JP3969085B2 - 微細構造部を有する被洗浄体の洗浄方法と洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばLEEPL(Low Energy Electron-Beam Proximity Projection Lithography)に用いる微細透孔パターンのような微細構造部を有するLEEPLマスクに対する洗浄に適用して好適な微細構造部を有する被洗浄体の洗浄方法と洗浄装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイス等の各種電子デバイスにおいて、寸法の縮小化が著しく、その寸法は、例えば10nmオーダーへと移行している。
またこのような、微細構造部を有する例えば半導体デバイス等の製造工程において、LEEPL技術が適用される。
【0003】
このLEEPLは、例えば2kVという低加速エネルギーの電子ビームを、LEEPLマスク、いわゆるステンシルマスクを通じてフォトレジスト層に照射してパターン露光する。この場合のパターン露光は、等倍露光であることから、このLEEPLマスクは、目的とする微細パターンに応じたパターンの微細透孔が穿設された微細構造部を有する。
【0004】
上述した微細構造部を有する電子デバイスや、LEEPLマスク等の製造過程、あるいは例えばLEEPLマスクにおいては使用前もしくは使用後に微細構造部に対する付着物を除去する洗浄がなされる。
この洗浄において、微細構造部のサイズの縮小化に伴い、洗浄によって排除すべき、付着物例えばいわゆるパーティクルのサイズも小さくなり、このサイズは、微細構造部のサイズの、約1/2と考えられている。
【0005】
しかしながら、このように、小さいサイズ、例えばそのサイズが数μmより小さな付着物の除去は、現存の方法ではきわめて困難である。
これは、その付着物の被洗浄面例えば半導体基板への付着力は、その半径(体積に対する等価半径)に比例する一方で、付着物が液体や、気体などの流体から受ける力は、その半径の2乗(断面積)に比例するためである。このことは、エア・ブロウや、純粋ブラシなどの流体の作用による除去方法では、或る値より小さいサイズの付着物が除去されにくいことからも理解される。
したがって、そのような小さいサイズの付着物の除去は、通常、微細構造部が形成された基板と付着物とのζ電位の違いを利用したアルカリ性の薬液を用いたウェット洗浄法によって行われている。
【0006】
このような薬液を用いた半導体デバイス等の洗浄方法としては、大量の枚数の被洗浄体を、同時に1つの液槽で洗浄する浸漬・バッチ方式が主流である。
この場合の洗浄度は、洗浄液自体の清浄度によって決定されるが、昨今、この洗浄液の清浄度が著しく向上していることから、実際の清浄度は、バッチ処理される被洗浄体の例えば半導体ウエーハ中で最も汚れているウエーハによって決定される。
【0007】
また、この浸漬・バッチ式によるウェット洗浄法は、薬液を大量に使用することから、現在懸念されている環境問題への対策に関しても好ましくない。そして、前述したように、この場合の洗浄度は、最も汚れているウエーハによって決定されることから、ウェーハ間のクロスコンタミネーションが生じる。このため、繰り返しの洗浄を必要とすることから、より大量の薬液が使用されるものである。この使用済の薬液は、外部に放出するまでに無害化設備に循環させるものであるが、この多量の薬液の無害化処理、更に昨今の環境対策の厳格化による無害化処理の設備とその運用に投下する費用は莫大なものとなる。
【0008】
これに対し、枚葉式ウェット洗浄法においては、上述したウエーハ間のクロスコンタミネーションが生じないことから、薬液使用量は、削減され、昨今、この枚葉式が多く適用されている。
【0009】
しかしながら、被洗浄体が、10nm級の微細パターンによる微細構造部である場合、この微細構造部は、機械的強度が小さく、液体の塗布によってこれら微細構造部を損傷したり、微細部間の接触等のパターン破壊の問題が生じる。これは、微細構造部内に進入した薬液と外囲雰囲気との間の気液界面において働く液体の表面張力によって破壊されてしまうことに因る。
【0010】
この液体の表面張力は、水が約73×10-3N・m-1であり、メチルアルコールが約23×10-3N・m-1で、液体アルゴンは水の約1/7である。
これに対して、微細構造部が耐え得る最大応力は、材料がダイヤモンドの場合、0.1MPa、シリコンの場合、10-6〜10-1MPaとされる。
例えばLEEPLマスクは高さ100nm級、パターン(透孔)間隔が10nm級のステンシルマスク構造を有している。
例えば高さ100nm、パターン間隔およびパターン幅がそれぞれ50nmであるパターンに、メチルアルコールが進入した場合、これに耐え得る最大応力は、0.1MPaとなるため、マスク基板材料にシリコンを用いるとき、パターンが破壊されるおそれがある。
【0011】
これに対し、基板材料としてダイアモンドが用いられる場合は、このような破壊のおそれはないが、ダイアモンド基板は高価であるために、コスト高を来すことから、マスク基板材料としては、例えばシリコン基板が用いられることが望ましい。
【0012】
尚、このLEEPLマスクに対する洗浄は、マスクの製造過程のフォトリソグラフィにおけるフォトレジストの除去と、使用時の露光過程において付着するハイドロ・カーボン系の固着物の除去である。
【0013】
上述したパターン破壊を回避し得る洗浄方法として、温度および圧力の選定によって液体と気体の境界の状態にある超臨界流体(SCF)例えば31℃、73.8気圧という比較的低温、低圧で発生するCO2 を洗浄流体あるいは乾燥剤として用いる洗浄方法が開発された。
このような超臨界流体は、その表面張力が小さいため、洗浄や、乾燥に伴うパターン破壊を発生し難いものである。
【0014】
ところが、この超臨界流体は、その洗浄力が比較的弱いものであることが明らかになり、このような超臨界流体による洗浄方法においては、超臨界流体に助剤すなわち相溶剤を添加して洗浄力を補うという方法が採られる。
しかしながら、この超臨界状態は、高温、高圧で存在し得ることから、その助剤としては、高温、高圧で分解することがなく、また洗浄処理がなされる容器に対し低腐蝕性を有するものであることが要求されるものであって、その材料選定は、極めて難しい。
また、超臨界流体は、液体に比べると、浸透力が弱く、そのためにレジスト膜のような大面積な付着物の除去は困難であるという問題もある。
【0015】
一方、洗浄基板面に液膜を形成し、パルス光照射を行うことによって液膜を蒸発させて異物除去を行う方法の提案がなされている(特開平10−64863号公報参照)。
【0016】
更に、基板表面に相ガスを供給し、この相ガスに吸収されない波長の光を照射して基板表面や、その付着物の温度を上昇させて除去させる方法の提案もなされている(特開平8−252549号公報参照)。
この場合、基板表面したがって、微細構造部もしくはその付着物を加熱することから、この微細構造部を構成する基板は、耐熱性にすぐれた基板であることの制約がある。
【0017】
一方、洗浄処理表面に対して不活性のガスを、洗浄処理表面に層流として導入すると共に、洗浄処理表面に、その表面汚染物質を開放できるエネルギーをもって、しかしながら処理表面の結晶構造を変えるには不十分なエネルギー密度と時間を選定した高エネルギー照射を行って、汚染物質を除去する方法の提案もなされている(特許第2820534号参照)。
しかしながら、この場合、不活性ガスを用いていることから、実質、光洗浄であり、この場合上述したように、光エネルギーを、処理表面を損傷することなく、しかも良好な洗浄効果を得る光エネルギーの制御が難しい。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した諸問題、すなわち微細構造部を有する被洗浄体に対する洗浄を、微細構造部に破損を来すことなく、優れた洗浄度をもって洗浄することができるようにした洗浄方法と、これを実施する洗浄装置を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、微細構造部を有する被洗浄体の洗浄方法にあって、被洗浄体の洗浄面に超臨界流体を供給してこの洗浄面上に超臨界流体層を形成すると共に、この被洗浄体の洗浄面上の超臨界流体層中に、レーザ光を集光させて、この集光部におけるレーザ光の電界強度の大なる部分において、超臨界流体のブレークダウンを生じさせ、超臨界流体による洗浄面に対する洗浄効果を、より高める。
【0020】
また、本発明による洗浄装置は、洗浄処理チャンバーと、この洗浄処理チャンバー内に被洗浄体を配置する配置手段と、被洗浄体の洗浄面に超臨界流体を供給して、被洗浄体の洗浄面上に超臨界流体層を形成する超臨界流体の供給手段と、被洗浄体の洗浄面の上方で超臨界流体層中にレーザ光を集光させて照射するレーザ光の照射手段と、被洗浄体に供給された超臨界流体を排出する排出手段と有して成る。
【0021】
そして、その被洗浄体の洗浄面上の超臨界流体中層に、レーザ光を集光させて、この集光部におけるレーザ光の電界強度の大なる部分を、超臨界流体層中に形成する。
【0022】
上述の本発明による洗浄方法においては、超臨界流体を用い、更にレーザ光の照射を行って洗浄効果のアシストを行うことによって洗浄効果を高めることができるものであるが、特に本発明方法においては、被洗浄体の洗浄面上に超臨界流体を供給することによって、この洗浄面上に所要の厚さを有する超臨界流体層を形成し、しかもこの超臨界流体が逐次被洗浄体の洗浄面から流れ去る流れを形成するものである。
そして、この超臨界流体層中においてレーザ光の集光を行うようにしするものであり、このようにすることによってこの集光部におけるレーザ光の高い密度を有する部分における高い電界強度によって超臨界流体に含まれる分子を電気分解し絶縁破壊を生じさせるいわゆるブレークダウンを生じさせて、このブレークダウンによって超臨界流体に粗密波を発生させ、その密度の高められた部分による効果によって被洗浄体の付着物、例えばフォトレジストの残渣物による有機物を効果的に溶解し、かつこの溶解物を超臨界流体の流れと共に排除することができるものである。
【0023】
そして、本発明によれば、被洗浄体自体にレーザ光が照射されてこれが加熱される方法によることなく、超臨界流体中層にレーザ光の集光を行わしめるものであることから、上述したように、効果的に洗浄効果を高めることができるのみならず、被洗浄体の耐熱性が問題となるものではない。
また、本発明によれば、洗浄効果を高めることができることによって冒頭に述べた助剤(相溶剤)を用いることが回避される。
【0024】
そして、本発明装置は、上述した本発明方法を、確実に実施する構成とされたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明による洗浄方法は、図1に模式的に、その洗浄状態を示すように、微細構造部を有する被洗浄体31に対する洗浄、例えば上述したLEEPLマスクMに対するその製造過程、あるいはLEEPLマスクの使用時の露光過程で生じるハイドロカーボン系の付着物に対する洗浄に適用される。
本発明による洗浄方法においては、被洗浄体31の洗浄面31aに、超臨界流体を逐次供給して、被洗浄体31の洗浄面31a上に超臨界流体層32を形成しつつこの超臨界流体が洗浄面31a外へと流れるようにする。
【0026】
一方、この洗浄面31a上の超臨界流体層32中に、レーザ光を照射し、このレーザ光が、超臨界流体層32の層中の点Fにおいて集光するようになす。
この超臨界流体層32の厚さは例えば10mm程度になるようにし、その集光位置を、被洗浄体の洗浄面の表面からの距離dが、0<d≦10mmの距離にあるように選定する。
【0027】
本発明による洗浄方法の一実施形態をLEEPLマスクの製造過程に適用する場合について説明するが、本発明は、この例に限定されるものではない。
LEEPLマスクMは、図2にその模式的平面図を示すように、それぞれ電子ビームを透過する透孔1が所要のパターンに形成された例えば複数のマスクパターン2が形成されて成る。
【0028】
このLEEPLマスクMの形成方法は、例えば図3A〜Cおよび図4A〜Cに各工程における概略断面図を示すように、先ず例えば基板21の一主面上に、例えばエッチングストッパ層22を介して上述した電子ビームを透過する透孔1を形成するマスク層23を形成する(図3A)。
【0029】
基板21は、例えばシリコン(Si)基板によって構成する。
マスク層23は、例えばシリコン(Si)、シリコン酸化物(SiO2 )、シリコン窒化物(SiN)、多結晶シリコン、金属(例えばAu,Ag,Pt,Ti,W,Cr,Pd等)SiC等によって構成することができる。
マスク層23の厚さは、例えばLEEPLにおいては、100nm〜1000nmとすることができる。
【0030】
そして、例えば基板21とマスク層23とが、同一材料の例えばSiによって構成する場合など、両者が同一のエッチング性を示す場合において、そのエッチング性を異にする例えばSiO2 によるエッチングストッパ層22を基板21とマスク層23との間に介在させる。
【0031】
このように、基板21の裏面、すなわちマスク層23が形成された主面とは反対側の面にエッチングレジスト24を形成する。
このエッチングレジスト24は、例えば図2に示した各マスクパターン2の形成部に開口24Wが形成され、各マスクパターン2の周囲に相当する部分上を覆って形成される。このエッチングレジスト24は、フォトレジストの塗布、パターン露光現像処理によって形成することができる。
【0032】
エッチングレジスト24を、エッチングマスクとしてその開口24Wを通じて基板21を例えばウェットエッチングによって、基板21の全厚さに渡るバックエッチングを行って開口21Wを穿設する。このとき、例えばSiO2 によるエッチングストッパ層22は、例えばSiによる基板1に対するエッチング液に対し、大きな耐性を有することから、そのエッチングは、エッチングストッパ層22が露呈したところで実質的に停止する(図3B)。
【0033】
次に、例えばエッチングレジスト24および基板21をエッチングマスクとしてこれらの開口24Wおよび21Wを通じて例えばSiO2 よりなるエッチングストッパ層22を、エッチングして開口22Wを形成し、その後、エッチングレジスト24を除去する(図3C)。
【0034】
このようにして、開口21Wおよび22Wの穿設によって形成されたマスクパターンの形成部において、マスク層23に、所要のパターンの電子ビーム透過用の透孔1を穿設する。
このため、マスク層23上に、目的とするマスクパターン2の透孔1に対応する開口25Wが形成されたエッチングレジスト25を形成する。このエッチングレジスト25の形成は、例えばフォトレジストの塗布、例えば電子ビームの直接照射等による露光、現像によって形成することができる(図4A)。
【0035】
このエッチングレジスト25をエッチングマスクとして、その開口25Wを通じて下層のマスク層23を例えばドライエッチングする。このようにして開口25Wのパターンに対応するパターンの透孔1をマスク層23に穿設する(図4B)。
【0036】
その後、エッチングレジスト25を除去する(図4C)。このようにすると、図2で示したような、基板21の開口21Wに所要のパターンの透孔1が形成されて成るマスクパターンが形成された目的とするLEEPLマスクMが得られる。 このようにして形成されたLEEPLマスクMは、その製造過程、特にマスク層23に対する透孔1を形成するドライエッチングにおいて、レジスト(有機物)の再付着が生じ易いことから、マスクMには、このようなフォトレジスト等の残渣物が強固に付着していたり、そのほかの塵埃いわゆるパーティクルが付着しているおそれがある。
【0037】
そこで、このマスクMに対し、少なくとも最終的に洗浄作業がなされる。
あるいは、このマスクMにその使用時等において付着した前述したハイドロ・カーボン系の汚染物は、マスクMに対する電子ビーム照射によってマスク表面に強固に付着するが、これをマスクMの使用に先立って洗浄することが必要となる。
【0038】
本発明における洗浄方法は、これら洗浄作業に適用して有効なものである。
この洗浄に当たっては、図1で説明したように、被洗浄体31の洗浄面31aすなわちLEEPLマスクMの表面に、超臨界流体を逐次供給して、被洗浄体31の洗浄面31a上に超臨界流体層32を形成しつつこの超臨界流体が洗浄面31a外へと流れるようにする。
【0039】
そして、洗浄面31a上の超臨界流体層32中に、レーザ光を照射し、このレーザ光が、超臨界流体層32の層中の点Fにおいて集光するようになす。
集光点Fと被洗浄体表面との距離は、例えば10mm程度になるようにし、その集光位置を、被洗浄体の洗浄面の表面からの距離dが、0<d≦10mmの距離にあるように選定する。
【0040】
このようにして、レーザ光の電界強度の大なる部分を超臨界流体中に生じさせ、この電界によって超臨界流体に含まれる分子を電気分解し絶縁破壊、いわゆるブレークダウンを生じさせて、このブレークダウンによって超臨界流体に粗密波を発生させ、その密度の高められた部分による効果によって被洗浄体の付着物、例えばフォトレジストの残渣物による有機物を効果的に溶解して排除することができるようにするものである。
【0041】
ここで、レーザ光の集光位置をd>0に選定するのは、これによって被洗浄体の洗浄面にレーザ光が直接的に集光させる場合の被洗浄体の温度上昇を回避して、例えばLEEPLマスクにおける薄膜マスク層23の熱的損傷、変形を回避するのみならず、上述した超臨界流体におけるブレークダウンが効果的に生じるようにすることにある。
また、d≦10mmとするのは、dが10mmを越えるとき、ブレークダウンによる洗浄効果が洗浄面に及びにくくなり、レーザ光照射による影響が低くなることを認めたことによる。
【0042】
この洗浄液としては、前述した液体と気体の境界の状態にある超臨界流体(SCF)例えばCO2 による31℃、73.8気圧という比較的低温低圧で発生させた超臨界流体を用いることができる。
しかしながら、超臨界流体としては、この例に限定されるものではなく、アンモニア、ヘリウム等、あるいはメタン、エタン、プロパン等の炭化水素等各種の液体と気体の境界状態を形成できる諸材料を用いることができる。
【0043】
また、照射レーザ光としては、用いる超臨界流体に対応して選定することができるが、例えばYAGレーザによるレーザ光を用いることができる。
【0044】
このように、本発明においては、超臨界流体による洗浄を行うものであるが、洗浄面上にこの超臨界流体層32を形成して、これにレーザ光集光させてブレークダウンによる洗浄効果を高めることによって、微細構造に対する洗浄を破損等を生じることなく良好に洗浄することができるものである。
【0045】
次に、上述した本発明による洗浄方法を実施するための本発明による洗浄装置の実施形態例を挙げて説明する。
本発明による洗浄装置は、例えば図5にその概略平面図を示すように、洗浄処理チャンバー41を有し、この洗浄処理チャンバー41内に、被洗浄体31例えばLEEPLマスクを配置する配置手段42が設けられる。
この配置手段42は、被洗浄体31を所定の位置に設定して配置することができるようになされた被洗浄体31の例えば載置台より成り、その中心軸を中心に所要の回転速度をもって回転する構成とされる。
【0046】
また、洗浄処理チャンバー41内に、被洗浄体31の洗浄面に超臨界流体を供給する超臨界流体の供給手段43が配置される。
この超臨界流体の供給手段43は、配置手段42に配置された被洗浄体31の表面に沿って多数の超臨界流体を流出するノズル孔hが配列された超臨界流体の供給管43Tより構成することができ、この供給管43Tにチャンバー41外から超臨界流体SCFが供給される
【0047】
また、この超臨界流体の供給手段43と所要の間隔をもって対向する被洗浄体31上に沿って超臨界流体の排出手段44を配置する。
この排出手段44は、例えば被洗浄体31の表面上において、超臨界流体の供給手段のノスル孔hの配列線に沿って対向する開口を有し、この開口から、供給手段43から供給された超臨界流体が、被洗浄体表面で図1で説明した超臨界流体層32を形成し、しかも逐次この超臨界流体を被洗浄体表面から排除する流れを形成するようにする。
【0048】
一方、被洗浄体上の超臨界流体層中にレーザ光Lを集光照射するレーザ光の照射手段45を設ける。
このレーザ光照射手段45は、例えば洗浄処理チャンバー41外のレーザ光源46からのレーザ光Lを、例えば集光光学系47を通じ、チャンバー41の壁面に気密的に配置したレーザ光Lの透過窓48を通じて、被洗浄体31上に形成された超臨界流体層中に集光させ、同様にチャンバー41の壁面に気密的に配置したレーザ光の透過窓49を通じて、チャンバー41外に導出し、例えば集光光学系50を通じて終端器51に導入してレーザ光Lの吸収を行う。
【0049】
また、このレーザ光Lの被洗浄体上の超臨界流体層への集光位置を、被洗浄体31の洗浄面の全域に渡って移動することができるようにするに、レーザ光の集光位置と、被洗浄体とを相対的に移行させる移行機構を設ける。
この移行機構としては、例えばレーザ光照射手段において、その光学系47および50を光軸方向に移行するステージ47Sおよび50Sを設ける。
また、上述したように、被洗浄体の配置手段42を回転させることによって、レーザ光集光位置を被洗浄体31の表面上に移行走査するようにする。
【0050】
この本発明装置によれば、上述した本発明洗浄方法を簡単な構造と、操作で実施するこができる。
【0051】
図5に示した例では、1本のレーザ光Lを用いた場合であるが、例えば図6にその概略平面図を示すように、2本レーザ光L1 およびL2 を交叉させることによって光の集中部すなわち実質的集光を行う構成とすることもできる。
図6において、図5と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。そして、図6において、2本のレーザ光L1 およびL2 に係わる部分には、図5の対応する符号に「1」および「2」の添字を付して示す。
【0052】
また、例えば図7に示すように、凹面鏡52を配置してレーザ光Lの反射光を集光させる構成とすることもできるなど、上述した例に限定されず、本発明構成において種々の変形変更を行うことができる。
【0053】
また、本発明は、LEEPLマスクの洗浄への適用に限定されるものではなく、各種微細構造を有することによって洗浄がなされにくいとか、機械的強度に劣る被洗浄体に対する洗浄に適用して有効なものである。
【0054】
【発明の効果】
上述したように、本発明においては、超臨界流体を用いて、これにレーザ光照射を行って洗浄効果のアシストを行うものであるが、更に、本発明方法においては、被洗浄体の洗浄面上に超臨界流体を逐次供給して洗浄面上に所要の厚さを有する超臨界流体層を形成し、この超臨界流体層中においてレーザ光の集光を行うのであり、このようにすることによってこの集光部におけるレーザ光の高い密度を有する部分における高い電界強度によって超臨界流体に含まれる分子を電気分解し絶縁破壊を生じさせるいわゆるブレークダウンを生じさせて、このブレークダウンによって超臨界流体に粗密波を発生させ、その密度の高められた部分による効果によって被洗浄体の付着物、例えばフォトレジストの残渣物による有機物等を効果的に溶解して排除することができるという効果を生じさせるものである。
【0055】
そして、同時に、この超臨界流体が逐次被洗浄体上に供給されていることからこの超臨界流体は、被洗浄面から他部へと流れ去る流れが形成されていることからこの排除された付着物やパーティクルは、被洗浄面から逐次排除されて再付着されことなく、常に清浄な超臨界流体が被洗浄面に供給されることから、良好な洗浄がなされる。
【0056】
そして、本発明によれば、レーザ光を超臨界流体層中で集光するようにしたことから、効果的に上述したブレークダウンを発生させることができ、高い洗浄効果を得ることができるのみならず、被洗浄体自体にレーザ光が照射されてこれが加熱されることがないことから、被洗浄体の耐熱性が問題となるものではない。
また、本発明によれば、洗浄効果を高めることができることによって冒頭に述べた助剤(相溶剤)を用いることが回避されるなど多くの工業的利益をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による洗浄方法の説明図である。
【図2】本発明による洗浄方法を適用する微細構造部を有する被洗浄体の一例の模式的平面図である。
【図3】A〜Cは、本発明方法の一例の工程図(その1)である。
【図4】A〜Cは、本発明方法の一例の工程図(その2)である。
【図5】本発明による洗浄装置の一例の概略平面図である。
【図6】本発明による洗浄装置の他の一例の概略平面図である。
【図7】本発明による洗浄装置の更に他の一例の概略平面図である。
【符号の説明】
M・・・LEEPLマスク(微細構造部を有する被洗浄体)、1・・・透孔、2・・・マスクパターン、21・・・基板、21W・・・開口、22・・・エッチングストッパ層、22W・・・開口、23・・・マスク層、24,25・・・エッチングレジスト、24W,25W・・・開口、31・・・被洗浄体、
Claims (4)
- 微細構造部を有する被洗浄体の洗浄方法にあって、
上記被洗浄体の洗浄面に超臨界流体を供給して上記洗浄面上に超臨界流体層を形成すると共に、上記被洗浄体の洗浄面上の超臨界流体層中に、レーザ光を集光させて、該集光部におけるレーザ光の電界強度の大なる部分を上記超臨界流体層中に生じさせることを特徴とする微細構造部を有する被洗浄体の洗浄方法。 - 上記レーザ光の集光位置を、上記被洗浄体の洗浄面の表面からの距離をdとするとき、0<d≦10mmに選定することを特徴とする請求項1に記載の微細構造部を有する被洗浄体の洗浄方法。
- 洗浄処理チャンバーと、
該洗浄処理チャンバー内に被洗浄体を配置する配置手段と、
上記被洗浄体の洗浄面に超臨界流体を供給して、上記被洗浄体の洗浄面上に超臨界流体層を形成する超臨界流体の供給手段と、
上記被洗浄体の洗浄面の上方で上記超臨界流体層中にレーザ光を集光させて照射するレーザ光の照射手段と、
上記被洗浄体に供給された超臨界流体を排出する排出手段と有し、
上記被洗浄体の洗浄面上の超臨界流体層中に、上記レーザ光を集光させて、該集光部におけるレーザ光の電界強度の大なる部分を、上記超臨界流体層中に形成することを特徴とする微細構造部を有する被洗浄体の洗浄装置。 - 上記被洗浄体の配置手段と上記レーザ光の照射手段との少なくとも一方が、上記レーザ光の上記超臨界流体層中における集光位置を上記被洗浄体の洗浄面に沿って相対的に移行させる移行機構を具備することを特徴とする請求項3に記載の微細構造部を有する被洗浄体の洗浄装置。
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