JP3962230B2 - 振動装置及び超音波応用装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁歪現象を有する磁性体を用いた磁歪振動子に関する。また、振動装置に関する。また、磁歪振動子を用いた超音波応用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁歪現象は、磁歪材料に外部から磁気エネルギーを印加した際、その磁歪材料に変形を生じる現象であり、磁歪振動子に用いられている。従来のこの種の磁歪振動子について、図13を参照しながら説明する。図13は、従来技術を示した図であり、「超音波便覧」超音波便覧編集委員会編、丸善株式会社、1999年8月30日初版第1刷発行、第663頁に記載されている、磁歪振動子の構成例を示す図である。1は、磁歪現象を有する材料から形成される振動子、2は、前記振動子1に外形変化を生じさせるための磁界を発生する磁界発生手段である励磁コイル、3は、前記振動子1にバイアス磁界を印加するためのバイアス磁界印加手段である永久磁石である。
図13において、励磁コイル2に所望の周波数の交流電流を流すことにより、永久磁石3にて印加される直流磁界のバイアス磁界と一致した方向に交流磁界が発生する。このため、振動子1は励磁コイル2に所望の周波数の交流電流を流すことにより、励磁コイル2の直径方向と直交する方向すなわち図13の上下方向に所望の周波数の伸縮振動を励振する。この伸縮振動により圧縮波を発生させようとしている。
【0003】
図14は、従来の磁歪材料を用いた超音波応用装置を示した図である。2a,2bは、励磁コイル、7は、ベース、10は、容器、11は、液体、12は、圧縮波(縦波)である。その他の構成は、図13と同様である。
図15は、従来の超音波応用装置の回路図である。100は、交流電源である。200は、永久磁石3による磁界の向き、201は、ある時点での励磁コイル2bによる磁界の向き、202は、上記時点での励磁コイル2aによる磁界の向きを示す。その他の構成は、図14と同様である。
励磁コイル2a,2bに所望の周波数の交流電流を交流電源100が流すことにより、永久磁石3にて印加される直流磁界のバイアス磁界である永久磁石3による磁界の向き200と一致した方向に交流磁界が発生する。振動子1は、励磁コイル2aによる磁界の向き202、励磁コイル2bによる磁界の向き201の時に、伸び、それぞれ反対の向きの時、縮む。これにより、振動子1は、図14において正面から見て上下方向に所望の周波数の伸縮振動を励振する。この伸縮振動により、振動子1は、圧縮波12を発生する。圧縮波12は、縦波の超音波振動となって容器10内の液体11(例えば水)を伝搬する。上記超音波振動により、例えば、眼鏡の洗浄を行なう。
【0004】
また、図示していないが、従来の磁歪材料を用いていない超音波応用装置の一例として超音波パルスを用いた非破壊検査装置がある。
超音波パルスを用いた非破壊検査装置では、圧縮波または圧縮波をモード変換させて発生させた各種波が用いられて来た。これらの波の欠点としては、反射、屈折によって、再び種々の波が発生するため、モード変換による損失、各波の音速の変化に伴う欠陥判別等の困難さが存在している。
また、超音波パルスを用いた非破壊検査装置では、超音波入射面に平行に振動するせん断波(横波)(以下SH波と称す)も用いられて来た。
図16は、SH波の伝搬を示す図である。20は、試験体である。試験体20にSH波を加えると、SH波の伝搬方向と振動方向とは同一ではなく、通常、90°異なる。
SH波は、圧縮波からモード変換で発生させることができない。また、SH波は、試験体との音響結合にも困難さを伴う。
しかし、SH波は、発生させられると、モード変換が生じないため、超音波パルスを用いた非破壊検査(装置)において有利な点が多く、超音波パルスを用いた非破壊検査(装置)において用いられている。
ここで、従来、SH波の発生には圧電セラミック(圧電素子)が多く用いられて来た。
図17は、材料の使用周波数帯を示した図である。
圧電セラミックは、通常、100kHz程度〜10MHz以上の周波数の波を発生することができる。圧電セラミックにおいて、発生できる周波数は、圧電セラミックでできた振動子の厚さに影響される。低周波数の波を発生させるためには、圧電セラミックでできた振動子の体積を大きくしなければならない。現状、圧電セラミックでは、100kHz以下の周波数のSH波を発生することは非常に困難である。
ここで、超音波パルスを用いた非破壊検査において、金属(例えば、鋼)構造物で超音波パルスの伝搬距離が非常に長い構造物や、コンクリート構造物などでは、圧電セラミックが有する高周波数帯で検査することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
磁歪材料を用いたSH波を発生する振動装置は、従来、存在していなかった。また、SH波を発生する磁歪振動子を用いた超音波応用装置は、従来、存在していなかった。
また、圧電セラミックでは、100kHz以下の周波数のSH波を発生することは非常に困難であった。一方、図17に示したように、磁歪材料は、通常、数kHz〜100kHz程度の周波数の波を発生することができる。
【0006】
本発明は、比較的容易に低周波振動を発生することができる磁歪振動子を用いて、SH波を発生する磁歪振動子を用いた振動装置を提供することを目的とする。
また、上記振動装置を用いた超音波応用装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の振動装置は、
磁界を発生させる磁界発生部と、
上記磁界発生部により発生させられた磁界により磁歪現象に基づいて、被振動体との接触面に対し平行に振動する振動子と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の振動装置は、
第1の磁界を発生させる第1の磁界発生部と、
上記第1の磁界発生部により発生させられた第1の磁界の向きに対し、同一の向きと反対の向きとのいずれか一方の向きに第2の磁界を発生させる第2の磁界発生部と、
上記第1の磁界発生部により発生させられた第1の磁界の向きと上記第2の磁界発生部により発生させられた第2の磁界の向きとが同一の場合は上記第1の磁界発生部により発生させられた第1の磁界の向きと反対の向きに第3の磁界を発生させ、上記第1の磁界発生部により発生させられた第1の磁界の向きと上記第2の磁界発生部により発生させられた第2の磁界の向きとが反対の場合は上記第1の磁界発生部により発生させられた第1の磁界の向きと同一の向きに第3の磁界を発生させる第3の磁界発生部と、
上記第1の磁界発生部と第2の磁界発生部と第3の磁界発生部とにより発生させられた上記第1の磁界と第2の磁界と第3の磁界とにより磁歪現象に基づいて振動する振動子と
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の超音波応用装置は、
磁界を発生させる磁界発生部と、
上記磁界発生部により発生させられた磁界により磁歪現象に基づいて、被振動体との接触面に対し平行に振動する振動子と
を備えた振動装置を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、上記磁界発生部は、
バイアス磁界を発生させる磁石と、
上記磁石により発生させられたバイアス磁界の向きに対し、同一の向きと反対の向きとのいずれか一方の向きに磁界を発生させる第1の励磁コイルと、
上記磁石により発生させられたバイアス磁界の向きと上記第1の励磁コイルにより発生させられた磁界の向きとが同一の場合は上記磁石により発生させられたバイアス磁界の向きと反対の向きに磁界を発生させ、上記磁石により発生させられたバイアス磁界の向きと上記第1の励磁コイルにより発生させられた磁界の向きとが反対の場合は上記磁石により発生させられたバイアス磁界の向きと反対の向きに磁界を発生させる第2の励磁コイルと
を有し、
上記振動装置は、さらに、上記振動子の振動を拘束する拘束部を備え、
上記振動装置は、被振動体の表面に対し垂直に横波を伝播することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1を示した図である。
図2は、実施の形態1を示した斜視図である。
図1,2において、1は、振動子、2aは、励磁コイル(磁界発生部、第3の磁界発生部、第2の励磁コイルの一例である)。2bは、励磁コイル(磁界発生部、第2の磁界発生部、第1の励磁コイルの一例である)、3は、永久磁石(磁界発生部、第1の磁界発生部、磁石の一例である)、4は、マス(拘束部の一例である)、5は、足、20は、試験体(被振動体の一例である)である。
図1において、永久磁石3によるループ状の磁界がπ(パイ)型状の振動子1の2つの凸部のそれぞれの位置で働く向きと同じ向きに、ある期間中励磁コイル2a,2bの磁界が同時に発生するように、励磁コイル2a,2bは、前記振動子1の2つの凸部のそれぞれ一方に巻回される。マス4は、前記振動子1と接続され、振動子1を拘束する手段である。足5は、振動子1を支える手段である。図1において、振動子1、励磁コイル2a,2b、永久磁石3は、ちょうど、図13で構成される磁歪振動子を振動方向が試験体20表面に平行になるように配置された場合と同様の配置にあたる。
図3は、実施の形態1の回路図を示した図である。
図3において、100は、交流電源である。200は、永久磁石3による磁界(以下、「バイアス磁界」という。)の向き、201は、ある時点における励磁コイル2bによる磁界の向き、202は、上記時点における励磁コイル2aによる磁界の向きを示す。
交流電源100が所望の周波数の交流電流を流した場合、一方の電流方向の時は、励磁コイル2a,2bは、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と同一方向の磁界を同時に発生し、他方の電流方向の時は、励磁コイル2a,2bは、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と逆方向の磁界を同時に発生するように、コイルが巻回配置されている。すなわち、励磁コイル2aと励磁コイル2bとは、常に、励磁コイル2a,2bそれぞれの位置におけるバイアス磁界の向きに対して同一の向きの磁界を発生する。
したがって、振動子1は、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と同一方向の磁界を同時に発生している時には試験体20表面に平行に伸びる。また、振動子1は、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と逆方向の磁界を同時に発生している時には試験体20表面に平行に縮む。
図4は、実施の形態1の振動子1の伸縮を示した図である。
図4は、図3における永久磁石3による磁界の向き200、ある時点における励磁コイル2bによる磁界の向き201、上記時点における励磁コイル2aによる磁界の向き202の状態に実施の形態1が置かれている時の振動子1の伸縮を示している。すなわち、上記時点において、励磁コイル2a,2bは、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と同一方向の磁界を発生しているため、振動子1は、励磁コイル2aによる磁界を強く受けた部分と励磁コイル2bによる磁界を強く受けた部分とが共に試験体20表面に平行に伸びる。また、交流電流の向きが反転し、励磁コイル2a,2bの磁界の向きが図3と反対になった時には、図4とは異なり、励磁コイル2aによる磁界を強く受けた振動子1の部分と励磁コイル2bによる磁界を強く受けた振動子1の部分とが共に試験体20表面に平行に縮む。
図5は、実施の形態1における振動子1の接触面の振動を表す概念図である。図5において、図4と同一の状態に実施の形態1が置かれている時の振動子1の接触面は、単に、試験体20表面に平行に振幅Aだけ動く。図中、実線は縮んだ場合、点線は伸びた場合を示す。
すなわち、励磁コイル2a,2bに所望の周波数の交流電流を流すことにより、振動子1は励磁コイル2a,2bの直径方向と直交する方向すなわち図1の左右方向に所望の周波数の振動、すなわち、せん断振動を起こすことが可能である。振動子1はマス4により拘束されているため、振動子1に引き起こされた振動は試験体20と接する面から試験体20中にSH波を伝播させる。なお、振動子1の接触面を試験体20に安定して接触させるために足5が設けてある。
【0012】
ここで、図1において、振動子1は、π(パイ)型形状をしているが、これに限るものではない。励磁コイル2a,2bまたは、励磁コイル2aのみ、または励磁コイル2bのみが構成できる形状であればよい。例えば、コの字型であってもよい。
また、振動子1は、所望の振動周波数において共振する固有値を持つように構成するとなおよい。共振することにより、より大きな振動の振幅を得ることができる。
【0013】
また、マス4は、所望の振動周波数において共振する周波数よりも小さい固有値を持つように構成する。これにより、マス4は、共振することなく振動子1を確実に拘束することができる。
【0014】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2の回路図を示した図である。
励磁コイル2a,2bの巻方向以外の構成は、実施の形態1と同様である。永久磁石3によるループ状の磁界がπ(パイ)型状の振動子1の2つの凸部のそれぞれの位置で働く向きと、一方は同じ向きに、他方は逆向きに、ある期間中励磁コイル2a,2bの磁界が同時に発生するように、励磁コイル2a,2bは、前記振動子1の2つの凸部のそれぞれ一方に巻回される。
図6において、100は、交流電源である。200は、永久磁石3による磁界の向き、201は、ある時点における励磁コイル2bによる磁界の向き、202は、上記時点における励磁コイル2aによる磁界の向きを示す。
交流電源100が所望の周波数の交流電流を流した場合、ある時点における電流方向の時には、図6に示すように励磁コイル2aは、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と逆方向の磁界を発生し、励磁コイル2bは、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と同一方向の磁界を発生するように、コイルが配置されている。すなわち、励磁コイル2aと励磁コイル2bとは、常に、励磁コイル2a,2bそれぞれの位置におけるバイアス磁界の向きに対して一方は反対の向きの磁界を、他方は同一の向きの磁界を発生する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
図7は、実施の形態2の振動子1の伸縮を示した図である。
図7は、図6における永久磁石3による磁界の向き200、ある時点における励磁コイル2bによる磁界の向き201、上記時点における励磁コイル2aによる磁界の向き202の状態に実施の形態2が置かれている時の振動子1の伸縮を示している。
すなわち、上記時点において、励磁コイル2aは、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と逆方向の磁界を発生しているため、振動子1の励磁コイル2aによる磁界を強く受けた部分は、試験体20表面に平行に縮む。
一方、励磁コイル2bは、永久磁石3によって印加される直流磁界のバイアス磁界と同一方向の磁界を発生しているため、振動子1の励磁コイル2bによる磁界を強く受けた部分は、試験体20表面に平行に伸びる。
また、交流電流の向きが反転し、励磁コイル2a,2bの磁界の向きがそれぞれ図6と反対になった時には、図7とは異なり、励磁コイル2aによる磁界を強く受けた振動子1の部分は、試験体20表面に平行に伸びる。また、励磁コイル2bによる磁界を強く受けた振動子1の部分は、試験体20表面に平行に縮む。図8は、実施の形態2における振動子1の接触面の振動を表す概念図である。図8において、図7と同一の状態に実施の形態2が置かれている時の振動子1の接触面は、試験体20表面に平行に振幅Bだけ動く。実線は励磁コイル2bによって縮んだ場合、点線は励磁コイル2bによって伸びた場合を示す。振動子1はマス4により拘束されていることと、励磁コイル2aと励磁コイル2bによる伸縮が互いに逆であるため、接触面の動く幅(振幅)は、実施の形態1の構成よりも大きくすることができる。すなわち、振幅Bは振幅Aより大きい。
すなわち、励磁コイル2a,2bに所望の周波数の交流電流を流すことにより、振動子1は励磁コイル2a,2bの直径方向と直交する方向すなわち図1の左右方向に所望の周波数の振動、すなわち、せん断振動を起こすことが可能である。振動子1はマス4により拘束されているため、振動子1に引き起こされた振動は試験体20と接する面から試験体20中にSH波を伝播させる。なお、振動子1を試験体20に安定して接触させるために足5が設けてある。
【0015】
ここで、振動子1は、π(パイ)型形状をしているが、実施の形態1と同様、これに限るものではない。励磁コイル2a,2bが構成できる形状であればよい。例えば、コの字型であってもよい。
また、振動子1は、所望の振動周波数において共振する固有値を持つように構成するとなおよい。共振することにより、より大きな振動の振幅を得ることができる。
【0016】
また、マス4は、所望の振動周波数において共振する周波数よりも小さい固有値を持つように構成する。これにより、マス4は、共振することなく振動子1を確実に拘束することができる。
【0017】
また、図3において励磁コイル2aの巻き方向を変えずに励磁コイル2aの回路接続を逆に変更すれば実施の形態2と同様の振動装置を得ることができる。
【0018】
また、図6において励磁コイル2aの巻き方向を変えずに励磁コイル2aの回路接続を逆に変更すれば実施の形態1と同様の振動装置を得ることができる。
【0019】
実施の形態3.
図9は、実施の形態3の回路図を示した図である。
図9において、100は、交流電源である。200は、永久磁石3による磁界の向き、201は、ある時点における励磁コイル2bによる磁界の向き、202は、上記時点における励磁コイル2aによる磁界の向きを示す。励磁コイル2a,2bを並列に構成した以外は、実施の形態2と同様である。
本実施の形態3の構成においても実施の形態2と同様の振動装置を得ることができる。
【0020】
また、図9において励磁コイル2aの巻き方向を逆巻きに変更すれば実施の形態1と同様の振動装置を得ることができる。
【0021】
また、図9において励磁コイル2aの巻き方向を変えずに励磁コイル2aの回路接続を逆に変更すれば実施の形態1と同様の振動装置を得ることができる。
【0022】
実施の形態4.
図10は、実施の形態4の回路図を示した図である。
図10において、100a,100bは、交流電源である。200は、永久磁石3による磁界の向き、201は、ある時点における励磁コイル2bによる磁界の向き、202は、上記時点における励磁コイル2aによる磁界の向きを示す。励磁コイル2a,2bを独立に回路構成した以外は、実施の形態2と同様である。交流電源100aと交流電源100bとの同期をとることにより本実施の形態4の構成においても実施の形態2と同様の振動装置を得ることができる。
【0023】
また、図10において励磁コイル2aの巻き方向を逆巻きに変更すれば実施の形態1と同様の振動装置を得ることができる。また、交流電源100aと交流電源100bとの位相を1/2周期ずらすことにより実施の形態1と同様の振動装置を得ることができる。
【0024】
実施の形態5.
図11は、実施の形態5の回路図を示した図である。
図11において、300は、電磁石、301は、交流電源、400は、直流電源、302は、電磁石300内の励磁コイルである。200aは、電磁石300による磁界の向き、201は、ある時点における励磁コイル2bによる磁界の向き、202は、上記時点における励磁コイル2aによる磁界の向きを示す。図6における永久磁石3を電磁石300に置き換え、電磁石300により交流磁界を発生し、交流電源100を直流電源400に置き換え、励磁コイル2a,2bによりバイアス磁界を発生する回路構成にした以外は、実施の形態2と同様である。本実施の形態5の構成においても実施の形態2と同様の振動装置を得ることができる。
【0025】
また、図11において励磁コイル2aの巻き方向を変更すれば実施の形態1と同様の振動装置を得ることができる。
【0026】
実施の形態6.
上記実施の形態1乃至5においては、磁歪材料を用いた振動装置の一例を示したが、これに限るものではなく、上記実施の形態1乃至5のいずれかの振動装置を用いた超音波応用装置であってもよい。
例えば、超音波パルスを用いた非破壊検査において、金属(例えば、鋼)構造物で超音波パルスの伝搬距離が非常に長い構造物や、コンクリート構造物の内部の空洞などの欠陥を探傷する超音波探傷装置である。上記実施の形態1乃至5のいずれかの振動装置により入射した超音波の反射波を測定することにより上記欠陥を発見できる。
また、例えば、超音波厚さ測定装置である。上記実施の形態1乃至5のいずれかの振動装置により被測定体に入射した超音波の反射波を測定することにより上記被測定体の厚さ(距離)を測定できる。
また、例えば、超音波地中レーダである。上記実施の形態1乃至5のいずれかの振動装置により地中に入射した超音波の反射波を測定することにより地中の遺跡を発見できる。
また、例えば、超音波センサである。SH波が伝搬できる固体を媒体として上記実施の形態1乃至5のいずれかの振動装置により入射した超音波の反射波を測定することにより他の物体をセンシングすることができる。
【0027】
次に、上記実施の形態1乃至5のいずれかの振動装置や実施の形態6の超音波応用装置によってSH波を試験体へ入射できることの確認例について図面を参照しながら説明する。
図12は、SH波の確認試験構成図である。
図12において、6は、磁歪振動装置、500は、横波用接触触媒、600は、試験体、700は、横波用探触子である。
図12のように、磁歪振動装置6を試験体に接触させ、対面に横波用探触子700を接触させている。磁歪振動装置6と試験体600の接触面及び横波用探触子700と試験体600の接触面には、音響結合のために横波用接触媒質500を塗布した。そこで、磁歪振動装置6の励磁コイルに交流電流を流したところ、横波用探触子700にて受信波が確認された。また、磁歪振動装置6を励振した時刻と、確認された受信波の到達した時刻より試験体を伝搬してきた超音波の音速を計算した結果、本試験においては約3.2km/sであった。試験体600の材料には鋼を使用している。このことからSH波が発生していることを確認した。
【0028】
以上のように、本発明の好適な実施例である磁歪振動子は、磁歪現象を有する材料から形成される振動子本体と、前記振動子本体に外形変化を生じさせるための磁界の発生手段と、前記振動子本体にバイアス磁界を印加するためのバイアス磁界印加手段と、前記振動子を拘束する手段とを備え、試験体との接触面に平行に振動するせん断波を発生することを特徴とする。
【0029】
すなわち、本発明の好適な実施例である磁歪振動子は、磁歪現象を有する材料から形成される振動子本体と、前記振動子本体に外形変化を生じさせるための磁界を発生する磁界発生手段と、前記振動子本体にバイアス磁界を印加するためのバイアス磁界印加手段と、前記振動子を拘束する手段とを備えた磁歪振動子よって、SH波を発生させることを特徴とする。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、磁歪振動子を用いて試験体にSH波を入射する振動子を提供することができる。
【0031】
本発明によれば、比較的容易に低周波振動を発生することができる磁歪振動子を用いて、SH波を発生する磁歪振動子を用いた振動装置を提供することができる。
また、上記振動装置を用いた超音波応用装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1を示した図である。
【図2】 実施の形態1を示した斜視図である。
【図3】 実施の形態1の回路図を示した図である。
【図4】 実施の形態1の振動子1の伸縮を示した図である。
【図5】 実施の形態1における振動子1の接触面の振動を表す概念図である。
【図6】 実施の形態2の回路図を示した図である。
【図7】 実施の形態2の振動子1の伸縮を示した図である。
【図8】 実施の形態2における振動子1の接触面の振動を表す概念図である。
【図9】 実施の形態3の回路図を示した図である。
【図10】 実施の形態4の回路図を示した図である。
【図11】 実施の形態5の回路図を示した図である。
【図12】 SH波の確認試験構成図である。
【図13】 従来技術を示した図である。
【図14】 従来の磁歪材料を用いた超音波応用装置を示した図である。
【図15】 従来の超音波応用装置の回路図である。
【図16】 SH波の伝搬を示す図である。
【図17】 材料の使用周波数帯を示した図である。
【符号の説明】
1 振動子、2a,2b,302 励磁コイル、3 永久磁石、4 マス、5足、6 磁歪振動装置、7 ベース、10 容器、11 液体、12 圧縮波、20 試験体、100,100a,100b,301 交流電源、300 電磁石、400 直流電源、500 横波用接触触媒、600 試験体、700 横波用探触子。
Claims (1)
- π型状又はコの字型状を形成する2つの凸部であって、被振動体の表面に略平行である2つの凸部を有する振動子と、
上記2つの凸部の一方の凸部における磁界の向きと他方の凸部における磁界の向きとが逆になるように第1の磁界を上記2つの凸部に発生させる第1の磁界発生部と、
上記第1の磁界発生部により発生させられた上記一方の凸部における第1の磁界の向きに対し、同一の向きと反対の向きとのいずれか一方の向きに第2の磁界を上記一方の凸部に発生させる第2の磁界発生部と、
上記第1の磁界発生部により発生させられた第1の磁界の向きと上記第2の磁界発生部により発生させられた第2の磁界の向きとが同一の場合は、上記第1の磁界発生部により発生させられた上記他方の凸部における第1の磁界の向きと反対の向きに第3の磁界を上記他方の凸部に発生させ、上記第1の磁界発生部により発生させられた第1の磁界の向きと上記第2の磁界発生部により発生させられた第2の磁界の向きとが反対の場合は、上記第1の磁界発生部により発生させられた上記他方の凸部における第1の磁界の向きと同一の向きに第3の磁界を上記2つの凸部の他方の凸部に発生させる第3の磁界発生部とを備え、
上記振動子は、上記第1の磁界発生部と第2の磁界発生部と第3の磁界発生部とにより発生させられた上記第1の磁界と第2の磁界と第3の磁界とによる磁歪現象に基づいて振動する
ことを特徴とする振動装置。
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