JP3967295B2 - 分子基板間相互作用を利用した鎖状分子伸張固定化基板の製造方法およびこの方法により得られる鎖状分子伸張固定化基板、並びにその利用 - Google Patents

分子基板間相互作用を利用した鎖状分子伸張固定化基板の製造方法およびこの方法により得られる鎖状分子伸張固定化基板、並びにその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子基板間相互作用を利用した鎖状分子伸張固定化基板の製造方法およびこの方法により得られる鎖状分子伸張固定化基板、並びにその利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
DNAは生物学上最も重要な分子の1つであり、分子生物学や生物工学の進展と共に詳細に研究されてきた。一方、マイクロプロセシング技術は、ナノテクノロジーの発展に伴い著しく進歩したが、数ナノメートルから数十ナノメートルの範囲で装置を作ることは未だ困難である。
【0003】
そこで、DNAは遺伝情報を持つ高分子としてのみならず、素材として注目されるようになってきた。すなわち、4種類の塩基からなるDNAを用いるバイオ素子などが、バイオテクノロジー、エレクトロニクスなどの関連ナノテクノロジー分野で、幅広い応用が期待され、その研究開発が盛んに行われている。
【0004】
本発明者らは、これまでに、基板上にDNAを網目状に構成する方法を発明している(特許文献1)。
【0005】
また、素材としてのDNAを、ナノテクノロジー分野で幅広く応用するためには、よく伸張したDNAを基板上に作ることが重要となる。よく伸張したDNAを基板上に再現性よく作り、視覚化することにより、原子間力顕微鏡(AFM:atomic force microscope)や走査型近接場光学顕微鏡(SNOM:scanning near-field optical microscope)を用いて直接物理的マッピングを行うことが可能となる。
【0006】
DNAを伸張する方法としては、電気泳動を用いた方法(非特許文献1)、オプティカル・ツイーザーを用いた方法(非特許文献2)、メカニカス・フォースを用いた方法(非特許文献3、4、5)等の物理的方法が報告されている。また、これらの方法によるDNAの固定と伸張を促進するために、基板表面の修飾が検討されており、基板表面のシラン化(非特許文献3、4、5)や、ポリ−L−リジン修飾(非特許文献6)が報告されている。
【0007】
また、本発明者らはHOPG(高配向焼結グラファイト、highly orientated pyrolytic graphite)表面上で、DNAが基板表面の結晶構造の方位を反映して六角形のパターンを示すことを報告している(非特許文献7)。これは、強力な分子基板間相互作用の存在を示唆するものである。
【0008】
一方、DNA等の鎖状分子と相互作用する分子のスクリーニング方法としては、電気泳動を用いる方法が知られている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−348438号公報(公開日:13年12月18日)
【0010】
【非特許文献1】
M.Ueda: J. Biochem. Biophys. Methods 41 (1999) 153.
【0011】
【非特許文献2】
R.M.Simmons, J.T.Finer, S.Chu, and J.A.Spudich: Biophys.J. 70(1996) 1813.
【0012】
【非特許文献3】
X.Michalet, R.Ekong, F.Fougerousse, S.Rousseaux, C.Schurra, N.Hornigold, M.Slegtenhorst, J.Wolfe, S.Povey, J.S.Beckmann, and A.Bensimon: Science 277 (1997) 1518.
【0013】
【非特許文献4】
J.F.Allemand, D.Bensimon, L.Jullien, A.Bensimon, and V.Croquette: Biophys. J. 73 (1997) 2064.
【0014】
【非特許文献5】
A.Bensimon, A.Simon, A.Chiffaudel, V.Croquette, V.Heslot, and D.Bensimon: Science 265 (1994) 2096.
【0015】
【非特許文献6】
A.T.Woolley, and R.T.Kelly: Nano Lett. 1 (2001) 345.
【0016】
【非特許文献7】
S.Tanaka, Y.Maeda, L.T.Cai, H.Tabata, and T.Kawai: Jpn. J. Appl. Phys. 40 (2001) 4217.
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従来、DNAを伸張する方法として報告されている物理的方法や、基板表面処理を行う方法(非特許文献1〜6)には、操作が煩雑で、作製するのに時間がかかるという問題点がある。また、走査プローブ顕微鏡による遺伝子解析や、DNAを利用したデバイスの作製を目指すためには、DNAを単一分子で伸張させることが重要である。そのためには、DNAを凝集させずに基板上に伸張固定化させることが必要である。そこで、DNA等の鎖状分子を単一分子で伸張固定化した基板を簡便かつ正確に製造できる方法の開発が望まれている。
【0018】
一方、DNA等の鎖状分子と相互作用する分子は、医薬品の候補物質や疾病の原因物質である可能性がある。しかし、従来公知の電気泳動を用いるスクリーニング方法には、大量の試料が必要であるという問題点がある。そこで、このようなDNA等の鎖状分子と相互作用する分子を少ない試料で簡便に検出できる方法の開発が、医薬品産業等の分野で大いに期待されている。
【0019】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、鎖状分子を単一分子レベルで直線状に伸張固定化した基板の、簡便かつ正確な製造方法、およびDNA等の鎖状分子と相互作用する分子の簡便なスクリーニング方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはHOPG(highly orientated pyrolytic graphite)表面上で、DNAが基板表面の結晶構造の方位を反映して六角形のパターンを示すことを既に見出しており(非特許文献7)、DNA分子とグラファイト基板との分子基板間相互作用の存在が示唆されていた。そこで、発明者らは、分子基板間相互作用を利用したDNA分子伸張固定化を鋭意検討した。
【0021】
本発明者らは、DNAの希薄水溶液をグラファイト基板上に滴下し、これを空気で吹き飛ばして除去することにより、グラファイト基板上にDNAを単一分子レベルで伸張固定化させることに成功した。また、本発明者らは、DNAをシスプラチンで処理した後に、上記方法によってグラファイト基板上に伸張固定化すると、DNAの折れ曲がり角度が未処理DNAの折れ曲がり角度と異なる特徴を有することを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、本発明を完成させるに至った。
【0022】
すなわち、本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の製造方法は、鎖状分子を基板表面上に伸張固定化させる、固定化工程を含んでおり、上記固定化工程では、鎖状分子液を基板上へ滴下、または鎖状分子液中に基板を浸漬した後に、当該液を除去することを特徴としている。
【0023】
さらに、上記固定化工程の前段に、鎖状分子と相互作用する分子で鎖状分子を処理する、前処理工程を加えることにより、基板上に伸張固定化された鎖状分子の折れ曲がり角度が異なる特徴を有する鎖状分子伸張固定化基板を製造することが可能となる。
【0024】
上記製造方法において、鎖状分子液を除去する方法は特に限定されるものではないが、空気で当該鎖状分子液を吹き飛ばす方法または溶媒で洗浄する方法を用いることが好ましい。
【0025】
また、上記鎖状分子は特に限定されるものではないが、生体鎖状分子を好ましく用いることができる。この生体鎖状分子としては、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または糖鎖のいずれかを挙げることができる。上記ポリヌクレオチドとしては、DNAまたはRNAを挙げることができるが、本発明においては、DNAを用いることが特に好ましい。
【0026】
上記製造方法において、鎖状分子を伸張固定化する基板としては、層状物質であることが好ましい。具体的には、グラファイト、ボロンナイトライト、チタン酸ストロンチウム等を挙げることができるが、グラファイトを基板として用いることが最も好ましい。
【0027】
上記製造方法においては、上記鎖状分子液は、鎖状分子を溶媒に溶解させた溶液または分散させた分散液であればよい。上記溶媒には、水または有機溶媒が含まれることが好ましい。また、上記鎖状分子液中に含まれる鎖状分子の濃度は、0.1ng/mL以上、50ng/mL以下であることが好ましい。
【0028】
さらに、鎖状分子液を加温した後に、加温した鎖状分子液を基板上へ滴下、または加温した鎖状分子液中に基板を浸漬することが好ましく、この場合、鎖状分子液の加温の上限値は90℃であることがより好ましい。
【0029】
本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板は、上記製造方法によって得られるものである。なお、本発明において、「鎖状分子伸張固定化基板」とは、表面に鎖状分子が伸張固定化された基板を意味する。
【0030】
本発明に係る鎖状分子と相互作用する分子をスクリーニングする方法は、上記鎖状分子伸張固定化基板上の鎖状分子を観察することにより実施することができる。特に、鎖状分子伸張固定化基板上の鎖状分子の折れ曲がりを観察することが好ましい。
【0031】
本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の製造方法により、基板の表面処理や電場等の外場、外力を必要とせず、鎖状分子液を基板に滴下等するだけで鎖状分子伸張固定化基板を非常に簡便に得ることができる。
【0032】
また、本発明により得られる鎖状分子固定化基板は、バイオセンサーやナノ分子スケール回路などの各種ナノデバイス等への応用が期待できる。
【0033】
さらに、本発明に係るスクリーニング方法により、鎖状分子と相互作用する医薬品の候補物質や疾病の原因物質を少量で簡便にスクリーニングすることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
【0035】
(1)本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板
本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板は、本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の製造方法(以下適宜「製造方法」と略す)により得られるものであり、具体的には、伸張した状態の鎖状分子が基板表面に単一分子レベルで固定化された基板である。
【0036】
〔基板〕
本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板において、鎖状分子を固定化する基板としては、鎖状分子と基板表面との間に分子基板間相互作用が働く物質から構成される表面を有するものであれば特に限定されるものではない。ここで、「分子基板間相互作用」とは、基板の素材そのものと鎖状分子とが互いに引き合う作用を意味するものである。したがって、本発明では、基板そのものが、分子基板間相互作用が働く物質から形成されていてもよいし、基板本体は別の物質からなり、表面に分子基板間相互作用が働く物質からなる膜や層が積層されている構成となっていてもよい。
【0037】
すなわち、本発明において用いられる基板は分子基板間相互作用が働く物質からなる1層構造であってもよいし、基板本体と分子基板間相互作用が働く物質の表面層とを含む多層構造となっていてもよい。必要に応じて、基板本体と分子基板間相互作用が働く物質の表面層とを接着するための接着層等、他の層が含まれていてもよい。従って、多層構造となる場合には、2層以上の構成であってもよい。
【0038】
上記分子基板間相互作用が働く物質としては、対象となる鎖状分子との間に分子基板間相互作用が働く物質であれば特に限定されるものではない。このような性質を有する物質としては、グラファイト、ボロンナイトライト、チタン酸ストロンチウム等の、層状物質が好ましく用いられるが、特にグラファイトが好適である。グラファイトの中でもHOPG(高配向焼結グラファイト、highly orientated pyrolytic graphite)は、基板表面が平坦であり、取扱いが容易で、固定化された鎖状分子の直線性が高いという利点がある。
【0039】
基板の大きさや、表面の形状は特に限定されるものではなく、鎖状分子伸張固定化基板の用途等に応じて適宜設定すればよい。具体的には、例えば、上記表面の形状は、一辺が20,000μm(20mm)以下、好ましくは10,000μm(10mm)以下の四角形、または、直径が20,000μm(20mm)以下、好ましくは10,000μm(10mm)以下の円形であればよい。上記範囲内であれば、本発明に係る高分子固定化基板を、超微細化加工が必要とされるエレクトロニクスやバイオテクノロジー等の分野で、好適に利用することができる。
【0040】
本発明で用いられる基板の製造方法も特に限定されるものではなく、適切な大きさや形状となるように、公知の方法で製造すればよい。
【0041】
〔鎖状分子〕
本発明で用いられる鎖状分子とは、一次方向に伸長する巨大分子であれば特に限定されるものではないが、具体的には、鎖状分子の延伸方向の長さが、0.01μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、0.01μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲を外れる鎖状分子の場合、当該鎖状分子が長すぎるまたは短すぎるため、本発明に係る製造方法を用いても、鎖状分子を伸張固定化させることが困難となる場合がある。上記鎖状分子の分子量は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、数平均分子量が20,000〜20,000,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜2,000,000の範囲内であることがより好ましく、200,000〜2,000,000の範囲内であることがより好ましい。
【0042】
本発明で用いられる鎖状分子としては、特に限定されるものではなく、本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の用途等に応じて好ましい鎖状分子を選択すればよい。具体的には、例えば、鎖状分子伸張固定化基板を、電子機器に応用可能なチップとして用いる場合には、カーボンナノチューブ;金(Au)、銀(Ag)等からなる金属ワイヤー;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、糖鎖等の生体鎖状分子;ポリアセチレン等の導電性重合体;等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。中でも、本発明では、ポリヌクレオチドに代表される生体鎖状分子を好ましく用いることができる。
【0043】
〔生体鎖状分子〕
本発明において「生体鎖状分子」とは、情報をコードする各単位の順列により特定の情報を示すことが可能なように、当該各単位が順列につながっている、生分解性を有する鎖状構造の高分子を意味している。生体鎖状分子は、各種の生体機能を有している。それゆえ、これによれば、本発明の方法により得られる鎖状分子伸張固定化基板を、遺伝子工学や分子生物学の分野において好適に利用することができる。
【0044】
生体鎖状分子のうち、上記ポリヌクレオチドとしては、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)等を挙げることができるが、本発明に用いる鎖状分子としては、DNAが好適である。DNAは、例えばクローニングや化学合成技術又はそれらの組み合わせで得られるようなcDNAやゲノムDNA等を用いることができる。また、DNAは二本鎖でも一本鎖でもよい。
【0045】
本発明で用いられるポリヌクレオチドの塩基配列は特に限定されるものではなく、任意の塩基配列を有するものを用いることができる。また、上記ポリヌクレオチドの長さは特に限定されるものではないが、30〜30,000bpの範囲内が好ましく、30〜3,000bpの範囲内がより好ましい。この範囲内であれば、ポリヌクレオチドを上記鎖状分子として好適に用いることができる。
【0046】
上記生体鎖状分子のうち、ポリペプチドは、アミノ酸が連続してペプチド結合してなるものであれば特に限定されるものではないが、一般的には、公知のタンパク質や、化学合成されたオリゴペプチド等を用いることができる。なお、ポリペプチドのアミノ酸の配列は特に限定されるものではなく、任意の配列のものを用いることができる。
【0047】
ここで、上記タンパク質は、通常、αへリックスやβシート等の2次構造に代表されるような高次構造をとっているため、生体鎖状分子とはいっても線状になっていない場合がある。このときには、必要に応じて公知の方法でタンパク質を変性させ、高次構造を解いて用いればよい。また、高次構造をとっているタンパク質自身が鎖状分子となっている場合には、そのまま用いてもよい。
【0048】
上記生体鎖状分子のうち、糖鎖は、グルコース、ガラクトース、フコース、N−アセチルグルコサミン、シアル酸等の各種単糖が連続して結合してなるものであれば特に限定されるものではない。糖鎖としては、グルコースのみがつながってなるグルカンや、ガラクトースのみがつながってなるガラクタンのように、1種類の単糖からなっている構成であってもよいし、生体内で細胞表面等に存在する糖鎖のように、各種の糖鎖が任意の配列でつながっているものであってもよい。また、例えば、同じグルカンであっても、グルコースの結合位置によっては、アミロース(デンプンの1成分で、グルコースがα1−4結合でつながる)となったりセルロース(グルコースがβ1−4結合でつながる)となったりするが、各単糖の結合位置も特に限定されるものではない。さらに、アミロペクチンのように分岐鎖を有していてもよい。
【0049】
(2)本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の製造方法
〔鎖状分子液〕
本発明で用いられる鎖状分子液は、鎖状分子を溶媒に溶解させた溶液または分散させた分散液であれば特に限定されるものではない。溶媒としては、用いる鎖状分子の種類に応じて適宜好ましい溶媒を選択すればよく、特に限定されるものではない。溶媒は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、鎖状分子液は分散液であってもよいため、上記溶媒は、鎖状分子を溶解できるものでなくてもよい。例えば、溶媒を2種以上用いる場合には、鎖状分子に対して可溶性を示す溶媒と、不溶性を示す溶媒とを組み合わせて用いてもよい。
【0050】
本発明に用いる溶媒としては、基板上に滴下したときに、少なくとも数分間は基板上に鎖状分子液が存在することができる溶媒が好ましい。また、後述するように、本発明に係る製造方法においては、鎖状分子液を加温した後に基板上に滴下等することが好ましいため、加温した状態でも1分間程度は基板上に鎖状分子液が存在する溶媒がさらに好ましい。このような溶媒としては、水または有機溶媒を含む溶媒を挙げることができる。有機溶媒としては、具体的には、エタノールまたはメタノールが好適である。
【0051】
鎖状分子液の濃度については、鎖状分子が凝集していないか、または軽度の凝集状態にある濃度であれば、特に限定されるものではない。したがって、鎖状分子の種類により適宜適当な濃度を選択すればよい。例えばDNAの場合には、0.1ng/mL〜50ng/mL、好ましくは、0.1ng/mL〜1ng/mLである。50ng/mLを超えるとDNAが凝集しやすくなり、0.1ng/mLより薄いと基板上でのDNAの密度が粗くなりすぎる。
【0052】
鎖状分子液は、基板上に滴下、または基板を浸漬する前に加温しておくことが好ましい。加温することにより、鎖状分子が軽度の凝集状態にある場合でも凝集を解消することが可能となる。加温の温度は鎖状分子の濃度に応じて適宜選択すればよいが、室温〜90℃、好ましくは35〜45℃である。
【0053】
〔固定化工程〕
本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の製造方法は、分子基板間相互作用を利用した製造方法であり、鎖状分子液を基板上へ滴下、または鎖状分子液中に基板を浸漬した後に、当該液を除去することにより鎖状分子を基板表面上に伸張固定化させる、固定化工程を含んでいる。
【0054】
上述のように、本発明で用いられる基板は、鎖状分子との間に相互作用が働く物質であるので、基板の表面表面処理や電場等の外力を必要としない。したがって、鎖状分子液を基板上に滴下、または鎖状分子液中に基板を浸漬し、その後基板上の鎖状分子液を除去するのみで鎖状分子が基板表面に伸張固定化される。すなわち、非常に簡便な方法で、鎖状分子伸張固定化基板を製造することが可能となる。
【0055】
また、基板上に滴下した鎖状分子液、または浸漬後の基板上に残存している鎖状分子液を除去する方法は特に限定されるものではないが、空気で液を吹き飛ばす方法、または溶媒で基板を洗浄する方法を用いることが、簡便であるため好ましい。
【0056】
鎖状分子液を除去するタイミングは、滴下後1分程度から鎖状分子液が乾固する以前までであればいつでもよいが、鎖状分子液が乾固すると鎖状分子が凝集するため、乾固する以前に除去することが重要である。具体的には、数分〜1時間が好適である。このタイミングは、溶媒で洗浄して液を除去する場合でも同様である。この間に鎖状分子は基板上に伸張固定化される。
【0057】
なお、上述のように、鎖状分子液は滴下等する前に加温することが好ましいが、基板温度は特に限定されるものではない。したがって、基板は室温で使用すればよい。
【0058】
〔前処理工程〕
本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の製造方法には、上記固定化工程の前段に、鎖状分子と相互作用する分子で鎖状分子を処理する、前処理工程を含ませてもよい。ここで、「鎖状分子と相互作用する分子」には、既に相互作用することが知られている分子のみでなく、相互作用する可能性のある分子をも含む。
【0059】
上記前処理工程を含ませることにより、前処理を行っていない場合と比較して、基板上に伸張固定化された鎖状分子の折れ曲がり角度が異なる特徴を有する鎖状分子伸張固定化基板を製造することが可能となる。このような、折れ曲がり角度が異なる特徴を有する鎖状分子伸張固定化基板は、ナノ分子スケール回路等に有効に利用することができる。
【0060】
上記前処理工程の具体例として、DNAと相互作用することが知られているシスプラチン(cis-Platinum(II) diammine dichloride、化1参照)で、DNAを処理する場合について説明する。
【0061】
【化1】
Figure 0003967295
【0062】
シスプラチンは、アデニン、グアニンの7位のN原子に結合し、DNAを折れ曲がらせることが知られている(P.M.Takahara et al., Nature, 1995, 377, p.649)。このシスプラチンによってDNAを前処理する場合は、例えば、1ng/mLのDNA溶液 100μL に 50mg/mL のシスプラチン溶液を1μL 加え、37℃で24時間インキュベートすればよい。
【0063】
前処理の方法は鎖状分子の種類および鎖状分子と相互作用する分子の種類によって異なるため、適宜適当な方法を選択して行えばよい。前処理を行った後、上記〔鎖状分子液〕に記載したように適当な濃度の鎖状分子液を調製し、加温した後、上記〔固定化工程〕に記載した手順により、鎖状分子伸張固定化基板を製造することができる。
【0064】
(3)本発明に係る鎖状分子伸張固定化基板の用途
本発明に係る製造方法により得られる鎖状分子伸張固定化基板は、様々な分野で利用することができる。
【0065】
例えば、基板上に伸張固定化された鎖状分子の観察、当該鎖状分子の新規構造解析法の開発等への応用が期待できる。また、基板上の鎖状分子と医薬品等との相互作用を利用すれば、遺伝子診断、治療法の選択、ドラッグスクリーニング等にも応用が期待できる。また、バイオセンサーやナノ分子スケール回路などの各種ナノデバイス等への応用が期待できる。
【0066】
(4)本発明に係るスクリーニング方法
本発明に係るスクリーニング方法は、鎖状分子伸張固定化基板上の鎖状分子を観察することにより、鎖状分子と相互作用する分子をスクリーニングする方法である。スクリーニングに用いる観察方法は、基板上の鎖状分子を観察できる方法であれば特に限定されるものではないが、原子間力顕微鏡等の走査プローブ顕微鏡による観察が適していると考えられる。
【0067】
具体的には、例えば、基板上の鎖状分子の折れ曲がりを観察することにより、鎖状分子と相互作用する分子をスクリーニングすることが可能である。例えば、前処理工程を含まない製造方法で製造した伸張固定化基板上のDNA(未処理DNA)と、前処理工程を含む製造方法で製造した伸張固定化基板上のDNA(処理DNA)とを比較観察し、処理DNAの折れ曲がり状態が、未処理DNAの折れ曲がり状態と異なる特徴を有していれば、前処理を行った分子はDNAと相互作用する分子であると判断することができる。
【0068】
さらに、後述の〔実施例3〕で行っているように、折れ曲がり角を測定し、折れ曲がりの状態を数値化して比較すれば、客観的な判断が可能となる。
【0069】
また、本発明に係るスクリーニング方法は、前処理工程を含まずに製造した鎖状分子伸張固定化基板を用いても行うことができる。すなわち、鎖状分子と相互作用することが未知の分子を基板上の鎖状分子に作用させ、基板上の鎖状分子の変化を観察することによって、当該分子が鎖状分子と相互作用するか否かをスクリーニングすることができる。このスクリーニング方法は、前処理工程の操作が煩雑である場合等に有利である。
【0070】
従来の電気泳動法を用いるスクリーニング方法では、大量の試料が必要であったが、本発明に係るスクリーニング方法を用い、基板に固定した鎖状分子を走査プローブ顕微鏡で観察する場合には、鎖状分子と相互作用する分子の量は極微量でよく、理論的には1分子に近くても検出できる可能性がある。
【0071】
したがって、本発明に係るスクリーニング方法を用いることにより、医薬品候補物質や疾病の原因物質を、少ない試料で容易にスクリーニングすることが可能となり、医療分野や医薬品産業分野において多大な貢献ができるものと考えられる。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0073】
【実施例】
〔実施例1:DNAのグラファイト基板上への伸張固定化〕
(1)材料および方法
DNA試料として、pBluescript II SK(+)(2,961bp、Stratagene社製)を制限酵素BamH I(東洋紡製)で1カ所切断した物を使用した。すなわち、pBluescript II SK(+)をBamH Iを用いて37℃、90分間処理し、電気泳動により1カ所で切断されていることを確認した。QIAEX II Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、ゲルからDNA分子を抽出し、引き続きエタノール沈殿した。DNAは18MΩの脱イオン水で1ng/mLに調製した。
【0074】
濃度1ng/mL のDNA溶液 100μL を40℃に加温し、新たに結晶面に沿って裂いたHOPG基板表面に滴下し、1時間放置した後、DNA溶液を空気で吹き飛ばすことにより、伸張DNA固定化基板を作製した。同時に、DNA溶液の加温温度を、室温および60℃とした場合についても、同様の手順でDNA固定化基板を作製した。
【0075】
引き続き、上記伸張DNA固定化基板を原子間力顕微鏡で観察した。原子間力顕微鏡の全ての画像は、Jeol JSPM-4210(日本電子データ社製)のスロープモード(タッピングモード)により得た。
【0076】
全ての実験、試料調製および原子間力顕微鏡の画像化は空気中で行った。
(2)結果
図1に、DNA溶液を40℃に加温した場合における、HOPG基板上のDNAの典型的な原子間力顕微鏡画像を示した。図1から明らかなように、DNAはHOPG表面に吸着し、部分的に真っ直ぐになっていた。また、DNAはHOPG基板の結晶構造に一致して、六角形に沿って位置していることが判明した。さらに、折れ曲がり(図中A)、枝分かれ(図中B)が観察され、太い部分(図中C)および細い部分(図中D)が存在することも観察された。本DNA伸張固定化基板上のDNAの太い部分と細い部分の高さは、それぞれ1.5nmおよび1.0nmであった。S.Tanakaらは、単一DNA分子の高さは約0.8nmで、交差点の高さは約1.1nmであることを報告している(非特許文献7参照)。この報告および今回の観察結果から、観察されたDNAの太い部分は、2つのDNA分子で構成されていると考えられた。このことから、枝分かれについても2つのタイプがあると考えられた。すなわち、1つは真っ直ぐなDNA分子と折れ曲がっているDNA分子の複合体であり、もう1つはDNA分子の直線部分に他のDNA分子の一端が接着したものである。
【0077】
図2(a)〜(c)にDNA溶液の加温温度を室温、40℃および60℃とした場合の、HOPG基板上のDNAの原子間力顕微鏡画像を示した。(a)は室温の画像であり、DNAはあまり伸張していない。(b)は40℃の画像であり、DNAがよく伸張している。(c)は60℃の画像であり、DNAだけでなく他の分子も密集している。したがって、単一分子DNAを原子間力顕微鏡で観察するためには、加温温度は40℃が適していると考えられた。
【0078】
以上の結果から、DNAの希薄溶液を加温した後、グラファイト基板上に滴下し、空気で溶液を吹き飛ばすことにより、DNAの伸張固定化基板を製造することができた。伸張固定化されたDNAは、一部2分子で構成されている部分もあるが、大部分は単一分子のDNAであった。したがって、本実施例1の方法は、非常に簡便かつ正確に単一分子DNA伸張固定化基板を製造できる有用な製造方法であることが明らかとなった。
【0079】
〔実施例2:シスプラチン処理したDNAのグラファイト基板上への伸張固定化〕
(1)材料および方法
DNA試料は、上記〔実施例1〕で使用したものと同じものを使用した。すなわち、pBluescript II SK(+)(2,961bp、Stratagene社製)を制限酵素BamH I(東洋紡製)で1カ所切断したものを使用した。
【0080】
DNAのシスプラチン処理は、以下の手順で行った。すなわち、1ng/mL のDNA溶液 100μL に 50mg/mL のシスプラチン(cis-Platinum(II) diammine dichloride、Sigma-Aldrich社製)溶液を1μL 加え、37℃で24時間インキュベートした。なお、シスプラチン溶液は、シスプラチンを18MΩの脱イオン水で溶解して調製した。
【0081】
シスプラチン処理したDNAを40℃に加温し、新たに結晶面に沿って裂いたHOPG基板表面に滴下し、1時間放置した後、試料溶液を空気で吹き飛ばすことにより、伸張DNA固定化基板を作製した。
【0082】
引き続き、上記伸張DNA固定化基板を原子間力顕微鏡で観察した。
【0083】
(2)結果
図3にHOPG基板上のシスプラチン処理DNAの典型的な原子間力顕微鏡画像を示した。図3から明らかなように、DNAはHOPG表面に吸着し、部分的に真っ直ぐになっていた。また、未処理DNA(図1参照)と同様にシスプラチン処理DNAにも折れ曲がり(図中A)および枝分かれ(図中B)と、太い部分(図中C)および細い部分(図中D)が観察された。シスプラチン処理DNAの太い部分と細い部分の高さは、それぞれ1.3nmおよび0.8nmであったことから、未処理DNAと同様に、太い部分は2つのDNA分子で構成されていると考えられた。
【0084】
未処理DNAの画像(図1)とシスプラチン処理DNAの画像(図3)とを比較すると、シスプラチン処理DNAは緩やかな折れ曲がり角を持っていた(実施例3参照)。
【0085】
この結果から、DNAと相互作用する分子で処理した後に、〔実施例1〕と同様の手順により製造したDNA伸張固定化基板は、未処理DNAを用いて製造したDNA伸張固定化基板と異なる折れ曲がりのパターンを有することが明らかとなった。
【0086】
〔実施例3:未処理DNAおよびシスプラチン処理DNAの折れ曲がり角の比較〕
未処理DNAの画像(図1)とシスプラチン処理DNAの画像(図3)の折れ曲がり角について統計的に議論するために、それぞれの試料について折れ曲がり角を測定した。結果を図4(a)および(b)に示した。
【0087】
図4(a)は未処理DNAの折れ曲がり角の分布を示しており、図4(b)はシスプラチン処理DNAの折れ曲がり角の分布を示している。折れ曲がり角は図4(a)に示したように測定した。枝分かれは、折れ曲がりか接着かの判断が困難であるので、測定対象から除外した。図4(a)および(b)から明らかなように、両試料とも、折れ曲がり角が30、60および120度に分布していることが観察されたが、シスプラチン処理DNAは30度の分布が極端に多かった。このことは、DNAと相互作用する分子で前処理した場合には、未処理DNAの折れ曲がり角の特徴と異なる特徴を有することを示している。
【0088】
以上の結果から、本発明に係る製造方法により得たDNA伸張固定化基板上のDNAの折れ曲がり角を観察することにより、DNAと相互作用する分子をスクリーニングできることが明らかとなった。
【0089】
【発明の効果】
本発明は、鎖状分子液を基板上へ滴下、または鎖状分子液中に基板を浸漬した後に、基板上の鎖状分子液を除去する固定化工程を含む、分子基板間相互作用を利用した鎖状分子伸張固定化基板の製造方法である。この製造方法により、DNA等の鎖状分子を単一分子レベルで、直線状に伸張固定化した基板を得ることが可能となる。本発明に係る製造方法は、従来の鎖状分子伸張法と比較して、基板の表面処理や電場等の外力を必要とせず、極めて簡便かつ正確に鎖状分子伸張固定化基板を製造できるという効果を奏する。
【0090】
また、上記固定化工程の前段に、鎖状分子と相互作用する分子で鎖状分子を処理する前処理工程を含む、鎖状分子伸張固定化基板の製造方法は、前処理を含まない製造方法で製造した鎖状分子伸張固定化基板の鎖状分子の折れ曲がりパターンと異なる特徴を有する鎖状分子伸張固定化基板を得ることができるという効果を奏する。
【0091】
さらに、本発明は、上記鎖状分子固定化基板上の鎖状分子の折れ曲がりを観察することにより、鎖状分子と相互作用する分子をスクリーニングする方法である。このスクリーニング方法により、鎖状分子と相互作用をする医薬品候補物質や疾病の原因物質を容易にスクリーニングすることができるという効果を奏する。
【0092】
上記製造方法は、ナノテクノロジー技術の一基本技術であり、バイオテクノロジー、エレクトロニクス等の関連ナノテクノロジー分野で幅広い応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法により、DNAをHOPG(高配向焼結グラファイト)基板上に伸張固定化したときの、基板表面の原子間力顕微鏡画像である。
【図2】(a)は、室温のDNA溶液を用いた場合のHOPG基板表面の原子間力顕微鏡画像であり、(b)は、40℃に加温したDNA溶液を用いた場合のHOPG基板表面の原子間力顕微鏡画像であり、(c)は、60℃に加温したDNA溶液を用いた場合のHOPG基板表面の原子間力顕微鏡画像である。
【図3】シスプラチンによる前処理工程を含む製造方法により、シスプラチン処理DNAをHOPG基板上に伸張固定化したときの、基板表面の原子間力顕微鏡画像である。
【図4】(a)は、未処理DNAをHOPG基板上に伸張固定化したときの、折れ曲がり角の分布を表すグラフであり、(b)はシスプラチン処理DNAをHOPG基板上に伸張固定化したときの、折れ曲がり角の分布を表すグラフである。

Claims (15)

  1. 分子基板間相互作用を利用して鎖状分子を基板表面上に伸張固定化させる、固定化工程を含んでおり、
    上記固定化工程では、加温された状態の鎖状分子液を基板上へ滴下、または加温された状態の鎖状分子液中に基板を浸漬した後に、基板上の鎖状分子液を除去することを特徴とする、鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  2. 上記鎖状分子液の加温の上限値が90℃であることを特徴とする、請求項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  3. 上記加温された状態の鎖状分子液が、35℃〜45℃の範囲に加温されていることを特徴とする請求項1に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  4. さらに、上記固定化工程の前段に、鎖状分子と相互作用する分子で鎖状分子を処理する、前処理工程を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鎖状分子固定化基板の製造方法。
  5. 鎖状分子液の除去には、空気で当該鎖状分子液を吹き飛ばす方法または溶媒で洗浄する方法を用いることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  6. 上記鎖状分子は、生体鎖状分子であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  7. 上記生体鎖状分子は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または糖鎖のいずれかであることを特徴とする、請求項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  8. 上記ポリヌクレオチドは、DNAであることを特徴とする、請求項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  9. 鎖状分子を伸張固定化する基板が、層状物質であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  10. 鎖状分子を伸張固定化する基板が、グラファイト基板であることを特徴とする、請求項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  11. 上記鎖状分子液は、鎖状分子を溶媒に溶解させた溶液または分散させた分散液であることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  12. 上記溶媒には、水または有機溶媒が含まれることを特徴とする、請求項11に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  13. 上記鎖状分子液に含まれる鎖状分子の濃度が0.1ng/mL以上、50ng/mL以下であることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の鎖状分子伸張固定化基板の製造方法。
  14. 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の製造方法によって得た鎖状分子伸張固定化基板上の鎖状分子を観察することにより、鎖状分子と相互作用する分子をスクリーニングする方法。
  15. 上記鎖状分子の折れ曲がりを観察することを特徴とする、請求項14に記載のスクリーニング方法。
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