JP3969577B2 - 排ガス処理用触媒および排ガス処理方法 - Google Patents

排ガス処理用触媒および排ガス処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス処理用触媒および排ガス処理方法に関する。詳しくは、ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンその他の各種燃焼装置等から排出される排ガスに含まれる低濃度COを効率的に処理する排ガス処理用触媒と、この排ガス処理用触媒を用いた排ガス処理方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなど各種燃焼装置から排出される燃焼排ガス中には、燃焼装置、運転条件などによりそれぞれ異なるが、一般的に未燃燃料由来の揮発性有機化合物、COやNOX、SOXが有害成分として含有されている。これら燃焼装置では、燃焼効率あるいは熱効率を高めるために、また燃焼排ガス中の揮発性有機化合物、CO、NOXを減じることを目的として、燃焼時における供給空気量を、燃料ガスを完全燃焼させるに必要な理論空気量より多くして燃焼をおこなうことが多い。このような燃焼状態の制御などにより燃焼排ガス中の揮発性有機化合物、CO、NOXは減少されてきているが、それでもなお、揮発性有機化合物や微量のCOが残存しており、このためこれら有害成分を処理する必要があるが、これら燃焼排ガス中には、余剰空気量に対応した多量の酸素および燃焼の結果生成する水蒸気が含まれており、このためその中の揮発性有機化合物や微量COを酸化して処理するには、これらが含まれていてもなお有効に適用し得る処理触媒および処理方法の開発が必要となる。
【0003】
これまで、燃料に対して理論空気比に近い条件で燃焼を行う燃焼装置から排出される燃焼排ガスの浄化用としては、この排ガスには酸素はほとんど含まれず、NOX、COおよび未燃の揮発性有機化合物が含まれているため、例えばPt,Rh/アルミナ触媒等の三元触媒が用いられ、現に実用化されている。この使用形態としては上記排ガスを約500〜700℃の条件下においてPt,Rh/アルミナ触媒(ハニカム触媒)を通すことにより実施され、これにより排ガス中のNOX、COおよび未燃の揮発性有機化合物を同時に除去するものである。
しかし、この方法で対象とする被処理排ガスは、その由来からして、その中に酸素がほとんど含まれず、しかも処理温度として約500〜700℃の条件下において実施することを前提とするため、このCO酸化除去法は、多量の酸素および水蒸気が含まれ、また通常300〜500℃程度で排出され、しかも低濃度のCOを含有する排ガス中におけるCOの酸化処理方法としては直ちに有効に適応することはできない。
【0004】
また、ガスタービンなどから排出される排ガス中のCOは、内燃機関やコークス炉などから排出される排ガス中のCO(数千ppm〜数%)と比較してその濃度は希薄であり、100ppm以下であることが多いが、ガス中に含まれているCO濃度が希薄になればそれだけCOの高効率除去は困難なものとなる。それは以下の理由による。CO酸化反応は発熱反応であり、排ガス中にCOが数千ppm以上となるような高濃度で含まれている場合、CO酸化反応により触媒自体の温度が上昇し、その結果、CO酸化反応が促進されてCO除去が容易となるが、排ガス中のCO濃度が100ppm以下であるような低濃度である場合、このような効果が期待できない。また、CO酸化反応は、触媒表面の活性点に気相中のCOが拡散、接触して反応が起こると考えられるが、排ガス中のCO濃度が希薄になり低濃度となるほど、拡散が緩慢となり、接触回数が減少し、反応が起こりにくくなる。
【0005】
すなわち、排ガス中のCO濃度が100ppm以下となるような低濃度のCOを高効率で酸化除去するには、上述したような要因に対してもその悪影響を受けず、CO酸化活性を発揮できる触媒である必要がある。
一方、温度300〜500℃程度で排出され、酸素や水蒸気を多量に含有する排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する方法としては、例えば、特開平7−241467、特開平7−241468号公報に希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度CO酸化除去方法が記載されている。特開平7−241467号公報では、希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する触媒および方法に係るものであるが、この触媒はハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒であって、かつ白金担持量を1.2〜2.5g/リットルとすることを特徴とするというものである。他方、特開平7−241468号公報は、希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度COを酸化して無害化する触媒および方法に係るものであるが、触媒としてハニカム担体に担持した白金−パラジウム/アルミナあるいは白金−ロジウム/アルミナ触媒を使用することを特徴とするというものである。
【0006】
特開平7−241467号公報記載の技術では、希薄燃焼ガスエンジンから排出される排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去するためにはハニカム担体にアルミナとともに担持される白金の担持量を1.2〜2.5g/リットルの範囲とすることが必要であり、白金担持量を1g/リットル以下へと低減させた場合、排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去することができなかった。また、特開平7−241468号公報記載の技術では、ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒を白金−パラジウム/アルミナあるいは白金−ロジウム/アルミナ触媒とすることで特開平7−241467号公報技術にみられた問題点、すなわち、排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して有効に酸化、除去するために白金担持量を増加させ、ある特定範囲としなければならないという制限を受けることなく白金担持量を選択できるとしている。しかし、そのためには白金と同類の高価な貴金属であるパラジウムあるいはロジウムを白金とともに担持させる必要があり、貴金属担持量という点では依然として低減されてはいなかった。
【0007】
高濃度の酸素や水蒸気を含み、しかも、通常、300〜500℃程度の高い温度を有する低濃度CO含有排ガスに長時間曝される(熱的負荷を受ける)と、触媒性能の低下が発生しやすいが、上記2公報では、触媒活性成分である白金担持量を特定の担持量となるように増加して担持させる、または、白金とパラジウムあるいは白金とロジウムといった形で貴金属を組み合わせて使用する、ことにより、熱的負荷による触媒性能の低下を抑制して、排ガス中の低濃度COを長期にわたり安定して除去、酸化しようとするものである。
貴金属を担持した低濃度CO除去触媒では、貴金属の担持量を増やせば、触媒機能が向上することが予想されるが、担持量を増やす分だけ貴金属の材料コストが増大し、経済性の劣るものとなる。しかも、排ガス中にSOXが含まれる場合には、SO2→SO3転化率が高くなって、SO3による配管腐食などの問題が発生する。また、排ガス中のSOXは触媒性能自体へ影響を及ぼすことが考えられ、低濃度CO含有排ガスを処理する触媒には排ガス中のSOXに対する耐性も有している必要がある。しかし、特開平7−241467号公報、特開平7−241468号公報では排ガス中の低濃度COを酸化・無害化する際のSOXの影響に関してはまったく触れられていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低濃度CO含有排ガス中のCOを長期にわたり安定して高い効率で除去できる低濃度CO含有排ガス処理用触媒および該排ガス処理用触媒を用いた排ガス処理方法を提供することにある。かつ、触媒材料コストを低く抑えた低濃度CO除去用触媒を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者が種々の元素に関して検討した結果、排ガス中に含まれている低濃度COを処理するに際し、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも一種の貴金属元素からなる触媒成分Aを含む触媒、または、該触媒成分Aと必要に応じてさらに周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bをも含む触媒に、さらに触媒の全体量に対してリン原子換算百分率で0.005〜10重量%のリン化合物を含有させると、SO2酸化を低く維持しつつ、排ガス中の低濃度COを長期間効率良く除去できることがわかった。
【0010】
リン化合物を、触媒の全体量に対してリン原子換算百分率で0.005〜10重量%含有させることにより、排ガス中の低濃度COを長期間効率良く除去可能となる理由については、現状では明らかでない部分が多いが、以下のように推測している。本発明のように特定の割合で触媒にリン化合物を含有させると、高濃度の酸素および水蒸気を含んだ300〜500℃程度の高温の排ガスを長時間処理した場合に発生しやすい触媒自体の物性変化、例えば、比表面積、細孔構造、結晶構造などの物性変化を抑制し、その結果として触媒自体の性能変化が起こりにくくなり、触媒の熱的劣化を抑制することができると考えられる。そのため、貴金属担持量を増加させることなく、熱的負荷に対して耐性を有する触媒が得られ、高濃度の酸素および水蒸気を含んだ高温の排ガス流通下に長時間曝されても高活性を維持できる触媒となるのである。
【0011】
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明にかかる排ガス処理用触媒は、CO濃度100ppm以下の低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、チタン系酸化物を担体とし、該担体は、前記チタン系酸化物を押出成形してなるハニカム成形体であって、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなるとともに、周期律表第I〜 III 族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bも担持されてなり、その内部にはリン化合物が触媒の全体量に対してリン原子換算百分率で0.005〜10重量%含まれていることを特徴とする。
また、本発明にかかる排ガス処理方法は、CO濃度100ppm以下の低濃度CO含有排ガスを上記本発明の排ガス処理用触媒と接触させる工程(a)を含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔低濃度CO含有排ガス〕
通常の各種産業装置や設備から排出される低濃度CO含有排ガスに適用できる。具体的には、ボイラー、ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、加熱炉、その他各種工業プロセスの燃焼排ガスが挙げられる。
燃焼排ガスの場合には、燃料由来の成分であるが燃焼されなかった未燃の揮発性有機化合物が含まれ、環境への悪影響が問題とされている。本発明の排ガス処理触媒は、低濃度COに加え揮発性有機化合物を含む排ガスの処理にも有効である。
【0013】
排ガスは、本発明の排ガス処理触媒による処理工程を行う前に、各種の排ガス処理が施されている場合がある。したがって、前記供給源から排出された段階の排ガスと、本発明の排ガス処理触媒で排ガス処理する段階の排ガスとは、その成分が異なっている場合がある。
本発明は、従来の排ガス処理触媒では効率的な処理が行ない難い低濃度CO含有排ガスに有効である。具体的にはCO濃度が100ppm以下の排ガスに適している。
排ガスは、供給源からの排出条件や排ガス処理を行うまでの履歴によって、温度条件や速度が変わる。
【0014】
〔触媒材料〕
触媒材料としては、基本的には、通常の排ガス処理触媒と共通する材料の中から選択して使用することができる。
<担体>
担体としては、チタン系酸化物を使用する。チタン系酸化物は、Tiのみからなる酸化物(酸化チタン)であってもよいし、Si、AlおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とTiとを複合化させてなる複合酸化物であってもよい。また、このような複合酸化物とTiのみからなる酸化物との混合物であってもよいし、Si、AlおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなる酸化物とTiのみからなる酸化物(酸化チタン)との混合物であってもよい。
【0015】
上記複合酸化物または上記混合物においては、Tiの含有量は、該複合酸化物または該混合物全体中のTiと他の元素との合計モル数に対して5〜95モル%であることが好ましく、より好ましくは、20〜95モル%である。
チタン系酸化物からなる担体は、単に触媒成分を担持する機能を担っているだけでなく、チタン系酸化物担体上に担持される触媒成分の担持状態を低濃度COの除去に対して好適な状態に保ち、その排ガス処理機能を高める働きに寄与している。その結果、触媒成分の担持量を増加させることなく高いCO除去性能が得られる。
【0016】
特に、Ti−Si複合酸化物を用いると、SO2酸化率が低く、かつ、排ガス浄化性能に優れるものが得られるので好ましい。
担体の製造は、通常の触媒材料となる金属酸化物からなる担体の製造技術が適用される。Ti−Si複合酸化物の調製も、通常のTi−Si複合酸化物と同様の手段が採用でき、特開昭53−146991号公報、特願2000−99593号の明細書等などに開示された技術や、硫酸チタンのような可溶性チタン化合物の溶液にシリカゾルを添加した混合溶液を80〜その沸点の温度で加熱して加水分解(熱加水分解)して得られた固体生成物を水洗、乾燥後、200〜800℃で焼成する技術などが挙げられる。特に、本願特許出願人が先に特許出願している特願2000−99593号の明細書等に開示された技術が、好ましい技術として挙げられる。
【0017】
担体となる金属酸化物を供給する原料として、予め用意された金属酸化物をそのまま使用するほかに、焼成によって酸化物を生成する材料が使用できる。具体的には、無機および有機のいずれの化合物でもよく、例えば、所定の金属を含む水酸化物、アンモニウム塩、アンミン錯体、シュウ酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アルコキシドなどを用いることができる。
<触媒成分A>
触媒成分Aとして、貴金属元素が使用できる。具体的には、たとえば、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびAu等が使用できる。
【0018】
触媒成分Aの供給原料としては通常の触媒製造などに利用されている材料が使用できる。具体的には、硝酸塩、ハロゲン化物、アンモニウム塩、アンミン錯体、水酸化物などが挙げられる。
担体への触媒成分Aの担持手段としては、基本的には通常の貴金属担持金属酸化物触媒と共通する手段が採用できる。担体に触媒成分Aを担持させる処理工程では、触媒成分Aを担体の表面から内部方向にかけて均等に担持せることもできるし、担体の外表面近傍に偏在させて担持させることもできるが、担体の外表面近傍に触媒成分Aを偏在させて担持させることが好ましい。
【0019】
高い空間速度(SV)で触媒と排ガスを接触させて排ガス中の低濃度COを除去するような場合、触媒による浄化作用はその大部分が、触媒の表層部分で起こっていると考えられる。このような場合、排ガスが接触する触媒表層部分に触媒成分Aを偏在させて担持させておくことで、触媒による排ガスの処理効率が高まるからである。
触媒成分Aの担持量は、材料の組み合わせや担持処理の条件などによっても異なるが、通常は、触媒の全体量に対して触媒成分Aを0.05〜2.0重量%の範囲、好ましくは0.01〜1.0重量%の範囲で用いる。触媒成分Aの担持量が少なすぎると触媒活性が低くなる。触媒成分Aの担持量が多すぎても、活性向上に対する効果は望めず、経済性を損なうのみであるからである。
【0020】
触媒成分Aは、通常、粒子の形態で担体に担持される。触媒成分Aの粒径としては、平均粒子径30nm以下のものが好ましく、さらに好ましくは20nm以下である。触媒成分Aの粒子径が小さく、高分散化された状態であるほど、活性が高くなる。
<触媒成分B>
触媒成分Bとして、周期律表第I〜III族に含まれる少なくとも一種の元素が使用できる。具体的には、たとえば、Na、Li、Mg、Ca、YおよびLa等が挙げられる。
【0021】
触媒成分Bの供給原料としては、特に限定はされず、通常の触媒製造などに利用されている1種または2種以上の材料が使用できるが、好ましくは有機酸塩、アルコキシド、有機金属錯体など分子中に有機酸などの有機成分を含んでいるものを例示することができる。
触媒成分Bの担持方法も、特に限定はされず、通常の触媒製造に利用されている方法にて担持させることができる。
触媒成分Bの担持量は、触媒の全体量に対して0.01〜20重量%の範囲、好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。触媒成分Bの担持量が少なすぎるとその効果が得られず、上記範囲を超えて担持量を増加させても、活性向上に対する効果は望めず、逆に活性を低下させることもある。
【0022】
担持順序に関しても特に限定されない。触媒成分Aを担持した後に触媒成分Bを担持してもよいし、また、触媒成分Aを担持する前に触媒成分Bを担持してもよいし、触媒成分Aと触媒成分Bを同時に担持してよいが、触媒成分Aと触媒成分Bを同時に担持するのが好ましい。
<リン化合物>
リン化合物の供給原料としては、特に限定はされず、例えば、無機性リン化合物、有機性リン化合物として挙げられるものを好ましく用いることができるが、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等の水溶性リン化合物を用いることが特に好ましい。
【0023】
触媒にリン化合物を含有させる方法としては、特に限定されないが、例えば、担体であるチタン系酸化物を任意の形状に成形する工程において上記リン化合物を添加して成形してもよいし、チタン系酸化物を製造する際にリンを含有する出発原料を使用してリン化合物が含有されるようにすることもできる。また、通常の触媒製造に用いられている手段と同様に、チタン系酸化物からなる担体をリン化合物の供給原料を含む水溶液に浸漬してリン化合物を含有させることもできる。
担持順序に関しても、特に限定されず、触媒成分Aや触媒成分Bと同時にリン化合物を担持させてもよいし、触媒成分Aと触媒成分Bとを担持した後にリン化合物を担持させてもよく、さまざまな順序にてリン化合物を触媒に含有させることが可能であるが、触媒成分Aや触媒成分Bを担持する前にチタン系酸化物にリン化合物を含有させるのが好ましい。
【0024】
担体中でのリン化合物の含有形態としては、特に限定されるわけではなく、担体中に均一に含有されていてもよいし、リン化合物の含有濃度に濃度勾配(濃度分布)を有するような含有形態、たとえば、担体表面付近での含有量が多く、担体内部方向にかけて含有量が少なくなるような形態であってもよいが、なかでも担体中に均一に含有されていることが好ましい。ここで、担体中に均一に含有されているとは、担体表面から内部方向においてリン化合物の濃度が大幅に変化しない状態でリン化合物が担体中に含有されていることを意味し、この均一性は、エレクトロン・プローブ・マイクロ・アナライザ(EPMA)を用いて、担体の外表面から内部方向にかけてリン原子について線分析測定を行って得られる担体断面方向とX線強度との関係を示す図において、X線強度の平均値をAとし、担体断面の任意部分でのX線強度をBとした時、下記式(1)で計算される数値Cにより評価することができる。下記式(1)で算出される数値Cは、担体内部におけるリン化合物の濃度変化の小ささを表すものである。
【0025】
【数1】
Figure 0003969577
【0026】
(式中、Biは測定値、nは測定数、Aは測定値平均である。)
本発明の排ガス処理触媒に含有されるリン化合物の含有形態としては、上記式(1)にて計算される数値が、30以下であることが好ましく推奨され、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。
測定箇所は、上記EPMAによる線分析測定により得られた担体断面方向とX線強度との関係を示す図における任意の異なる断面測定箇所を20箇所程度選択して計算すればよい。
リン化合物の含有量としては、触媒の全体量に対してリン原子換算百分率で0.005〜10重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜5重量%の範囲である。リン化合物の含有量が0.005重量%未満であると、リン化合物含有による熱的劣化抑制効果が十分発揮できないおそれがあり、また、リン化合物の含有量が10重量%を超える場合は、活性成分に対して被毒成分となり逆に活性を低下させてしまうおそれがある。
【0027】
<触媒成分C:その他触媒成分>
触媒成分Aおよびリン化合物、または、触媒成分A、触媒成分Bおよびリン化合物を含む触媒に、V、W、Mo、Cu、Mn、Ni、Co、CrおよびFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(触媒成分C)を、さらに含有させることができる。これら触媒成分Cが加わることで、低濃度CO排ガスに対する処理効率がさらに向上したり、脱硝機能を付与させたりすることができる。
触媒成分Cの供給原料としては、特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている1種または2種以上の材料を使用することができる。担持方法に関しても、特に限定されず、通常の触媒製造に利用されている方法にて触媒へ担持させることができる。担持順序に関しても、特に限定されないが、触媒成分Aおよびリン化合物を含む触媒の場合は、チタン系酸化物にリンを含有させた後に、触媒成分Aと触媒成分Cを同時に担持する、または、触媒成分Aを担持した後に触媒成分Cを担持することが好ましい。触媒成分A、触媒成分Bおよびリン化合物を含む触媒の場合は、チタン系酸化物にリンを含有させた後に、触媒成分Aおよび触媒成分Bと触媒成分Cとを同時に担持する、または、触媒成分Aと触媒成分Bとを担持した後に触媒成分Cを担持することが好ましい。なお、触媒成分B、Cは、触媒成分Aと同様に触媒の表面に偏在させていてもよいし、偏在させなくてもよい。
【0028】
チタン系酸化物担体に種々の供給原料から所定の担持量となるように触媒成分を担持した後、乾燥および焼成処理を行う。乾燥は、通常、空気雰囲気下、窒素雰囲気下あるいはこれらのガスの流通下で、50〜200℃の温度範囲にて、1〜24時間処理して行うことができる。焼成は、200〜900℃の温度範囲にて、1〜10時間熱処理して行うことができる。通常、空気雰囲気下あるいは空気流通下にて行うが、空気に代えて窒素または水素などの還元性ガスを含んだガスを用いることもできる。
触媒成分を担持させた担体からなる触媒は、微細な細孔を有する多孔質構造である。細孔の量によって、排ガスの流通や触媒成分粒子の担持に影響を与える。通常は、全細孔容積が0.2〜0.8cm3/g(水銀圧入法)の範囲が適切である。細孔容積が少な過ぎると、触媒活性が低くなるおそれがあり、細孔容積が多過ぎると、触媒の機械的強度が低くなるおそれがある。
【0029】
触媒の比表面積も、性能に影響を与える。通常、比表面積30〜250m/g(BET法)の範囲が採用され、40〜200m/gが好ましい。比表面積が小さ過ぎると、触媒活性が十分でなくなるおそれがあり、比表面積が大き過ぎると、触媒活性はそれほど向上しないのに、触媒被毒成分の蓄積が増加したり触媒寿命が低下したりするなどの弊害が生じるおそれがある。
〔触媒の使用形態〕
触媒形状については、ハニカム状にて使用する。なお、上記の形状を有する触媒体は、例えば、チタン系酸化物粉体を押出し成形機にて所望の形状とした後、触媒成分を担持させたような触媒組成物のみからなる一体成形体であってもよい
【0030】
触媒は、通常、金属などで構成された容器状の触媒反応器に収容して使用される。触媒反応器には、排ガスの導入口と排出口が設けられ、内部に収容された触媒に排ガスが効率的に接触できるような構造を備えておく。
〔排ガス処理方法〕
基本的には、通常の貴金属担持金属酸化物触媒を用いた排ガス処理技術が適用される。
通常は、触媒が収容された触媒反応器を、排ガスなどの排出経路の途中に設置しておく。排ガスが触媒反応器を通過する際に、触媒の表面と接触することで、所定の触媒作用を受ける。
【0031】
本発明の触媒は、排ガスに含まれる低濃度COと未燃の揮発性有機化合物とを同時に処理することができる。
燃焼排ガスの温度や空間速度などの条件を適切に設定することで、触媒による排ガス処理の効率が向上する。例えば、ガス温度250℃〜500℃、空間速度30,000H-1〜1,000,000H-1の燃焼排ガスを処理することが好ましい。より好ましくは、ガス温度300℃〜450℃が採用でき、空間速度50,000H-1〜500,000H-1が採用できる。さらに、LV=0.1m/s(Normal)以上、あるいは、ダスト10mg/m3(Normal)以下の処理条件が好ましい。
【0032】
本発明の触媒による排ガス処理工程の、前や後に、別の排ガス処理工程を組み合わせることもできる。別の排ガス処理工程としては、本発明の触媒では処理し難い成分を効率的に処理できる工程が好ましい。例えば、脱硝触媒による排ガス処理工程を、本発明の触媒による排ガス処理工程と組み合わせれば、脱硝触媒で窒素酸化物を効率的に処理することができる。一方、本発明の触媒による排ガス処理工程で、さらに低濃度COおよび未燃の揮発性有機化合物をも効率的に処理することが可能になる。
上記の脱硝触媒による排ガス処理技術として、本件特許出願人が先に特許出願している特開平10−235206号公報に開示された技術が適用できる。この技術で使用する脱硝触媒は、触媒成分a(チタン酸化物)と、触媒成分b(バナジウムまたはタングステンからなる金属の酸化物)とを組み合わせ、触媒成分aに触媒成分bを担持させた構造を有する。
【0033】
特公昭63−146991号公報、特開昭62−65721号公報、特公平6−4126号公報などに記載された公知の排ガス処理方法を、本発明の排ガス処理方法と組み合わせることもできる。
本発明では、排ガス中に含まれる低濃度COを処理する触媒として、チタン系酸化物を担体とし、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなり、リン化合物が触媒の全体量に対してリン原子換算百分率で0.005〜10重量%含まれている触媒を用いているので、非常に高い触媒活性が得られるうえに、触媒の熱的劣化を抑制することができ、触媒が高温下に置かれる場合でも長期間高い触媒活性を維持することができる。その結果、ガスタービンなどから排出される大風量の低濃度CO含有排ガスを処理する方法として、非常に有効な方法となる。
【0034】
【実施例】
〔触媒の製造〕
<実施例1>
担体となるTi−Si複合酸化物の調製:
20重量%アンモニア水210リットルにスノーテックス−30(日産化学(株)製シリカゾル、約30重量%のSiO2含有)10.8kgを加え、攪拌、混合した後、硫酸チタニルの硫酸溶液(TiO2として70g/リットル、硫酸濃度310g/リットル)350リットルを攪拌しながら徐々に滴下した。得られたゲルを室温で3時間静置した後、ろ過、水洗し、次いで150℃で10時間乾燥後、500℃で5時間焼成し、更にハンマーミルを用いて粉砕し、粉体を得た。得られた粉体のX線回折チャートではTiO2やSiO2の明らかな固有ピークは認められず、ブロードな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)であることが確認された。
【0035】
ハニカム成形体の製造:
上記Ti−Si複合酸化物20kgに80重量%オルトリン酸水溶液1210gと成形助剤として澱粉400gを加えて混合し、ニーダーで混練した後、押し出し成形機で、外形80mm角、目開き2.1mm、肉厚0.4mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成することにより、ハニカム成形体を得た。
触媒成分の担持による触媒の製造:
ハニカム成形体を、ジニトロジアンミン白金水溶液に含浸した後、130℃で2時間乾燥させた。次いで、450℃で2時間、空気雰囲気下で焼成することにより、ハニカム成形体からなる担体に、触媒成分AとしてPtが担持され、さらにリン化合物が含まれている触媒Aを得た。
【0036】
得られた触媒Aの組成を分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Pt=98.1:1.5:0.4(重量比)であった。
なお、触媒組成の分析は、蛍光X線分析により行った。具体的には下記条件にて行った。
分析装置:(株)リガク製のRIX2000
分析時の試料雰囲気:真空
試料スピン速度:60rpm
X線源:Rh管球
<実施例2>
実施例1において、80重量%オルトリン酸水溶液の使用量を1210gから1220gに変更し、ジニトロジアンミン白金水溶液の代わりにジニトロジアンミン白金と酢酸マグネシウムとの混合水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を行うことにより、ハニカム成形体からなる担体に、触媒成分AとしてPt、触媒成分BとしてMgが担持され、さらにリン化合物が含まれている触媒Bを得た。
【0037】
触媒Bの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Mg:Pt=97.25:1.5:1:0.25(重量比)であった。
<実施例3>
実施例1において、80重量%オルトリン酸水溶液1210gを90重量%オルトリン酸水溶液1880gに変更した以外は、実施例1と同様の工程で、ハニカム成形体を製造した。
このハニカム成形体を、実施例2と同様にジニトロジアンミン白金と酢酸マグネシウムとの混合水溶液に含浸した後、実施例1と同様の乾燥、焼成を行うことにより、触媒Cを得た。
【0038】
触媒Cの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Mg:Pt=96.2:2.55:1:0.25(重量比)であった。
<実施例4>
実施例1において、80重量%オルトリン酸水溶液1210gを90重量%オルトリン酸水溶液5570gに変更した以外は、実施例1と同様の工程で、ハニカム成形体を製造した。このハニカム成形体を、実施例2と同様にジニトロジアンミン白金と酢酸マグネシウムとの混合水溶液に含浸した後、実施例1と同様の乾燥、焼成を行うことにより、触媒Dを得た。
【0039】
触媒Dの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Mg:Pt=91.5:7.25:1:0.25(重量比)であった。
<実施例5>
実施例1において、80重量%オルトリン酸水溶液1210gを加えなかった以外は、実施例1と同様の工程で、ハニカム成形体を製造した。
このハニカム成形体を、ジニトロジアンミン白金と酢酸カルシウムとオルトリン酸との混合水溶液に含浸した後、実施例1と同様の乾燥、焼成を行うことにより、触媒Eを得た。
【0040】
触媒Eの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Ca:Pt=98.7:0.05:1:0.25(重量比)であった。
<実施例6>
実施例1において、Ti−Si複合酸化物20kgの代わりに、市販のチタン酸化物(ミレニアム社製、商品名「DT−51」)20kgを用いた以外は、実施例1と同様の工程を行うことにより、触媒Fを得た。
触媒Fの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、TiO2:P:Pt=98.1:1.5:0.4(重量比)であった。
【0041】
<実施例7>
市販のチタン−タングステン酸化物(Ti−W酸化物、ミレニアム社製、商品名「DT−52」、TiO2:WO3=9:1(重量比))20kgに成形助剤として澱粉400gを加えて混合し、ニーダーで混練した後、押し出し成形機で、外形80mm角、目開き2.1mm、肉厚0.4mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成することにより、ハニカム成形体を得た。
このハニカム成形体を、リン酸二水素アンモニウム水溶液に含浸し、130℃で2時間乾燥後、450℃で2時間、空気雰囲気下で焼成し、次いで、ヘキサアンミン白金水酸塩と酢酸イットリウムとの混合水溶液に含浸した後、130℃で2時間乾燥し、450℃で2時間、空気雰囲気下で焼成することにより、触媒Gを得た。
【0042】
触媒Gの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−W(複合)酸化物:P:Y:Pt=98.0:0.75:1:0.25(重量比)であった。
<実施例8>
実施例1において、ジニトロジアンミン白金水溶液の代わりに、ヘキサアンミン白金水酸塩と硝酸パラジウムとの混合水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を行うことにより、触媒Hを得た。
触媒Hの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Pt:Pd=98.2:1.5:0.15:0.15(重量比)であった。
【0043】
<実施例9>
テトラエチルオルトシリケート(99%、アルドリッチ社製)10.5kgとチタニウム(IV)イソプロポキシド(97%、アルドリッチ社製)58.5kgを室温で100リットルの2−プロパノールに加え、攪拌して充分に混合した。得られた混合溶液に水11リットルを2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温で5時間攪拌して白色の生成物を得た。この生成物をろ過し、100℃で10時間乾燥後、空気雰囲気下で500℃で焼成し、更にハンマーミルを用いて粉砕し、粉体を得た。得られた粉体のX線回折チャートではTiO2やSiO2の明らかな固有ピークは認められず、ブロードな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)であることが確認された。
【0044】
上記Ti−Si複合酸化物20kgに成形助剤として澱粉400gを加えて混合し、ニーダーで混練した後、押し出し成形機で、外形80mm角、目開き2.1mm、肉厚0.4mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成することにより、ハニカム成形体を得た。
このハニカム成形体を、オルトリン酸水溶液に含浸し、130℃で2時間乾燥後、450℃で2時間、空気雰囲気下で焼成し、次いで、実施例1と同様にジニトロジアンミン白金水溶液に含浸した後、実施例1と同様の乾燥、焼成を行うことにより、触媒Iを得た。
【0045】
触媒Iの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Pt=98.9:0.7:0.4(重量比)であった。
<比較例1>
実施例9において、オルトリン酸水溶液に含浸しなかった以外は、実施例9と同様の工程で、触媒Jを得た。
触媒Jの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、P(リン)は全く含んでおらず、Ti−Si複合酸化物:Pt=99.6:0.4(重量比)であった。
【0046】
<比較例2>
実施例4で製造したハニカム成形体を、オルトリン酸水溶液に含浸し、130℃で2時間乾燥後、450℃で2時間、空気雰囲気下で乾燥し、次いで、実施例2と同様にジニトロジアンミン白金と酢酸マグネシウムとの混合水溶液に含浸した後、実施例1と同様の乾燥、焼成を行うことにより、触媒Kを得た。
触媒Kの組成を実施例1と同様の方法により分析したところ、Ti−Si複合酸化物:P:Mg:Pt=86.75:12.0:1:0.25(重量比)であった。
【0047】
〔性能評価〕
各実施例および比較例で得られた触媒を用いて、以下の性能評価試験を行った。その結果を表1に示す。
<CO除去試験>
試験条件:
排ガス組成
=CO:30ppm、SO2:30ppm、O2:8%、H2O:20%、N2:バランス
ガス温度=340℃
空間速度(STP)=90000Hr-1
CO除去率算出式:
Figure 0003969577
【0048】
【表1】
Figure 0003969577
【0049】
<熱的劣化試験>
実施例3および比較例1、2の触媒に対して、以下の方法で熱的劣化試験を行った。すなわち、上記CO除去試験におけるガス温度を400℃に上昇させて600時間、上記CO除去試験と同じ組成の排ガスを触媒に流通させた後、ガス温度を340℃に下げ、上記CO除去試験と同条件でCO除去性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0003969577
【0051】
表1および表2から、所定の含有量範囲内でリン化合物を含有する実施例3の触媒は、いずれも初期活性が高いだけでなく、高温下での長期使用後の活性も高く維持されることがわかる。一方、リン化合物を全く含有させなかった比較例1の触媒は、初期活性は高いものの、600時間後にはCO除去率が大きく低下する結果となった。また、所定の含有量範囲を超える多量のリン化合物を含有させた比較例2の触媒は、600時間後の性能低下は少ないが、初期活性がかえって低くなる結果となった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の排ガス処理触媒を用いれば、多量の酸素や水蒸気の存在下でも低濃度のCOや揮発性有機化合物を効率よく除去することができる。
具体的には、本発明の排ガス処理触媒は、触媒成分として、チタン系酸化物を担体とし、リン化合物を前記特定の割合で含有し、さらに前記触媒成分A、または前記触媒成分Aと前記触媒成分Bを含有していることによって排ガス処理性能が向上するとともに、触媒の熱的劣化を効果的に抑制することができ、長期間にわたり安定して高い処理効率を維持することが可能となる。

Claims (3)

  1. CO濃度100ppm以下の低濃度CO含有排ガスを処理する触媒であって、チタン系酸化物を担体とし、該担体は、前記チタン系酸化物を押出成形してなるハニカム成形体であって、少なくとも1種の貴金属元素からなる触媒成分Aが担持されてなるとともに、周期律表第I〜 III 族に含まれる少なくとも1種の元素からなる触媒成分Bも担持されてなり、その内部にはリン化合物が触媒の全体量に対してリン原子換算百分率で0.005〜10重量%含まれていることを特徴とする、排ガス処理用触媒。
  2. 前記チタン系酸化物が、酸化チタン、および/または、チタンとケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1つとからなる複合酸化物である、請求項1に記載の排ガス処理用触媒。
  3. CO濃度100ppm以下の低濃度CO含有排ガスを請求項1または2に記載の排ガス処理用触媒と接触させる工程(a)を含む、排ガス処理方法。
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