JP3970720B2 - 座標測定テーブル装置及び座標測定装置 - Google Patents

座標測定テーブル装置及び座標測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の視点において、座標測定テーブル装置に関し、とりわけ互いに重ねられて配設される以下の要素:即ち直線的x方向案内要素を有する定置的基底部材;該基底部材の上方に配され、該直線的x方向案内要素に沿って滑動すると共に、第一駆動要素が配され、かつ直線的y方向案内要素と固定的に結合する中間部材;該中間部材の上方に配され、該y方向案内要素に沿って滑動し、xy方向で位置決め可能に構成されると共に、第二駆動要素が配される、基板(等の被検体)を受容するためのテーブルを有し、干渉利用位置測定手段を有する座標測定テーブル装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、第2の視点において、座標測定装置、特に基板(等の被検体)の構造要素のエッジ(等の特徴)の座標を高精度に測定するための座標測定装置、とりわけ直線的x方向案内要素を有する定置的基底部材;該基底部材の上方に配され、該直線的x方向案内要素に沿って滑動する中間部材;及び該中間部材の上方に配され、該y方向案内要素に沿って滑動し、xy方向で位置決め可能に構成される、基板(等の被検体)を受容するためのテーブルを有し干渉利用位置測定手段を有するxy方向可走座標測定テーブル装置、並びに光軸、結像装置及び検出装置を有すると共に、該光軸に対する測定されるべきエッジ(等の特徴)の座標を求めるための照明装置を有し、基板(等の被検体)の構造要素のエッジ(等の特徴)の座標の高精度測定をするための座標測定装置に関する。
【0003】
【関連する技術】
上述の技術分野の座標測定テーブル装置は、上述の技術分野の高精度座標測定装置で使用される。K.-D. Roeth及びK. Rinnの論文“Maskenmetrologie mit der LEICA LMS IPRO fuer die Halbleiterproduktion”(Mitteilungen fuer Wissenschaft und Technik Bd. XI, No. 5, 130-135頁, 1997年10月)にそのような座標測定装置の一例が記載されている。この装置は、例えばマスクやウェハ等の基板上の構造要素のエッジの座標の高精度測定に用いられる。
【0004】
座標測定装置は、x方向及びy方向に水平に摺動可能な、上述の技術分野の測定テーブル装置を有する。この測定テーブル装置は、そのエッジの座標が測定されるべき構造を有する基板を受容するために使用される。更に、測定テーブル装置の各座標軸(x軸及びy軸)には、別々の干渉計測定光路が配される。測定テーブル装置の互いに垂直に配される2つの側部には、2つの干渉計測定光路の各端部に位置する測定ミラーが取り付けられる。この2つの測定ミラーによって、測定テーブル装置の位置を干渉的に求めることができる。
【0005】
座標測定装置は、更に、光軸,結像装置(例えばマイクロ対物レンズ系)及び結像された構造のための検出装置(例えば高解像度デジタルカメラ又は位置感受性検出器)を有する投下光照明装置を有する。ある構造の測定されるべきエッジの測定座標は、測定テーブル装置の干渉的に測定された実際の位置と、測定されるべき構造の光軸に対する距離とから求められる。このため、測定テーブル装置−位置の干渉的測定の際に得られる位置決め精度は、基板上の構造のエッジの座標の測定に直接影響を与える。適正な測定結果を得るために(所謂アッベ面(Abbeschen Ebene)の)正確に規定された合焦面へ光学的に走査を行なわなければならないので、高さ推移精度(Hoehen-Ablaufgenauigkeit)に関するこの理想的な面からのズレのため、同時に誤差要素が測定結果に入り込む。
【0006】
上述の技術分野の座標測定装置は、5nmより小さい領域の再現可能性で座標を求めるために用いられる。この測定精度は、xy位置決め精度及び高さ推移精度に本質的に依存しているので、測定テーブルの構造(組立)に対しての要求は極めて大きくなる。
【0007】
上述の座標測定装置の座標測定テーブル装置は、互いに重ねられて配される以下の要素:
1)直線的x方向案内要素を有する定置の基底部材、
2)基底部材の上方に配され、直線的x方向案内要素に沿って滑動すると共に、第一駆動要素が配属されかつ直線的y方向案内要素と固定的に結合する中間部材、及び
3)中間部材の上方に配され、y方向案内要素に沿って滑動し、xy方向で位置決め可能に構成されると共に、第二駆動要素が配属される、基板を受容するためのテーブル
を有する。
【0008】
x方向案内要素は、基底部材の中央部に、例えば中間部材を案内する切削溝として形成される。幅広に形成された中間部材は、x方向案内要素を横断(quer)するように配され、x方向案内要素と共に可動の十字構造を形成する。そのため、このテーブル構造は、「クロス(十字)テーブル(Kreuztisch)」という名称で当業者によく知られている。中間部材は、その中心軸上に、y方向案内要素を担持し、かつx方向案内要素の両側部で全部で3つの空気(圧)式移送支持体(Tragluftlager)によって、基底部材の表面に対して支持される。このため、安定な三点支持構造が得られる。
【0009】
テーブルは、その運動に関し、y方向案内要素によって案内され、かつ中間部材上に架空状態で配設される。その際、テーブルは、x方向案内要素の両側部へ向う全部で4つの空気(圧)式移送支持体によって,即ちx方向案内要素の各側部に付きそれぞれ2つの空気(圧)式移送支持体によって、基底部材の表面に対して支持される。4つの載置面を有する支持構造は冗長的なので、4つの空気(圧)式移送支持体の内の1つを、弾性的な空気(圧)式移送支持体として構成し、基底部材の表面の非平坦性(凹凸、起伏等)を補償することもできる。
【0010】
一定の周囲温度において適正な測定結果を得られるように座標測定装置を作動しなければならないので、座標測定装置は、空調室(環境制御室)に設置される。各工場毎に、空調室内で種々異なる周囲温度が要求される。そのため、装置は、20〜23℃の温度範囲から選択される温度に従って作動される。この温度の相違によって、座標測定装置の個々の構成部材に、各素材の異なる(熱)膨張が生じる。このことは、他方で、空気(圧)式支持体(空気ベアリング:Luftlager)のエアギャップ(Luftspalte)を変化させる。そのため、空気(圧)式案内支持体(Fuehrungsluftlager)の一部も弾性的(federnd)に構成された。そして、各案内要素には、それぞれ、空気(圧)式案内支持体が、案内要素の一方の側部に弾性的に配され、案内要素の反対側の(他方の)側部には、空気(圧)式案内支持体が非弾性的に(固定的に)配された。
【0011】
空気(圧)式移送支持体も空気(圧)式案内支持体も、非常に小さいエアギャップ(その大きさは3〜4μm)のものが選択された。各案内面の非平坦性への適合(順応)化は、弾性的に支持される各空気(圧)式移送支持体ないし空気(圧)式案内支持体によって行われる。狭いエアギャップの高さは、非常に公差感受性であり(公差が厳しく)かつ従って精密に調節されなければならない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、弾性的な空気(圧)式支持体は、実用上、問題があることが明らかとなっている。というのは、弾性的空気(圧)式支持体は、測定テーブル装置が運動する際及び基板の重量が種々異なる場合、テーブルの小さな傾き、従ってテーブルのねじれを生じさせることがあるからである。更に、基底部材表面の非平坦性によって引き起こされる中間部材の高さ推移の不正確性が、y方向案内要素を介してテーブルにも伝達されることがある。このため、目標とされる(到達される)xy位置に応じて干渉利用位置測定(の結果)は変化し、従って測定精度に直接影響が及ぶ。
【0013】
更に、この測定テーブル装置は、(テーブル)中央部にy方向直線移動要素を有する中間部材が走行するので基板に対し透過光照明を行なうことができないという点で不利である。更に、既知の測定テーブル装置は、最大で220mmまでの大きさの基板に対してしか適合しない。より大きい基板に対する適合化のための、測定テーブル装置の個々の要素の大型化は、振動問題を悪化させるだけであろう。
【0014】
それゆえ、本発明の第一の課題は、投下光測定に対しても透過光測定に対しても適合し、将来開発されるべき一層より大きくかつより重い基板(等の被検体)(直径300mm以上)に対しても適合し、及び同時にはっきりと改善されたxy推移精度と改善された高さ推移精度とを有する座標測定テーブル装置を提供することである。
【0015】
更に、本発明の第二の課題は、投下光測定に対しても透過光測定に対しても適合し、将来開発されるべき一層より大きくかつより重い基板(等の被検体)(直径300mm以上)に対しても適合し、及び同時にはっきりと改善されたxy推移精度と改善された高さ推移精度とを有する、基板(等の被検体)の構造要素のエッジ(等の特徴)の座標を高精度に測定するための座標測定装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の視点によれば、上記第一の課題を解決するために、互いに重ねられて配設される以下の要素:即ちA)直線的x方向案内要素を有する定置的基底部材;B)前記基底部材の上方に配され、前記直線的x方向案内要素に沿って第一駆動要素により滑動すると共に、直線的y方向案内要素と固定的に結合する中間部材;C)前記中間部材の上方に配され、前記y方向案内要素に沿って第二駆動要素により滑動し、xy方向で位置決め可能に構成されると共に、基板(等の被検体)を受容するためのテーブルを有し、干渉利用位置測定手段を有する座標測定テーブル装置が提供される。この座標測定テーブル装置において、a)前記中間部材が、前記基底部材の上方に自由に架空状態で(直接束縛ないし接触しないで:frei)配設(架空設置)されると共に、その一方の端部が、前記y方向案内要素によって支持され、かつその他方の端部が、付加的に配される支持要素によって支持されること、b)前記y方向案内要素、前記支持要素及び前記テーブルが、前記基底部材の表面に対して滑動可能に支持され、かつ該y方向案内要素及び該付加的支持要素と、該テーブルとは、互いに独立に駆動されること、c)前記基底部材、前記中間部材及び前記テーブルが、それぞれ、透過光(通過)領域のための内部開口を有すること、及びd)前記第一駆動要素及び前記第二駆動要素が、前記基底部材に対しそれぞれ位置固定的に配設されることを特徴とする(形態1・第一基本構成)。
【0017】
更に、本発明の第二の視点において、上記第二の課題を解決するために、A)直線的x方向案内要素を有する定置的基底部材;該基底部材の上方に配され、該直線的x方向案内要素に沿って滑動する中間部材;及び該中間部材の上方に配され、y方向案内要素に沿って滑動し、xy方向で位置決め可能に構成される、基板等の被検体を受容するためのテーブルを有し干渉利用位置測定手段を有するxy方向可走座標測定テーブル装置、並びにB)光軸、結像装置及び検出装置を有すると共に、該光軸に対する測定されるべきエッジ(等の特徴)の座標を求めるための照明装置を有し、基板等の被検体の構造要素のエッジ(等の特徴)の座標の高精度測定をするための座標測定装置が提供される。この座標測定装置において、a)前記中間部材が、前記基底部材の上方に自由に架空状態で(直接束縛ないし接触しないで:frei)配設(架空設置)されると共に、その一方の端部が、前記y方向案内要素によって支持され、かつその他方の端部が、付加的に配される支持要素によって支持されること、b)前記y方向案内要素、前記支持要素及び前記テーブルが、前記基底部材の表面に対して滑動可能に支持され、かつ該y方向案内要素及び該付加的支持要素と、該テーブルとは、互いに独立に駆動されること、c)前記測定テーブル装置の基底部材、中間部材及びテーブルが、それぞれ、透過光(通過)領域のための内部開口を有し、かつ前記照明装置が、前記基板等の被検体の投下光及び透過光照明のために配されること、及びd)前記測定テーブル装置の中間部材は、第一駆動要素によって駆動され、かつ該測定テーブル装置のテーブルは、第二駆動要素によって駆動されると共に、該第一駆動要素及び該第二駆動要素が、該測定テーブル装置の基底部材に対しそれぞれ位置固定的に配設されることを特徴とする(第二基本構成)。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を示すが、これらは従属請求項の対象になりうる。
(2)座標測定テーブル装置において、前記テーブル、前記y方向案内要素及び前記支持要素の下部(ないし下面)に、該テーブル、該y方向案内要素及び該支持要素を前記基底部材上で支持する複数の空気(圧)式移送支持体が配されることが好ましい(形態2)。
(3)座標測定テーブル装置において、前記中間部材が、横方向に(並置される)2つの中間部材側部要素を有し、かつ該2つの中間部材側部要素の間に配される少なくとも1つのスベーサ要素を有すること、前記中間部材側部要素には、前記x方向案内要素に対向するよう支持されかつ前記中間部材のx方向運動を案内する複数の空気(圧)式案内支持体が配されること、及び前記空気(圧)式案内支持体のエアギャップの幅が、前記x方向案内要素の幅と前記スベーサ要素の幅の差によって、不変的に規定されることが好ましい(形態3)。
(4)座標測定テーブル装置において、前記テーブルに、直接的に又は把持要素を介して、y方向直線移動要素が配されること、前記y方向直線移動要素に、前記y方向案内要素に対向するよう支持されかつ前記テーブルのy方向運動を案内する複数の空気(圧)式案内支持体が配されること、及び前記空気(圧)式案内支持体のエアギャップの幅が、前記y方向案内要素の幅と前記y方向直線移動要素の幅の差によって、不変的に規定されることが好ましい(形態4)。
(5)座標測定テーブル装置において、x方向案内要素が、基底部材の内部形成溝として、又は基底部材上に隆起ないし突出するレールとして形成されることが好ましい(形態5)。
(6)座標測定テーブル装置において、空気(圧)式案内支持体が、高度に平坦な取付面を有し、かつ該取付面によって、該取付面のために設けられ同様に高度に平坦な中間部材側部要素の取付面に取り付けられると共に、空気(圧)式案内支持体のエアギャップの幅ないし厚さが、x方向案内要素の幅とスベーサ要素の幅との差によって不変的に規定されることが好ましい(形態6)。
(7)座標測定テーブル装置において、基底部材及びスベーサ要素が、実質的に同一の(熱)膨張係数を有することが好ましい(形態7)。
(8)座標測定テーブル装置において、基底部材及びスベーサ要素が、同じ材料から構成されることが好ましい(形態8)。
(9)座標測定テーブル装置において、空気(圧)式案内支持体が、高度に平坦な取付面を有し、かつ該取付面によって、該取付面のために設けられ同様に高度に平坦なy方向直線移動要素の取付面に取り付けられると共に、空気(圧)式案内支持体のエアギャップの幅ないし厚さが、y方向案内要素の幅とy方向直線移動要素の幅との差によって不変的に規定されることが好ましい(形態9)。
(10)座標測定テーブル装置において、a)直線的y方向案内要素が、内部に延在する案内溝を有すること、及びb)テーブルには、y方向直線移動要素を担持するための少なくとも1つの把持要素が配設され、該y方向直線移動要素には、該案内溝に嵌入してその内(側)面に近接対向しかつテーブルのy方向運動を案内する複数の空気(圧)式案内支持体が配設されることが好ましい(形態10)。
(11)座標測定テーブル装置において、a)直線的y方向案内要素が、レールとして構成されること、及びb)テーブルには、y方向直線移動要素を担持するための少なくとも1つの把持要素が配設され、該y方向直線移動要素には、該レールの外側面に近接対向しかつテーブルのy方向運動を案内する複数の空気(圧)式案内支持体が配設されることが好ましい(形態11)。
(12)座標測定テーブル装置において、y方向直線移動要素及びy方向案内要素が、実質的に同一の(熱)膨張係数を有することが好ましい(形態12)。
(13)座標測定テーブル装置において、y方向直線移動要素及びy方向案内要素が、同じ材料から構成されることが好ましい(形態13)。
【0019】
上述の課題を解決するためには、互いに重ねられる要素、即ち基底部材、中間部材及びテーブルを大きい基板に適合させることやそれらを相応に大型化するだけでは十分ではなかった。なぜなら、そのために要求される著しく拡大された運動領域によって、測定テーブル装置も大きくかつ重くなり、振動問題も悪化しただけであったからである。このため、まず、構造の著しい不安定化及び高さ推移精度の低下が引き起こされた。更に、x方向及びy方向のために案内要素が必要なので、透過光照明構造を形成することができなかった。即ち、上述の課題を解決するためには根本的に異なる手段を講じなければならなかったのである。
【0020】
本発明の基本思想は、新規な構造における公差の連鎖をはっきり低減させるという点にある。これは、例えば、(従来は)z方向、即ちテーブルの高さの方向への機械的公差の総計が低減されなければならなかったということを意味する。このため、(従来は)z方向において、互いに結合する個々の機械的部材に関する公差が、xy平面内でテーブルの極めて良好な推移精度が達成されるよう、組立ないし設計の際に計算され、製造技術上顧慮され、かつ低減されなければならなかった。
【0021】
これを解決するため、テーブル構造の機械的コンセプトが徹底的に変化され、「クロス(十字)テーブル」のコンセプトとは全く異なるものが提供されることとなった。そのため、従来技術の座標測定テーブル装置では、中間部材は、担持部材を構成し、その長手方向対称軸上にy方向案内要素を担持した。これとは異なり、本発明の測定テーブル装置では、y方向案内要素は担持要素へ、中間部材は被担持要素へと転換された。このため、y方向案内要素は、中間部材の対称軸から離隔して配され、中間部材の一方の端部に担持部材として配された。中間部材の他方の端部は、付加的な支持要素に懸架された(取り付けられた)。このようにして、中間部材は、架空状態に配され、その際、y方向案内要素及び付加的に配される支持要素によって、担持される。
【0022】
更に、この架空される中間部材によって初めて、透過光照明構造を実現化する手段が提供された。というのは、y方向案内要素は、常に、中間手段の中央部(中心)から遠くに離隔して配され、そのため測定テーブル装置の中央部(中心)の外部に配されるからである。そのため、基底部材、中間部材及びテーブルには、枠状の開口が形成され、このようにして透過光(通過)領域が形成された。
【0023】
y方向案内要素及び支持要素は、空気(圧)式移送支持体(空気ベアリング)によって基底部材の表面上に載置される。y方向案内要素は非常に長く、(付加的)支持要素はできるだけ短くなるような大きさにされた。更に、中間部材のx方向の長さ、従ってy方向案内要素と(付加的)支持要素との間の距離は、できるだけ大きくなるように選択され、そのため、空気(圧)式支持体は、互いに大きな間隔をあけて配されることが可能となった。このため、傾動運動のない測定テーブル装置の大きな推移安定性を達成することができた。同時に、長い中間部材は、枠状の開口をx方向にできるだけ長く形成することが可能となった。
【0024】
従来技術の座標測定テーブル装置では、座標測定テーブル装置の個々の構造部材の複雑な公差の連鎖を顧慮しなければならなかった。そのため、例えば、テーブル、中間部材及び基底部材の表面平坦性、中間部材上でy方向案内要素の寸法安定性、各空気(圧)式移送支持体の公差(浮揚高さ、取付面の平坦性)、及び空気(圧)式案内支持体の調節精度が、公差の計算に入り込んだ。その際、個々の構造要素のそれぞれに対し、形状、位置及び寸法に関する複数の(通常は3つ又はそれ以上の)公差が維持されなければならなかった。それにも拘らず、空気(圧)式案内支持体のエアギャップは、なお個別に調節されなければならなかった。公差感受性(公差の厳しい)部材はどれも製造コストがより大きくなった。
【0025】
当該従来技術の座標測定テーブル装置に対し、本発明の座標測定テーブル装置では、公差の計算に関連する面(関連面)は、基底部材の平坦な表面である。テーブルは、非弾性的な空気(圧)式移送支持体によって滑動的に基底部材上で支持される。その公差は、同じ関連面、即ち基底部材の平坦な表面に関連される。例えば中間部材、テーブル、y方向案内要素及びy方向直線移動要素等の本発明の座標測定テーブル装置の各部材は、形状、位置及び寸法に関する2つまでの公差のみを維持すればよい。例えば、空気(圧)式移送支持体(空気ベアリング)が配設されるテーブルの下面のみが、高平坦性に形成されればよい。基底部材の表面の平坦性は、本発明の座標測定テーブル装置の高さ推移精度(理想的なz面からのズレ)全体を規定する。
【0026】
空気(圧)式移送支持体及び空気(圧)式案内支持体のエアギャップの間隔は、境界を形成する部材によって固定的に設定されるため、空気(圧)式移送支持体及び空気(圧)式案内支持体のエアギャップはもはや調節する必要がなく、構造(組立体)は、従来の座標測定テーブル装置の場合に比べて、全体としてより堅固(構造安定的)であり、従って振動影響性がより小さい(振動の影響を受け難い)。そのため、本発明の測定テーブル装置では、推移精度及び位置決め精度は著しく改善される。このため、更に、測定されるべき基板(被測定対象)を受容するための座標測定テーブル装置が配設される座標測定装置の測定精度が改善される。
【0027】
基底部材は、通常、花崗岩から製造される。振動の緩衝の理由から、大きな花崗岩のブロック(これは、振動緩衝器によって支持される)が使用される。y方向案内要素及び支持要素並びにテーブルは、それらの平坦な下面を介し、空気(圧)式移送支持体によって、基底部材(花崗岩)の表面によって支持される。空気(圧)式移送支持体は全て同じ厚さのものが選択され、空気(圧)式移送支持体の厚さの絶対公差は、凡そ2μmのレベルにある。このような構成は、支持体(ベアリング)の保守サービスに関して有利である。というのは、損傷した支持体を交換する場合、調節作業は必然的ではないからである。使用される空気(圧)式移送支持体は全て同一なので、部材の種類を減らすことができ、支持体を個別特有に製造する必要もない。空気(圧)式移送支持体については、十分な浮揚高さ(即ち空気の層)のみが要求される。
【0028】
空気(圧)式案内支持体の場合も、弾性的支持構造は全く採用されなかった。空気(圧)式案内支持体は、厚さ公差非依存性である。固定(取付)面と、空気が噴出する走行面のみが、正確に(1つの)面内に位置していればよい。これは、例えば、固定(取付)面と走行面を一緒に研磨することによって達成される。空気(圧)式案内支持体の調節も不要となるが、これは、エアギャップの幅が(互いに)境界を画成する部材によって固定的(確定的)に予め決められているからである。
【0029】
本発明の座標測定テーブル装置の一実施形態において、x方向案内(運動)及びy方向案内(運動)が、温度的に補償されて構成されていればとりわけ有利である。そのため、座標測定テーブル装置のx方向案内要素ないしy方向案内要素のための案内支持体が取り付けられている部材は、x方向案内要素ないしy方向案内要素に関し温度的に補償される。このことは、座標測定テーブル装置の当該部材(これらには案内支持体が取り付けられている)の幅が、それに相対する空気(圧)式支持体の取付面間の間隔を規定し、従って生成される案内空気層の幅(従って案内特性)に直接影響を与えるので、重要である。
【0030】
案内支持体が取り付けられる部材の温度補償のために、当該部材は、x方向案内要素ないしy方向案内要素(これらとの間で、空気(圧)式案内支持体は、エアギャップを形成することによって案内運動を引き起こす)の(実施形態に応じ)切削形成される溝又は隆起するレールの材料と同じ材料から選択される。更に、x方向案内及びy方向案内が異なる膨張態様を有さないようにするために、(x方向及びy方向のための)2つの案内要素も同じ材料から選択された。例えば、基底部材、従ってx方向案内要素は、花崗岩から形成されるので、y方向案内要素も花崗岩から形成された。
【0031】
それゆえ、案内支持体が取り付けられる部材も花崗岩から製造された。更に、当該部材が2つの案内空気層の分だけ上記の溝より幅狭になるように、ないし当該部材が2つの案内空気層の分だけ上記のレール自体より幅広になるように、該部材は寸法が取られる。
【0032】
このようにして、案内支持体が取り付けられる上記部材は、x方向案内要素ないしy方向案内要素の(実施形態に応じ)溝又はレール(を構成する材料)と正確に同じ(熱)膨張係数を有する。このため、座標測定テーブル装置の周囲温度が異なる場合でも、案内運動のために予め定められた空気(圧)式案内支持体のエアギャップが常に不変のまま維持されることが保証される。このため、従来の案内構造と比べて、案内精度の著しい向上が達成される。
【0033】
本発明の測定テーブル装置の有利な一実施形態では、x方向及びy方向のための駆動要素が、それぞれ基底部材に対し位置固定的に配されることにより、高さ推移精度が更に改善された。x方向に可動の中間部材及びy方向に可動のテーブルへの力の伝達は、例えばそれぞれ少なくとも1つの連接棒(これは摩擦結合によってそれぞれのモータと機能的に結合する)によって行われる。このようにして、座標測定テーブル装置の高さ推移精度及び位置決め精度は、運動範囲全体に亘って一定であることが可能となる。
【0034】
このような構成は、複数のモータの内の1つがテーブルと共に運動する従来の座標測定テーブル装置と比べて明らかに有利である。従来の座標測定テーブル装置の場合、テーブルと一緒に運動するモータ自体の重量により、テーブルにまだ被検体が載置されていない状態で早くも測定テーブル装置全体のたわみ等の変形が起こり、そのため、そのxy位置に応じて位置決め精度に悪影響が及ぼされる。更に、本発明の座標測定テーブル装置では、電線は最早(テーブルと)一緒に運動する必要がないので、各モータへの電線の配線が簡素化される。このため、一方では、電線の疲労ないし磨耗が低減し、他方では、座標測定テーブル装置の振動が低減する。従来の座標測定テーブル装置の位置決め誤差は一定ではなく、測定位置に依存し、更に載置される基板等の被検体の重量にも依存するので、位置決め誤差は、測定されるエッジの座標から計算によって除去することはできなかった。
【0035】
これに対し、本発明の座標測定テーブル装置は、到達可能な全てのxy位置のための位置固定的に配設される駆動要素によって、運動経路に依存しない位置決め誤差値を有する。この位置決め誤差値は、計算的にかつ測定技術的に把握することができるものである。更に、それぞれ載置される重量も一定に維持される。そのため、測定されるべき基板等の被検体は、透過光測定のために、それぞれ特別に割当てられるフレーム内に載置され、当該フレームと一緒にテーブル上に載置される。その際、種々異なる基板等の被検体に関し、そのような基板等の被検体の各々の重量と当該基板等の被検体に配属されるフレームの重量の合計は一定に維持される。これによって、この位置決め誤差値に対しても、測定されるべき構造の座標を計算する際に、(計算的ないし機械的に)誤差補正を行なうことができる。
【0036】
【実施例】
本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、特許請求の範囲に付した図面参照符号は、発明の理解の容易化のためであり、本発明を図示の態様に限定することを意図しない。また、以下の実施例も発明の理解の容易化のために過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において当業者により実施可能な付加・置換等を排除することも意図しない。なお、この点に関しては、出願から補正後に至るまで同様である。
【0037】
図1は、従来技術の座標測定テーブル装置1(これは既知の座標測定装置で使用される)の模式平面図である。この装置1では、x方向案内要素3は、切削形成溝として基底部材2に形成されている。基底部材2自体は、位置固定的に配設されるが、測定テーブル装置1の運動要素のための滑動面として利用される平坦な表面を有する。その運動(被動)要素は、基底部材2の上方に配される中間部材4及び当該中間部材4の上方に配されるテーブル5からなる。中間部材4は、x方向案内要素3(の案内軸)に対し(その長手軸が)直交するように配され、基底部材2の(x方向案内要素3の案内軸の直交方向の)長さ(幅)の大部分に亘って延在する。中間部材4は、その上面の長手方向の中央部を通過する軸上にy方向案内要素6(これは通常取付載置レールとして配設される)を担持する。中間部材4自体は、その下面が空気(圧)式案内支持体8によってx方向案内要素3内へ嵌入しているので、x方向に運動する。そのx方向運動の際の基底部材2上での支持は、3つの空気(圧)式移送支持体7によって行われる。
【0038】
x方向案内要素3に沿った中間部材4の摺動運動は、第一駆動要素9によって行われる。第一駆動要素9の回転運動は、溝として形成されるx方向案内要素3内で縦方向に延在する第一連接棒10によって、中間部材4の直線運動へと変換される。
【0039】
中間部材4の一方の端部には、その上面に、第二駆動要素11が載置される。第二駆動要素11は、中間部材4が運動するとき、中間部材4と一緒に運動する。第二駆動要素11の回転運動は、第二連接棒12によって、直線運動に変換され、中間部材4の上方に配されるテーブル5に伝達される。テーブル5は、中間部材4の長手方向の両側辺部からそれぞれ中間部材4の外方へ延出し、4つの空気(圧)式移送支持体7によって、基底部材2の表面で滑動するよう支持される。4つの当接面による支持形態は冗長的(過剰に支点を備える)なので、4つの支持要素は、弾性的に(federnd)支持されることになる。テーブル5は、第二駆動要素11によってy方向に摺動されるが、その際、y方法案内要素6によって案内される。y方向案内要素6に対する支持も、空気(圧)式案内支持体8によって行われる。
【0040】
図2は、本発明の座標測定テーブル装置の一例の部品展開図である。基底部材2は、好ましくは花崗岩から形成される。基底部材2は、x方向案内要素3が形成され、x方向案内要素3は、この実施例では、基底部材2の表面に内部延在溝として形成される。この溝は、案内面として、μmレベルの精度で平坦に加工された正確に平行な(2つの)外側面を有する。x方向案内要素を基底部材の表面に隆起(突出)するレールとして構成することも可能であろう。しかしながら、その場合、座標測定テーブル装置の構造全体は、x方向案内要素を溝として構成する場合に比べて遥かに高さがより大きくかつ重量もより大きくなるであろう。基底部材2の上方には、中間部材4が配され、更に中間部材4の上方には、多少横方向にずらされて、テーブル5が配される。
【0041】
中間部材4は、y方向案内要素6と付加的な支持要素13とに(各端部で)架着することにより、基底部材2の上方で、自由に架空状態で(直接束縛ないし接触しないで:frei)配設(架空設置)される。y方向案内要素6と付加的支持要素13の下面には、空気(圧)式移送支持体(支持空気ベアリング:Tragluftlager)7が配設される(なお、噴出されるべき「空気」には、窒素ガスその他の気体も含まれうる)。この空気(圧)式移送支持体7によって、付加的支持要素13、中間部材4及びy方向案内要素6から構成される橋状ユニットは、基底部材2上で滑動可能に支持される。大きな耐傾動安定性を達成するために、付加的支持要素13とy方向案内要素6は、できるだけ縦長に構成された。そのため、付加的支持要素13及びy方向案内要素6の下部に位置する空気(圧)式移送支持体7は、夫々当該各要素同士の間の距離ができるだけ大きくなるように、かつ他方で、付加的支持要素13ないしy方向案内要素6の自重によるたわみが、それぞれ最小になるように、即ちほぼゼロになるように、配設されることが可能となった。中間部材4の構造の詳細は、図3に示した。
【0042】
自由に架空設置される中間部材4には、複数の空気(圧)式案内支持体(Fuehrungsluftlager)8が配設され(図2では部分的に覆われてよく見えない。なお、噴出されるべき「空気」には、窒素ガスその他の気体も含まれうる)、空気(圧)式案内支持体8は、中間部材4の(厚さの)寸法を大きく越えて(中間部材4の内部から)下方へ突出し、x方向案内要素(図2では、溝として構成されている)3内へ嵌入する。この空気(圧)式案内支持体8は、x方向案内要素3に沿った中間部材4のx方向運動の正確な案内を引き起こす。このx方向運動の作動は、基底部材2に位置固定的に配設される第一駆動要素9によって行われる。例えばステップモータ又はリニアモータとして構成されうるこの駆動要素9の回動運動は、第一連接棒10によって中間部材4へ伝達される。中間部材4は、y方向に、x方向案内要素3の横幅より僅かに大きく(その両側に)張り出している。というのは、中間部材4には、x方向案内のための空気(圧)式案内支持体8が結合されているだけでよいからである。幅狭の中間部材4の両側部に対しては、テーブル5が基底部材2の表面でのx方向及びy方向への運動の際に支持される大きな自由走行領域が形成される。
【0043】
テーブル5は、そのy方向案内要素6を指向する外側部に、2つの把持要素14を有する。この把持要素14には、y方向直線移動要素15が取り付けられる。このy方向直線移動要素15は、その(長さ及び)幅に亘って、y方向案内要素6に沿って延在(架空状態で架設)され、座標測定テーブル装置1が組み立てられた状態では、このy方向案内要素6の上方に配される。
【0044】
y方向直線移動要素15は、その長手方向の両外側部に、共通に高平坦性の取付面15aをそれぞれ有する。取付面15aは、把持要素14のためにも複数の空気(圧)式案内支持体8のためにも利用される。空気(圧)式案内支持体8には、空気噴出開口8aによって、エアクッション(Luftpolster)が生成されるが、空気噴出開口8aは、案内レールとして作動するy方向案内要素6の外側面と相対(対向)する。そのため、y方向案内要素6とy方向直線移動要素15の外側面は、互いに高精度に平行に形成されている。
【0045】
y方向直線移動要素15は、その両側に配設される空気(圧)式案内支持体8によって形成されるエアギャップ(Luftspalt)ないしエアクッションの2つ分の厚さだけ正確にy方向案内要素6の横幅よりも幅広に形成される。y方向案内要素6もy方向直線移動要素15も、同じ熱膨張特性を保証するために、同じ材料(好ましくは花崗岩)から製造される。これによって、y方向直線移動要素15の空気(圧)式案内支持体8は、テーブル5の温度補償された精密なy方向案内の構成に資する。
【0046】
このy方向運動は、基底部材2に位置固定的に配設される第二駆動要素11によって行われる。第二駆動要素11の回動運動は、第二連接棒(従動スライド部材)12によって、テーブル5へ伝達される。第二駆動要素11は、例えば、ステップモータ又はリニアモータから構成される。第二連接棒12によるこの力伝達は、テーブル5の任意のx位置の全てに対して保証されなければならないので、第二連接棒12は、リング空気軸受16によって、x方向に延在する連接棒(図2では円柱状に形成されている)17と連結する。
【0047】
空気(圧)式移送支持体7は、すべて、中間部材4及びテーブル5の下部の研磨された面に取り付けられる。そのため、空気(圧)式移送支持体7のねじれや傾きは阻止されることになる。案内面の公差のためのあそびをより大きくするために、空気(圧)式移送支持体7の浮揚高さ(Flughoehe)は、凡そ5μmに設定される。従来技術の場合のような弾性的空気(圧)式移送支持体7は存在せず、花崗岩の表面の非平坦性は、比較的大きいあそびによって補償される。これまで述べたものと同じエアギャップは、x方向案内要素3及びy方向案内要素6についても使用される。
【0048】
例えば中間部材4、テーブル5、y方向案内要素6及びy方向直線移動要素15等の本発明の座標測定テーブル装置1の個々の要素ないし部材は、形状、位置及び寸法に関し、公差が2つまで(1又は2)維持されていればよい。そのため、例えば、y方向直線移動要素15では、空気(圧)式案内支持体8を受容するための互いに平行な2つの高精度外側面と、当該2つの外側面の間の距離についての高精度寸法公差のみが必要とされる。テーブル5の場合は、例えば、空気(圧)式移送支持体7が取り付けられるその下面が、高精度で、研磨された(1つの)面内に位置していればよい。第二の(維持されるべき)公差として、把持要素14が取り付けられるテーブル5の外側面が、上記下面の研磨された面に対し高精度で直角に配されていればよい。
【0049】
座標測定テーブル装置の、熱膨張の際に角度誤差が生じる可能性がある部材は、熱膨張性の小さい材料、例えばINVAR鋼(商品名又は商標名)から製造される。この角度誤差が生じ得る部材としては、例えば、中間部材4、支持要素13及びテーブル5が挙げられる。そのような部材ないし要素に熱膨張性の小さい材料を使用することにより、測定結果に対する周囲の熱的影響を最小化することができる。y方向案内要素は、上述の通り、好ましくは花崗岩から製造されるが、これは、上述のx方向案内及びy方向案内の温度補償のために必要だからである。
【0050】
座標測定テーブル装置1に関し、透過光照明による測定を実行可能にするために、本発明では、基底部材2、中間部材4及びテーブル5は、それぞれ(1つの)内部(貫通)開口18を有する。この場合、内部開口18は、基底部材2のものが最も小さく形成され、中間部材4とテーブル5に関しては、それらの走行範囲に対応してより大きく形成される。
【0051】
図3に、座標測定テーブル装置1の中間部材4の一例の詳細を示した。中間部材4には、空気(圧)式案内支持体8が配設される。
【0052】
図3では、架空設置される中間部材4は、中間部材4が架着されるy方向案内要素6及び付加的支持要素13を伴わずに記載されている。中間部材4は、少なくとも1つのスベーサ要素4cによって互いに結合される2つの中間部材側部要素4a、4bを含む。この実施例では、2つの中間部材側部要素4a、4bの間に2つのスベーサ要素4cが配設される。スベーサ要素4cは、基底部材2(不図示)と接触せず、従って同様に架空状態に配される。スベーサ要素4cは、空気(圧)式案内支持体8の設置を可能にするための自由空間を形成する切欠4dを有する。空気(圧)式案内支持体8は、平坦性の大きい取付面8bによって、中間部材側部要素4a、4bの、空気(圧)式案内支持体8のために設けられた、同様に平坦性の大きい取付面4eに取り付けられる。この場合、空気(圧)式案内支持体8は、その近くに位置するスベーサ要素4cと接触しないように配設される。
【0053】
空気(圧)式案内支持体8の配置を明確化するために、図3では、中間部材側部要素4aは、空気(圧)式案内支持体8の1つに関し、部分的に切り取って開放し、当該空気(圧)式案内支持体8が見えるような状態で示した。これから分かることは、空気(圧)式案内支持体8は、スベーサ要素4cの内側に形成される切欠4d内に配され、かつ中間部材4の下方寸法(厚さ)を大幅に越えて下方に突出しているということである。空気(圧)式案内支持体8の下方に延出する部分の外側面には、本来の空気(圧)式支持体(空気ベアリング:Luftlager)の空気噴出開口8aが形成される。
【0054】
1つないし全ての空気(圧)式案内支持体8の下方に延出するこの部分によって、この空気(圧)式案内支持体8は、基底部材2(不図示)の溝として構成されたx方向案内要素3(不図示)へ嵌入する。このとき、空気噴出開口8aは、x方向案内要素3を構成する溝の内部側面の方向を指向する。図を完全にするために、第一連接棒を一緒に示した。
【0055】
中間部材4は、(上述のように)種々異なる周囲温度下で作動される高精度座標測定装置のための座標測定テーブル装置1の構成要素の1つをなす。そのため、x及びyの2つの方向への案内全体が、温度補償されるべきであろう。このことは、この実施例では、スベーサ要素4cが、花崗岩から製造され、従って同様に花崗岩からなるx方向案内要素3と同じ(熱)膨張係数を有することによって達成された。スベーサ要素4cは、溝、即ちx方向案内要素3の内幅よりもエアギャップ2つ分だけ幅狭に構成される。これによって、スベーサ要素4cの横幅は、空気(圧)式案内支持体8のエアギャップの幅(厚さ)を固定的に設定(規定)する。スベーサ要素4cの熱膨張が、溝の熱膨張と常に同一であることにより、空気(圧)式案内支持体8のエアギャップの幅(厚さ)が常に不変のままであることが保証される。これによって、x方向の案内の精度は、周囲の温度に依存しない(影響を受けない)こととなる。
【0056】
図4は、本発明の座標測定テーブル装置1の完成体の斜視図である。基底部材2は、その上方に中間部材4が配される。中間部材4は、y方向案内要素6と付加的支持要素13とに架着されている。y方向案内要素6と付加的支持要素13は、何れも空気(圧)式移送支持体7によって基底部材2の平坦な表面上で支持され、かつその上で滑動可能に構成される。中間部材4をx方向へ摺動させるために、基底部材2は、溝として構成されるx方向案内要素3を有する。中間部材4に配される空気(圧)式案内支持体8は、x方向の運動を案内するためにx方向案内要素3内に嵌入するが、そのため図4では表示されていない。x方向の運動を行うために、中間部材4は、第一連接棒10と結合し、第一連接棒10は、第一駆動要素9の回動運動を中間部材4へ伝達する。
【0057】
中間部材4の上方には、中間部材4から(両側へ)大きく延出するテーブル5が配される。テーブル5は、複数の空気(圧)式移送支持体7によって同様に基底部材2の表面上で支持され、かつy方向案内要素6に沿ってy方向に滑動可能に構成される。このy方向案内要素6は、x方向に可動な中間部材4を担持するので、テーブル5(のx方向の運動)は、中間部材4のx方向への各運動に強制的に従わせられる。
【0058】
y方向案内要素6を指向するテーブル5の外側面には、y方向直線移動要素15が取り付けられる2つの把持要素14が配設される。y方向直線移動要素15には、外側面に複数の空気(圧)式案内支持体8が配設される。これら空気(圧)式案内支持体8は、y方向案内要素6の外側面に相対するよう支持され、y方向案内要素6に沿ったテーブル5の精密な運動を保証する。y方向運動を行うために、基底部材2には、第二駆動要素11が位置固定的に配設され、第二駆動要素11の回動運動は、第二連接棒12によってテーブル5へ伝達される。この伝達を行うため、第二連接棒12は、リング空気軸受16を有するその一方の端部によって、x方向に延在する連接棒17と連結する。
第二駆動要素11としては、通例モータドライブ(DCモータ又はステップモータ)が用いられ、その出力軸は、第二連接棒12の第1側面に密接される。この密接は、例えば、押圧ローラ(図示外)で第二連接棒を他の第2側面へ押圧して行われ、少なくとも1つのバネで押圧力を与える。その結果、この押圧力により、第二連接棒に、モータドライブ出力軸及び押圧ローラの間に密接状態が維持され、モータドライブ出力軸の回転は、第二連接棒12の線形運動に変換される。
モータドライブの出力は、通例モータの回転速度に依存するトルクを出力する。被動すべきテーブル5はかなり重いので、高速回転モータの場合減速機構を要する。座標測定テーブルは、約30nm以下の高精度位置決めを必要とするので、通例モータに組込んだギア機構により、減速する。この場合、モータドライブ(ユニット)の出力は、摩擦ローラを介して第二連接棒12に伝達される。なお、この点は第一駆動要素と第一連接棒についても同様であるが、いずれもそれ自体公知の技術から適宜選択して用いることができる。
【0059】
基底部材2、中間部材4及びテーブル5は、互いに重なり合うそれぞれ1つの内部開口18を有し、これら内部開口18によって、透過光照明測定のための透過光(通過)領域が確保される。
【0060】
図5は、投下光照明と透過光照明を組み合わせて行ないうる本発明の座標測定装置の一実施例である。
【0061】
この実施例の座標測定装置は、振動緩衝要素20上で支持されかつ座標測定テーブル装置1の(図2〜図4の基底部材2に対応する)基底部材を構成する花崗岩ブロック19を有する。そのため、花崗岩ブロック19は、その上面にx方向案内要素3としてx方向形成される切削溝を有し、かつ内部開口18を有する。
【0062】
花崗岩ブロック19の上方には、座標測定テーブル装置1の、内部開口18を有する中間部材4が架空的に配される。中間部材4は、y方向案内要素6と付加的支持要素13とに架着される。y方向案内要素6と付加的支持要素13は、空気(圧)式移送支持体7によって、高精度に平坦な花崗岩ブロック19の表面上で滑動可能に構成される。中間部材4の確実なx方向への案内を保証するために、中間部材4には、複数の空気(圧)式案内支持体8(図5では破線で表した)が取り付けられ、これら空気(圧)式案内支持体8は、x方向案内要素3(即ち溝)内に嵌入し、空気(圧)式案内支持体8のエアクッションによってこの溝の内側面に沿って滑動する。中間部材4は、駆動要素(不図示)によって運動する。
【0063】
中間部材4の上方には、同様に内部開口18が形成されたテーブル5が配される。テーブル5は、空気(圧)式移送支持体7によって花崗岩ブロック19の表面上を滑動可能に構成される。テーブル5は、y方向では、駆動要素(不図示)によって運動する。y方向での確実な案内を達成するために、テーブル5は、y方向案内要素6に沿って案内される。そのため、テーブル5は、把持要素14と固定的に結合し、把持要素14には、y方向案内要素6の上方に位置するy方向直線移動要素15が取り付けられる。このy方向直線移動要素15は、y方向案内要素6から(横方向にないし長手軸の直交方向に)延出し、その外側面に複数の空気(圧)式案内支持体8を有する。空気(圧)式案内支持体8は、そのエアクッションによって、y方向案内要素6の外側面に沿って滑動し、従って、y方向への精密な案内を保証する。
【0064】
x方向では、テーブル5は、中間部材4のx方向の運動に強制的に従わせれられる。このようにして、テーブル5は、x方向及びy方向の任意の位置をとることが可能となる。テーブル5の位置は、x方向及びy方向に関し、それぞれ1つのレーザ干渉計システム21(図5では1つのみ示した)によって測定される。
【0065】
テーブル5上には、マスク22等の被検体が載置される。マスク22は、例えば、石英ガラスから製造される。マスクの表面上には、構造(Strukturen)23(特に図示せず)が形成されている。花崗岩ブロック19(即ち基底部材)、中間部材4及びテーブル5は、フレーム(中抜き構造)として構成されているので、マスク22は、内部開口18を介して、下方から透過光によって照明されることが可能となる。
【0066】
マスク22の上方には、光学的に高品位ないし高品質の結像システムとして、対物レンズ系24が配される。対物レンズ系24は、合焦を行うために、その光軸25に沿ってz方向に(位置)調節可能に構成される。ビームスプリッタ26を介して、一方では、投下光光源からの光が(結像)光路に差込入射され、他方では、結像光線が検出装置28へ向けて偏向される。検出装置28は、例えば、高解像度の画素アレイを有するCCDカメラ又はその他の空間解像検出器が使用される。投下光光源27は、例えば、近紫外スペクトル領域の光を放射する。検出装置28によって、構造23の位置が、マスク上の座標として検出される。座標の検出は、通常、参照点ないし標定点(もしくは基準点:Bezugspunkt)に対して行われる。
【0067】
花崗岩ブロック19の内部及び下部には、更なる照明装置として、高さ調節可能なコンデンサ29と透過光光源30とを有する透過光照明装置が配設される。透過光光源30から、光軸25を有する透過光照明光路が開始される。透過光光源30からの光は、できるだけ大きな入射開口数(例えば、NA=0.60)を有する拡開入射結合光学系(Einkoppeloptik)31に受容される。この受容された光は、入射結合光学系31によって光導波路32へ入射結合される。好ましくはアクロマート(色消しレンズ)として構成される射出結合光学系(Auskoppeloptik)33は、光導波路32から放射される光をコリメートする。
【0068】
コンデンサ29の光軸は、対物レンズ系24の光軸25と整列する(同軸をなす)。コンデンサ29の高さ調節は、構造23に向けられるべき照明光線を種々異なる光学厚さを有するマスク22に適合させるために行われる。コンデンサの頭部は、図5に示したとおり、とりわけ測定テーブル装置フレームの内部開口の内部にまで到達し得る。しかしながら、テーブル5がマスク表面の全範囲に亘ってxy摺動運動する際、コンデンサ29を、損傷を回避するために、花崗岩ブロック19の表面下に降下させることも可能である。光源30及び27は、互いに独立にオンオフ切換え可能である。このため、投下光照明及び透過光照明による測定を一方のみで又は交替的に行なうことが可能である。
【0069】
【発明の効果】
本発明の独立請求項1及び5により、所定の課題として掲げた効果が上述の通りそれぞれ達成される。即ち、本発明の第一の座標測定テーブル装置は、投下光測定だけでなく透過光測定も行なうことができ、将来開発されるべき一層より大きくかつより重い基板等の被検体(直径300mm以上)に対しても、装置自体の大型化かつ振動問題の悪化を引き起こすこともなく、更に同時にxy推移精度をはっきりと改善しかつ高さ推移精度を改善することが可能である。
更に、本発明の第二の座標測定装置は、投下光測定だけでなく透過光測定も行なうことができ、将来開発されるべき一層より大きくかつより重い基板等の被検体(直径300mm以上)に対しても、装置自体の大型化かつ振動問題の悪化を引き起こすこともなく、更に同時にxy推移精度をはっきりと改善しかつ高さ推移精度を改善することが可能である。
各従属請求項により、更に付加的な効果がそれぞれ達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の座標測定テーブル装置の上面図。
【図2】本発明の座標測定テーブル装置の一例の部品展開図。
【図3】図2の座標測定テーブル装置の中間部材の詳細。
【図4】本発明の座標測定テーブル装置の一例の斜視図。
【図5】本発明の座標測定装置の一例の縦断面図。
【符号の説明】
1 座標測定テーブル装置
2 基底部材
3 x方向案内要素
4 中間部材
4a 中間部材側部要素
4b 中間部材側部要素
4c スベーサ要素
4d 切欠
4e 空気(圧)式案内支持体のための取付面
5 テーブル
6 y方向案内要素
7 空気(圧)式移送支持体
8 空気(圧)式案内支持体
8a 空気噴出開口
8b 空気(圧)式案内支持体の取付面
9 第一駆動要素
10 第一連接棒
11 第二駆動要素
12 第二連接棒
13 付加的支持要素
14 把持要素
15 y方向直線移動要素
15a 取付面
16 リング空気軸受
17 連接棒
18 内部開口
19 花崗岩ブロック
20 振動緩衝要素
21 レーザ干渉計システム
22 マスク
23 構造
24 対物レンズ系
25 光軸
26 ビームスプリッタ
27 投下光光源
28 検出装置
29 コンデンサ
30 透過光光源
31 入射結合光学系
32 光導波路
33 射出結合光学系

Claims (5)

  1. 互いに重ねられて配される以下の要素:即ち
    A)直線的x方向案内要素(3)を有する定置的基底部材(2);
    B)前記基底部材(2)の上方に配され、前記直線的x方向案内要素(3)に沿って第一駆動要素(9)により滑動すると共に、直線的y方向案内要素(6)と固定的に結合する中間部材(4);
    C)前記中間部材(4)の上方に配され、前記y方向案内要素(6)に沿って第二駆動要素(11)により滑動し、xy方向で位置決め可能に構成されると共に、基板を受容するためのテーブル(5)
    を有し、干渉利用位置測定手段を有する座標測定テーブル装置において、
    a)前記中間部材(4)は、前記基底部材(2)の上方に自由に架空状態で配設されると共に、その一方の端部は、前記y方向案内要素(6)によって担持され、かつその他方の端部は、付加的に配される支持要素(13)によって担持されること、
    b)前記y方向案内要素(6)、前記付加的支持要素(13)及び前記テーブル(5)は、前記基底部材(2)の表面に対して滑動可能に支持され、かつ該y方向案内要素(6)及び該付加的支持要素(13)と、該テーブル(5)とは、互いに独立に駆動されること、
    c)前記基底部材(2)、前記中間部材(4)及び前記テーブル(5)は、それぞれ、透過光領域のための内部開口(18)を有すること、及び
    d)前記第一駆動要素(9)及び前記第二駆動要素(11)は、前記基底部材(2)に対しそれぞれ位置固定的に配設されること
    を特徴とする座標測定テーブル装置。
  2. 前記テーブル(5)、前記y方向案内要素(6)及び前記支持要素(13)の下部には、該テーブル(5)、該y方向案内要素(6)及び該支持要素(13)を前記基底部材(2)上で支持する複数の空気式移送支持体(7)が配される
    ことを特徴とする請求項1に記載の座標測定テーブル装置。
  3. 前記中間部材(4)は、横方向に2つの中間部材側部要素(4a、4b)を有し、かつ該2つの中間部材側部要素(4a、4b)の間に配される少なくとも1つのスベーサ要素(4c)を有すること、
    前記中間部材側部要素(4a、4b)には、前記x方向案内要素(3)に対向するよう支持されかつ前記中間部材(4)のx方向運動を案内する複数の空気式案内支持体(8)が配されること、及び
    前記空気式案内支持体(8)のエアギャップの幅は、前記x方向案内要素(3)の幅と前記スベーサ要素(4c)の幅の差によって、不変的に規定されること
    を特徴とする請求項2に記載の座標測定テーブル装置。
  4. 前記テーブル(5)には、直接的に又は把持要素(14)を介して、y方向直線移動要素(15)が配されること、
    前記y方向直線移動要素(15)には、前記y方向案内要素(6)に対向するよう支持されかつ前記テーブル(5)のy方向運動を案内する複数の空気式案内支持体(8)が配されること、及び
    前記空気式案内支持体(8)のエアギャップの幅は、前記y方向案内要素(6)の幅と前記y方向直線移動要素(15)の幅の差によって、不変的に規定されること
    を特徴とする請求項1に記載の座標測定テーブル装置。
  5. A)直線的x方向案内要素(3)を有する定置的基底部材(2);該基底部材(2)の上方に配され、該直線的x方向案内要素(3)に沿って滑動する中間部材(4);及び該中間部材(4)の上方に配され、y方向案内要素(6)に沿って滑動し、xy方向で位置決め可能に構成される、被検体を受容するためのテーブル(5)を有し干渉利用位置測定手段を有するxy方向可走座標測定テーブル装置(1)、並びに
    B)光軸(25)、結像装置(24)及び検出装置(28)を有すると共に、該光軸(25)に対する測定されるべきエッジの座標を求めるための照明装置
    を有し、被検体(22)の構造要素(23)のエッジの座標の高精度測定をするための座標測定装置において、
    a)前記中間部材(4)は、前記基底部材(2)の上方に自由に架空状態で配設されると共に、その一方の端部は、前記y方向案内要素(6)によって担持され、かつその他方の端部は、付加的に配される支持要素(13)によって担持されること、
    b)前記y方向案内要素(6)、前記付加的支持要素(13)及び前記テーブル(5)は、前記基底部材(2)の表面に対して滑動可能に支持され、かつ該y方向案内要素(6)及び該付加的支持要素(13)と、該テーブル(5)とは、互いに独立に駆動されること、
    c)前記測定テーブル装置の基底部材(2)、中間部材(4)及びテーブル(5)は、それぞれ、透過光領域のための内部開口(18)を有し、かつ前記照明装置は、前記被検体(22)の投下光及び透過光照明のために配されること、及び
    d)前記測定テーブル装置の中間部材(4)は、第一駆動要素(9)によって駆動され、かつ該測定テーブル装置のテーブル(5)は、第二駆動要素(11)によって駆動されると共に、該第一駆動要素(9)及び該第二駆動要素(11)は、該測定テーブル装置の基底部材(2)に対しそれぞれ位置固定的に配設されること
    を特徴とする座標測定装置。
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