、共押出法等による積層フィルムとすることもできる。
【0026】
(実施例)
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
ジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分がエチレングリコールであり、共重合成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール21mol%、イソフタル酸10mol%の共重合ポリエステル樹脂に滑材として平均粒径2.4μmの無定形シリカを0.2wt%加えて共重合ポリエステル樹脂Aを調製した。ジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分が1,4−ブタンジオールであり、共重合成分がイソフタル酸7mol%、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000)2mol%である共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Bを調製した。そして、共重合ポリエステル樹脂Aと共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Bとを80:20の割合で混合し、260℃で溶融押出後、急冷して未延伸フィルムを得た。その得られた未延伸フィルムをテンターにより延伸温度83℃の雰囲気下で、横方向に4倍の延伸倍率で一軸延伸し、次いで熱処理を行って厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルム中のエチレングリコールの割合はジオール成分100mol%中63.2mol%である。なお、前記無定形シリカは、富士シリシア社製、サイリシア320を使用した。以下の実施例及び比較例においても同じである。
【0028】
(実施例2)
共重合ポリエステル樹脂Aに代えて、共重合成分がイソフタル酸11mol%、1,4−シクロヘキサンジメタノール20.5mol%の共重合ポリエステル樹脂に平均粒径2.4μmの無定形シリカを0.2wt%加えた共重合ポリエステル樹脂Cを使用した。そして、共重合ポリエステル樹脂Cと共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Bとを75:25の割合で混合し、250℃で溶融押出後、急冷して未延伸フィルムを得た。その得られた未延伸フィルムをテンターにより延伸温度80℃の雰囲気下で、横方向に4倍の延伸倍率で一軸延伸し、次いで熱処理を行って厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルム中のエチレングリコールの割合はジオール成分100mol%中59.6mol%である。
【0029】
(実施例3)
共重合ポリエステル樹脂Aに代えて、共重合成分がイソフタル酸11.5mol%、1,4−シクロヘキサンジメタノール19.5mol%の共重合ポリエステル樹脂に平均粒径2.4μmの無定形シリカを0.2wt%加えた共重合ポリエステル樹脂Dを使用した。また、共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Bに代えて、共重合成分がイソフタル酸5mol%である共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Eを使用した。そして、共重合ポリエステル樹脂Dと共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Eとを70:30の割合で混合し、250℃で溶融押出後、急冷して未延伸フィルムを得た。その得られた未延伸フィルムをテンターにより延伸温度82℃の雰囲気下で、横方向に4倍の延伸倍率で一軸延伸し、次いで熱処理を行って厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルム中のエチレングリコールの割合はジオール成分100mol%中56.3mol%である。
【0030】
(比較例1)
共重合ポリエステル樹脂Aに代えて、共重合成分がイソフタル酸9.5mol%、1,4−シクロヘキサンジメタノール22mol%の共重合ポリエステル樹脂に平均粒径2.4μmの無定形シリカを0.2wt%加えた共重合ポリエステル樹脂Fを使用した。また、共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Bに代えて、ジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分が1,4−ブタンジオールであるポリブチレンテレフタレート樹脂Gを使用した。そして、共重合ポリエステル樹脂Fとポリブチレンテレフタレート樹脂Gとを85:15の割合で混合し、250℃で溶融押出後、急冷して未延伸フィルムを得た。その得られた未延伸フィルムをテンターにより延伸温度90℃の雰囲気下で、横方向に4倍の延伸倍率で一軸延伸し、次いで熱処理を行って厚さ50μmのフィルムを得た。
【0031】
(比較例2)
ポリブチレンテレフタレート樹脂Gに代えて、共重合成分がイソフタル酸10mol%である共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂Hを使用した。そして、共重合ポリエステル樹脂Fとポリブチレンテレフタレート樹脂Hとを85:15の割合で混合し、250℃で溶融押出後、急冷して未延伸フィルムを得た。その得られた未延伸フィルムをテンターにより延伸温度85℃の雰囲気下で、横方向に4倍の延伸倍率で一軸延伸し、次いで熱処理を行って厚さ50μmのフィルムを得た。
【0032】
(比較例3)
比較例1と同様に共重合ポリエステル樹脂Fとポリブチレンテレフタレート樹脂Gとを85:15の割合で混合し、250℃で溶融押出後、急冷して未延伸フィルムを得た。その得られた未延伸フィルムをテンターにより延伸温度85℃の雰囲気下で、横方向に4倍の延伸倍率で一軸延伸し、次いで熱処理を行って厚さ50μmのフィルムを得た。
【0033】
(フィルムの特性の評価方法)
前記各実施例及び比較例で調製されたフィルムについて、以下に示す(1)〜(4)の特性評価を行った。
【0034】
(1)主収縮方向の収縮率
延伸方向に150mmその直角方向に25mmの大きさに切り出したポリエステルフィルムに標線を間隔100mm設けて70℃の温水に5秒間浸漬し、下式により求めた。
【0035】
収縮率(%)={(L−L’)/L}×100
L:収縮前の標線間距離(mm) L’:収縮後の標線間距離(mm)
(2)30℃、相対湿度35%×30日間後の収縮率の経時変化
フィルムを温度30℃±1℃、相対湿度35%±2%に制御した恒温恒湿器内に30日間エージングした後、取り出した。エージング前後のサンプルについて上記(1)の方法にて70℃の温水に5秒間浸漬した後の収縮率を測定し、エージング前後の収縮率の差を算出した。
【0036】
(3)最大屈折率 nγ
アタゴ光学社製アッベ屈折計を用い、フィルム面内の屈折率の最大値、即ち一軸延伸フィルムの延伸方向の屈折率nγを求めた。屈折率の測定は、ナトリウムD線を用い、23℃で行った。
【0037】
(4)低温ラベリング性
格子目を入れたフィルムを円筒状にしてペットボトルに被せ、蒸気シュリンクトンネルを通過させてボトルに装着し、収縮外観を評価した。蒸気シュリンクの温度は、65〜70℃にて実施した。ラベルの格子目の歪みが無く、密着性も優れて美しい仕上がりのものを(○)、歪み、皺などが僅かにあるが実用上、支障が無いものを(△)、完全な収縮不足もしくは仕上がり性が完全に実用レベルに達しないものを(×)とした。
【0038】
各フィルムの特性の評価結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
Figure 0003971261
表1から、ポリエステル系フィルムのうち主収縮方向の収縮率と、30℃、相対湿度35%×30日間後の収縮率との差である低下(経時変化量)とが、本発明の要件を満たす実施例1〜実施例3では30日経過後の低温ラベリング性(収縮仕上がり)が優れていることが分かる。また、前記要件に加えて最大屈折率nγの要件を満足する場合は、低温ラベリング性がより向上することが分かる。これに対して発明の要件を満たさない比較例1〜3についてみると、収縮仕上がりに劣ることが分かる。
【0040】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 熱収縮性ポリエステル系フィルムは、70℃の温水に5秒間浸漬したときにおけるフィルムの主収縮方向の収縮率が20%以上であり、30℃かつ相対湿度35%で30日間保管した後の前記収縮率の低下が10%以下である。従って、収縮率の特性が前記条件を満足するポリエステル系フィルムを生産することにより、製品の輸送及び保管条件を一般包装資材と同等にしても、低温のシュリンカーでラベリングができ、収縮時のフィルムの皺、歪み、収縮斑を少なくすることができる。
【0041】
(2) 熱収縮性ポリエステル系フィルムの素材となる樹脂は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸85〜95mol%、イソフタル酸15〜5mol%で、ジオール成分がエチレングリコール55mol%以上であるエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルである。この発明では、前記フィルムの収縮率を前記特定の値に調整することが容易になる。
【0042】
(3) 熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム面内の最大屈折率nγが1.640以下である。この場合、最大屈折率nγが1.640より大きなフィルムに比較して、収縮仕上がりがより良好になる。
【0043】
(4) フィルムの材料となるポリエステル系樹脂として、全てのジカルボン酸成分とジオール成分とを同時に共重合させた共重合ポリエステル系樹脂を使用するのではなく、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂と、共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂とを混合して、各成分を調製した。従って、各成分が所望の割合で含まれるポリエステル系樹脂の調整が容易となる。
【0044】
(5) ポリエステル系樹脂に滑材が添加されているため、フィルムの延伸などが円滑に行われる。
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0045】
〇 フィルムの材料として、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂と共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂とを混合する代わりに、各ジカルボン酸成分及びジオール成分を所定量含む共重合エステルを製造してその共重合体を使用してもよい。
【0046】
○ 滑材として無定形シリカ以外の滑材を使用してもよい。
○ 滑材はポリエステル樹脂の組成によっては、なくてもよい。
前記実施の形態から把握される請求項記載以外の技術的思想(発明)について、以下に記載する。
【0047】
(1)発明において、前記フィルムの素材となる樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とする共重合エチレンテレフタレート樹脂と、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを主成分とする共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂との混合物である。
【0048】
(2)発明において、前記フィルムは温度80〜83℃で横方向の延伸倍率が3.8〜4.2倍の一軸延伸と熱処理とが施されている。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項に記載の発明の熱収縮性ポリエステルフィルムによれば、製品の輸送及び保管条件を一般包装資材と同等にしても、低温のシュリンカーでラベリングができ、収縮時のフィルムの皺、歪み、収縮斑を少なくすることができる。

Claims (2)

  1. ジカルボン酸成分がテレフタル酸とイソフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコールを主成分とするエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルと、ポリエーテル及びイソフタル酸を共重合したポリブチレンテレフタレートとをブレンドしたポリエステル樹脂からなるフィルムを80〜83℃で横方向に延伸倍率3.8〜4.2倍で一軸延伸してなり、前記ポリエステル樹脂全体に対し、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を85〜95mol%、イソフタル酸を15〜5mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを55mol%以上含有し、70℃の温水に5秒間浸漬したときにおけるフィルムの主収縮方向の収縮率が20%以上であり、30℃かつ相対湿度35%で30日間保管した後の前記収縮率の低下が10%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. 前記ポリエーテルがポリアルキレングリコールであり、前記ポリブチレンテレフタレートのジオール成分中に前記ポリアルキレングリコールが0.3〜10モル%含有されている請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
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