JP3968982B2 - 路車間通信アンテナおよび路車間通信システム - Google Patents

路車間通信アンテナおよび路車間通信システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、路上からの高さ数mから十数mに設けたアンテナと道路上を走行する車輌との間で狭域通信を行う路車間通信アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
道路交通の安全、効率化を進めるために、道路側に設けた種々の支援システムと車輌に設けられた車載センサ/制御装置等によって、車輌の安全運転を支援する、あるいは車輌を自動運転させるための走行支援道路システム(AHS:Automated Highway Systems)の研究が始まっている。AHSでは、車輌に設けられた車載アンテナと路上に設けられた路側アンテナとの間で通信(路車間通信)を行い、路上に設けられた各種センサからの情報を車輌に伝送し、この伝送情報および車載センサが自ら取得した情報に基づいて、車輌側でドライバーへの情報提供や車輌に対する各種制御が行われる。
【0003】
通常、通信用アンテナは、その通信サービスエリアを、アンテナの3dBビーム幅で照射するように設置され、その回線設計上は3dBのビーム指向角度損失を考慮することが多い。また、レーダ用アンテナにおいても、そのレーダターゲットを、アンテナの3dBビーム幅内に捉えるものとして、設計がなされている。この場合、アンテナ放射パターンによる指向角度損失を3dBとして考慮することにより、回線設計が簡便になるという利点を持つ。
【0004】
図4(a)は、路車間通信用の路側アンテナとしてペンシルビームを放射するアンテナを用いた場合の一例を表しており、図において、1は路上に設けたアンテナ、2は通信サービスエリア3内の車輌を示す。また、4は車輌3に設けた車載アンテナ、5は路上に設けた通信装置、6はアンテナ1と通信装置5とを取り付けるために路肩7に設けた支柱を示す。ここで、通信装置5は支柱6の上部ではなく、支柱6の根元付近に配置し、通信装置5とアンテナ1とをケーブル等により接続することもある。
【0005】
図4(b)は、アンテナ1の放射パターンの模式図であり、8は主ビーム、9はサイドローブを示す。図に示すように、路上に設けたアンテナ1のピーク方向を、アンテナ1がその通信サービスエリア3を見込む角度の中心方向を指向するように設置されている。このように設置することで、アンテナ1のピークレベルから3dB低下した角度方向が、上記通信サービスエリア3の近端方向と遠端方向とを指向させることができ、通信サービスエリア3をアンテナ1のビーム幅で照射することができる。また、アンテナ直下の位置から更に約100〜150m遠方までを通信サービスエリアとしようとすると、アンテナからの見込み角が大きくなり過ぎて、アンテナビーム幅を広くしなければならず、このために利得が低下して回線設計上不利になり、また、アンテナ後方への不要放射レベルも大きくなる。このため、通常、アンテナは通信サービスエリア方向に傾けて配置し、通信サービスエリアは、アンテナ直下から約30〜150mの間の位置として、ビーム幅を狭め、利得の向上と不要放射の低減を図っている。このようなアンテナの設置方法については、1998年電子情報通信学会ソサイエティ大会SAD−2−20に示されており、この文献では、サービスエリア長100m、路上に設けたアンテナの設置高10m、主ビーム方向はサービスエリア中央とされている。
【0006】
次に、このアンテナの特性について説明する。ここでは送信アンテナの場合を考える。アンテナ1から放射された電波は、通信サービスエリア3の内部に存在する車輌2の車載アンテナ4に対し無線通信を行う。このとき、車輌2がサービスエリア3の内部に存在すれば、アンテナの指向角度損失は3dB以内であることが保証される。また、アンテナ1と通信サービスエリア3との最遠距離から定まる伝搬距離に伴う最大空間伝搬損失は、アンテナ1の設置高とサービスエリア3の遠端の距離とから定まる。従って、回線設計として、3dBのアンテナ指向角度損失と最大空間伝搬損失とを与えることで、通信サービスエリア3の内部の車輌2に到達する電波の最小受信電力レベルが定まる。
なお、通常の回線設計においては、上記に示すアンテナビームの指向角度損失(3dB)及び空間伝搬損失の他に、降雨減衰損失、フェージング損失等を考慮する。また、アンテナ利得、送信電力等も回線設計上のパラメータとなるが、これらの損失又は利得等は後述の発明の詳細にはそれ程影響しないので、ここでは説明を省略する。
【0007】
このようなアンテナを用いた路車間通信においては、通信サービスエリアを連続的に配置して、道路上を走行する車輌に継続的な情報提供サービスを行うことが考えられている。このために、近接する通信サービスエリア相互では、互いの信号が干渉し合わないようにその通信サービスエリアで使用する周波数を互いに異なるものに設定しておく。ところが、路車間通信で用いることのできる周波数帯域を無限に広く確保できないのは明らかであり、所望の信号識別度が確保できるような距離の離れた通信サービスエリア同士で同一の周波数を使用する、いわゆる周波数の再利用が行われる。このとき、同一の周波数を用いる通信サービスエリア相互の信号識別度は、アンテナの放射パターンによる指向角度損失及び伝搬距離の差によって確保する。また、路車間通信では、道路の対向車線で周波数を変え、かつ、ダウンリンク(路→車)、アップリンク(車→路)とで周波数を変えるために、多くの周波数を用いる必要があり、高々3つ程度離れた通信サービスエリアでは、周波数再利用を行う必要がある。例えば、1998年電子情報通信学会ソサイエティ大会SAD−2−5では、サービスエリア長100m、周波数繰り返し4の例が示されている。
【0008】
一方、AHSに関しては、例えば、見通しの悪い交差点、山岳部等の視界不良の地点、トンネル入口付近などで、路側から車輌へ危険警告の情報伝送を行うような、道路上の障害物等を検知するレーダ用アンテナをスポット的に設置して前方の危険をドライバーに警告することを目的とした安全走行支援システムの研究も行われている。このようなシステムでは、所定長の通信サービスエリアを通過する車輌に対して確実に、かつ正確に情報を伝達することが必要とされる。また、このシステムと同種の狭域の通信領域で路車間通信を行うものとして、ノンストップ自動料金収受システム(ETC:Electric Toll Collection System)が知られているが、ETCでは、1両分の車長以下(4m程度)の長さの通信サービスエリアで路車間の通信が行われるため、これでは伝送できるサービス情報として瞬間的なサービスしか提供できず、万一通信不良などが合った場合を考えると、危険警告として意味をなさなくなる可能性がある。従って、安全走行支援システムとしては100m程度の長さの通信サービスエリアを持たせる必要がある。
この種のシステムに用いられる路上アンテナとして、路上のターゲットからのレーダ反射波のレベルが、ターゲットの距離と無関係に常に一定レベルとなるように、アンテナの垂直面指向性をコセカント2乗特性となるように成形したものが提案されている。このシステムでは、路上のアンテナと路上のターゲットとの高低差はほぼ一定に保たれることから、コセカント2乗ビームを用いて、そのサービスエリアを照射する。このコセカント2乗ビームを用いた例としては、1998年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会B−1−116に詳述されており、またこの例のようなコセカント2乗ビームを路車間通信システムに適用することも検討されつつある。
【0009】
ここで、コセカント2乗ビームを路車間通信システムに用いた場合の例を図5に示す。図5(a)はこのシステムを表しており、図において10はアンテナ1から放射される等電力面を示す。また、図5(b)はアンテナ1の垂直面の電波の模式図であり、図において11は指向特性、12は車輌2までの距離による空間伝搬損失を示し、上記指向特性11から上記空間伝搬損失12を減じたものが、上記車輌2での等電力面10である。
【0010】
次にコセカント2乗ビームを用いたアンテナの特性について説明する。図5(a)において、水平面からの俯角をθ、路上のアンテナと車輌との高低差をHとすれば、アンテナ1と車輌2との距離RはH×cosecθとなり、車輌での受信電力PrはPr=K1×G (θ)/R2となる。ここでK1は送信出力・波長などから定まる定数である。ここで、アンテナ1の垂直面指向性パターンG(θ)を定数K2と前記俯角θを用いて、G(θ)=K2×cosec2θとすれば、前記受信電力Prは、Pr=K1×K2×cosec2θ/(H2×cosec2θ)=K1×K2/H2となり、通信サービスエリア内の車輌での受信電力Prは距離と無関係に同一レベルとなる。すなわち、図5(b)に示すアンテナ1から車輌2に至る片道の電波についてみると、アンテナ1の指向特性11と距離による空間伝搬損失12とがちょうど打ち消しあい、上記車輌2は俯角θによらず常に等電力面10が得られ、その結果として受信電力Prは一定となり、伝搬距離と無関係になる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
路車間通信用の路上アンテナとしてペンシルビームのアンテナを用いて、その3dBビーム幅でその通信サービスエリアを照射するようにアンテナを設置した場合を考える。また、例えば、図6に示すように、1つの通信サービスエリアの長さを100mと仮定し、アンテナ直下と通信サービスエリアとの距離を40〜140mとする。
ここで、3波繰り返しで周波数再利用するようにシステムを構成する場合、1つの通信サービスエリア3aを照射するアンテナから140mの位置が所望波の到来する最遠距離となり、アンテナから340mの位置が通信サービスエリア3aと同じ周波数帯を用いる通信サービスエリア3bからの干渉波の到来する最近距離となる。また、アンテナの設置高を8mとすれば、アンテナから通信サービスエリア3aを見込む角度は約8°となり、これが路上に設けたアンテナのビーム幅となる。
【0012】
一方、この場合、干渉波方向を見込む角度と所望波方向を見込む角度との差は約2°しかない。すなわち、アンテナビーム幅の1/4の角度差しかない。これは、アンテナピーク方向から、ビーム幅の3/4倍の角度の地点が干渉波の到来方向となることを示す。アンテナの近軸放射パターンは単純に2次関数で近似することができ、これによれば、ビーム幅の3/4倍の角度方向の指向角度損失は約7dBとなる。所望波の到来方向の指向角度損失は3dBであるから、所望波と干渉波との指向角度損失の差は高々4dB程度であることがわかる。また、所望波の伝搬距離と干渉波の伝搬距離との比は約2.4倍であり、この距離差に伴う空間伝搬損失の差は約8dBになる。
【0013】
以上により、図6の例では、3つ離れた通信サービスエリアとの信号識別度は高々4+8=12dB程度しか確保できない。一般に周波数干渉に対する信号識別度は設計上20dB以上確保するから、従来の路車間通信の路上に設けたアンテナの設置方法では、3波繰り返し使用が不可能であるという問題点があった。同様に計算して、5波繰り返しの場合、信号識別度は5+12=17dBとなるので、やはり20dBの信号識別度を確保することができず、従って周波数再利用が困難であるという問題点があった。
【0014】
上記の問題を避けるために、路上に設けたアンテナの設置高を高くして、アンテナがその通信サービスエリアを見込む角度を大きくすることも考えられたが、この場合、アンテナのビーム幅が広くなるために、アンテナ指向損失の角度傾斜が小さくなって、干渉波方向の指向角度損失が大きく取れず、結局、周波数再利用が困難であること、また、路上に設けたアンテナの設置高が高くなることは、既存のポール、照明柱、標識柱などへの設置ができず、かつ、振動防止、強度確保などで設置が困難になるという問題があった。
【0015】
また、通信サービスエリアの長さを短くして連続する通信サービスエリア間の見込み角の差を大きくして、アンテナの指向角度損失を大きくし、所望の信号識別度を確保することも考えられるが、この方法では次のような問題があった。すなわち、路車間通信システムは高速道路などでの連続的な通信サービスを考えており、100mのサービスエリア長を時速120kmで通過する時間は3秒であり、例えば、サービスエリア長を50mにすると、1.5秒毎にハンドオーバを繰り返す必要があり、これに対処するにはシステムが複雑になって、安定した通信が確保できないという問題がおきる可能性があった。
逆に、通信サービスエリアの長さを長くして、空間伝搬損失の差を大きくし、所望の信号識別度を確保しようことも考えられるが、この場合、通信サービスエリア内の受信電力強度の変動が大きくなり、また、1つの通信サービスエリアに多数の車輌が存在することになるから、より多くの時分割多重化処理などが必要でシステム構成が複雑になるという問題点があった。
【0016】
一方、安全運転支援や道路情報提供のような連続的な通信サービスではなく所定長の通信サービスエリア内で安定・確実な通信が必要とされる、例えば、前方の危険をドライバーに警告するようなシステムにおいて、通信サービスエリアでの電界強度分布を均一にするために、路上アンテナにコセカント2乗ビームを用いる場合、例えば、路上のアンテナと車輌との高低差が8mで、通信サービスエリアが、上記路上のアンテナの前方40〜140mの場合、路上のからサービスエリアを見込む角度は約8°しかない。これに対して、例えば、空港監視用レーダ装置などで用いられる従来のコセカント2乗ビームでは、そのレーダ覆域の見込み角は数10°である。上記のような狭域の路車間通信に対してコセカント2乗ビームを用いようとすると、従来よりも細いビーム、かつ、利得傾斜が急峻なものが必要であり、このようなビームを精度良く成形するために、開口径がかなり大きくなり、現実的でなく、また、所望の設計値どおりの性能を得ることが困難であるという問題点があった。
なお、コセカント2乗ビームを用いたアンテナを、周波数を繰り返し再利用して連続的に路車間通信を行うシステムに適用する場合、所望波方向の見込み角と干渉波方向の見込み角との差が小さいために、所望波方向と干渉波方向との境目付近の角度で、アンテナパターンを急峻に低下させる必要があって、そのようなビームを成形するために、開口径が更に大きなものとなってしまう。
【0017】
また、前方の危険をドライバーに警告するシステムに用いる路上アンテナとして、上記のようにペンシルビームを用いた場合、路上アンテナがその通信サービスエリアを見込む角度を、路上アンテナの3dBビーム幅と一致させて設置されていた。その一方で、通信サービスエリアの近端と遠端との伝搬距離の比が約3〜7倍となるために、空間伝搬損失の差は10〜20dBになってしまう。このために、通信サービスエリアの近端と遠端とでの車輌での受信電力の差が10〜20dBになってしまい、サービスエリア内の受信電力分布は均一ではなく、大きく変動することになる。このために、車輌側の受信機のダイナミックレンジを広くとっておく必要がある問題点があった。また、サービスエリア内部での受信電力が大きく変動するためにノイズの影響を受けやすくなるという問題点があった。
【0018】
この発明はこのような課題を解決するためのものであり、周波数を繰り返し再利用して連続的に路車間通信を行うシステムにおいては、周波数を共用する離れた通信サービスエリアとの干渉が少ない路車間通信アンテナを提供することを目的とする。
【0019】
また、連続的な通信サービスではなく所定長の通信サービスエリアにおいて安定した通信が必要とされるシステムにおいては、コセカント2乗ビームを用いずにサービスエリア内の受信電力分布を均一とする路車間通信アンテナおよび路車間通信システムを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、この発明による路車間通信アンテナは、路側に設置され、路上の通信領域内を通過する車輌との間で狭域通信を行う路車間通信アンテナにおいて、上記アンテナは、道路に沿った方向に指向されて設置高Hの高さに設置され、上記指向方向に向かって上記アンテナの直下から上記設置高Hの3〜5倍の距離を一方の通信領域端とし、その通信領域端から更に上記指向方向に向かって上記設置高Hの10〜14倍の距離をもう一方の通信領域端とし、上記通信領域を見込む角度の概ね中心方向にアンテナのビーム中心方向を指向させて成り、かつ当該アンテナを、道路に沿わせて上記設置高Hの10〜14倍の間隔で複数個配置し、少なくとも7個毎の通信領域で同じ周波数帯を繰り返し用いて通信領域を形成したものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す概略構成図であり、図において1,3,8,9は前記従来例と全く同一のものであり、アンテナ1はペンシルビームであり、その主ビーム8のビーム中心方向を通信サービスエリア3の近端方向に指向させたことを特徴とする。
【0026】
次に動作について説明する。例えば、アンテナ1の設置高を8m、通信サービスエリアを40〜140mとして、周波数を繰り返し再利用して連続的に路車間通信を行うシステムに適用した場合について考える。この通信サービスエリアにおいて、近端(40m地点)と遠端(140m)地点との伝搬距離の比は約3.4であり、空間伝搬損失の差は約11dBとなる。また、通信サービスエリア3をアンテナ1から見込む角度は約8°となる。上述した発明が解決しようとする課題のところで示したように、3波繰り返しで周波数再利用する場合、アンテナ1と同一の周波数を用いるアンテナ1に対して干渉波となるサービスエリアの最近端とアンテナ1との距離は340mになり、アンテナ1の通信サービスエリアの最遠端と干渉波となるサービスエリアの最近端との、アンテナ1から見込む角度の差は約2°である。また、所望波と干渉波との伝搬距離の比から定まる空間伝搬損失の差は約8dBである。一般にアンテナの主ビームでは、ビーム中心方向からの角度が大きくなるに従い、角度変化に対する利得低下の割合が急峻になる。従って、アンテナ1のビーム中心方向を通信サービスエリアの近端方向に指向させて設置することで、2°の角度差による指向角度損失を、従来の約7dBよりも大きく、例えば12dBとなるような方向に指向させることで、所望波と干渉波との信号識別度を12+8=20dBとすることができ、周波数の再利用が可能となる。
【0027】
このとき、アンテナ1のペンシルビームのビーム幅は、従来例のように、通信サービスエリアをアンテナ1から見込む角度に制約される必要はなく、自由に設定することができるが、上記の考えに基づいて、所望の信号識別度が確保できるような、指向損失の角度傾斜を持ち、かつ、回線設計を考慮した車載機の最低受信感度以上のレベルの電力が通信サービスエリアに照射できるような利得を持ったビーム幅を選択することで、所望の路車間通信サービスが可能となる。なお、本発明は路上に設置するアンテナの形状には依存しないことは、マイクロストリップアレーアンテナなどの平面アンテナの他、開口面アンテナ、線状アンテナなどいかなる形状のアンテナを用いてもこの発明は有効である。また、アンテナのビーム形状をペンシルビームに限らなくともこの発明は有効である。
【0028】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2を示す概略構成図であり、ペンシルビームアンテナ1のビーム中心方向を、通信サービスエリア3aを見込む角度のほぼ中心方向に指向させ、N波(N≧7)の周波数により路車間通信を行うことを特徴とする。ここで、アンテナ1の設置高をHとして、通信サービスエリア3aの近端をアンテナ1の直下からA・H(A=3〜5)の距離の地点、通信サービスエリアの長さはB・H(B=10〜14)の長さとした場合の例を示す。例えば、アンテナ設置高が8mで、A=5、B=13の場合、通信サービスエリアの位置は、アンテナ直下から144m〜40mの範囲となる。また、図では描いていないが、アンテナ1はB・Hの間隔で連続的に配置してあり、これにより、図に描いたように通信サービスエリアは連続的に配置されており、N個先の通信サービスエリアでは同一の周波数帯を用いる。
【0029】
ここで、アンテナ1が通信サービスエリア3aを見込む角度θBは、“数1”となり、このθBをほぼアンテナ1のビーム幅と一致させている。また、アンテナ1が自身の通信サービスエリアの遠端を見込む角度と、同一の周波数帯を用いるサービスエリアの近端を見込む角度の差θiは、“数2”となる。これより、アンテナ1のボアサイト(ビームピーク方向)が上記同一の周波数帯を用いる通信サービスエリアの近端を見込むオフビーム角θ1は“数3”となる。ペンシルビームアンテナの近軸の放射パターンを2次関数で近似すれば、上記同一の周波数帯を用いる通信サービスエリアの近端方向の指向角度損失Gは“数4”となり、信号識別度に寄与する指向角度損失の差LA=G−3となる。また、自身の通信サービスエリアの遠端から到来する所望波と、上記同一の周波数帯を用いる通信サービスエリアの近端から到来する干渉波との空間伝搬損失の差LSは“数5”となる。従って、信号識別度C/I=LA+LSとなる。
【0030】
【数1】
Figure 0003968982
【0031】
【数2】
Figure 0003968982
【0032】
【数3】
Figure 0003968982
【0033】
【数4】
Figure 0003968982
【0034】
【数5】
Figure 0003968982
【0035】
例えば、先の例のようにA=5、B=13、N=7とすると、“数1“から“数5”により、LA=5.1dB、LB=14.5dBとなって、信号識別度は19.6dBになる。または、設置高10m、通信サービスエリアをアンテナ直下から40〜140mとするとA=4、B=10となり、この場合も同様に計算して、LA=5.3dB、LB=14.4dBとなって、信号識別度は19.7dBになる。この場合、信号識別度は20dBより小さいが、実際のアンテナの製造に則して考えると、放射パターンを2次関数で近似して得られた設計値よりも、広い角度領域では実際に製造するアンテナのビーム幅の方が細くなるため、この設計値による信号識別度19.6dB〜19.7dB程度の値は、所望の信号識別度に対して十分な識別性能を得ることができる。
【0036】
このように、本発明の実施の形態2によれば、所望波方向と干渉波方向との見込み角の差が大きく指向角度損失の差が大きくでき、かつ、所望波の伝搬距離と干渉波の伝搬距離との比が大きくなることにより、7波以上の周波数の再利用を行うことで、所望の信号識別度を確保し、従来と同様の簡便な回線設計が可能となる。
【0037】
なお、この実施の形態2では、通信サービスエリアの回線設計上の規定点を道路上(地上高0m)としているが、回線設計上の規定点を車載アンテナの高さ(例えば1m)に設定した場合は、上記設置高に車載アンテナの高さを考慮して考えて、本発明における路上に設けたアンテナの設置高を路上に設けたアンテナと車載アンテナとの相対高さとすることで、相対角度関係は本発明と同様に考えることができ、本発明は有効となる。また、所望の通信サービスエリア外で、電力レベルは急激に零にならず、なだらかに電力レベルが低下していくために、隣り合う通信サービスエリア間のハンドオーバは円滑に行うことができるが、さらにハンドオーバを円滑にするために、隣接するサービスエリアを数mオーバーラップさせて配置しても良い。
【0038】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3を示す概略構成図であり、図において1,3,8,9は前記従来例と全く同一のものであり、アンテナ1はペンシルビームであり、その主ビーム8のビーム中心方向を通信サービスエリア3の遠端方向に指向させたことを特徴とする。
【0039】
次に動作について説明する。例えば、アンテナ1の設置高を8m、通信サービスエリアを40〜140mの場合について考える。この通信サービスエリアにおいて、近端(40m地点)と遠端(140m)地点との伝搬距離の比は約3.4であり、空間伝搬損失の差は約11dBとなる。また、通信サービスエリア3をアンテナ1から見込む角度は約8°となる。従って、ピークから8°方向の角度損失が約11dBとなるようなビーム形状のペンシルビームアンテナのピーク方向を通信サービスエリアの遠端方向に指向させることで、空間伝搬損失と角度損失とを相殺し、通信サービスエリアの遠端と近端とで、受信電力強度をほぼ等しくすることが可能となる。ここで、従来のビーム形状が凹状のコセカント2乗ビームとは異なって、アンテナ1の放射パターンのビーム形状は凸状となるために、通信サービスエリアの内部に受信電力強度のピーク方向が出現し、必ずしも通信サービスエリアでの受信電力強度は一定とはならないが、そのレベル変動は従来の設置方法よりは格段に小さくすることができる。
【0040】
このような設置方法の場合、路上に設置されたアンテナから照射される電波は、通信サービスエリアの遠方でも比較的高いレベルとなってしまうが、周波数再利用を考えないような、スポット地点的な路車間通信の運用形態、例えば、見通しの悪い交差点、山岳部等の視界不良の地点、トンネル入口付近などでの、路側から車輌への危険情報警告などの運用に適した設置方法となる。特に、サービスエリア内の電界強度分布を均一に近づけることができるため、電波環境の変化(前方車、対向車の挙動や、自車自身が動くこと)によるフェージングに強くなり、安定した通信が可能となって、危険警告システムのように所定サービスエリア内での確実な通信が必要とされるシステム用途に適した路上アンテナとなる。
例えば、路上アンテナの通信領域から遠方(車輌の進行方向)に、進行方向前方の道路状況を観測し、その観測の結果得られた情報を路上アンテナに伝送する観測センサを設けることによって、路上アンテナを介して車輌へ進行方向前方における道路状況の観測情報を提供することが可能となる。この観測センサとして、例えば道路上方に監視カメラやレーダを設け、監視カメラに接続された画像センサやレーダに接続されたレーダ信号処理器によって、道路上の変化を検出することにより、道路に突発事象が生じたことを検出し、その検出情報と監視カメラの画像情報を路上アンテナに伝送することで、路上アンテナと通信可能な車輌のドライバーに対して、より安全な走行を行うためのサービスを提供することが可能となる。
【0041】
このように実施の形態3によれば、通信サービスエリアの受信電力強度の変動を小さくすることができ、安定した路車間通信が可能となる。また、通信サービスエリア内の受信電力強度の変動が小さくできるので、車載機のダイナミックレンジを広くとる必要がなくなり、車載機の構成が簡単となり、小型化、量産化に優れたものとできる効果もある。また、ペンシルビームはコセカント2乗ビームなどの成形ビームアンテナに比較して、容易に設計・製造でき、また、設計値どおりの性能が得やすいために、路車間通信設備の量産時の低価格化、品質向上にも効果がある。 また、路側アンテナ及び車載機が安価になることで、路車間通信システムの普及が促進できる効果がある。
【0042】
なお、本発明は路上に設置するアンテナの形状には依存せず、マイクロストリップアレーアンテナなどの平面アンテナの他、開口面アンテナ、線状アンテナなどいかなる形状のアンテナを用いてもこの発明は有効である。また、アンテナのビーム形状をペンシルビームに限らなくともこの発明は有効である。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、アンテナのビーム中心方向を、通信サービスエリアの近端方向に指向させて設置したことで、他の通信サービスエリア方向への電波放射を低減できる効果があり、所望波と干渉波との信号識別度を向上させ、通信品質を改善できる効果がある。また、周波数再利用効率を高めることができる効果もある。また、アンテナのビーム中心方向を、通信サービスエリアを見込む角度の中心方向に指向させて、7波以上の周波数を再利用することで、所望の信号識別度を確保できる効果がある
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による路車間通信アンテナの設置方法の実施の形態1を示す概略構成図である。
【図2】 この発明による路車間通信アンテナの設置方法の実施の形態2による周波数再利用を説明する概略構成図である。
【図3】 この発明による路車間通信アンテナの設置方法の実施の形態3を示す概略構成図である。
【図4】 従来の路車間通信システムの一例を示す概略構成図である。
【図5】 従来のコセカント2乗ビームを用いた路車間通信システムの一例を示す概略構成図である。
【図6】 従来の路車間通信アンテナの設置方法による周波数再利用を説明する概略構成図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 車輌
3 通信サービスエリア
4 車載アンテナ
5 通信装置
6 支柱
7 路肩
8 主ビーム
9 サイドローブ
10 等電力面
11 アンテナ指向特性
12 空間伝搬損失

Claims (1)

  1. 路側に設置され、路上の通信領域内を通過する車輌との間で狭域通信を行う路車間通信アンテナにおいて、上記アンテナは、道路に沿った方向に指向されて設置高Hの高さに設置され、上記指向方向に向かって上記アンテナの直下から上記設置高Hの3〜5倍の距離を一方の通信領域端とし、その通信領域端から更に上記指向方向に向かって上記設置高Hの10〜14倍の距離をもう一方の通信領域端とし、上記通信領域を見込む角度の概ね中心方向にアンテナのビーム中心方向を指向させて成り、かつ当該アンテナを、道路に沿わせて上記設置高Hの10〜14倍の間隔で複数個配置し、少なくとも7個毎の通信領域で同じ周波数帯を繰り返し用いて通信領域を形成したことを特徴とする路車間通信アンテナ。
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