JP3962603B2 - 翼通過面積制御装置を備えた風車及びその運転制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風車発電装置等に適用され、複数の翼に風力を作用させ該翼の回転力をロータを介しあるいは直接に出力側の風車軸に伝達するように構成され、前記翼の翼長を変化させて風の翼通過面積を変化可能にした翼長可変翼を備えるとともに、該翼長可変翼の翼長及び風の翼通過面積を制御する手段を備えた風車及びその運転制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロータに支持された複数の翼に風力を作用させて回転力を発生せしめる風車によって発電機を駆動するようにした風車発電装置を多数併設することにより高出力の発電能力を備えた風力発電設備は、丘陵上や山上等の高所あるいは洋上等の高風速が得られる場所に設置されている。
【0003】
かかる風車発電装置や種々の動力源に適用される風車装置は、例えば特開平5−60053号に示されるように、出力軸を構成する風車軸に固着されたロータヘッド(翼支持部材)の外周に複数の翼を固着し、風力により発生する翼の回転力を該ロータヘッドを経て風車軸に伝達するように構成されており、稼動時におけるエネルギーや消費電力(必要発電電力)に対応して風車軸に連結される翼のピッチを変化させ、風速に応じた翼ピッチの最適点を探して運転制御することにより所要の発電電力を保持するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、かかる風車装置において風(空気流)による風車の動力(エネルギー)は、該風車における風の通過面積即ち翼の外周円と翼根の内周円との間に形成される環状面の面積Sに比例する。即ち、翼根の内周円の半径をl、外周円の半径をLとすると、前記環状面の面積つまり翼の通過面積Sは、
S=π(L2―l2) (1)
となり、風車の動力を増大するには、翼の外周円の半径Lを大きくするか、あるいは翼の外周円と翼根の内周円との差つまり翼長を長くすることを要する。
【0005】
また、かかる風車の出力Pは、風速をV、翼の通過面積をSとすると、
P=k・S・V3 (2)
即ち風車の出力P、つまり風車発電装置であれば、発電量は風車設置場所の気象状態よって左右される風速Vの増大には限度があることから、翼の通過面積Sを増加することにより増大可能となる。
【0006】
然るに、前記風車の出力Pを増大するために翼の通過面積Sを増加した場合、気象状態の変化に伴う突風の発生等によって風速Vが過大になった際には、前記風車の出力Pが増大する一方で、過大風速の作用により翼及びロータ等の回転部材が疲労破壊に至ることも懸念される。
【0007】
しかしながら、前記特開平5−60053号等の従来技術にあっては、風車軸よりもやや大径のロータヘッドに翼が直接固着された構造であるため、翼の外周円の半径Lを大きく採り難く風車の出力Pの増大には限界があり、また前記外周円の半径Lを最大限に採って翼の通過面積Sを大きくした場合、気象状態の変化に伴う突風の発生等によって風速Vが過大になった際には翼及びロータ等の回転部材が疲労損傷を受けることも懸念される。
【0008】
従って、前記のような課題に対処するには、風の翼通過面積を風速を始め風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態に対応した最適面積に制御して風車の出力を常時最大出力レベルに保持可能とするとともに、前記風速や負荷の急激な増大等による風車の回転部材の応力が過大にならないように回転部材の応力状態に応じて前記翼通過面積を制御して前記回転部材が疲労損傷を防止することが要求されるが、前記従来技術においてはかかる要求に応えることができない、等の問題点を有している。
【0009】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、翼の有効長を自在に変化せしめることにより風速を始め風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態に対応し、かつ風車回転部材の応力状態に対応して風の翼通過面積を最適面積に制御可能として、風車の出力を疲労損傷を回避し得る範囲で最大限に保持することを可能とする手段を備えた風車及びその運転制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、請求項1記載の発明として、ロータに支持された複数の翼に風力を作用させ、該翼の回転力を前記ロータを介して出力側の風車軸に伝達するように構成された風車において、
前記翼は、ロータに支持されてロータ半径方向に延在する翼本体部と、該翼本体部の外周側に長さ方向に変位あるいは伸縮可能に取り付けられた可変翼長部を備えるとともに、翼に作用する風速を検出する風速検出器、風車回転部分の回転数を検出する回転数検出器、風車の負荷を検出する負荷検出器を設け、
前記各検出器から入力される風車の運転状態検出信号と予め設定された許容値とを比較して該検出値が前記許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、前記検出値が前記許容値よりも小さいときは翼長を増大させる方向へ翼長を制御する制御量を出力する翼長制御装置と、該翼長制御装置から入力される前記制御量に基づき前記翼の翼長を変化させる翼長可変装置とを備えたことを特徴とする翼通過面積制御装置を備えた風車を提案する。
【0011】
削除
【0012】
請求項2記載の発明は請求項1に加えて、前記翼に作用する応力を検出する翼応力検出器が翼の最大応力発生部位に取り付けられ、前記翼長制御装置は該翼応力検出器から入力される翼応力検出信号と予め設定された翼応力の許容値とを比較し、前記翼応力検出値が翼応力許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、翼応力検出値が翼応力許容値よりも小さいときは翼長を増大させる制御量を翼長可変装置側に出力することを特徴とする。
【0013】
削除
【0014】
請求項3記載の発明は請求項1、2の構成を備えた風車の運転方法に係り、ロータに支持された複数の翼に風力を作用させ該翼の回転力を前記ロータを介して出力側の風車軸に伝達するように構成されるとともに、前記翼は中間部から翼端部までの所定長さ部分において翼長を変化可能に構成されてなる風車の運転制御方法において、
前記翼は、ロータに支持されてロータ半径方向に延在する翼本体と、該翼本体部の外周側に長さ方向に変位あるいは伸縮可能に取り付けられた可変翼長部を備えるとともに、該翼に作用する風速を検出する風速検出器と、前記風車回転部分の回転数を検出する回転数検出器と、風車の負荷を検出する負荷検出器とを設け、前記各検出器から入力される風車の運転状態検出信号と予め設定された許容値とを比較して前記検出値が前記許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、一方前記検出値が許容値よりも小さいときは翼長を増大させる方向へ翼長を制御する制御量を設定し、該設定された制御量に基づき前記翼の翼長を変化させることを特徴とする。
【0015】
また請求項4記載の発明は請求項2の構成を備えた風車の運転方法に係り、前記翼に作用する翼応力検出器が翼の最大応力発生部位に取り付けられ、前記翼長制御装置は該翼応力検出器から入力される翼応力検出信号と予め設定された翼応力の許容値とを比較し、前記翼応力検出値が翼応力許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、一方翼応力検出値が翼応力許容値よりも小さいときは翼長を増大させる方向に翼長の制御量を翼長可変装置側に出力させて、該制御量に基づき前記翼の翼長を変化させることを特徴とする。
【0016】
かかる発明によれば、翼をその中間部から翼端部までの所定長さ部分において翼長を変化可能に形成し、翼長可変装置によって該翼の翼長を変化させることにより風の翼通過面積を変化せしめるように構成するとともに、風速検出器により風車に作用する風速を検出し、回転数検出器によりロータを含む風車回転部分の回転数を検出し、負荷検出器により風車の負荷(出力)を検出、さらに請求項2、4のように翼応力検出器により翼の応力を検出して翼長制御装置に入力する。
【0017】
そして該翼長制御装置において、前記風速の検出値と予め設定された風速の許容値とを比較しあるいは前記回転数の検出値と予め設定された回転数の許容値とを比較しあるいは前記負荷の検出値と予め設定された負荷の許容値とを比較し、さらには請求項2、4のように前記翼応力の検出値と予め設定された翼応力の許容値とを比較して、前記各比較結果に基づき翼通過面積及び翼長の制御量を算出する。
【0018】
さらに該翼長制御装置においては、前記翼通過面積及び翼長の制御量算出値に基づき翼長可変装置を操作して、風速検出値が風速許容値よりも大きいときは翼長を減少させて翼通過面積を低減し風速検出値が風速許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加し、あるいは回転数検出値が回転数許容値よりも大きいときは翼長を減少させて翼通過面積を低減し回転数検出値が回転数許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加し、あるいは負荷検出値が負荷許容値よりも大きいときは翼長を減少させて翼通過面積を低減し負荷検出値が負荷許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加し、さらには請求項2、4のように翼応力検出値が翼応力許容値よりも大きいときは翼長を減少させて翼通過面積を低減し翼応力検出値が翼応力許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加する。
【0019】
かかる翼長制御装置による翼長の制御操作によって、翼通過面積を、風速、風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態に対応した最適面積に制御して風車の出力を常時最大出力レベルに保持することが可能となる。
また翼通過面積が風速、風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態の許容値及び翼応力の許容値の双方に最適になるような翼長に制御することが可能となるので、風速や負荷の急激な増大等による風車の運動部材の応力の過大化を抑制できて前記運動部材の疲労損傷を防止することができる。
【0020】
従ってかかる発明によれば、翼及びロータ等の運動部材に疲労損傷を回避しかつ風車の出力が最大になる最適翼通過面積となるように、翼長を常時自動的に制御して風車を作動させることができ、翼及びロータ等の運動部材の疲労寿命を長く保持して風車出力を最大出力、風車発電装置であれば最大発電量にて風車の運転を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0022】
図1は本発明の実施例に係る翼通過面積制御装置の制御ブロック図、図2は風車の構成及び検出器の配置を示す全体構成図、図3は翼長可変部の構成図である。
【0023】
本発明に係る風車の全体構成を示す図2において、103はロータで、外周に複数個(この例では3個)の翼100が円周方向等間隔に後述するような手段で取り付けられるとともに後部に風車軸102が連結されている。前記翼100は前記ロータ103に支持された翼本体部105と該翼本体部105の外周側に翼長さ方向に変位あるいは伸縮可能に取り付けられた可変翼長部40とにより構成される。101は風車支持用の支持基台である。
【0024】
1は前記翼100に作用する応力を検出する翼応力検出器で、該翼100の最大応力発生部位に取り付けられた歪ゲージ等によって該翼100の最大応力を検出する。2は風車に作用する風速を検出する風速検出器である。3は発電機負荷等の風車の負荷、つまり風車の出力を検出する負荷検出器である。さらに4は前記ロータ103を含む風車回転部分の回転数を検出する回転数検出器である。前記翼応力検出器1、風速検出器2、負荷検出器3及び回転数検出器4からの検出信号は翼長制御装置5に入力される。41は可逆転式のモータ、7はモータ制御装置で詳細は後述する。
【0025】
前記翼100の構成を示す図3において、前記翼100は前記ロータ103に固定された翼本体部105と中間部から翼端部までの所定長さ部分にて構成される可変翼長部40とに2分割されている。
48は前記翼本体部105に対をなして固着されたすべり軸受で、前記可変翼長部40の内周部位に形成された摺動部46が該すべり軸受48の摺動面47に翼長手方向に摺動自在に嵌合されている。
41は可逆転式のモータ、42は該モータ41の出力軸41aの軸端部に固定されたピニオンである。43は該ピニオン42に噛み合うラックである。44は該ラック43に連結された作動軸で該作動軸44の他端側は前記可変翼長部40の内周部位に固定されている。45は該作動軸44を翼本体部105に往復動可能に支持する軸受である。
5は後述する制御操作を行う翼長制御装置、7は該翼長制御装置5からの制御信号を受けて前記モータ41を運転操作するモータ制御装置である。
【0026】
次にかかる構成からなる翼通過面積制御装置備えた風車の制御操作について説明する。
図1において、5は翼長制御装置で、前記風速検出器2からの風速検出信号は該翼長制御装置5の風速比較部55に入力され、前記回転数検出器4からの回転数検出信号は回転数比較部56に入力され、前記負荷検出器3からの負荷検出信号は負荷比較部57に入力され、さらに前記翼応力検出器1からの翼応力検出信号は応力比較部58に入力される。
【0027】
51は風車に作用する風速の許容値つまり翼100を含む運動部分の応力及び風車性能から規制される最適風速が設定された許容風速設定部、52は風車回転部分の回転数の許容値つまり翼100を含む運動部分の応力及び風車性能から規制される最適回転数が設定された許容回転数設定部、53は発電機負荷等の風車の最適負荷(最適出力)つまり翼100を含む運動部分の応力及び風車性能から規制される最適負荷が設定された許容負荷設定部、54は前記翼100に作用する応力の許容最大値が設定された許容応力設定部である。
【0028】
前記風速比較部55においては風速検出信号と前記許容風速設定部51に予め設定された最適風速との偏差を算出しその風速偏差(比較結果)を最適翼面積算出部59に入力する。また前記回転数比較部56においては回転数検出信号と前記許容回転数設定部52に予め設定された最適回転数との偏差を算出しその回転数偏差(比較結果)を最適翼面積算出部59に入力する。また前記負荷比較部57においては負荷検出信号と前記許容負荷設定部53に予め設定された最適負荷との偏差を算出しその負荷偏差(比較結果)を最適翼面積算出部59に入力する。さらに応力比較部58においては翼応力検出信号と前記許容応力設定部54に予め設定された許容翼応力との偏差を算出しその翼応力偏差(比較結果)を最適翼面積算出部59に入力する。
【0029】
最適翼面積算出部59においては、前記風速偏差、回転数偏差、負荷偏差等の運転状態偏差の何れか1つまたは複数と前記翼応力偏差とを対比し、前記各運転状態偏差から該偏差を0(ゼロ)とするような翼通過面積の制御量つまり前記運転状態が前記最適風速、最適回転数、最適負荷等の最適運転状態になるような翼通過面積の制御量を算出する。
あるいは前記最適翼面積算出部59においては、前記各運転状態偏差と翼応力偏差との双方から前記最適運転状態になりかつ許容翼応力以下になるような翼通過面積の制御量を算出する。
最適翼長算出部60においては、前記最適翼面積算出部59から入力される翼通過面積の制御量に基づき該翼通過面積制御量に対応する可変翼長部40の翼長の制御量を算出する。
さらにモータ制御量算出部61においては、前記最適翼長算出部60から入力される翼長の制御量に基づき該翼長制御量に相当するモータ41の駆動量を算出する。
【0030】
従って前記翼長制御装置5においては、風速検出値が風速許容値よりも大きいときは可変翼長部40の翼長を減少させて翼通過面積を低減し風速検出値が風速許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加し、あるいは回転数検出値が回転数許容値よりも大きいときは翼長を減少させて翼通過面積を低減し回転数検出値が回転数許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加し、あるいは負荷検出値が負荷許容値よりも大きいときは翼長を減少させて翼通過面積を低減し負荷検出値が負荷許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加するような翼通過面積及び翼長の制御量を出力する。
あるいは前記翼長制御装置5においては、前記風速、回転数、負荷等の運転状態制御量に加えて、翼応力検出値が翼応力許容値よりも大きいときは翼長を減少させて翼通過面積を低減し翼応力検出値が翼応力許容値よりも小さいときは翼長を増大させて翼通過面積を増加するような翼通過面積及び翼長の制御量を出力する。
【0031】
前記翼長制御装置5のモータ制御量算出部61からのモータ41のモータ駆動量信号はモータ制御装置7に入力され、該モータ制御装置7においては前記モータ駆動量信号に相当するモータ41を作動させる。
【0032】
前記モータ制御装置7からの操作信号を受けて、図3に示すように、可逆転式のモータ41によってピニオン42を正回転あるいは逆回転させると、該ピニオン42に噛み合うラック43及び該ラック43に固定された作動軸44が図のW矢のように往復動せしめられる。かかる作動軸44の往復動により、該作動軸44に固定された可変翼長部40が前記摺動部46を介してすべり軸受48に沿って翼長手方向に摺動する。
【0033】
即ち、前記モータ41によって作動軸44を伸長すると、可変翼長部40が図の実線のように外周方向に移動して該可変翼長部40の外径が増大する。また前記モータ41を逆回転させて作動軸44を縮小すると、前記可変翼長部40が内周方向にストロークS移動し図の鎖線の位置に整定せしめられ、可変翼長部40の外径が減少する
従ってかかる実施例によれば、翼本体部105に翼長手方向に摺動自在に嵌合された可変翼長部40を往復動させて該可変翼長部40のストロークSつまり該可変翼長部40の翼長を変化させることにより、翼100の翼通過面積を変化させることとなる。
【0034】
以上のように、かかる実施例によれば、前記翼長制御装置5による翼長の制御操作によって、翼通過面積を、風速、風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態に対応した最適面積に制御して風車の出力を常時最大出力レベルに保持することが可能となる。
また前記可変翼部40の翼長を、前記翼通過面積が風速、風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態の許容値及び翼応力の許容値の双方に最適になるような翼長に制御することが可能となるので、風速や負荷の急激な増大等による風車の運動部材の応力の過大化を抑制できて前記運動部材の疲労損傷を防止することができる。
これにより、翼100及びロータ103等の運動部材に疲労損傷を回避しかつ風車の出力が最大になる最適翼通過面積となるように、前記可変翼部40の翼長を常時自動的に制御して風車を作動させることができ、翼及びロータ等の運動部材の疲労寿命を長く保持して風車出力を最大出力、風車発電装置であれば最大発電量にて風車の運転を行うことが可能となる。
【0035】
【発明の効果】
以上記載の如く本発明によれば、翼長制御装置による翼長の制御操作によって、翼通過面積を、風速、風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態に対応した最適面積に制御して風車の出力を常時最大出力レベルに保持することが可能となる。
また翼通過面積が風速、風車の回転数、風車の負荷等の風車運転状態の許容値及び翼応力の許容値の双方に最適になるような翼長に制御することが可能となるので、風速や負荷の急激な増大等による風車の運動部材の応力の過大化を抑制できて前記運動部材の疲労損傷を防止することができる。
従って本発明によれば、翼及びロータ等の運動部材に疲労損傷を回避しかつ風車の出力が最大になる最適翼通過面積となるように、翼長を常時自動的に制御して風車を作動させることができ、翼及びロータ等の運動部材の疲労寿命を長く保持して風車出力を最大出力、風車発電装置であれば最大発電量にて風車の運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る翼通過面積制御装置の制御ブロック図である。
【図2】 風車の構成及び検出器の配置を示す全体構成図である。
【図3】 翼長可変部の構成図である。
【符号の説明】
100 翼
103 ロータ
1 翼応力検出器
2 風速検出器
3 負荷検出器
4 回転数検出器
5 翼長制御装置
7 モータ制御装置
40 可変翼長部
41 モータ
42 ピニオン
43 ラック
44 作動軸
46 摺動部
48 すべり軸受
Claims (4)
- ロータに支持された複数の翼に風力を作用させ、該翼の回転力を前記ロータを介して出力側の風車軸に伝達するように構成された風車において、前記翼は、ロータに支持されてロータ半径方向に延在する翼本体部と、該翼本体部の外周側に長さ方向に変位あるいは伸縮可能に取り付けられた可変翼長部を備えるとともに、翼に作用する風速を検出する風速検出器、風車回転部分の回転数を検出する回転数検出器、風車の負荷を検出する負荷検出器を設け、
前記各検出器から入力される風車の運転状態検出信号と予め設定された許容値とを比較して該検出値が前記許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、前記検出値が前記許容値よりも小さいときは翼長を増大させる方向へ翼長を制御する制御量を出力する翼長制御装置と、該翼長制御装置から入力される前記制御量に基づき前記翼の翼長を変化させる翼長可変装置とを備えたことを特徴とする翼通過面積制御装置を備えた風車。 - 前記翼に作用する応力を検出する翼応力検出器が翼の最大応力発生部位に取り付けられ、前記翼長制御装置は該翼応力検出器から入力される翼応力検出信号と予め設定された翼応力の許容値とを比較し、前記翼応力検出値が翼応力許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、翼応力検出値が翼応力許容値よりも小さいときは翼長を増大させる制御量を翼長可変装置側に出力することを特徴とする請求項1記載の翼通過面積制御装置を備えた風車。
- ロータに支持された複数の翼に風力を作用させ該翼の回転力を前記ロータを介して出力側の風車軸に伝達するように構成されるとともに、前記翼は中間部から翼端部までの所定長さ部分において翼長を変化可能に構成されてなる風車の運転制御方法において、
前記翼は、ロータに支持されてロータ半径方向に延在する翼本体と、該翼本体部の外周側に長さ方向に変位あるいは伸縮可能に取り付けられた可変翼長部を備えるとともに、該翼に作用する風速を検出する風速検出器と、前記風車回転部分の回転数を検出する回転数検出器と、風車の負荷を検出する負荷検出器とを設け、前記各検出器から入力される風車の運転状態検出信号と予め設定された許容値とを比較して前記検出値が前記許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、一方前記検出値が許容値よりも小さいときは翼長を増大させる方向へ翼長を制御する制御量を設定し、該設定された制御量に基づき前記翼の翼長を変化させることを特徴とする風車の運転制御方法。 - 前記翼に作用する翼応力検出器が翼の最大応力発生部位に取り付けられ、前記翼長制御装置は該翼応力検出器から入力される翼応力検出信号と予め設定された翼応力の許容値とを比較し、前記翼応力検出値が翼応力許容値よりも大きいときは翼長を減少させ、一方翼応力検出値が翼応力許容値よりも小さいときは翼長を増大させる方向に翼長の制御量を翼長可変装置側に出力させて、該制御量に基づき前記翼の翼長を変化させることを特徴とする請求項3記載の風車の運転制御方法。
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