JP3960614B2 - 抗ペプチド抗体測定法とペプチドワクチンのワクチン候補選択方法 - Google Patents

抗ペプチド抗体測定法とペプチドワクチンのワクチン候補選択方法 Download PDF

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Description

この発明は、複数種類のペプチドを複数種類の担持体にそれぞれ固相化し、患者から得た検体を注いでこのペプチドとペプチド抗体を抗原抗体反応させ、このペプチド抗体の結合量と種類とを測定する個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と、測定したペプチド抗体の結合量からワクチン候補を決定する個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法に関するものである。
ペプチドワクチンは、種々の疾患の予防ならびに処置に対して大きなポテンシャルを持っている。かかるペプチドワクチンのペプチド抗体は従来からELISA法によって測定されてきた。そして、最近の免疫学や分子生物学の進歩によって、感染症、アレルギー、癌疾患、自己免疫疾患などの疾患に関与する数多くの抗原やエピトープペプチドが同定できるようになってきた(非特許文献1参照)。
これらのペプチドのうち、癌疾患ならびに自己免疫疾患に関与しているいくつかのペプチドがペプチド療法による臨床試験に用いられたこともある。しかしながら、かかるペプチドを用いたペプチドワクチンに対する臨床的応答が稀にしかなかったり、またはその免疫応答レベルが明白でなかったりして失敗してきた(非特許文献2参照)。このような結果に終わったのは、ELISA法による測定を前提にせざるをえず、抗ペプチド免疫応答を測定する適正なモニターシステムがなかったことが一因と考えられる。
すなわち、ペプチドに対する免疫測定に利用されているELISA法は、1つのウェル中で1種類のペプチドを測定するものであり、多種類のペプチドを連続的且つ一度に測定することはできず、ウェルが形成された多数のマイクロプレート、多量の血清、過剰量の試薬を必要とし、高コストで、長時間の作業時間を必要とするものである。このため本発明者の中の1人は、複数の抗原ペプチドに対する特異的な細胞性免疫能の簡便な検出方法を提案した(特許文献1参照)。しかし、この方法でも培養時間だけでも2週間もの時間を要するものであった。このように、上述したペプチド療法では、多量のペプチドワクチンを投与して素早く適正にモニターする必要があるが、従来のELISA法あるいは、細胞性免疫能測定法は、これに不向きであった。
最近、マルチプレックス・フローメトリー技術が急速に発展してきて、1本のマイクロチューブまたはマイクロプレートウェル中で多数の標的を急速に測定することができるようになってきている(非特許文献3参照)。これによってマイクロチューブやマイクロプレートウェル中で複数種類のペプチドが測定でき、1種類のペプチド抗体しか測定できなかったELISA法の改良がなされた。
かかるマルチプレックス・フローメトリーアッセイ技術を利用しているシステムとしては蛍光フローメトリーシステム(一例として、Luminex(登録商標)システム)が知られている(特許文献2、非特許文献4参照)。この蛍光フローメトリーシステムは、100種類のビーズが用意されていて、それぞれの色のビーズに個別の解析対象物を固定することにより一度に100種類を同時に解析できるようになっている。この蛍光フローメトリーシステムは、免疫アッセイ、レセプターアッセイ、核酸アッセイ、酵素アッセイによる解析をサポートすることができるといわれている。
しかし、この従来の蛍光フローメトリーシステムはプラスチックのマイクロチューブ(例えばエッペンドルフ(登録商標)チューブ)等内にビーズを収容し、1本若しくは数本ずつ遠心分離してビーズと反応液を分離するため、多数種類の固定化されたビーズを用意するためには少なくともマイクロチューブ等の数(またはその数分の1)の回数と遠心分離の実行回数の積だけ遠心分離を繰り返さねばならず、どうしても多量の解析対象物を必要とし、長時間の作業が必要なものであった。繰り返し、遠心分離機にマイクロチューブを1本1本着脱するのは耐え難い作業であった。
そして、本発明者の中の2人は、マルチプレックス・フローメトリーアッセイ技術を応用して、ペプチドに対する細胞性免疫応答を測定するための新規な高スループット蛍光微量アッセイ技術を提案した(特許文献3参照)。これにより、インターロイキンやインターフェロンなどのサイトカインを検出することができるようになった。
特開2002−365286号公報 特開2002−311027号公報 特開2004−150997号公報 Cancer Resarch,59(1999),Damu Yang et al , p.4056- p.4063 Clin.Cancer Res.,7(2001), Miyagi Y et al, p.3950- p.3962 J.Immunol.Meth.,227(1999)Richard et al, p.41- p.52 "Luminex(登録商標) レポート−アレルギーテスト"、[online]、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社、[平成16年6月22日検索]、インターネット<URL:http://bio.hitachi-sk.co.jp/luminex/index2.html>
以上説明したように本発明者らは、従来のELISA法の欠点を解消するために、従来方法を鋭意検討した結果、特許文献2に示すように蛍光フローメトリーアッセイ法が従来のELISA法の欠点を解消でき、多数の検体を連続的にかつ少量の検体量で、かつ短時間に測定することができることに着目し、この蛍光フローメトリーアッセイ法がペプチドワクチンに対する免疫応答をモニターするための新規なツールとして有効に且つ効率的に利用できることの知見を得た。
また、従来の蛍光フローメトリーシステムは、担持体をエッペンドルフ(登録商標)チューブのようなマイクロチューブ等内で遠心分離してビーズと反応液を分離して使うため、膨大な回数の遠心分離による担持体と溶液の分離作業を繰り返さねばならず、どうしても長時間の作業が必要になるものであった。蛍光フローメトリーシステムで一度に100種類を同時に解析することは可能であるが、この100種類のビーズに個別の解析対象物を固定するための作業は一度ではできず、準備のために多くの作業時間を割かなければならなかった。しかも遠心分離機は、コスト面でも蛍光フローメトリーシステムのコストのうち、かなりのウェイトを占めるものである。また、マイクロチューブ等毎の温度、反応時間などの条件に差異が生じるため、調整したペプチド結合ビーズの性質は安定したものとはなり難いものであった。
そして、個々の人ごとに有効な医療としてペプチド療法を行うときワクチンとして機能するペプチドには、疾患ごとに固有のパターンがあり、しかもパターンの中でどのペプチドが有効となるかについては個人差が存在する。従って、例えば癌組織由来のペプチド等に対するペプチド認識抗体の結合量を測定する場合には、とくにペプチドの種類が多く、作業時間が問題になる。
また、蛍光フローメトリーアッセイ法でペプチド認識抗体の結合量と種類とを測定したとき、実際にどのペプチドをワクチンの候補とするか、の判断を行うのは難しい。すなわち、ペプチド認識抗体の結合量が検出できた場合に有効で効果的なワクチンと判断するのが一見良さそうだが、臨床試験によれば必ずしも正しくない。そしてワクチン投与を繰り返したときに、ペプチド認識抗体の結合量は様々に変化するし、少なくとも有意な値を示すレベルを設定しないと、信用性に欠けるものとなる。
そこで、本発明は、一度にペプチドが固相化された担持体を作製することができ、ペプチドワクチンに対する免疫応答を短時間でモニターすることができる個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法を提供することを目的とする。
また本発明は、投与するペプチドを簡便且つ短時間に決定し、信頼性の高いワクチンを作成することができる個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を調製し、調製後の複数種類の担持体に患者から得た検体を注いで該検体に含まれるペプチド認識抗体をペプチドと特異的に反応させ、該反応でペプチドに結合したペプチド認識抗体に対して更に二次抗体を結合するとともに、該二次抗体に標識を結合して、該標識の結合量の測定と担持体の種類の識別を行い、ペプチド認識抗体の結合量と種類とを測定する個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法であって、プレート上に配列した複数のウェル内のフィルター上に未調製の複数種類の担持体をそれぞれ収容し、フィルターを介して接続された減圧室を吸引することにより担持体のそれぞれにこれを均一の分布状態に整然と配列させることができる吸引力を共通に作用させて、複数のウェルで各担持体にそれぞれのペプチドを時間的に並行して同一の条件で固相化し、複数のウェルにおける各担持体の調製を一括して同時に行うことを特徴とする。
本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法によれば、従来のELISA法の欠点を解消することができるとともに、患者から得た検体、とくに疾患患者の血清に含まれているペプチド認識抗体を連続的に短時間にかつ簡便に測定することができるという極めて大きな利点を有している。そして、検査する検体数が増加すればするほど、検査に要する作業時間を短縮することができ、検査するペプチド数が増加しても迅速にかつ簡便に検査することができるという大きな利点がある。また本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法は、ペプチドが固相化された複数種類の担持体を一度に作製して、高い回収率で担持体を回収でき、ペプチドワクチンに対する患者の免疫応答を的確にモニターすることが可能になる。
また、本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法によれば、投与すべきペプチドを簡便且つ短時間に決定し、信頼性の高いワクチンを作成することができる。
本発明を実施するための最良の第1の形態は、相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を調製し、調製後の複数種類の担持体に患者から得た検体を注いで該検体に含まれるペプチド認識抗体をペプチドと特異的に反応させ、該反応でペプチドに結合したペプチド認識抗体に対して更に二次抗体を結合するとともに、該二次抗体に標識を結合して、該標識の結合量の測定と担持体の種類の識別を行い、ペプチド認識抗体の結合量と種類とを測定する個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法であって、プレート上に配列した複数のウェル内のフィルター上に未調製の複数種類の担持体をそれぞれ収容し、フィルターを介して接続された減圧室を吸引することにより担持体のそれぞれにこれを均一の分布状態に整然と配列させることができる吸引力を共通に作用させて、複数のウェルで各担持体にそれぞれのペプチドを時間的に並行して同一の条件で固相化し、複数のウェルにおける各担持体の調製を一括して同時に行うことを特徴とする個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法であり、ペプチドが固相化された担持体を同時調製処理で調製するため、ペプチドと担持体の双方が複数種類であっても、時間的に長時間の処理を1枚のプレートという空間的な処理に変えて同一の条件で一度に調製でき、患者から得た検体に含まれているペプチド認識抗体を加えることにより蛍光フローメトリーアッセイ法で連続的に短時間且つ簡便に測定でき、ペプチドワクチンに対する患者の免疫応答を的確にモニターすることができる。
ここで、図1は本発明の実施の形態における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法の概念図、図2は本発明の実施の形態における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法の担持体を調製する同時調製処理の説明図、図3は本発明の実施の形態における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法の測定説明図である。図1(a)において、担持体1は後述するように蛍光色素によって種類を相互に識別可能なビーズであり、表面には様々なペプチド2を固定するための表面処理部3が形成されている。表面処理部3はカルボキシル基などが結合されることで形成される。カルボキシル基が結合された表面処理部3はアミノ基と結合可能であるため、アミノ基をもつペプチド2を固定することができる。図1(b)は、図1(a)の担持体1に対して血清などの検体を注ぎ、検体に含まれるペプチド認識抗体4(抗ペプチド抗体)をペプチド2と特異的に反応させる工程を示している。この免疫反応の結果、ペプチド認識抗体4がペプチド2に結合した状態が図1(c)の状態である。本発明においてはペプチド認識抗体4に標識6を施すために、図1(c)のようにさらに二次抗体5と標識6を添加する。この二次抗体5としては、ビオチン化抗体などを使用することができ、これにアビジンなどの標識6の溶液を注ぐことにより二次抗体5と標識6とが結合し、例えば蛍光色素標識ストレプトアビジンとなる。これがペプチド認識抗体4に結合することにより、図1(d)に示すようにレポーター蛍光色素で標識した標識6が結合して、担持体1を示す標識となる。これにより、担持体1自身の種類を識別することで、これと特異的な反応をするペプチド認識抗体4の種類が特定でき、標識6の数を測定することでペプチド認識抗体4の結合量が測定可能になる。
次に、本発明の第1の形態の担持体を調製する同時調製処理について図2の説明図に基づいて説明をする。図2(a)〜(d)において、真空マニホールド装置10に上面にはポリカーボネート,ポリプロピレン,ポリスチレン等のプラスチックで成型されたフィルタープレート11が取付けられる。このフィルタープレート11には、96個もしくは384個、さらには1536個等、多数のウェル12が8列×12列、16列×24列といった配列で整然と並んで設けられている。各ウェル12には、5μl〜400μl程度の容積が与えられる。各ウェル12の底には連通口が設けられ、連通口の上部にはフィルター13が取付けられている。フィルター13は多孔質等で、担持体1を載置したとき流出しないメッシュのものが選ばれる。真空マニホールド装置10はフィルタープレート11が取付けられたとき、内部が減圧室Vとなるように構成されており、真空マニホールド装置10と接続された真空ポンプ14によって減圧室V内が減圧され、多数のウェル12から同時に吸引することができる。
なお、上述したマイクロプレートも、矩形のプレートに多数のウェルが縦横の配列で並んで設けられるものであり、各ウェルは5μl〜400μl程度の容積をもつものである。従って、フィルタープレート11に代えて、このマイクロプレートの連通口の下側に外付けする形で1枚若しくは複数のフィルターを設けることもできる。
図2(a)は、(i)界面活性剤を含む洗浄用緩衝液(本発明の緩衝液)を注いでフィルター13を介して真空ポンプ14で吸引し、これを1回若しくは2回以上繰り返す工程と、(ii)担持体1を分注して真空ポンプ14で吸引する工程と、(iii)洗浄用緩衝液を注いで真空ポンプ14で吸引し、これを1回若しくは2回以上繰り返す工程と、を示している。なお、(ii)の工程を繰り返す必要はないが、真空ポンプ14による吸引は2回以上繰り返してもよい。(ii)(iii)の工程により、担持体1をフィルター13上でほぼ均一の分布状態にさせることができる。
次に、図2(b)はペプチド2を担持体1に結合させるための工程を示す。(iii)担持体1とペプチド2の結合を促進するEDC(N-ethyl-N’-(3-dimethyl aminopropyl)-carbodiimide hydrochloride)等の結合試薬を注ぐ工程、(iv)各ウェル12内の担持体1にペプチド2溶液を注ぐ工程、(v)EDC等の結合試薬をさらに注いで、遮光し室温を保って20分程度反応させ、これを1回若しくは2回以上繰り返す工程、(vi)フィルター13を介して真空ポンプ14で吸引し、過剰のペプチドと結合試薬を除去する工程、とから構成される。この(iii)〜(v)の工程により、担持体1とペプチド2溶液との反応を促進し、(vi)の工程により、過剰のペプチドと結合試薬等の余剰液を除去することができる。
続いて、図2(c)はペプチド2と担持体1の結合を終えるための工程であり、(vii)Tris-HCL等の反応ブロッキング液を注いで遮光し、室温を保って10分〜20分程度の反応させる工程、(ix)洗浄用緩衝液を注いで真空ポンプ14で吸引し、これを1回若しくは2回以上繰り返す工程と、から構成される。(vii)〜(ix)の工程により、担持体1とペプチド2の反応が終了し安定した固相となる。
以上の工程が終了したら図2(d)に示すように、(x)固相化された担持体1を回収する。(x)の工程で回収された担持体1は、担持体1の種類が蛍光色素で相互に識別可能であるから、これに1対1に固定されたペプチド2の種類も一義的に決定できるものである。従って、異なった担持体1が混合されている場合でも、測定するときには各種類の担持体1を判別することが可能であるから、各種類が混ざった状態で保管することもできるが、各担持体1の反応特性を安定させる必要があるため、各担持体1ごとにまとめて保管するのがよい。また、担持体1の保管に当っては、防腐剤を添加するのが好適である。(x)の工程で担持体1を回収するとき、回収前に0.05%程度の防腐剤を含んだ保存用溶液を注いで真空ポンプ14で吸引し、その後回収するのがよい。
このように第1の形態の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法は、フィルタープレート11を使って共通の真空ポンプ14の吸引動作による圧力を同時に作用させ、100種類以上の担持体1を一括して一度に同時調製することができ、従来のマイクロチューブで1本または数本ずつ遠心分離して担持体1を調製する場合より、格段に高効率で且つ短時間に調製できる。しかも、(i)〜(iii)、(vi)〜(x)の工程でフィルター13と真空ポンプ14を使って吸引を行うので、担持体1が整然と配列された状態で処理され、この間清浄が保たれ、同一の条件で作製するため高品質の担持体1を得ることができ、図8に示すように利用可能な担持体1の回収率は73%以上を実現できる。図8はマイクロチューブと同時調製処理の回収率の比較説明図である。これに対し、マイクロチューブで遠心分離を行った場合は、回収率52%程度にしかならなかった。
さて、ここで蛍光フローメトリーアッセイ法に基づいた本発明の抗ペプチド抗体測定法が、ペプチド認識抗体4の結合量と種類をどのように測定するのか、図3に基づいて簡単に説明する。図3は蛍光フローメトリーシステムにおける検出部位を示しており、(1)ペプチド2,ペプチド認識抗体4,二次抗体5,標識6が順に結合した担持体1と、(2)ペプチド2だけが結合した担持体1、あるいは(3)担持体1だけが、(1)〜(3)の3種類若しくは(1)(2)の2種類が混在した状態で透光性細管21の中を流され、これをフローメトリーで検出する場合、担持体検出用レーザー22と標識検出用レーザー23から透光性細管21内の流れに向けてそれぞれ異なった波長の励起用レーザー光が照射される。
レポーター蛍光色素で標識した標識6は標識検出用レーザー23からの励起用レーザー光(例えば励起波長488nm)を受けて、例えば蛍光波長585nmで発光する。また、後述するように蛍光色素によって多種類に染色された担持体1は、担持体検出用レーザー22からの励起用レーザー光(例えば励起波長635nm)を受けて所定の波長(例えば657nmの蛍光)、あるいは2つの組み合わせによる波長(例えば蛍光波長657nmと蛍光波長720nmの2色の蛍光色素の組み合わせで、濃度比率の違いにより蛍光強度が異なった蛍光)で発光する。なお、この2つの波長の組み合わせに対して特定の種類の担持体1が対応付けられている。担持体1の蛍光の波長だけでなく、担持体1の粒の直径と色とを検出することもできる。
この標識6からの蛍光は受光センサ26で検出され、また、担持体1からの蛍光あるいはその組み合わせの蛍光は受光センサ25で検出される。検出された蛍光の波長、またはその組み合わせに対して、1種類の担持体1が対応付けられており、この担持体1には1種類のペプチド2が対応付けられて結合されているから、ペプチド2も一義的に定まる。従って、このペプチド2と特異的に反応するペプチド認識抗体4の種類が特定できる。さらに、受光センサ26からの出力で標識6の数を測定することができ、ペプチド認識抗体4の結合量が測定可能になる。
このように第1の形態の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法は、癌や各種感染症の患者の血清等に含まれているペプチド認識抗体を連続的に短時間にかつ簡便に測定することができ、ペプチドワクチンに対する免疫応答を的確にモニターすることが可能になる。
さらに本発明を実施するための第2の形態は、第1の形態に従属する形態であって、ペプチドが癌組織由来のペプチドであって、癌の症例ごとに異なった数の担持体を調製する個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法である。癌に特異的ペプチドはモニターすべきペプチドの種類が基本的に非常に多く、症例ごとに多様であり、この分、担持体を調製するには多くの時間が必要となる。しかし、本発明においては同時調製処理により一度に調製でき、抗癌ペプチドワクチンに対する免疫応答を短時間でモニターすることができる。実質的に始めて実用性のあるモニターが可能になる。
次に、本発明を実施するための第3の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、担持体が複数の蛍光色素を使って種類を識別する微小ビーズである個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法であり、担持体が微小ビーズであるため処理が容易である。
第3の形態に使用することができる微小ビーズとしては、通常の蛍光アッセイ法に使用することができるビーズであればいずれも使用することができる。かかるビーズの例としては、例えば、ポリスチレン製の微小ビーズなどが挙げられる。このポリスチレン製の微小ビーズは、上述したように表面がカルボキシル基などで表面処理されている。この微小ビーズは直径1μmから10μmが好適で、市販のものでは例えば直径5.6μmのポリスチレン製の球形ビーズが用いられる。
この微小ビーズは、蛍光色素によって識別コードが付与されていて、その識別コード別に分けることができるようになっている。このように識別コードによって、微小ビーズをそのコード毎に分離することができ、表面上に固定されたペプチド2は、検体中のペプチド認識抗体4によって認識される。識別コードは、上述したように1種類の蛍光を濃度で識別しても、あるいは2つの波長の蛍光を濃度の組み合わせて識別してもよい。例えば、担持体の数が例えば100種類程度であれば、種々の濃度の組み合わせた2色、例えば赤色と橙色の蛍光色素(10×10の濃度)で微小ビーズを染色し、各蛍光色素の含有量を識別コードとする。すなわち、図3の受光センサ25でそれぞれの色素の含有量に比例した蛍光強度を波長ごとに検出し、各濃度が属するレベルを積算して識別コードとするものである。そして、このようにして識別コード化されて表面上に固定されたペプチドは、検体中のペプチド認識抗体と特異的に反応する。このようなビーズの例としては、例えば、バイオプレックス(登録商標)COOH(Carboxylated)ビーズ、LiquiChip(登録商標)Carboxyビーズなどが知られている。
続いて、本発明を実施するための第4の形態は、第1〜第3の形態に従属する形態であって、標識が二次抗体に対する蛍光色素による染色である個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法である。担持体1表面に固定化されたペプチド2に結合したペプチド認識抗体4に、更に二次抗体5が結合される。この結合方法は、二次抗体を結合するための通常の方法であればいずれも使用することができる。上述したように二次抗体としては、ビオチン化抗体などを使用し、レポーター蛍光色素で標識したアビジンを更に結合させるのが好適である。この結合も通常の方法に従って行うことができる。
このように、レポーター蛍光色素で標識したペプチド2が固相化された担持体1を、例えば蛍光フローメトリーシステムで標識した蛍光色素に応じた蛍光強度(例えば励起波長488nm、蛍光波長585nm)で測定することによってペプチド認識抗体4(抗ペプチド抗体)を検出することができる。
本発明を実施するための第5の形態は、第1〜第4の形態に従属する形態であって、調製を行うとき、フィルター上にそれぞれ別種で未調製の担持体を収容しフィルターを介して同時に吸引する第1の工程と、緩衝液を注いで各ウェルをフィルター側から同時に吸引する第2の工程と、各ウェルに結合試薬を注いだ後ペプチドの溶液を添加し反応させる第3の工程と、さらに結合試薬を添加して反応を促進させる第4の工程と、フィルターを介して余剰液を各ウェルから同時に吸引する第5の工程と、を行う個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法である。
図2において説明すると、第1の工程によって担持体1を一様な吸引力の作用によりフィルター13上でほぼ均一の分布状態にさせることができ、第2〜4の工程により、担持体1とペプチド2溶液と反応を促進し、第5の工程により、過剰のペプチドと過剰の結合試薬を排出することができる。圧力を介して処理するので、1つの操作手段(吸引手段)と減圧室Vで複数箇所のウェルに同時に作用を及ぼすことができ、同時調製処理が可能になる。担持体1を一括して一度に同時調製することができ、高効率で且つ短時間に調製できる。フィルターと共通の真空ポンプ14を使って吸引を行うので、吸引力で担持体1が整然と配列された状態で処理され、この間清浄が保たれ、同一の条件で作製するため高品質の担持体1を得ることができ、担持体1の高回収率を得ることができる
本発明を実施するための第6の形態は、第5の形態に従属する形態であって、調製を行うとき、第2の工程と第4の工程を少なくとも2回以上繰り返して行う個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法であり、担持体1の清浄が保たれ、より高品質の担持体1を高回収率で得ることができる。
本発明を実施するための第7の形態は、相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を調製し、調製後の複数種類の担持体に患者から得た検体を注いで該検体に含まれるペプチド認識抗体をペプチドと特異的に反応させ、該反応でペプチドに結合したペプチド認識抗体に対して更に二次抗体を結合するとともに、該二次抗体に標識を結合して、該標識の結合量の測定と担持体の種類の識別を行い、ペプチド認識抗体の結合量と種類とを測定し、ペプチド認識抗体の結合量に基づいてペプチドを選んで検体に対するワクチン候補とする個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法であって、ペプチドワクチンの投与後に採取した検体のペプチド認識抗体の結合量が、感染症陰性基準値を越えると共に、投与前ペプチド認識抗体の結合量より増加している場合のペプチドだけをワクチン候補とすることを特徴とする個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法である。
第1の形態の前提となる蛍光フローメトリーアッセイ法では、ペプチド認識抗体の結合量と種類とを測定したとき、どのペプチドをワクチン候補とするか、非常に判断が難しいが、第7の形態では、これを、後述する図6、図7に示すような感染症陰性基準値を越えたか否かで判断するので、投与するペプチドを簡便且つ短時間に決定し、信頼性の高いワクチンを作成することが可能になる。検出されたペプチドを直ちにワクチン候補と判断するのは、効果のないペプチドをワクチンとする可能性が高く、これを続ける限り治療費を押し上げ、場合によっては、治療効果も消失してしまうことすらある。健常者が感染症に対して一般的に陰性を示すペプチド認識抗体の結合量を基準値とし、ペプチド認識抗体がこれより少ない場合にはワクチン候補としないため、ペプチドを絞り込むことができる。さらに、測定されたペプチド認識抗体の結合量が多ければ直ちにこのペプチドを治療に効果的なワクチン候補と判断するのは、継続した治療の中でワクチンを考えるときには必ずしも正しくなく、ワクチン投与を繰り返し、ペプチド認識抗体の結合量が増加していく場合が個々の人ごとに有効な医療にとって最も有効なワクチンである。従って、投与前の検体と投与後の検体のペプチド認識抗体の結合量を比較し、増加している場合だけワクチン候補とするので、きわめて有効なペプチドワクチンを作成することができる。この感染症陰性基準値を越えなかったため1度は排除されたペプチドも、ワクチン投与を繰り返す間に再度出現し、このとき多くの場合感染症陰性基準値を越えるため、感染症陰性基準値によりワクチンの判断に誤りが起こることはない。なお、図6、図7の感染症陰性基準値は抗HIVペプチド抗体陰性基準値である。
本発明を実施するための第8の形態は、第7の形態に従属する形態であって、ペプチドが癌組織由来のペプチドであって、癌の症例ごとに異なった数の担持体を調製する個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法である。上述したように、癌に特異的ペプチドは種類が基本的に非常に多く、症例ごとに多様であり、この分、ペプチドワクチンを調製するには多くの時間が必要となる。しかし、本発明においては感染症陰性基準値でカットオフすることにより少ないペプチドで的確なモニターをすることができる。
本発明を実施するための第9の形態は、第7または第8の形態に従属する形態であって、感染症陰性基準値が抗HIVペプチド抗体陰性基準値である個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法であり、図6、図7に示す抗HIVペプチド抗体陰性基準値をカットオフのレベルとするので、精度の高い判断ができる。
本発明を実施するための第10の形態は、第7〜第9の形態に従属する形態であって、ペプチド認識抗体の結合量の増加からワクチン候補を決定するとき、ペプチドワクチンを所定回数投与し、ペプチド認識抗体の結合量が投与前より一度も増加しなかったペプチドを除いて、ワクチン候補とする個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法である。第10の形態は、ペプチドワクチンを所定回数投与し、投与前の検体と投与後の検体のペプチド認識抗体の結合量を比較し、ペプチド認識抗体の結合量が投与前より一度も増加しなかったペプチドを除いて、増加している場合だけワクチン候補とするので、きわめて有効なペプチドワクチンを作成することができる。
なお、この増加の判断は、1つのペプチドワクチンの投与の前後の検体であることが基準であるが、1つのペプチドワクチンの投与の前後だけでなく、連続して所定の回数投与を続けたときの前後も含むものである。連続して所定の回数投与を続け、1度も増加しなかったときはワクチン候補から排除する。このとき、感染症陰性基準値を越えなかったため1度は排除されたペプチドも、ワクチン投与を繰り返す間に再度出現し、ワクチンの判断に誤りが起こることがなくなる。
本発明を実施するための第11の形態は、第7〜第10の形態に従属する形態であって、相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を調製するのに代えて、プレート上に配列した複数のウェル内に同時に共通の吸引力を作用させて、相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を一括して同時に調製する個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法であり、上述した第1の形態の作用効果を奏する。担持体を一度に同時調製することができ、高効率で且つ短時間にペプチドワクチンを作成できる。フィルターと共通の減圧源を使って吸引を行うので、吸引力で担持体が整然と配列された状態で処理され、この間清浄が保たれ、同一の条件で作製するため高品質の担持体を得ることができ、担持体が高回収率でコストが低下する。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、この実施例は本発明を具体的に説明するためのものにすぎず、本発明が本実施例に限定されるものではない。
(ペプチド)
下記の(表1)に示す細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープペプチドはGMP(製造及び品質管理に関する基準)条件下で調製した。
Figure 0003960614
上記アミノ酸配列において、記号Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、Kはリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパラギン、Qはグルタミン、Rはアルギニン、Sはセリン、Tはトレオニン、Vはバリン、Wはトリプトファン、Yはチロシンをそれぞれ意味する。
(同時調製処理によるペプチドの微小ビーズへの結合)
細胞傷害性Tリンパ球(以下、CTL)エピトープペプチドを、製造者の指示に従って各蛍光色素の含有量を識別コード(以下、カラーコード)化した微小ビーズにそれぞれ次のようにして結合した。フィルタープレートの各ウェルにカラーコード化した未調製の微小ビーズを100μlずつ入れて吸引し、その後洗浄用緩衝液(リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)(pH7.4±0.1)、TWEEN(登録商標)20(0.05%v/v))で2回洗浄し各ウェルを同時に吸引した。次に0.1M MES緩衝液(pH 7.0)50μlを入れ、EDC(1mg/ml in 0.1M MES緩衝液(pH7.0))を各ウェル10μlずつ添加した。数百μlのCTLエピトープペプチド(1mg/ml,0.1M MES緩衝液、pH 7.0)をこの洗浄した微小ビーズと各ウェル内で混合した。その後ペプチドと混合した微小ビーズを、暗所で20分間、室温で反応させた後、さらにEDC(1 mg/ml in 0.1M MES緩衝液(pH 7.0))を各ウェル10μlずつ添加し、暗所で、20分間室温で反応させる操作を2回繰り返した。余剰液を吸引後、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を各ウェル100μlずつ添加し、暗所で、15分間室温で反応させた。次に、各ウェルのビーズを上記洗浄用緩衝液で3回洗浄し、ブロックエース(登録商標)に0.05%アジ化ナトリウムを入れて調整した保存用溶液で回収した。
(微小ビーズミックスの調製)
各ウェルの微小ビーズを調製するときは、上記のようにカラーコード化した微小ビーズにペプチドを結合させて得たビーズ溶液をフィルタープレートの各ウェル当たり微小ビーズが約5000個になるように入れて(各ウェル当たりビーズ1種類約1μl)調製する。また、このように調製した微小ビーズを10種類等量で混ぜて、上記洗浄用緩衝液(PBS、TWEEN(登録商標)20(0.05%v/v))で総量が約25μlになるように希釈してビーズミックスを調製した。
(サンプルの調製)
サンプル(本発明の検体)としてはがん患者からの血清を使用した。血清を反応用緩衝液(PBS(pH
7.4±0.1)、TWEEN(登録商標)20(0.05%v/v)、牛胎児血清アルブミン(BSA)10
mg/ml)を用いて100〜1000倍希釈した血清希釈液をそれぞれ100μl調製した。
(ビオチン化二次抗体の調製)
ビオチン化二次抗体としては、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(ガンマ鎖特異的)を上記反応用緩衝液で希釈して使用した。
(蛍光色素標識ストレプトアビジンの調整)
PE(フィコエリスリン)で標識したストレプトアビジン(SRPE)1 mg/mlを上記反応用緩衝液で 20μlに希釈(1/50希釈)して使用した。
(抗ペプチド抗体測定)
フィルタープレートの各ウェルに上記洗浄用緩衝液を100μl入れ、続いて吸引除去した。この洗浄操作を2回行った。次に、各ウェルに上記ビーズミックスを25μl入れた96ウェルのフィルタープレートを該洗浄用緩衝液で2回洗浄した。洗浄後、全てのウェルに上記サンプルをそれぞれ100μl入れた。次にフィルタープレートにカバーをして暗所で、2時間室温でプレートシェーカー(300rpm)を用いて振とうした後、吸引した。続いて、各ウェルに上記洗浄用緩衝液をそれぞれ100μl入れ、吸引除去した。この洗浄操作を3回行った。
次ぎに、各ウェルにビオチン化二次抗体としてビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(ガンマ鎖特異的)をそれぞれ100μl入れ、フィルタープレートにカバーをして暗所で1時間室温でプレートシェーカー(300rpm)を用いて振とうした。その後、吸引して、各ウェルに上記洗浄用緩衝液をそれぞれ100μl入れ、吸引除去した。この洗浄操作を3回行った。
続いて、各ウェルにSRPEをそれぞれ100μl入れて、フィルタープレートにカバーをして暗所で30分間室温でプレートシェーカー(300rpm)を用いて振とうした。その後、吸引して、各ウェルに上記洗浄用緩衝液をそれぞれ100μl入れ、吸引除去した。この洗浄操作を3回行った。その後、各ウェルに該洗浄用緩衝液をそれぞれ100μl入れて、プレートシェーカー(300rpm)を用いて2〜3分間振とうした後、得られたサンプル50μlを蛍光フローメトリーシステムで測定した。
(標準抗体の調製)
まず、標準抗体として、SART3-109ペプチドをワクチン注射したがん患者からの抗体を調製した。標準抗体は、各ペプチドに結合したサンプルの抗体の数を推定するための標準値を得るためのものである。この標準抗体を、上記方法で予めSART3-109を結合したカラーコード化した微小ビーズに結合させ、微小ビーズの識別コードにより分類した。次に、ストレプトアビジン−PE(フィコエリスリン)を検体に結合させ、蛍光強度575±12nmで検出した。なお、SART3-109ペプチドに対する標準抗体は後記する図4(C)に示すように濃度依存的になり、ペプチドに結合した抗体分子の数は、標準抗体から得られた標準曲線から推定することができる。標準抗体を用いて標準曲線を作成することは実験室内で行うことができる。
(標準抗体を使用した抗ペプチド抗体分子の測定)
上記標準抗体を使用した抗ペプチド抗体分子の測定結果を図4、図5に基づいて説明する。図4は標準抗体を使用した抗ペプチド抗体分子の第1の測定結果を示す図、図5は標準抗体を使用した抗ペプチド抗体分子の第2の測定結果を示す図である。図4(a)は、18回目のペプチドワクチン投与後の大腸がん患者のワクチン投与後血清から調製したペプチドSART3-109に反応する部分的に精製したIgG(標準抗体)のプロテインGアフィニティーカラムクロマトグラフィーの結果を示すもので、プロテインGカラムに吸着後、溶出したクロマトグラムの図である。280nmの波長で吸光度を測定し、溶出順の14番目から16番目にIgG(標準抗体)が存在していることを示している。図4(b)は、この抗SART3-109部分精製抗体が、ペプチドSART3-109に対する濃度依存的反応性を有すことを従来のELISAによって確認した図を示す。図4(c)は、ペプチド特異性を吸収試験によって確認した図を示す。図5(a)は、微小ビーズのビーズサイズとビーズ数を示したものであり、ペプチドSART3-109のを結合したビーズが同じビーズサイズで正しくカウントされていることを示している。図5(b)は、各ペプチドを結合した微小ビーズを、ビーズの識別コード毎に分類し、各ペプチドを結合したビーズを識別コード(ここでは蛍光波長の組み合わせによるカラーコード)により特定したもので、図5(b)の矢印は、SART3-109を結合したビーズに対応するカラーコードの領域を示す。領域内の点の集合が同じカラーコードのビーズの集合を示している。図5(c)は、この微小ビーズを、575±12nmの波長でもって測定した結果、標準抗体の蛍光強度が濃度依存的に増加することを確認した図を示す。なお、リニアダイナミック領域は0.01pmol−1pmolであった。
(標準ELISA法)
標準ELISA法は、本発明の抗ペプチド抗体測定法と測定結果を比較するための従来のELISA法である。この標準ELISA法の説明をすると、ペプチド(20μg/ml)を固定したマイクロプレートをブロックエース(登録商標)でブロッキングし、洗浄用緩衝液(PBS、TWEEN(登録商標)20(0.05%v/v))で洗浄した。このマイクロプレートに血清サンプル100μlを添加し、37℃で2時間反応した後、このマイクロプレートを洗浄用緩衝液で洗浄し、更にラビット抗ヒトIgG(ガンマ鎖特異的)を用いて37℃で2時間反応した。このように処理したマイクロプレートを、洗浄用緩衝液で洗浄した後、西洋ワサビパーオキシダーゼーデキストランポリマー共役抗ラビットIgGを各ウェルに添加し、室温で40分間反応した。マイクロプレートを洗浄後、テトラメチルベンジジン基質溶液100μlを添加し、1Mリン酸を添加して反応を停止させた。吸光度を450−620nmで測定した。
(感度限界)
本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法の感度限界を決定するために、健常人14名からの血清を用いて陰性コントロールとしての抗HIVペプチド抗体レベルを測定した。図6、図7に示すようにELISAによる吸光度の平均値は0.040であるのに対して、本発明の抗ペプチド抗体測定法による蛍光強度の平均値は296であった。各値はカットオフ値として採用した。なお、ここで用いた平均値は健常人の通常の値を示すため、感度限界(感度と信頼性との調和点)として妥当なラインを示すが、より信頼性を高めた判断をするには、標準偏差SDを利用し、(平均値+SD)若しくは(平均値+2SD)を採用することもできる。
ところで、このカットオフ値の感度限界は健常人の感染症の陰性の限度を示すものである。これを越えると疾患に対して産生された抗ペプチド抗体の量が健常人のレベルを越えることを示す。従って、この感度限界は感染症陰性基準値であって、ペプチド認識抗体がこれより大きい場合はこのペプチドをペプチドワクチンとすることができるものである。そして感染症陰性基準値として上記抗HIVペプチド抗体レベル(抗HIVペプチド抗体陰性基準値)を採用すれば、免疫力が最も低下した状態の感染症基準値となり、確実に感染症陰性の限界を示し、カットオフ値が最適となる。
(本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法を従来のELISA法と比較)
本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法がワクチンしたペプチドに反応する抗体レベルを正確に定量できるかどうかを試験するために、本発明の抗ペプチド抗体測定法を標準ELISA法と比較した。
大腸がん患者のワクチン投与前ならびにワクチン投与後の血清を、標準ELISA法と本発明の抗ペプチド抗体測定法を用いてペプチドに対する反応性を調べた。代表的な例として1名の患者についての結果を図6に示す。図6(a)は抗SART3-109抗体に関するもので、両方の方法で濃度依存的にワクチン投与したペプチドに反応するIgGが検出された。IgGは希釈率に従って減少している。しかし、本発明の抗ペプチド抗体測定法は、標準ELISA法よりもより一層感度が高いことが分る。すなわち、本発明の抗ペプチド抗体測定法では、3回目のワクチン投与後に抗SART3-109抗体が有意的レベルで検出されているのに対して、標準ELISA法によれば、6回目のワクチン投与後に初めて有意的レベルの抗SART3-109抗体が検出されているからである。
また、図6(b)は抗Lck-486に関するものであるが、本発明の抗ペプチド抗体測定法によれば、ワクチン投与前の血清中に有意的レベルの抗Lck-486活性が検出されたのに対して、標準ELISA法によれば9回目のワクチン投与後に同様の活性が検出されるにすぎない。
以上の実験結果から分るように、本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法は、ELISA法にない優れた実用性とオーダメイド医療への確実な貢献を示すものである。そして、それにも増して、一般的に高感度であると評価されているELISA法と比較して、さらにその感度を格段に飛躍させるものである。図9は本発明の実施例1における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法との同一血清の測定における検出感度を比較したグラフである。
図9は、SART3-109と反応する抗SART3-109抗体の量を、同じ癌患者の血清を用いて本発明の抗ペプチド抗体測定法と標準ELISA法とで測定したものである。図9によれば、標準ELISA法では血清を102400倍以上希釈すると測定ができなくなっていることが分る。これに対し、本発明の抗ペプチド抗体測定法では、血清を1310720倍以上希釈してもまだ測定可能であり、少なくとも10倍以上低濃度の血清から抗SART3-109抗体を検出できることが分る。従って、本発明の抗ペプチド抗体測定法は実用的な面からだけでなく、測定感度を飛躍的に向上させることができるものである。
(本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法との間でのペプチド反応性のパターン比較)
本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と標準ELISA法との間でのペプチド反応性のパターンを比較した。その結果を図7に示す。
この試験では、3種類または4種類のペプチドをワクチン投与した5人の患者からのワクチン投与後の血清を使用した。
図7(a)は、患者1に対するもので、Lck-208、Lck-486およびLck-488を9回ワクチンした大腸がん患者の血清中の抗ペプチド抗体の検出結果である。本発明の抗ペプチド抗体測定法と標準ELISA法の両方の方法によって、抗Lck-208抗体が検出された。カットオフ値は抗HIVペプチド抗体陰性基準値である。
また、図7(b)は、患者2に対するもので、ART4-13、SART3-109、SART1-690およびLck-208ペプチドを9回ワクチン投与した患者の血清中の抗ペプチド抗体の検出結果である。本発明の抗ペプチド抗体測定法では、抗ART4-13抗体、抗SART3-109抗体、抗SART1-690抗体及び抗Lck-208抗体が検出されたが、標準ELISA法では、抗SART3-109抗体及び抗Lck-208抗体が検出されたものの、カットオフ値を下回ったため、抗ART4-13抗体及び抗SART1-690抗体は検出されなかった。
更に、図7(c)は、SART3-109、Lck-488およびLck-208ペプチドを15回ワクチン投与した患者3の血清中の抗ペプチド抗体を検出した検出結果である。本発明の抗ペプチド抗体測定法では、抗SART3-109抗体、抗SART1-690抗体及び抗Lck-208抗体が検出されたが、標準ELISA法では、この抗SART1-690抗体は検出されなかった。
従って、本発明の抗ペプチド抗体測定法は、実用性、個々の人ごとに有効な医療を行うオーダメイド医療への適応性、検出感度等の様々な面で従来のELISA法の限界を超えるものである。
(モニターシステムとしての利用可能性)
本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法のモニターシステムとしての利用可能性について検討した。4つの異なる設定条件(ペプチド1個、10個、50個ならびに100個に対する抗体測定に要する条件)下、並びに4つの異なる臨床スケール(患者数10名、50名、100名ならびに1000名)の条件下における必要検体量(血清)並びに作業時間を、本発明の抗ペプチド抗体測定法と標準ELISA法とで検証した。図10は本発明の実施例1における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法との血清量、コストおよび作業時間を比較したグラフである。
図10(a)は血清量の比較、図10(b)はランニングコストの比較、図10(c)は作業時間の比較を行ったものである。図10(a)によれば、本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法は、1個乃至100個のペプチド設定に対して各ウェル当りわずか1.5μlの血清量しか必要としていないのに対して、標準ELISA法は、各血清量を10μlも必要としている。従って、1個乃至100個のペプチド設定では全体で10μl乃至1000μlの血清量を必要としている。そして、ペプチドの数が増せば増すほどその差が大きくなってくるため、癌治療のようにペプチドが多くなる場合には、標準ELISA法では患者にかかる負担が大きくなるが、本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法はその負担がきわめて小さくなることが分る。
図10(b)は治療を行う際のランニングコストの比較であるが、概ね半分のコストで治療が行える。また、図10(c)は作業時間を患者数で分けて比較したものであるが、10人の患者の場合概ね半分の作業時間で済み、100人の患者の場合はペプチドの数が100程度であれば1/60程度で済み、1000人の患者の場合には比較にならない程度の時間差が生じていることが分る。
個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法)
本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法は、抗ペプチド抗体測定後に個々の人ごとに行うワクチン候補の決定方法である。従って、抗ペプチド抗体測定法としては蛍光フローメトリーアッセイ法に属する測定法であればよい。
(本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法による第1のワクチン候補選択方法)
本発明における個々の人ごとに有効な医療を行うための第1のペプチドワクチンのワクチン候補選択方法は、上述した本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法を使ってワクチン候補を決定するものである。その詳細は重複するので省略する。
(ワクチン候補決定)
本発明の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法で採用した蛍光強度のカットオフ値は、健常人の感染症に対する陰性の限度を示す感度限界である。これを越えた場合、産生された抗ペプチド抗体の量が健常人の陰性レベルを越えており、このペプチドは既に刺激として与えられ、既に人体で抗体を産生していたと考えられる。この刺激が疾患によるものの場合、感染症陰性基準値を越えて抗ペプチド抗体の量を検出できた場合にはこの疾患の可能性を疑うのが合理的であり、これをワクチンとして投与すれば、疾患があればこの疾患に対する免疫力を高めることができる。このように感染症陰性基準値でカットオフすることによりワクチン候補を的確に絞り込むことができる。
そして、感染症陰性基準値として抗HIVペプチド抗体陰性基準値を採用すれば、免疫力が最も低下した状態の感染症基準値となり、確実に感染症陰性の限界を示し、ペプチドワクチンのワクチン候補を決定する基準値として最適なものとなる。図7、図8に示すように実施例2の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法による感染症陰性基準値(この場合抗HIVペプチド抗体陰性基準値)は296である。
ところで、測定された抗ペプチド抗体の量が多い場合、直ちにこのペプチドを治療に効果的なワクチン候補と判断するのは、継続した治療の中でワクチンを考えるときには必ずしも正確ではない。ワクチン投与を繰り返し、抗ペプチド抗体の量が増加していく場合が最も有効なワクチンといえる。従って、ワクチン投与前の検体と、投与後の検体の抗ペプチド抗体の量を比較し、抗ペプチド抗体の量が増加している場合だけ、このペプチドを次のワクチン候補とするのが、きわめて有効である。
(他の蛍光フローメトリーアッセイ法による第2のワクチン候補選択方法)
個々の人ごとに有効な医療を行うための第2のペプチドワクチンのワクチン候補選択方法は、マイクロチューブ等を使った蛍光フローメトリーアッセイ法によるペプチドワクチンのワクチン候補選択方法である。
(ペプチドの微小ビーズへの結合)
細胞傷害性Tリンパ球(以下、CTL)エピトープペプチドを、製造者の指示に従って各蛍光色素の含有量を識別コード(カラーコード)化した微小ビーズにそれぞれ次のようにして結合した。カラーコード化した微小ビーズ100μlをマイクロチューブに入れ、10分間遠心分離(15000rpm)後、上澄みを除去した。次に0.1M
MES緩衝液(pH 4.5)を400μl添加し、5分間遠心分離(15000rpm)後、上澄みを除去し洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。数百μlのCTLエピトープペプチド(1 mg/ml, 0.1M MES緩衝液、pH
4.5)をこの洗浄した微小ビーズと混合し、EDC(1 mg/ml in ddw)を20μl添加して、攪拌後、暗所で、30分間室温で反応した。さらに、EDCを添加後30分間の反応を2回繰り返した。その後、洗浄用緩衝液1mlをマイクロチューブに添加し、攪拌後、5分間遠心分離(15000rpm)し、上澄みを除去した。次に、洗浄用緩衝液を400μl添加し、攪拌後、2−アミノエタノール(5%v/v in ddw)20μlを添加し攪拌して、暗所で15分間室温で反応した。反応後、洗浄用緩衝液400μlを添加し5分間遠心分離(15000rpm)した後、上澄みを除去し洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。洗浄用緩衝液中に0.05%のアジ化ナトリウムを入れて調整した保存用溶液を用いて再懸濁し、ペプチド結合ビーズを回収した。
その後は上述の実施例1の処理と同様であり、上述の(微小ビーズミックスの調製)、(サンプルの調製)、(ビオチン化二次抗体の調製)、(蛍光色素標識ストレプトアビジンの調整)、(抗ペプチド抗体測定)を行う。
(ワクチン候補決定)
抗ペプチド抗体が感染症陰性基準値を越えた場合に、このペプチドをペプチドワクチンとする。また、感染症陰性基準値として抗HIVペプチド抗体陰性基準値を採用すれば、確実に感染症陰性の限度を示し、ペプチドワクチンのワクチン候補を決定する基準値として最適なものとなる。この場合の抗HIVペプチド抗体陰性基準値も296となる。また、投与前の検体と投与後の検体のペプチド認識抗体の結合量を比較し、増加している場合だけワクチン候補とするものである。
このように、各ペプチドの種類ごとに異なるマイクロチューブや、遠心分離機等の設備を使って、ペプチド結合ビーズを調製し、ペプチドワクチン候補を選択することもできる。
上述したように、本発明によれば、必要とする血清量を最少にすることができ、作業時間を極端に短くすることができる抗ペプチド抗体測定法を提供できる。
また、癌患者等からの血清を測定することができるとともに、ペプチドに結合した抗体を正確に定量することができる。
さらに、本発明によれば、投与すべきペプチドを簡便且つ短時間に決定し、信頼性の高いワクチンを作成するペプチドワクチンのワクチン候補選択方法を提供することができる。
本発明の実施の形態における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法の概念図 本発明の実施の形態における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法の担持体を調製する同時調製処理の説明図 本発明の実施の形態における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法の測定説明図 標準抗体を使用した抗ペプチド抗体分子の第1の測定結果を示す図 標準抗体を使用した抗ペプチド抗体分子の第2の測定結果を示す図 本発明の実施例1における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法との比較を示すグラフ 本発明の実施例1における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法との間での患者1乃至患者3のペプチド反応性のパターンを比較したグラフ 本発明の実施例1におけるビーズ回収量を比較したグラフ 本発明の実施例1における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法との同一血清の測定における検出感度を比較したグラフ 本発明の実施例1における個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法と従来のELISA法との血清量、コストおよび作業時間を比較したグラフ
符号の説明
1 担持体
2 ペプチド
3 表面処理部
4 ペプチド認識抗体
5 二次抗体
6 標識
10 真空マニホールド装置
11 フィルタープレート
12 ウェル
13 フィルター
14 真空ポンプ
21 透光性細管
22 担持体検出用レーザー
23 標識検出用レーザー
25,26 受光センサ

Claims (11)

  1. 相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を調製し、調製後の複数種類の担持体に患者から得た検体を注いで該検体に含まれるペプチド認識抗体を前記ペプチドと特異的に反応させ、該反応で前記ペプチドに結合したペプチド認識抗体に対して更に二次抗体を結合するとともに、該二次抗体に標識を結合して、該標識の結合量の測定と前記担持体の種類の識別を行い、前記ペプチド認識抗体の結合量と種類とを測定する個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法であって、プレート上に配列した複数のウェル内のフィルター上に未調製の複数種類の担持体をそれぞれ収容し、前記フィルターを介して接続された減圧室を吸引することにより前記担持体のそれぞれにこれを均一の分布状態に整然と配列させることができる吸引力を共通に作用させて、前記複数のウェルで各担持体にそれぞれのペプチドを時間的に並行して同一の条件で固相化し、前記複数のウェルにおける各担持体の調製を一括して同時に行うことを特徴とする個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法。
  2. 前記ペプチドが癌組織由来のペプチドであって、癌の症例ごとに異なった数の担持体を調製することを特徴とする請求項1記載の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法。
  3. 前記担持体が複数の蛍光色素を使って種類を識別する微小ビーズであることを特徴とする請求項1または2に記載された個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法。
  4. 前記標識が前記二次抗体に対する蛍光色素による染色であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法。
  5. 前記調製を行うとき、前記フィルター上にそれぞれ別種で未調製の担持体を収容し前記フィルターを介して同時に吸引する第1の工程と、緩衝液を注いで各ウェルを前記フィルター側から同時に吸引する第2の工程と、各ウェルに結合試薬を注いだ後前記ペプチドの溶液を添加し反応させる第3の工程と、さらに結合試薬を添加して反応を促進させる第4の工程と、前記フィルターを介して余剰液を各ウェルから同時に吸引する第5の工程と、を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法。
  6. 前記調製を行うとき、前記第2の工程と前記第4の工程を少なくとも2回以上繰り返して行うことを特徴とする請求5記載の個々の人ごとに有効な医療を行うための抗ペプチド抗体測定法。
  7. 相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を調製し、調製後の複数種類の担持体に患者から得た検体を注いで該検体に含まれるペプチド認識抗体を前記ペプチドと特異的に反応させ、該反応で前記ペプチドに結合したペプチド認識抗体に対して更に二次抗体を結合するとともに、該二次抗体に標識を結合して、該標識の結合量の測定と前記担持体の種類の識別を行い、前記ペプチド認識抗体の結合量と種類とを測定し、前記ペプチド認識抗体の結合量に基づいてペプチドを選んで前記検体に対するワクチン候補とする個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法であって、前記ペプチドワクチンの投与後に採取した検体のペプチド認識抗体の結合量が、前記感染症陰性基準値を越えると共に、投与前ペプチド認識抗体の結合量より増加している場合のペプチドだけをワクチン候補とすることを特徴とする個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法。
  8. 前記ペプチドが癌組織由来のペプチドであって、癌の症例ごとに異なった数の担持体を調製することを特徴とする請求項7記載の個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法。
  9. 前記感染症陰性基準値が抗HIVペプチド抗体陰性基準値であることを特徴とする請求項7または8に記載された個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法。
  10. 前記ペプチド認識抗体の結合量の増加からワクチン候補を決定するとき、前記ペプチドワクチンを所定回数投与し、前記ペプチド認識抗体の結合量が投与前より一度も増加しなかったペプチドを除いて、ワクチン候補とすることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載された個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載された個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法において、相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を調製するのに代えて、プレート上に配列した複数のウェル内に同時に共通の吸引力を作用させて、相互に識別可能でそれぞれに別種のペプチドが固相化された複数種類の担持体を一括して同時に調製することを特徴とする個々の人ごとに有効な医療を行うためのペプチドワクチンのワクチン候補選択方法。
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