JP3968351B2 - 荷重制限機構を有するシートベルトリトラクタ - Google Patents

荷重制限機構を有するシートベルトリトラクタ Download PDF

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Description

本発明は、荷重制限機構を有するシートベルトリタラクタに関する。
シートベルトリトラクタは一般に、円筒形のボビン、すなわち円形断面を持つスプールを有している。シートベルトウェビングがスプールに取り付けられ、スプールの周りに巻かれている。スプールは、リトラクタ内で回転できるようにスプールシャフトに取り付けられ、リトラクタばねの作用を受けてウェビングを巻き取り、乗物の乗員の比較的穏やかな前方への移動、たとえば、ラジオまたはウィンドウ用の制御装置に手を伸ばすか、あるいはグローブボックスまたはドアポケットに手を伸ばすことに関連する通常の移動の作用を受けて、ウェビングを繰り出す。衝突時には、乗物の乗員のより激しい運動量が、スプールを回転しないようにロックし、かつ乗物の乗員の前方への動きや乗物の内部の設備への衝突を防止する衝突センサを作動させる。しかし、場合によっては、衝突時のシートベルトスプールのこの急激なロックは、ベルトウェビングにより胴体に急激な衝撃を与えることによって、乗物の乗員を怪我させる原因となる。近年、この問題が認識され、いくつかの解決策が提案されている。
1つの公知の解決策は、塑性変形可能または弾性変形可能な部材を力経路(force path)に挿入することによって荷重制限をもたらすことである。たとえば、スプールにトーションバーを組み込むことができる。トーションバーは、高いトルクがかけられたときに捩れ、破壊する前に7回または8回まで回転することができるスチールで作られる。トーションバーは分割スプールの両端部に連結されている。スプールの一方の端部は、衝突時に荷重支持爪に連結されるロックリングによって、回転しないように保持される。スプールの他方の端部は、トーションバーを介してロックリングに連結されることによって回転できないようにされるが、衝突力が所定のレベルを超えると、トーションバーは捩れ、ベルトウェビングを制限され制御された状態でさらに繰り出すのを可能とする。ベルトウェビングのこの追加の繰り出しは、衝突の瞬間の乗物の乗員の運動量に概ね比例する。このウェビングの繰り出しは、特に衝突の最初の瞬間に、乗物の速度が速いときの乗物の乗員に対する、そうでない場合の強い拘束力を減少させる。
しかし、トーションバーは、複雑で製造費が高く、乗物の様々な特性や、乗物の乗員の様々な体格および体重のような様々な条件に容易に適合させることができない。より安価であまり複雑でない荷重制限システムが必要である。
本発明の一態様によれば、リトラクタ内に回転するように取り付けられたスプールと、スプールの一方の端部に取り付けられたロックリングと、衝突時にロックリングを回転しないようにロックするロック爪と、ロックリングがロックされた後で、乗物の乗員の前方への運動量の働きを受けてシートベルトウェビングをさらに繰り出すのを可能にする荷重制限手段とを有し、荷重制限手段は、ある長さのワイヤと、スプールおよびロックリングの一方に取り付けられた巻き取りドラムと、スプールおよびロックリングの他方に固定されたピンとを有し、ワイヤは、ピンの周りに巻かれ、かつワイヤは、スプールとロックリングが相対的に移動したときに、ワイヤがピンの周りを回って引っ張られて、巻き取りドラム上に巻かれるように構成されており、巻き取りドラムは、ワイヤのコイルの半径が徐々に変化するようになったらせん状部材として形成されているシートベルトリトラクタが提供される。
図1に示されているシートベルトリトラクタは、フレーム21内のスプール軸と同心のスピンドル9の周りを回転できるように取り付けられ、シートベルトウェビングを巻き取りかつ繰り出す、円筒形のリトラクタスプール1を有している。
衝突時には、参照符号23によって示された位置に位置するセンサが、ロック爪22を作動させて、スプールの一方の端部に固定された歯付きのロックリング3と噛み合わせ、回転を防止し、スプールロックプロセスを開始する。スプールの他方の端部は、スプールをウェビング巻戻し状態に付勢する時計型コイルばねである巻返しばねに連結されている。
衝突が検出されると、ロックリング3はロック爪22に噛み合わされ、回転が防止される。スプール1は次いで、荷重制限構成によってさらに移動させられ、それ以上回転しないようロックされる。
図2から5には、荷重制限する前のスプール1がさらに詳しく示されている。図2では、スプール1は、回転軸11と、スプールの一方の端部にらせん構造5の形の巻き取りドラムとを有している。巻き取りドラムは、ワイヤのコイルの角度が徐々に変化するように、らせん状に形成されることが好ましい。このことは、比較的平坦な荷重−変位グラフを生成する、すなわち、衝突状況でウェビングにかけられた荷重を最大効率で吸収するという利点を有する。ワイヤの、らせん上の接触点を変更することによって、ほぼあらゆる所望の荷重制限グラフを得ることができる。たとえば、乗物製造業者のニーズを満たす、直線状、累進的、逓減的、段階的、または様々な形状の荷重制限曲線を生成することができる。特に、らせんは、循環するワイヤがより大きな半径に飛び移り、したがって、トルクを段階的に小さくして2段階荷重制限作用を生じさせるように形成することができる。らせんは、スプール本体(またはロックリング)に組み込むか、または、その都度スプールを追加工せずに顧客の要求に適合させることのできる個別の要素として形成することができる。
巻き取りドラム/らせん構造5は、ロックリング3の穴12を貫通してらせん構造5の穴13に入るスピンドル9に取り付けられている。ワイヤ4は、スプール1に固定され、らせん構造5の周りに巻かれている。ワイヤ4の一方の端部は、ロックリング3に固定されたピン6の周りに巻かれている。ワイヤはピンの周りに複数回巻かれることが好ましい。ワイヤを変形させるのにエネルギーが必要であり(これをキャプスタン効果と呼ぶ)、これによって荷重制限作用が得られる。この構成は、図3の端面図、図4の斜視図、および図5の分解図に示されており、同じ部品は同じ参照番号で示されている。
ワイヤはスプールに固定され、1つまたは複数のピンはロックリングに取り付けられることが好ましい。
ワイヤは、第1の真っ直ぐな部分またはわずかに曲がった部分と、それに続く1つまたは2つ以上のコイルと、それに続く第2の真っ直ぐな部分とを有して、スチールで予め形成することができる。次に、ピンをコイルに挿入することができる。
図6から8は、荷重制限時のスプールを示しており、同じ部品は同じ参照番号によって示されている。ワイヤ4は、現状ではらせん構造5上に数回巻かれ、ワイヤ4はピン6の周りを回って引っ張られているためピン6から自由端部14までの距離がずっと短いことが分かる。
図9から11は、様々な変化を有する図1から8の構成の荷重と変位の関係を示すグラフである。
図9のグラフは、状態Aが、ワイヤがその固定端部の周りで巻かれる構造がらせん形状なのでワイヤが比較的一定の荷重でピン9から解かれている時間である、2段階の荷重制限を明確に示している。ワイヤは、段階Bの開始時にらせんのより大きな半径に飛び移り、したがって、トルクを低減させる。
これは、従来、グラフの線は、ウェビング角度が小さくなり、かつトルクが増大するにつれて上昇していることを示す図10に示されているような、標準的なトーションバーリトラクタの荷重と変位の関係を示すグラフと対称的である。
図11のグラフは、らせん構造5の半径がより小刻みに変化することによって得られた、より平坦な力曲線を示している。この構成の利点は、実施する費用が比較的安く、かつワイヤの直径、ワイヤの材料、ピンの周りのワイヤの巻き数、ピンの直径、ピンの数、およびワイヤの数を変更することによって荷重制限作用を容易に変更できることである。
以後の図に示されている種類のスプールを含む、本発明によるシートベルトリトラクタの斜視図である。 荷重制限する前の、図1のシートベルトリトラクタのスプールの断面図である。 図2のスプールの端面図である。 図2および3のスプールの斜視図である。 図2から4のスプールの分解斜視図である。 荷重制限した後の、図2から5のスプールの断面図である。 図6のスプールの端面図である。 図6および7のスプールの斜視図である。 本発明によるシートベルトリトラクタに関して、シートベルトウェビングに対する荷重が、乗物の乗員の変位に対してどのように変化するかを示すグラフである。 公知のシートベルトリトラクタに関して、シートベルトウェビングに対する荷重が、乗物の乗員の変位に対してどのように変化するかを示すグラフである。 本発明によるシートベルトリトラクタに関して、シートベルトウェビングに対する荷重が、乗物の乗員の変位に対してどのように変化するかを示すグラフである。

Claims (10)

  1. リトラクタ内に回転するように取り付けられたスプール(1)と、前記スプールの一方の端部に取り付けられたロックリング(3)と、衝突時に前記ロックリングを回転しないようにロックするロック爪(22)と、前記ロックリング(3)がロックされた後で、乗物の乗員の前方への運動量の働きを受けてシートベルトウェビングをさらに繰り出すのを可能にする荷重制限手段とを有し、前記荷重制限手段は、ある長さのワイヤ(4)と、前記スプールおよび前記ロックリングの一方に取り付けられた巻き取りドラム(5)と、前記スプールおよび前記ロックリングの他方に固定されたピン(6)とを有し、前記ワイヤは、前記ピンの周りに巻かれ、かつ前記ワイヤは、前記スプール(1)と前記ロックリング(3)が相対的に移動したときに、前記ワイヤ(4)が前記ピン(6)の周りを回って引っ張られて、前記巻き取りドラム(5)上に巻かれるように構成されており、前記巻き取りドラム(5)は、前記ワイヤ(4)のコイルの半径が徐々に変化するようになったらせん状部材として形成されているシートベルトリトラクタ。
  2. 前記ワイヤ(4)は、前記ピン(6)の周りに複数回巻かれている、請求項1に記載のリトラクタ。
  3. 前記ワイヤ(4)の、前記らせん状部材上の接触点は、所望の荷重制限作用を決定するように選択される、請求項に記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 前記らせん状部材、回転する前記ワイヤがより大きな半径の部分に飛び移り、したがって、トルクを段階的に低減させ、2段階の荷重制限作用を生じるように形成されている、請求項3またはに記載のシートベルトリトラクタ。
  5. 前記らせん状部材が前記スプール(1)の本体に組み込まれている、請求項1からのいずれかに記載のシートベルトリトラクタ。
  6. 前記らせん状部材が前記ロックリング(3)に組み込まれている、請求項1からのいずれかに記載のシートベルトリトラクタ。
  7. 前記ワイヤ(4)は前記スプールに固定され、前記ピン(6)は前記ロックリング(3)に取り付けられている、請求項1からのいずれかに記載のシートベルトリトラクタ。
  8. 前記ワイヤ(4)は、第1の真っ直ぐな部分またはわずかに曲がった部分と、これに続く1つまたは2つ以上のコイルと、これに続く第2の真っ直ぐな部分とを有して、スチールで予め形成され、前記ピン(6)は前記コイルに挿入されている、請求項1からのいずれかに記載のシートベルトリトラクタ。
  9. 前記ワイヤは少なくとも1本のピン(6)を半径方向に包囲するように配置されている、請求項1からのいずれかに記載のシートベルトリトラクタ。
  10. 前記ワイヤ(4)は、前記ピン(6)を軸方向に包囲するように配置されている、請求項1からのいずれかに記載のシートベルトリトラクタ。
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