JP3963479B2 - 発電所プラントの迅速な出力調節のための方法および装置 - Google Patents
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Description
エネルギー供給システム内の周波数偏差をなくすための調節とならんで特に、配電網(連系網またはアイランド網)を構成する部分回路網への連結個所における予め定められた授受電力を守らなければならない。従って、何秒か内に発電所ブロックの迅速な出力上昇を可能にするという要求がある。
迅速な出力調節および周波数バックアップのための可能性は、印刷物“VGB Kraftwerkstechnik”、第1号、1980年1月、第18〜23頁に記載されている。何秒かの間の迅速な出力調節(秒予備)のためには複数の同時にまたは交互に実行可能な干渉可能性があるが、発電所ブロックの出力の残留する変化のためには燃料供給の変更が必要である。従って、化石燃料による発電所プラントでは、最初の何秒か内の遅れ時間の橋渡しのために、先に絞られた位置に保たれていた蒸気タービンの操作弁が開かれ、それにより利用可能な蒸気またはエネルギー蓄積器が実際上遅れなしに能動化かつ放出される。
蒸気タービンの操作弁の絞りをやめることによる出力上昇とならんで、蒸気タービンの水-蒸気循環路中に設けられており蒸気タービンからの抽出蒸気により加熱される予熱器も切り離される。同時に低圧加熱器を通して導かれる復水流が何秒か内に止められ、再び高められる。予備として保たれているエネルギー蓄積器を能動化するための別の可能性として復水停止による予熱器の切り離しにより化石燃料による発電所ブロックのなかの迅速な出力調節を行うためのこの措置は、例えばドイツ特許第33 04 292号明細書にも記載されている。
従って、迅速な秒予備、すなわち再生予熱器および(または)加熱復水器への蒸気流ならびにプロセス蒸気および発電所プラントの蒸気タービンの水-蒸気循環路内の復水の調節要求、を調節かつ(または)制御するために、通常調節装置が使用される。この調節装置は迅速な出力調節のために、すなわち何秒か内にエネルギー蓄積器を能動化するために、予熱器への蒸気供給の絞り、プロセス蒸気の絞りおよび(または)復水の絞りを調節する。その際にタービン抽出蒸気の調節弁および復水設定のための操作機構に対する位置目標値は、必要とされる発電機増加出力が達成されるように形成される。しかしその際に欠点として、タービン抽出蒸気の操作端または操作機構および復水-および副復水調節の協調が非常に困難である。さらに、迅速な出力調節のための個々の措置の利用の優先順位が考慮に入れられていない。さらに、制御対象が通常は線形でないために、これまで特に高い制御良度は得られていない。
従って、本発明の課題は、上述のような従来の問題点を解決し、発電所プラントにおいて、タービン抽出蒸気の操作端と復水及び副復水調節との協調を容易にし、出力調節のための個々の措置の利用の優先順位を考慮することができ、高い制御良度が得られ、しかも迅速に出力を準備するための効率的な調節を達成する方法を提供することにある。本方法はその実施のために特に適した装置において簡単な手段により達成しなければならない。
方法に関して、この課題は、本発明によれば、発電機出力に対して付加的に、少なくとも1つの、特に発電所プラントの蒸気発生器調節から供給される、熱出力が別の現在の作動状態を特徴付けるプロセス量として複数個の位置目標値を求めるために利用されることによって解決される。ここで発電機出力とは、発電機の実際出力または目標出力、増加出力目標値または増加出力実際値または最大可能な出力を意味している。
本発明はその際に、現在の作動状態を考慮に入れてエネルギー蓄積器を能動化するための措置組み合わせ、従ってまた使用ストラテジーを求め、その際にプラントプロセスの多数のプロセス値またはプロセス量を評価するという考察から出発する。そのために自由になるエネルギー蓄積器のエンドチャージおよびチャージが剰余出力要求の評価に従って調節されなければならないであろう。その際に個々のエネルギー蓄積器の能動化のための技術的および経済的な観点に基づく使用ストラテジーを使用することができる。
好ましくはプラント全体または個々の発電所ブロックの現在の作動状態を決定するため付加の別のプロセス量としてプラントの遠隔熱出力ならびに脱結合されたプロセス蒸気質量流および(または)蒸気タービンの操作機構、特に蒸気タービンと流入側で結合されている生蒸気操作弁、の絞り度も使用される。さらに、目的にかなった仕方で、エネルギー蓄積器の制限に関する、例えばプラントの負荷容量に関する値およびデータも考慮に入れられる。さらに、目的に適った仕方で、蒸気タービンの水-蒸気循環路内の生蒸気-、抽出蒸気-、排出蒸気-および(または)復水流に関係する内容を含んでいる、個々のエネルギー蓄積器のテクノロジー的な準備または能動化可能性に関するデータも考慮に入れられる。
装置に関して、前記の課題は、本発明によれば、調節装置を含んでおり、その入力が発電機の目標出力(増加出力目標値)および実際出力(増加出力実際値)ならびに少なくとも1つの熱出力値を別のプロセス量として含んでおり、またその出力が、個々のエネルギー蓄積器を能動化するために、蒸気タービンと結合されている操作機構に対する位置目標値を与えることにより解決される。操作機構は生蒸気、抽出蒸気または排出蒸気の各操作弁またはダンパーならびに主-または副復水供給ポンプであってよい。
目的にかなった実施例では、調節装置が第1の調節モジュールを含んでおり、その入力が発電機の目標出力および実際出力ならびに別のプロセス量または作動値を含んでおり、またその出力が予備出力を準備するための措置組み合わせの割合値を与える。好ましくは、第1の調節モジュールは蒸気タービンと流入側で結合されている少なくとも操作機構の絞り度に対する入力端をも有する。
目的にかなった仕方で、調節装置はさらに第2の調節モジュールを含んでおり、その入力端が第1の調節モジュールの措置組み合わせを示す出力端と接続されており、またその出力が蒸気操作機構に対する位置目標値を与える。出力側でこの調節モジュールと接続されており、補正調節器として動作する第3の調節モジュールは、目的にかなった仕方で、入力として発電機の出力値を含んでいる。
調節装置はさらに、目的にかなった仕方で、第4の調節モジュールを含んでおり、その入力端が第1及び第2の調節モジュールのそれぞれ出力端と接続されており、またその出力が復水操作機構に対する位置目標値を与える。第1の調節モジュールと接続されている調節装置の第5の調節モジュールは少なくとも操作機構の現在の絞り度を補正または適応させる役割をする。
本発明により達成される利点は特に、プラントの複数個の重要なプロセス量を考慮に入れてターボセットのなかのエネルギー蓄積器を能動化するための措置組み合わせを求めることにより、増加出力能動化に対するしばしば互いに逆向きの要求および条件の特に望ましい解決策が可能にされていることにある。その際にエネルギー蓄積器の能動化に対する適切な使用ストラテジーの使用のもとに最良可能な全体結果が保証されている。使用ストラテジーの作成の際に、調節剰余の予め定められた準備からも、流れ-、プロセス-および(または)加熱蒸気-供給に関する規定からも、テクノロジー的な理由からも生ずる制約が考慮に入れられ得る。
以下、本発明の実施例を図面により一層詳細に説明する。
図1は発電所ブロックのプロセス部分としてのターボセットのブロック回路図、また
図2は図1によるプロセス部分に対する調節装置のブロック回路図を示す。
図1は、高圧部分タービン2、中圧部分タービン4および低圧部分タービン6ならびに発電機8から構成されているターボセットを有する発電所ブロックのプロセス部分の原理的なブロック回路図を示す。ターボセットの作動の際には生蒸気FDが生蒸気操作弁10を介して高圧部分タービン2に入れられる。操作弁12(ダンパーKL)により設定可能な部分流FD1が高圧部分タービン2から高圧予熱路14に対して取り出される。高圧部分タービン2からの排出蒸気FD2は中間過熱器16を介して中圧部分タービン4に供給される。
中圧部分タービン4からは別の蒸気取り出しが行われる。そのために操作弁18(ダンパーKL)により給水タンク20に対する設定可能な第1の部分流MD1が取り出される。別の取り出しが操作弁22(プロセス蒸気ダンパーPDK L)により設定可能なプロセス蒸気としての第2の部分流MD2を介して行われる。さらに取り出しが操作弁24(ダンパーKL)により設定可能な第3の部分流MD3を介して低圧予熱路26に対して行われる。中圧部分タービン4の排出蒸気の操作弁28(加熱復水ダンパーHKKL)により設定可能な第1の部分流MD4は加熱復水器30に供給される。中圧部分タービン4の排出蒸気の同じく設定可能な第2の部分流MD5はオーバーフローダンパー32(UKL)を介して低圧部分タービン6に供給される。
低圧部分タービン6から同じく低圧予熱路26および加熱復水器30に対する蒸気取り出しが行われる。そのために第1の部分流ND1が直接に、また第2の部分流ND2が操作弁34(ダンパーKL)を介して低圧予熱路26に供給される。同じく加熱復水器30に第3の部分流ND3が直接に、また第4の部分流ND4が操作弁36(加熱復水ダンパーHKKL)を介して供給される。低圧部分タービン6からの排出蒸気ND5は復水器38のなかで復水する。
主復水Kは復水器38の温水溜め40から復水ポンプ42により低圧予熱路26を介して給水タンク20に送られる。給水タンク20から給水ポンプ44により給水Sが高圧予熱路14を介して送られる。高圧予熱路14からの副復水NK1は副復水ポンプ46を介して給水タンク20に送られる。同じく副復水NK2は低圧予熱路26から副復水ポンプ48を介して復水器38に、すなわちその温水溜め40に、送られる。さらに、副復水NK3は加熱復水器30から副復水ポンプ50により復水器38の温水溜め40に送られる。
主復水Kおよび給水Sの送りはレベル調節LK/LSWBを介して行われ、他方において副復水NK1,2,3の送りは別のレベル調節NKR1、NKR2またはNKR3を介して設定される。各レベル調節には共通の位置目標値YNKRが供給される。
迅速な出力調節のための装置は図2に示されている。この装置は5つの調節モジュール62、64、66、68および70を有する調節装置60を含んでいる。調節装置60は入力量aおよびbとして出力要求PSおよび出力-または増加出力実際値PIを受ける。剰余出力実際値PIは発電機8(図1)における測定装置72により測定される。別の入力量cとして調節装置60は、詳細には示されていない仕方で発電所ブロックの蒸気発生器調節から取り出される熱出力目標値PWLを受ける。さらに、調節装置60は入力量dないしhとして発電所ブロックの作動状態に関する情報を受ける。これらは入力量dとして遠隔熱出力PFW、入力量eとしてプロセス蒸気取り出し量またはプロセス蒸気質量流MPD、入力量fとして生蒸気操作弁10の絞り度DFD、入力量gとして発電所ブロックの負荷容量KL、また入力量hとして利用可能なエネルギー蓄積器のテクノロジー的な準備TBである。別の作動値Pは調節装置60に入力端iを介して供給され得る。
入力端aないしiは調節装置60の第1の調節モジュール62に属する。それらは調節すべきプロセス部分に対して使用されるプロセス量PS、PI、PWL、PFW、MPD、DFD、KL、TBおよびPを考慮に入れる。個々の措置の予備出力可能性に関する方法技術的な知識に基づくアルゴリズムを用いて、第1の調節モジュール62のなかで措置組み合わせに対する決定規範が作成される。そのために発電機出力PSおよび遠隔熱出力PFWにより、またプロセス蒸気質量流MPDおよび絞り度DFDにより特徴付けられる現在の作動状態が求められる。その際に各々の現在の作動状態に対してその瞬間に必要とされる予備出力をカバーするための最適な措置組み合わせL1...nが決定される。その際に負荷容量KLおよび個々の措置Lnのテクノロジー的な準備TBも考慮に入れられる。続いて、決定された措置Lnに対して出力割合PSRM(1...n)が計算され、また出力量Iとして関与する措置Lnに対するレリーズ信号が形成される。さらに、別の出力量kとして(図示されていない)蒸気発生器調節のための付加熱出力ΔPWLが決定される。
出力量jおよびlならびに遠隔熱出力PFWは調節モジュール64の入力量を形成する。調節モジュール64のなかで出力量mないしrとして生蒸気操作弁10、オーバーフローダンパー32、操作弁28および36、操作弁22または操作弁12、18、24および34に対する位置目標値YFD、YUKL、YHKKL、YPDKLおよびYKLが形成される。計算された位置目標値Yは、調節モジュール64と接続され入力量として出力目標値PSおよび増加出力実際値PIを供給される調節モジュール66により補正される。
調節モジュール68のなかで出力量sおよびtとして措置Ln、ダンパーまたは操作弁10、12、18、22、24、28,30、32、34および(または)36の位置ならびにそれらの位置変化速度に応じて復水-または副復水調節器NKR1,2,3の位置目標値YKP、YNKPに対する補正が形成される。そのために調節モジュール68に入力量として調節モジュール62ないし64の出力量jおよびr、すなわち位置目標値YKLよび措置組み合わせL1...nが供給される。
調節モジュール70は生蒸気操作弁10に対する必要な絞り度を決定するためのアルゴリズムを含んでいる。そのためにこの調節モジュール70に入力量として出力量jおよび発電所ブロックの現在の作動状態を記述する別の出力量vが調節モジュール62から供給される。生蒸気操作弁10の計算された絞り度は予め選ばれた絞り度と比較され、出力量uとして自動的に適応された絞り度DFDが出力される。
高圧部分タービン2に供給される生蒸気質量流を設定する生蒸気操作弁または操作機構10の絞りはこうして調節されて能動化可能なエネルギー蓄積器を構成し、このエネルギー蓄積器は求められた位置目標値YFDを介して制御されてチャージされ、または予備出力を準備するために制御されてディスチャージされ得る。別のエネルギー蓄積器を能動化するためには抽出蒸気-および排出蒸気-部分流FD1,2、MD1...5、ND1...5ならびに復水Kおよび副復水NKの供給が個々にまたは共通に、また部分的にまたは完全に相応の操作機構(操作弁、ポンプ)12、18、22、24、28、32、34、36、42、46、48、50により絞られ得る。それによって予熱路14、26の供給が一時的に減少または中止される。制御は同じく調節装置60を介して相応の位置目標値Yにより行われる。
特にプロセス蒸気-および加熱蒸気供給の際に措置Lnの選択への特別な影響を有し得る方法技術的な知識および折り合いのよい決定を総合して調節装置60の基礎とすることは、存在するエネルギー蓄積器を経済的にできるだけ良好に利用することも発電所プラントを大切にして運転することも保証する。
Claims (11)
- 蒸気タービンおよび発電機を有するターボセットを備えた発電所プラントの迅速な出力調節のための方法であって、発電機増加出力を設定するためにプラントプロセス内に存在しているエネルギー蓄積器が能動化され、その際発電機出力(PS、PI)に対して付加的に少なくとも1つの別の、現在の作動状態を特徴付けるプロセス量(PS、PI、PWL、PFW、MPD、DFD、KL、TB、P)が複数個の位置目標値(Y、DFD)を求めるために利用される方法において、第1の別のプロセス量(P S 、P I 、P WL 、P FW 、M PD 、D FD 、KL、TB、P)として位置目標値(Y、D FD )を求めるためプラントプロセスから脱結合される熱出力(P FW )が利用されることを特徴とする発電所プラントの迅速な出力調節のための方法。
- 付加のプロセス量として、蒸気タービン(2、4、6)と結合されている少なくとも操作機構(10)の絞り度(DFD)が使用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 付加の別のプロセス量として、プラントプロセスから取り出される蒸気質量流(MPD)が利用されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
- 付加の別のプロセス量として、プラントプロセスの熱出力実際値(PWL)が利用されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
- 位置目標値(y)を求めるためにエネルギー蓄積器の能動化可能性(TB)に関する情報が考慮に入れられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
- 蒸気タービン(2、4、6)および発電機を有するターボセットと、発電機増加出力を設定するためにプラントプロセス内に存在しているエネルギー蓄積器を能動化するための手段とを備え、調節装置(60)を含み、その入力(a〜i)が発電機(8)の出力値(PS、PI)ならびに少なくとも1つの別のプロセス量(PS、PI、PWL、PFW、MPD、DFD、KL、TB、P)を含み、その出力(n〜u)が蒸気タービン(2、4、6)と結合されている複数個の操作機構(10、12、18、22、24、28、32、34、36、42、46、48、50)に対する位置目標値(Y)を与える発電所プラントの迅速な出力調節のための装置において、入力(a〜i)の1つにプラントプロセスから脱結合される熱出力(P FW )が加えられることを特徴とする発電所プラントの迅速な出力調節のための装置。
- 調節装置(60)が第1の調節モジュール(62)を含んでおり、その入力(a〜i)がプロセス量(PS、PI、PWL、PFW、MPD、DFD、KL、TB、P)を含んでおり、またその出力(j)が予備出力を準備するための措置組み合わせ(Ln)の割合値を与えることを特徴とする請求項6記載の装置。
- 第2の調節モジュール(64)を含んでおり、その入力端が第1の調節モジュール(6)の出力端(j)と接続されており、またその出力(n〜r)が蒸気操作機構(10、12、18、24、28、32、34、36)に対する位置目標値(Y)を与えることを特徴とする請求項7記載の装置。
- 出力側で第2の調節モジュール(64)と接続されている第3の調節モジュール(66)を含んでおり、その入力(a、b)が発電機(8)の出力値(PS、PI)を含んでいることを特徴とする請求項8記載の装置。
- 第4の調節モジュール(68)を含んでおり、その入力端が第2の調節モジュール(64)の少なくとも出力端(r)および第1の調節モジュール(62)の出力端(j)と接続されており、またその出力(s、t)が復水操作機構(42、46、48、50)に対する位置目標値(YKP、YNKP)を与えることを特徴とする請求項8または9記載の装置。
- 少なくとも操作機構(10)の現在の絞り度(DFD)を補正するための第5の調節モジュール(70)を含んでいることを特徴とする請求項6ないし10のいずれか1つに記載の装置。
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