JP3961512B2 - 光ディスク装置制御プログラム、光ディスク制御システムおよびホストコンピュータ - Google Patents
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Description
特許文献1には、OPCにおいてデータの試し書きを行う際に、それぞれ異なる書き込み出力で複数のデータを書き込んだ後、書き込まれた複数のデータのジッタ値を測定して、その光ディスクの個体に最適な書き込み出力を求める光ディスク装置および光ディスクの書き込み方法が記載されている。
この装置または方法によれば、各光ディスクに対して最適な書き込み出力で書き込みが行えるものとされている。
また、光ディスク装置の発売後に、新しい種類の光ディスクが発売された場合には、その光ディスクに対応した書き込み設定値を、光ディスク装置の記憶手段に書き込む必要がある。従来、そのためには、光ディスク装置の記憶手段(フラッシュROM等)を書き換える(いわゆるファームウェア更新を行う)必要があり、光ディスク装置のユーザーや光ディスク装置メーカーの作業負担が重いと共に、光ディスク装置のユーザーは、新しい種類の光ディスクが発売されても、ディスク装置メーカーがその光ディスクの最適な書き込み設定値を求めて、バージョンアップされたファームウェアを発表する等のサポートを行うまで、その光ディスクを最適ではない書き込み設定値でしか使用できないという課題がある。また、光ディスク装置のメーカーは、世界中のあらゆるメーカーから発売される光ディスクを日々把握しなければならない困難を負うという課題がある。
また、光ディスク装置によって求められた前記最適な書き込み出力で書き込みに失敗した場合等、書き込みのトラブルが発生した場合に、そのときの書き込み出力を、ユーザーやメーカーが把握することができないため、失敗の原因を解明したり、失敗しないようにするための対策をとることが困難であるという課題がある。
また、最適な書き込み出力を求めるアルゴリズムが改良された場合には、光ディスク装置の記憶手段(例えばフラッシュROM上のファームウェア等)を書き換える必要があり、光ディスク装置のユーザーやメーカーの負担が大きいという課題がある。
しかし、これらの方法以外にも、記録品位を検証する方法としては、2値化されたRF信号のパルス幅(HレベルおよびLレベルの各パルスの時間的な長さ)を測定することによって行なうこともできる(図14参照)。
つまり、2値化されたRF信号は、HレベルとLレベルとが交互に表れ、2値化されたRF信号のうちHレベルに該当する部位は光ディスクの記録面のランドから反射されたものであり光ピックアップが照射したレーザ光の反射光強度が高い部位である。一方、2値化されたRF信号のLレベルに該当する部位は光ディスクの記録面のピットから反射されたものであり光ピックアップが照射したレーザ光の反射光強度が低い部位である。
このように、2値化されたRF信号のHレベルのパルス幅とLレベルのパルス幅は、光ディスクの記録面上に形成されるランドの長さおよびピットの長さによって決まる(図15参照)。
データがEFM変調またはEFM+変調されると、形成されるピットの長さやランドの長さが、クロック周波数を基準としてその長さが予め一定の長さに設定される。
本明細書中で説明するDVD光ディスク装置において具体的には、基本的な長さTに対して、ピットやランドの長さとして最も短い長さの3T(基本の長さであるTの3倍)、次いで4T、5T、・・14T(12Tと13Tは除く)までTを基準とした長さに形成される。
このような方法による記録品位の検証は、ジッタ値を測定したり、あるいはエラーレートを測定したりするといった方法よりもきめの細かい検証が行えると考えられている。
これによれば、各種の書き込み設定値で光ディスクにデータを書き込んだ際の2値化されたRF信号のパルス幅とこの幅を有するパルスの数とを集計させた集計データを、ホストコンピュータが把握でき、光ディスクの書き込み特性や書き込みに適した書き込み設定値等を、記憶、管理および参照等をすることができる。また、光ディスク装置の開発時にこの光ディスク装置制御プログラムを用いれば、各書き込み設定における記録品位を簡単に把握でき、光ディスクの種類毎に最適な書き込み設定値を求める開発者の作業負担を、軽減することができる。また、2値化されたRF信号のパルス幅を記録品位の指標とすることにより、ジッタ値やエラーレートを記録品位の指標として書き込み設定値を求める場合よりも、よりきめの細かい書き込み設定値を設定することが可能である。
また、マクロプログラムを置き換えまたは変更することで、記録品位に関する様々な測定を行って、書き込まれたデータの記録品位を、ホストコンピュータが把握することができる。また、従来のようにファームウェア更新によって、設定値調整機能のアルゴリズムを変更する場合に比べ、簡単に設定値調整のアルゴリズムを変更および更新することができる。従って、この光ディスク装置制御プログラムを、一般ユーザーが用いれば、メーカーが作成した最適な設定値調整アルゴリズムを実現するマクロプログラムを簡単に更新でき、また、光ディスク装置の開発時には、複数のマクロプログラムを用意して、様々な設定値調整に関するデータ書き込み等を効率よく行うことができ、最適な書き込み設定値を求める開発者の作業負担を軽減することができる。
さらに、ホストコンピュータでは2値化されたRF信号のパルス幅を測定することによって、光ディスクの記録面上に形成されているピットとランドの長さのバラツキ等、様々な検証をして、これに基づいて書き込み設定値を決定するので、ストラテジ等の書き込み設定値を従来になくきめ細かく設定することができ、記録品位を高めることができる。
これによれば、光ディスク装置に、最適な書き込み設定値で、光ディスクにデータを書き込ませることができる。
これによれば、一度求めた最適書き込み設定値を、光ディスクの種類毎に保存しておくことができるため、同じ種類の光ディスクに対していちいち記録品位テストを行う必要がなくなる。
これによれば、光ディスクの種類毎に最適書き込み設定値を保存して、同種の光ディスクには、過去に求めた最適な書き込み設定値を用いて書き込みを行うため、光ディスク毎にいちいちデータを書き込んで2値化されたRF信号のパルス幅を読み出すことで最適書き込み設定値を求める必要がなく、書き込み処理を迅速に行うことができる。
これによれば、光ディスクのディスク識別情報(即ちディスクの種類)と、その光ディスクに設定値調整機能を実行した際の書き込み設定値と、それに対応する集計データ等とを含むログファイルを得ることができるため、設定値調整時における各データを、光ディスクの種類毎に効率よく把握することができ、書き込み失敗の原因や、各光ディスクの書き込み品質等を効率よく解析することができる。
これによれば、ログファイルを簡単に他のコンピュータでも利用することができ、例えば、開発者が使用する場合には、ログファイルを他の開発者のコンピュータに送信して書き込み時の情報を共有することができる。
これによれば、ログファイル送信機能でログファイルを他のコンピュータに送信する際、ログファイルが傍受された場合に、ログファイルの内容を第三者に把握されるのを防ぐことができる。
これによれば、一般ユーザーが使用する場合に、上記ログファイルを光ディスク装置メーカーに送付することで、メーカーは、各光ディスクの記録特性や書き込み失敗の原因等を迅速かつ詳細に把握することができ、ユーザーに対するサポートや種々のサービス等を素早く行うことができる。
これによれば、光ディスク装置メーカーに送信された前記ログファイルをメーカーが解析した結果得られた最適な書き込み設定値を、そのメーカーのコンピュータから受信して、その書き込み設定値で光ディスクに書き込みを行うことが可能となる。
これによれば、ログファイルを、電子掲示板を介して通信回線上で公に公開することが可能となる。これにより、複数のユーザー間およびメーカー間等で、光ディスクの書き込み特性等の情報を共有することが可能となる。
これによれば、ユーザーは、電子掲示板に掲示された、他のユーザーが行った記録品位テストに基づく書き込み設定値を用いて光ディスクの書き込みを行うことができる。
これによれば、各ホストコンピュータ上で光ディスク装置制御プログラムが実行されて作成されたログファイルを、電子掲示板を介して通信回線上で公に公開することが可能となる。これにより、複数のホストコンピュータ間(ユーザー間またはメーカー間等)で、光ディスクの書き込み特性等の情報を共有することが可能となる。
また、記録品位情報として、2値化されたRF信号のパルス幅を用いることにより、ジッタ値やエラーレートを用いて書き込み設定値を求める場合よりも、よりきめの細かい書き込み設定値を設定することが可能である。
光ディスク装置制御プログラムCは、制御部10によって実行されることで、入力手段2から入力されたデータを受け、また、処理結果等の情報を表示手段4に表示させる処理を行うユーザーインタフェース(I/F)機能20と、ハードディスク12に記憶されている、後述するマクロプログラム30を解析および実行するマクロ解析実行機能22とを、ホストコンピュータHに実現させる。
マクロプログラム30は、ユーザーによって書き換えたり、他のマクロプログラムファイルと置き換えたりすることができる。また、マクロ解析実行機能22に実行させるマクロプログラム30を、複数のマクロプログラム30,30・・の中からユーザーに選択させることができるように構成すると良い。
例えば、ホストコンピュータHおよび光ディスク装置Dを、光ディスク装置メーカーの開発者が使用するのであれば、例えばホストコンピュータHを光ディスク装置メーカーの社内LANに接続して社内の他の開発者のコンピュータ等と通信可能に接続するとよい。あるいは、ホストコンピュータHおよび光ディスク装置Dを、一般ユーザーが使用する場合には、例えばホストコンピュータHをインターネット等を介して光ディスク装置メーカー内のコンピュータと通信可能に接続するとよい。
光ディスク装置Dは、光ディスクWを装着するターンテーブル23が設けられたスピンドルモータ15と、光ディスクWにレーザ光を照射すると共に光ディスクWから反射されたレーザ光を受光する光ピックアップ14とを具備している。
光ピックアップ14内には、レーザ光を出力するレーザダイオード(図示せず)と、受光素子であるフォトダイオード(図示せず)を有している。また、レーザ光を集光して光ディスクの記録層に焦点を合わせるための対物レンズ29が光ピックアップ14内には設けられている。
RFアンプ34では、光ピックアップ14から出力された光強度信号を波形整形して、2値化し、2値化されたRF信号を生成する。
本実施例では、光ディスク装置は、ATAPIであるインターフェース部50を介して、上述したホストコンピュータHと接続される。
LDドライバ42は、光ピックアップ14内のレーザダイオードへ印加するための駆動電圧を制御するためにエンコード処理されたデータに基づいてLD制御信号を光ピックアップ14へ出力する。LDドライバ42は、制御部41が出力する各種制御信号によって制御される。
しかし、測定手段44としては、パルス信号のパルス幅を測定可能な回路またはソフトウェアであればどのような形態であってもよい。
集計手段45は、パルス幅の値およびその値をとるパルスの数を記憶するメモリである記憶手段46を備え、制御部41によってその動作が制御される。
かかる集計手段45としては、上述した測定手段44と同様に2値化されたRF信号をデコード処理するデコーダ11としての機能を有するICに付属している機能であってもよく、このようなICとは別個に設けられている回路であってもよい。
集計手段45は、予め記憶手段46にHレベルのパルス幅とその度数を記憶するテーブル48、およびLレベルのパルス幅とその度数を記憶するテーブル47を有している。つまり、記憶手段46に記憶されているテーブル48,47は、本実施例の光ディスク装置Dにおいてパルス幅の最小の単位である3Tが取るであろう最小値(本実施例では具体的には80ns)と、本実施例の光ディスク装置Dにおいてパルス幅の最大の単位である14Tが取るであろう最大値(本実施例では具体的には560ns)の範囲において、1ns毎にそのパルス幅を有するパルスが何回測定されたか、その回数をHレベルとLレベルとにおいてそれぞれカウントして記憶できるような構成を有している。
続いて、測定手段44は2値化されたRF信号を連続して測定していき、集計手段45は測定手段44によって測定されたHレベルおよびLレベルのそれぞれのパルス幅の値について、記憶手段46内の該当するパルス幅の度数を1ずつ加算するようにして、この度数を記憶させる。
制御部41は、CPUやメモリ等から成り、図示しないフラッシュROM等にプログラムとして記録されたファームウェアを実行可能なものである。
光ディスク装置Dは、ホストコンピュータHから送信されてきたコマンドを、解析および実行するコマンド解析実行手段52と、コマンド解析実行手段52が後述する識別情報読み出しコマンドを解析した際に、コマンド解析実行手段52によって呼び出されて実行される識別情報読み出し手段54と、同様に書き込み設定値読み出しコマンドが解析された際に実行される推奨書き込み設定値読み出し手段56と、書き込みコマンドが解析された際に実行される書き込み手段58と、データ測定コマンドが解析された際に実行される集計データ送信手段59と、書き込み設定コマンドが解析された際に実行される書き込み設定手段60と、最適設定値記憶コマンドが解析された際に実行される最適設定値記憶手段61とを、制御部41によって実行されることで実現する、ファームウェアを備える。
光ディスクWに予め記録された書き込み設定値の例としては、DVD+RのADIPに記録されたストラテジ情報や、レーザパワー等が挙げられる。
書き込み設定値は、光ディスク装置Dの記憶手段49に記憶され、後述する書き込み手段58がLDドライバ42を制御して、光ディスクWにデータが書き込まれる際に反映される。
書き込みの際に、書き込み設定値に基づいてデータを書き込むか、最適設定値に基づいてデータを書き込むかはユーザによって選択可能に構成する。これは、書き込みコマンドのパラメータによって、書き込み設定値または最適設定値を選択可能に構成したり、参照するそれぞれの設定値毎に別々の書き込みコマンドを用意したりすることで実現できる。
図5は、マクロプログラム30の内容を示すフローチャートである。
マクロプログラム30は、光ディスク装置Dに光ディスクWが挿入された際に光ディスク装置Dのドライブを初期化するためのコマンド群が記述されたドライブの初期化ルーチンS1と、識別情報読み出しコマンドが記述され、光ディスクWに予め記録されたディスク識別情報を読み出すルーチンS2と、推奨書き込み設定値読み出しコマンドが記述され、光ディスクWに予め記録された書き込み設定値(例えばDVD+RのADIPに記録されたストラテジ情報およびレーザパワー)を読み出すルーチンS3と、設定調整機能を実現するルーチンS4と、書き込み設定コマンドが記述され、光ディスク装置Dに、ルーチンS4で求められた最適な書き込み設定値で光ディスクWにデータを書き込むよう設定を行わせる、最適設定機能を実現するルーチンS5とを含む。
光ディスクWに予め記録されたディスク識別情報の例としては、DVD+RメディアのADIPに予め記録された、光ディスクのメーカー名、書き込み可能な倍速度および使用されている色素の種類等が挙げられる。
ルーチンS3は、推奨書き込み設定値読み出しコマンドが記述されたルーチンS11と、ルーチンS11の推奨書き込み設定値読み出しコマンドに対する光ディスク装置Dからの応答メッセージとしてのADIP情報メッセージを待つステップS12と、ADIP情報メッセージに含まれるストラテジ情報およびレーザパワーを読み出すステップS13と、読み出したストラテジ情報の第1〜7パラメータをホストコンピュータHの記憶手段12上のストラテジ変数領域70に格納し、レーザパワーを記憶手段12上のパワー変数領域72に格納するステップS14とを含む。
ルーチンS4は、ストラテジ変数領域に保存された第1〜7のパラメータで定められるストラテジで、レーザパワー設定値をそれぞれ異ならせて5つのデータを書き込み、その5つのデータにおける2値化されたRF信号のパルス幅の集計データに基づいて最適なレーザパワー設定値を求めるルーチンS21と、ルーチンS21で求めたレーザパワー設定値で、ストラテジ第Xパラメータ(Xは1〜7で、それぞれS22〜S28に対応)をそれぞれ異ならせて5つのデータを書き込み、その5つのデータにおける2値化されたRF信号のパルス幅の集計データに基づいて最適な第Xパラメータを求めて、その第Xパラメータをストラテジ変数領域に保存するルーチンS22〜S28(なお、図7においては、最適な第3〜第6パラメータを求めるルーチンS24〜27を省略している)と、ルーチンS21と同様の処理を再度行うルーチンS29とを含む。
ルーチンS21,S29は、ストラテジ変数領域に保存された第1〜7パラメータを読み出して、書き込み設定コマンドをもって、光ディスク装置Dにその第1〜7パラメータを書き込み設定値として設定させるステップS31と、書き込み設定コマンドをもって、光ディスク装置Dに、レーザパワー設定値を所定の値Xに設定させるステップS32と、設定した値Xを、ログファイル作成機能26によってログファイルに記述させるステップS33と、書き込みコマンドをもって、光ディスク装置Dに、光ディスクのユーザーデータエリアの所定アドレスに所定のデータを書き込ませるステップS34と、データ測定コマンドをもって、光ディスク装置Dに、前記書き込まれたデータの2値化されたRF信号の集計データを取得するステップS35と、取得した集計データを、ログファイル作成機能26によってログファイルに記述させるステップS36とを含んでいる。
ルーチンS22は、パワー変数領域72に保存されたレーザパワー設定値を読み出して、書き込み設定コマンドをもって、光ディスク装置Dにそのレーザパワー設定値を書き込み設定値として設定させるステップS41と、ストラテジ変数領域70に保存された第1〜7パラメータを読み出して、書き込み設定コマンドをもって、光ディスク装置Dにその第1〜7パラメータを書き込み設定値として設定させるステップS42と、書き込み設定コマンドをもって、光ディスク装置Dに、ストラテジ第1パラメータを所定の値Yに設定させるステップS43と、設定した値Yを、ログファイル作成機能26によってログファイルに記述させるステップS44と、書き込みコマンドをもって、光ディスク装置Dに、光ディスクのユーザーデータエリアの所定アドレスに所定のデータを書き込ませるステップS45と、光ディスク装置Dに、前記書き込まれたデータの2値化されたRF信号の集計データを取得するステップS46と、取得した集計データを、ログファイル作成機能26によってログファイルに記述させるステップS47とを含んでいる。
また、最適設定機能(ルーチンS5)により、求められた最適な書き込み設定値が、光ディスク装置Dに設定される。これは、書き込み設定コマンドまたは最適設定値記憶コマンドによって、光ディスク装置Dに最適な書き込み設定値を送信して、光ディスク装置Dの記憶手段49の書き込み設定値または最適設定値を書き換えさせることによって実現される。
また、ログファイルに、光ディスクのディスク識別情報(ルーチンS2)と、各データ書き込み設定値(ステップS33,S43)および集計データ(ステップS36,S47)とが記録される。
ホストコンピュータHでは、集計データに基づいて、HレベルおよびLレベルのそれぞれについて、パルス幅の値とその値を有するパルスの数についての度数分布を作成し、これに基づいて設定値の調整を行なう。
度数分布の一例であるグラフの例を図10に示す。図10では、上側がピット(2値化されたRF信号のLレベルに該当)のグラフであり、下側がランド(2値化されたRF信号のHレベルに該当)のグラフである。
グラフは、横軸にパルス幅(単位はT)、縦軸にそのパルス幅が測定された回数(度数:本図ではlog圧縮されている)を表したものである。
このため、グラフには、3T、4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T、11T、14Tの各パルス幅に該当する位置を頂点として10個の山が形成される。
すなわち、3T、4T・・の各パルス幅は、予め規定されているので(T=38.2263nsであるので、3Tは約114ns、4Tは約153ns、・・14Tは約535nsである。)、山のピークの値が規定値とずれていればいるほど記録品位が悪いと判断できる。
さらに、山の広がりが大きい(隣り合う山と繋がっている)ほど、そのパルス幅が各規定されたパルス幅に対してバラツキを生じており記録品位が悪いと判断できる。そして、山の広がりが狭い(隣り合う山と分離されている)ほど、そのパルス幅が各規定されたパルス幅に近いものが多く、記録品位が良いと判断できる。
まず、HレベルおよびLレベルのそれぞれの度数分布のピークが、本来のピーク位置からずれているか否かを検出する機能について説明する。
例えば、図11に示すように、3Tのピークの実測値が3Tのピークの規定値(約114ns)から短い方にずれている場合を考える。この3TがHレベルの場合には、例えば3Tのランドの直前に14T等の長いピットが存在していると、熱が光ディスクに残存していて3Tの次のピットが早めに形成されてしまい、3Tが短くなるということが生じる。また、この3TがLレベルの場合には、3Tのピットの直前に14T等の長いランドが存在していると、光ディスクの温度が下がってしまい、3T部分が遅れて焼けてしまい、3Tが短くなるということが生じる。
なお、ここで、幅の実測値が、規定値よりも小さい場合にはパルス幅のバラツキが少ないということであるので、特に幅を修正する方向にストラテジおよびレーザパワー等の書き込み設定値を変化させるようなことはしない。
しかし、図12に示すように幅の実測値が、規定値よりも大きい場合には、パルス幅のバラツキが大きく記録品位が悪いといえるので、設定値調整機能は、バラツキが小さくなる方向にストラテジおよびレーザパワー等の書き込み設定値を複数段階にわたって変えて複数回データを書き込むように動作する。
なお、もちろん、設定値調整機能を実現するアルゴリズムは、本実施の形態に限定されるものではない。
なお、この際、ユーザーデータエリアにデータを書き込むことで、光ディスクWを無駄にしてしまうこととなるが、ステップS37,S48で、その光ディスクWのディスク識別情報毎に、各書き込み設定値を、ストラテジ変数領域70およびパワー変数領域72に記憶するよう構成しておけば、以後、同種の(同じディスク識別情報の)光ディスクWに書き込みを行う場合には、設定値の調整を行なわずに、そのディスク識別情報に対応する書き込み設定値でデータの書き込みを行うことができる(なお、ディスク識別情報を含む前記ログファイルを参照するよう構成してもよい)。こうすれば、1枚の光ディスクを無駄にするものの、それによりその種類の光ディスクに高精度に最適な書き込み設定値が求められるため、以後、同種の光ディスクに対する書き込み失敗率を大幅に下げることができる。従って、従来の様に、例えば低品質な光ディスクに対して10枚中8枚の失敗をしていたことに比較すれば、1枚の光ディスクを犠牲にするだけで、以後は高精度に最適な書き込みを行うことができ、以後の書き込み失敗率を大幅に下げることができる。
さらに、従来の様に光ディスク装置Dの工場出荷時にフラッシュROM等に予め既存の光ディスクの最適な書き込み設定値を保存しておいて、光ディスクWへのデータの書き込み時には、この工場出荷時に予め記憶された書き込み設定値に基づいて書き込むか、設定値調整機能で求められた最適設定値に基づいて書き込むか、光ディスクWに予め記録された書き込み設定値に基づいて書き込むか、等、各種の書き込み設定値を選択可能なように設ければ、なお好適である。
なお、「メーカーのコンピュータ」とは、例えば、メーカーが所有するコンピュータ等、メーカーの従業員や作業者が操作可能なコンピュータを指す。
ログファイル送信機能28によるログファイルの送信は、特に限定されないが、例えば、公知の、電子メールにファイルを添付する技術等によって実現可能である。
なお、ログファイルの送受の際の暗号化および復号化は、例えば、公知の公開鍵方式の暗号化技術等により実現することができる。
メーカーの担当者等は、ログファイルの受信に対応して、ログファイルの解析プログラム94をメーカーのコンピュータMに実行させたり、図示しない所定の解析機材を用いたりして、書き込み失敗の原因を解析したり、光ディスク装置の市場における使用状況や書き込みエラー発生状況の詳細な情報を得たりすることができる。
なお、メーカーの担当者等の人手を介さずに、例えば解析プログラム94を、ログファイルを自動的に解析するプログラムに構成するなど、ログファイルの解析を自動化してもよい。
これも、メーカーの担当者の操作によって行うよう構成しても良いが、人手を介さずに、例えば解析プログラム94により求められた最適な書き込み設定値を送受信プログラム90の機能によって自動的にホストコンピュータHに送信するよう構成してもよい。
なお、この通信にも暗号化技術を用いれば、光ディスク装置Dのユーザーのプライバシーや、メーカーの技術的秘密事項等の漏洩を防ぐことができ、好適である。
また、光ディスク装置メーカーは、ユーザーのホストコンピュータHから受信したログファイルに基づいて、書き込み失敗の原因を解析するなどして迅速に対策を講じることができ、また光ディスク装置の市場における使用状況や書き込みエラー発生状況の詳細な情報を得て、その後のマーケティングに活かすことができるようになるなど、ログファイルの情報を用いて種々のサポートやサービス等を行ったり、その質を高めることができる。
また、ホストコンピュータHを光ディスク装置のメーカー内で用いれば、記録品位テストの結果が記録されたログファイルを、記録品位テストを行ったコンピュータと、他の開発者のコンピュータとの間で共有して、チームによる開発作業をより効率的に行うことができる等の効果を得ることができる。
掲示コンピュータBは、電子掲示板プログラム82が制御部80によって実行されることで実現される電子掲示板を有する。電子掲示板は、ネットワークNを介して任意のコンピュータから情報を掲示および参照可能に設けられる。この電子掲示板は、ホストコンピュータHから送信されて受信したログファイルを、復号化して記憶手段84に記憶するとともに、他のコンピュータ等がネットワークNを介してダウンロードできる状態に掲示することができる。
さらに、掲示コンピュータBの電子掲示板は、メーカーのコンピュータM等から、メーカーによる光ディスクの書き込み設定方法等に関するアドバイス情報等を掲示することができるように構成される。
なお、電子掲示板プログラム82の機能により、ログファイルを前記電子掲示板に掲示する際には、ログファイルに含まれる情報のうち、例えば製造番号等、個人情報につながるような情報は削除するよう構成すると、ユーザーの個人情報の漏洩を防ぐことができ、好適である。
また、本実施の形態では推奨書き込み設定値を光ディスクから読み出す例しか挙げなかったが、光ディスクから読み出したディスク識別情報に基づいて光ディスク装置内に予めディスク識別情報毎に記憶してある初期書き込み設定値を用いて図5のステップS3(図6のステップS11〜S14)を実行するようにしてもよい。
D 光ディスク装置
N ネットワーク(通信回線)
C 光ディスク装置制御プログラム
S 光ディスク装置制御システム
M メーカーのコンピュータ
B 掲示コンピュータ
W 光ディスク
2 入力手段
4 表示手段
6 第1インターフェース部
8 第2インターフェース部
10 制御部
11 デコーダ
12 ハードディスク
12 記憶手段
14 光ピックアップ
15 スピンドルモータ
20 ユーザI/F機能
22 マクロ解析実行機能
23 ターンテーブル
24 コマンドI/F機能
26 ログファイル作成機能
27 ログファイル暗号化機能
28 ログファイル送信機能
29 対物レンズ
30 マクロプログラム
34 RFアンプ
36 設定値受信・ダウンロード機能
38 設定値設定機能
40 エンコーダ
41 制御部
42 LDドライバ
44 測定手段
45 集計手段
46 記憶手段
47,48 テーブル
49 記憶手段
50 インターフェース部
52 コマンド解析実行手段
54 識別情報読み出し手段
56 推奨書き込み設定値読み出し手段
58 書き込み手段
59 集計データ送信手段
60 書き込み設定手段
61 最適設定値記憶手段
70 ストラテジ変数領域
72 パワー変数領域
80 制御部
82 電子掲示板プログラム
84 記憶手段
90 送受信プログラム
92 記憶手段
94 解析プログラム
Claims (13)
- 光ディスクにデータを書き込む光ディスク装置を接続可能なホストコンピュータに読み取られ、
前記光ディスク装置に各種のコマンドを送信して該光ディスク装置を制御するコマンド送信機能を、前記ホストコンピュータに実現させ、前記ホストコンピュータの記憶手段に書き換え可能に記憶されたマクロプログラムを、解析および実行するマクロ解析実行機能を、前記ホストコンピュータに実現させる光ディスク装置制御プログラムであって、
前記コマンド送信機能は、
前記コマンドを送信することによって、前記光ディスク装置に、装着されている光ディスクからデータを読み出させ、読み出させたデータの2値化されたRF信号の複数箇所のHレベルにおけるパルス幅の値および複数箇所のLレベルにおけるパルス幅の値を測定させ、前記複数箇所のHレベルにおけるパルス幅の値およびこの値を有するパルスの数、ならびに複数箇所のLレベルにおけるパルス幅の値およびこの値を有するパルスの数を集計させて集計データを作成させ、該集計データを前記ホストコンピュータに送信させ、
前記ホストコンピュータにおいては、受信した前記集計データを解析することでストラテジおよびレーザパワー設定値からなる書き込み設定値の最適な値を自動的に算出する設定値調整機能を、前記ホストコンピュータに実現させ、
前記設定値調整機能は、
前記コマンド送信機能によって前記光ディスク装置にコマンドを送信することにより、光ディスクに予め記録されている推奨書き込み設定値または光ディスク装置内に予め記録されている初期書き込み設定値を読み出させ、該読み出させた推奨書き込み設定値または初期書き込み設定値を前記ホストコンピュータに送信させ、
該推奨書き込み設定値または初期書き込み設定値を受信したホストコンピュータでは、前記コマンド送信機能によって前記光ディスク装置にコマンドを送信することにより、該推奨書き込み設定値または初期書き込み設定値に基づいて、該書き込み設定値を異ならせて複数回光ディスクにデータを書き込ませる書き込み機能を有し、
前記コマンド送信機能によって前記光ディスク装置にコマンドを送信することにより、
前記書き込み機能により書き込んだ複数のデータを光ディスクから読み出させ、読み出させたデータの2値化されたRF信号の複数箇所のHレベルにおけるパルス幅の値および複数箇所のLレベルにおけるパルス幅の値を測定させ、前記複数箇所のHレベルにおけるパルス幅の値およびこの値を有するパルスの数、ならびに複数箇所のLレベルにおけるパルス幅の値およびこの値を有するパルスの数を該書き込み設定値毎に集計させて集計データを作成させ、該集計データを前記ホストコンピュータに送信させ、
該ホストコンピュータでは、受信した複数の集計データに基づいて度数分布を作成し、予め規定されている各パルス幅の規定値と集計データに基づく度数分布における山のピークとのずれ、および予め規定されている度数分布の幅と集計データに基づく度数分布の幅の実測値とのずれを解析することで、受信した複数の前記集計データのうち最も記録品位が良いと認定された集計データの前記書き込み設定値を、最適書き込み設定値として決定する最適書き込み値決定機能を有することを特徴とする光ディスク装置制御プログラム。 - 前記コマンド送信機能により前記光ディスク装置にコマンドを送信することによって、
前記設定値調整機能によって求められた前記最適書き込み設定値を、光ディスク装置に設定させる最適設定値記憶コマンド送信機能を、前記ホストコンピュータに実現させることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置制御プログラム。 - 前記設定値調整機能によって求められた前記光ディスクの前記最適書き込み設定値を、光ディスクの種類を識別するために各光ディスクに予め記録されているディスク識別情報毎に、前記ホストコンピュータおよび/または前記光ディスク装置の記憶手段に記憶させる最適設定値記憶機能を、前記ホストコンピュータに実現させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光ディスク装置制御プログラム。
- 前記設定値調整機能によって求められた前記光ディスクの前記最適書き込み設定値を、光ディスクの種類を識別するために各光ディスクに予め記録されているディスク識別情報毎に、前記ホストコンピュータおよび/または前記光ディスク装置の記憶手段に記憶させる最適設定値記憶機能を、前記ホストコンピュータに実現させ、
前記最適設定値記憶コマンド送信機能は、前記光ディスクから読み出した前記ディスク識別情報に対応する前記最適書き込み設定値を、前記ホストコンピュータおよび/または前記光ディスク装置の記憶手段から読み出して、前記光ディスク装置に設定させることを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置制御プログラム。 - 前記書き込み機能によってデータが書き込まれた前記光ディスクの、光ディスクの種類を識別するために各光ディスクに予め記録されているディスク識別情報と、前記書き込み機能によってデータ書き込みを行なう際のそれぞれの前記書き込み設定値と、前記集計データとを含むログファイルを作成するログファイル作成機能を、前記ホストコンピュータに実現させることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載の光ディスク装置制御プログラム。
- 前記ログファイルを、通信回線を介して前記ホストコンピュータに接続された他のコンピュータに送信するログファイル送信機能を、前記ホストコンピュータに実現させることを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置制御プログラム。
- 前記ログファイルを暗号化するログファイル暗号化機能を、前記ホストコンピュータに実現させ、
前記ログファイル送信機能は、前記ログファイル暗号化機能により暗号化された前記ログファイルを、他のコンピュータに送信することを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置制御プログラム。 - 前記ログファイル送信機能は、前記ログファイルを、前記光ディスク装置のメーカーのコンピュータに送信可能であることを特徴とする請求項6または請求項7記載の光ディスク装置制御プログラム。
- 前記メーカーのコンピュータから、書き込み設定値を受信する設定値受信機能を有し、
前記書き込み機能は、
前記光ディスクにデータを書き込む際の書き込み設定値として、前記推奨書き込み設定値に代えて、前記メーカーのコンピュータから受信された書き込み設定値に基づいて光ディスクにデータを書き込ませることを特徴とする請求項8記載の光ディスク装置制御プログラム。 - 前記ログファイル送信機能は、前記ログファイルを、通信回線を介してダウンロードできる状態に掲示可能な電子掲示板を有する掲示コンピュータに送信可能であることを特徴とする請求項6〜請求項9のうちのいずれか1項記載の光ディスク装置制御プログラム。
- 前記電子掲示板に掲示されたログファイルをダウンロードするログファイルダウンロード機能を有し、
前記書き込み機能は、
前記光ディスクにデータを書き込む際の書き込み設定値として、前記推奨書き込み設定値に代えて、前記ログファイルダウンロード機能によってダウンロードされたログファイルに含まれる書き込み設定値に基づいて光ディスクにデータを書き込ませることを特徴とする請求項10記載の光ディスク装置制御プログラム。 - 請求項10または11記載の光ディスク装置制御プログラムが読み取り可能にインストールされた複数のホストコンピュータと、
各該ホストコンピュータに接続された、光ディスクにデータを書き込む光ディスク装置と、
前記掲示コンピュータとを備えることを特徴とする光ディスク装置制御システム。 - 請求項1〜請求項11のうちのいずれか1項記載の光ディスク装置制御プログラムが、読み取り可能にインストールされていることを特徴とするホストコンピュータ。
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